ソードアート・ポケットモンスター・オンライン   作:RYUNA

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「デカイな…巨鳥とは聞いていたが、まさかこんなに大きいとは。」

 

(いやいやいや。エアームドってあんなに大きくないはず!!)

 

聞こえないとは分かっていても私は冷や汗を流しながらそう言うシュウさんに心の中で突っ込んだ。

そんな私も冷や汗がかなり吹き出ている状況である。

私達の目の前でその鉄の羽を広げて威嚇しているエアームドは明らかに2mを越えていた。

前世でエアームドを一時期だけだがパーティに入れていた私は知っている。

エアームドの体長は確か1.7mかそのくらいのはずだ。

 

「相手の出方をうかがう。ポケモンで遠距離攻撃だ!」

 

シュウさんの指示に従って三分の一ほどのプレイヤーが腰からモンスターボールを手に取り宙へ投げる。

私もワニノコのボールを手にとって宙へと放った。

その時に腰に掲げていた残り1つのボール、チョボマキのボールがカタカタと揺れる。

きっと自分はどうすればいいのかを聞きたいのだろう。

 

「ごめん、今日君はお休みね。」

 

優しくそう言ってやれば納得したのかボールの揺れが収まった。

相性的に見てもエアームドにチョボマキは悪いなんてものじゃない。

それに臆病なこの子にはまだボス戦は早いかもしれないから。

戦闘フィールドには実に色々なポケモンが登場していた。

かぶっているのはキリトさんとアスナさんのイーブイだけだ。

 

「放て!!!!」

 

シュウさんの合図と共にその場にいたポケモンから遠距離の、専門的な言葉を使えば特殊攻撃が繰り出される。

私のワニノコもみずてっぽうを放ち、その他すべての攻撃が回廊の奥に立っているエアームドに向かっていく。

が、それはエアームドにまで届かなかった。

 

周りを囲んでいたコイルがまもるでエアームドへの攻撃を防いだからだ。

 

たくさん集まっているコイルはまるで目の付いた鉄の壁のよう。

隣でクラインさんが「うげぇ…。」とカエルがつぶれたような声を上げるのが聞こえた。

しかしこのままではエアームドに攻撃が届かない。ならばやることはただ1つ。

 

「先に周りの球体を殲滅する。各チームごとにかかれ!!」

 

「「「「おぉーーー!!!!」」」」

 

シュウさんのその言葉に私はキリトさん、アスナさん、クラインさんと目を合わせ頷いた。

各チームというのは今日の朝、出発前にシュウさんが編成した小さなグループのことである。

そのチームもやたらめったらに編成したわけではなく、ちゃんと各それぞれの交友関係を把握し、よりよく連携が取れるようにと彼がおこなったものだ。

私としてもその方がとてもありがたい。

 

「リオ、あのポケモン見たことあるか?」

 

私の隣に来たキリトさんが剣を前に構えながら尋ねてきた。

もちろん私は取り巻きのコイルのこともボスであるエアームドのことも知っている。

私が持っているポケモンの情報。だけどそれを教えるのはその個体を実際に見て確認が取れたときだけ。

コイルもエアームドも実際に見るのはここが初めてだけど、ボス戦だから隠している訳にはいかない。

だけど初めて見た振りは・・・しておかないと。

 

「見たことはありませんが、あの球体身体から電気のようなものを弾かせています。」

 

「もしかしたら攻撃に麻痺の効果が付いてるかもしれないわね。」

 

「うっわ…小っせえ身体のくせにおっかねぇな…。」

 

私の説明にアスナさんは鋭い答えを出した。本当にさすがである。

しかしやっかいなのは相手を確実に麻痺状態にする技をコイルが本当に覚えること。

もし麻痺状態になってしまった時にコイルやエアームドの攻撃を一気に受けてしまったらタダでは済まない。

 

「数は10も居ないな。俺たちで一匹ずつ倒せばリポップにも対応できそうだ。」

 

「そんじゃ、行くぜ!!」

 

まず走り出したのはキリトさんとクラインさん。ソードスキルを発動させながらコイルに向かって剣を振り下ろす。

そこで私はつい眉間に皺を寄せてしまった。相手は敵で倒さなくてはいけない相手だと分かってはいるけど、大好きなポケモンでもある。

早く、早くポケモン相手の戦闘にも慣れなくちゃいけないな。

 

「私達も行きましょう。」

 

「はい!ワニノコ、みずてっぽう!」

 

「イーブイ、スピードスター!」

 

私のワニノコのみずてっぽうは周辺のコイル数体を押しのけたのに対してアスナさんのイーブイのスピードスターはコイルに弾かれた。

はがねタイプを持つコイルにノーマル技のスピードスターは効果はいまひとつなのだ。

 

「アスナさん!あの球体はきっとはがねタイプを持っている。スピードスターはあまり効果がありません。」

 

「はがね・・・。じゃあこれはどう!!どろかけ!!」

 

アスナさんのイーブイの前足が振りかぶられた瞬間に大量のどろが発生してコイルに襲いかかる。

コイルはでんきとはがねタイプを持っている。どちらもじめんタイプの技に弱く通常の4倍ものダメージを与えることができる。

アスナさんはちゃんとタイプの相性を把握しているようだ。

そのどろかけを受けたコイルはたまらないという顔をしてどんどん倒れていく。

おそらくは特性のがんじょうで持ちこたえているコイル数匹をアスナさんは的確にその剣先で捕らえ倒していった。

あんなに小さいコイルに突きを与えられるなんてアスナさんはすごい。

 

「アスナさんすごいです!!」

 

「ありがとう。でもリオちゃんがアイツがはがねを持ってるって気づかなかったらこうはいかなかったわ。」

 

アスナさんはそう言うけど私は特になにもしてない。

コイルがでんき技を使ってくるゆえにワニノコはうかつに前には出せないしチョボマキもあまり効果のある技を持っていない。

それに加えて私はポケモンと直接戦闘することにまだ抵抗がある。

どうやらこの戦いで役に立てるようなことはあまりなさそうだ。

 

「くそっ!こいつらすばしっけぇ!!!!」

 

「クライン!ちょっと、外しすぎじゃないか・・・!!」

 

「そういう、オメェだって!はっ、外しまくってる!じゃねぇか!!」

 

2人の声が少し離れたところから聞こえてきたので目を向けてみれば自由自在に飛び回るコイル数匹に苦戦を強いられていた。

そこで私はキリトさんとクラインさんが必死そうなのに対して、コイル達はどことなく楽しそうなのに気づいた。

それをアスナさんも感じ取ったのか「なに遊んでるのよ…。」と隣で溜息を吐いている。

すると1匹のコイルがクラインさんの顔面にものすごい速度でぶつかってきた。

ゴチン!!という大きな音が辺りに響く。

 

「いってええええええええええええええええ!!!!」

 

続いて響いたのは誰もが思わず顔を顰めてしまいそうなほどのクラインさんの悲鳴だった。

実際SAOに痛覚という感覚は無いんだけどこればっかりは叫んでしまっても仕方ないと思う。

対してクラインさんにぶつかってきたコイルは上機嫌に笑っていた。たぶん故意にぶつかってきたんだろう。

 

「なんか、やりにくいな。」

 

「同感だぜ…。いくらゲームとはいえこうも表情豊かだと、な。」

 

聞こえてきた2人の会話に私も同意だ。

というか私に至っては「やりにくい。」というより「やりたくない。」というのが正確かもしれない。

 

「けど…やらなきゃいけない。そうでしょ?」

 

「…そうですね。」

 

背中合わせに立っていたアスナさんが囁く。どうも彼女は私が本気を出せていないことに気づいていたみたいだ。

ここまできて私はやっと腹を括った。柄を握る手に力を籠める。

だって私もアスナさんもキリトさんもクラインさんも、ここにいるみんなが「生きて帰る」ためにココにいるんだから。

 

(ごめんね…!!)

 

心の中でそう叫びながら私もコイルとの直接戦闘を開始した。

 

次から次へと放たれてくる電撃をどうにかこうにか避けて、コイルに剣を振り下ろす。

といってもその鋼の体には傷がつくことはなく、コイルは目を回しながらボールのように飛ばされていった。

私はエアームドを相手にしているシュウさんたちのチームにチラリと視線を向ける。その巨体に圧倒されつつも彼らはうまくエアームドのHPを減らしていた。

そんなエアームドのHPは現在イエローゾーン、もうすぐレッドゾーンに入る。いよいよこの作戦の本番が始まるのだ。

 

「喰らえっ!!」

 

シュウさんの放ったソードスキルがエアームドの巨体を捉え、ついにレッドゾーンまでHPを減らした。

あと2~3撃ほど追撃を加えればエアームドを倒すことができるが、周りのプレイヤーはサッと構えていた剣を下ろす。

そしてそれぞれの手に握られるのはモンスターボールだった。

 

「いくぞ!ヤツを捕まえるんだ!!」

 

シュウさんの声を合図にみんなが一斉にモンスターボールを投げ出した。

しかしエアームドは空を飛びながら、または技を繰り出してモンスターボールを弾き返していく。

私もエアームドへボールを投げつけてみたがかすりもしない。それどころかボールはおかしな方向へと飛んで行ってしまった。

 

「どうするんだ。これじゃあ誰もゲットなんてできやしないぞ。」

 

「せめてアイツが空を飛んでなきゃ当たりそうなんだけどなぁ…。」

 

棒立ちしているトランセルやコクーンにさえ何故か当たらないことが多いモンスターボール。

もちろん空を飛び回っているエアームドに当てようなんて無茶もいいところだ。唯一の救いはエアームドが普通サイズよりも大きいことだろうか。

その時、私の隣でずっとエアームドを見ているだけだったアスナさんがイーブイを肩に乗せた。

イーブイにボソボソと何かを呟く。すると彼女はものすごい速さでエアームドに向かって走り出したのだ。

 

「アスナさん!?」

 

「アスナ!?」

 

「おい、誰かあの娘を止めええや!!」

 

彼女がエアームドを攻撃しようとしていると思ったキバオウさんがものすごい形相で叫びだす。

だが、エアームドにばかり集中していた他のプレイヤーたちはアスナさんの動きにほとんど反応できずただただ狼狽えているだけだ。

エアームドの方も立ち向かってくる彼女に気付いたのか鋼鉄の翼からエアーカッターを繰り出す。

 

「アスナ!!」

 

「ぶい!!」

 

とっさにキリトさんと彼のイーブイがソードスキルとシャドーボールでそれらを相殺した。

アスナさんはその衝撃にひるむこともなく走り続ける。エアームドとの距離が詰まってきたとき、彼女は華麗なジャンプを見せた。

そこで私はアスナさんの意図に気付いた。彼女の頭の良さというか判断力に私は大きな拍手を送りたい。

 

「イーブイ!お願い!」

 

「ぶい!」

 

アスナさんは右腕を伸ばす。そこからイーブイがエアームドにぶつかるかのような勢いで向かっていく。

エアームドの顔面にイーブイは飛びついていた。視界を遮られたエアームドがそれを振りほどこうと暴れだしたその時だ。

エアームドの全身が赤く光り、その姿がたちまちどこかへと吸い込まれて見えなくなった。

地面に降り立ったイーブイの傍に転がっているのは真ん中のスイッチが点滅しているモンスターボール。

回廊にはその点滅音だけが響き、みんなが息を呑みながらその様子を見守っている。

ほどなくしてその点滅音は鳴りやみ、私たちの目の前に表示されたのはボスを攻略したあとに出てくる英語の羅列だった。





全然更新できていなくて待ってくれている人には本当に申し訳ないです。
全然思ったように書けなくてずっとウンウン唸ってました。
それでも途中で挫折はしたくないので次の更新がいつになるかも分からないまま自分のペースで書いていくことにします。
誠に自分勝手で本当に申し訳ないです…。
本日はもう少ししたらもう1話更新予定です。遅ければ明日の朝になります。

エアームドを無事に手にしたのはアスナさんでした。
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