ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第109話 お礼参り ゼス 似て非なる物

 

-ゼス サバサバ-

 

「おう、ルーク。ここだ、ここだ!」

「集合するのはこのカフェって決まっているのか?」

 

 オープンカフェの席から手を振ってくるサイアスにルークが苦笑しながら答える。このオープンカフェはアトラスハニー事件の際にも使った店だ。サイアスの向かいに腰掛けるルーク。その隣にはメニューを広げたキューティが座っている。

 

「ルークさんは何を飲まれますか?」

「エスプレッソのダブルで」

「はい。すいませーん、ぴんくうにゅーんとエスプレッソのダブルと紅茶、それとクリッコンのケーキを二つお願いします」

 

 キューティが近くにいた店員に注文する。店員が去った後、今の注文を聞いたサイアスが少し笑いながらキューティに問いかける。

 

「なんだ? 二つもケーキを食べるのか?」

「私は一つで、もう一つはライトくんとレフトくんの分です。ここのケーキ大好きなんですよ」

「きゅー、きゅー!」

 

 キューティの返答に合わせるように声を上げる二体のウォール・ガイ。だが、ルークとサイアスは目を見開いてキューティを見ていた。

 

「食べられる……のか……?」

「え? 食べられますよ」

「(一体どこで……?)」

 

 一本の柱に目玉が一つついている人工生成物。それがウォール・ガイ。食事は必要無いため、口というものはついていない。では、この二体はどこからケーキを食べるというのか。どうでも良い事に驚く二人だった。しばらくして、注文した飲み物が運ばれてくる。それを一口飲み、ルークが口を開く。

 

「千鶴子様は? ……しかし、四天王の呼び方はどうすればいいんだ? 四将軍ならサイアス将軍で良いが、別にゼスに関係ない冒険者が千鶴子様っていうのも変か?」

「別に様で良いんじゃないか?」

「キューティ隊長はどう思う?」

「っ!? い、いきなり止めてくださいよ……」

「ははっ、悪い、悪い」

 

 ルークに急に敬称付きで尋ねられ、思わず紅茶を吹き出しそうになるキューティ。顔を少しだけ赤らめながら抗議すると、少しだけ悪戯っぽい笑みを浮かべるルーク。闘神都市での一件でキューティは気が付いたが、ルークがこのような反応を見せるのは基本的にサイアスの前でだけだ。リーザスや自由都市の面々と一緒にいて笑みがない訳ではないが、それは年長者として見守るような接し方が殆ど。それに対し、サイアスとは悪友といった感じの付き合い方をしている。

 

「(ルークさんのこの顔は多分あんまり知られていないわよね……)」

 

 紅茶をすすりながらキューティは少しだけ優越感に浸っていた。最初の出会いからサイアスと一緒であったため、こちらのルークの顔が普通になっているキューティ。ルークも知ってか知らずか、割と砕けた感じでキューティにも接してきてくれるのだ。

 

「で、千鶴子様だがもうそろそろ到着されるはずだ。午後はこの為に空けておいたんだが、どうも午前中の用事が長引いたらしい」

「それならサバサバじゃなくて、王者の塔に近い場所の方が良かったんじゃないのか?」

「いや、今日はジウの町で公務を行っている。ようやく町の復興が完了したんでな。事情を知っている人たちへの謝罪も兼ね、アニスも同行している」

「なるほど、それでサバサバか」

 

 キナニ砂漠のジウの町にいっているのであれば、砂漠に面しているこのサバサバを選ぶのは納得がいくというものだ。

 

「まあ、それだけじゃないがな。お忍びとはいえ、四天王、四将軍、治安隊長の三人が一介の冒険者と会うんだ。あまり都会だと、誰が見ているか判らんからな」

「私など、顔は知られていないですよ」

「サバサバはゼスの田舎だから大丈夫という事か。確かに、これだけの町並みなのに人はそれ程多くないな」

 

 ルークが辺りを見回す。砂漠に面している町だとはいえ、人通りはそれ程多くない。このオープンカフェにも客はルークたち以外いなかった。

 

「因みにカフェに客がいないのは俺の注文だ。この店は良くデートで利用するから、顔が利くんだ」

「お前が担当しているアダムの砦にも近いしな」

「もしかしたら、店員にはキューティがデートの相手と思われているかもしれないな。もしそうだったら、キューティには悪い事をしちまったかな?」

「べ、別に……思われる訳ありませんよ……」

 

 キューティがチラリとルークを見ながらそう答える。その反応を見て口元に笑みを浮かべるサイアス。ルークもそれを見て笑っていたが、その視線の先に見える二人組を見て眉をひそめる。反対向きに座っていたサイアスは気が付いていなかったが、ルークの隣に座っていたキューティもカラン、とフォークを落とす。

 

「……サイアス。今日はお忍びの会談だったよな?」

「ああ、一応そうだが?」

「……あれは何だ?」

「ん?」

 

 ルークの視線が自分の後方に向けられている事に気が付き、後ろを振り返る。こちらに歩いてくる女性二人組。その内の一人は、キラキラと光るど派手な服を着ていた。金色を中心に、赤青緑紫と一体何色使われているのか判らない。見ているだけで目が疲れそうな服だ。

 

「……まあ、いつもよりは地味目といったところか」

「あれでか……」

 

 千鶴子の服のセンスの悪さはサイアスから話には聞いていたが、実際に見るとこれ程とはとルークが絶句する。あちらもこちらに気が付き、千鶴子の隣にいた女性が駆けてくる。

 

「ルーク様、お久しぶりです!!」

「久しぶりだな、アニス。周囲には気を配っているか?」

「はい、同じ失敗を繰り返すアニスではありません!」

 

 駆けてきたのは千鶴子直属の部下、アニス・沢渡だ。アトラスハニー事件の際の後処理を一緒に行ったルークは、何故かアニスに懐かれていた。アニスに遅れてサイアスの前に到着した千鶴子がアニスの様子を見てポツリと漏らす。

 

「本当に懐いているのね。一度断られているけど、ゼスに来てくれないかしら……」

「交渉してみたらどうですか? 因みに、同じ失敗は繰り返していないのですか?」

「……昨日、飛んできた虫を殺すために王者の塔の壁を吹き飛ばしたわ。因みに五回目」

「……ご苦労様です」

 

 ため息をつく千鶴子に深々と頭を下げるサイアス。アニスと話していたルークが千鶴子に向き直り、キューティも慌てて席から立ち上がる。

 

「ルーク・グラントです。わざわざご足労頂きありがとうございます」

「知っていると思うけど、四天王の千鶴子よ。こちらとしても一度会っておきたかったからね。アトラスハニーの一件もあるし、そう畏まらなくても良いわ」

「そしてぺちゃぱい千鶴子様の一の子分、アニス・沢渡です!!」

 

 アニスがそう宣言した瞬間、千鶴子の鉄拳がアニスの脳天に炸裂した。

 

「あんたは黙ってなさい!! っ、失礼……」

「いえ、アニスの行動には慣れていますから」

 

 サイアスがスッと椅子を引き、千鶴子がそこに座る。ルークにも座るように促し、正面の椅子にルークも腰掛ける。

 

「サイアスとキューティも座って良いわよ。立ったままじゃ目立つしね」

「ち、千鶴子様!? 私の名前を……?」

「知っているわ。期待しているわよ」

「は、はい! ありがとうございます!!」

 

 深々と頭を下げるキューティ。それを横目にサイアスが千鶴子の隣の椅子を引いて座ろうとすると、丁度それと反対側の椅子をアニスが引いて座ろうとしていた。

 

「それではアニスは千鶴子様の隣に……」

「あんたは正座してなさい!!」

「あう……」

 

 ギロリと睨みを利かせてアニスに正座させる千鶴子。しかし、一人だけ正座している光景などあまりにも目立ちすぎる。目立たないためにこの場所を選んだのではないかとルークが苦笑している中、キューティがルークの隣に座り直す。すると、店員がこちらに寄ってくる。新しく二人の客が入って来た為、注文を取りに来たようだ。千鶴子がキューティからメニューを受け取り、パラパラと開いて店員に注文する。

 

「るとのらのアイスとエスプレッソのダブル」

「それではアニスは……」

「水でお願い」

「かしこまりました」

「がーん!」

 

 目を輝かせてメニューを覗き込んでいたアニスがショックを受けている中、千鶴子がルークに向き直る。ルークもしっかりと千鶴子の顔を見ながら、深々と頭を下げた。

 

「此度のゼスからの救援、真に感謝申し上げます。千鶴子様のご判断がなければ、今ここに私はいません」

「アトラスハニーでの礼もあったから気にしなくていいわ。それに、四天王と四将軍の派遣を決めたのはガンジー王よ。私じゃない」

「四天王?」

 

 ピクリとルークとサイアスが反応し、千鶴子はナギが偽名を使って立場を隠していた事を思い出して取り繕う。

 

「失礼、四将軍ね。……関係者が揃っているわね。なら、一応報告しておこうかしら」

「報告?」

「アトラスハニーの一件、一応今日で大体の片がついたからね」

 

 サイアスの問いかけに千鶴子が答える。確かにこの場にいるのは全員アトラスハニーの一件の関係者だ。店員が運んできたエスプレッソを受け取り、一口飲みながら千鶴子が話を続ける。

 

「町の復旧は一応完了。アトラスハニーは調査の結果、人類の技術では無いという事が判明したわ」

「人類の技術では無い!?」

「ええ、モンスターか、カラーか、あるいは……魔人」

 

 キューティが驚いているのを横目に、スッと千鶴子がルークの目を見る。魔人パイアールの腕を切断し、メガラスやハウゼルと平然と話していた男だ。若干の揺さぶりをかけてみるが、ルークの表情は変わらない。

 

「ゼスは魔人界に近いですからね。そういう可能性もあるでしょう。ケイブリス、メディウサ、レッドアイの三種のダーク期間、あるいはそれよりも以前に建てられたか……」

「キナニ砂漠が出来たのはGI816年だから、砂漠の下に隠れていた塔が建てられたのは、それよりも以前と考えるのが普通ね」

「なるほど」

「闘神都市では魔人と共闘したのよね。何か聞いていない?」

「アトラスハニーが魔人の手による物という考えがまるでありませんでしたので。それに、一時的に協力はしましたが、それ程話す時間もありませんでしたので」

 

 ルークが平然とそう答える。まるで調子が変わらない。本当に魔人とは何の関わり合いも無いか、あるいは相当な手練れか。千鶴子が話を続けようとするが、先にルークが口を開く。

 

「アトラスハニーの一件は片がついたという事なら、一つ聞きたい事があります」

「あら、何かしら?」

「アニーさんの事です」

 

 ジウの町を治めていた女長、アニー。かつてならず者に暴行を受けた事から二重人格になり、町を壊滅させようとしてアトラスハニーを起動させた女性だ。事件後ゼスで裁判にかけられていたはずだが、片がついたという事はアニーの裁判も終わったのだろう。サイアスも興味深げに口を開く。

 

「千鶴子様、我々にも聞かせていただけますか?」

「アニー元町長は裁判の結果、女の子刑務所入る事になったわ。懲役30年」

「そうか……死刑は免れたか……」

「しかし、懲役30年で女の子刑務所なのですか? あそこはもっと軽犯罪の者が入れられる所では?」

 

 キューティがそう千鶴子に尋ねる。女の子刑務所とは、ゼス北西にある女囚を収監する国立刑務所。懲役30年ならば、もっと違う刑務所に収監されるのが通例だ。

 

「重犯罪者用の刑務所は色々とね……アニー自身はそれを望んでいたけど、町の人からの懇願なんかもあったから」

「魔法使いでない重犯罪者に人権はない……刑務所内で謎の死を遂げる犯罪者は後を絶ちませんからね。その点、女の子刑務所なら比較的所長が話の判る人物、と」

 

 サイアスがそう捕捉する。だが、千鶴子が困ったようにため息をつく。

 

「そう、今まではね。でも、その所長もうすぐ定年なのよ。後任の所長がまともな人物なら良いんだけど……」

「…………」

 

 後任の所長がまともな確率というのは極めて低いだろう。それ程までにゼスでの魔法使い至上主義思想は浸透している。その思想にどっぷりと填った者は、魔法を使えない者の命などゴミ同然と思っている。アニーの事を心配しているのか、少しだけ不機嫌そうな顔をしているルークにサイアスが声を掛ける。

 

「ま、俺が後任には気を配っておくさ」

「スマンな……それにしても、随分と内情を話してくれるのですね」

「アトラスハニーでのアニスの失態を口外していないお礼とでも受け取っておいて」

「礼なら救助で十分受け取っていますよ」

 

 サイアスに対して申し訳なさそうにするルークを見て、逆に千鶴子が申し訳なくなってしまう。これは、ゼスが抱える問題なのだから。そんな事を考えながらため息をつく千鶴子にルークが疑問を投げる。これまでの話は、明らかに一冒険者にペラペラと話す内容では無いからだ。千鶴子は平然とアトラスハニーの件での礼だと言うが、先程魔人の件で揺さぶりをかけていた事を考えると、この程度の情報開示は問題ないと考えているのだろう。より大きな情報を得る撒き餌として。

 

「まあ、あまり変なのが来ないように根回しはしておくわ」

「感謝します」

「こちらの問題だから。……ルーク、ゼスに来る気はない?」

 

 不意にそう問いかける千鶴子。元々サイアスが認める程の凄腕の冒険者、アニスが懐いているという要素があった上に、解放戦での立役者という付加までついた。それに、これまでの話し方を鑑みるに、単純馬鹿でもなさそうだ。このまま放置してリーザスに持って行かれるのは悔しいものがある。だが、ルークは小さく頭を下げる。

 

「お誘いはありがたいが、まだどこかに仕える気はありませんので」

「まだ、という事は、将来的にはどこかに仕えるかもしれないと?」

「……そうですね。未来の事は判りません故、そうなる事もあるでしょう」

「……リーザスかヘルマン、あるいはパランチョ王国という可能性もあるかしら? 出来ればゼスに来て欲しいのだけれどね」

 

 三大国にとは別にパランチョ王国の名前が挙がるという事は、軽くルークの事を下調べしてきたのだろう。だが、ルークはもう一度頭を下げる。

 

「申し訳ありませんが、今のゼスにはまだ仕える気にはなりません」

「今のゼス……か。理由を聞いてもいいかしら?」

「先程までの会話が全てです。これ以上は一介の冒険者が口にするにはあまりにも失礼な事かと」

「構わないわ。言ってみて」

「……失礼を承知で発言させていただきますが、内部の腐敗、及び魔法使い至上主義と二級市民への差別。ゼスが抱える闇は、三大国の中でも明らかに大きすぎる」

 

 リーザス、ヘルマンの二国は基本的に上層部の腐敗が癌だ。リーザスはリアの更正と先の大粛正でかなりマシにはなったが。ヘルマンには貧困という問題があるが、ゼスの問題は思想。それはあまりにも根源的なものであり、改善するのは容易ではない。

 

「耳の痛い話だな……」

「全くね……」

 

 サイアスがポツリと漏らし、千鶴子がそれに賛同する。

 

「…………」

「(足が痺れてきました……)」

 

 キューティが視線を落とす。かつて魔法使い至上主義思想であった彼女。二級市民の命をゴミ同然とまでは思っていなかったが、差別していたのは事実だ。その事を深く悔いている。アニスは何も考えていない。

 

「でも、確かに一介の冒険者が四天王に直訴するには出過ぎた内容ね」

「申し訳ありません」

「だが、間違ってはいない」

 

 千鶴子が口元に含みのある笑みを浮かべながらそう言い、ルークがそれに答えた瞬間、ルークの後ろから男の声が響き渡った。その声の主を見て目を見開くサイアスと千鶴子。キューティも振り返って絶句し、慌てて三人が立ち上がる。アニスも立ち上がろうとしたが、足が痺れて千鶴子にもたれかかってしまう。千鶴子は表情を崩さないまま、男性に見えないようにギリギリとアニスの腰の肉を捻り上げる。

 

「驚いたな……まさかこれ程の大物がやってくるとは……」

 

 ルークが後ろを振り返り、スッと椅子から立ち上がる。その額には、一筋の汗。

 

「ふむ……私の顔を知っているのか?」

「知らぬ方がおかしいでしょう……」

 

 ルークの正面に立つ男がそう口にするが、知らぬ者などそうはいない。魔法使いでありながら、ルークよりも遙かに体格の良い大男。力を制御できないアニスと違い、完全に自身の魔力を制御している事からゼス最強の魔法使いとも名高く、また、高いカリスマも持ち合わせた大陸でも屈指の強者。

 

「ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー王……お目にかかれて光栄です」

「畏まらずとも良い、忍びの身だ。そうだな……ミトとでも名乗っておこう。敬語もいらん。男同士、少し腹を割って話し合おうではないか」

 

 威風堂々たる振る舞いでルークの前に立つ男。彼こそが、ゼス国王のガンジー。突然の王の登場にキューティはガチガチに固まり、サイアスと千鶴子も状況に追いつけていない。

 

「国王が腹を割って話すのはいささか危険な場所では?」

「問題ない。不審な者が近づけばすぐに伝えるよう言ってある」

 

 ガンジーの言葉を受けてルークがチラリと周囲を見る。少し離れた位置、こちらの会話がギリギリ聞こえるくらいの二カ所にそれぞれ少女が立っていた。一人は学生服を着た赤髪の少女。もう一人は黒髪に袴姿の和装という少女。彼女たちはガンジーの身辺警護を務めるウィチタとカオル。立ち振る舞い的には黒髪の少女の方が格上といったところかとルークが考えていると、ガンジーがルークの体つきを見て口を開く。

 

「ふむ……なるほど、解放戦の英雄か。噂に違わぬ力を感じるぞ」

「噂が一人歩きしているに過ぎません」

「敬語はいらぬ」

「……では、そうさせて貰おう」

「うむ、それでよい。さしあたって聞きたい事があるが良いかな?」

 

 ガンジーの問いかけにルークが頷いた瞬間、場に緊張が走る。恐らく、魔人関連の事を探るのだろう。一体どのように遠回しで探るのかと千鶴子が息を呑む。

 

「……ルーク、お前は魔人とどういう関係だ? それと、何故魔人パイアールの腕を切断できた?」

「(直球とはな……)」

 

 ガンジーの言葉を聞き、千鶴子がその場に倒れそうになる。搦め手も何も無い。思いっきり直球で尋ねたのだ。サイアスが少しだけ苦笑しており、聞かれたルークも内心では驚いていた。リーザスのリアやマリスとはまるで違う、これがゼスの王なのかと。そう思いながらもルークはチラリとサイアスに視線を向け、サイアスが小さく頷く。その反応を見るに、ある程度の事はガンジー王には掴まれているようだ。

 

「魔人とは闘神都市で一時的に共闘したに過ぎない。利害関係が一致したんでな」

「魔人パイアールの討伐か。メガラスが殆どお前としか喋っていないというのは?」

「……それは事実とは違うな。確かにハウゼルに比べて無口な魔人ではあったが、リーザスのリック将軍と話しているのを確認している」

「ふむ……」

 

 ルークの言った事は嘘ではない。ほんの一言、こちら全員に自分の身は自分で守れと忠告してきたメガラスに、リックが言われずともと反応を返している。その一度だけだが、会話した事に変わりはない。メガラスに関する報告はナギの勘違いであり、自分も会話したとサイアスから聞いているガンジーは少し思案する。嘘を言っているようには見えないし、何よりサイアスの報告とも矛盾が無い。

 

「剣を見せて貰えるか?」

「構わないが」

 

 ルークが腰に差していたブラックソードを抜き、ガンジーに手渡す。受け取ったブラックソードをまじまじと確認するガンジー。

 

「(……違うな。確かに素晴らしい剣だが、カオスでも日光でも無い。ならば何故……)」

「別に腕を切断できたのは剣のお陰ではない」

「では何故?」

 

 ガンジーからブラックソードを返して貰い、再び腰に差しながらルークが答える。

 

「魔人の体を覆っている無敵結界。だが、これは任意で解除できる物だ。魔人パイアールはこちらを完全に見下し、一時的に結界を解除していた。そこにたまたま剣を入れられたに過ぎない」

「任意で解除できるだと!?」

「間違いない。まさか切断できるとは思わず驚いている俺に、ハウゼルが教えてくれた」

 

 発言に真実と嘘を織り交ぜるルーク。無敵結界が任意で解除できるというのは本当だが、これを教えてくれたのはハウゼルではない。魔人界で暮らしている際、ホーネットから聞いた事だ。そして、パイアールがこちらを完全に見下していたのは事実だが、結界を解除などしていない。

 

「(結界って……えっ、もしかしてルークさん……ま、魔人の結界も……!?)」

「…………」

 

 今の会話を聞いていたキューティが動揺する。ルークが結界を無効化出来るのはキューティも知っている。アトラスハニーでのアニー救出の際や、闘神都市で男結界を無効化したからだ。これに関して、ルークからは多少の結界を無効化出来るとしか聞いていない。だが、パイアールの腕を切断したのが事実だとすれば、結界の無効化は魔人の無敵結界すら打ち破れる物の可能性がある。その事に思い至り、目に見えて動揺してしまったのだ。その事にサイアスが気付き、スッとキューティの前に立ち位置を移す。それは、ガンジーからキューティの顔が見えなくなる絶妙の立ち位置。

 

「だが、ハウゼルとメガラスがいたのに、パイアールは結界を解除していたというのか?」

「奴は闘神ユプシロンの中に入り込み、こちらの攻撃が完全に届かない場所にいた。ハウゼルは奴の開発した装置で完全に封じられていたし、メガラスもユプシロンの硬い装甲を突破する事は出来なかった。だからこそ、油断が出たのだろう」

「(……筋は通る、か?)」

 

 ガンジーがそう思案し、サイアスに視線を向ける。動揺しているキューティはサイアスに隠れて視線に入らない。

 

「サイアス。今の話は?」

「……十分に有り得る事だと思います。パイアールがこちらを見下していたのは事実です」

「ふむ……」

 

 サイアスの言葉に嘘はない。パイアールが人間を見下しているのは、紛れもない事実。

 

「(無敵結界が任意で解除出来るものかどうかをルーシーに聞けば、この事が真実かどうかは確認が取れるな)」

 

 ゼスには建国の頃から永久客人として扱われている一人の占い師がいる。代々国王にのみ預言を語る少女。その正体は、魔人バークスハムの使徒、ルーシー・ジュリエッタ。彼女がどのような意図でそのような行動を取っているかは不明だが、ガンジーは彼女の占いを信用していた。その彼女からもたらされた一つの預言。近い内、人類に未曾有の危機が訪れるというもの。

 

「……邪魔をしたな。ルークよ、最後に一つだけ聞かせてくれ」

「こちらで言える事なら構わないが」

「お前の目指す物は何だ?」

 

 それは、ガンジーが最も聞きたかった事。解放戦の英雄にして、魔人との関係も見え隠れする冒険者。この者はゼスに、そして人類にとってどのような立ち位置に回るのか。ルークが一度息を吐き、ゆっくりと口を開く。

 

「……俺の目指す物は、世界を一つにまとめる事だ」

「……!?」

 

 ガンジーが目を見開く。それは、ガンジーの目指す物と同じだからだ。人類を一つに纏め、来るべき未曾有の危機、魔人との決戦に備えるというもの。

 

「私と同じとはな……」

「似て非なる物の可能性もあるがな……」

 

 そのルークの言葉の意味を真に理解出来たのは、サイアスのみ。今の言葉を受け、以前から抱いていた疑念は確信へ変わる。

 

「(世界を一つに……なるほど、そこに魔人界が入っているかどうか、それが似て非なる物。ルーク、やはりお前は……)」

 

 互いに向き合うルークとガンジー。今のが最後の質問であると宣言した手前、これで会話は終了のはずだ。ルークが小さく頭を下げる。

 

「ガンジー王。無礼を承知でこちらからも一つだけ。ゼスの改革は後どれだけ掛かる?」

「……急いではいる。だが、五年、十年、私が国王の間に完了させたいとは思っているが……」

「それでは遅すぎる……」

 

 そのルークの言葉に、控えていたウィチタがキッと睨み付ける。今にも食って掛かりそうな勢いだ。自分の信奉するガンジー王に一介の冒険者が苦言を呈した事に、彼女は腹を立てていた。

 

「無理に改革を進めても駄目なのだ。それは上から押さえつける事にしかならない。民自ら変わらねばならぬ」

「それは違うな」

 

 この言葉に、これまで表情を変えていなかったカオルもピクリと反応する。ガンジーも少しだけ険しい顔になり、ルークの目をしかと見る。

 

「では、上から押さえつけろと?」

「それも違う。上と下、どちらも変わらねばならない」

「っ……!?」

「(ほぅ……)」

 

 ガンジーが目を見開き、カオルも今の言葉に何かしら思うところがあるのか、興味深げにルークの顔を確認する。

 

「それが、リーザスやヘルマンとは違う、ゼスの抱えた闇だ。古くは聖魔教団、いやそれよりも前の蛮族の時代から続く差別の歴史。人々の根幹に根付いたこれを払拭しなければならない」

「同時改革か……なるほどな。だが、簡単な事ではない」

「それでもやらねばならない。国王として、そして、世界を一つに纏めるのを目指している者として」

「…………」

 

 無言でルークの言葉を噛みしめ、ガンジーがマントを翻して背を向ける。周囲に広がっていたウィチタとカオルがすぐにその横につき、この場を後にしようとする。だが、ガンジーは一度だけルークを振り返り、口を開く。

 

「いずれまた会おう、ルーク」

 

 それだけ言い残し、ガンジーとお付きの二人はこの場を離れていった。しばらく背中を見送っていた一同だったが、その姿が見えなくなるとようやく緊張感から解放され、キューティが椅子にへなへなと座り込む。

 

「サイアス。これは決まっていた事か?」

「まさか。こちらも驚いたよ」

「私くらいには事前に知らせておいてくれればいいものを……」

 

 千鶴子が大きくため息をつく。その姿を見て、本当に二人とも知らなかったのだと確信し、ルークは頭を掻く。リーザスはまだしも、まさかゼスでもこのような話になるとは流石に予想していなかった。お礼参りがとんだ大事になったものだ。

 

「さて、ここから話を続ける気にはならないわね。解散しましょうか。サイアスたちはルークに話があるんでしょう?」

「俺に?」

「ああ、少しな」

「全員の休暇申請は受理したから、羽を伸ばしてきたらいいわ」

 

 千鶴子がそう口にする。ルークにはまだ温泉旅行の事を伝えていないが、ゼス勢の休暇が受理された事を千鶴子が伝えると、サイアスは申し訳無さそうに口を開いた。

 

「すいません、千鶴子様。また四将軍が三人も休んでしまい」

「別にいいわ。その日はアレックスが捕まったし」

「(すまん、アレックス……)」

 

 恐らく激務になるであろうアレックスに心の中で謝るサイアス。千鶴子が店員を呼んで代金を払い、領収書を切って貰う。

 

「それじゃあ、私は先に帰るわ。アニス、行くわよ」

「むにゃむにゃ……」

 

 千鶴子が帰ろうとしてアニスを見ると、器用にもアニスは立ったまま寝ていた。スパーン、とアニスの頭を叩く音が周囲に響く。

 

「はっ!? 敵ですか!?」

「あんたいつから寝ていたのよ!? まさか、ガンジー様の前で失礼していないでしょうね!?」

「はっ! ガンジー様が敬語はいらないって言っているのまでは覚えています!」

「滅茶苦茶最初じゃないの、このお馬鹿!!」

 

 アニスの耳を強く引っ張り、この場を離れていく千鶴子とアニス。去っていく間際、キューティに一言だけ千鶴子が告げる。

 

「キューティ、最低限のポーカーフェイスくらい覚えておきなさい」

「……!? は、はい……」

「まあ、今回は追求しないでおいてあげるわ」

「ルーク様、またお会いしましょうー」

 

 しっかりと動揺しているのを見られていたキューティ。千鶴子が小さく笑い、アニスは耳を引っ張られながらもブンブンとルークに手を振って去っていく。

 

「さて、嵐のような出来事だったな」

「未だに実感が湧きません……」

「それで、話って言うのは?」

「そうだな……歩きながら話すさ。あちらのショッピングモールで待っている人もいるしな」

 

 サイアスがそう言ってカフェから出て行く。それに続くルークとキューティ、ライトくんとレフトくん。本当に嵐のような出来事であった。

 

 

 

-ゼス サバサバ近辺 街道-

 

 既にサバサバを後にしたガンジー一行。街道を歩きながら、ガンジーが口を開く。

 

「ウィチタ、どう見た?」

「ガンジー王に対して大変失礼な相手だったと思います。一冒険者が取る態度ではありません」

「ふむ……」

 

 ぷんすかと怒っているウィチタ。やはりまだ若い。ガンジーが顎に手をやり、カオルに視線をやる。

 

「カオルはどう見た?」

「そうですね……大変興味深い御仁だったかと」

「そう見るか?」

「はい。上と下、どちらも変わらねばならないという言葉。無関係の者だから宣える絵空事と切り捨てるのは簡単ですが、中々に的を射ています」

「…………」

 

 カオルの言葉を受け、ガンジーがピタリと歩みを止める。慌てて立ち止まるウィチタと、スッと同時に歩みを止めるカオル。

 

「カオル、レジスタンスの調査を頼む。そして……」

「良い方向に国を変える可能性のあるレジスタンスの調査、及び確定し次第の潜入でよろしいでしょうか?」

「うむ、その通りだ。話が早くて助かる」

「いえ……」

 

 静かに一礼するカオル。改革は静かに動き出した。

 

 

 

-ゼス サバサバ ショッピングモール-

 

「温泉旅行?」

「闘神都市のお疲れ様会的なもんだ。お礼参りは終わったんだろ? なら、少しだけ付き合っちゃくれないか?」

「い、い、一緒に行きませんか?」

「ふむ……」

 

 ルークが少しだけ考える。キースギルドに戻ってくるボーダーとアームズにも礼を言いたいのだが、約束の二週間には温泉旅行に行っても十分間に合う。だが、もう一つの約束、ゼスで会う予定だったとある女性の顔が浮かぶ。

 

「悪いが、エムサとの約束があるんでな」

「それなら心配いらないぞ」

「あ、いました!」

 

 サイアスがそう答えるのにルークが首を捻っていると、キューティが捜していた人物を見つけて手を振る。その先にいたのは、二人で買い物をしているエムサとミスリー。

 

「エムサ、それにミスリーも!?」

「お久しぶりです、ルークさん」

「という訳だ。二人も温泉についてくる予定だ」

 

 サイアスの言葉を受けてルークがエムサを見る。視力がないため見えてはいないが、視線を感じ取ったエムサはルークに向き直る。

 

「そうなのか?」

「はい。ルークさんがお断りになるのでしたら、私も断って件の話をさせて貰いますが、そうでなければお話は旅行の後にでも、と……」

「それでも大丈夫なのか?」

「はい」

「……なら、一緒させて貰うとするかな」

「やったぁ!」

「きゅー、きゅー!」

 

 ルークが旅行に行くと聞いた瞬間、キューティがライトくんとレフトくんを抱いて喜びを露わにする。それを横目で見ながら、ルークはミスリーに向き直る。

 

「ミスリー、ゼスに来ていたのか?」

「はい」

「てっきりフリークと行動を共にすると思っていたのだが」

「初めはそのつもりだったのですが、私はサイアス様と行動を共にしたいと思い、こちらにやって来ました」

 

 その言葉を聞いてルークは少しだけ驚き、サイアスに視線を向ける。

 

「モテモテじゃないか」

「ふっ、羨ましいか? ……と言いたいところだが、お前もだろ?」

「……それで、メンバーは他に誰がいるんだ? あの時の面々は全員いるのか?」

「(今微妙に話題をずらした!?)」

 

 サイアスの言葉をさらりとスルーするルーク。今の話題に興味があったキューティが肩すかしを食らっている中、ルークがサイアスに尋ねる。

 

「いや、傭兵の四人は伝える前に帰っちまった。雷帝とウスピラが確定。それと、アスマ様がお父上と交渉しているところだ」

「そうか……セスナには少し用事があったんだがな。セルさんなら住んでいる場所を知っているが、出発は明後日だったな?」

「ああ」

「となると、今からじゃちょっと間に合わないか」

 

 荷物として持っているハンマーの事を思いながら残念そうにするルーク。セルも今からレッドに行って誘うのは間に合わない。温泉は自由都市であるため道中誘うという手もあるが、神官としての仕事があるセルにはそれは無茶だろうという事もあり、セルを誘うのを諦めるルーク。

 

「アスマさんは来られるのでしょうか?」

「さて……何か秘策があるとか言っていたが」

 

 エムサの質問にそう答えるサイアス。今日、その秘策を使って交渉すると言っていたが、一体何をするつもりなのか。

 

 

 

-ゼス 日曜の塔-

 

「ナギよ……これは何だ……?」

 

 ラガールが絞り出すように声を出す。目の前の事態が理解出来ない。脳がそれを拒否する。10分ほど前、ナギが調査隊の面々と慰安を兼ねた旅行に行きたいと申し出てきたのだ。ラガールは当然これを却下。これ以上雷帝などに目を付けられるような事態は避けたいからだ。だが、ナギは食い下がる。よほど行きたいのか、これ程までに食い下がるのは初めて見た。そして、ナギが唐突に提案をしてきたのだ。ジャンケンで勝ったら行かせて欲しいと。仕方なくこれに付き合ったラガール。そして、今に至る。ラガールの出した手はチョキ、そして、ナギの出した手は見た事もない手であった。両手で魔法を放つかのような手をこちらに向けている。

 

「超高速破壊拳、チョキの百億倍の威力を誇る伝説の手です、お父様!」

 

 ナギ、渾身のドヤ顔である。

 

「そうか……それは闘神都市で教わったのか……?」

「はい、お父様!」

「……行ってこい」

「ありがとうございます、お父様! 流石はお父様だ!!」

 

 救助隊の者に報告に行くのだろうか、喜んで部屋を出て行くナギを見送りながらラガールが頭を抱える。

 

「闘神都市に行かせたのは失敗だったか……?」

 

 少しだけその背中には哀愁が漂っていた。

 

 

 

-カスタムの町 酒場-

 

「温泉旅行取れたわよー」

「おっ!? 遂にか」

「やったー」

 

 マリアがそう言いながら酒場に入ってくる。先に集まっていた面々がワッと盛り上がり、ミリとミルが嬉しそうに声を漏らす。

 

「楽しみですね」

「ルークさんも誘えば良かったですかねー」

「良いんじゃない? たまには女同士っていうのも」

「ま、折角だしゆっくりしましょうかね」

 

 香澄がニコニコと笑顔で真知子に話し掛け、トマトがカスタムに寄った際にルークを誘うべきだったと後悔するが、マリアがそれにフォローを入れる。志津香も少しだけ楽しみにしているようだ。

 

「出発は……明後日? 早いわね」

「あらいけない。早めに店を休む事を伝えておかないと」

「俺もだよ」

「私は元々いたりいなかったりだし問題ないわね」

 

 店を営んでいる真知子とミリが慌てる中、普段から教会の仕事をサボり気味のロゼは平然と宣う。そんな中、別のテーブルでグスンと涙を流している者がいる。

 

「仕事……」

「あ、あはははは……」

「ま、ランの分も楽しんであげるわよ」

 

 ラン、仕事により旅行欠席。元々温泉旅行の予定を立てていたゼス勢とカスタム勢。それて時を同じくして、惹かれ合うように各地で温泉行きを決める者たちがいた。

 

 

 

-レッドの町-

 

「スー、AL教から代理人の派遣の手配が済んだから、前に話していた温泉に行けそうよ」

「本当カ! スー、楽シミダゾ!」

 

 

 

-リーザス-

 

「まさかこんなに遊びに行く日程が早いなんて……」

「つべこべ言うのはスマートじゃないですわよ。負けい……ラファリアさん」

「今負け犬って言いかけたわよね、この小娘!!」

「それはどうでもいいですわ。アールコートさんのご実家は温泉街でしたわよね?」

「はい。折角ですしみんなで入りましょう!」

「そうですわね。楽しみですわね、かなみさん」

「何で殆ど知らない人たちの中に混ざってるの、私……」

 

 

 

-アイスの町-

 

「ランス様、福引きで一等の温泉旅行が当たりました!」

「がはははは! でかしたぞ、シィル! お前にしては上出来だ!」

「やったなのれす!」

「お前は留守番」

「がーん、なのれす!」

 

 

 

-自由都市 とある森中-

 

「ああ……身体中が痛い……」

「情けないねぇ……これじゃあいつまで経ってもヘルマンは取り戻せないよ」

「修行のしすぎで疲れが溜まってんだよ……」

「そうじゃな……こういう時は温泉じゃな」

「お、いいねぇ、じいさん。露天風呂にお盆を浮かべて、日本酒を一杯……」

「……ま、休みもたまには必要か」

 

 

 

-ゼス サバサバ ショッピングモール-

 

「ま、何はともあれ楽しみだ」

 

 温泉旅行が決まり、女性陣がはしゃいでいるのを見ながらルークが両手を上げて軽く伸びをする。と、何かに気が付いたかのように目を見開く。

 

「しまった……」

「どうした?」

「ケーキを食べる瞬間を見逃した……」

 

 その言葉にサイアスもハッとし、二人の視線がライトくんとレフトくんに注がれる。

 

「きゅー?」

 

 ライトくんとレフトくんの目の少し下辺りに、少しだけクリームが残っていた。

 

 


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