ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第149話 All your power

 

-玄武城 城門前-

 

「ふむ、ギャルズタワーか……という事は、砂漠の鬼ババアとかいうのを倒したのもやはりお前だったんだな」

「ああ、俺たちで倒した。そちらも暗黒ヒマワリ退治とはな」

 

 久方ぶりの再会から十数分、ルークとランスは互いに今まであった出来事を簡単に説明し合い、情報の共有を終えた。ランスは砂漠で見た鬼ババアを倒したのがルークたちだと知り、心の中で引っ掛かっていたものに合点がいったらしい。対してルークは再生を繰り返す厄介な敵である暗黒ヒマワリ退治や、玄武城の結界に苦しめられたランスたちを素直に労っていた。そんな中、ランスがチラリとリズナに視線を向ける。

 

「それで、リズナを連れてきた訳か」

「……ランスさん、シィルさん、本当に申し訳ありませんでした」

 

 緊張した面持ちのリズナが深々と頭を下げる。もう何度目かも覚えていない謝罪だ。再会したリズナはずっとこの様子であった。すると、シィルが一歩前に出てリズナの正面に立つ。

 

「リズナさん、もう顔を上げてください。私はもう気にしていませんから」

「シィルさん……」

「(シィルさん、何とお優しい……まるで女神だ……)」

 

 一番の被害者であるシィルがそう口にする。だがそれは、中々口に出来る言葉ではない。何せ下手したら何十年、何百年もの間孤独を味わう事になったかもしれないのだ。いくらリズナの受けてきた境遇に同情しようとも、その行為を全て許せるかは別問題。だがそれでも、シィルは嘘偽りなくリズナを許すと口にしたのだ。アレキサンダーが感激するのも無理は無い。

 

「それで、ランスはどうする?」

 

 そうルークが問いかけてくる。ここまでルークやロゼはこの件に関して一切口出ししていないでいた。リズナへのフォローなども一切無い。この一件はランスたちとリズナの問題と考えているのだろう。

 

「(うーむ、どうしたもんか……)」

 

 問いかけられたランスがポリポリと頬を掻く。シィルが無事に助かり、既に溜飲は下がっている。

 

「(お仕置きとして生尻にお尻ペンペンとか考えていたが、流石にやりにくいぞ……)」

 

 シィルやあてな2号だけならば実行していただろうが、この場には人が多すぎる。ルークがどのような反応を見せるかも気になるし、苦手としているロゼが茶々を入れてくる可能性もある。それに、凱場やアレキサンダー辺りにリズナの生尻を見せるのは少し腹が立つ。

 

「まあ、もういいだろう。寛大な俺様に感謝するんだな、がはは!」

「ランスさん……本当に申し訳ありませんでした……」

 

 となれば、ここは全員の前で許したというアピールをしておくのが正解だろう。そう考えたランスは笑いながらリズナを許すと発言し、すぐに周囲の様子を伺う。ルークが満足げな顔をしているし、同じギルドに所属しているらしいシトモネもホッと安堵の息を吐いている。シィルも嬉しそうな表情を浮かべているし、何よりもリズナが涙を浮かべている。

 

「(うむ、判断は間違っていなかったな。これだけ申し訳無さそうにしているんだ、リズナちゃんとはお仕置きと称して今後もヤれる機会はあるだろ)」

 

 満足げに頷くランス。唯一ロゼが全てを見透かしたような顔で苦笑していたのは気になったが、些細な事として忘れる事にする。というか、苦手なロゼとはあまり関わりたく無いのだ。リズナとの一件がある程度解決した事を確認し、コパンドンがルークに近寄っていく。

 

「いやあ、珍しい偶然もあったもんやな。こんな場所で再会するなんて思ってなかったわ」

「確かにな。そちらも苦労したみたいだな。ついてない男と一緒で、彷徨い続けていたんだって?」

「最悪やったわ。まあ、あんな男の事はもう忘れるからええけどな」

 

 コパンドンの苦労話も多少だが聞いていたルークは苦笑する。だが、コパンドンが別れたという不幸な男がまさかバードの事だとは思ってもいなかった。これにはランスが多少手を回している。もしルークがバードの存在を知り、玄武城の中にいると聞けば絶対に助け出すと思ったからだ。復讐ちゃんに暗殺を頼んだ恨みはまだ残っているため、苦労させるためにランスがコパンドンにバードの名前を出さないよう口裏を合わせておいたのだ。

 

「それに、本物の大吉くんが見つかった事やし」

 

 ギュッとランスの腕に抱きつくコパンドン。どうやら探し求めていた大吉の運勢をランスは持っていたらしい。だが、どこかルークには納得がいっていた。

 

「確かにな……ランスが大吉というのには納得がいくよ」

「がはは! 持って生まれた才能というものが違うのだ。ルークは末吉だったらしいな。実にお前らしい」

「ランス様……」

「因みに私は中吉ね。運が良い者同士、仲良くしましょう。うふん」

「って、近寄るな! わざとらしい!」

 

 ランスの言いようにシィルが申し訳無さそうにしているが、ルークは小さく微笑んで気にするなと合図する。そこにロゼも加わりわいわいと騒いでいる中、金竜が不意に疑問を投げてきた。

 

「それにしても、先程から貴様は何をしているのじゃ? 結界をどうして無視出来る?」

 

 当然の疑問であるが、ルーク的には出来れば軽く流して欲しかった事柄だ。シィルの時同様、ランスが出てきた際もルークが結界内に一人残り、ランスとコパンドンが脱出した後に結界の外に出た。井戸の結界、シィル脱出、ランス脱出と実に三回も結界を無効化している。実はバードが残っているため最後のは関係無いのだが。

 

「……特異体質でな。ある程度の結界は無効化出来るんだ。出来れば他言しないでくれるとありがたい」

「なんと……そういう事だったのか……」

「ほう、珍しい体質じゃな。しかし、どうして他言してはならんのじゃ?」

「……まあ、奥の手みたいなものだからな」

「冒険者にとって奥の手を知られるのは死に直結しかねないからな。承知した」

「私も絶対に他言しません!」

 

 流石に隠し通せるものではないと判断し、ルークは結界を無効化出来る事を極力角が立たないよう軽く説明する。景勝が納得いったように頷いているが、金竜は何故もっと大っぴらに自慢しないのか気になっている様子だ。それにフォローを入れるのは、セシルとシトモネ。共に戦いの中にその身を置く傭兵と冒険者だけあり、理解が早い。

 

「ふむ、そんなものかのう」

「しかし、凄い能力デスね。デメリットがありませんし、良い事だらけデス」

「……別に、良い事だけという訳ではないけどな」

「(……むっ?)」

「(…………)」

 

 デス子の言葉を受け、少し、ほんの少しだけルークが含みを持った言い回しをする。それに気が付けたのは、ランスとロゼの二人だけであった。ルークが対結界を吹聴しないのは、奥の手だからではない。かつてこの能力を吹聴したせいで両親を失い、妹の片目を奪ってしまった責を今でも感じているのだ。

 

「(しかし、ルークの結界無効化か……すっかり忘れていたな)」

 

 ルークの対結界能力を忘れていたのはシィルだけではない。ランスも色々とごたごたしていたため、その存在を失念していたのだ。思い出されるのは、フェリスの言葉。

 

『ランス、ルークだ! ルークなら……げほっ、げほっ……』

『貴様……こんな時でもルークか! 俺様もお前の主人なのだぞ!』

『違う……げほっ、げほっ……ルークなら……』

『えぇぃ、五月蠅い! お前にも体で判らせてやる!!』

 

 恐らくあの時、フェリスはルークの対結界の事を口にしようとしていたのだろう。そう考えると、あの行為は些か理不尽であったかと流石のランスも考えてしまう。フェリスは現状の結界で困っているランスに対し、解決案を提示しようとしただけなのだ。それなのに、無理矢理犯されてしまった。

 

「そうだ、ランス」

「ん?」

 

 そんな事をランスが考えていると、ルークがランスに向き直って問いかけてきた。何事かとランスも向き直る。そして発せられる、一つの疑問。

 

「フェリスはどうした?」

 

 ランスの頭の中に、フェリスを呼んでからの行為が蘇る。流石にそれを全て説明するのは憚られた。だからこそランスは、一部だけを切り取ってその問いに返す。

 

「ああ、フェリスは体調が悪かったから、悪魔界に帰したぞ」

 

 この言葉は、嘘ではない。だが、そこに至る過程が重要なのだ。

 

「……そうか」

 

 だが、ルークはこの一言で安心してしまう。フェリスはフセイの日で体調が悪いから、ランスは呼び出してすぐに悪魔界に帰したのだと納得してしまったのだ。このすれ違いが、後に大きな意味を持ってくる事を二人はまだ知らない。

 

「それじゃあ話も纏まった事だし、いい加減洞窟から脱出するか」

 

 凱場が帽子を被り直しながらそう提案した。これ以上この場に長居する理由もないため、全員がそれに賛同する。そんな中、景勝が何かを思い出したかのように口を開いた。

 

「そうじゃ! 脱出するのはいいが、洞窟の出口には血達磨包丁という恐ろしいモンスターが……」

 

 洞窟から脱出しようとする人間を襲うモンスター、血達磨包丁。その存在を思い出し、皆に警告しようとしたのだ。だが、すぐに言葉を止める。自身へと視線を集めている者たちの姿を見たからだ。ずらりと並んだ手練れの冒険者、傭兵、格闘家、神官、女の子モンスター。その中から代表してセシルが景勝に問いを投げる。

 

「敵の詳細は道すがら聞かせて貰うが……それは、これだけの面子が揃っても苦戦する相手なのかな?」

 

 何と頼もしい事か。景勝が抱いたのは、そんな感想であった。

 

 

 

-砂漠地帯 ホテルおたま 外-

 

「もう大変だったのよん。何とかホテルはここまで復旧させたけど、火事を起こした奴は絶対に許さないわん!」

「…………」

「景勝殿。どうかされたのですか?」

 

 城下町を出発した一同は砂漠を練り歩き、道中にあるオアシスの『ホテルおたま』までやってきていた。ここまで辿りついた時点でランスが休憩を口にし、なんやかんや疲れていた者も多かったため皆がそれを承諾したのだ。今は各々休憩を取っている。ランスはシィル、あてな2号、コパンドンの三人を連れてホテルに入り、セシルはシトモネとリズナに冒険者のいろはを教えている。それを木陰から聞いているのはまじしゃん。凱場と金竜は毎度の如く仲良く喧嘩しているし、アレキサンダーは一人組手を行っていた。景勝はルークやロゼと共におたま男の話を聞いていたのだが、何故だか途中で罰が悪そうな表情でアレキサンダーの方へと向かってしまった。

 

「確かに前に寄ったときとは比べものにならないわねー」

「リフォームもお金掛かるし、これなら建て直した方が早いかしらん」

 

 ロゼがまじまじとホテルを見ながらそう口にする。ところどころに焼け跡が残っている今のホテルは、以前に寄ったときとは比べものにならないくらいボロイ。火事で全焼したにしては復旧が早すぎるのは、ロゼ曰くこのホテルも妖怪であるおたま男が生み出した願望による幻だとの事。完全復旧ではなく焼け跡が残ってしまっているのは、おたま男の記憶にハッキリと全焼の風景が残っているため、復旧したホテルにもその影響が出てしまったからだろうという予想であった。

 

「どうせ建て直すなら、こんな場所じゃなくて違う場所に建て直さないか?」

「んー……でも、砂漠って場所が結構気に入ってきちゃったのよねん」

「なら、キナニ砂漠はどうデスか? あそこならば、それなりに需要があるでしょう死」

「あらん? それは割と魅力的なアイデアねん」

 

 デス子の提案におたま男が興味を示す。確かにキナニ砂漠ならば、途中の休憩場所としてホテル需要は十分にあるだろう。少なくとも、この場所でホテルを経営するよりは儲かりそうだ。

 

「なら、俺たちと行くか? なんならキナニ砂漠の端にあるジウの町の町長を紹介してもいいし」

「それは助かるわん。砂漠に新しく建てるとなると、そのノウハウを持った人たちの協力は必須だろうし。それじゃあ、暫くの間よろしくねん」

 

 かつて砂漠のガーディアン事件の際に訪れたジウの町。今、あの町の町長はかつてアニーに使えていた老執事が行っている。その彼への紹介を約束し、おたま男も洞窟からの脱出を決め、共に付いてくる事になった。

 

「これでまた 血達磨包丁 ボッコボコ」

「五・七・五デスね。JAPAN風デス」

 

 忘れがちだが、おたま男はかつてリーザスコロシアムで開かれた武闘大会でベスト8の実績を持つ実力者だ。また一つ血達磨包丁のフルボッコフラグが立ったため、ロゼが楽しそうにしながら俳句を詠んでいる。すると、ホテルの方からシィルとあてな2号の二人が戻ってくるのが目に入った。

 

「あら? もう終わったの?」

「いえ……その……」

「酷いのれす。ご主人様は新人と二人でイチャコラするらしいのれす! 乱交したかったのれす」

「コパンドンと二人で? 珍しい事もあったもんね……」

 

 ランスは二人を外に出し、コパンドンと二人っきりで行為を行っているとの事。てっきり乱交するのかと思っていたロゼは少しだけ驚いている。

 

「しかし、コパンドンがあそこまで積極的に行くとはな」

「年齢を考えると、色々と後には退けないんでしょ。折角見つけた大吉くんだし」

「そんなに年齢がいってるのデスか?」

 

 ルークの呟きにロゼが答える。ポルトガルで一度会っているため、コパンドンの実年齢を知っている二人だ。対してコパンドンの年齢を知らないデス子は、あの童顔低身長が一体何歳なのか気になっている様子だ。

 

「でも……コパンドンもついてないわね。折角見つけた大吉くんなのに……」

「……そうだな」

 

 おたま男と談笑しているシィルをチラリと見ながらそう小声で口にするロゼ。それに対し、ルークも苦笑しながら頷くのであった。

 

 

 

-砂漠地帯 ホテルおたま ホテル内-

 

「ランス……絶対うちのもんにしてみせるからな……」

 

 ホテル内、行為を終えたコパンドンはベッドの上でランスに寄り添っていた。

 

「一回ヤっただけであまり調子に乗るなよ。シィルとは500回以上ヤっているんだ」

「なら、うちは一万回ヤる。いつかシィルさんを越えて、ランスの一番になってみせる」

「ふん、まあ精々頑張れ。可愛いうちは抱いてやるからな」

 

 コパンドンの肩を抱きながらランスがそう口にすると、コパンドンはグッと拳を握りしめた。それは、決意の表れ。

 

「(絶対に物にしたる……あんな奴隷女には負けへんで! ランスの女は、うちだけで十分なんや!)」

 

 そんな決意をコパンドンがしているとはつゆ知らず、ランスは行為後の余韻をまったりと楽しんでいた。

 

「(シィル、あてな、リズナ、コパンドン……美しい女たちをはべらし、飽きるまでヤりまくる。俺様のように選ばれた者だけが会得できる人生の特典だな)」

「ねぇ」

「ん?」

 

 すると、肩に寄り添っていたコパンドンが見上げるような体勢で問いかけてきた。その表情は、少しだけ憂いを帯びている。

 

「うち、良かった?」

「ああ、良かったぞ。グッドだ!」

「ランスが今まで抱いてきた女の中で一番良かった?」

「いや、それぞれ味があるから一番とは言いきれんな」

「失礼やなぁ……お世辞でも一番って言うとこやで」

 

 そう言いながらも、口調は甘えた風である。ここが押しどころと考えているのだろう。コパンドンも本気だ。

 

「ねぇ、ここを出たらどうするん?」

「家に帰って寝る」

「そうじゃなくて……みんな一緒にいる訳にはいかへんやろ?」

「そうだな。増築しないと部屋が足りないか」

「駄目や……誰か一人にしないとあかん……」

「むっ……」

 

 ふと真剣な表情になるコパンドン。ランスが眉をひそめるが、ここで退くわけにはいかないとばかりに言葉を続ける。

 

「みんなランスの事を必要としとる。勿論、うちもや。ランスの事が大好きや、ずっと一緒にいたい」

「大吉だから一緒にいたいんじゃないのか?」

「それもある。でも、それだけじゃない。好きっていうのは事実や」

 

 そっとランスの手に自分の手を重ね、まるで縋るような力で握りしめる。

 

「使い古された奴隷のシィルさんにするのか……馬鹿で変なあてな2号さんにするのか……嘘つきでランスを窮地に追い込んだリズナさんにするのか……ランスのために一生懸命尽くすこのうちにするのか……決めるのは、ランスや」

「…………」

「よく考えておいて……この旅が終わる前までに……」

「コパンドン……」

「うち、選んでくれるのを待ってるから……」

 

 ランスの唇に自身の唇を重ねる。自分を選んで貰うために他の三人を下にするような発言をした。だが、申し訳無いとは思わない。謝る気もない。ランスに選んで貰いたいと思っている気持ちに、偽りはないのだから。

 

 

 

-砂漠地帯 ホテルおたま 外-

 

「あ、出てきた」

 

 シィルたちから遅れる事三十分ほど。ランスとコパンドンもようやくホテルから出てきた。他の面々はすっかり休憩が済んでいるため、待ちわびていたところだ。

 

「がはは、では行くぞ!」

「一言くらい待たせてごめんとかあっても……」

「それがランス殿だ。一々気にしていたら身が持たんぞ」

 

 出るや否や自分勝手に出発を口にするランス。それを聞いたシトモネがぶつぶつと文句を言っている。まだランスの調子に慣れていないためだ。解放戦時にランスの人となりを知っているセシルがフォローを入れているが、まだ若干不満そうではある。

 

「シィルさん、うちランスの女になりました。これからよろしくお願いします」

「えっ……あっ……よ、よろしくお願いします」

「(正妻ポジの余裕か? 調子に乗っていられるのも今の内やで!)」

 

 ペコリと頭を下げるコパンドンに対し、シィルもつられて頭を下げる。その態度がコパンドンには余裕の態度に見えたのか、内心ではバチバチとライバル意識を飛ばしていた。そんなコパンドンの肩を叩く者がいる。振り返ると、それはロゼ。

 

「やっほー。ランスを物にするために頑張っているわね」

「ロゼやん……うち、負けへんで!」

「まあ、応援はしとくわ。でも、厳しい道のりよ」

「大した事ないわ! あんな奴隷女に遅れを取ったりはせえへん」

「……まあ、長く付き合ってれば見えてくるものもあるか」

 

 コパンドンはまだ知らない。ランスとシィルの絆の深さを。だが、それは他人に忠告を受けて知るものではないだろう。特にコパンドンのように後には退けない身となれば、自分の目で確かめて実感するしかないのだ。だからこそ、ロゼは何も言わない。

 

「ところで、ランスとはどうやって二人っきりになったの?」

「……初めてやから、二人っきりが良いって言ったら承諾してくれたんや」

「……あんた、初めてだったの?」

「……内緒にしといてな。旦那さんになる人に捧げようと思って大事に取ってきたもんやけど、流石にこの年齢までっていうのはちょっと恥ずかしいわ」

 

 乱交を中止するなど珍しいなと思っていたロゼだったが、これで合点がいった。というよりも、コパンドンがまだ処女であった事の方が驚きだったようだ。若くして乱れに乱れた生活を送っていたロゼにとっては、想像の範疇外であったからだ。

 

 

 

-洞窟内 暗闇地帯-

 

「うわ、暗っ! ほんまにこの道で合っとるんか?」

「合っているぜ。ここを抜ければもうすぐ出口だ」

 

 ようやく暗闇地帯まで戻ってきたルークたち。凱場の言うように、ここを抜ければ間もなく血達磨包丁が守る出口だ。凱場を先頭にして一行が歩いていると、リズナがルークに少しずつ近寄って来る。

 

「ルークさん、少しお話が……」

「ん? 判った、少し後ろに下がろうか」

 

 折り入って話があるというリズナ。表情から察するに、内密な話のようだ。幸い凱場や金竜、ランスやロゼ辺りが騒いでいるため、少し皆から離れれば話は周囲に聞かれずに済む。そう考えたルークはリズナと共に少し後ろに下がる事にした。暗がりの中に皆の背中を見ながら、リズナが小声で話し始める。

 

「ルークさん……ここを出たら、ルークさんにお仕えする事は出来ないでしょうか?」

「……急な話だな。どうした?」

「私の時間は数十年間止まっています。きっと、身内ももういません。ここを出ても、行くところがないんです」

「それで、俺のところに?」

「信用出来る人で一番に浮かんだのが、ルークさんでしたので……あ、でも、お邪魔で無ければですから……」

 

 リズナの境遇は理解している。三十年以上も前に行方不明になったとあっては、確かに両親は他界している可能性が高い。親戚も少ないようだし、今更外の世界に出てもどうしていいか不安が募っているのだろう。

 

「済まないが、明日も知れぬ身なんでな。他人の人生まで背負い込む事は出来ない」

 

 だが、ルークの答えは否。これはかなみやトマトのアプローチを避けているのと同じ理由だ。人類と魔人の共存を目指しているルークは、いつどこで果てるかも判らない身。それ故、その夢を実現するまでは誰とも添い遂げるつもりはないし、誰かの人生を背負い込むつもりもない。

 

「そうですか……すいません、忘れてください」

「だが、手を差し伸べる事は出来る。有事の際には頼ってくれ。必ず力になる」

 

 とはいえ行くあてのないリズナをそのまま放り出す気もない。ルークが連絡先の書いた名刺を差し出すと、リズナはまるで大事な物を包み込むかのように両手で受け取った。

 

「ありがとうございます……」

「身を寄せる場所を探すのにもし必要であれば、ゼスにいる友人に色々と協力して貰う事も出来るが?」

「……いえ、大丈夫です。その、ランスさんにもお聞きしようと思っているので」

「ランスにか?」

「はい。ランスさんの事も信用していますので……」

 

 先程リズナは信用出来る人で一番に浮かんだのはルークだと言った。となれば、二番目に浮かんだのがランスだったのだろう。確かに色々とあったものの、玄武城から脱出させたのは紛れも無くランスだ。その事への感謝の念は、多少の愛情も伴っているのだろう。

 

「そうか……何にせよ、必要であれば連絡をくれ。もしランスと一緒にいる事になっても、あいつの行動で困った事があれば頼ってくれて良いぞ。俺とランスは同じ町に住んでいるからな」

「あ、ご近所さんなんですか」

「一応な」

 

 しばし談笑した後、リズナがペコリと頭を下げて前方へと小走りしていった。恐らく、次はランスに仕えられないか尋ねるのだろう。

 

「(ランスなら断らない可能性もあるが、リズナの望んでいる形になるかは微妙か……)」

 

 リズナは自分を支えてくれる人間を欲している。確かにランスならばリズナを引っ張り、支えてくれるかもしれない。だが、シィルの存在がある以上、それは真の意味での支えとはならない。

 

「(帰ったら真知子さんとサイアスに連絡を入れておくとするか……)」

 

 両親の所在や身内の存在などを調査してくれる人間を思い浮かべながらルークも前を行く面々と合流する。すると、リズナがロゼと話しているのが目に飛び込んできた。てっきりランスに相談しに行っているとばかり思っていたから、意外な光景ではある。ルークが近寄るとほぼ同時にリズナはロゼにペコリと頭を下げ、今度こそランスの方へ近寄っていった。それを目で追いながら、ルークはロゼへと問いかける。

 

「リズナと何か話していたのか?」

「美女二人の密談を詮索しようとするなんて……スケベー」

「何でそうなる……?」

「冗談よ。でも、話の内容は秘密」

「ふむ……まあ、いいか」

 

 確かに無理に詮索するのもデリカシーに欠ける。普段こそふざけているが、リズナの事情をしっかりと把握しているロゼならばそこまでおかしな事もしないだろうと納得し、リズナの事は任せる事にする。

 

「それにしても、大冒険でしたね。誘ってくれてありがとうございます」

「油断するなよ。一応、まだボスが控えているんだ」

「あっ……そうですね、すいません」

 

 とことこと寄ってきたシトモネと談笑していると、ランスとリズナが後方に下がっていくのが見えた。恐らく先程と同じ話をしているのだろう。ランスは一体どのような答えを出すのか。

 

 

 

-洞窟内 脱出口前-

 

「お、あいつだな」

 

 あれから更に十数分後、先頭を歩いていた凱場が不意に立ち止まった。その声に反応した一同が凱場の視線の先を見ると、暗闇の中にバチバチと光る場所があった。周囲の暗がりの中でそこだけ空間が割けており、青空の広がった外の風景が見える。

 

「ここが出口か?」

「チドセセーが嘘を言っていなければ、恐らく……」

「いや……どうやら、真実を語っていたようデスよ」

 

 ランスの問いかけにリズナが不安そうに頷いていると、デス子が横の方を指差しながらそう口にした。そちらに視線を向けると、そこにはずらりと並んだ巨大な達磨の大群がいた。

 

「あれが血達磨包丁ですか」

「うむ、そこそこ強力なモンスターじゃから気を抜くでないぞ。まあ、わらわの敵では無いがの。一人でも余裕じゃ」

「お前さんが一番気を抜いてんじゃねーか」

 

 敵の姿を確認したアレキサンダーが闘気を纏い始める。既に臨戦態勢は整ったというところか。高笑いをしている金竜に軽く突っ込みを入れる凱場であったが、シィルとシトモネはそんな余裕を持てないでいた。何せ数が多すぎる。

 

「あれを全て倒さなくちゃいけないんですか……?」

「いや、あれはでかすぎる空間の裂け目をあれだけの数で塞いでいるに過ぎない。自分たちが動けばその分その場所の裂け目が大通しになるから、基本的に奴等は動かないはずだ」

「という事は、我らが脱出するためだけなら一体倒せばいいだけか?」

「そういうこった」

「漲ってきたのれすよ!」

 

 セシルの問いに頷く凱場。その返事を聞き、シィルとシトモネがホッと息を吐いている。そんな中、アレキサンダーがルークに耳打ちをしてきた。

 

「ルーク殿、後ろから来ている妖怪たちの事を考えれば、二、三体倒しておいた方が良いのでは?」

「そうだな」

 

 妖怪たちはランスにばれないようこっそりと付いてきている。数も多いため、出口が一つだけでは脱出に時間が掛かってしまうだろう。海苔子の失恋は聞いていないが、妖怪たちが後ろから付いてきている事はルークも知っているため、その提案にコクリと頷き、全員に向き直って口を開いた。

 

「ラストバトルだ。目標は血達磨包丁を三体撃破。気を抜くなよ」

「はい!」

「了解や。戦えるところもランスにアピールしておかんとな」

「ラストバトルが達磨風情じゃあやる気が出んな」

 

 全員が気を引き締める中、ランスだけが耳をほじくっていた。やる気のない態度にシトモネがムッとするが、ルークは苦笑しながら再度問いかける。

 

「なら、ジルやユプシロンがいいのか?」

「ふざけるな。俺様の敵では無いとはいえ、あんな面倒臭い連中と二度と戦うか」

「…………」

「ほらほら、じゃれ合ってないで構えなさい。私は後ろで声援送ってるから」

「楽なポジションデスね」

「シィルも合流したから、私が無理に出張って回復する必要も無いしね」

 

 その時、こちらが臨戦態勢に入っている事に気が付いた正面の達磨が威圧するような目でこちらを睨み付けてきた。

 

「俺の達磨、見せてやろうか?」

「あらん? ちょっと興味あるわねん」

「ほう……」

「この状況で威圧するとは中々の態度なのじゃ」

「気概はあるという事か」

「楽しめそうですね」

 

 何を想像したのかおたま男が頬を赤らめ、挑発されたと受け取ったセシルが不敵な笑みを浮かべながら剣を抜き、金竜が達磨を見上げながら威圧する。ルークも静かにブラックソードを構え、アレキサンダーが拳に炎を纏わせる。シィル、あてな2号、リズナ、コパンドン、凱場、シトモネ、まじしゃんと順々に構えるのを確認し、達磨がたらりと汗を流した。ここに来て、自分が喧嘩を売った相手がとんでもない精鋭揃いであることに気が付いたのだ。それを察せる辺り、血達磨包丁も間違いなく上位モンスターである。だが、流石に相手が悪い。

 

「だ……だる……」

「さてと……達磨風情は粉砕だ! 行くぞ!!」

 

 ランスの掛け声と共に、約二名を除いた一行が一斉に飛び出していった。後に響くのは、血達磨包丁たちの悲鳴。到底ラストバトルと思えぬ一方的なバトルがそこにはあった。

 

「Majiで血達磨五秒前」

「カパーラちゃんの4thシングルデスね」

 

 サボり、二名。

 

 

 

-街道-

 

 爛々と輝く太陽と澄み渡るほどの青天の下、ランスが盛大に伸びをしている。

 

「くぁーっ……ようやく外に出られたな」

「ランス、お疲れや!」

 

 一行は血達磨包丁を見事撃破し、こうして無事に外への脱出を果たしたのだ。何だか空が久しく感じるのは気のせいではないだろう。洞窟内の星空も綺麗だったが、所詮は紛い物。天然には敵わない。

 

「北、リーザス国境。南、自由都市ジオ……ランス様、南西に向かえば家に帰れますね」

「私はポルトガルだから南東だな。ルーク殿、誘ってくれて感謝する。存分に楽しめた」

 

 シィルとセシルが街道にあった立て看板で現在位置を確認する。どうやらここはリーザス付近であり、うし車を飛ばせば一日掛からずにアイスの町まで戻れそうだ。

 

「ジオでうし車を拾うとするか」

「そうですね」

「ふむ……道中のレッドに立ち寄ってセルさんに挨拶してくるか。久しぶりにスーとも会いたいしな」

「そりゃ喜ぶわね、主にセルが」

「自分はカスタムに寄ろうと思います。香澄殿に手甲の整備をしていただきたいですし」

 

 各々が今後の行動を決めている中、リズナだけが感慨深げに空を仰いでいた。

 

「(ここが、今の世界……)」

 

 数十年ぶりに仰ぎ見る本当の空。これ程綺麗だったかという思いもあれば、こんなものだったかという思いもある。自由を手に入れた幸福感もあれば、これからどうしようという不安もある。様々な感情が入り乱れる中、突如肩に違和感を覚えた。いや、これは違和感とは違う。どちらかというと、慣れ親しんだ重み。

 

「景勝……」

「リズナ、おめでとう」

「うん……ありがとう……」

 

 肩に乗ってきた景勝が言葉少なにそう告げる。今の二人に長い言葉は必要無い。ただただ、ようやく手に入れた自由を噛みしめるだけで十分なのだ。

 

「それじゃあ、行くか」

「ちょ、ちょっと待って」

 

 ランスがそう口にした瞬間、コパンドンが慌てた様子で前に出てきた。何事かと注目する一同をよそに、コパンドンは言葉を続ける。

 

「ランス、ここで決めて!」

「決める?」

「行ったはずや。誰を選ぶのか……まさか、みんな家に連れて行くつもりやないやろね?」

「(むっ、しまった。何も考えていなかったぞ……)」

 

 ああ、そういえばそんな事を言われていたなと思い返すランス。正直、今の今まで忘れていた。

 

「もう決まっとると思うけど、ハッキリ言ってやってや。そうじゃないと、他のみんなが可哀想や」

「コパンドンさん……」

「うちか、シィルさんか、リズナさんか……」

「あれ? あてなは?」

「あんたはペットみたいなもんやから、どっちでもええわ。害ないし」

「じゃあ、不戦勝れすね。えへへ」

 

 トコトコとランスの側に駆け寄っていくあてな2号。そして、ランスの横に立っていたシィルの背中を軽く押す。

 

「シィルちゃんはあっちれすよ」

「きゃっ」

 

 押し出されたシィルがランスの前に出る形になり、丁度リズナもランスの正面に立っていたため、件の三人がランスの目の前にずらりと並んだ形となる。

 

「おっ、修羅場デスか。わくわく」

「何でちょっと嬉しそうなんですか……」

「ほう、あの男もてるのか。わらわの趣味ではないがのう」

「へぇ、じゃあどういった男が趣味なんだ?」

「そ、それは……無礼者!」

 

 何故か目が爛々と輝いているデス子にシトモネが突っ込みを入れ、凱場と金竜はもう慣れ親しんだレベルの夫婦漫才を繰り広げているが、当事者たちには緊張が走っていた。

 

「(ランス様……)」

「(ランスさん……)」

「(決まっとる。絶対うちを選んでくれるはずや……)」

「まあ、そう慌てて一人に決めんでも、俺様が飽きるまで家に居ていいんだぞ」

「駄目や。そんなん、絶対いつか破綻する。それこそ、殺し合いにでも発展しかねん。ここで一人に決めてぇな」

「参ったな……」

 

 まさかあの言葉がここまで本気のものだとは思っていなかったのだろう。ポリポリと頬を掻きながら、ランスはまずリズナとコパンドンの顔を見据えた。

 

「リズナは俺様と一緒にいたいのか?」

「はい……出来れば、お仕えしたいと思っています」

「コパンドンは?」

「当然や。結婚したいと思っとる!」

 

 二人の口から紡がれたのは、嘘偽りの無い心からの言葉。それを聞いた後、ランスは最後にシィルの目を見据えた。

 

「シィル、お前はどうだ? 俺様から解放されるチャンスかもしれないぞ」

「……いやです」

「(嫌? それってどっちの意味や?)」

 

 一瞬、コパンドンにはシィルの返答がどちらを意味しているのか判らなかった。一緒にいたいのかという問いへの答えなのか、解放されたいという問いへの答えなのかで意味が正反対になるからだ。だが、ランスは聞き返す事はしない。シィルの返答がどちらを意味しているかハッキリと判っているからだ。だから、そのまま問いを続けた。

 

「俺様はこれからも酷い事をするぞ。お前は奴隷だからな。そんな生活から抜け出すチャンスなのだぞ」

「いやです……いやです……」

「そうか……」

 

 一言そう口にしたかと思うと、ランスは思い切りシィルを自身の胸に抱き寄せた。瞬間、心地よい風が吹いてくる。

 

「なら、お前でいいや」

「あっ……」

「ふっ……」

「なんでやーーーー!!」

 

 シィルが思わず声を漏らす。相当に不安だったのだろう。コパンドンの絶叫が周囲に響き渡る中、ルークはどこか嬉しそうに微笑んでいた。驚いた表情で自身の顔を見上げてくるシィルの頭を、ランスはくしゃりと撫でた。

 

「なんだ、驚いた顔をして。まさか選ばれないとでも思っていたのか?」

「で、ですが……」

「リズナちゃんもコパンドンも確かに良い女だ。だが、一人選ぶんだったら、使い慣れた女の方が色々と楽だからな」

「ランスさん……そうですか……」

「まだまだお前は俺様の奴隷だ。逃げるなよ」

「……はい、ランス様!!」

 

 ニヤリとランスが笑うと、シィルも満面の笑みで返す。この二人の間に割って入る事は出来ない。そう感じ取れてしまう程にお似合いの二人であった。リズナがそれを察し、少しだけ悲しそうな表情を浮かべているのを肩に乗っていた景勝が静かに見守っている。そして、二人の間には割っては入れないと察したのはリズナだけではない。

 

「全く、素直じゃないわねー……って、どうしたの?」

「いえ……少し、分不相応な想いを抱いてしまっていたなと……」

「……そう。まあ、アンタを見てくれている娘も必ずいるから、頑張んなさい」

 

 ロゼにポンと肩を叩かれるアレキサンダー。胸の中に抱いていた小さな恋心が、今ここに終焉を迎えた。そしてそれは、もう一人。

 

「ランスさん……」

 

 ランスたちが立っている場所から1km以上離れた場所に妖怪たちが集まっている。その内の一人、海苔子は首を伸ばして上空からランスたちの様子を伺っていた。何を話しているかまでは聞き取れない。だが、シィルを抱き寄せるランスの姿に全てを察してしまう。

 

「……うん、頑張ろう」

 

 この失恋は暫く引きずるだろう。だが、下は見ない。新天地に旅立つに辺り、海苔子は前だけを見る事を決めた。今度こそ、幸せを掴み取るために。

 

「諦めん! 絶対に諦めんでー!!」

「早めに見切って次の恋を探すのもオススメよ」

「いーや、諦めん! 次のチャンスなんかないねん!!」

「執念デスね」

 

 既に二人ほど乗り換えているまじしゃんの言葉が胸に突き刺さるが、ようやく見つけた大吉のランスをそう簡単に諦めては女が廃る。コパンドンが拳を握りしめて絶叫しているのを聞きながら、ランスはシィルを抱き寄せたまま口を開いた。

 

「さあ、帰るぞ!」

「はい、ランス様!」

 

 日にしてみれば僅か一日、二日。魔王も魔人も闘神も闘将もいない。それでも、どこか味がある。そんな小粒でもピリリと辛い冒険は、こうして終わりを迎えたのだった。

 

 




[モンスター]
血達磨包丁
 玄武城のある洞窟の出口を守っている上級モンスター。単純な戦闘力が高いのは勿論、戦闘が長引くと即死攻撃である呪いも放ってくる難敵。とはいえ今回は相手が悪すぎた。因みに、金竜の発言であるソロ撃破は本当に可能。5Dの金竜は強すぎる。

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