ソードアート・ポケットモンスター・オンライン 作:RYUNA
とてもとてもとーーっても喜ばしい報告があるのです!
そう!とうとうワニノコが…ワニノコがっ!!
「アリゲイツに進化したーー!!」
私が飛んで喜んでいるすぐ隣でアリゲイツもチョボマキも同じように飛び跳ねている。
ずっとおかしいなとは思っていたのだ。ワニノコの進化するレベルは確かLv18くらいのはずなのに、そのレベルに到達しても一向に進化の気配がなかった。
もしかしてポケモンの進化システムがないんじゃないかとショックを受けたが、どうやら気鬱だった様子。
「良かったー。無事にアリゲイツになってくれて…オーダイル進化まで頑張ろうね!」
「ギャ?」
オーダイルというのがなんのことか分からないんだろう。アリゲイツは私を見上げながらコテンと首を傾げた。
進化して見た目は少しカッコ怖くなったけどそういうしぐさをすると可愛いのは進化前と同じだなぁ。
しかしLv24でやっとアリゲイツに進化したとなるとオーダイルに進化するにはこりゃLv40くらいまでかかりそうな気が…。
「おーい!リオー!!」
「あ、キリトさん!」
後ろから声が聞こえたので振り返ってみるとキリトさんがこっちに歩いてきていた。相変わらず全身真っ黒だ。
そういえばキリトさんのイーブイもまだ進化していないみたいだ。そもそも進化の石を使うことによってイーブイが進化できるということをキリトさんが知っているかどうかは甚だ疑問ではあるけど。やっぱり私としては是非ブラッキーに進化してもらいたい。
「お久しぶりですね。といっても4日ぶりくらい?」
「前に19層で一緒に狩りをした時以来か?ボス戦には来てなかったもんな。」
「あ、あはは…。すいません。」
「別に悪いことじゃないさ。ボス戦だと死ぬ確率だって大きく跳ね上がるからな。」
「それでもキリトさんはいつもボス戦に参加してますよね。尊敬します。」
「まぁ、危ないけど経験値も結構稼げるし、ラストアタックを決めればいいもの貰えるしな。」
キリトさんはフッと小さく笑う。なんというかいつも思うけどキリトさんはこの世界で本当に生きているみたいに感じる。上手く表現できないけど、ゲームをプレイしているというよりはゲームの中でちゃんと生きているという方が彼の場合はしっくりくるのだ。
私はちょっとそういうのに憧れる。そういうふうに生きられるようになったら現実での夢を見ることも少なくなるだろうか。
「そういえばずっと気になってたんだが…ソイツ新しくゲットしたポケモンか?」
キリトさんの視線がアリゲイツに向けられている。キリトさんはこの子がワニノコから進化したということに気付いてないようだ。
「さっきワニノコが進化したんですよ!」
「そうだったのか!随分とたくましくなったじゃないか。これからもリオのこと守ってやれよ。」
キリトさんのその言葉に当り前だとも言いたげに頷くアリゲイツにちょっとくすぐったい気持ちになる。
「あ、そうそう。ちょっと今日はリオにお願いがあって探してたんだよ。」
「お願いですか?」
「あぁ。おーい!もう出てきてもいいぞー!」
「ん…?っ!?」
キリトさんの声に反応して近くの岩陰からゆっくり顔を出してきたのは尻尾に灯っている炎が特徴的なポケモン、ヒトカゲだった。
それが普通のヒトカゲだったなら「わぁ!ヒトカゲー!!」くらいの反応はできただろうが、そのヒトカゲは普通じゃなかった。
普通のヒトカゲなら体の表面はオレンジっぽい色をしているのだが、キリトさんが連れてきたヒトカゲはオレンジではなく黄色に近い色をしている。
つまり色違いのヒトカゲだったのだ。
「キリトさん、この子の色…。」
「やっぱりな…いや、さっきたまたま普通のモンスターに襲われているところを助けたんだがどうも懐かれたみたいで。ゲットしても良かったんだが、俺が前に資料で見たヒトカゲとは色が違うような気がしてさ。ポケモンに詳しいリオなら何か知ってるんじゃないかと思って。」
「そうですね。この子は色違いです。私も前に普通とは違う色のポケモンを1回だけ見たことがあります。」
「捕まえたのか?」
「いえ、写真に残そうと近づいたら怯え逃げて行ってしまいました…別に色違いだからって能力に差はないと思いますが、かなりレアですよだぶん。」
もちろん私がこの世界で色違いを見たなんていうのはでっちあげの嘘だが、キリトさんに説明する分には仕方あるまい。
色違いなんて普通にゲームをプレイしてれば出会うことなんてまずない。確率が何千分の1とかそれくらいだと前世で友達に聞いたこともある。
しかも色違いのヒトカゲといえば将来的に真っ黒のリザードンになる。キリトさんは黒色となにか運命的な繋がりでもあるんじゃないかと疑いたくなった。
そんな私の話を聞いたキリトさんはこのヒトカゲをゲットする気になったようだ。
「ヒトカゲ、本当に俺と一緒に来るか?」
「カゲッ!」
「よし、これからイーブイ共々よろしくな。」
キリトさんの差し出したモンスターボールにコツンとおでこをぶつけてヒトカゲは吸い込まれるようにボールへと入っていった。
と、ここで私はおいしいことを閃いた。ボールを見つめて微笑んでいるキリトさんの肩をチョイチョイとつつく。
「なんだ?」
「普通の色とは違う色を持つ色違いの存在。上手く言えば情報屋に高く買ってもらえると思いませんか。」
「っ!それはいい考えだ!さっそくアルゴを呼ぼう!!」
少し興奮気味にアルゴさんへメッセージを飛ばすキリトさんを見て私もポケモンたちも小さく笑った。
私たちは街に戻った。宿で大きめの部屋をとってそこでアルゴさんを待つことにする。
部屋でポケモンたちと戯れながら私はキリトさんとたわいもない話をしていた。
「リオはどれくらいまでレベル上がったんだ?」
「えぇーっと…いま32です。キリトさんは?」
「俺は35。」
「キリトさんどんだけレベル上げしてるんですか…。」
「そういうリオも俺とは3レベルしか差がないじゃないか。人のことは言えないぞ。」
「私はレベル制のゲームはレベルを上げて問答無用に叩きのめす派なんです!」
私の言葉にキリトさんはお腹を抱えて笑った。
前世でもポケモンをプレイしているときは野生のポケモンと戦って十分にレベルを上げてからジム戦や四天王、チャンピオンに挑んでいた。
だって相手とのレベル差が小さければ小さいほど不安になるのだ。すぐに負けそうな気がして。
それはこのSAOの世界でも変わらなかった。いや、むしろひどくなっているような気がする。きっとレベルが上がるたびに湧き起こる快感と安心感はいつまでも私の中から消えることはないだろう。
その時、部屋をノックする音が聞こえた。
「アルゴダ。入ってもいいカ?」
「どうぞー。」
カチャリという音と共に入ってきたのは私たちが待ちかねていた人物、アルゴさんだ。
彼女は部屋の真ん中でソファに腰を掛けている私の隣に座ってきた。なんというかアルゴさんに気を許してもらえてるみたいでちょっと嬉しい。
キリトさんはテーブルを挟んで正面のソファーに座り、話が始まる。
「一体何なんダ?とっておきの情報っテ。」
「まずはコイツを見てくれ。ヒトカゲ出てこい。」
「…!?これハ…。」
キリトさんの座っているソファーの影からヒョコッとヒトカゲが顔を出す。そしてキリトさんの膝に飛び乗った。
そんなヒトカゲを見たアルゴさんの表情は驚愕の色に染まっている。つまりアルゴさんは色違いの存在を知らなかったということだ。
「これがとっておきの情報カ?」
「そうだ。」
「確かにニ、オレっちの知っているヒトカゲとは随分色が違うナ。そういう情報も今まで聞いたことはなイ。もう少し近くで見てもいいカ?」
「あぁ。かまわないぞ。」
キリトさんはヒトカゲを両手で抱えてテーブルの上に下ろした。アルゴさんはまじまじとヒトカゲを見つめている。
ヒトカゲは嫌がることなくおとなしくアルゴさんを見上げていた。彼女が頭や手を触ってもされるがままだ。
「覚えている技とかハ?」
「ちょっと待て。えーっと、ひっかく、ほのおのキバ、りゅうのいかり、つめとぎだ。」
「まぁ、普通のヒトカゲとあまり変わらないみたいだナ。つまり色が違うだけト。」
「でもこの子はかなりレアな存在だと思いますよ。今まで普通とは色の違うポケモンを見かけたなんて聞いたこともありませんし!」
「そうだなァ。りぃたんがそこまで言うならレアなんだろうナ。」
そう呟くアルゴさんにそこまで信用されていたとも知らなった私は驚き半分喜び半分。
キリトさんも同じことを思ったのか少し目を丸くしながらこう言った。
「前にも言っていたけど随分リオのことを気に入ってるんだな。」
「ポケモンに関する情報面においてりぃたんの右に出る奴はいないからナ。おかげでオレっちも売る情報に困ることがないんだヨ。」
「俺が教える情報はたまに疑って金を減らす癖に。」
「キー坊の冗談好きは知っているからナ。騙されないようにしないト。」
「ぐっ……。」
悔しそうに顔を顰めるキリトさんに私もアルゴさんもポケモンたちも声を上げて笑った。
結果として色違いの情報は割と高く買ってもらえたみたいで、小さくガッツポーズを取っているキリトさんをヒトカゲが不思議そうに見上げていた。
キリトさんはやっぱ黒ですね。
この話でアルゴさんのポケモンも出そうと思ったんですがそれはまた今度と言うことで。
キリトのヒトカゲ
性別:♂
性格:おとなしい
キリトに助けてもらったことがきっかけで彼の事を気に入り仲間になった。
普通のヒトカゲとは色が違う色違いのポケモン。