ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第156話 絶望的なまでの力

 

-カイズ AL教本部 祈りの間-

 

「(フェリス!?)」

「(アノ悪魔カ!)」

「(……誰だっけ?)」

 

 フェリスという名が部屋に響き渡る。それに対する一同の反応は様々。何が起こっても対応出来るよう身構えるアリオス、眉をひそめるコーラ、名前を完全に忘れているサテラ。そんな中、ハウゼルとシーザーはどこか期待を抱いていた。フェリス。シーザーはリーザス解放戦で、ハウゼルは闘神都市の戦いで共闘した悪魔の名前だ。悪魔という存在は基本的に階級によってその強さを変える。下の階級は低級モンスタークラス相当だが、上の階級になれば魔王すらも上回る力を持つ。それが悪魔。

 

「(ここでフェリスが来れば……)」

 

 ハウゼルが拳を握りしめる。悪魔フェリスは中級に位置する悪魔。その力は低級の魔人、つまりは自分やサテラと同等に渡りあえるだけの力を保有している。闘神都市の戦いでもパイアール相手に一人で長い間戦い続けていた。リーザス解放戦でも唯一ジルに最初から本気を出させていた。これこそが、フェリスの実力を物語っている。そして、彼女には自分たちにない強みがある。それは無敵結界を持っていないという、本来ならば弱みに当たるもの。

 

「(無敵結界ヲ無効化サレタセイデ、サテラ様トハウゼル様ハ敗北シタ)」

 

 ここで一つ言及しておこう。確かに勇者は強い。だが、魔人二人とガーディアンを相手取ってここまで圧勝するのは本来であれば流石に厳しい。今の状況、ハウゼルたちがアリオスに負けた大きな理由は無敵結界を過信しすぎたからである。これは他の魔人にも言えることだが、彼らは基本的に無敵結界によってダメージを受けないため防御が疎かになる傾向にある。かつてルークがアイゼルから奇跡的な勝利を収めた際も、パイアールの片腕を切断した際も、彼らの無敵結界があるという過信を逆手に取ったのが大きな要因である。

 

「(だけど、フェリスは違う……)」

 

 無敵結界を持たないフェリスは、自分たちのように防御が疎かになったりはしない。アリオスとの相性は悪くないはずだ。それに、ルークとの連携は抜群のはず。何せ使い魔なのだ。共に戦った回数は申し分ないはず。この状況を打破できる可能性。それは、ルークとフェリスのコンビによるアリオス打倒。

 

「…………」

「……?」

 

 部屋に反響していた声が次第に弱まっていく。その状況にアリオスは困惑する。何も起こらないのだ。

 

「……ルーク、どういう事だ?」

「参ったな……」

 

 アリオスの問いに対し、ルークは静かにため息を漏らす。その表情にはどこか笑みにも似たものが浮かんでいる。

 

「どうやら俺は振られちまったらしい」

「(嘘でしょ……またランスと呼び出しが被ったの!?)」

 

 ルークの気持ちを代弁するかのようにロゼが目を見開いて困惑する。召喚事故。これはつい最近にもあった出来事だ。ギャルズタワー攻略前に鬼ババアと戦った際、ランスが先にフェリスを呼び出していたためにルークが呼び出せないという事態があった。これは悪魔の契約に基づくもの。使い魔が主の呼び出しに応えられない状況は大きく分けて三つ。一つ、別の主に呼び出されている場合。二つ、使い魔自身が重傷及び酷く衰弱している場合。三つ、罪人となった場合。その理由の中から、ロゼは一番目の理由が原因だと完全に思い込んでしまっている。当然だ。二番目、三番目の理由はあまりにもイレギュラーすぎる。だからこそ、その僅かな可能性すらロゼは考慮していなかった。

 

「そうか……それは、何かをやろうとしたが失敗したという解釈でいいんだな?」

「そんなところだ」

 

 ハッキリとした口調でアリオスの問いに答えながら、ルークは剣を構える。そこには何の焦りも感じられない。ただ目の前の事態を受け入れ、その上で最善の行動を取ろうとしている戦士の姿。

 

「出鼻を挫かれた感じだが、そう簡単には遅れを取らんぞ」

「来い、ルーク!」

 

 アリオスの言葉に反応するように、ルークがスッと腰を落とす。それはルークの仲間に取ってはすっかりお馴染みとなった構え。

 

「真空斬!!」

 

 ルークが剣を振り抜く。放たれるのは闘気の刃。数多くの敵を屠ってきた刃が勢いよくアリオスへと迫る。

 

「……一式、ハヤブサ!」

 

 迫り来る真空斬を冷静に見据えていたアリオスだったが、静かにエスクードソードを振るった。そこから発生した鎌鼬がルークの真空斬を飲み込み、その軌道を変える。アリオスの体を狙った真空斬はそのままアリオスの横を抜け、後方の壁へと飛んでいってしまった。

 

「ルーク。この技はもう知っている」

「……そうだったな」

 

 まるで力んでいない。ルーク渾身の真空斬は、流れるような動きで軽々と躱されてしまった。同時にルークは思い出す。リーザス解放戦。あの時、アリオスは自分の部隊にいた。激しい乱戦の中、自分とアリオス、ルイスとセシルの四人は常に最前線にいた。当然、真空斬は何度も使っている。つまり、アリオスはこの技を『見て』いるのだ。

 

「お前の見切りっていうのは、自分が攻撃を受けなくても大丈夫なんだな」

「いや、自分が受けた方が効果は高い。だから今のは完全には見切れていないさ。もし見切っていたら……」

「見切っていたら?」

「剣すら振るわずに全て躱す」

「言ってくれる!」

 

 アリオスの言葉は真実だ。勇者特性の一つ、見切りは自身に対して放たれた技に対して最大限に効果が発動する。だが、その技が使われているのを見ただけでも、ある程度対処できてしまうのだ。これこそが、勇者の圧倒的なる学習能力。

 

「ふんっ!」

「…………」

 

 再度真空斬を二発ほど放った後、ルークが一気に間合いを詰めて斬り掛かる。それに対しアリオスは恐るべき行動を取る。放たれた二発の真空斬の間を潜り抜けるように前へと出たのだ。

 

『剣すら振るわずに全て躱す』

 

 瞬間、ルークの背中に冷たい何かが走る。確かに今の真空斬はアリオスを試すために放った。勇者の特性だという見切りがどれ程のものなのかを。結果は言うに及ばず。アリオスは直前に放った自身の言葉を実行したのだ。

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

 二人の剣が交差する。ブラックソードとエスクードソード。互いに名剣であり、どちらかの剣が折られるという事はない。これがもし妃円の剣であったら、幾度かの交差の末に折られてしまっていただろう。その点では、ルークのこれまでの冒険の経験が生きた形となった。

 

「(……覚えたぞ)」

 

 だが、『経験』を糧としているのはルークだけではない。ルークの一撃一撃、その攻撃パターンが、行動に入る前の微妙な所作が、アリオスの目にハッキリと映し出されていく。

 

「(長期戦は不利だな……)」

 

 アリオスと剣舞を繰り広げながら、ルークが静かに確信する。先の真空斬を見るに、アリオスの見切りは本物である。ならば、長期戦は不利。一気に決めなければならない。

 

「つあっ!」

「くっ……」

 

 アリオスの一撃が頬を掠め、一筋の血が流れる。強い。勇者特性に押し上げられているのは事実だろうが、アリオスという土台の強さは本物だ。

 

「(生半可な技では一撃で決められないな……)」

 

 選択肢は限られている。ルークの技、及び技の掛け合わせの中で一撃必殺級のものは決して多くない。いくつかの攻撃を浮かべたルークであったが、様々なデメリットなどを考えて最終的に残った選択肢は一つであった。

 

「(あの技しかないな……)」

 

 決断する。だが、すぐに動く訳にはいかない。『見切り』という特性上、相手が一撃必殺を狙ってくる事はアリオスとて承知しているはず。こうして戦いながらも、アリオスがハッキリと警戒しているのが判る。こちらの一挙手一投足をギラギラとした目で見てきているのだ。狙うは短期決戦、されど焦ってはいけない。一撃必殺へと繋げられる状況を確実に積み重ねていく必要がある。

 

「はぁっ!」

「……!?」

 

 ルークが一度フェイントを入れてからアリオスの首筋目がけて剣を振るう。始めて見る攻撃パターンに驚いたアリオスは一瞬反応が送れるが、すんでのところで首を動かし、ルークの一撃を躱す。否、完全には躱せていない。ルークの頬同様、アリオスの首筋から一筋の血が流れた。

 

「流石だ。解放戦の時以上だ」

「当たり前だ。あれからどれ程経っていると思っている」

 

 アリオスはそう言いながらも表情を崩さない。真剣勝負なのだから、その態度は当然といえる。だが同時に、ルークは一つの確信を得ていた。こいつは自分やリック、アレキサンダーといった人種とは違う。今上げた面々は、強者との戦闘をどこか楽しんでいる節がある。それに対しアリオスは、戦闘を楽しんでいるように見受けられない。どちらが正しく、どちらが狂人かという問答はひとまず置いておこう。アリオスの胸にあるのは一つ。正義の執行。

 

「一式、ハヤブサ!」

「くっ……はぁぁぁぁ!!」

 

 轟音が部屋に鳴り響き続ける中、呆然とした表情でその戦闘を見ている者がいた。来水美樹、魔王リトルプリンセスだ。

 

「…………」

「リトルプリンセス様、ここは危険ですから下がってください」

 

 苦しそうに立ち上がってきたハウゼルが美樹の肩に手を置く。美樹の頑丈さは知っているが、それでも万が一という事もある。

 

「ねぇ……あのおじさん、私を守ってくれたんだよね?」

「はい。あの人間、ルーク・グラントはこちらに加勢してくれています」

「……どうしてだろう。嫌な感じのするおじさんなのに……」

 

 随分と前、ルークと初めて会ったときに感じた正体不明の嫌悪感は今でも残っていた。それは、現役魔王の本能であろうか。対結界を持つルークに対し、美樹はそれを知らないながらも良い印象を持っていなかった。だが、その男は自分を守ってくれている。ならばあの男は良い人なのだろうか。本能で感じ取ったものと実際に起こっている事が矛盾しており、美樹の頭の中は混乱しきっていた。そんな中、シーザーやサテラもフラフラと立ち上がる。

 

「健太郎、リトルプリンセス様ヲ連レテ脱出シロ」

「えっ? 逃げるの?」

「お前たちだけだよ。ハッキリ言って、足手纏いだ」

「うぐっ……」

 

 健太郎が口ごもる。悔しいが、自分の実力はサテラやハウゼルに比べて大きく劣っている。

 

「そう落ち込まないで、健太郎。貴方が最後の砦、リトルプリンセス様を守るナイトなんだから」

「…………」

「隙を見て健太郎と共に奥の部屋に逃げ込み、そのまま壁を破壊して逃走してください」

「みんな、死なないよね……?」

 

 美樹の胸に不安が宿る。自分たちだけを逃がして仲間がこの場に残る。元の世界にいたときは、そんな漫画を何度か見てきた。そして、大概は仲間たちが命を落としてしまうのだ。そんな美樹に対し、ハウゼルが優しく微笑む。

 

「死にませんよ。リトルプリンセス様が魔王を継承してくれるまで、私たちは死にません」

「ぶぅ……魔王にはならないって……」

「その問答は今度にしましょう。必ずある『今度』に」

「……うん」

 

 まだ完全には納得いっていない様子だが、美樹がゆっくりと頷く。今の状況を生み出したのは自分であり、今この場に自分がいる事で迷惑を掛けているのも事実。それに、自分を守るために戦っているみんなには申し訳無いと思うが、死にたくないという思いも確かにある。元々は平和な世界で暮らしていたただの少女だ。その思いを消せというのは酷というものだろう。

 

「さてと……万全の状態とは言えないけど、私たちもそろそろ行くわよ」

「イツマデモルーク一人ニ戦ワセテイル訳ニハイカナイ」

 

 まだ傷は痛む。特にシーザーはみんなを守るように最前線に立ち続けていたため、その傷はかなり深い。だが、倒れている訳にはいかない。この戦いにはリトルプリンセスの命が掛かっているのだ。

 

「美樹ちゃん、僕の側を離れないで」

「うん、健太郎くん!」

 

 震える美樹の手をギュッと握る健太郎。彼女だけは絶対に守り抜く。そのためには、仲間を置いて逃げ出すという最低の行為だってやってのける。そう心に決めている。未だ不安そうにしている美樹を落ち着かせるため、健太郎は普段と同じ口調で先程の出来事を口にした。

 

「それにしても、あのルークって人は何がしたかったんだろうね。来い、フェなんとかって格好付けて叫んでいたけど、何も起こらなかったし。ちょっとダサかったよね」

「確かにな。全く、ルークは何がしたかったんだ?」

 

 健太郎の言葉にサテラが乗ってくる。腕組みをした状態で先程の出来事を思い出し、やれやれといった感じで首を振ってため息を漏らす。そんな二人をギロリと睨み付けるのはイシス。

 

「健太郎、サテラ様。それ以上余計な事を口にすると、私のかかと落としが乱れ飛びますよ」

「なんでっ!?」

「私もかよ!? 主人にかかと落とし飛ばすな!」

「ほらほら、じゃれてないで行くわよ」

 

 苦笑しながらハウゼルが小さく手を叩く。この面子をまとめ上げるのは相当に心労があっただろう。そんなハウゼルの苦労を垣間見られるじゃれあいをしながら、一同はルークとアリオスが戦っている方へと歩みを進めるのだった。

 

「真空斬!」

「近距離からの真空斬、そういうパターンもあるのか!?」

 

 ルークがゼロ距離で真空斬を放つ。かつてディオにも放ったルークの奥の手の一つだ。だが、それすらもアリオスには届かない。驚きながらもすぐさま剣から鎌鼬を放ち、ルークの攻撃を受け流すアリオス。圧倒的なまでの対応力だ。

 

「くっ……真空ざ……」

「見切った!!」

 

 ルークが真空斬を放ちながら後方へと跳びずさろうとした瞬間、アリオスが一気に間合いを詰めてきた。こちらがその行動に移ることを見切っていたのだろう。同時に、ルークはゾワリとした何かを感じ取った。アリオスの背後に、あの男の姿が見て取れたからだ。

 

「(ディオ……!?)」

 

 理由は判らない。だが、似ている。この男とディオはどこか似ているのだ。死んだはずの宿敵の影に一瞬体が強ばる。その一瞬の硬直をアリオスは見逃さない。

 

「取ったぁぁぁぁ!!」

「……!?」

「二式、ショウ……!?」

 

 ルークの腹部目がけて剣を振りきろうとした瞬間、アリオスは殺気を感じ取った。それは、自身の真上。瞬間、アリオスは上を見上げることもなく後ろへと跳びずさった。直後に鳴り響く轟音。強烈なかかと落としが先程までアリオスの立っていた場所の床を破壊したのだ。

 

「お前は……」

「ルーク、何を油断しているのですか? 私と戦った時のように、常に緊張感を保つべきです」

「……すまん、誰だ?」

 

 真剣な口調でルークの油断を咎めていたイシスであったが、ルークの思わぬ返しにビシッと体が硬直する。次いでイシスが取った行動は、自身の主を睨む事であった。

 

「…………」

「おぉぅ、何か知らんが物凄い形相でこっちを睨んできているんだが……」

「早ク元ノ状態ニ戻サナイカラデスヨ」

 

 強烈なイシスの視線を感じてシーザーの後ろへと隠れるサテラ。そんな状況に苦笑しつつ、ハウゼルがルークの側へと駆け寄ってくる。

 

「人間、加勢するわ」

「……魔人がか?」

「ええ。リトルプリンセスを殺させないのが最優先だから」

 

 当然、これは二人の演技。魔人側に加勢してしまった今続ける必要も無いのだが、元々知り合いであった事を見せて悪戯にアリオスやコーラを刺激する必要も無い。そんなアピールをしつつ、ハウゼルがアリオスたちには聞こえぬよう小声で話しかけてくる。

 

「因みに、あのガーディアンはイシスよ」

「イシス!? 小さくなりすぎだろ……それに喋って……」

「言語機能は最新機能。小さいのは未完成だから。貴方とリックとの再戦を心待ちにしていたみたいだから、貴方に気付かれなかったのがちょっとショックだったみたい」

「流石にあの姿で気が付けというのは厳しいな……」

 

 そんな会話をしながら、ルークは一歩前に出て構える。その隣に立つのはイシス。すぐ後ろにシーザーとサテラ、最後方にハウゼルという布陣が整う。リーザス解放戦、闘神都市の戦いに続き、人間と魔人の三度目の共闘だ。その姿を見ながら、コーラが小さく息を吐く。

 

「悪しき者たちが手を組んだのね。でも、勇者には勝てないわよ。絶対にね」

「舐めんな! 行くぞ、シーザー、イシス!!」

「言われずとも! 私に続け、ルーク!」

「了解だ!」

 

 サテラの檄と共にルーク、イシス、シーザーの三人が飛び掛かる。先陣を切ったのはイシス。素早い動きでアリオスとの間合いを詰めたかと思うと、すぐさま高速の回し蹴りをアリオスの腹部へと放つ。響きわたる轟音。アリオスのエスクードソードとイシスの岩のような体が衝突した音だ。

 

「悪いが、お前の動きは全て見切っている」

「ふっ!」

 

 アリオスの言葉を遮るように、イシスはその体をくるりと回転させ再度回し蹴りを放つ。先程よりも勢いのついた強烈な一撃だが、アリオスは体を少しだけ後ろに動かし、それをすれすれのところで躱す。偶然ではない、狙ってやっている。そしてそのままエスクードソードを高々と掲げ、イシスへと振り下ろそうとするアリオス。だが、そのアリオスに向かってルークが飛び掛かる。

 

「はぁっ!!」

「ちっ……」

 

 すぐさまアリオスは手を返し、イシスへと振り下ろそうとしていた剣でルークの攻撃をガードする。直後、今度は自身の腹部目がけてイシスの回し蹴りが跳んでくる。

 

「ふっ、はっ!」

「キメサセテモラウゾ!」

「サテラも忘れるな!」

「くっ……」

 

 ルークとイシスの連続攻撃を必死に捌いていたアリオスであったが、更にシーザーとサテラも参戦してくる。四対一。その上ルーク以外の三人は連携が驚くほど取れている。これでは流石に分が悪い。

 

「アンタの勇者様、防戦一方になっちゃったみたいだけど?」

「本当ね。大変」

「(随分と余裕があるわね。この状況でも勝利を疑っていないって言うの……?)」

 

 邪魔にならないように後方で観戦していたロゼ。その側にテクテクとコーラが近づいてくる。今、この状況で敵と思われる自分の前に悠々と近づいてくるとは大した度胸だ。いや、違う。これは舐められているのだ。自分にはコーラをどうにかするほどの戦闘力はない。そう思われている。

 

「おらおらおらおら!」

「…………」

 

 サテラの鞭が乱れ飛び、シーザーの鉄拳が振るわれる。イシスは蹴りと剣の連続攻撃を繰り出し、ルークも真空斬と直接攻撃で連撃する。防戦一方。傍目からは確かにそう見える。だが、真実は違う。

 

「(ここまで……強いというのか……)」

「(化け物め……)」

 

 ルークとイシスが同時に剣を振るうが、それは虚空を斬る。四人からの猛攻を受けながら、アリオスはここまで一撃もクリーンヒットを受けていない。流石に頬を掠める、肩を掠めるといった多少の傷は受けているが、戦闘を続けるに当たってまるで問題のないレベルのダメージだ。

 

「(だけど、反撃をする余裕も無い! このままならサテラたちの勝ちだ!)」

 

 当たらぬ鞭に苛つきながらも、現状はしっかりと把握しているサテラ。確かに自分たちの攻撃は当たらないが、あちらは反撃する余裕すらない。いくらこちらの動きを見切れていても、反撃の隙すらも与えぬ連続攻撃の前には為す術はないのだ。それが、人間の限界。

 

「(いくら勇者の特性が凄くても、人間に不可能な動きは出来ないはずよ。そして、もう一つ……)」

 

 ハウゼルが自身の銃身に魔力を溜めながら心の中で呟く。これが、ハウゼルの至った勇者撃退法。多勢に無勢という程の手数で完全に動きを封じ、最後に自分が逃げ場のない程の広範囲魔法で決める。これならば、どれだけこちらの動きを見切れていても為す術はない。先程までは動きを止めるのにこちらの手数が足りなかったが、ルークが加勢してくれたお陰で遂に手数が揃った。健太郎には申し訳無いが、戦士としての練度が違いすぎる。

 

「いけるわ!」

「……!?」

 

 ハウゼルが叫ぶ。それが合図であった。これまで猛攻を繰り広げていたサテラたちは一気にその場から離れる。唯一この作戦の詳細を聞いていなかったルークに関しては、シーザーがその体を持ち上げて引っ張っていった。ハウゼルの目の前の視界が開け、直線上にアリオスの姿が見える。ここで決めるしかない。

 

「タワーオブファイア!!!」

 

 放たれるは高濃度の魔力の塊。普段はレーザー上に射出する事の多いタワーオブファイアの魔力だが、今は違う。扇形のように広がっていった魔力はそのまま一気にアリオスへと迫る。これがハウゼルの隠し球の一つ。タワーオブファイアによる広範囲殲滅魔法。ハウゼルに限らず、魔人という存在は多かれ少なかれ奥の手を隠し持っている。それを今解禁する。全てはリトルプリンセスのために。

 

「……!?」

「(上手い! 流石はハウゼル)」

「いった! これは避けられねぇ!」

 

 目前まで迫る灼熱の炎に逃げ場はない。ルークも感嘆し、サテラも勝利を確信して叫ぶ。それ程までに穴のない戦法であった。そんな中、アリオスが全力で横へと駆ける。だが、部屋の壁から壁まで広がった魔力から逃れる場所など無い。苦し紛れの行動。全員の目にそう映っている中、唯一人ロゼだけが違うものを見ていた。

 

「(……魔法陣!?)」

 

 気が付けたのは、隣に立つコーラがこの状況でもなお余裕の表情であったためだ。アリオスの走った先にある床が微かにだが光っているのだ。目を凝らして見ると、そこには魔法陣。すぐに部屋中を見渡す。すると、上手く隠されているが部屋の中にはいくつかの魔法陣があった。嫌な予感がする。これは一体何の魔法陣なのか。

 

「ごめんなさい。でも、リトルプリンセス様を殺させる訳にはいかないの!」

 

 ハウゼルの声が響き、灼熱の炎がアリオスを飲み込んでいく。そのまま奥の壁も破壊し、轟音がAL教本部中、いや、カイズ中に響き渡った。

 

 

 

-川中島 カイズ 船着き場-

 

「な、なんだ!?」

 

 民衆を船へと先導していたロードリングが思わず叫ぶ。AL教本部の方から響いた轟音はそれ程のものであった。一体あの場所で何が起こっているのか。

 

「……ロゼ・カド」

 

 周囲のざわめきが聞こえる中、船着き場へとやってきていたクルックー・モフスは一度AL教本部を振り返る。脳裏を過ぎるのは、今あの場にいるであろう神官の顔。

 

「…………」

 

 だが、向かうような事はしない。彼女にとって、それはAL教の教えに反する事。静かに踵を返し、ゆっくりと船に乗り込んでいくのだった。

 

 

 

-カイズ AL教本部 祈りの間-

 

「やった……んだよな……?」

 

 轟々と立ち込める煙と、消滅した目の前の壁。やわな造りであればで建物ごと崩れ落ちていてもおかしくない一撃であったが、そこは流石AL教本部といったところか。アリオスの姿は、どこにもない。今の一撃で消滅したのだ。

 

「勝った……」

「違う! まだアリオスは生きているわ!」

 

 ハウゼルが疲れたようにタワーオブファイアを降ろしたその時、ロゼの絶叫が響き渡る。同時に、ハウゼルの視界が少しだけ暗くなる。何かの攻撃か。違う、自身の上にある何かが影を作っているのだ。すぐに天井を見上げたハウゼルの視界に入ってきたのは、剣を構えたまま上空から降りてくるアリオスの姿であった。

 

「そんな……」

「六式、サバキ!」

 

 振り下ろされる凶刃。一瞬何が起こっているのか周りの者には理解出来なかった。当然だ。逃げ場のなかったはずのアリオスが、いつの間にか遠くにいたはずのハウゼルに斬り掛かっていたのだ。ゆっくりとハウゼルの体に直線が走ったと思うと、次の瞬間その傷口から大量の血が噴き出した。そのままゆっくりと崩れ落ちていくハウゼル。

 

「ハウゼル!!」

「貴様……ヌッ!?」

 

 有り得ぬ事態に動転を隠せぬサテラたち。だが、その隙はあまりにも命取り。いつの間にか目の前まで迫っていたアリオスに驚愕するシーザー。何とか迎撃しようと拳を振り上げるが、既に勝負は決していた。シーザーが拳を振り下ろすよりも早く、アリオスは剣を横薙ぎに振るっていたのだ。

 

「二式、ショウキ!」

 

 轟音と共にシーザーの体が地に落ちる。一瞬何が起こったのか判らなかったシーザーだが、すぐに理解する。両足が斬られたのだ。

 

「貴様……」

「お前は頑丈で倒すのに骨が折れるからな。暫くそのまま寝ていろ」

 

 冷徹な瞳でシーザーを見下ろすアリオスと、屈辱的なまでの後悔が胸を占めるシーザー。これではもう戦えない。足自体は原形を留めているため、戦闘が終わればサテラがすぐに修繕してくれるはずだ。だが、この戦闘においてはもうシーザーは立ち上がる事が出来ない。恐るべきは、頑丈な体のシーザーを両断したあの剣、エスクードソード。

 

「お前ぇぇぇぇ!!」

「許さん!!」

 

 飛び掛かるサテラとイシス。その光景はまるで、先程の焼き直し。リトルプリンセスを守るために戦い、そのまま敗れていった先程と同じ状況だ。そしてその悲劇は繰り返される。

 

「ぐっ……」

 

 イシスが強烈な一撃で壁へと吹き飛ばされ、その事に一瞬動揺したサテラに対しアリオスは剣を一直線に突き出す。そしてその切っ先は、サテラの腹部を貫通した。

 

「がっ……」

「サテラ様!」

 

 グジュリという感触をその手に感じながら、アリオスはゆっくりと剣を引き抜く。目の前には、腹部から血を吹き出して跪く魔人サテラの姿。そしてアリオスはそのままゆっくりと剣を振り上げた。

 

「魔人サテラ、ここで滅せ!」

「くっ……」

「真滅斬!!」

 

 尋常では無い殺気と闘気が自身に迫っているのを感じ、アリオスはすぐさま後ろを振り返る。そこにあったのは、剣を振り上げて飛び掛かってくるルークの姿であった。尋常では無い闘気の正体は、ルークの持つブラックソードに集まっているもの。

 

「……!?」

 

 咄嗟にエスクードソードで真滅斬をガードするアリオス。これまでの中でも一際大きい金属音が響き渡り、次いで闘気がぶつかり合ったために起こる衝撃波のような風が部屋に吹き荒れた。

 

「くっ……」

「何という一撃……これがお前の奥の手か!?」

 

 真滅斬の一撃を受け止めたアリオスの腕は痺れ、筋肉が悲鳴を上げるのが感じ取れていた。強烈な一撃だ。それこそ生半可な剣であれば簡単に折られていただろうし、生半可な鍛え方であれば受け止めただけで骨が折れていただろう。だが、アリオスは耐えた。勇者にしか使えない伝説の名剣。勇者特性のため現在レベルこそ低いが、勇者として鍛え上げ続けた強靱な肉体。その二つがルーク渾身の一撃を受け止めたのだ。そして、思わず声を漏らす。これがお前の奥の手か、と。これを聞いたルークは確信を得る。やはりアリオスは一撃必殺の奥の手に対して警戒していた。だからこそ、狙える。今であれば、もう一つの奥の手を。

 

「アンタの仕業ね、コーラ!」

「ご名答」

 

 目の前で繰り広げられる激闘を見ながら、ロゼは横に立っているコーラを睨み付ける。その反応を見てニヤリと笑うコーラ。

 

「あの魔法陣、転移魔法ね? テレポートウェーブの小さい版ってところかしら?」

「その通りよ。勇者の従者が何もしないと思って? 戦闘能力は低いけど、その分支援魔法には特化しているのよ。この部屋でアリオスと魔人たちが戦っている間に、コソコソと部屋中を歩き回って魔法陣を描いていたの」

「あんな天井にどうやって描いたのよ」

 

 ロゼが憎々しげに天井を見上げる。そこには微かな光を発している魔法陣があった。そう、先程アリオスがタワーオブファイアを躱せたのはこの魔法陣による転移を行ったためである。事前にコーラが部屋中に描いていた魔法陣の一つに乗り、コーラが小さく詠唱をする。すると、別の魔法陣へとワープできるという寸法だ。かつて四魔女事件で志津香が使っていたテレポートウェーブの簡易版である。

 

「一から魔法陣を描くなんていうナンセンスな事はしないわ。こういった物があるの」

 

 腰に下げていた道具袋から小さな玉を取りだし、それを地面へと落とすコーラ。すると、床に他と全く同じ形をした魔法陣が描き出された。

 

「あらやだ、便利な代物だこと。いくつか私にも頂戴よ」

「1つ100万GOLDね。とある地下迷宮の25階で見つけた貴重な魔法道具だから」

「勇者の従者なのにケチね。それを天井に向かって投げたのね?」

「ええ、流石にばれないか不安だったけどね」

 

 天井に向かって小さな玉を放り投げる。確かに平時であれば見逃されない行為だろうが、アリオスの圧倒的な強さに押されていたハウゼルたちがそれを見逃していても不思議ではない。いや、コーラの事だから彼らがアリオスに集中しているタイミングを見計らって天井に投げたのだろう。狡猾な従者である。

 

「ねぇ、一つ聞いていい?」

「あら、何かしら?」

「アンタさっき、エスクードソードの解禁は自分の手でたぐり寄せたって言ったわよね?」

 

 それまで余裕の表情を浮かべていたコーラの体がピクリと動く。その表情から笑みが消え、どこか邪悪なものに変わっていく。

 

「言ったかしら?」

「ええ、言ったわ。アンタ、何したの?」

 

 真剣な表情で質問を続けるロゼ。逃がさない、そう目が語っている。それを感じ取ったコーラは一度ため息を吐き、ロゼを見上げながら口を開いた。

 

「大した事はしてないわ。パーセンテージで現せば、0.1パーセントにも満たない些細な事」

「……?」

「アリオスはこれまで人助けのために数多くの町を回ってきたわ。各地で勇者と持て囃され、私たちは絶大の信頼を得ていた」

「それがどうしたっていうの……?」

「そんな町の中には、人口だけは多い田舎町というのが沢山あるの。さっき話した自由人が暮らす町に多いわね」

 

 淡々とした口調で話すコーラ。だが、ロゼはどこかその口調に邪悪なものを感じ取っていた。本当に目の前に立つのは勇者の従者なのか。そう疑ってしまう程の嫌悪感だ。

 

「冒険を終え、町の人たちから感謝をされながら次の町へと旅立つ。そんな爽やかな旅立ちの直前、私は今言ったような町ではある行動を取る事にしていたの。アリオスには内緒でね」

「ある行動……?」

「町の井戸に毒を投げ込んでいたの」

 

 その言葉は、ロゼにしか聞こえていない。ルークとアリオスは戦いに集中しているし、他の者たちはダメージで床に倒れている。何よりも、コーラの声は部屋に響き渡る戦いの轟音でかき消されている。だからこそ、ロゼは一瞬今の言葉は自分の空耳かと思った。これまでAL教の神官として数多くの経験をしており、ルークの仲間の中でも一歩引いて物事を見られるロゼですら今の言葉が信じられなかったのだ。

 

「アンタ……何言ってんの……?」

「ちゃんとした『人』として認められていない自由人だから、大きくは報道されないわ。酒場に置かれている報道紙の片隅に小さくこう書かれているの。山村の悲劇、住人500人怪死、ってね。アリオスは知らない。誰も知らない。私がコツコツと積み重ねてきた死者の数を」

 

 勇者に救われた住民たちは、彼らに心の底から感謝していただろう。だからこそ、自分たちを殺したのがその勇者の従者であるとは夢にも思っていなかっただろう。毒を飲み、次々と倒れていく彼らは死の間際何に縋ったのだろうか。ALICE様か。大国の王か。多分違う。彼らは死の間際、こう思ったはずだ。『勇者様、助けて』、と。

 

「アンタ、腐ってるわ……」

「人類を救うためには、多少の犠牲はやむを得ない事よ。貴女はその辺を割り切れる人だと感じていたのだけど?」

「言いたい事は判るわ。世界を救う為っていう大義名分も理解出来る。でもね……」

「でも……?」

「単純にむかつくのよ! 来なさい、ダ・ゲイル!!」

 

 ロゼが右拳を握りしめて叫ぶ。それは、いつもとは違う召喚の合図。普段は意味も無い魔法陣を地面に描き、呼び出す言葉も『カモーン』という真剣味の足りないものだ。だからこそ、今のロゼがどれだけ真剣なのかをこの行動だけで読み取れる。空間が歪み、ロゼの目の前に異形の悪魔が姿を現す。

 

「悪魔召喚……AL教の神官なのに、貴女も悪しき者なのね」

「悪人でも狂人でも何とでも呼びなさい。でもね、人間として腐る気はないわ!」

「ロゼ様、何用だか?」

「その女、引っ捕まえて!!」

「了解だ!」

 

 ダ・ゲイルが勢いよく腕を振るって目の前のコーラを確保しようとするが、コーラはパチンと自身の指を鳴らす。すると、足下の魔法陣が光を増した。先程天井にある魔法陣の話をしていた際に、コーラが玉を落として作り出した魔法陣だ。そしてそのままコーラは転移する。ロゼともルークとも距離を置いた部屋の片隅に。

 

「全力で逃げ続けるわよ。今までもアリオスに勝てないと悟った悪党の中には、私を捕縛しようとする者も多かったからね」

「逃げるのには慣れているって訳ね」

 

 これがロゼの考えていた勇者撃退法。アリオスを倒すのではなく、従者であるコーラを人質に取ってアリオスと交渉をするというもの。真面目なハウゼルなどでは思い浮かばない裏道といえる手段だ。だが、どうやらそれも難しそうだ。転移魔法はアリオスのためではない。自分が逃げるために作られていたのだ。となれば、魔法陣はこの部屋の外にもあるだろう。流石に目の届かないところに逃げられてはどうしようもない。

 

「コーラに手を出すな」

「……!?」

 

 乾いた声がロゼの耳に届く。それは、アリオスの声。自身の従者を狙われたアリオスはルークの猛攻を振り切り、剣を振りかぶってこちらに駆けてきていたのだ。ロゼにアリオスの一撃を躱す術は無い。だが、守る者ならばいる。

 

「ふんっ!」

「……!? 悪魔か!?」

 

 ロゼの間に割って入ったのは、使い魔のダ・ゲイル。鋭い爪をアリオスに振るい、その突進を止める。

 

「ロゼ様、どうすればいいだか?」

「命令変更! ルークと協力してそいつを倒して! 気を付けて、魔人クラスの強敵よ!」

「了解だ! こっちも話があるだが、流石に後の方がいいだか?」

「後にして」

「んだ! がぁぁぁぁ!!」

 

 ロゼからの指示を受け、ダ・ゲイルが口から炎を放つ。流石にそれは剣で防ぎきれないため、アリオスが一歩後方へと跳びずさる。同時に、後方に一式ハヤブサ振るった。発生した鎌鼬が迫っていた真空斬の軌道を変える。そう、ダ・ゲイルに気を取られているアリオスの背中目がけてルークが真空斬を無言で放っていたのだ。だが、それすらもアリオスは完全に見切っている。

 

「悪魔は存在そのものが悪。容赦はしないぞ」

「何を訳の判んねぇ事言ってるだか? 悪って言葉は、自分にとっての敵って意味でしかねぇべ!」

 

 両手の爪を交互に振るうダ・ゲイル。初めて見る攻撃であるため、アリオスは無理に攻め込まない。じっくりとダ・ゲイルの攻撃パターンを観察し、その上で確実な勝利を収める。見切りという特性を持つアリオスの常勝パターンだが、今はこれが勝機に繋がる。僅かな時間が出来たのだ。

 

「回復の雨!」

 

 ロゼがハウゼルたちに回復の雨を使うが、かなりの重傷を負っている一同に効果は薄い。動けるようになるには相当の時間が掛かるだろう。そんな中、ルークはダ・ゲイルの加勢にいかず、ハウゼルへと近づいていく。

 

「ハウゼル。大丈夫か?」

「何とか致命傷は避けたわ……でも、暫くは動けなそう……」

 

 自身の傷口に手を当てるハウゼル。ドロリとした血が手につく。中々の重傷だ。無理に動けばまだまだ血が噴き出してしまうだろう。

 

「……ファイヤーレーザーを使う事は出来るか?」

「えっ?」

 

 ルークの口から飛び出したのは意外な言葉。多少無理すれば撃てなくはない。だが、今この状況でそれをする事に何の意味があるのか。

 

「一発くらいなら撃てるけど……」

「なら頼む。狙う対象は……」

 

 ルークとハウゼルがそんな密談をしている間も戦闘は続いている。ダ・ゲイルがアリオスの左足目がけて右足を踏み抜く。すんでのところで躱したアリオスだが、床の破片が飛び散った。シーザーほどではないが体格の良い悪魔なだけあり、一撃一撃が強力だ。だが、その動きにももう慣れてきている。

 

「がぁぁぁ!!」

「一式、ハヤブサ!!」

 

 ダ・ゲイルの放った炎に対し、アリオスは待っていたとばかりに剣を振るった。発生した鎌鼬は炎を左右に斬り裂き、アリオスの直線上にダ・ゲイルの無防備な姿を映し出した。

 

「んがっ!?」

「消えろ、悪魔!」

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 ダ・ゲイルとの間合いを詰めようとしていたアリオスだったが、背後から聞こえてきた声に思わず振り返る。それは、ルークの声。両手で剣を握りしめたルークが勢いよくこちらに駆けてきていたのだ。そしてそのままアリオス目がけて高く跳び上がる。高々と掲げた剣がこれから何をしようとしているのかを物語っている。

 

「真滅斬か! だが、それは既に見切っているぞ!」

 

 アリオスがそう口にし剣を構えたその瞬間、ハウゼルの声が響き渡った。

 

「ファイヤーレーザー!!」

 

 放たれた炎の光線に視線をやるアリオス。だが、何かおかしい。この軌道では自分に当たらない。ハウゼルの手から放たれたファイヤーレーザーはアリオスではなく、真っ直ぐとルークに向かっていった。いや、正確にはルークの持つ剣、ブラックソードに。

 

「何を!?」

 

 コーラが身を乗り出すのと同時に、ハウゼルの放ったファイヤーレーザーがブラックソードとぶつかる。本来であればそのままルークの手を飲み込んで焼き払うはずの炎の光線がゆっくりと収縮していき、眩い光と共にブラックソードに飲み込まれていく。

 

「マサカ……」

「魔法剣!?」

「いつの間に!?」

 

 轟々と燃えさかる炎を纏ったブラックソードを目の前にし、シーザー、イシス、サテラの三人が驚愕する。シーザーとイシスは気が付いていたが、ルークの持っていた剣はリーザス解放戦の時と違う。前の剣も十分名剣の部類であったが、ルークの手に入れた新たな剣はそれを遙かに上回る隠し球を持っていたのだ。魔法を吸収し、自らの力にするという奥の手を。

 

「これで決めるぞ、アリオス! 真滅斬!!」

「(それは悪手だよ、ルーク……)」

 

 奥の手だと思っていた真滅斬の更に上をいく技、ファイヤーレーザーを吸収した真滅斬。これこそがルークの真の奥の手なのだろう。確かにその威力は想像も及ばない。当たれば自分とてただでは済まないだろう。だが、それは当たればの話。

 

「(威力が上がろうと、炎を纏おうと、それは真滅斬に過ぎない)」

 

 見える。ルークの視線が、筋肉の動きが、大気の淀みが。故に判る。この剣がどのような軌道を取り、どこに振り下ろされるのかを。動くのが早ければルークは軌道を変えてくる。だからこそ、それが出来ない完璧なタイミングで、アリオスは横へと跳びずさった。振り下ろされる真滅斬は空を斬り、床に打ち下ろされる。舞い散る破片を目に映しながら、アリオスは自身の勝利を確信して剣を振るった。

 

「二式、ショウキ!!」

 

 横薙ぎに振るわれたエスクードソードがルークの体を両断する。おかしい。確かにショウキは強力な一撃だが、鎧を纏っているルークの体を両断するような威力ではない。それなのに、ルークの体は両断した。

 

「(……違う!?)」

 

 瞬間、アリオスは異変に気が付く。エスクードソードはルークを斬ってなどいなかった。目の前には何も無い。ただの虚空だ。アリオスが見ていたのは、ルークの残像。同時に、真後ろに人の気配を感じた。

 

「なんですって!?」

「嘘だ! サテラが見えなかったぞ!!」

「この動き、メガラスと同等……?」

「(ルーク・グラント……!)」

 

 アリオスが振り向くよりも先に周囲の者たちが騒ぐ。先程までアリオスの目の前にいたはずのルークが、いつの間にか後方へと回り込んでいたのだ。目にも止まらぬ超スピード。ハウゼルがメガラス級と評価するのも無理は無い。コーラですらその動きに驚愕し、サテラが目を見開いてルークを見る。そんな中、イシスは身震いをしていた。リーザス解放戦時はスピードでは自分が勝っていた。魔人界を見渡しても、魔人メガラス以外にスピードで負ける気はなかった。しいて上げるならば、魔人ケッセルリンクが自分と同等のスピードだろうか。力のシーザーと速さのイシス。それ程までにイシスは自身のスピードに自信を持っていた。だが、目の前の男は人間でありながら越えられぬはずの壁を打ち破ってきたのだ。これで震えなければ戦士ではない。

 

「ルーク……!?」

「終わりだ、アリオス!」

 

 腰を落とし、闘気と炎を纏った剣を勢いよく突き出す。今ようやく後ろを振り返ったアリオスには、この突きを避ける術がない。

 

「虎影閃!!」

 

 放たれた突きがアリオスの胸部に直撃し、身に纏っていた鎧が砕ける。これこそが、あのディオを打ち破った奥の手であり、ルークの至った勇者撃退法。韋駄天速から虎影閃へのコンボ技だ。鎧の破片をばらまきながらアリオスが勢いよく後方へと吹き飛び、壁に激突する。

 

「よっしゃあ!」

「直撃だ。ありゃ立てねぇだべさ」

 

 ロゼがガッツポーズを取り、ダ・ゲイルが今の一撃がクリーンヒットであった事を口にする。ハウゼルやサテラたちも勝利を疑っていない。あれ程強力な一撃を受けたのだ。アリオスはもう立ち上がれない。

 

「(何だ、今の違和感は……)」

 

 そんな中、ルークだけが違和感を覚えていた。虎影閃が胸に当たった。鎧を砕いた。そこまではいい。だが、そこからがおかしい。何故剣はアリオスの体を貫通しなかったのか。かつてディオに放った時はその体を貫通した。鎧に阻まれたとはいえ、アリオスの体を貫通しないのはおかしい。では、アリオスが自ら後ろに跳んだのか。違う、そんな余裕はなかったはず。何にせよ、このまま突っ立っている訳にはいかない。アリオスに追撃を掛けようとルークが前に出ようとする。韋駄天速の影響で足が痛むが、そんな場合ではない。何か嫌な予感がするのだ。

 

「……!?」

 

 そして、その嫌な予感は実現する。ルークが追撃を掛けるよりも早く、今し方勢いよく壁へと吹き飛ばされたアリオスが静かに立ち上がったのだ。絶句する一同。

 

「なっ……」

「バカナ……」

 

 今の一撃は完璧であったはず。それなのに、何故アリオスは平然と立ち上がれるのか。ゆっくりと立ち上がったアリオスは左手を自信の右胸に当てる。歪な円形に砕け散った鎧の中に手を入れ、ごそごそと何かを探り始めた。数秒後、そこから出てきたのは中心に宝石が埋め込まれた石。何やらお守りのようだ。そして、その中心にある宝石がピシリと割れている。

 

「そうか……リリナが俺を守ってくれたのか……」

 

 その言葉でルークは全てを理解する。ルークの一撃は確かにアリオスに直撃した。鎧を砕き、その先にあるアリオスの体を貫くはずであった。だが、アリオスがアンダーウェアの胸ポケットに入れていたあのお守りがルークの一撃を防いだのだ。ルークは知らなかったが、あのお守りには炎ダメージを軽減する効果がある。鎧によって勢いの落ちた攻撃とそのダメージ軽減が合わさり、ルークの一撃はあのお守りを破壊するのが精一杯になってしまっていたのだ。

 

「なんだそれ、ふざけんな!」

「あんな小さなお守りに阻まれるですって!? どんだけの確率よ! 大衆向けの物語じゃあるまいし、そんな偶然……」

「偶然じゃないわよ」

 

 サテラとロゼの声を遮るようにコーラの声が響く。偶然じゃない。これ程までに奇跡的な光景が必然だというのか。一同がコーラに視線を向けると、その視線を感じ取ったコーラはニヤリと笑って言葉を続けた。

 

「だって、彼は勇者だから」

 

 その言葉を聞いたロゼの背中に冷たいものが走る。思い至ったのは一つの答え。だがそれは、あまりにも無慈悲な結論。

 

「まさか……勇者特性……?」

「グッド! 勇者特性、その2。勇者はどんな窮地でも絶対に助かり、生き残る。勇者特性、その3。勇者はここぞという時には圧倒的な幸運に見舞われる」

 

 今度はロゼだけではない。その言葉を聞いた全員の胸を絶望的な何かが占める。

 

「宝石が守ったのも……偶然じゃなくてこいつが勇者だからだって言うのかよ……」

「イエス! 現実を受け入れなさい」

「バカナ……ソレデハ、一体ドウ勝テト……」

「あらやだ、まだ勝てるつもりでいたの? 言ったでしょう、勇者には絶対に勝てないって」

 

 楽しそうに語るコーラに対して程々にしておけと窘めるように、アリオスが一歩前に出ながら話に割って入ってくる。

 

「ルーク。先に言っておくが……」

「…………」

「今の移動術、既に見切ったぞ。もう俺には効かない」

「……!?」

 

 勇者には勝てない。ここに来てその言葉が重くのし掛かる。そんな一同の絶望に彩られた表情を見て愉悦の笑みを浮かべながら、コーラは満面の笑みで口を開いた。

 

「さあ、裁きの時間よ。今までの行動を悔いながら死んでいきなさい」

 

 

 

-カイズ AL教本部 裏口-

 

「はぁっ、はぁっ……」

「…………」

 

 息も絶え絶え全力で駆けるのは、美樹と健太郎の二人だ。彼らはハウゼルがタワーオブファイアを放ったのとほぼ同時に部屋を抜け出し、こうして裏口まで逃げて来ていたのだ。このままグルリとAL教本部を回り、船着き場まで行けばここから逃げられる。そういう約束であった。だが、突如美樹がその足を止めた。不思議そうに振り返る健太郎。

 

「み、美樹ちゃん、どうしたの? もしかして疲れちゃった?」

「……ねぇ、健太郎くん。私たち、逃げて良いのかな?」

「えっ? だって、そういう約束だし、あの場にいたら美樹ちゃんが危険だよ」

「でも……ハウゼルさんたちも危険だよね」

「うっ……」

 

 後ろを振り返る美樹。遠くまで来たためか、あれ程鳴り響いていた轟音も今は殆ど聞こえない。でも、確かにあの場所でハウゼルやサテラは戦っている。魔王を拒否して逃げている自分を本来ならば憎んでいても良いはずなのに、護衛としてついて回ってくれていた二人は想像以上に優しかった。まるでお姉さんのように自分を心配してくれているハウゼル。口は悪いが本当は優しく、どこか元の世界の友達を思い出させるサテラ。口数は少ないが常に自分を守ってくれていたシーザー。サテラとの漫才のようなやり取りに何度も笑わされたイシス。自分の命を狙ってくる怖い魔人とは違う。みんな死んで欲しくない。

 

「ねぇ、健太郎くん……」

「…………」

「戻ろう!」

 

 

 

-カイズ AL教本部 祈りの間-

 

「ふん、はぁっ、とりゃぁぁぁぁ!」

「がっ……」

「……戻れ、ダ・ゲイル!」

 

 アリオスの五連撃を食らい、ダ・ゲイルの全身から血が噴き出す。随分と粘ってくれた。だが、もう限界であった。唇を噛みしめ、ロゼがダ・ゲイルを悪魔界へと戻す。これ以上戦わせれば、ダ・ゲイルは確実に死ぬ。そう確信したからだ。目の前からダ・ゲイルが消えたアリオスは剣を静かに下ろし、周囲を見回す。そこに立っている者は一人もいなかった。

 

「…………」

「く……そが……」

「何故アノ時私ハ易々ト足ヲ斬ラレタ……」

「完敗かしらね……」

 

 ハウゼルが壁に背を預けながら俯いている。体から流れる出血は先程よりも多い。サテラは仰向けに倒れており、その上には壁から崩れ落ちてきた瓦礫が乗っている。それをどかす気力すら今のサテラには無い。シーザーはまだ気力が十分であるが、足が両断されているため動けない。恐らく、一番屈辱的な状態であろう。そして、ロゼも今は膝をついている。他の者よりも軽傷であるが、アリオスの一式ハヤブサを受けて全身の所々から血を流している。基本的に前線に立つ事のない彼女が傷を負うのは非常に珍しい光景であり、それ程の窮地である事を物語っていた。

 

「くっ……」

 

 そんな中、ルークがゆっくりと立ち上がる。額から血を流し、体はボロボロ。特に二式ショウキの直撃を受けた腹部の鎧は砕け、ダラダラと血が流れ落ちている。最早満身創痍なのは誰の目にも明らかだ。だが、ルークは立ち上がる。真の忠臣になるのを見届ける。共に復讐を達成する。人類を率いて再会する。他にも様々な約束を交わしている。ここで倒れる訳にはいかないのだ。

 

「一式、ハヤブサ!!」

 

 だが、その願いを無慈悲に飲み込むように鎌鼬が飛んでくる。真っ直ぐと向かってくるそれを避ける術は既に無く、直撃を受けたルークの体は勢いよく壁へと吹き飛ばされた。口から血が吐き出される、全身の傷口が開く。そのままずるずると崩れ落ちていくルーク。

 

「(そうか、ジル……これがお前ですら警戒した力か……)」

 

 薄れゆく意識の中、ルークはかつて見たジルの記憶を思いだしていた。人類を虐殺するのではなく、人間牧場を作って人口を調整した上で奴隷化し、生き地獄を味わわせていた。それは、人類の数が減れば減るほど力を発揮する勇者の力を完全に封じるため。そう、あの魔王ジルですら勇者の力を警戒していたのだ。

 

「(すまん……ホーネット……)」

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 ルークが意識を手放しかけたその時、怒声がその耳に入ってきて目を見開く。目の前に映し出されたのは、アリオスへと特攻を仕掛けるイシスの姿。だが、それはあまりにも無謀。既に彼女の体もボロボロなのだ。

 

「ふっ!」

 

 かかと落としから腹部への回し蹴り。そのまま三連撃の後に剣で頭部を攻撃。すっかり見飽きた攻撃パターンだ。多少フェイントや行動順を変えようとも、基本となる動きは全て一緒。アリオスにとって躱すのは容易い。

 

「はぁっ!」

「ふんっ!」

 

 振るわれた剣を躱し、アリオスがエスクードソードを振り下ろす。斬り落とされる左腕。だが、イシスは止まらない。怯むことなく空中へと跳び上がり回し蹴りをアリオスの顔面目がけて放った。それを易々と躱しながら、アリオスが問う。

 

「痛みを感じないのか?」

「多少は衝撃を感じる。だが、このまま諦めて主を殺される方がよっぽど痛い!」

 

 連続蹴りを繰り出しながらイシスが咆哮する。確かに口は悪いし、端から見れば反抗的だ。だが、彼女のサテラに対する忠義は本物である。いや、解放戦の際に自らの命を投げ打ってサテラを助け出した事を考えれば、それも当然なのだろう。そして、その咆哮を受けて一人の男が立ち上がる。

 

「(情けない話だ……一瞬だが心が折れかけた……あの時以来か?)」

 

 かつて魔女パンドーラにその身を転移させられ、魔人界を彷徨い満身創痍となっていたルークはホーネットと出会う直前に一度生きるのを諦めた。最後くらいは楽に殺して欲しい、そう呟いてしまった。だが、彼女と出会い生き長らえたルークは彼女との約束を交わした事もあり、その後の強敵との戦いの中で生を諦める事をしなかった。その強靱な心が一瞬といえ折られかけたのだ。それ程までに勇者は強かった。

 

「……っ」

 

 唇の端を少しだけ噛み切り、意識を覚醒させる。ゴプリと口の端から血が流れるが、今の出血量で見れば可愛いものだ。

 

「(ランスなら絶対に諦めない……あいつはアリオスと引き分けたんだ……)」

 

 ここへ来てランスの生への執着を改めて感心する。このアリオス相手にシィルと二人で引き分け、生き延びたのだ。ならば、この状況でランスならばどう戦うか。自分の持てる全ての力で出来る事はないか。これまでの経験で活かせるものは。ルークの頭がフル回転する。イシスも長くは持たない。時間はない。アリオスに勝つための手段を見つけなければ、生き残る事は出来ない。

 

「ぐっ……はあぁぁぁぁぁ!」

「しぶとい……このガーディアンの強さを見誤っていたな……」

 

 左腕に続き右足首が切断されたイシスだが、残る左足を軸に先の無くなった右足を振るう。恐るべき執念にアリオスが驚く。正直、このガーディアンは小柄なためシーザーやサテラ、ハウゼルよりも大きく劣っていると考えて軽視していたからだ。

 

「(四魔女事件……リーザス解放戦……闘神都市……エンジェル組……ギャルズタワー)」

 

 これまでの戦いを思い返す。子供の頃のギルド仕事から始まり、サイアスとの出会い、ホーネットとの十年、リーザス誘拐事件、四魔女事件、リーザス解放戦、闘神都市の死闘、ハピネス製薬事件、ギャルズタワー。他にも様々な戦闘経験を思い返しながら、ルークは現状を再確認する。ハウゼル、サテラ、シーザー、ロゼ。倒れている仲間の姿を順々に映し出し、今も尚戦っているイシスの姿もその目に捉える。自分には何が出来るか。ランスならばどうするか。そう考えを巡らせていたとき、ルークの頭に一つの策が浮かんだ。

 

「あるぞ……」

 

 ブラックソードを杖にして立ち上がるルーク。それに気が付いたのか、イシスの蹴りを躱しながらアリオスがこちらに視線を向ける。

 

「まだ立つのか……?」

「(立つと思っていましたよ、ルーク!)」

 

 アリオスとイシスの視線を受けながら、ルークは杖代わりにしていたブラックソードを静かに握りしめた。既に先程吸収した炎は完全に消えている。剣の威力は落ちた。それでも、ルークの瞳に諦めの色はない。

 

「(まだ一つだけ、奴に勝ち得る方法がある……!)」

 

 




[人物]
リリナ
 各地にいるアリオスの恋人の一人。旅立つアリオスに宝石の入ったお守りをプレゼントした。


[技]
六式サバキ (オリ技)
使用者:アリオス・テオマン
 二式ショウキの振り下ろしバージョン。威力は真滅斬を少し下回る程度であり、必殺の一撃としては十分な威力を誇る。
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