ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第144話 最上階の攻防

 

-玄武城 宴会会場-

 

「どうぞ、救世主様。名酒、吟醸眼鏡っ娘です」

「うむ、美味い酒だ! がはははは!」

 

 リズナに酒を注がれ、上機嫌な様子で大笑いするランス。ヒマワリ退治の酒宴が始まって早三十分、宴会会場は大いに盛り上がっていた。

 

「カレー! カカレー! カレーうどんなのれすよ!」

「ちょっ、止めて! 汁が飛ぶ!」

「普通の食事を取れる事がこんなにも素晴らしい事とは……」

「心中お察しします」

 

 あてな2号がカレーうどんの入った器を片手に宴会会場を走り回り、まじしゃんがそれを咎める。その騒がしい様子を微笑ましげに見ながら、和華は目の前に出された食事を心から噛みしめていた。どうやら融合した際に人形時代の記憶も若干混ざったらしく、食事という行為を久しぶりにすると感じているらしい。その横で甲斐甲斐しく酒を注ぐとっこーちゃん。すっかり主従の関係である。

 

「がはは! シィル、食ってるか?」

「はい、ランス様。JAPANの食事って不思議な味が多くて、とっても美味しいです!」

「リズナちゃんの優しさに感謝しろよ。いつもなら外で待たせておくところだが、リズナちゃんの頼みだからお前にも特別に宴会に参加させてやっているのだ」

「シィルさんもヒマワリ退治をしてくれた大恩人なのですから、当然です」

「リズナさん、ありがとうございます!」

 

 満面の笑みで礼を言ってくるシィル。その表情を見て、リズナの胸をチクリと何かが刺す。自分は今から、この笑顔の主を騙すのだ。躊躇する気持ちをグッと抑え、リズナは動揺を表に出さないように努める。

 

「(賽は投げられたんだ……もう退く訳にはいかない……)」

「…………」

 

 だが、そのリズナのおかしな様子に気が付いている者が一人だけいた。シィルの隣の席に座り、出された食事にほんの少ししか手を付けていない悪魔、フェリスだ。

 

「(……リズナの様子が明らかにおかしいな)」

「フェリス、あんまり食べてないのれすね?」

「ん……ああ、ちょっとな」

「じゃあこの天ぷらはあてなが貰うのれす! 天ぷらカレーうどん……うーん、カレーうどんはやっぱり肉も天ぷらもない安上がりなのが一番美味しいのれすね」

「返事も聞かずに天ぷらを奪っておいて何という言いぐさ……」

「ああ、そういう奴だから気にしてないさ」

 

 フェリスから天ぷらを奪ってカレーうどんに乗せ、高々と掲げるあてな2号。だが、その2秒後には天ぷらはいらないと手の平をひっくり返していた。後ろにいたまじしゃんが呆れているが、フェリスはクスリとだけ笑って適当に流す。そんなフェリスの様子を見て、シィルが声を掛けてくる。

 

「あの……やっぱり体調が?」

「ちょっとな……正直、味が良く判らない。天ぷらとか重いのも食う気にならないし」

「すいません、まだ悪魔界に帰してあげられなくて……」

「まあ、しょうがないさ。げほっ、げほっ……」

 

 フェリスがあまり食事を取っていない理由はその体調にあった。JAPANの料理というのは豪快な大陸の料理と違い、繊細な味付けである。だが、今のフェリスにはそんな細かい味付けを感じ取る事が出来ず、何を食べてもあまり美味しく感じられなかったのだ。

 

「さあ、皆さん。そのごま豆腐も食べて下さい。美味しいですよ」

「うむ」

「はい」

 

 ランスの横で甲斐甲斐しくお酌をしていたリズナがそう口にする。目の前の配膳の端にひっそりと置かれたごま豆腐に視線を落とすランス。シィルも頷き、その豆腐を口に入れる。

 

「柔らかくて美味しいです」

「うむ、ごまって感じだな」

「ごま豆腐なんだからそりゃそうでしょ……あ、でも何だか不思議な味が……」

「リバったのが残ってるんじゃないのれすか? ごま豆腐を入れてごまだれカレーうどんに……」

「残ってない! それと、ごまとカレーが絶対喧嘩するから、それ!」

 

 まずシィルが口をつけ、次いでランスも小鉢を手にとってパクリと一口で豆腐を食べる。あてな2号、まじしゃんもそれに続く。順調だと目を光らせるリズナであったが、シィルの隣に座っているフェリスがごま豆腐に手を伸ばさないのを見て焦る。彼女だけには何が何でも豆腐を食べて貰わないといけない。

 

「フェリスさん、その、お豆腐を……」

「ん、いや、私は……」

「(頑張れ、頑張るのじゃリズナ!!)」

 

 ふすまの影からリズナを見守っている景勝。当然フェリスはその気配に気が付いていたが、襲いかかってくる様子もないためリズナ同様多少の警戒しか払っていなかった。何やら画策しているとは思っていたが、まさか食事に毒を入れてくるような真似はしないだろうという確信があったからだ。いつまで経っても豆腐に手を伸ばそうとしないフェリスにリズナが必死に頭を回転させる。どうすれば彼女は豆腐を食べてくれるか。そして、導き出したのは一つの方法。

 

「その……ごまは大変栄養があるので、体調の悪そうなフェリスさんにはピッタリかも……」

「ん……」

「そうですね。フェリスさん、食べて下さい。美味しいですよ」

「……そうだな」

 

 それは、シィルを利用する方法。フェリスの体調を気遣っているシィルはリズナの言葉にまんまと乗ってしまい、フェリスにごま豆腐を勧め始めた。流石に二人に勧められてはフェリスも断りづらく、小鉢を持ってパクリと豆腐を口にした。

 

「(……あー、やっぱり味が良く判らないな)」

 

 それは、普段のフェリスであれば気が付けた事柄。まじしゃんが口にしていたように、人間では気が付きにくいレベルではあるが、中に含まれている薬の苦みが微かに残っている。万全のフェリスであれば中に何か混入されている事に気が付き、すぐに吐き出していただろう。だが、今のフェリスではそれに気がつけず、ごま豆腐を食べきってしまう。

 

「(よかった……これで……)」

「豆腐は昔からあまり好きではなくて……そちが食べてください」

「はい、和華様」

「(えっ!?)」

 

 ホッとため息を吐いていたリズナだったが、意外な伏兵の発言に驚いて首を動かす。なんと、和華が自分のごま豆腐をとっこーちゃんに渡していたのだ。これはマズイ。すぐに止めようとしたが、とっこーちゃんはすぐにそのごま豆腐を食べてしまった。ふすまの影では景勝も絶句している。

 

「(そんな……ここまで来て……)」

「(追加のごま豆腐を……いや、流石に怪しまれるか……? ぐぬぬ……)」

 

 必死に頭を働かせていた二人だったが、それは杞憂に終わる。

 

「ふぁぁぁ……食事を乗ったら眠くなりました。少し横になるので、一時間くらいで起こすように」

「和華様。ちゃんとした場所でお眠りになった方が……」

「良いのです。この喧騒の中で眠るというのが、またオツというもの。人間らしさを実感出来るので……」

「そうでしたか……では、何か掛ける物だけ持ってきましょう」

「頼みましたよ……すぅ……すぅ……」

 

 ゴロリとその場に横になり、すぐに寝息を立て始めてしまう和華。それを呆れた様子で見ているランス。

 

「合体してもすぐに眠るのは変わらずか。眠っている間に悪戯を……いや、先にリズナちゃんだったな、ぐふふ……」

「きゃっ……救世主様、その、もう少し待って下さい」

「ぐふふ……そうだな、リズナちゃんの頼みなら仕方ないな」

「(助かった……これで……)」

 

 ランスがリズナのお尻に手を伸ばし、スッとなで回す。思わず声を漏らしてしまうリズナであったが、その胸中では景勝同様胸を撫で下ろしていた。これで完了。それを示すかのように、シィルがまず口を開いた。

 

「あれ……何だか、眠く……」

「世界がぐるんぐるんしているのれす……」

「……!?」

 

 シィルの瞼が徐々に下がっていき、そのままその場に倒れ込むように寝てしまう。あてな2号も床に倒れ込み、イビキを掻き始めた。瞬間、異変に気が付くフェリス。すぐに辺りを見回すと、いつの間にかまじしゃんととっこーちゃんも眠りに落ちている。それと同時に、フェリス自身にも激しい睡魔が襲ってきた。

 

「お前、まさか……!?」

「っ……!?」

 

 重い瞼が下がるのを必死に堪え、リズナをキッと睨み付けるフェリス。だが、抗えない。元々体調の悪かったフェリスには睡魔の波が他の者よりも早く、そして強烈なまでに襲いかかってきていた。唇を噛んで睡魔を飛ばそうとしたが、それすらも間に合わない。他の者同様、床に倒れ込んでしまうフェリス。朦朧とする意識の中、ランスとリズナの声が耳に届く。

 

「なんだ? 行儀の悪い連中だ。急に眠りやがって」

「皆様、冒険でお疲れになったのでしょう。皆様女性ですし、救世主様と比べるのは酷です」

「(違う……ランス、気付け……そいつは……)」

 

 必死にランスに危機を伝えようとするが、最早顔を上げることも出来ない。自身の油断を悔やむフェリス。いくら体調が悪いとはいえ、リズナと景勝の不穏な動きには気が付いていた。なればこそ、もっと上手く立ち回る事も出来たはず。悔しさを噛みしめながら、フェリスは意識を手放すのだった。

 

「ちっ、みんな眠っちまったか。恥ずかしい奴等だ」

「でも……これで二人きりですね、救世主様」

「おっ!? それもそうか!」

 

 リズナの艶めかしい声に反応するランス。言われてみれば、これで完全に二人きりの状態。むくむくとランスのハイパー兵器が臨戦態勢に入る。

 

「では早速……」

「待って下さい。初体験は……」

「む? そうだったな。確か砂漠の……」

「オアシスです」

 

 そう言いながらリズナがランスにすり寄っていく。ランスの手をそっと握り、潤んだ瞳でランスの顔を見上げる。

 

「救世主様……今から、二人でオアシスに向かいましょう」

「ん? ならシィルたちを起こして……」

「二人きりが良いのです。事が済んだら、シィルさんたちを呼びにまた城に戻ってきましょう」

「二度手間だな」

「お願いします……初めては二人きりが良いのです……」

 

 ギュッとランスの手を握る自身の手に力を込める。その必死な様子が、ランスには初体験を良い思い出にしたい儚さに映ったのだろう。ポリポリと頬を掻き、仕方なさげに頷くランス。

 

「仕方ないな。リズナちゃんの頼みだから聞くんだぞ」

「ありがとうございます」

 

 そのランスの決断を止める者は、誰もいない。

 

 

 

-ギャルズタワー 20階-

 

「ん……あっ!?」

「あらあら。随分と気の抜けた連中ね。酒盛り中?」

「違っ……さっきまでちゃんとそこに身構えて……」

「まあ雷太鼓が呑んでるのは水だけどな」

 

 最上階へと上がってきたルークたちは目を疑う。そこにはキムチを肴に談笑している女の子モンスターたちがいたからだ。こちらに気が付いている風であったはずなのに、随分と気の抜けた話である。笑いながらロゼがその事を突っ込むと、何故か雷太鼓と見た事のない金髪の女の子モンスターがしどろもどろになっていた。後ろではニヤニヤと最強魔女が笑っている。

 

「お、お主たちが遅いのが悪いのじゃ!」

「それは悪い事をした」

「謝る必要はないぞ、冒険者殿。よくぞここまで辿りついた」

「待つのじゃバトちゃん! その台詞はこの城の主であるわらわのものなのじゃ!」

「威厳ゼロ、カリスマゼロ……くくっ……」

「まじょっち! 後ろでボソボソ言うななのじゃ!!」

「えっと……これが、最上階の敵……?」

 

 何やら内輪でわいわいと騒ぎ出した連中を見てシトモネが絶句する。これがルークの言っていたとんでもない連中なのか、と。ハッキリ言って、そんな威圧感は受けない。だが、一歩前に立つルークたちは冷静に女の子モンスターたちを見回していた。

 

「バルキリー、バトルノート、雷太鼓、最強魔女……」

「奥にいるのはクスシだな。中々にレアなモンスターを……」

「あの主っていう金髪のねーちゃんだけ判らねぇな。知ってるか、ロゼの姐さん」

「ちょっと待って、今記憶を掘り返しているから。図鑑か何かで見た覚えが……」

 

 目の前の状況を見て緊張を解いたのはシトモネだけだ。他の者たちは皆冷静に女の子モンスターたちを観察し、自分たちの予想が当たっていた事を実感している。目の前の女の子モンスターはどれも上位クラス。中でもバルキリー、最強魔女は最強種の一角だ。そんな中、ロゼの記憶整理を待てなかった凱場が一歩前に踏み出す。

 

「よう、金髪のねーちゃん。あんただけ知らねーんだが、名前を教えて貰っても良いか?」

「わ、わらわを知らないじゃと!? 無礼者!!」

 

 ベチ、と何かが凱場の目に当たる。一体何が飛んできたのかとルークたちが視線を向けると、それはキムチであった。瞬間、凱場が悲鳴を上げる。

 

「ぐぁぁぁぁ! 目が、目が辛ぇぇぇぇ!!」

「ふん、いい気味なのじゃ!」

「あはははは!! 水、今なら1000GOLD」

「お得すぎるだ。ロゼ様、オラにも一本」

「何というぼったくり価格……そしてサクラまで完備とは恐れ入る……」

「自分の持ってるわ! ちくしょう……いきなりこれはねーだろ……」

 

 目の前の光景にロゼが爆笑しながら凱場に水を差し出す。だが、それはとてつもない罠。ルークが呆れた表情で腕組みをし、凱場は自身の持っていた水で必死に目を洗い流す。殺気のこもっていない攻撃、いや、攻撃と言えるかも怪しい行動にルークも反応出来なかった。そんな中、セシルがツバを飲み込む。

 

「恐ろしい攻撃だ……冒険者の生命線である目を潰しに掛かるとは……」

「いや、そんな真剣な表情で考察するような出来事ではないかと!」

「流石は主デス。ゴクリ」

「何でいるんですか!? ゴクリって口で言ってますし!!」

「(うーむ、見事なまでの突っ込み体質。女の子モンスターであればスカウトしているところだったのだが、惜しい……)」

 

 真面目すぎるセシルに突っ込み、何故かいるデス子にも突っ込みと大忙しのシトモネ。それを見ていたバトルノートが心の中で舌打ちをする。彼女の仲間にも暴走役やマイペースすぎる者が多いため、ツッコミ役がもう少し欲しいと思っていたのだ。すると、ひとしきり笑い終えたロゼが金竜に向かって言葉を発する。

 

「思い出したわ。レア女の子モンスターの金竜ね?」

「ほう。そこの下郎と違って、お主は中々に勉強が足りているようじゃの」

 

 ロゼが自分を知っていた事に気を良くしたのか、金竜がずいっと胸を張る。それを後ろで笑い飛ばすのは、未だ酒を飲み続けている最強魔女。

 

「知らねーのも無理はねーって。ずっとこの塔に引きこもってる箱入りじゃねーか」

「まじょっち五月蠅いのじゃ!」

「やれやれ……ほれ、この目薬を差しておくと良い。なに、毒ではないから心配はいらぬ」

「ああ、助かる……」

「何ですか、この和気藹々雰囲気……?」

 

 クスシから目薬を手渡しで受け取る凱場。そこまで接近しているというのに、どちらも攻撃すら仕掛けない。あまりの状況に呆然としていたシトモネだが、その気持ちを雷太鼓が代弁する。

 

「うぉぉぉい! 何を敵と仲良くなってんだ!! これから決闘だろうが、決闘!!」

「そうなのじゃ! 敵なのじゃ! 侵入者なのじゃ!」

「問い。呑んでるのを見られて最初に狼狽し、緊張感をぶっ壊したのは?」

「雷太鼓と金竜」

「右に同じ」

「以下同文じゃ」

「「ぐぬぬ……」」

「なーんとなくあっちの関係性が見えてきたわね」

「ロゼ」

 

 雷太鼓と金竜の怒りを適当に受け流す最強魔女。その上クイズまで始める始末。バルキリー、バトルノート、クスシと三人続けて即答し、最早唇を噛みしめるしかない二人であった。おかしそうにその様子を見ていたロゼだったが、横からルークに声を掛けられて首を動かす。

 

「ん、何?」

「金竜っていうのはどういうモンスターだ?」

「レア女の子モンスター、金竜。聖女モンスターが女の子モンスターを作り出した『母』であるならば、金竜は全ての女の子モンスターを統べる『主』」

「そうは見えねぇけどな……で、強さは?」

 

 目薬を差し終えた凱場がため息混じりに話に入ってくる。ロゼが一度だけ息を吐き、目の前で騒ぐ金竜たちを見据える。その仕草に何かを感じ取ったルークも同じように金竜を見据えた。そして口にされる、一つの事実。

 

「最強の女の子モンスター」

「マジか……」

「なら、奴の相手は俺だな」

「それはつれないな」

 

 最強である金竜を止めるのは自分の役目。そうルークが口にした瞬間、意外な人物が話に入って来た。それは、目の前に立っているバルキリー。表情は変えず、冷静にこちらを見据えながら言葉を続ける。

 

「是非とも私ともやり合って欲しいのだがな」

「バルキリー……」

 

 威風堂々たる立ち振る舞いで目の前に立つバルキリー。溢れ出る闘気がセシルにも感じ取れ、自然と身構えてしまう。最強種は金竜だとしても、今の時点での最強はこのバルキリーではなかろうか。そう感じてしまう程の闘気だ。

 

「血の臭いがあまりしないな。ここまでにいた女の子モンスターを殺めていないのか?」

「住み処に無理矢理押し入っているのはこっちだからな。冒険時に襲いかかってきたら時と場合によっては殺める事もあるが、この状況では流石にな……」

「なるほど」

「殺されていないのは私が保証するデス。みんな元気デス」

「それに、暴力的なシーンが多すぎるとラレラレ石に年齢制限がついちまうんだ。売り上げに関わってきちまうんで、出来れば女の子モンスターの殺しは勘弁願いたいって俺が頼んだ」

 

 肩を竦める凱場。ここまでルークたちが女の子モンスターを殺していなかったのにはこういった理由もあった。女の子モンスターの殺害シーンを入れると、エンジェル組からの抗議も激しいらしい。すると、酒を飲んでいた最強魔女が凱場の顔を見てポンと手を叩く。

 

「ああ、どっかで見た事ある顔だと思ったら、凱場マックじゃないか。後でサイン貰えるかい?」

「おっ? 俺を知っているのか?」

「何作かラレラレ石を見たよ。長く生きてると娯楽物が恋しくてねぇ……新作かい?」

「ああ、ギャルズタワー大崩壊だ」

「不吉な事を言われたのじゃ!?」

「出たら買わせて貰うよ」

 

 そう言いながら酒を横に置き、スッと立ち上がる最強魔女。酒を呑んでいたのにすぐに戦えるのかとセシルが尋ねようとしたが、その目を見てその言葉を飲み込む。それは、戦う者の目。一体どれ程の修羅場をくぐり抜けたらこんな目つきが出来るというのか。それ程の経験を感じ取らせるのに十分な気迫であった。

 

「それじゃあ、そろそろ始めるかい?」

「そちらがここまで殺さずに来ているのであれば、こちらもそれに応えるべきか?」

「そうじゃな。特別に半殺しで済ませてやろう。感謝するが良いぞ、下郎。おほほほほ」

「悪いが、負けるつもりはないぜ、キムチ娘」

「金竜じゃ! この下郎が……決めたぞ、貴様はわらわ自ら手を下してやるのじゃ!!」

 

 最強魔女の言葉にバルキリーが反応し、金竜がふんぞり返りながら頷く。どうやらあちらもこちらを殺すつもりはないようだ。これでシトモネを階下に待避させる必要は無くなった。多少の援護要因としてなら参戦させられるかと考えを巡らせるルーク。そして、互いに向き合う。

 

「負ける気が無いのはこちらも同じだ。全力で行かせて貰う」

「よろしく頼む」

「僧侶、見たところ参謀はお主か?」

「まさか、ただのヒーラーよ。それも回復量は雀の涙だから、真っ先に潰す必要なんてないわよ」

 

 バルキリーが腰を落として構え、ルークもそれに応えるようにブラックソードを抜く。バトルノートが扇を拡げながらそう問いかけ、対するロゼは肩を竦めながら自分を狙う必要は無いと口にする。

 

「ギッタンギッタンにしてやるのじゃ」

「負けフラグだぜ、そういう台詞はよう」

「やれやれ……では、お手柔らかに頼む」

「難しい相談だな」

 

 金竜が指に付いたキムチを嘗め取り、凱場が鞭を手に取る。やる気満々の他の者たちを見てため息を漏らすクスシと、それを見て苦笑するセシル。だが、二人とも既に構えている状態だ。

 

「……なんだよ、大した魔法使いはいなそうだな」

「むっ……」

「そう言うな。悪魔もいる事だし、それなりに楽しめそうだ」

「オラを見てびびらないだか……?」

 

 雷太鼓がそう口にした事にムッとするシトモネであったが、悔しい事にそれは事実。前衛が揃っているのに対し、後衛は明らかにこちらが一枚落ちる。最強魔女がダ・ゲイルを見ながら伸びをし、その余裕のある反応がダ・ゲイルを困惑させる。

 

「……では、始めデス!」

「貴女が仕切るんですか!?」

 

 デス子がそう口にし、シトモネが突っ込みを入れた瞬間、その頬に風が触れた。それとほぼ同時に部屋に響き渡る轟音。気が付けば、目の前にいたはずのルークがいない。部屋の中央、丁度向き合っている互いの真ん中でルークとバルキリーがぶつかり合っていた。それは、あまりにも一瞬の出来事。デス子の言葉に反応するように、二人が同時に飛び出したのだ。

 

「速っ……」

 

 シトモネが呆然とする中、部屋の中央ではルークが剣を振るう。二度、三度。高速で振るわれた剣は、普通のモンスターであれば難なく屠っているであろう一撃。だが、バルキリーはその剣を巧みに盾で捌く。

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

 横薙ぎに振るった剣を盾で抑える。ガキン、という轟音が響くが、バルキリーの盾はびくともしない。女の子モンスターの装備というものは身体の一部でもあり、その強さは個人のレベルに依存する。だからこそ判る。ルークの強烈な一撃を受けきるこのバルキリーの強さが。それをルークが感じ取った瞬間、自身の目の前にバルキリーの手刀が真っ直ぐ迫っていた。速く、重い一撃。だが、ルークが首を動かしてその一撃を躱す。

 

「つあっ!」

 

 そのまま体ごとクルリと回り、回転斬りの要領でバルキリーに斬り掛かる。対するバルキリーも易々とは攻撃を受けない。一方後ろに下がってその一撃を躱したと思うと、ルークの目の前に自身の盾をずいと押し出す。巨大な盾に視界が塞がれ、バルキリーの姿がルークの視界から消える。そのままルークの腹部に向かって素早い手刀を放つバルキリー。瞬間、またしてもガキンという音が部屋中に響き渡る。

 

「お見事」

 

 それは、ルークが剣でバルキリーの手刀を防いだ音。闘気を纏ったバルキリーの手刀は硬度が高く、まるで金属音のような音を部屋に響かせたのだ。初見で今の戦法にすぐさま対応した事にバルキリーが素直に賞賛を送る。二人ともすぐさま向き直り、次の一撃を放とうとした瞬間、上空から人影が下りてくる。

 

「わらわも混ぜるのじゃー!!」

 

 それは、金竜。高く跳び上がった金竜は両手を空中で握り、勢いよくルークの頭頂部に向けて振り下ろしてくる。このままでは直撃するため、ルークは後方に飛びずさってそれを躱す。金竜の拳が先程までルークの立っていた場所に勢いよく振り下ろされた。瞬間、先程まで以上の轟音が部屋に響く。金竜の拳が床をぶち壊したのだ。ベコリとへこんだ床から破片が舞う。

 

「直撃なら半殺しじゃすまんぞ……はぁっ!」

「すまんな、代わりに謝ろう」

 

 そう呟きながらこちらに掛けてきたセシルが剣を振るう。その一撃を盾で受け流しながら、バルキリーが謝罪と手刀をセシルに向かってお見舞いした。目を見開きながらも、慌てて首を動かすセシル。頬に微かに手刀が辺り、たらりと血が流れ落ちる。普通のバルキリーではないというのは判っていた。だが、これはあまりにも異質。強者だからこそ、経験があるからこそ、今のやり取りだけで確信してしまった。

 

「格上か……はぁっ!」

「(動揺も躊躇もゼロか……良い戦士だ)」

 

 だが、だからどうしたとでも言うようにセシルは剣を振るう。その気概に微かにだが笑みを浮かべるバルキリー。彼女もまた、戦闘狂。だが、このまま続けていれば間違いなくセシルは負ける。それ程までにこのバルキリーは強いのだ。ルークがすぐに援護に入ろうとするが、その間に金竜が割って入る。

 

「おっと、お主の相手は……ぬっ!?」

 

 相手は自分だと言おうとしたが、その腕に鞭が絡まる。眉をひそめながら鞭の飛んできた方向を見ると、そこに立っていたのは凱場。金竜の腕をギリギリと鞭で締め上げながら、不敵な笑みを浮かべて口を開く。

 

「お前の相手は俺なんだろ?」

「そうじゃったな……ふんっ!」

「うおっ!?」

 

 凱場を一瞥し、鞭で縛られている腕を金竜が勢いよく動かす。瞬間、凱場の体が勢いよく宙に投げ出された。圧倒的な怪力で、鞭を持っていた凱場ごと力尽くで引き寄せたのだ。長い冒険人生でも経験がなかったのか、なすがまま宙に放り出されてしまった凱場。その目の前に金竜が迫る。

 

「終わりじゃ、下郎」

「真空斬!!」

「ぬっ!?」

 

 強烈な拳を凱場の腹部目がけてお見舞いしようとしていた金竜だったが、後ろから飛んできた斬撃に驚き、咄嗟に拳でガードする。それを放ったのは先程まで相対していた黒髪の剣士、ルーク。見ればバルキリーも同様に盾でガードしていた。あちらにも今の技を放ち、セシルを援護したようだ。セシルは未だバルキリーと相対し続けているが、凱場には今の一撃の隙に距離を置かれてしまった。

 

「飛ぶ斬撃か……」

「下郎の割には中々に面白い技じゃな」

「それも、同時に後衛の殲滅も目論む抜け目無さもある」

「ん?」

 

 バルキリーが感心したようにしながらセシルに手刀を振るい続け、金竜も拳にジンジンと走る痛みに驚いていた。そんな中、後方からもルークを評価する声が上がる。それを口にしたのは、ここまで戦況を見据えていたバトルノート。その足下には扇が落ちており、同様に雷太鼓、最強魔女、クスシの前にも扇が落ちている。

 

「(何よ、あのバトルノート戦闘も出来るの? 参ったわね……)」

 

 ロゼが軽く舌打ちをする。ルークの放った真空斬をバトルノートが全て扇を投げて撃ち落としていたのを見ていたのだ。バトルノートという種族は基本的に戦闘力は低いはずだが、どうやらバルキリー同様、彼女も特別な個体らしい。そして、もう一人。どんどんと太鼓の音が響き渡り、威勢の良い声がそれに続く。

 

「あ、その目でしかと見て、その耳でしかと聞きやがれってんだ! 我こそは女の子モンスターの中の女の子モンスター!」

「(イラッ)」

 

 堂々と女の子モンスターの中の女の子モンスターを名乗る雷太鼓に金竜が若干苛つく。バルキリーとバトルノートは慣れているのか反応を見せず、最強魔女はカンラカンラと笑っている。そんな反応を受けながら、雷太鼓は持っていた太鼓をルークたちの方へと向ける。その太鼓は不思議な光りを帯びていた。それは、大量の魔力。

 

「あ、か・み・な・り・だ・い・こ、たぁ……あたしの事さ! ライトニングレーザー!!」

「マズイ! ダ・ゲイル!!」

「任せるだ!! がぁぁぁぁぁ!!」

 

 バチバチという音を纏わせながら一直線にこちらに向かってくる雷撃を前に、ロゼがダ・ゲイルへと指示を出す。待っていましたと言わんばかりにダ・ゲイルがロゼの前に立ち、口から強力な炎を吐き出す。ぶつかり合う雷と炎。いくら雷太鼓の強烈な一撃とはいえ、普通であれば悪魔であるダ・ゲイルの炎が勝っていただろう。だが、四散したのはダ・ゲイルの炎の方であった。

 

「なっ!?」

「(あれも特殊個体だっていうの!? 何よこのバーゲンセール状態!)」

 

 流石にダ・ゲイルの炎が破られるのは想定していなかったのか、ロゼが目を見開く。そのまま一直線にダ・ゲイルへと向かっていったライトニングレーザーであったが、それがダ・ゲイルにぶつかるよりも早く切り捨てられた。間に割って入ったルークが剣でそれを斬り伏せたのだ。流石に万全の状態のライトニングレーザーでは簡単に切る事は出来ないが、ダ・ゲイルの炎とぶつかり合って威力が落ちた状態であれば話は別。雷太鼓が太鼓を担ぎ直しながら口を開く。

 

「ちっ、魔法を斬れるって事は魔法剣か。まあ、あたしの雷はそう簡単に斬られないけどな」

「魔法剣……!?」

 

 チラリとルークの持つ剣に視線を向ける最強魔女だったが、すぐにその目が見開かれる。

 

「(……どういう事だい? 聖魔教団の秘宝がどうしてここに……参ったねぇ、アレの持ち主が相手とあっちゃあ、迂闊に手出しするのは危険か……)」

「どうしたのじゃ? 渋い顔をして……」

「ちょっとね……」

 

 クスシの問いかけに空返事をする最強魔女。珍しい反応に首を傾げながらも、クスシはスッと片腕を挙げた。目の前に相対するヒーラーが手を挙げたからだ。そして紡がれる、同じ呪文名。

 

「「回復の雨!」」

 

 互いの仲間たちに雨が降り注ぎ、ダメージを回復していく。だが、違うのはその回復量。明らかにクスシの放った回復の雨の方が治癒効果が高いのが見て取れる。

 

「参ったわね……」

 

 ロゼがそう声を漏らす。自身の回復量がクスシに負けた悔しさからではない。そんな事で悔しさを感じるようなロゼではない。問題なのは、今の状況。

 

「はぁぁぁっ!!」

「ふっ!!」

 

 ルークの剣がバルキリーの手刀と交差する。そして続く、連続攻撃の嵐。互いに相手の攻撃を捌きながら、一撃必殺にもなり得る攻撃を絶え間なく放っているのだ。あそこまでルークと戦えるのだから最早疑いようもない。あのバルキリーは、リック並みの強者だ。

 

「うがぁぁぁぁ!!」

「怪力自慢では負けぬのじゃ、悪魔よ」

「飛空扇」

「はぁっ!」

 

 ダ・ゲイルが鋭い爪を金竜に向かって振るうが、それを硬い鱗付いた腕で防ぐ金竜。その顔には余裕の笑みが浮かんでいる。また、その横では連続して飛んでくる扇をセシルが必死に斬り落としていた。

 

「雷の矢、連発!!」

「毒薬玉じゃ、受け取れ」

「ぐっ……ぬおぉぉぉ!」

 

 雷太鼓とクスシから小さな攻撃とはいえ連続して受け続け、凱場が苦痛に声を漏らす。まだ倒れないのは冒険野郎としての意地といったところか。そして、最後にチラリと自身の後ろを見るロゼ。

 

「あ……あ……」

 

 そこには、呆然と立ち尽くすシトモネの姿があった。杖を握っている辺り、まだ戦闘に参加したいという気持ちがあるのだろう。だが、出来ない。それ程までにレベルが違いすぎる。駆け出しのシトモネにとっては、これ程の激戦を前にしては割ってはいるタイミングすら掴めずにいたのだ。頭の中で状況を整理して導き出した答えは、あまりにも非情な結論。

 

「(このままじゃあ……)」

「(負けるな……)」

 

 そして、その結論はルークも同様に抱いていた。相手の前衛であるバルキリーと金竜はどちらも強者。一対一であれば長期戦の上で勝つことは可能だろうが、この状況ではルークが長期戦をしている間に他の全員が全滅しかねない。ならば、短期戦。この二人の強者を一気に屠れる可能性がある戦法はある。

 

「(韋駄天速……)」

 

 ルークが自身の足の状況を確かめるように力を込める。闘神都市やリックとの対戦では一発しかもたなかった。当然それはたった数ヶ月で変わるようなものではない。撃てて二発。それも、二発目を放ったらもうまともには動けない。バルキリー、金竜、雷太鼓、バトルノート、クスシと順々に視線を移していくルーク。

 

「(二人を道連れに俺が戦線離脱をして、その後で勝利を掴めるのか……?)」

 

 例えばバルキリーと金竜を韋駄天速からの奇襲で一撃必殺を出来たとして、その後に残った雷太鼓たち相手に今の面子で勝てるのか。答えは否。バトルノートが前衛も務められるのが厄介だが、それ以上に不穏なのは奥に佇む最強魔女。ここまで相手の中では唯一何もしていないが、そこから放たれている威圧感は尋常では無い。彼女もバルキリーや金竜並みの、いや、下手したら更に上の強者。

 

「(せめてもう一人……もう一人こちらに強者がいてくれれば……)」

「ふっ!」

「……!?」

 

 瞬間、バルキリーの手刀がルークの頬を掠めた。一滴の血が床に落ち、目の前に立つバルキリーが不敵に笑う。

 

「私は考え事をしながら勝てる相手だったか?」

「いや、失礼した……はぁっ!」

「ふんっ!」

 

 そして、再びルークの剣とバルキリーの拳が交差する。最上階での激闘は、確実に不利な方へと追いやられていた。

 

 

 

-ギャルズタワー 16階-

 

「見事。まさか一日に二度も負けるとは思わなんだ」

 

 最後に残った髪長姫が膝をつきながらそう口を開く。目の前に立つのは、ローブで全身を覆った武闘家。先の戦闘で未だ倒れているものが多く、立ち上がれた髪長姫もその殆どが消耗した状態であったとはいえ、自分たちはこの男のローブすら脱がす事が出来なかった。少しだけ悔しさを感じながらも素直に相手を讃える髪長姫。だが、武闘家の興味は先にここを通っていった者たちにあるようであった。

 

「先に進んだ者たちは万全の状態の髪長姫をこれだけの数倒したのですか……?」

「ああ。見事な強さであった」

「大陸は広い。それ程の強者がまだいるとは……」

「中でもリーダーと思われる黒髪の戦士は別格であった」

「黒髪……?」

 

 ピクリと武闘家が反応を示す。その問いにコクリと頷き、髪長姫は言葉を続けた。

 

「漆黒の剣を持った黒髪の剣士。ん、どうした?」

「いえ、嬉しい事と残念な事が同時にあったもので少しおかしくなりましてね……広いように思えて、大陸とは中々に狭い……」

 

 何やら話の最中に笑い出した武闘家を見て目を丸くする髪長姫。それを問うと、武闘家は微笑みながらそう口にした。実に清々しい笑みであり、とても残念な事があったようには思えない。

 

「新たな強者に出会えたかと思ったのですが、どうやら知り合いのようです」

「それが残念な事か? そうは見えないが……」

「ええ。そのショックよりも、あの方に再会出来る喜びの方が遙かに大きいですからね」

 

 そう答えた武闘家はローブをなびかせながら、17階への階段を上っていくのだった。

 

 




[人物]
レオのバルキリー
LV 50/100
技能 なし
 とある魔物使いが大事に育てているバルキリー。特殊個体というのに加え、とある方法で通常では辿り着けぬ強さの領域に到達しているバルキリーであり、その強さはリックを代表とする大陸の強者と比べても遜色はない。アリスソフト作品の「GALZOOアイランド」よりゲスト参戦。

レオの雷太鼓
LV 43/100
技能 なし
 とある魔物使いが大事に育てている雷太鼓。雷属性に特化したその魔法の威力は絶大であり、更にはバルキリーと同じ方法で強化されている難敵。因みに酒を呑むと一杯で手が付けられなくなるため、酒盛りでは水を呑んでいた。アリスソフト作品の「GALZOOアイランド」よりゲスト参戦。

レオのバトルノート
LV 40/100
技能 なし
 とある魔物使いが大事に育てているバトルノート。主な仕事は後方からの指揮であるが、武闘派のバルキリー、雷太鼓と仲が良い影響からか近接戦闘においても多少の心得はある。その辺りはルークと付き合っているサイアスによく似ているといったところか。アリスソフト作品の「GALZOOアイランド」よりゲスト参戦。


[モンスター]
髪長姫
 長い青髪が特徴的な三つ星女の子モンスター。長い髪から放たれる強烈な一撃に加え、髪を飛ばす遠距離攻撃、相手を縛り上げる拘束、痺れさせる麻痺攻撃などその戦法は多彩であり、上位種の肩書きに恥じぬ強さを持つ。

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