ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第125話 聖人君子じゃあるまいし

 

-ハピネス製薬 正門前-

 

「死者を生き返らせるだって……?」

「そんな事が……本当に……?」

「うん。肉体が滅んでいても大丈夫。ちゃんと生き返らせる事が出来るよ」

 

 フェリスとエムサが絶句しながら聞き返すが、ウェンリーナーは無邪気に頷く。夢物語ではない。彼女は本当に死者を蘇らせる事が出来るのだ。ゾンビや闘将のようなミイラではなく、本当の意味での復活。それは、人類では辿り着けない到達点。

 

「ねぇ、おにいちゃん。生き返らせたい人はいない?」

「っ……」

 

 その無邪気な問いかけとは裏腹に、ルークの表情は固い。唇を噛みしめ、何かを迷うようなその表情にフェリスは違和感を覚える。いつものルークではない。自分の中で何かに葛藤している、そんな様子だ。

 

「ねぇ……いないの?」

『お父様ぁぁぁぁぁぁ!!!!』

「あ……」

 

 目の前で篤胤を殺され、志津香が泣き喚く姿が思い出される。

 

「ねぇ……?」

『いやぁぁぁ! あっ……あぁぁぁぁぁ!』

『リムリアぁぁぁぁ!!』

「リ……ム……」

 

 信じていた町の人たちに目をくり貫かれ、絶叫する幼き頃の妹の姿が脳裏に蘇る。

 

「…………」

『ククク……カカカ……クカカカカ!!』

「イ……」

 

 高らかに笑うディオに胸を貫かれ、床に倒れ伏すイオの声が耳に響く。

 

「い……」

「……?」

「い……ない……」

「えっ? いないの?」

 

 それが、ルークの絞り出した答え。過去はやり直せない。死者は蘇らない。それは、人の身に余る力。だが、その答えに自信を持って答えられた訳では無い。もし篤胤が蘇れば、志津香はどれ程喜ぶだろうか。もしリムリアが蘇れば、自分が死に目に会えなかったという後ろめたさを償う事が出来るのではないか。答えを絞り出した今も、ルークの頭にはそんな思いが渦巻いていた。それでも、たとえエゴと言われても、ルークはその力を拒否した。

 

「えー、せっかくしてあげるって言ったのにー」

「……一つ聞いて良いか? 死者を蘇らせるって……転生した魂はどうなるんだ?」

「あっ、ごめんなさい、言い忘れてた。既に転生しちゃった魂は蘇らせられないの。まだ死んでからそんなに経ってない人だけが対象ね」

 

 魂を集める仕事をしているフェリスは、悩むよりも先にそこに引っかかったのだろう。フェリスの問いかけに舌をペロッと出して答えるウェンリーナー。その言葉を受け、ルークの中にあった迷いがいくらか消し飛ぶ。両親も、魔想夫妻も、そしてリムリアも、既に死んでからかなりの年月が経っているため、魂は既に転生しているだろう。となれば、対象になるのはイオただ一人。確かに彼女の死は受け入れがたいものがあるが、葛藤を耐えられないレベルでは無い。

 

「……ウェンリーナーさん。一年に一度というのはどういう事なのですか?」

「えっと、この技を使っちゃうととっても疲れるから、一年の間何も出来なくなっちゃうの。ずっと寝て体力を回復する事になるの」

「……それならば、私も辞退させていただきます。貴女の一年を犠牲にするのは、お礼で頂くにはあまりにも大きすぎる」

「一年か……そうだな……」

 

 一年間ウェンリーナーが何も出来なくなると聞き、エムサもその申し出を辞退する。死者の復活は彼女の犠牲の上に成り立っているのだ。それを欲するのは、エムサの思うところではない。その答えにルークも静かに頷く。

 

「えー……別にいいのにー……まっ、いっか」

「それさ、誰かを蘇らすんじゃなくて、もっと軽い事は出来ないのか? 怪我人を治すとか、病気の人を治すとかさ」

「それも得意だよ。怪我なんてあっという間に治せるし、病気もある程度なら完治させられるよ。それに、それなら死者を蘇らせるのと違って、そんなに疲れないし」

 

 フェリスの問いかけにウェンリーナーが答えた瞬間、エムサが大きく反応した。

 

「じゃ……弱体病……」

「えっ?」

「弱体病は……治せますか……?」

「弱体病? うん、治せるよ!」

 

 カラン、とエムサが杖を地面に落とす。エムサの顔は、嬉しさと驚き、そして少しの申し訳なさが入り交じった顔をしていた。

 

「でも……それをしたらウェンリーナーさんはどれくらい眠る事に……?」

「うーん……多分二、三時間で済むと思うの。だから気にしなくていいよ」

「っ……で、では、弟の弱体病を治してはいただけないでしょうか?」

「いいよー。へー、人間が弱体病に罹るなんて珍しいね。普通は女の子モンスターが罹る病気なのに……」

「あっ……あぁっ……本当に……?」 

 

 エムサが歓喜に打ち震える。彼女の弟が罹っている病気は、弱体病。本来なら女の子モンスターが罹る病気であり、放っておいても自然に治る病気だ。だが、何の因果か彼女の弟は人間でありながら弱体病に罹ってしまった。非常に珍しいケースであり、病気を治す手段がまるで見当たらない。放っておいても治るモンスターとは違い、その病状は悪化する一方。エムサが冒険者になった理由は、弟の病気を治す手段を探すためだったのだ。そして、彼女は弟を治せるかもしれない薬の調合方法を見つけた。ローズから受け取った薬と、これからルークに貰う予定であったある物でそれは完成する。だが、その薬をもってしても弟の完治する可能性は50パーセントほどである。となれば、ウェンリーナーに頼るのは至極尤もな事だ。

 

「ウェンリーナー、ゲンフルエンザを治す事は出来るか?」

 

 喜びに言葉がないエムサの横から、ルークが若干身を乗り出しながら尋ねてくる。それは、人間界では不治の病とされている病気だ。だが、ウェンリーナーはハッキリと頷く。

 

「ゲンフルエンザ? うん、大丈夫だよ。そっか、人間界では確かまだ治療法が見つかっていない不治の病だもんね。私だったら、それを治しても一日くらい寝てればすぐに回復するから」

「ならば、それを頼めるか? 知人がその病気で、もう長くないんだ」

「任せて!」

 

 ウェンリーナーがグッと拳を握り、三人目の恩人であるフェリスに向き直る。

 

「あー……私は保留で頼む。特に治して欲しい人はいないしな」

「はーい。治して欲しい人がいたらいつでも言ってね」

 

 フェリスは特に治して欲しい人物が思い浮かばなかったため、とりあえず願いは保留する。

 

「ありがとうございます……ウェンリーナーさん、本当にありがとうございます……」

「うぅん、助けて貰ったお礼だもん」

「ルークさんも、色々とお願いしていましたが……」

「なに、構わないさ。確実に治るのならその方が良い」

 

 エムサがウェンリーナーの手を握って深々と頭を下げており、ウェンリーナーもその手をとって気にしないようにと答えている。その光景を見守るルークとフェリスだったが、ルークがポツリと横に立っていたフェリスに言葉を漏らす。

 

「情けない話だ……」

「ん? どうした?」

「死者を蘇らせる事が出来ると聞いて、正直迷った。過去をやり直す事は出来ないと、以前に志津香を叱りつけていたのにだ……」

 

 かつて時空転移魔法によって過去をやり直す行為を否定したルーク。その事を思い出し、今の自分の不甲斐なさを恥じている。

 

「いや、それを否定していながら、今度は病気を治すという事にはすぐに食いついてしまった。同様に、人間には過ぎた力だというのにだ……」

 

 死者の復活は拒否したのに、ミリが患っているゲンフルエンザの治療を即座に頼んだルーク。どちらも過ぎた力だというのに、その線引きはどこで決めてしまったのかと自問自答している。

 

「別に迷ってもいいんじゃないか? 聖人君子じゃあるまいし、完璧な奴なんてこの世にはいないだろ。元々あんたは狂人なんだ。何を今更、良い子ぶっているんだか……」

 

 フェリスが鼻で笑うが、それは彼女なりの慰めだったのかもしれない。

 

「それと、死者の復活と病気の治癒は全然違うだろ。前者は一度決まった運命を変える行為だけど、後者はまだ決まっていない運命に抗っているだけだ。死なないよう、生きていけるよう、必死にもがいて生を掴み取る事の何が悪いってんだ?」

「……ふっ、その発言は魂を集める悪魔としてどうなんだ?」

「あー……割とマズイかもな」

 

 ルークが小さく笑うと、フェリスがポリポリと頬を掻きながらニヤリと笑う。その顔を見て、ルークは静かに目を瞑って心からの感謝を述べる。

 

「フェリス……ありがとうな……」

「ふん……」

 

 少しだけ気恥ずかしそうにしながら鎌を担ぐフェリス。こうして紆余曲折はあったものの、ルークたちはエンジェル組の本拠地へと向かって歩いて行くのだった。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 西側通路-

 

「俺は正義に命を……って、わわっ!?」

 

 ランスたちの通り道を塞いでいた男が、盛大に自爆する。手に持っていた爆弾でランスたちを脅していたのだが、火をつけたまま長い事手に持っていたので、それが爆発したのだ。非常に間抜けな敵である。

 

「たまやー、綺麗なのれす」

「哀れですな。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」

「えっと……こ、これで通路が通れますね!」

「エンジェル組には馬鹿しかおらんのか?」

 

 プスプスと燃えている男を横目にランスたちは通路を進んでいく。すると、目の前に突如花畑が広がった。良く見れば、いつの間にかそれなりの大部屋に足を踏み入れていたようだ。エンジェル組は本拠地の中に花畑まで持っているのかと感心する一同。

 

「ほう、良い景色でござるな」

「壁に書いてある風景は絵ですね。でも、この花は本物みたい」

 

 キサラが地面に生えている色とりどりの花を見ながら優しい声を出す。彼女も女の子、綺麗な花は好きなようだ。

 

「えへへー、ご主人様。ここで寝たら気持ち良さそうなのれす。という訳で、えーい!」

 

 バフッ、という音を立ててあてなが花畑にダイブし、そのまますやすやと眠り始めてしまう。

 

「おい、こら、寝るな。全く緊張感の無い……だが、確かに気持ち良さそうだな……」

「…………」

 

 ランスが幸せそうに眠るあてなの顔を覗き込んでいると、後ろからドサリと何かが倒れ込む音が聞こえてくる。振り返ると、キサラが花畑に倒れ込み、目を瞑っていた。微かに可愛い寝息が聞こえてくる。どうやら彼女も寝てしまったようだ。その横では、いつの間にか言裏が大イビキをかいている。

 

「ぐがぁー、ぐがぁー」

「むっ……貴様らずるいぞ……寝るなら……俺様も……」

 

 バタリとランスが花畑に倒れ込む。部屋に足を踏み入れてから僅か三分ほどで、ランスたちは四人揃って眠りについてしまったのだ。いくら何でも異常な光景だ。すると、部屋の隅の方の花畑が揺れたと思うと、そこからジャンスカが顔を出した。

 

「えっへっへ、作戦大成功! 寝てる、寝てる……ぬきあーし、さしあーし、しのびあしー」

 

 当然、この部屋にはランスたちを嵌めるための罠が設置されていた。それこそが、この花畑。ランスたちの周囲を囲んでいた花には眠りを誘発する匂い成分が含まれており、ランスたちはその匂いのせいであっという間に寝てしまったという事だ。重い斧を片手に、スススッとランスたちに近づいていくジャンスカ。

 

「えっへっへ、起きている時に首を斬られるよりも、寝ている時に斬られた方が痛くないもんね。という訳で、死んで、ランス!」

 

 ジャンスカがそう静かに呟き、斧を高く持ち上げる。狙うは、暢気に眠るランスの首。ランスたち四人に起きる気配は全くなく、その斧がゆっくりと振り下ろされようとしたその時、部屋に絶叫が響き渡った。

 

「ランス様ぁぁぁぁ!!!」

「……んっ? 朝か、シィル……」

「えっ!? 誰っ!? や、やばい……死んで!!」

「ん……うおっ!?」

 

 ジャンスカが振り返って部屋の入り口を見ると、そこにはピンク色の蝶型メガネをつけたおかしな女が立っていた。その声に反応して目覚めるランス。慌ててジャンスカは斧を振り下ろしたが、ランスは体をよじってなんとかすんでのところでその一撃を躱す。ザシュ、と先程までランスの首があった地面に斧が突き刺さる。

 

「えーん、意地悪! 何で避けるのぉ?」

「当たり前だ! そんなものを食らったら死んでしまうではないか!?」

「びぇぇぇん、死んでぇぇぇ!!」

「絶対に嫌じゃ!!」

「うっ……うーん、ランス殿、どうかなされましたか?」

「あ、あれ……私……いつの間に眠って……」

「むにゃむにゃ、こけこっこー!」

 

 ぞろぞろと起き上がるランスたちにジャンスカが焦る。一撃必殺で決める気であったため、他にモンスターやエンジェル組組員も引き連れず、たった一人で部屋にやってきてしまっていたからだ。

 

「もう、誰よ! さっき声を出したのは……って、いない?」

 

 声を上げた女性を睨み付けようとするが、既にその姿は見えなくなっていた。一体何者だったのかとジャンスカが考えていると、グッとその腕が強く掴まれた。

 

「きゃっ!?」

「がはははは、捕まえたぞ! 悪い娘にはお仕置きせんとな!」

「……えっと、降参するから許して?」

「駄目だ!」

「びぇぇぇぇん!!」

 

 後一歩のところでランス殺害に失敗したジャンスカ。そんな彼女に待っていたのは、ランスによるHなお仕置きであった。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 司令室-

 

「あぁ、ジャンスカさんが……だから早く助けに行ってって言ったのに!!」

 

 涙目でモニターを見ていたアーニィがキッとソファーに座る摩利支天暗殺組を睨み付ける。帰り木でワープしたスパルタンは、裏口を通って既に司令室に戻ってきていた。

 

「癒しの精霊よ……無茶ですよ、アーニィさん。私たちだって、あのお花畑にジャンスカが隠れているなんて思っていなかったんですから。それに、三姉妹を捜すのは貴女の部下の役回りでしょう?」

「うっ……」

「おー、動く、動く。やっぱ如芙花の癒しの精霊は効くぜぇ!」

 

 治療を受け、スパルタンがぐるんぐるんと腕を回しながらそう答える。ダメージが完治した訳ではないが、出血は今の治療でもう止まっている。

 

「予備の鉄球を持ってきておいて良かったぜ。まさか、鉄球ごと破壊されるとは思ってもいなかったからな」

「私もまさかスパルタンが負けるとは思っていませんでしたよ」

「だからランスを舐めるなとあれほど……」

「あー、すまねえ。その件に関してはあんたの言う通りだった。奴は強ぇ」

 

 スパルタンが肩をすくめながらそう口にする。プライド高いはずの暗殺者であるスパルタンがあっさりとランスの強さを認めたのだ。その事に少しだけ驚きながらも、ふんと鼻を鳴らしてアーニィは言葉を続ける。

 

「……そう思うなら、全員で掛かりなさいよね!」

「そりゃ出来ねえ。まずは一人ずつ掛かるのがウチの方針だ」

「あ、ブラボーが到着したようですね」

 

 モニターを見上げながら如芙花がそう口にするのを聞き、スパルタンを睨み付けていたアーニィもモニターに視線を戻すと、確かにランスたちの前に一人の男が現れていた。だが、異質なのはその登場方法。ブラボーは自身のペットである黄色い亀に跨がって登場したのだ。だが、亀の歩みは遅く、そのせいでジャンスカは既に二度犯されている。

 

「急げって言ってんだろうがぁぁぁ!!」

 

 アーニィがその光景を見て机を盛大にひっくり返していた。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 花畑部屋-

 

「へーい、待ちな。そろそろジャンスカちゃんを犯すのは止めにして貰おうか」

「ん……誰だ、このモヒカンは?」

 

 突如亀に乗って現れた男を訝しげに見るランス。勿論、ジャンスカを犯しながらだが。

 

「ラ、ランスさん……この男、摩利支天暗殺組の一人では?」

「むっ、そうか。おい貴様、ズバリ摩利支天暗殺組の一人だろう?」

 

 キサラが顔を赤らめながらランスと視線を合わせないようにして口を開く。ランスの事を信頼しきっているため、女の子モンスターを犯す行為に苦言は呈さないが、それでもその光景を見るのは恥ずかしいようだ。ランスがジャンスカに挿入していたハイパー兵器を抜き、スボンを上げながらそう口にすると、目の前のモヒカンはヒュー、と口笛を吹く。

 

「ま、バレちまってるから隠す必要もないわな。いかにも、俺っちはデンジャラス・ブラボー。摩利支天暗殺組のメンバーだ」

「ブラボー、おお、ブラボー、なのれす!」

「なんだい、そりゃ?」

「こいつは無視していい」

 

 突如騒ぎ出したあてなを無視し、話を続ける一同。言裏が目の前の男の強さを見極めるように見据えながら口を開く。

 

「やはり暗殺者でありもうしたか」

「おっと、でもこうして堂々と殺すんじゃぁ、暗殺にはならないねぇ。うーむ、何て言うべきか……素直に殺しかなぁ?」

「ほう、なら殺されるがいい。返り討ちにしてやろう」

「あらっ? つれない言葉だこって……」

 

 目の前の男はランスたちの予想通り、摩利支天暗殺組第二の刺客であった。ブラボーは亀から降りて、背中に背負っていたレイピアを抜く。

 

「スパルタンの仇、サクッととらせて貰いますかねぇ」

「ふっ……ブラボー殿。あまりランス殿を舐めない方が良いでござるよ」

「そうなのれす! ご主人様は世界一なのれす!」

「がはははは!」

 

 言裏が錫杖を握りながらそう口にし、あてなもそれに賛同する。二人から褒められて気分を良くしたランスが高笑いを浮かべると同時に、ブラボーが不気味に笑った。

 

「そっちこそ、俺っちをあんまり舐めない方がいいぜぇ? モヒカンが雑魚ってのは、漫画の中だけの話だ!!」

 

 言うや否や、猛スピードで花畑を駆けるブラボー。ひょろっとした見た目通り、どうやらスピードタイプの戦士のようだ。そのスピードは先程のスパルタンよりも数段上であり、あっという間にランスたちとの間合いを詰めてきた。

 

「ひゅう!!」

「うおっ!?」

 

 レイピアで素早く突いてくるブラボー。その一撃をギリギリで躱した言裏は鉄の錫杖を横薙ぎに振るう。だが、それをバックステップで躱すブラボー。

 

「しゃう! しゃう! ひゃっほう!!」

「は、速い……」

 

 キサラが爆炎カードを投げるが、それを身を翻して躱し、お返しとばかりに連続突きを繰り出してくるブラボー。その切っ先がキサラの胸に迫ったが、即座にランスが剣でそれを防ぐ。

 

「貴様! 誰に断って俺様の女に手を出している!! ふんっ!!」

「ラ、ランスさん……」

「おおっと、恐い恐い……」

 

 キサラが頬を赤らめているのを横目に、ランスが強烈な一撃をブラボーにお見舞いする。だが、その一撃をブラボーは後方に跳び上がって躱した。しかし、それは悪手である。ニヤリと言裏が笑い、それまで後方で控えていたあてなに指示を出す。

 

「あてな殿! 空中では攻撃を躱せないでござるよ!」

「はーい、なのれす! ギガボウ、一斉発射!!」

 

 先に話を合わせていたのだろう。言裏の指示に即座にあてなが従い、腕に取り付けられているギガントボウから矢を連続で放つ。ちょうど跳び上がっているブラボーにそれを躱す術は無い。だが、ブラボーは空中でニヤリと不気味に笑った。すると、そのブラボーに猛スピードで迫る物体がある。それは、あてなの放った矢ではない。

 

「なっ!?」

 

 キサラが絶句する。なんと、ブラボーが連れていた亀が頭を甲羅の中に引っ込め、くるくると回転しながら空中を飛んでブラボーに迫っていたのだ。ブラボーはその甲羅の上に乗り、そのまま空中を自由自在に飛び回って迫ってきていた矢を難なく躱した。

 

「か、亀が飛んだのれす!?」

「へっへっへ、こいつが俺っちの自慢の相棒、カメ子ちゃんだ! まだ子供だけどな」

「かーめー」

「亀に乗って空を飛ぶなど、おかしな奴め!」

 

 くるくると回転を続ける亀の背中に乗り、空中からランスたちを見下ろす形でブラボーがそう宣言する。

 

「さて、もう一度ちゃんと名乗らせて貰おうか。摩利支天暗殺組の華麗なるトリックスター、スピード&テクニックのデンジャラス・ブラボーだ!!」

 

 亀に乗りながらレイピアを高々と掲げ、華麗に宣言をするブラボー。だが、その宣言を聞いた言裏はポリポリと頬を掻きながら口を開く。

 

「スピード&パワーのスパルタン……スピード&テクニックのデンジャラス・ブラボー……まだ二人目なのに、いきなりスピードが被ったでござるよ?」

「た、確かにそうですね……」

「なっ!?」

 

 言裏とキサラの言葉に、ブラボーがカランとレイピアを床に落とし、亀に乗りながら目を見開く。

 

「き……気が付かなかった……」

「駄目駄目なのれす」

「おい、本当に摩利支天暗殺組には馬鹿しかいないのか?」

「ゆ、有名な暗殺者集団のはずなんですけどね……」

 

 ランスの問いかけにキサラはそう答える事しか出来ない。否定しようにも、こうも連続で滑稽な姿を晒されては、フォローしようがない。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 司令室-

 

 バン、とソファーの肘掛けを叩く音が部屋に響き渡る。アーニィがそちらに視線を向けると、プルプルと小刻みに震えながら非常に悔しそうな顔をしている摩利支天の姿がそこにあった。

 

「なんたる事だ……」

「落ち着いて、摩利支天! また考え直せばいいのよ! 貴方なら出来るわ!!」

「そうだぜ! なんなら俺がパワー&タフネスに改名したって良い!!」

 

 どうやらあの異名は摩利支天が考えたものらしく、こちらも被っている事に気が付いていなかったらしい。必死にフォローを入れる如芙花とスパルタンの表情も真剣そのものだ。

 

「(依頼する集団を間違えたわ……)」

 

 心の中で激しく後悔しながら、アーニィは三人に背を向けてモニターに視線を戻す。せめてブラボーが勝利してくれればと、本当に僅かばかりの期待を込めながら戦闘の様子を見守るのだった。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 花畑部屋-

 

「くっ……へへっ……へっへっへ……まさか精神攻撃でくるとはなぁ……おたくら、案外こすいねぇ……」

「いや、攻撃したつもりなんて無いんですけど……」

 

 一撃も攻撃を食らっていないのに、何故かフラフラとしてグロッキー状態のブラボー。あまりの姿にキサラが額から汗を流す。

 

「へへへ……それじゃあ、こちらからも反撃させて貰おうかな……いくぜ、カメ子ちゃん!」

「かーめー!」

「な、何だ!?」

 

 ブラボーがレイピアを両手で握り、前に突き出す体勢を取る。すると次の瞬間、亀はこれまでよりも更に回転数を上げ、その背中に乗っているブラボーも回り始める。前に突き出していたレイピアは、その回転によって360度全方向にその切っ先を向ける。それはまるで、ブラボー自体が巨大なチャクラムにでもなったかのような姿。

 

「デンジャラス竜巻アタック!!」

「かーめー!!」

 

 そのまま猛スピードでランスたちに向かってくるブラボー。当たれば一溜まりもないであろう攻撃に、言裏が思わず声を上げる。

 

「これは危険ですぞ!?」

「こんな空中を自由自在に飛び回る攻撃、受けたこともあるまい! 死ねぇぇぇぇ!!」

「ランスさん!!」

 

 ブラボーが迫っていったのは、ランス。何故か避けようとしないランスにキサラが声を上げるが、ランスはそのままブラボー目がけて跳び上がった。

 

「くらえぇぇぇ!」

「へっ! この軌道が読めてなるもの……な、なにぃ!?」

 

 空中で方向転換するブラボーが勝ち誇ってランスを見上げるが、振り下ろされる剣撃がブラボーの避けた方向に迫っている。ランスは初めから避ける方向まで考えて剣を振り下ろしていたのだ。

 

「ランスアタァァァック!!」

「うぎゃぁぁぁぁ!!」

 

 ランスアタックの直撃を受けて、亀ごと床に叩き落とされるブラボー。それから少し遅れて、ランスが地面へと着地する。

 

「おおっ、ランス殿、お見事!」

「ば……馬鹿な……何故軌道が判った……こんな攻撃、大陸広しと言えど、俺っちくらいしか……」

「ふん。似たような攻撃を使ってくる生意気なガキがいたんでな。まあ、そのガキも貴様も俺様の敵ではない!」

「ちくしょう……ついてねぇ……」

 

 血を流しながらランスに問いかけたブラボーだったが、どうやら似たような攻撃をしてくる相手と戦った事があるようだ。悔しそうに口から血を流すブラボー。勿論、ランスの言う生意気なガキとは闘神都市で戦ったパイアールの事である。ブラボーのそれはメタルビットの軌道に非常に似ており、速度はビットよりも劣っていたため、ランスにとってはカモでしかない必殺技であったのだ。

 

「がはははは! 正義は勝つ!!」

「ご主人様は最強なのれす!」

「参った……おたくら強いねぇ……でも、ウチの残り二人も相当な手練れだぜぇ。ま、もしその二人から生き残れたら、また会おう」

「あ、こいつも帰り木を……」

「グッナイ!」

 

 キサラがブラボーの持つ帰り木に気が付いたが、時既に遅し。スパルタン同様、ブラボーとカメ子は帰り木によってワープしてしまい、みすみす逃がす事となってしまった。

 

「うぅむ……気が付けばジャンスカもいないでござるな……拙僧、まだヤっていないというのに……」

「ちっ、まあいい。先に進むぞ。残り二人もどうせ同レベルの雑魚だろう! 俺様の敵ではない!」

 

 こうして摩利支天暗殺組二人目の刺客、デンジャラス・ブラボーを退けたランスたち。残る刺客は、後二人だ。

 

「……ところで、俺様たちを起こした女は一体誰だったんだ?」

「えっ? 誰かいたのれすか?」

「ごめんなさい、私も見ていません。情けない事に、すっかり眠ってしまっていましたから……」

「うぅむ……」

 

 ジャンスカの罠から救ってくれた謎の女性。その声を聞いたのは、どうやらランスだけのようだ。聞き覚えのある声であったが、寝起きであったためちゃんと思い出すことが出来ない。謎は深まるばかりである。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 花畑部屋付近通路-

 

「はぁ……はぁ……」

 

 ランスたちは気が付いていなかったが、今のジャンスカ及びブラボーとの戦闘を通路からのぞき見ていた女の子モンスターがいた。彼女は制服三姉妹と共にエンジェル組に保護されているモンスター、ざしきわらし。あの闘神都市の事件を運良く生き延びた娘だ。

 

「ジャンスカちゃんやられちゃったの……モヒカンさんは血が一杯出ていたの……恐い、恐いよぉ……」

 

 涙目になりながら通路を駆けていくざしきわらし。以前もディオの脅威をいち早く察して逃げた事もあるように、彼女は相手の強さや脅威に敏感であった。そのため、ランスの強さや脅威を完璧に感じ取り、こうして逃げるように通路を走っているのだ。ジャンスカが犯されているのには飛び出そうとも思ったが、恐くて足が動かなかった。

 

「うぅ……もうヤダよぉ……誰か助けてぇ……」

 

 このままエンジェル組にいても危険であることを察したざしきわらしは、自身の知っている一番近い入り口を目指して駆けていくのだった。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 司令室-

 

「痛ってぇ、マジ痛ってぇ!」

「癒しの精霊よ……」

「はっはっは、負け仲間だな」

「うるせぇよ!」

 

 スパルタン同様、裏口から司令室へと戻ってきたブラボーが如芙花の治療を受けて喚いている。負けたというのにこの元気はどこから来るのか。

 

「こんな様じゃあ、依頼料は考え直さないといけないわね。何が大陸最強の暗殺者集団よ!」

「あら? 見損なわないで欲しいですわね」

 

 アーニィの愚痴を聞いた如芙花がスッとソファーから立ち上がる。どうやらブラボーの治療は終わったらしい。

 

「……次は貴女が行くつもりなの? さっきから見たところ、貴女はグループの回復役じゃなくて?」

「ふふ、私の力の真骨頂は別にあります。ふっ……」

 

 如芙花が軽く髪をかき上げ、手を口の前に当ててフッと息を吐く。すると、如芙花の目の前に巨大な筋肉質の精霊が現れた。

 

「なっ!? こ、これは……」

「癒しの精霊はオマケに過ぎません。我が力の真骨頂は、この力の精霊にあります。召喚でも式紙でもない、私だけの可愛い精霊……ふふ、アーニィさん。貴女はこの後、今まで見たこともないような戦闘をご覧になりますわ」

 

 着物風の袖口で口元を隠し、クスクスと笑う如芙花。だが、その顔は自信に満ち溢れている。

 

「(違う……今までの二人とは雰囲気が違う……これは期待しても良いかも!)」

「さて、では行って参ります!」

 

 摩利支天暗殺組第三の刺客、如芙花がランスたちに迫る。この後、アーニィは如芙花の宣言通り、これまで見たこともないような戦闘を目撃する事になる。だが、ランスたちに迫っているのは何も敵ばかりではない。

 

 

 

-エンジェル組 アイス支部秘密基地 入り口C-

 

「砂場ではなく、トイレ裏の入り口からが一番司令室まで近いのですね」

「うん!」

「ウェンリーナーがいて助かったな」

 

 エムサの問いに対して声だけが通路に響き渡る。ウェンリーナーは、今は自身の持つ特殊能力でその姿を消していた。フェリスが鎌を担ぎながらこれは楽だと口にする。何せ、アジトの道順をウェンリーナーは全て知っているのだから。そう、ランスたちに迫っているのは敵だけではない。ハピネス製薬での一件を終えたブラック仮面たちが、こうして合流すべくアジトに乗り込んできていたのだ。

 

「ランスたちは相当先に進んでいるだろうし、少しでも早く合流しないとな」

 

 ブラック仮面がそう言いながら通路の角を曲がる。すると、丁度反対側からも誰かが駆けてきているところであった。あまりの殺気の無さにブラック仮面も気が付くのが遅れ、ポフ、とその胸に何かが飛び込んでくる。

 

「ふぇぇ?」

「んっ……ざしきわらし?」

「おい、モンスターだぞ! 構えろ!」

「でも、殺気がありませんね……」

 

 ブラック仮面が胸に飛び込んできたざしきわらしを不思議そうに見つめる。モンスターなのでフェリスの言うように構えるべきなのかもしれないが、相手からまるで殺気を感じないのだ。すると、目の前のざしきわらしの目がウルウルとしたかと思うと、突如大泣きを始めた。

 

「うぇぇぇぇん、殺さないでなのぉぉぉ!!」

「うおっ!? ど、どうした!?」

「おいおい……」

「あらあら……」

 

 突如泣き出してしまったざしきわらしに困惑する三人。流石にこの状態の彼女を倒す気にもならない。瞬間、通路の向こうから誰かが駆けてくる。ざしきわらしとは違う、明確な殺意を持った何か。

 

「ざしきわらし様から離れろぉぉぉ!!」

「……!? フェリス、この娘を頼む!」

「おっと……」

「ふぇ?」

 

 フェリスにざしきわらしを預け、ブラック仮面は即座に剣を抜いて迫ってきた男の振るう剣を受け止める。青い甲冑に身を包んだ、エンジェル組の一員であろう男。その男がブラック仮面を睨み付けながら激高する。

 

「貴様、先程から我らのアジトで暴れているという侵入者だな!? 聞けばセェラァ様を毒牙にかけたとか……まだ小さいざしきわらし様までその毒牙にかけるつもりか!!」

「人違いだ。いや、そいつに心当たりはあるし、俺らの仲間だから明確に違うとも言えないのだが……とにかく落ち着け。俺たちはウェンリーナーを返しに……」

「悪の手先の言葉など聞く耳持たん!!」

 

 ブラック仮面の言葉を遮るように剣を横薙ぎに振るう甲冑戦士。それをブラック仮面は難なく躱すが、どうやら話は通じそうにない。ウェンリーナーも今は姿を消しているため、彼の視界には入っていない。

 

「ルー……じゃなかった、ブラック仮面。とりあえず気絶でもさせておけ。こっちの話を聞きそうにないし、末端の兵士にわざわざ説明すんのも面倒だ」

「……そうだな。ふっ!!」

「なっ……速っ……ぐあっ!?」

 

 フェリスの言葉に小さく頷き、ブラック仮面が素早く剣を振るう。その剣速に甲冑戦士が驚きの声を上げるが、次の瞬間にはその首筋に峰打ちが決まっていた。視界が揺れ、そのまま床に倒れ込む甲冑戦士。

 

「お見事」

 

 その所作を心眼で感じ取ったエムサが小さく拍手を送る。正しく、役者が違う。

 

「うぅ……うぅ……」

「ほら、とにかく泣き止みな。別に向かってこなけりゃ倒したりしないよ」

「本当?」

「ああ、だから引っ付くのを止めろ」

 

 フェリスが自身の胸で泣くざしきわらしをあやしている。とりあえず泣き止まないと先に進めそうにない。その光景をブラック仮面が微笑ましく見ていたが、その背後に違和感を覚えて即座に振り返る。見れば、たった今倒したはずの甲冑戦士が何事も無かったかのようにスッと立ち上がっていたのだ。

 

「……おかしいな? 確かに決めたと思ったんだが……」

「あの程度の攻撃では私は倒せんぞ……エンジェル組、アイス支部最強を舐めるな……」

「エンジェル組最強?」

「あっ、反応しやがった……」

 

 甲冑戦士の言葉にブラック仮面がピクリと反応を示す。強者を求めているブラック仮面にとって、その反応は至極当然の物。だが、その反応を即座に感じ取ったフェリスがため息を吐く。彼女もとっくにブラック仮面の軽いバトルジャンキーには気が付いているからだ。

 

「我が名はエンジェル組アイス支部最強の戦士、不死身のファルコン! アーニィ様に恩義を感じ、こうしてエンジェル組に在籍している。故に、女の子モンスターを傷つける事は断じて許さん!」

「勘違いなんだがな……まあいい、俺の名はブラック仮面。押し通らせて貰うぞ、エンジェル組最強!」

 

 互いに名乗りを上げ、再び剣を交差させる。その光景を見ながら、フェリスが姿を消しているウェンリーナーに声を掛ける。

 

「ウェンリーナー、おい、出て来い。お前が出てくりゃすぐにでも終わるんだ……」

「すやすや……」

「姿消して寝てやがる……」

 

 微かに聞こえてきた寝息で全てを察するフェリス。隣に立つエムサは既に傍観を決めている。未だ胸の中で泣くざしきわらしをあやしながら、フェリスは本来余裕で避けられるはずであった戦闘にしばし付き合う羽目となってしまったのだ。

 

「ああ……もう、帰りたい……」

 

 その呟きは、フェリスの心からの願いであった。

 

 




[人物]
デンジャラス・ブラボー
LV 27/34
技能 剣戦闘LV1
 摩利支天暗殺組のメンバー。相棒のカメ子を引き連れた暗殺者で、スピード&テクニックを自負している。自由自在に空を飛び回る空中殺法を得意としている。回転した亀の上に乗って目が回らないのは訓練の賜物。

ジャンスカ (4.X)
 ランスに復讐を誓うレア女の子モンスター。ランスたちを花から出る匂いで眠らせ、寝込みを襲うという恐るべき作戦を立てていたが、ピンク仮面の妨害に遭い惜しくも敗れ去ってしまう。

ざしきわらし (4.X)
 闘神都市から生還を遂げた女の子モンスター。危険察知能力に長けており、その分戦いには臆病である。

爆弾男
 エンジェル組の一員。爆弾に美学を感じる変人だが、導火線に火がついたまま爆弾を持ち続け、あえなく自爆。哀れな男である。


[モンスター]
カメ子
 デンジャラス・ブラボーが連れているペットの亀。回転しながら空を飛ぶという特異体。まだ子供であり、まだまだ成長するとかしないとか。その内火も吐くとかなんとか。


[技]
デンジャラス竜巻アタック (オリ技)
使用者 デンジャラス・ブラボー
 亀の上に乗り、回転しながら突進していく亀との合体技。空中で軌道を変えられるため、見た目以上に厄介な技ではある。


[その他]
弱体病
 エムサの弟が患っている病気。本来は女の子モンスターが罹る病気だが、極稀に人間も発病。モンスターは自然に治癒するが、人間が患った際の治療法は困難を極める。エムサが探し出した薬の調合をもってしても、治る確率は半々といったところである。

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