The SCP Foundation エージェントJの日記 作:カッコカリ
Ω月γ日
今日はO5評議員から直々の命令が下った。とある砂漠地帯を調査しろとのことだ。
それで、選出された三人の調査エージェントを引き連れての調査を行った。砂漠は日が出ている時はサウナのように熱く、歩くだけで辛い。
そんな時だ。一人のエージェントの拭った汗が大量の砂で出来た蟻を造り出した。
水分を吸うことで、その量に比例して、砂で出来た動物の種類も大きさも変えて造り出すのだろう。そいつらはかなり攻撃的だった。侵入者である俺達に対して。
一人はやられたが、あとの二人は、身体能力の高い俺が肩に担いで走ることで難を逃れた。今夜にでも調査エージェントが上に報告をするだろう。あまり話したことは無いが、あのエージェントの死に、二人は悲しんでいた。
これ以上、被害は出て欲しくはないというのが、俺の素直な気持ちだ。
久しぶりに両親の墓参りをしてみようと思う。幸い、申請が下りた。他のエージェントと一緒ではあるが、それで良い。
久しぶりに戻った町は少しだけ店の並びが変わっていた。いつも通っていたバーはネオンの一部が故障していた。何気ないそんなものが、今となってはとても価値のある様に俺は思えた。
両親の墓は、誰かが掃除してくれたのだろう。綺麗だった。色々話したいことはあったけど、それは心の中だけにしておく。
帰りに土産を買って、オメガ7の全員に配っておこう。アベルは、まぁ、デカい肉でいいだろう。
Ω月α日
オメガ7が解体された。いずれこうなるのではないかと思っていたが、案の定だ。他のSCPと戦える機会がほとんどなくなったアベルが、暴れ出した。十数人に上る死者を出したが、何とか取り押さえられた。
今ごろ深海の牢獄で眠っているだろう。
アイリスは格納エリアでひっそりと暮らしてる。定期的に一緒に物を食べて話したりは今もしてる。そういえば、ふとアイリスが自分の持つ能力について怖くないのか?と聞いてきた。表情は良く分からなかった。素朴な、何気ない疑問だったと思う。
俺はアイリスのそれ以外を見てきたから、特に何も感じはしなかった。というか、今更というのもある。
素直な気持ちを伝えたら、アイリスははにかんだ笑顔を向けてくれた。まぁ、喜んでくれてなによりだ。あ、一応誓って言うが、彼女に気があるとかそういうのじゃない。ただ、一人の友人として彼女の問いかけに真摯に答えただけだ。
出ていく時、近くに居たエージェントたちが滅茶苦茶ニヤついてヒューヒュー言ってきたから一人一人捕まえてデコピンしておいた。
逃がさん。
俺のデコピンは痛いぜー。
大丈夫大丈夫、力加減は考えてるから。ちょっと額の皮が削げるだけだからー。
Ω月T日
またサイボーグ少女とコミュニケーションを取った。今度は機械的な部分の目の光が青から緑に変わって、終始俺の隣で座っていた。胡坐を掻いてその上に載せても、それほど変化はなかったが、自然と寄りかかってきて、少しだけ安心しているように思えた。
人間的部分が少し残っていることに、俺は少しホッとした。こんな体になってもちゃんと生きているという証拠だったからだ。
ただ、やはり言葉による受け答えはできなかった。
もし機会があれば、また来よう。
Ω月○日
今日は上司から厳重注意を受けた。とあるSCPを誤って破壊してしまったことだ。名前はビルダーベア。オブジェクトクラスはKeterであり、逃げ出したこいつを捕まえようとして金切り声を上げてくるから驚いて咄嗟とはいえ割と本気で殴ってしまったため、現在に至る。
しばらくDクラス職員と一緒に173のフロアの清掃を命じられた。最近173の動きが見えてきた気がする。正直、こう書いといてなんだが、人間離れしすぎて自分につくづく呆れてしまう。
そんな俺に関わらず、アイポッドとくすぐりオバケは俺を癒してくれる。もう俺の味方はお前達だけだよ。
ブライト博士と名乗るオランウータンから明日の実験の協力をさせられた。なんでもレゴブロックのSCPの調査に協力してほしいとのことだ。
いや、いやいやいや、オランウータンが何でブライト博士なのか一瞬わからなかったが、多分乗り移ったんだろう。資料でそういうことが出来るのを思い出した。まぁ、研究に参加するのは別に良い。多分、俺は死なないと思う。
そういえば、最近あのトカゲ怪獣に習って不死身の超人とか言われるようになった。身内ネタではあるが肩身が狭くなった気がする。会うたびに新人研修で来た科学者に怖がられるのは結構心にクるものがある。
目を輝かせて近づいてくる奴なんて稀である。
妖狐変化にまた呼ばれた。もう、肝臓抜かないでください。痛いです。お詫びと称してキスされた。
俺のファーストキスが・・・。
Ω月A日
fuck you! screw you!
あのキチガイ博士!レゴブロックのSCPでトカゲ怪獣を作りやがった!どんな悪夢だ!?
しかも本物のクソトカゲも脱走しやがった。色々とストレスがたまっていた所為か、今の俺だったら神すら殺せる気がする。
手始めに二匹を浮かせてそのままひたすら殴り続けてやった。新しい収容スペースが出来上がるまでな!再生するんだったら再生する必要が無く、且つ逃げられないようにしつつ、攻撃も出来なくする。よう痛みだけを与え続ければいい!
抉り込むようにひたすら打つ!マッハすら超えて、例え空気の摩擦熱で手が燃えようと、俺の拳は己の兵士としてのプライドに掛けて拳を止めなかった。
やめろ?触るな?殴るな?
なぁにぃ!?聞こえんなぁ!
そのまま殴り続けながら収容スペースに運んでやんよぉ!
そう言えば昔日本のコミックで敵を打ち上げてから高速で殴る技があったな。
アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリィィィィ!!!!!!
アリィィィヴェデルチィィィ!!
Ω月B日
たかが日記に何書いてるんだろ、俺。昨日の奴、読んでてちょっと恥ずかしくなった。
まぁ、それはそれとして、やりすぎた。クソトカゲを殴り続けたあの日からというもの、あのクソトカゲはどうやらかなりお冠らしい。頻りに汚い言葉で俺を罵って隙を見ては脱走してくる。
目につく生物を片っ端からじゃなく、とにかく俺だけを狙うようになった。いや、まぁそれは良いんだけど。脱走する頻度が多くなったのは非常によろしくない。
ということで、173のフロア清掃に続き、居室をあのクソトカゲが収容されるフロアの近くに移転することになった。
ちくせう
ただ、最近はダクトを通ってアイポッドが来てくれるようになったのは嬉しい誤算だった。まぁ、すぐに飽きて戻ってっちゃうけど・・・。
俺の部屋は監視カメラ付きで、常に682を監視している。何かしらのアクションがあった場合報告もするが、脱走しようとした瞬間、あえて隔壁と収容スペースを開けて殴ってお帰り願うと言ったところだ。
いらっしゃいませ!(殴)おとといきやがってください!
そしていつもの塩酸に満たされた収容スペースに叩き落とし、隔壁を下す。
最近はいつもこんな感じだ。この方法が確立されてから、あのクソトカゲによる被害はめっきり減った。これを続けていれば現状大丈夫だと思うが、それまでにちゃんとした管理方法を財団には編み出してもらいたいものだ。
α月H日
最近監視カメラが別のカメラへと切り替えられてしまう。棺が置かれた小さな部屋だ。見ていると時折恐ろしい画像に切り替わり、精神的な部分がガリガリ削られていく気がする。科学者に相談してみたら引き攣った笑みを浮かべながらオールドAIの仕業だということを教えてくれた。
なんで顔をひきつらせているのか聞いたら、その棺、長く見てると死ぬSCPらしい。つまり俺じゃなかったら見ていた奴は死んでいたということか。
相変わらずほとんどのSCPが殺意ありまくりだなぁ。むしろ凄まじすぎる。アイリスやアイポッドとかくすぐりオバケとかそういう友好的なSCPは他に居ないのかなぁ。
取り敢えずオールドAIのところに行こうと思ったけど、なんか行く先々で隔壁閉められた。嫌われてるのかな・・・。まぁ、こじ開けたけど。
一応熱心な説得の結果オールドAIには以後俺の監視カメラは勝手に変えない様にしてもらえた。これで一安心だ。
あとでO5評議員からどうやったのかって聞かれたからディスプレイにデコピンを何回かやったら言うことを聞いてもらった。
と、正直に言ったらふざけるなと怒られた。
ちゃんと正直に言ったのに・・・。
誰も信用してくれないことをアイリスに愚痴ったらやれやれと言いながら慰めてくれた。やっぱりアイリスは女神の生まれ変わりじゃないだろうか。
涙がちょちょ切れそうだ。
α月呑日
いつも通り682を監視しながら日々が続く。最近はオメガ7時代の同僚から差し入れでピザボックスを貸して貰ったりする。そうそう、このピザボックス、SCPらしい。このピザボックスに触れた奴は好みのピザが出来上がるらしく、その種類は色々、だそうだ。
俺は肉と野菜がバランスよくトッピングされたピザが数層ほど積みあがったハンバーガーみたいなピザだった。
高カロリーすぎて胃がもたれそうだが、一度こういうのを食べてみたかったというのは、ここだけの内緒だ。
α月噴日
オールドマンがまた逃げた。絶対彼奴この状況楽しんでやがる。Dクラス職員も科学者も引きずり込まれたら財団が困る。貴重な人材は失わないに限るのだ。
それをあざ笑うかのように定期的に脱走する彼奴を殴ってもきっと文句は言われないはずだ。手の皮膚がちょっと腐ったけど、車田飛びに吹っ飛ばされたオールドマンを見ていて、すっきりした。
少し時間がかかったが、オールドマンの対処法は覚えた。腐る前に殴ってすぐに引く。そうすれば比較的少ない腐食で殴れるということだ。
え?おかしい?
知ってる。
でも出来るんだからやらないに越したことはないだろ?
この際開き直ってSCPとしての自分を最大限に使った方が世の為人の為になるだろう。
α月α日
カイン怖い。クロステストで彼を殴り続けるというものだが、壁のようなものが遮ってどうやっても傷つけられない。それどころか攻撃がそのまんま自分に帰ってくる。
試しに我慢しながらひたすら殴り続けてみたが結果は同じだった。敵にまわったら絶対勝てないなこりゃ。
いや、もっとポジティブに考えよう。あの壁を砕けるくらいもっと強く殴ればきっと。
いやいやいや考え方が可笑しい。脳味噌まで筋肉になってる。流石にソレはマズイ。俺は常識人だ。ならばもっと友好的になる必要があるな。うん。
そう言えば、最近上司に頼んで友好的な知的生命体との意思疎通はできないかどうかを提案してみた。ようするにインターネットによるチャットのようなシステムだが、他のSCPの意識的ミームの影響が起きかねないから却下された。
まぁ、そうなるよな。ダメ元で聞いたが、予想通りだ。最近はトカゲもおとなしい気がする。まぁ、気を伺っているのだろうが、あまり刺激をしなければ大丈夫だろう。
ただ、ブライト博士はここぞというところでアレを引っ張り出さないでほしい。毎回毎回対応に追われるのはこっちなんだから、もう少し苦労を考えてほしい。
考えないんだろうなぁ。
α月γ日
クロステストで、今日は裸の女の子と顔を合わせた。務めて冷静であることを意識していたが、それからというもの、身体が熱くなって動悸も激しい。
ここだからこそ、書けるがその、性欲が酷い。
財団に入って以来そんなこと気に掛ける暇がないくらい修羅場を潜ってきたから、忘れてたけど、俺はやはりれっきとした人間なんだと思う。
食欲もあるし、睡眠欲もある。ならば当然性欲もだ。こうやって知的っぽく振る舞っていないと頭がおかしくなりそうになる。
俺でこうなるのだ。普通の男が彼女を見たらどうなるか分かったものじゃない。俺は紳士だ。女性に乱暴なんてやるわけにはいかない。
今日は早めに寝ることにする。夢の中ならば、性欲なんて湧かな
なんでこういう時に限って妖狐変化から呼ばれなければならないんだ。
拒否権?あるわけねぇだろ。
β月α日
一体何があった。ここ最近の記憶がない。気付いたら自室に居たし、いつも通りの朝のような気分で今すぐにでも仕事が出来るが、最後の日記から今に至るまでのことの記録が綺麗さっぱり消えていた。今のカレンダーと最後の日記から計算して約一週間。
682の監視も大事だが、一週間前からの自分の足取りが知りたい。暇を見ては科学者や同僚に訊いてみたけど、全員揃いも揃って顔を青ざめて謝ってくるし、ブライト博士に至っては、あのブライト博士が言葉を濁すし、
あの
ブライト博士が
言葉を濁す。
財団屈指のキチガイが人のことを気にするほどの災難。その中心に俺が居ることは確かだ。そこまでの惨状、知るのは少し怖いが、取り返しのつかないことをしてしまったのなら責任を取らなければならない。
アイリスは知らないらしい。当事者じゃないらしい。なら仕方ないか。
しかし、調べようと動いている俺をまるで見計らったかのように一週間の謹慎処分を言い渡された。
本当に俺に一体何があったんだ。誰か教えてくれ。最悪O5評議員会に直談判しなければ。
そう言えば、O5の職員にブライトの父親が居たな。例え他のエージェントを敵に回してでも、俺の記憶は取り戻さなければ。
◆今回出たSCP◆(既出は除く)
SCP-777 砂の王国 オブジェクトクラス Euclid
SCP-1048 ビルダーベア オブジェクトクラス Keter
SCP-387 自律型レゴブロック オブジェクトクラス Safe
SCP-079 オールドAI オブジェクトクラス Euclid
SCP-895 カメラディスラプション オブジェクトクラス Euclid
SCP-458 はてしないピザボックス オブジェクトクラス Safe
SCP-073 カイン オブジェクトクラス Euclid