ソードアート・ポケットモンスター・オンライン   作:RYUNA

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次の日の午前9時ごろ。

昨日攻略会議が行われた広場には、今回のボス攻略に向かうプレイヤー達が少しずつ集まっていた。

いつもならぐっすりと眠っている時間だから、何だか変な感じだ。

 

「すげっ、銀髪?」

 

「あれ昨日のちびっ子じゃね?」

 

「参加するんだ。」

 

広場に足を踏み入れた途端に周りからの視線が体中に突き刺さった。

いま、フード付きのマントは付けていない。昨日シュウさんにあんなことを言われてしまっては付けるわけにはいかなかったのだ。

でも所詮フードを付けていようと付けていまいと結果は同じ。集まる奇異の視線。

 

「おはよう。」

 

「あ、おはようございます。アスナさん。」

 

俯き気味で歩いていたら挨拶をされ、顔を上げてみればアスナさんが目の前に立っていた。

朝日に照らされた栗色の長い髪の毛がキラキラと輝いていてその美しさにボーッと見とれてしまう。

それにしてもキリトさんはいつの間にこんな美人さんと知り合っていたんだろう。

前世でも、璃緒として生を受けた今世でもこれほどまで綺麗な女の人を私は見たことがない。

 

「どうしたの?」

 

「え、あぁいや、綺麗な髪の毛だなぁ・・・て。」

 

「そうかしら?私はリオちゃんのその髪の方が綺麗だと思うけど。それにその目の色。」

 

「目の色・・・?」

 

「うん。宝石みたいなその碧色。私好きだな。」

 

ちょっとだけアスナさんが前屈みになって私の目をのぞき込む。

やたらと目立つこの銀髪はリアルでも色々と(良いことも悪いことも)言われたことはあるけど、目の色について何か言われたのはこれが初めてだった。

私自身もどうしても目の色よりかは目立ってしまう銀髪の方に意識がいってしまうし。

 

「きっとゲームの色彩設定をいくらいじってもそんな色は絶対に出せないと思う。」

 

「・・・ありがとうございます。嬉しいです!」

 

褒められて嬉しくない人間なんてきっといない。ましてやこんな美人さんに褒められるなんてもう今後一生ないかも。

アスナさんの包み込んでくれるかのような気遣いが本当にとても嬉しかった。

と、急に腰のモンスターボールがカタカタと激しく音を立て始めた。

そういえば昨日の攻略会議からずっとワニノコ達がモンスターボールの中にいたことを思い出した。

別にボールの中が良くない環境という訳じゃないけど、やっぱりなるべく外の空気を吸わせてあげる方がポケモンにとってもいいと私は思っている。

だからいつもなるべく外に出すようにしているからか、2匹、特にワニノコは少しだけ不満のご様子。

 

「リオちゃんもポケモンを持ってるの?」

 

「はい。出てきてワニノコ、チョボマキ。」

 

腰に付いていたモンスターボールを両手に持って2匹を外に出してあげた。

ワニノコはすぐに私の肩に駆け上ってきて、チョボマキはまだちょっとだけ眠そうに小さく欠伸をする。

私はチョボマキを抱え上げてアスナさんに2匹を紹介した。

 

「この子はワニノコ。で、こっちがチョボマキです。」

 

「初めましてアスナです。よろしくね。」

 

「わにゃ!」 「チョキ。」

 

「アスナさんはポケモン持ってるんですか?」

 

「うん。1匹だけだけど。出てきて。」

 

アスナさんが手にしたモンスターボールから出てきたのは茶色くてフサフサしたポケモン、イーブイだった。

彼女のイーブイを見て最初に頭の中に出てきたのがキリトさんのイーブイだった。

でもアスナさんのイーブイはキリトさんのイーブイよりも少しだけ小さいような気がする。

 

「イーブイですか・・・キリトさんと同じポケモンですね。」

 

「ええ。彼のイーブイとは正反対だけどね。」

 

「へー・・・。よろしくね。」

 

しゃがみこんでそう言うとアスナさんのイーブイは多少引き気味ながらもコクリと頷いてくれる。

さっきアスナさんが言っていたようにキリトさんのイーブイとは正反対だ。彼のイーブイなら私に飛びかかろうとする勢いで元気よく返事を返してくれていたし。

それにしてもこのイーブイ、ボールから出てきた時からアスナさんの足元にベッタリと寄り添っている。

いま現時点でだいぶ懐いているんじゃないだろうか。

 

「懐いてますね。」

 

「うん。でもちょっと人見知りっぽくて・・・戦闘の時以外はあまり外に出してないの。」

 

イーブイを優しく抱きかかえながらアスナさんはそう教えてくれた。

イーブイは私の持っている知識の中では7種類のポケモンに進化できる。その進化条件は様々だけど、その中に【よく懐いた状態でレベルアップ】というものがある。

ポケモンが主人にどれだけ懐いているかは【なつき度】という値の大小で決まるけど、残念ながらそれをプレイヤーが確認することはできない。

なつきでイーブイが進化するのはエスパータイプのエーフィかあくタイプのブラッキー。

一体どのポケモンに進化するかは分からないけれど、もしかしたらアスナさんのイーブイはこのどちらかに進化するかもしれない。

なんとなくだけど。

 

 

その後キリトさんやクラインさんとも合流し、今回の攻略のリーダーに当たるシュウさんもやってきた。

ふと視線をやればシュウさんと一緒にキバオウさんも広場に入ってきていて、ふとぱちりと視線が合ったけどすぐに嫌そうな顔をされて視線を逸らされた。

だからといって別に何とも思わないけれど、これから先もあの人からこうやってあからさまに嫌な顔をされるのかと思うとすごく気が重たくなる。

昨日のことはもちろんショックだった。あんなにあからさまな言葉を投げつけられたのは本当に何年ぶりだっただろう。

でも今はそんなことを考えている時じゃない。

 

「今日の目的をもう一度確認する。

 優先すべき目的はボスをゲットすること。今までとは違って持久戦になるだろう。

 だから俺がこれ以上は無理だと判断した場合は指示を出すからその時はボスを倒してしまって構わない。

 最後に。誰がボスをゲットしても絶対に文句は言わないこと。」

 

ボスの待機している大きな扉の前でシュウさんの最終確認が行われる。

彼の言葉を耳に入れつつ私はその威厳のある巨大な扉を緊張しながら見上げた。

初めて見るボスの扉は私達を待ちかまえるように立っていて、扉のくせに何かの意思を感じる。

「そう簡単に倒せると思うなよ」と私達をあざ笑うかのような、そんな意思だ。

 

「じゃあ、扉を開けるぞ。全員武器を構えて攻撃に備えろ。」

 

シュウさんの指示に私達は従い、全員それぞれの武器を構えた。

アルゴさんの情報では扉を開けて中に入った途端に攻撃が飛んできたと言っていた。

今朝、それをシュウさんに伝えるとそれならボスの部屋に入る前から武器を構えて備えていれば問題はないと返ってきた。

私も生唾を飲みながらそっと銀と碧の装飾が施されている剣を背中から引き抜いて前に構える。

シュウさんがボスの部屋の大扉を剣を持っていない方の手で押すと重苦しい音を立てながらゆっくりとソレは開いてゆく。

彼が一歩、ボス部屋に足を踏み入れたその時だった。

 

「エアアアアアアアアア!!!!!」

 

「っ!!みんな伏せろ!!」

 

甲高い何かの声と風を切る音が聞こえたのとシュウさんがみんなに指示を出したのはほぼ同時だった。

言われたとおりに伏せた私達のすぐ真上を強烈な風の攻撃が通り抜ける。

それは私達の背後にあった大きな岩の壁をいとも簡単に抉り取った。

これは恐らく威嚇射撃。だけどこの時点で何人かは完全に腰を抜かし、また何人かは我先にと逃げ出していく。

まだシュウさんからの指示は出ない。

じっと堪えて待っているとまた頭上を先程の攻撃が飛んでいった。

 

「今だ!突撃!!」

 

待ちに待ったその指示に私達は勢いよく地を蹴ってボスの部屋に突入した。

あの攻撃は飛んでこない。

長い回廊の奥に大きな鳥形のシルエットが見えた。その周りには丸い何かがフワフワと漂っている。

 

「あれは…。」

 

突如、横サイドに並べられた棒状の何かに炎がボボボボッと音を立てて灯っていく。

その炎の淡い光に灯されたボスの姿に私は圧倒された。

結論から言うと周りに浮いていた小さな球体の正体は【コイル】。

無機質な機械音のような鳴き声はアニメでもよく聞いていたなと思い出す。

そしてそのコイル達に囲まれ、悠然と立っているボスの姿がとうとう灯りによって明らかとなった。

頑丈で重そうな鉄の身体と翼、そのプテラノドンを彷彿とさせる先が尖った頭。

 

【エアームド】だった。

 

だけどこのエアームド。ゲームとは違う。

エアームドって2mもありましたっけ…?

 

 




答え合わせ、正解はエアームドでした。
感想の中に正解者がいましたね。おぉ!分かっちゃったかあーと感心しました。
このエアームドを一体誰がゲットすることになるのか。
もしくは誰もゲットせずにこのまま倒してしまうのか。
それが分かるのはこの次のお話になりますね。

活動報告にて大事な事を書きました。
目を通していただけると幸いです。
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