ソードアート・ポケットモンスター・オンライン 作:RYUNA
スランプなう。
体調不良なう。
今後の展開に悩んでキーボードを打つ手が停止中。
「っぐ・・・!ぐはっ・・・。」
「ガルウウ!グアゥ、グアアア!!」
あのクレイジーベアーとの戦闘が始まって30分くらいが経った。
現状としてはなんとか相手のHPゲージ1本目がそろそろ終わるくらいまで減らせた状況である。
戦ってみての感じはダメージは予想していたよりもあまり食らわないけれど、一撃一撃がかなり重たくて防ぐのもやっとな感じ。
そしてクレイジーベアーの攻撃は普通に爪で切り裂こうとしてきたり、スキルの光をまとっての突進攻撃の2つのみだった。
これくらい経てば私も相手の攻撃パターンが分かるようになってきて被弾率も確実に下がってきている。
ベアーが連続で私を切り裂こうと腕をブンブン振り回す。ジャンプや前転、バックドロップで私はそれらを全て避けきった。
ベアーが攻撃後のちょっとした硬直状態になったのですかさず懐に入り込んでするどいその爪をソードスキルで振り上げさせる。
「ワニノコ、れいとうパンチ!!」
大きくベアーが怯むのを見て私がそう命令するとワニノコはその凶悪な顔面に強烈なパンチをお見舞いした。
ベアーの顔の右半分がピキピキと音を立てて薄く凍り付く。透明な氷の下で不気味に光っている赤い目がとても恐ろしかった。
後ろに後退しつつ私は腰のポーチに手を突っ込んだ。買いだめしていたからポーションの量にはまだまだ余裕はあるけれどこのまま戦いが長引いては不利だと思う。
ベアーを倒すまでぎりぎりポーションが持つか持たないか、その瀬戸際だろうと私は考えた。
「キリトさん、まだなのかな・・・!」
正直そろそろ精神的にも限界が近づいてきている。ポーションの量なんか確認しなきゃよかったと思った。よけいに不安を煽っただけだ。
攻撃を避けて打ち込んではまた避けてをくり返しながら私はひたすらキリトさんが来てくれることを願った。
それから更に数分後。とうとうベアーの体力ゲージが2本目に突入した。
それにしてもこの熊さん結構硬い。
スキルで剣を光らせ構えてから私は訝しげに眉をひそめた。
「・・・。」
「・・・?」
明らかにベアーの様子がおかしかった。
ゲージが2本目に突入した途端に動きがピタリと不自然に止まったのだ。
ここは攻撃のチャンスかもしれないと一瞬思ったけど、微かに残った不安が私の足を縛り付ける。
すると
「グァァァァァァァァァァァガアアァァァァァ!!!!」
ベアーが出会ったときと同じように両腕を大きく上げて咆哮した。
そしてなぜか自分の腹をドカドカとすごい勢いでたたき出したのだ。
「なっ・・・なに!?」
「わにゃ!?」
予想だにもしていなかった相手の行動に私はあからさまに動揺した。
ベアーが腹を叩く度に衝撃波のようなものが生まれ、そこから吹き出した風が微かに私の前髪を揺らした。
するとベアーの身体が少し赤く光っていることに気づく。
ハッとなって私はすぐさまカーソルをベアーに合わせてそのステータスの確認をする。
満タンにあったはずの2本目のゲージはすっからかんになり、どうしてかレッドゾーン近くまで体力がごっそり減っていた。
そしてその隣には攻撃力アップのマークが存在している。
「・・・もしかして、あれ【はらだいこ】?」
私はすぐに1つの可能性に気がつき真っ青になった。
はらだいこというのはポケモンに出てくる技の1つで自分の体力を1/2だけ減らした後、攻撃力をメチャクチャ上げてしまうという技である。
体力の減り具合、攻撃力アップのマーク。
どう考えてもはらだいこだけど相手はポケモンじゃなくてただのSAOオリジナルのモンスター。
だけどここではポケモンも一応モンスターに分類されている。だったらあのベアーがポケモンの技を使ってきたってあまり不思議ではないかもしれない。
ならば今はとんでもないピンチだ。ベアーの攻撃を一撃食らっただけで私のHPがどれだけ持っていかれるか想像も付かない。
だったらここはワニノコに遠距離攻撃で頑張ってもらうしかない。
「ワニノコ、みずてっぽう!!」
ワニノコが大きく口を開けて攻撃する。だがその攻撃は虚しくも振り回された腕にかき消されてしまった。
ベアーがまた正面からとっしんしてきた。私は今まで通りに横にステップして避ける。
振り返ってスキルを打ち込もうとしたときだった。
「ッ!?」
既にベアーの方は腕を大きく振り上げ攻撃に入ろうとしていた。
今までと違う行動に自分の腕の動きが一瞬遅くなった。
目の前にするどい爪が迫り、ギュッと目を瞑る。
「やっ!!!」
「わにゃ!!」
とっさに受け身の体勢を取ったが私の身体は強力な攻撃によって10メートルほど吹っ飛ばされた。
オブジェクトとして立っていた大きな木に背中がぶち当たる。そのあまりの衝撃のせいで木は粉々になり消滅する。
倒れた身体を起こしてすぐに自分のHPを確認する。満タン近くまであったそれはレッドゾーンまで減ってしまっていた。
すぐに起きあがって回復薬を飲みたかった。でも発生した強烈なノックバックのせいで身体が思うように動かない。
「わにゃあああああああああ!!!!」
「ッ、ワニノコ!?」
耳をつんざくような鳴き声が聞こえて目を向けてみると、ワニノコが攻撃を受け派手に吹っ飛ばされていた。
そのまま地面に落下するとピクリとも動かなくなってしまう。ワニノコのHPがとうとう無くなってしまったのだ。
「こ、このまま、じゃ・・・。」
のっそりとベアーがこちらに身体を向ける。赤い瞳がしっかりと私の姿を捕らえた。
死ぬ、死ぬ、確実に死んでしまう。私は完全にパニック状態に陥ってしまっていた。
(早く・・・!早く、動いて・・・!!)
私が必死にもがいているとベアーが四つ足体勢になる。その身体を赤い光が包み込み始めた。あれにも確か見覚えがある。
たぶんあれはギガインパクト。前世で見たアニメと同じである。
とうとうベアーが前進してきた。
「ッ!!」
覚悟を決めて私は目を瞑った。ここで私は命を落とす。
自分の中でそれが確定的になった瞬間だった。
「チョキイイイイ!!!!」
どこからか聞き覚えのある鳴き声が聞こえ、その後すぐ目の前で何か大きなものがものすごい勢いでぶつかったような音が響いた。
その衝撃波ははらだいこの時とは比べものにならないほどの突風を一瞬巻き起こした。
目を開けてみればさっき避難させたはずのチョボマキが大きなシールドのようなものを張ってベアーの攻撃を防いでいた。
あの泣き虫のチョボマキが【まもる】で私を守ってくれていたのだ。
「君・・・!」
その光景を目の当たりにして私は一瞬何も言えなくなる。
殻を閉じてまもるを発動させてチョボマキはベアーの押しに必死になって耐えていた。
けど、やはり体格差がありすぎたのか。先にダウンしたのはチョボマキの方だった。
「チョッキイイイイイ!!」
「チョボマキ!!」
私が叫んだその時だった。やっと身体から不自然な痺れから解放されたのだ。
相手はキガインパクトを放った反動かブルブルと震えて動く様子がない。
すかさず私は回復薬を飲んでチョボマキに駆け寄る。チョボマキのHPはあと数ドットしか残ってなかった。
「・・・!急がないと・・・!」
ストレージからキズぐすりを取り出してチョボマキに吹きかけた。前世からおなじみの回復アイテム。
これはポケモン専用の回復アイテムで私達人間には使えない。そしてポーション類も人間専用でポケモンに使えない。
チョボマキのHPがほぼ回復して私は安堵の息をついた。
と、その時。
「ガウウウウウウウウアアアアアアアアアア!!」
少し離れた所でベアーがまた動き出す。反動からの復活が早すぎるだろと私は心の中で叫んだ。
赤い瞳がまたガッチリ私を捕らえる。
またベアーの身体が赤い光に包まれていた。もう一度ギガインパクトを放つつもりなんだろう。
さっきの光景が頭に一瞬よみがえる。情けないことにそのせいでまた身体がすくんでしまった。
ベアーの足が大地を蹴る音を感じながらギュッと目をつむった時だった。
「はああああああああああ!!!!」
聞き覚えのある声がどこからか聞こえてきた。
うっすらと目を開けてみると、イーブイを肩に乗せた男の人がその握っていた剣でベアーを食い止めていた。
見間違えるはずもない。その人はキリトさんだった。
どうしてだろう、キリトさんのその背中をはっきりと写した瞬間、身体に絡みついていた見えない鎖が無くなっていくような気がした。
「リオ!!!決めろおおお!!!」
まるで獣のようにキリトさんは咆えた。
その一言で見えない鎖は完全に無くなった。私は傍に置いてあった剣を手に取り構えて走り出す。
私が走りながらソードスキルを発動させるのとキリトさんの剣が真っ二つになったのはほぼ同時だった。
全てがスローモーションになる。キリトさんがギガインパクトに巻き込まれそうになる様子がやけに遅く再生される。
必死に足を動かし、手を動かし、私も咆えた。
「間に合ええええええええええええええ!!!!!!」
あと、あとコンマ1秒でも遅れていたらどうなっていたかも分からない。
私もキリトさんもギガインパクトに巻き込まれて命果てていたかもしれない。
私の剣は柄の部分まで深々とベアーに突き刺さっていた。そして私のHPもキリトさんのHPも減ってはいなかった。
目の前の巨体がキラキラと星くずのように散っていく。その様子を夢見心地な気分で見つめた。
ベアーを倒すことができた。
「リオ、大丈夫か?」
「キリトさん・・・。来てくれて、ありがとうございます。」
「遅くなってすまなかった。でも、間に合ってよかった。」
そこでキリトさんも全身の力が抜けたようにドカリと地面に座り込む。
赤かった空はうっすらと暗くなり、見上げると一番星が寂しくキラリと光っていた。
頭を下ろしてふとハッと意識がさえ渡った。視界の端にワニノコが倒れている姿が入ったからである。
ふらつきながらも立ち上がってストレージからげんきのかけらを取り出してワニノコに与えた。これもポケモン専用で蘇生アイテムだ。
小さなその体がゆっくりと起きあがる。
その後すぐにキズぐすりを吹き付ければワニノコの体力はすっかり全回復した。
「大丈夫?」
「わにゃ!!」
元気よく返事を返した後、ワニノコは私の肩によじ登ってそしてお互いに頬と頬とぐりぐりとこすりつけ合った。
「リオ。」
そうキリトさんに呼ばれて振り向けば、彼はある方向を指さしていた。
それを辿るとチョボマキがこちらを見上げていた。視線がパッチリ合えばまた少し頬を赤くして殻にキュッと閉じこもる。
そんな様子を見て私はクスリと笑った。可愛くて、愛おしくて、頬の筋肉が緩んでいく。
私は傍まで近寄ってしゃがみこんだ。目の前の私の気配に気づいたのかチョボマキは殻を開けて私を見上げた。
「さっきは助けてくれてありがとう。」
「チョキ。」
「かっこよかったよ。」
「キィィ・・・。」
そう言うと照れくさそうにまた殻を閉じてしまった。
すぐ隣でキリトさんが「照れ屋なんだな。」と笑う声が聞こえる。
ずっと閉じこもられても困るから私はコツコツと殻を軽く優しく叩いた。独特の赤い顔がにゅっと遠慮がちに出てくる。
私はこの子に言いたいことがあった。ベアーとの戦闘が突然始まって言うのが遅くなってしまったけれど。
「ねぇ、もし君がよければ私と一緒に来ない?」
「チョキ!?」
「わにゃ!わにゃにゃー!!」
笑顔でそう言うとチョボマキはとても驚いたような反応を返してくれた。
どうしてこのチョボマキなのか。理由は実ははっきりとは分かっていなかったりする。
最初はちょっと可哀想だからって気持ちもあったかもしれない。でも私を守ってくれたときにピンときた。
絶対にこの子だって、自分の中で確かな確信が生まれたのだ。
しばらくの間、沈黙が流れていた。
そしてチョボマキは満面の笑顔で元気よく返事をしてくれた。それはゲットしても良いという意味だった。
「やった!これからよろしくね、チョボマキ。」
「チョキ!!」
取り出したモンスターボールを目の前に突き出すと、チョボマキは自分からボールに軽くぶつかる。
するとボールがパカッと大きく開いてたちまちチョボマキはその中へ吸い込まれていった。
新しい仲間が増えました!!
恥ずかしがり屋で泣き虫だけど、とっても勇気のある子です。
たいへん遅くなり申し訳ありませんでした。
まだまだ完全回復にはほど遠いので更新が不定期になります。
見てくださっている方には本当に申し訳ないです。うぅ・・・。
SAOのオリジナルモンスターだってポケモンの技使っても問題ないよね!
だってモンスターだし!
の結果がこれです。実際に使っても違和感ないと思うんですよね、うん。
とうとう主人公が新しい仲間をゲットしました。
どうしてチョボマキかって?それはチョボマキにロマンが詰まってるからです!
ま、ちゃんとした理由も一応あるにはあるんですけどね。
リオのチョボマキ
性別:♂
性格:おくびょう
第10層の森林エリアでリオがゲットした。
とても臆病で泣き虫。でもいざというときはやれる子である。