ソードアート・ポケットモンスター・オンライン   作:RYUNA

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やっと明日から冬休み!!
だけど実は結構忙しいという・・・どういうことなの・・・




8

 

第2層への扉が開放された。

 

その知らせが第1層にいるプレイヤー達に届いたのは午後4時くらいだろうか。

フィールドでいつも通りワニノコとレベル上げをしていると、ボス攻略に参加していた人達の内の何人かがそれを知らせにこちらまで戻ってきたのだ。

聞くところによるとそれは壮絶な戦いだったみたいだ。そしてディアベルさんが亡くなってしまったのだという。

そしてビーターと名乗った男の人の話も聞かされた。話していたプレイヤーはさも憎々しげにその人への罵倒を吐いていた。

正直なところ私はその話を聞いてそれはチートでも何でもないし仕方のないことだと思ったのだが、口には出さないでおいた。

それほどにそのキバオウというプレイヤーの話し方は背筋がゾッとするほどのものだったから。

 

 

日が沈んでしまう頃には、もう第1層で私が拠点としていた街の中心地に居たプレイヤー達はほとんど第2層に移動してしまった。

いま私がいるのは始まりの街。名前の通り、このゲームの全てが証され始まりを告げたのもこの街だ。

目の前の石碑には全プレイヤーの名前が刻まれている。何分か視線を動かして私はやっと見つけた。ディアベルさんの名前を。

名前の上に白い打ち消し線が引いてあった。本当にあの人は死んでしまったのだ。

私は手を合わせてゆっくりとお辞儀をした。私の動きを真似して足元にいたワニノコも同じようにお辞儀をする。

 

「ディアベルさん、本当にお疲れ様でした・・・。」

 

「わにゃ・・・。」

 

真っ暗な街で小さく私の声が響いた。

 

 

その日はもう誰も居なくなってしまった街の中心地の宿で休んで、第2層へは次の日の朝に出発することにした。

第2層へと続く長い回廊を歩いた後、その扉をくぐり抜け私は初めて第2層の地を踏みしめた。

 

「・・・わぁ!!」

 

私は思いっきり目を見開いた。第1層とは全く違う世界だった。

それになにより私を興奮させたのはポケモンの存在だった。

空を見上げればポッポやムックルが空を自由に飛び回っている。木にはキャタピーやトランセルが。

地上ではコラッタ達が走り回り、姿は見えないが遠くから他のポケモンであろう鳴き声もかすかに聞こえてくる。

 

「すごい!すごいよワニノコ!こんなにポケモンがたっくさんいるよ!!」

 

「わにゃわにゃわにゃーー!!」

 

ワニノコも自分と同じポケモンの姿を見ることができてとても喜んでいるみたいだ。

とりあえず私はプレイヤー達が集まっているであろう街の中心へと走り出した。

走っている間にモンスターに鉢合わせることもあったけど、私とワニノコにかかれば楽勝だった。

結局ずっとレベル上げをしていた私たちのレベルは、私が14、ワニノコが7。まぁまぁ高い方ではないかと思う。

数分ほど走り続けてたどり着いた街を見て私は更に驚いた。その街の名前にだ。

 

【トキワシティ トキワはみどり 永遠の色】

 

看板にはそう書いてあった。もちろんポケモンの大ファンである私は胸熱した。

それよりもここがマサラでないことに私は疑問を感じた。いや、順番で行ったらここはマサラなんだし。もしかして第1層がそうだったのだろうか。

まぁトキワと行っても前世でやったゲームの様な感じではない。ポケモンセンターだってないし、ポケモンジムもない。そして結構賑わっている。

それでも私の心は満ち足りていた。もっと上の層にはジムとかがあるのだろうか。

 

 

夜になり人も少なくなってきた頃。フードコートを身に纏い私はワニノコを連れてフィールドに駆けだした。

レベル上げはいつものように夜に行うことにした。まぁ今はじっくりと夜に出てくるようなポケモンを見物したいのもあったが。

とりあえずモンスターがリポップするような狩り場を探してウロウロとしていると足元のワニノコが私の装備の裾を小さく引っ張った。

 

「わにゃわにゃ!」

 

「どうしたの?・・・ん?」

 

ワニノコが指を指す方向に目を向けると暗闇の中で誰かがモンスターと戦っているようだった。

ゆっくりと近づいてみると黒いコートを着た男の人とイーブイがモンスターと戦っていた。こんな時間に狩りをしている人がいるのは珍しかった。

ちょっと様子を見ているとあっという間にモンスターは消滅し、男の人はすぐにこちらに気づいたようだ。

 

「君、こんな時間に狩りに来たのか?」

 

「はい、というかいつも夜に狩りをしてるんで・・・。」

 

「昨日は君を見かけなかったぞ。」

 

「今日ここに初めて来たんです。」

 

「そうなのか・・・。あっ・・・その子、もしかして君のポケモン?」

 

「はい、ワニノコっていいます。」

 

その男の人は私の足元にいるワニノコに気づいたらしく指を指して私に尋ねた。

私が「はい。」と返事してワニノコに挨拶するように言うとワニノコは小さくお辞儀をした。その時に手を合わせていたので慌てて手は合わせなくていいよとワニノコに教えてあげた。

さっき始まりの街でしたことと同じ事をしたんだろう。見上げてみると男の人はちょっと頬をゆるめてしゃがんできた。

 

「初めましてワニノコ。こいつはイーブイだ。よろしくな。」

 

「ぶいぶい!」

 

彼の足元に居るイーブイが鳴いて答えた。

イーブイ。前世の世界では有名な電気ネズミには及ばないものの、コアなゲームファンには非常に注目されているポケモンの1匹だった。

その理由は色々なタイプのポケモンに進化できることにある。私がまだ前世で生きていた頃は7種類あったはずだ。

このイーブイのご主人である男の人は真っ黒だからきっとブラッキーに進化するとすごく見栄えがよくなるだろうなぁと私は思った。

 

と、すぐ私の後ろでモンスターが出現した。

 

出現と同時にリポップ独特の澄んだ音が耳に入り、すぐにそれは分かった。

私は背中の剣を振り向きながら抜き放ってモンスターの体を奥の方に吹き飛ばした。出てきたモンスターはトカゲのような生き物でさっき男の人が倒していたのと同じモンスターだった。

そのまま男の人達を置いて私はモンスターに向かって走った。ソードスキルを数発入れるだけで戦闘はあっけなく終わった。

詰めていた息を吐くと男の人がすでにこちらまで走ってきていた。

 

「すごいな・・・この辺りじゃあのモンスターもだいぶ強い方なんだけど・・・。」

 

「そうなんですか?でもあなたもさっき難なく倒してましたよね。」

 

「それはそうなんだが・・・。」

 

なぜかここで口ごもってしまう男の人。足元にいるポケモン達も不思議そうに様子をうかがっていた。

そういえば名前を聞いてなかったと思い私は自分から名乗り出た。

 

「あ、名前を言うの忘れてました。私はリオです。」

 

「あぁ・・・俺の名前は、キリトだ。」

 

その後私はしばらくキリトさんと一緒に狩りをした。この辺りに出てくるモンスターのことなども簡単にではあるが教えて貰った。

それから1時間くらい経った後、今はフィールドの安全な所で火を焚いてキリトさんと話をしていた。私たちの足元では2匹のポケモンが身を寄せて眠っている。

 

「リオは随分レベルが高そうだけど、ソロなのか?」

 

「はい。ホントはパーティ組んでも良かったんですけど、気づいたら周りに置いてけぼりになってしまってて。」

 

「そうなのか。リオほどの強さだったら、快く受け入れてくれるパーティはたくさんあると思うけど。」

 

「無理ですよ。私チビだし、それに人は見た目が9割っていうじゃないですか。」

 

「いやいや、そこまで言わなくても。」

 

苦笑い気味にキリトさんがそう言った。

少し長めの黒の前髪にほっそりした身体、普通にしてても女の子と間違えそうなくらいキリトさんは女顔だ。

戦闘しているときはそんなことは無かったけど、今こうやって近くで見ているとさっきとは別人みたいである。

と、私がそんな失礼なことを考えているとふとキリトさんが少し眉間にしわを寄せてこちらを見ていることに気づいた。

まさか私のこの思考が向こうに筒抜けだったのだろうか。

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、リオが相当強いのはさっきまで戦ってきてよく分かった。でもリオを第1層のボス攻略では見なかったなと思って。」

 

「・・・。はい、私はあのボス戦に参加しませんでした。ディアベルさんっていう男の人に誘われたんですけど、結局怖くなって。」

 

「・・・そっか。いや、リオくらいの歳なら仕方ないさ。むしろリオみたいにフィールドに出てる子なんて早々いないんじゃないか?」

 

「それは・・・まぁ、そうかもしれないですけど。」

 

言えない。中身は三十路寸前だなんてとてもじゃないが言えない。少し罪悪感を感じつつ私はキリトさんに頷いた。

パチパチとたき火が音を立てて燃えている。その燃えている炎をボーッと眺めながら私はあることを思い出していた。

それは第1層で憎々しげにビーターと名乗った男を罵倒していたキバオウの言葉。そのキバオウは最後にこう言っていた。

 

【お前らも気ぃつけや。ビーターは黒ずくめで、茶色いポケモン従えとるからな。】

 

黒ずくめ、茶色いポケモン。目の前にいるキリトさんはその条件をどちらも満たしていた。

それに彼はボス戦にも参加していたのだろう。さっきの話を聞けばそれは確定している。

なぜか私はたったそれだけでキリトさんがキバオウの言っていた男の人だと真剣に思っていた。

だとすればキリトさんは今かなり心が弱っているはず。彼の表情が暗めなのもたぶんその所為だ。

 

「俺の顔になんか付いてるか・・・?」

 

「いえ・・・キリトさんは、今ツライですか?」

 

私は思いきってキリトさんに尋ねてみた。ここで聞かなかったら後々後悔しそうな気がしたからだ。

私の何の前置きもない質問にキリトさんは戸惑っていた。いや、彼はなんとなく私の言いたいことが分かっている。表情で分かった。

私は視線を真っ直ぐキリトさんに向けて話した。

 

「私、第1層のボス戦であったことを参加していた人達に聞きました。ディアベルさんが亡くなったこと、そしてその人を見殺しにしたというビーターと名乗った男の人のことも。」

 

「・・・・・・ッ!」

 

「キリトさん・・・ですよね?その男の人って。」

 

「・・・・・・あぁ。俺だよ。」

 

掠れた低い声でキリトさんはそう答えた。私の予想は間違ってなかったようだ。

キリトさんは視線を私から燃えさかるたき火に移して虚ろな表情でポツリポツリとその時のことを話してくれた。

キリトさんの話を聞くとキバオウの話がどれだけ脚色されているかが分かった。

キバオウはキリトさんは野太刀について何の情報も与えなかったと言っていたが戦闘中にちゃんとキリトさんは回避の仕方を教えていたらしい。

これは無謀にも1人で突っ込んでいってしまったディアベルさんの不注意と言うことになる。

話す度にキリトさんの顔は少しずつ俯いていき、話が終わる頃にはもう完全に表情が見えないくらい頭が項垂れていた。

彼の肩が小刻みに震えていた。

 

「キリトさんは、強いですね。」

 

「え・・・。」

 

「私だったらそんな選択できません。」

 

「・・・・・・。」

 

「キリトさんは本当によく頑張ったと思いますよ。」

 

「・・・!」

 

キリトさんがバッと顔を上げた。その瞳は不安定にグラグラと揺れている。

ふと先程まで足元で寝ていたはずのイーブイとワニノコがキリトさんの膝の上にピョンと乗ってきた。そのまま2匹はキリトさんに優しくすり寄る。

キリトさんの肩がまた震えだした。口からは小さく嗚咽がこぼれ出す。

彼は両手で2匹をギュッと抱きしめ声を押し殺しながら泣いた。私はキリトさんが落ち着くまで彼らをずっと見守った。

遠くで「ホーホー」と透き通るような鳴き声がコロコロと歌うような鳴き声がフィールド中に木霊した。その声は私の心に温かく響いた。きっとキリトさんの心にも響き渡っただろう。

 

 





キリトさんとリオが出会う話でした。
基本的に原作にそっていきたいとは思いますが、どうしてもオリジナル展開になることも多々あるのでそこもご了承願いたいです。
ちなみにリオとキリトさんにフラグなんかは立ちません。絶対に立ちませんwww

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