なんとなんと!!
菊月(偽)の絵を描いて下さった方がおられました!
許可は頂いてますので下記にURLを貼って紹介させて頂きます!
https://twitter.com/nepkore/status/838788724032856065
https://twitter.com/nepkore/status/840039865509126144
二点も!しかもまだ描いてくださっているという!!
本当にありがとうございました!!
では本編、どうぞ!
戦後処理
――改めて見てみると、鎮守府の被害は甚大なものだった。
目と鼻の先にまで深海棲艦に攻め込まれたのだ、然もありなんとは思うものの、実際に焼け焦げた施設の様子を見ると愕然とするものがある。
出撃の際に用いる桟橋やそこから接続される工廠は、最も被害の大きなところだった。弾痕や爆破痕がそこら中に刻まれ、出撃港にかかる屋根は木っ端微塵に吹き飛んでいる。かつて如月が操作したという大型探照灯も、潜水艦娘達とともに水泳の練習に励んだ第二船渠も、最早見る影もない。
その次に被害が大きかったのは、
宿舎は他の建造物より大きい。だからこそ一番的にされたのだろう、二階部分から上の殆どが丸ごと吹き飛んで今も黒煙を上げ続けている。一階部分や僅かに残った二階部分を使えば横になることだけは出来るだろうが、それは安息を与えてくれるものではない。勿論と言うべきか
残る鎮守府本棟は、まだかろうじてその機能を保っている……いや、此処だけは死守したと見るべきだろう。明石の工廠や入渠施設、食堂に風呂、その他諸々の『戦うための施設』。
そして
先日、襲撃をどうにか乗り切った後。明石曰く『動いていたのが不思議』とまで形容される程に消耗し切った大和を入渠させた後に北方へ出撃していた武蔵達が帰還した。その損耗具合も俺達に負けず劣らずと言った具合で、旗艦である武蔵の焦燥と後悔と怒りを混ぜ合わせた酷い表情が強く印象に残っている。
彼女の言うところによると、やはり北方攻略艦隊も同じように奇襲に遭ったようだ。鬼や姫級すら囮に使った特攻戦法。
襲撃から一夜明けた今日、姉妹や仲間達はほんの少しの休息を終えればすぐに出撃して行った。ある者は周辺海域の警備と残存戦力の掃討に、ある者は未だ帰還途中の友軍艦隊の迎えに、そしてある者は――奇襲の際に沈み、回収出来なかった仲間の遺骸を迎えに。
そんな切羽詰まった状況で
「……私のことをぼろぼろだと言っていたが、あいつの方こそ酷い顔だったではないか。明石め、無理をして……」
明石の医務室に、
先日帰還し、大和を担いだまま明石のところへ向かった俺の目に飛び込んで来たのは様変わりした明石の医務室だった。攻撃の影響で崩れかけた壁を取っ払い、三部屋纏めて一つの大部屋になったそこは、所狭しとベッドが並べられている。そこに横たわるのは怪我人、負傷した艦娘――では、ない。
三部屋を埋め尽くすベッドに寝かせられ、全身に機器を取り付けられた彼女らは全て『沈んだ艦娘』だ。仲間の手によって引き揚げられた彼女らはこの部屋に寝かされ、どうにか目を覚まさせることが出来ないかと試みられているという。明石はそれに手を取られ、それと艤装の修理だけで手一杯。艦娘の身体を治す
今から向かうのは武蔵のところ。彼女の入渠や憔悴から未だ出撃を見送られている彼女を少しでも元気付けられると良いのだが――というのは、『俺』と『菊月』どちらもに共通する意見。大和には世話になったし、武蔵とは長く共に戦った仲だ。少しでも気を紛らわせてやりたい。
そんな風に考えていれば、向かいから人が一人歩いて来ていた。間違えるはずもない、
「……提督」
「ああ、菊月か。損傷の具合はどうだ?」
「艤装に関しては、明石の手が空くのを待つしかない。身体は……まあ、バケツを使えばいつでも大丈夫だろう」
「そうか。お前は、何をしているところだったんだ?」
「武蔵の見舞いに行こうかとな。……帰還の際に酷い顔をしていた、少しでも心を休ませてやりたいのだ。提督は、何を?」
「似たようなものだ。金剛、大淀、あいつらもかなりキてるようでな。ケアも提督の仕事のうちだ」
少しだけ立ち話をした。日本だけでなく世界中で似たような襲撃が行われた中、勿論大本営もてんやわんやだったそうだ。しかし、それでも、提督の話を聞く限りにおいては彼らは今後の作戦を立てつつあると言う。
それが少し意外だった。しかも、作戦の一部は諸外国と連携し、物資の無償提供までするという。その感情が顔に出ていたのか、提督は俺の顔を見て笑う。
「意外そうな顔をしているが、何かおかしなことでもあったか?」
「いや……その。こんな状況だ、どこも危機感と敵意に駆られ、足を引っ張りあい、まずは自己保身に走るものだと。ましてや自国が危ないという時に、物資すら譲るというのは、少し……」
「――まあ、 確かにお前たち艦娘からしてみれば不思議ではあるか。しかしな、俺達『人間』にしてみれば、これは当たり前なんだ」
「と、言うと?」
「なにせ、人間がこんなに追い込まれるのは初めてじゃないからな。お前達艦娘が現れる前、深海棲艦の脅威に晒されていた頃はそれはもう酷い状況だったんだ。それはどこの国も同じ。どこの国でも、市民を守るために軍人が死んでいった」
「それは……」
「だからこそ今、深海棲艦を前に私利私欲に走る無能はいない。そんな奴は、奴等との戦線に立てない。そんな奴が蔓延ることを、かつて奴等と戦った俺達『提督』が許さないのさ。この戦線に立って良いのは、人と仲間のために戦える奴だけだ、ってな」
それは驚くほどすんなりと、
仲間のために、市民のために戦っているのは艦娘だけではない。当たり前のことだ。人を守る、その為には国や人種の違いなど些細なことなのだ。嘗て
「まあ、そうでなければ俺も長門や陸奥をアメリカに派遣なんてしないさ。いくら向こうの最新鋭艦の教導のためだとは言ってもな――ああ、そうそう。彼女らも帰って来ている、いずれは共に出撃することもあるだろうし、顔合わせくらいはしておけよ」
「了解した、提督」
「あと、お前が武蔵を励ましたいっていうならまずは自分のことから始めろ。金剛達程ではないが、割と疲れた顔をしているぞ」
「……それも了解した。トイレにでも寄って顔を確認してから行くようにするさ。尤も、提督の話を聞いて少し気分は盛り上がったが」
にやりと笑い、提督と別れる。知らず沈んでいた気持ちが晴れたようだ。その足でトイレへ入り、手洗い台の鏡に顔を映す。
――そういえば、こうして顔をまじまじと見るのも久しぶりだ。
白い髪。朱鷺色の瞳。鋭いものの幼さの残る容貌。クールな反面さみしがり屋な一面のある彼女。
成る程――
「……あー、やっぱ菊月かわいいわ」
――っ!?
「抱き締めたい」
――っ!?!?
『菊月』の感情がはっきりしている状態でこんな事を言うのは初めてだったか。まあ気にするまい。いやだって、『俺』は菊月が好きなのだ。徹頭徹尾好きなのだ。自分を励ますには
うん、多分最近の不調やらメンタルの振れ幅やら、先の海戦で膝に弾を受けたことも全部
「菊月めっちゃかわいいつらい」
――〜〜〜〜っ!!!!
自分、というか『菊月』に言い訳しつつ両手で自分の身体を抱き締める。一気に心が癒される。鏡を見れば癒された顔の菊月がいて、その菊月を見てまた癒される。菊月スパイラル。
最近海戦ばかりでキクヅキニウムが足りないと思ったので!!!!!!!