ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第166話 運命の女性

 

深夜

-ゼス アダムの砦 外-

 

「あっちに逃げたぞ! 絶対に逃すな!!」

 

 リーザスとゼスの国境であるアダムの砦。魔人界、ヘルマン、そしてリーザス。周囲が敵ばかりであるゼスにとって、ここは最前線の1つ。そこを任されているサイアスは、それだけでも評価の高さが窺えるというもの。そんなアダムの砦に、今夜侵入者が現れたのだ。

 

「いたぞ! 逃がさん!」

「くっ……」

 

 とはいえ、初めての事ではない。これまでも何度かこういった侵入者が入り込んできた事があった。大体はレジスタンス、他にはリーザスやヘルマンの刺客と思われるものが数度。曖昧な理由は、その殆どが捕まると同時に自害したからだ。

 

「(まるでこちらが来ることが判っているような配置だった。一体どこから情報が漏れたの……? あの仲介人、まさか……)」

 

 侵入者である女性が全速で走りながら必死に頭を巡らせる。確かにアダムの砦はゼスの施設でもかなりの警備であり、これまでも多くの侵入者が捕縛されてきた。だからこそ、細心の注意を払っていた。内部にもそれ程入り込んでいない。それにも関わらず、侵入が発覚した。恐らく、どこかから情報が流れていたのだ。

 

「捕ったぞ、侵入者!」

「ここで捕まる訳には……はぁっ!!」

 

 前方から走ってきた警備兵が槍を突き出してくる。だが、侵入者は走りながらそれを軽やかに躱し、同時に鞘から抜いた忍者刀で警備兵の腰を斬りつけた。

 

「ぐおっ!」

「こ、こいつ、強いぞ!」

「サイアス様に報告だ! 早くしろ!!」

 

 今回の侵入者は一味違う。これまで何人もの警備兵を打ち倒し、砦の外まで逃げてきたのだ。だが、いくら侵入者が強かろうが、あの男ほどではない。アダムの砦最強の守護者、炎の四将軍サイアス・クラウンほどでは。警備兵である自分たちの仕事は、侵入者の周囲を囲んで逃がさない事。

 

「(流石に四将軍を呼ばれるのはまずい。ここは逃げの一手!!)」

「なっ!? 煙幕!?」

「くそっ、見えん!」

 

 侵入者が地面に向かって何か投げたかと思うと、忽ち周囲を煙が包み込んだ。視界を奪われる警備兵。そんな中、侵入者の女性は懐からくないを三本取り出し、左前方にあった藪の中に向けて投げた。ガサガサと音が響いたと同時に、自身は砦壁の上空に向かってロープ付きの鉤爪を投げる。

 

「音がしたぞ、林の方だ!」

「逃がすな! ゼスの威信に関わる!!」

 

 警備兵たちが林の方に駆けていく中、侵入者は闇夜に紛れて壁を登っていた。昼間であれば即座にばれていただろうが、今は深夜。闇夜に紛れながら静かに、されど素早く壁の上に登った侵入者は即座に身を屈める。大丈夫、ばれていない。

 

「(サイアス将軍の強さは嫌という程知っているからね……流石にやり合う訳にはいかないわ)」

 

 下にいた警備兵たちがいなくなった事を確認した後、侵入者は壁の上を走って警備兵たちが向かったのとは逆方向に逃げる。

 

「(でも、いくら情報が漏れていたとはいえこれだけの警備はおかしいかも……やっぱり、リア様の予想は当たっていた?)」

 

 心の中で呟くのは、主の名。そう、アダムの砦に侵入したのはリーザス国の忍び、見当かなみであった。壁の端まで辿り着いたかなみは静かに地面に降り立ち、周囲に誰もいない事を確認してからホッと一息つく。

 

「(鍛えてなかったら逃げきれなかったかも……付き合ってくれたメナドに感謝ね。あと、ルークさんにも……)」

 

 もし自分が真の忠臣を目指すべく努力していなかったら、呆気なく警備兵に捕まり、今頃刑務所に入れられていただろう。そんな事を考えながら、何気なくかなみは後ろの砦を振り返った。

 

「……なっ!?」

「シッ!!」

 

 それは、有り得ない光景。先程自分が降りてきた壁の上から一つの影が飛び降り、自分に向かって刀を振り下ろしてきたのだ。そんな相手の気配を、かなみはこの瞬間まで感じ取れなかったのだ。全身を走る悪寒。この相手はやばい。

 

「はっ!」

 

 だが、呆けている場合ではない。躱しきれないと感じたかなみは右手に持った忍者刀でその一撃を受ける。激しい金属音が周囲に響く中、かなみは即座に左手でくないを投げつける動作に入る。

 

「フッ!!」

「……つっ!」

 

 だが、かなみがくないを投げるよりも早く、目の前の相手が強烈な回し蹴りをかなみの左手に浴びせてきた。くないは吹き飛ばされ、左手が痺れる。

 

「(黒装束……暗殺者? もたもたしている訳には……)」

 

 ヘルマンに皇室お抱えの暗殺者集団があるというのは聞いた事があるが、ゼスにそういった組織があるのは聞いた事がない。だが、今はそんな事を考えている場合じゃない。とにかく逃げなければ。この手練れに加えてサイアスまで来てしまったらアウトだ。ルークの友人であり、炎の四将軍。闘神都市の戦いであの男のヤバさは十分に判っている。

 

「(分身の術!)」

「……!?」

 

 かなみが即座に三人に分裂する。といっても、二体はただの幻影。闘神都市の戦いでも見せたかなみの技の一つだ。だが、直後にかなみは目を見開く。

 

「ハァッ!!」

「(嘘……あっちも分身の術を!?)」

 

 分身の術が使えるという事は、あちらも忍びの者という事だ。大陸において忍びは貴重な存在。それがまさか目の前に対峙している相手だとは。動揺するかなみに対し、三体に分かれた相手がそれぞれのかなみに向かって一斉に刀を振り下ろした。それを忍者刀で受け止められたのは本体のかなみのみ。だが、その刀は幻影であった。

 

「(目の前のは分身!? という事は……)」

 

 左に視線を向けると、分身のかなみを斬り伏せながらじろりとこちらに視線を向ける相手の姿があった。かなみが後ろに飛びずさろうとするよりも早く、相手が刀を振るってくる。受け止めようとした忍者刀が弾き飛ばされ、右手が痺れる。

 

「(場数が違う!)」

 

 一つ一つの行動があまりにも早すぎる。現在レベルとかそういう強さとはまた違う、圧倒的な経験の差。この男は明らかに格上、今の自分で勝てる相手ではない。逃げなくては。そう思うかなみの喉元に向かって相手の右腕が伸びてくる。このままでは喉を潰される。動いてくれ、自分の足。そう心の中で叫ぶかなみ。

 

「くっ……あぁっ!!」

 

 すんでのところで回避行動が間に合った。後ろに飛びずさったかなみだったが、喉の代わりに口元を覆っていた布を引き千切られてしまっていた。顔を見られた。忍びとしてかなりの痛手であるため唇を噛み締めるが、殺される代償に比べれば軽いものだ。腰を落とし、相手の一挙手一投足に注意を払う。

 

「あっ……」

 

 だが、先程まであれ程俊敏な動きを見せていた相手が、何故かその場に棒立ちになってしまっていた。誘いか何かかと警戒を強めるかなみであったが、突如その相手が言葉を発する。

 

「女の子……だったんですか……?」

 

 それは、透き通るような声であった。それと同時に、相手も顔を覆っていた布を取り外す。白髪に整った顔の青年。色黒なところを見ると、JAPANではなく大陸出身の忍びだろうか。

 

「すみません……あの、お怪我はありませんか……?」

「はあ……まあ……」

 

 おろおろとしながら問いかけてくる相手を見て、かなみは混乱していた。何故敵の心配をする。何故追撃して来ない。自分を油断させるための作戦とでも言うのか。判らない事だらけの中、目の前の男は更にとんでもない事をのたまった。

 

「逃げてください……」

「はぁ!?」

 

 まさか、ここまで追い込んでおいて自分を逃がすというのか。勿論、逃げられるに越した事は無い。だが、今の発言にかなみは少しだけ憤りを感じていた。

 

「馬鹿にしているの?」

「どうして、貴女のような方が忍者を……」

「それは……私みたいな弱い女が忍者じゃおかしいとでも言いたいの?」

 

 そう、かなみは男の行動は自分を舐めているからだと考えていたのだ。逃げられるのはありがたいが、真の忠臣を目指して励んできたこれまでを馬鹿にされているのだとしたら、怒りを感じない訳がない。だが、男は首を横に振る。

 

「いえ……あの……あ、貴女みたいな可愛い女性が……どうしてこんな血生臭い事をしているのか……その……」

「えっ……?」

 

 いい加減かなみの頭は限界であった。可愛い。侵入者に向かって発する言葉ではない。すると、男は横の林を指差した。

 

「あちらに……リーザスの方向には、僕の部下が潜んでいます」

 

 男が指差す方向に逃げたらゼス国内に入ってしまう。だが、今の発言が本当ならばリーザス方向に逃げる訳にはいかない。

 

「どうしてここまで……」

「死なせたく……ないんです……」

「……一応、礼は言っておくわ。罠だったら化けて出るけどね」

 

 判らない事だらけだが、これ以上長居しては本当にサイアスが来てしまう。かなみはそう言い残し、その場を後にしようとした。

 

「あ、あの……」

「なに?」

「名前……僕はコードって言います……その、貴女は……?」

「……言える訳ないでしょう」

「あっ……そ、そうですよね……」

 

 忍びがそう簡単に名前を明かす訳がない。それなのに、自分よりも手練れのこの男は、簡単にコードという名を明かしてしまった。もはや頭痛さえしてきた。そのまま立ち去ろうとしたかなみだったが、胸の中に引っ掛かりを覚えた。見逃され、逃げる方向まで教えられた。敵とはいえ借りを受けてばかりだ。だからこそ、これはそんな借りに対しての少しばかりのお返しのつもりであった。

 

「かなみ……」

「えっ……?」

「名前。それじゃあ」

 

 闇夜の林の中に消えていくかなみ。その後姿を見送るコード。

 

「かなみさん……」

 

 時間にして数分、コードは胸に手を当てたまま立ち尽くしていた。するとようやく、砦の主と自身の主の娘が警備兵を引き連れてやってきた。金髪の女性、自身の主の娘が声を掛けてくる。四天王、ナギ・ス・ラガールだ。

 

「コード、侵入者は?」

「はい……その、逃げられましたが、致命傷は与えましたので、生きてはいないかと……」

「すぐに周囲を探れ」

「はい、サイアス様!」

 

 コードの報告を聞いたサイアスがすぐさま警備兵に指示を出す。周囲に散らばっていく警備兵を横目に、ナギは腕組をしながら眉をひそめた。

 

「取り逃がしたのか? お前らしくもない」

「すいません……あの、僕も捜索に当たります……」

「ああ、行ってこい」

 

 ナギからそう指示を受けると、コードは一瞬で闇夜に消えた。その動きを見たサイアスは内心驚きながらナギに話しかける。

 

「すまんな、捕らえ損ねたらしい」

「いえ。致命傷を与えたとの事ですし、十分すぎる程助かりましたよ。たまたまナギ様が近くに寄っておられたお陰で、警備に協力して貰えたのは幸運でした」

 

 今日の深夜に侵入者ありという情報を掴んだサイアスは、職務で近辺まで来ていたナギに協力を要請したのだ。ミスリーをキューティに同行させてしまっていたため、手練れであった場合人手が足りないと判断しての行動であった。普通であればナギは考えるまでもなく断るところだが、サイアスからの要請であれば話は別。闘神都市の戦いで多少交流を持っていた事もあり、協力を受けてくれたのだ。因みに、既にアスマ呼びではない。あの魔法は既に解除されている。

 

「今日は近くで撮影があったからな」

「撮影……?」

「ゼスなんちゃらコンテストとかいうやつだ」

「コンテスト……もしかして、ゼス美女・美少女コンテストに出場されているのですか?」

 

 千鶴子から愚痴を聞かされたていたし、何より自分が楽しみにしていた行事だからよく覚えている。第8回ゼス美女・美少女コンテスト。四天王や四将軍の女性には大会を盛り上げるために参加するよう命令が下るのだが、決して強制ではない。ガンジー直々に頼まれたためガンジーラブの千鶴子や娘のマジックは断れなかったようだが、ウスピラは断ったと聞いている。職務サボりの常連であるナギも当然断っていると思っていた。

 

「ああ、お父様の命令だ。今日は青いバラの上で寝てきたぞ」

「(珍しいな……普段断り続けている分、今回は断り切れなかったのか?)」

 

 サイアスの読みは的中していた。ナギの職務に関しては、基本的に父親であるチェネザリ・ド・ラガールが決めている。だが、あまりにもそれが続けば四天王の立場が危うい。そのため、時にはこうして負担の少ない職務を行うのだ。

 

「しかし、コードが取り逃がすとは珍しいな」

「コード……それがあの忍びの名前ですか?」

「ああ、お父様が直属で部下にしている忍びだ。私が出歩くときは、こうして傍につける事もある。闘神都市の際もつけようか迷っていたが、あまり周囲には知られたくない人間だからな」

「そうですね」

 

 何せ、四将軍であるサイアスが今日まで知らなかった程の人間だ。懐刀にも程がある。千鶴子は知っているのか今度確認してみようと考えながら、サイアスは会話を続ける。

 

「相当の手練れですね。動きに無駄がない」

「ああ。レベルは確かそれ程でもないが、経験値がそこらの暗殺者とは違う。腕は確かだ」

 

 強さを求める事に関しては随一のナギが認めているとなれば、かなりの凄腕という事だ。コードが褒められる事は即ち、お父様の忍びが褒められるという事、つまりお父様が褒められるという事。嬉しそうにうんうんと頷きながら、ナギはふと一人の忍びを思い出す。

 

「そういえば、リーザスにも忍びがいたな。名前は忘れたが」

「見当かなみですね。彼女も良い腕でした」

「そうだな、才能では奴が上回るだろう。だが、直接対峙すれば勝つのはコードだ」

 

 そう断言するナギ。まさか既に対峙しているなどとは夢にも思っていなかった。

 

 

 

-ゼス 荒野-

 

 アダムの砦からすっかり離れた場所でかなみは一息ついていた。座るのに丁度いい岩に腰掛け、その目に映すのは遠くに見えるアダムの砦。

 

「コードって言ったっけ……一体何だったの……?」

 

 その疑問に答えてくれる人はいない。リアに報告すべきだろうか。いや、こんな情報リアは欲していない。今探らなければいけない事は他にある。それこそが、かなみの受けた勅命。

 

「リーザスからは離れちゃったし……もう少しゼスの中心部を探ってみるか」

 

 

 

数日後

-アイスフレーム拠点 拠点入口-

 

「隊長。どうでした? 私の剣捌き!」

「ああ、悪くない」

「お疲れ様でーす」

「ワニランもお疲れ」

 

 ルーク率いるブラック隊が拠点へと戻ってきたのを見て、衛兵のワニランが声を掛ける。特に新しい任務の無い彼らは、周辺の森でモンスターを狩ってきていたのだ。レベル維持のために適度な鍛錬は必須だが、ルークの目的は別。隊員たちの技術や癖などを早めに把握しておきたかったからだ。

 

「(時間は有限ではないが、最近の冒険に比べれば余裕があるからな)」

 

 ヒカリ誘拐事件、カスタム四魔女事件、リーザス解放戦、闘神都市の戦い、ハピネス製薬襲撃、ギャルズタワー攻略。思い返せば近年の冒険は時間的余裕がない冒険ばかりであり、まともに連携など積む時間はなかった。だが、今回は違う。革命の達成という目標は勿論あるが、明確な制限時間などはないし、大きな任務も次から次に来る訳ではない。

 

「新しい任務来てますかねー」

 

 実際、ルークたちは現在新しい任務待ちであった。多くの人員を解雇し、規模を縮小したばかりのアイスフレームはその残務整理に追われ、任務の指示が一時的に滞っていたのだ。そういった時間を利用して、メンバーとの連携を図っていたという事である。

 

「とりあえず、一時解散。各自体を休めるなり、仕事をするなりしてくれ」

「はい、隊長!」

 

 ルークの指示を受けて、インチェルの元気な声がアジトに響く。他のメンバーも返事をし、一同は一旦解散となった。

 

「セスナ、ウルザに会いに行くからついて来てくれ。任務がないか確認したい」

「うぃ」

 

 コクリと頷き、二人で歩き出す。ルークの見込んだ通り、セスナは副隊長として十分働いてくれていた。だからこそ、ルークはセスナにこんな質問をぶつけてみた。

 

「セスナ、今回の解雇についてどう思う?」

「……少しおかしい」

「そうですね、リストラされたのは男ばかりでしたし」

 

 ひょい、という感じで二人の会話にアベルトが入ってくる。いつの間にか二人の後方に連れ立って歩いていたのだ。

 

「偵察任務中じゃなかったのか?」

「先程帰って来たんですよ。入れ替わりですが、ランスさんたちのグリーン隊は先程任務に出かけていきました。イタリアの無人金貸し機を破壊するみたいです」

「ほう……帰ってきたら、ランス自身が借りてないか聞いておく必要がありそうだな」

 

 ブルー隊は丁度任務を終えたところらしく、グリーン隊は任務で出かけて行ったらしい。シィルにも黙ってこっそりと借りてきそうな気がするので、帰ってきたら確認が必要そうだ。ゼスの無人金貸し機は金利が尋常ではない。二級市民を人と思っていないからこその金利であり、そのうえ返さなければ魔法で呪い殺される。返すために夜盗へと落ちる者が後を絶たないため、ウルザは破壊するよう任務を出したのだろう。

 

「丁度報告に行くところなので、ご一緒して良いですか?」

「ああ、別にいいぞ」

「…………」

 

 特に断る理由もないのでアベルトの申し出を受けたルークだったが、隣のセスナはほんの少しだけ表情を落としていた。

 

「お互いリストラされなくて良かったですね」

「まあな」

「それで、セスナさん。おかしいと思う理由は?」

「……解雇したメンバーが妥当じゃない。男性に比重が寄り過ぎている。中には、解雇するには勿体ないような人もいた。逆に、解雇しても良さそうな女性が残っている」

「やはりそうなのか?」

「ええ、僕も同意見です」

 

 ルークが確認を取りたかった事はこれだ。アイスフレームに来て日が浅く、解雇された人間たちの事を良く知らなかったため確信は出来なかったが、本当に今回の解雇が妥当だったのかという疑問はあった。何せ、明らかに比率がおかしい。

 

「考えられる理由はあるか?」

「……一番考えられるのは、キムチさんのため」

 

 それはルークも考えた。慰安をしているキムチの負担を減らすため、あえて男性を多く解雇したという理由。

 

「今までは戦力的な理由でどうしても男性を多く残さなきゃいけなかったけど……今は違う……」

「ルークさんとランスさんの加入で戦闘力は飛躍的に上がりましたからね」

「サーベルナイトの一件で決断した、とも考えられる……」

「確かにタイミング的にはな」

 

 セスナの意見は一応理が通っている。解雇はサーベルナイトの一件のすぐ後だったし、あれが転機になった可能性は高い。勿論、人手が多くいる際には個々の戦闘力が高い男性が多くいた方が良いというのは事実だが、それを鑑みてもルークとランスの戦闘力で問題ないと判断し、キムチの負担を減らしに掛かったと考えられはする。

 

「(やはりセスナの洞察力は本物だな)」

「ぐぅ……」

「おっと、セスナさん。寝ては駄目ですよ」

「……おおっ!」

 

 居眠りのせいで彼女をあまり知らない者からは評価を下げられがちだが、ルークの中での評価は非常に高い。

 

「とも考えられる、か……」

「…………」

 

 だからこそ、彼女がこう言い回した事には必ず理由があるのだ。セスナはそれ以外にもう一つ、可能性を思いついているのだ。だが、彼女はルークに逆に問いかけるような視線を送ってきていた。それはまるで、本当に口に出していいのかと言っているような視線。後ろのアベルトも、ひょうひょうとした、されど全て察しているかのような表情を作っている。

 

「(やはり二人とも思い浮かんでいるか……)」

 

 ランス。これがもう一つの可能性。どうやったのかは判らないが、ランスがウルザに命じて男たちを解雇させたという結論。こちらも矛盾がない。

 

「(だが、可能なのか……?)」

 

 しかし、こちらの結論の場合は疑問が残る。どうやってウルザにそれを命じたかだ。仮にもレジスタンスのリーダー。強引に迫ったところで、そう簡単にランスに屈服するだろうか。ウルザはダニエルと共に生活している。少しでも抵抗すれば、彼がすぐに気が付くはずだ。

 

「(覇気が感じられない彼女なら、あるいは有り得るのか……?)」

 

 全てを投げ出し、身を委ねる。可能性は極めて低いが、ルークがウルザに抱いている人物像ならば無くはない。だが、ルークがそう考えていたのを感じ取ったのか、セスナは首をゆっくりと横に振る。

 

「多分ない……あの人は……強い……」

「……そうか」

 

 ルークはウルザの過去の姿を知らないから、どうしても彼女の評価を低くしてしまっている。だが、他の者は違う。ウルザは凄い人物なのだと口々に言ってくる。ルークが信用するセスナまでこう言うのであれば、かつてビルフェルムに聞いた話は本当なのだろう。ゼスを変える力を持つ指導者。となれば、この心配は杞憂であり、キムチのために行ったというのが正解なのだろう。

 

「(フェリスの一件で、少しランスに対して疑り深くなりすぎているかもしれんな……)」

 

 老体ではあるが、ダニエルは明らかに強者の風格を漂わせている。そんな彼の目を盗んでウルザを影から操る事など、そう簡単な事ではない。考えすぎかとルークは自分を納得させる。

 

「ん、あれは……」

 

 そんな話をしていると、いつの間にかウルザの屋敷の前まで辿り着いていた。丁度、屋敷から出てくる者がいる。サーナキアだ。その表情は険しい。

 

「サーナキア、何かあったのか?」

「ルーク……いや、何でもない」

「そういえば、シルバー隊は秋の森での任務中でしたね。完了報告ですか?」

「くっ……」

 

 アベルトの言葉に苦虫を噛み潰したような顔になるサーナキア。どうやら任務が完了したという訳ではなさそうだ。

 

「……サーナキア、悪いが今からウルザと任務の話をするところなんだ。同席して貰えるか?」

 

 

 

-ウルザの屋敷 会議室-

 

「解雇になった者の一部が夜盗に?」

「はい」

 

 部屋の中には6名。隊長のルーク、アベルト、サーナキア、副隊長のセスナ、リーダーのウルザと主治医のダニエル。いずれもアイスフレームの幹部たちだ。話題は、サーナキア率いるシルバー隊が現在受けている任務の事。

 

「急な解雇で不満を持つのは判るが、魔法使いの民家を襲っているというのは芳しくないな」

「ああ。いくら魔法使い憎しといえど、罪の無い一般市民を襲って良い道理はない。そんな非道を許す訳にはいかない」

 

 サーナキアが怒気を含んだ口調でそう言う。正義感の強いサーナキアにとって、元身内がこういった事件を起こす事は絶対に許せない事なのだろう。

 

「そこで、サーナキアさんには彼らの説得をお願いしていたんです」

「出来る限り穏便に、無理なら実力行使でな」

 

 ウルザとダニエルが任務内容の補足をするが、それを聞いてもルークには合点のいかない事があった。

 

「話を聞く限り、シルバー隊が苦戦する理由が見えないな。解雇になった者の中に、サーナキアの相手が務まるような奴はいなかったはずだ」

「うっ……」

 

 絶対に説得しろと言われているのならばいざしらず、実力行使が認められているのであれば、シルバー隊がこの任務に苦戦する理由がない。シルバー隊の隊員はともかく、隊長であるサーナキアは強い。闘神都市の戦いでは周りが超一流の強者ばかりであったため埋もれてしまったが、世間一般の強さと比べれば十分に一流の戦士である。そもそも、元々は一国の騎士団でそれなりの地位にあったのだ。弱いはずがない。そんなルークの疑問にダニエルが答える。

 

「向こうが用心棒を雇ったようだ」

「用心棒?」

「ハニーを数体引き連れている、女性の魔法使いとか…そうですよね?」

「はい、そうですウルザ様。かなりの腕を持った女魔法使いが用心棒として雇われていて……不覚にも……」

 

 ウルザの問いかけに悔しそうに答えるサーナキア。しかし、ルークはその用心棒に興味が湧いていた。

 

「ハニーを連れているという事は、魔法で援護するタイプの魔物使いか」

「いや、魔法一辺倒じゃあないんだ。その女魔法使いは、近接戦闘もこなす」

「近接戦闘も?」

「うちの隊員が何人も斬られた。あれは確かJAPANの武器だったと思う。槍と刀の中間みたいな……」

「薙刀……?」

「ああ、多分それだ。服装もJAPAN風だったが、髪の色は金だったからJAPANの人間という訳ではなさそうだ」

 

 大陸ではあまり有名ではない武器の名をすぐに出すあたり、セスナは案外物知りのようだ。サーナキアがすぐに頷き、正面に立つルークの目を見据えて言葉を続ける。

 

「だが、負けたままではいられない。今からもう一度奴らの下へ向かうところだったんだ」

「……なら、俺たちブラック隊も同行していいか?」

「えっ!? ……いや、ありがたい申し出だが、ルークの手を煩わせる訳にはいかない。これはボクが片を付ける!」

 

 一瞬驚いたような顔を見せたサーナキアだが、すぐにその申し出を断ってくる。だが、この反応は想定の範囲内。彼女のプライドは仲間内でもかなり高い方であり、そのせいで意固地になりやすいのは承知している。彼女は全力で否定するだろうが、そういった性格的な面では少しランスに似ているところがあるのだ。そして、その扱いやすさに関しても。

 

「いや、俺の協力など必要ない事は判っているさ。いくら用心棒が強かろうと、同じ相手に二度負けるサーナキアじゃあない。恐らく、今回の出撃で任務は達成されるだろう」

「へっ……あ、いや、そうだな。そうだとも、ボクが二度も負ける訳がないからな!」

「(おやおや、始まりましたね)」

「(またか……)」

 

 後ろに立つアベルトがにやにやと笑い、ダニエルが小さくため息をつく。以前、ブラック隊結成時にも同じような光景を見たからだ。

 

「だから、今回はその手腕をうちの隊員に見せてやりたくてな。元騎士団長であるサーナキアの実力、隊を纏めるその手腕。どれも良い勉強になると思うんだ」

「ははは! いや、それ程じゃあないさ! でも、うん、見たいっていうなら仕方ないかもしれないな! でも、ブラック隊の任務は良いのか?」

「丁度、任務がなくてな。迷惑でなければ、是非とも動向させて欲しい」

「し、仕方ないな。ルークがそこまで言うなら、ボクの力を見せるのもやぶさかじゃあない!」

 

 嬉しそうに笑うサーナキアと、そのサーナキアに生暖かい視線を送る一同。隊の皆に伝えてくる言い、意気揚々とサーナキアが部屋から出ていく。その背中を見送った後、アベルトがニコニコ顔で口を開く。

 

「お見事」

「ブラック隊への任務、いくつか見繕っておいたのだがな」

「すまんな。だが、シルバー隊をこの任務で足止めされる方が、総合的には困るだろう?」

「そうですね……」

 

 ダニエルに一言謝りは入れるが、ルークの言うようにシルバー隊がいつまでもこの任務に掛かりきりになるのはもっと困る。ウルザが同調するように頷く。

 

「という訳で、シルバー隊と共に秋の森に行ってくる。長引かせるつもりはない。一度で片を付けてくるさ」

「よろしくお願いします」

 

 こうして、正式にブラック隊の次の任務が決まったのであった。シルバー隊との共同任務となるため、少し参加メンバーの考慮も必要になる。ウルザの屋敷を後にしたルークとセスナは、歩きながらその辺りの話を行う。

 

「うちの隊内だけならまだしも、シルバー隊との共同任務にシトモネの参加はまずいか?」

「うん……避けた方が良いと思う……」

 

 前回のグリーン隊にはシィルがいたため、シトモネが加わっても今更ではあったが、今回は違う。ブラック隊はウルザとダニエルが比較的魔法使い嫌悪が薄いメンバーを回してくれていたが、シルバー隊内にはそういった感情が濃い人間も多いだろう。今はまだ徐々にシィルやシトモネの存在を認めさせている段階。共同任務への参加は早すぎる。

 

「さっきダニエルが言っていた任務が軽そうなら、シトモネ含む数人をそちらに回すか」

「うん、良いと思う……私が行こうか……?」

「いや、ネイに頼もうと思っている」

 

 実はルークの中でそちらに回そうと思っている面子は決まっていた。ネイ、シトモネ、そしてナターシャだ。貴族出身の珠樹、その珠樹と仲の良いインチェルに比べて、ナターシャは若干魔法使いへの嫌悪感は高いように見えた。といっても、他の部隊の隊員に比べれば大分マシだが。

 

「(丁度良い機会になりそうだな)」

 

 少人数での任務は、そういった壁を取り払うのに丁度良い。そして、部隊を率いるのであれば、セスナよりもネイの方が適している。戦闘力ではセスナの方が上だが、隊員とのコミュニケーション能力ではネイの方が圧倒的に上。もしルークが隊長を今の隊員の誰かに譲るとすれば、ネイに譲り、セスナは副隊長のままにする。適材適所というやつだ。

 

「でも、随分と強引に任務に割って入った……サーナキアさんが心配……?」

「勿論それもあるが、実はもう一つ目的があってな」

「目的……?」

「その用心棒に少し興味がある」

 

 近・遠両方をこなす女魔物使い。サーナキアを破っているのであれば、かなりの手練れだ。

 

「(アレキサンダークラスの大当たりはないにしても、本物であれば是非とも仲間に引き入れたい。いずれ来る戦いの為に……)」

 

 そろそろ忘れている方も多そうだが、ルークは強者を集めている。いずれ来る魔人との大戦。そのためにルークはリーザスやゼスと交流を持ち、各地に散らばる強者たちと知り合ってきたのだ。今回の用心棒がもし本物の強者であれば、逃すには惜しい。そう考えて協力を申し出たのだ。

 

「(利用した形になったのは申し訳ないがな)」

 

 心の中でサーナキアに謝りつつ、ルークはブラック隊の隊員たちに任務の説明をするのだった。

 

 

 

-秋の森-

 

 ゼス中部よりやや東寄りに位置する森。不思議な魔力が森全体を覆っており、一年中季節が秋という変わった森だ。美しい紅葉を目にしながら、一同は秋の森を進んでいく。周囲の風景から、どこか遠足のような気持ちになっている者も多いようで、全体的にテンションは高めであった。

 

「秋の森と言えば、栗、梨、松茸! 松茸取っていこう!」

「それはとても凄く良い……」

「インチェルちゃんもセスナさんも駄目ですよー。今は任務中ですわー」

「ふっ……俺のキノコを狩るのは勘弁してくれよ」

「なんかバーナードさんが唐突に下ネタぶち込んできた!?」

「わたくしには何も聞こえませんでしたわー」

「ぐぅ……ぐぅ……」

 

【ブラック隊参加メンバー】

 ルーク、セスナ、バーナード、インチェル、珠樹

 

「お前たち、ルークの腕は本物だ! しっかりと勉強するんだぞ!」

「わー、綺麗ー! 今度彼と一緒に来ようかなー」

「ねえ、ブルー隊のセヘンうざくない? アベルトさんに色目つかってさ」

「判る、判る。超うざいよね。身の程を知れって感じ」

「お前ら、話を聞けー!!」

「(サーナキアも大変そうだな……)」

 

 緊張感のないシルバー隊を怒鳴り散らすサーナキアを横目に、ルークはその苦労を推し量っていた。気高い志を持った者が集まっていた騎士団とは違う。魔法使いへの復讐心が第一、生活苦からやむなく、そういった面々もレジスタンスには多いのだ。それも、女性ばかりの部隊。こう言っては偏見だが、男性にはないドロドロとした問題も多く抱えている事だろう。

 

「ルーク、こっちだ。こっちに奴らの地下施設がある」

「地下施設? 随分と規模の大きな話だな」

「まあ、元々あったものを使っているだけのようだがな」

 

 曰く、今は使われていない軍の練習場であった施設を無断で利用しているようだ。まあ、解雇されて日も浅いし、自分たちで施設を作れるはずもないのは当然か。

 

「ふっ!」

「冬眠して出直しだー」

「わー! やもりん一撃! やっぱり強ーい」

「隊長。エリスンちゃんが無気力キノコ踏みました」

「あれほど気を付けろと言っておいただろう!! てやっ!」

 

 なんとなくシルバー隊が失敗した理由が判ってきた気がする。道中現れたモンスターはルークとサーナキアが多めに屠っていく。一応、名目は互いの強さを隊員に勉強させるためなのだ。ルークがやもりんを斬り、サーナキアがチキチキンマシンを屠る。サーナキアがその手に持つのは、炎を纏った剣。

 

「まだ使っていたんだな」

「ああ。改めて良い剣だと感じている」

 

 火炎ブレード。闘神都市の戦いで、ブラックソードを手に入れるのに協力してくれた礼としてサーナキアに譲った剣だ。

 

「それと、セスナも」

「……!」

 

 グッとハンマーを掲げるセスナ。その反応を見るに、かなり気に入ってくれているようだ。トールトゥー。闘神都市の戦いでルークを救うためにハンマーを犠牲にしたセスナに対し、ルークが後に送った代物だ。ピッテン曰く、扱いの難しいハンマーのはずだが、上手い事扱っているようだ。

 

「見えてきたぞ。あれが地下施設の入り口だ」

 

 森の中をある程度進んだところでサーナキアが前を示す。流石に道案内があるため、目的の施設までは難なく辿り着けた。見れば、入口に見張りと思われる男が二人ほど立っている。あちらもこちらに気付いたようで、身構えながら大声を上げてきた。

 

「お前ら! また来たのか!?」

「無駄な抵抗は止めて、今すぐ剣を収めろ!」

「ふざけるな! 俺たちをあっさり切り捨てたくせに!」

「俺たちだってアイスフレームの為に頑張ってきたんだ! それなのに……」

 

 サーナキアの言葉にまるで聞く耳を持たない二人組。確かに彼らからしてみれば、理不尽な解雇であっただろう。恨み節の一つも言いたくなる気持ちは判る。

 

「だが、一般人に被害が出ているのは見過ごせないな」

「俺たちは俺たちで新しいレジスタンスを作るんだ! そのためには資金が必要なんだよ!」

「だからって、村や旅人を襲うのは駄目だよ!」

「インチェル! これは大事の前の小事なんだ! これぐらいやらなきゃ、いつまで経ってもゼスは良くならねぇ!」

 

 それが決め手だっただろう。これ以上の説得は無理だ。彼らは根本的に勘違いしている。ルークとサーナキアが目配せをし、軽く頷き合う。と同時に、それまで静観していたバーナードが黙って男たちに歩み寄っていった。

 

「バーナード! 俺たちの意見に賛同して仲間に……って、ぶはっ!?」

 

 そして、全力で男の頬をぶん殴った。殴られた男は目を回して崩れ落ちる。

 

「お前たちは腐った蜜柑だ!」

「何か格好良い事言ってる!?」

「アイスフレームの連中が来たぞー!!」

「まあ、こうなるよな」

 

 ぞろぞろと施設の中から元隊員が姿を現す。それに合わせ、ルークたちも剣を抜いて戦闘の態勢に入った。やはり実力行使しか道は無い。

 

「ブラック隊、ノルマは一人倒す事な。達成できなかったら後でしごき。バーナードはノルマ達成扱い」

「うぃ」

 

 そう言い残してルークとセスナは駆けていき、バタバタと敵をなぎ倒していく。

 

「そんなスパルタな!?」

「インチェルちゃん、突っ込んでいる間にも数がどんどん減っていますわー」

「わー! サーナキア隊長! あんまり頑張らないでー!!」

「えっ!? 何で!?」

「はい、ノルマ達成ですわー」

 

 インチェルに予想外の言葉を投げられ、困惑するサーナキア。その横でちゃっかりと敵を倒している珠樹。要領の良さが如実に表れているのであった。

 

「つ、強すぎる……」

「3分持たずに全滅とは……」

 

 3分後、死屍累々といった光景が広がっていた。まあ、当然の結果ではある。相手は解雇される程度の実力しかなかった面々。こちらは居残り組。多少男女で解雇条件に優劣はあっても、その差が大きく覆るような事はないのだ。

 

「くそっ……俺たちじゃ敵わない……」

「だが、まだ先生がいる! 先生、せんせーい!!」

 

 地にひれ伏した元隊員たちが大声で叫ぶと、地下施設へと繋がる階段から気配がしてくる。それに続き、ゆっくりと階段を上る音が響いてきた。

 

「ルーク、気を付けろ。これからが本番だ。あの女は強い」

「…………」

 

 サーナキアの言葉を受け、ルークが腰を落とす。今回の任務の真の目的、用心棒が遂に姿を現すのだ。真の強者か、はたまた似非か。仲間に引き込めるような人物か、外道か。とにかく見極める必要がある。

 

「先生、リズナ先生!」

「あっ、はい……悪い宇宙人さんはこちらですか?」

 

 そして、ガクッと体勢を崩した。現れたのは見知った顔。ハニーを引き連れている、魔法使い、薙刀、JAPAN風の服装、金髪。思い返せば気が付ける要素はあった。とはいえ、まさかこんな偶然があるのを予測しろというのは酷だろう。

 

「リズナ、一体何をしているんだ?」

「まあ、ルークさんによく似た宇宙人……」

「本物だ」

「えっ……? 本物……? あれ、悪人……?」

 

 リズナ・ランフビット。少し前、玄武城から救出した女性だ。見た目は若いが、実はルークよりも遥かに年上。とぼけた印象を受けるが、彼女は言い表せない程の苦労をその身に受けている。臨戦態勢を解いたルークと、きょろきょろと狼狽するリズナを見て、サーナキアやセスナも緊張を解く。

 

「ルーク、知り合い……?」

「ああ。大丈夫、多分彼女は利用されただけだ」

「まさか知り合いとは……」

 

 思わぬ偶然にセスナもサーナキアも驚いているようだ。そして、それはあちらも同じ。倒れながら狼狽している男、恐らく奴らのリーダーに対しリズナが問いかけていた。

 

「あの、ブッシュさん。私は人類皆殺しを企む宇宙人を退治して欲しいと言われてお手伝いしていますが……この方、私のお知り合いなのですけど……」

「…………」

「そんな子供でも引っかからないような嘘に騙されていたのか!?」

「えっ? 嘘? そうなのですか?」

 

 あまりにも斜め上な理由にルークが頭を抱え、サーナキアが思わず声を大にする。当の本人は驚いた様子でブッシュという男に再度問いかける。

 

「違う! こいつらは俺たちを不当に解雇して……」

「だからって、夜盗をやるのはいけませんわー」

「うっ……」

「リズナ」

「あっ、はい。ルークさん、なんですか?」

「お前が信用できる方を選んでくれ」

 

 そう言われたリズナはブッシュとルークをゆっくり見てから、ととと、とルークの方についた。

 

「せんせーい!!」

「ルークさんには御恩があります。だからもう、ブッシュさんのお手伝いは出来ません。ごめんなさい」

「そんなぁ……」

 

 リズナにペコリと頭を下げられると、ブッシュたちの表情はみるみる絶望色に変わっていった。

 

「一件落着ですね。後の処理はどうしますか?」

「放っておいてまた夜盗化するのも困る……」

「そうだな。縄で縛って憲兵隊の前に置いておくのが一番いいだろう」

 

 珠樹、セスナ、サーナキアの三人が元隊員たちの処遇について話し合う中、ルークはリズナに事のあらましを聞いていた。

 

「それで、どうしてこんな事に?」

「実は……」

 

 こういった事にならないようにルークは彼女にカールギルドを紹介していたのだが、どうもリズナの天然ぶりはルークの予想を上回っていた。真知子から両親の死と生家はまだ残っているという情報を貰ったリズナは、せめて一目だけでもと思い、ギルドの仕事がある程度落ち着いた後に生家を訪ねたのだ。墓参りとも言える決別を終え、ギルドに戻ろうとしていたところ、ブッシュたちに襲われ、あっさりと勝利。その際、宇宙人退治の嘘をあっさりと信じてしまい、今に至る。

 

「相変わらず騙されやすいみたいだな……」

「そんな事ありません。あの人たちは、その、たまたまです。はい」

 

 ちょっとムキになって否定しているが、どうやって信じろというのか。このままカールギルドに帰しても、また同じような事が起こってしまうかもしれない。

 

「(いずれ革命を起こす事を考えると、この情勢でリズナを一人にするのは危険か。戦力的には申し分ない。魔法使いをあまり増やすのは芳しくないが、リズナは比較的とっつきやすい部類。レジスタンス内の意識を変えるのには打ってつけか……?)」

「ルークさん、どうしましたか?」

 

 首を傾げてくるリズナを見ながら、ルークは自身の頭の整理をつける。放っておけないという思いと、戦力として是非とも仲間に引き入れたいという思い。そして、レジスタンス内の意識改革のために、魔法使い至上主義思想を持たない魔法使いと交流を持たせるという作戦。シィルやシトモネも馴染めていない現状では諸刃の剣になりかねないが、人柄としてはかなり打ってつけの人物である。

 

「ギルドの仕事が落ち着いてから生家を訪ねたという事は、特に今は急ぎの仕事がある訳じゃあないんだな?」

「あ、はい。特には……」

「なら、俺たちと一緒に来ないか?」

「えっ?」

 

 きょとんとした顔を浮かべるリズナ。そんな彼女よりも大きな反応を見せたのは、今の発言を耳にしてしまったサーナキアだ。

 

「ルーク、それは……」

「ああ、判っている。詳しい事は後でウルザの前で説明させて貰うさ。その上で彼女が認めなければ、それに従う」

 

 魔法使いを増やすリスクが大きい事をサーナキアは言いたかったのだろうが、当然承知している。ルークはサーナキアに目配せした後、すぐにリズナに視線を戻して言葉を続ける。

 

「一応言っておくが、以前の仕えさせて欲しいという申し出への答えじゃないからな」

「あ、そうですか……すいません、勘違いしそうでした」

「今、少し大きな任務に関わっていてな。特殊な事情を孕んでいるから、事情を聞いてから決めてくれていい。頼んでおきながら、こちらから断ってしまう可能性もあるしな」

「……判りました。話を聞かせて貰います」

 

 コクリと頷くリズナ。一度全てを投げ出していた自分を救い出してくれた救世主、ルーク。その彼の申し出を、誰が断れようか。自立したいと望んでいた彼女の、確かな意思がそこにあった。

 

「任務は達成だ。里に戻ろう。元隊員たちは……」

「シルバー隊の方で運んでおく」

「それじゃあ、頼む。インチェル、後でしごきな」

「ぐえっ! ばれてた……静かにしてたのに……」

 

 こうして、秋の森での任務は完了したのだった。

 

「ところで、そのハニワは?」

「あ、お友達です」

「あいやー」

 

 リズナは魔物使いという訳ではない。景勝と仲良くなっていた事もあるし、どうやらハニーに好かれやすい体質なのだろう。これも人徳の一つなのだろうか。

 

 

 

-ウルザの屋敷 会議室-

 

「なんでお前がリズナと一緒にいるんじゃぁぁぁ! こっちの任務は退屈でしかなかったというのに!」

「それは流石に知らんな」

 

 里に戻ると、既にグリーン隊は戻ってきていた。シィルとリズナが再会の挨拶を交わす横で、ランスは激昂。どうもあちらの任務は退屈なだけで、色気の一つもなかったようだ。

 

「だが、リズナを連れてきた事だけは褒めてやろう。がはは! リズナ、俺様の隊に入れ」

「勝手な事を言うな! これ以上魔法使いを増やすのは……」

「出来れば、ブラック隊に入って欲しいんだがな」

「ルークまで!? 本当に入隊させるつもりなのか!?」

「えっと……その、日替わりというのは駄目でしょうか。ランチとかも日替わりですし」

「いや、その理屈はおかしい!」

 

 ルーク、ランス、リズナの発言に次々と突っ込みを入れるサーナキア。心なしか疲れた様子であった。その様子を眺めていたダニエルが眉をひそめながら口を開く。

 

「サーナキアの言う通りだな。あまり魔法使いを増やすのは得策ではない」

 

 当然の注意勧告だ。だが、ランスはその発言が不快だったのか、ダニエルを一度睨み付けてからリズナの肩を抱き寄せる。

 

「魔法使いじゃあない、俺様の女だ!」

「あっ……」

 

 そして今度は、ダニエルの横で車椅子に腰かけているウルザに視線を向ける。

 

「良いな?」

「……はい」

「ウルザ様!!」

 

 反対すると思っていた主の発言にサーナキアが驚く。勘違いしてはいけないが、彼女がリズナの入隊を拒んでいるのは魔法使い憎しの感情からという訳ではない。彼女を引き入れる事によって、レジスタンス内に不和が生じる事を恐れているのだ。元々の知り合いであるシィル、ルークのパートナーであったシトモネまではギリギリで許容した。だが、これ以上の増員は危険すぎる。そう考えての行動だったのだが、ウルザはそんな彼女を諭すように口を開く。

 

「優秀で、私たちの為に戦ってくれるのでしたら、魔法使いでも良いじゃないですか。戦力は少しでも多い方が良い。それに、私たちの目的は魔法使いを倒す事ではありません。魔法使いの絶対支配を止めさせることです」

「それはそうですが……」

 

 もっとこじれると思っていたルークにとって、ウルザのこの反応は拍子抜けであった。随分と簡単に許容してくれたものだ。

 

「(こちらが思っているよりも、レジスタンス内に魔法使いを引き入れるのはタブーではないのか? それなら、もっと魔法使いを引き入れるのも可能か?)」

 

 ルークがそう勘違いしてしまう程に、呆気ない反応。だが、ウルザの心中は違っていた。

 

「(それらしい言い訳を並べ立てたけど、詭弁だ……アイスフレームには、今も魔法使いへの畏怖と嫌悪が残っている……でも、私はランスさんの命令には逆らえない……)」

 

 ランスが『良いな?』と確認した。だから、頷くしかなかった。それが、今のやり取りの真実。

 

「(今の私は、流される事しか出来ない……)」

 

 こうして、リズナのアイスフレーム入りが決まった。

 

 

 

-ブラック隊 詰所-

 

「82……83……」

「へー、面白い事になってたんだ」

「面白く……84……ないです……85……」

「インチェルちゃん、ファイトですわー」

 

 インチェルの腹筋をブラック隊の皆で見守りながら、ルークとネイが互いの任務の結果を報告し合う。リズナ加入に一番反応を示したのは、彼女の事を知っているシトモネだった。それこそ、もう二度と会わないような繋がりかもしれないと思っていたのに、こんな形で再会するとは夢にも思っていなかっただろう。

 

「リズナさんは……基本的にはグリーン隊……?」

「ああ、ランスに押し切られた。出来ればこちらに欲しかったんだけどな」

 

 ブラック隊設立に当たってかなり無理をしたため、今回は押し切られてしまった。悔しい気持ちもあるが、リズナ自身がランスを嫌がってはいないため、止む無く了承した。

 

「それにしても、ウルザ様も随分と簡単に認めたわね」

「やはりおかしいのか?」

「んー……どうだろう。実はその辺の思想って判らないのよね。元々ゼスの人間じゃないし、レジスタンスに入ったのも遅いしね」

「私たちが思っているよりも……駄目な事じゃなかったのかもしれない……」

 

 ルークの問いにネイとセスナが顔を見合わせて結論を口にする。やはり二人とも、魔法使いを引き入れるのはタブーだと思っていたようだ。

 

「勝手な先入観だったのかもね」

「それで、そちらの首尾はどうだった?」

 

 ネイ、シトモネ、ナターシャの三人には軽い任務を請け負って貰っていた。彼女たちならば失敗しようもない任務。そのため、ルークの質問の意図は別にある。その意図を組んだネイが静かに部屋の端を親指で示す。

 

「ナターシャ、矢の手入れはこんなものでいい?」

「ありがとう、協力して貰って助かるわ」

「……成程。どうやら上手くいったようだな」

 

 これで、ブラック隊内における魔法使いへの畏怖はかなり払拭できた事だろう。

 

「(うーむ、ネイの意外な才能を発見したかもしれんな)」

「ねえ、インチェルよりも私の方がマシだったわよね?」

「いや、昔のネイの方がずっとヘタレだったぞ」

「酷い!」

 

 まあ、褒めると増長しそうなので今は口にはしないでおこう。

 

「戦闘面でトラブルはあったか?」

「特には……あ、ナターシャがちょっとだけ傷を負っちゃったかな。任務に差支えのあるレベルではなかったけど、やっぱり回復要員は欲しいわ」

「尤もな意見だな。今考えると、シルバー隊の医療班がいた訳だし、インチェルはそちらに回しても良かったかもな」

 

 現在、ブラック隊に最も足りていないのは治療を施せる者、いわゆるヒーラーだ。戦闘中心の部隊はどうしても怪我が多くなる。戦闘中のスムーズな治療は隊における生命線である。リーザス解放戦の際、ノスもジルもヒーラーであるシィル・セル・マリスの三人は早急に片づけようとした。闘神都市の戦いにおいても、最終決戦においてパイアールが狙ったのは唯一のヒーラーであるシィル。戦いにおいて、ヒーラーの存在は大きい。

 

「グリーン隊にもプリマとシィルさんの二人がいる……他の隊はもっと……ブラック隊だけ一人……」

「あちらにいるシィルちゃんの存在は大きいな。魔法使いのヒーラーは回復の速度が違う。バランスを取るならプリマをこちらに入隊させるのが一番だが……」

「絶対無理ね。ランスが女の子を手放す訳ないもの」

 

 現在、ブラック隊のヒーラーはインチェル一人。それも、戦闘要員との兼業である。そもそも魔法使いのヒーリングと非魔法使いの治療では回復量も速度も違う。一部には魔法使いにも引けを取らない程の治療を施す非魔法使いもいるようだが、インチェルはそうではない。プリマとインチェルを足しても、シィルの回復量には届かないのだ。

 

「出来ればこちらにも魔法使いのヒーラーが欲しいところだな」

「ん……」

「今までタブーだと思っていたけど、案外頼めば認めてくれるっぽいしね」

 

 セスナが頷き、ネイもそれに同意する。前線で戦う者としては、やはり安定した治療を出来る者は欲しいのだ。そんな会話をしていると、詰所へ一つの人影が入ってきた。リズナだ。

 

「あ、ルークさん」

「リズナ、どうした?」

「いえ、お陰様でアイスフレームに入隊出来ましたし、一言ブラック隊の皆様にも挨拶をと」

「こちらが頼んだのだから、お陰様という言い回しは少しおかしいけどな」

 

 ルークが苦笑する中、リズナは丁寧に皆に挨拶して回る。元々魔法使いへの畏怖が少なくなってきていた隊員は素直にこれを受け入れ、すぐに笑顔で会話を交わすのだった。

 

「リズナ、困った事があればすぐに相談してくれ」

「はい、ありがとうございます」

「それと、さっきは聞きそびれたが、景勝はどうしたんだ?」

「あ、それ私も気になっていました」

「景勝?」

「リズナさんの友達のプチハニー」

 

 そう、リズナの傍らにいつもいたあのプチハニー、景勝の姿が見えないのだ。シトモネは最悪の事態である自爆まで勘ぐってしまい、これまで聞けずにいたのだ。

 

「景勝でしたら、故郷に帰っています」

「故郷? というか、ゼス出身だったんだ。どこからどう見てもJAPAN風なのに……」

「ハニワの里という場所に暮らしているようです」

「聞いた事があります。ハニーたちが平穏に暮らす事の出来る隠れ里ですわ」

 

 元貴族の珠樹がそう口にする。ゼスにおいて、魔法の効かないハニーは天敵である。そのため、彼らはゼスでは悪魔のように扱われている。ひっそりと暮らす事を強いられたハニーたちは、いつしか隠れ里を作り上げたようだ。

 

「久しぶりに景勝の顔も見たいですし、今度ハニワの里に皆で行きませんか?」

「うーん……行ってあげたいけど、任務もあるからあまり出歩くのはね……」

「あ、そうですよね、ごめんなさい」

 

 リズナの提案にネイがポリポリと頭を掻く。必要な事柄であるならまだしも、どうでも良い理由で外出するのはあまりよろしくない。休みを取って一人で行くのならば止めはしないが、複数名で出向くというのは流石に認めにくい。ちょっとだけ気落ちした様子のリズナにフォローを入れるべく、ネイは会話を続ける。

 

「因みに、ハニワの里ってどこにあるの?」

「この付近のハニワ平原にあるようです」

「……ふふっ」

 

 その言葉を聞いたルークは、自然と笑い出していた。何かおかしな事でもあったのかと、隊員たちの視線がルークに集まる。

 

「……セスナ、後で任務の確認をしに行くぞ。急ぎのものが無ければ、早急にハニワ平原に向かう」

「えっ……?」

「リズナ、その時は道案内を頼む」

「あ、はい。ルークさん、そんなに景勝に会いたかったんですか?」

 

 まさかこんな偶然があるとは。まるで神の悪戯のようだ。

 

「ああ、会いたい人物がいる。景勝ではないがな」

 

 ルークたちが欲していた頼りになるヒーラーが、そこにはいる。

 

 

 

-ゼス アダムの砦-

 

 その後、一人の女性の死体が上がった。発見したのは、探索に出ていたコード。彼の言葉通り、女は背中と首に大きな傷を負っていた。コードから致命傷を受けた彼女は逃げる最中に力尽きたらしく、湖にぷかぷかと浮かんでいた。コードの持っていた刀と傷の跡が一致し、彼女こそがアダムの砦に侵入した者で間違いないという結論に至った。だが、不可思議な点が一つ残る。彼女の素性をいくら洗っても、他国の影もレジスタンスの影も一向に見えてこなかったのだ。

 

「それこそ、その辺を歩いていそうな村娘だ。戦闘出来るような筋肉もついていない……だが、うちの警備を振り切って逃げたのも事実。一体彼女は何者だったんだ……?」

 

 サイアスの問いに答える者はいない。唯一答えを知っている者が、答える気がないのだから。

 

「ふふ……ふふふ……かなみさん、安心してください。これで貴女に疑いが掛かる事はありません……ふふふ……」

 

 そう、誰も知らない。一人の男が、たまたま道を歩いていた女性を惨殺して湖に捨てた事など。

 

「ようやく出会えた……彼女こそ運命の女性だ……」

 

 罪の無い女性の無念は、闇の中に消えていった。深く、重い闇の中に。

 

 




[人物]
リズナ・ランフビット (6)
LV 18/39
技能 魔法LV1 護身術LV1
 玄武城に囚われていた女性。ルークとランスの手によって救い出され、今はゼスのカールギルドに所属している。ルークに誘われ、アイスフレームに入隊。一応グリーン隊所属という扱いである。

ワニラン
 アイスフレームの女性隊員。アジト周辺の森の見回りや、拠点入り口の衛兵を主に担当している。

ブッシュ
 元アイスフレーム隊員。怒りっぽい性格。血気盛んな連中を率いて夜盗を行っていたが、あえなく撃退。

エリスン (ゲスト)
 シルバー隊隊員の女性。無気力キノコを踏んで先に帰還していた。やる気は低め。名前はアリスソフト作品の「DALK」より。


[モンスター]
やもりん
 一つ星女の子モンスター。主に森に生息しており、寒くなると冬眠する。格闘を主体としており、弱点は尻尾。女の子モンスターの中ではきゃんきゃんに次ぐ知名度である。

チキチキンマシン
 鶏をモチーフにした車の形の大型モンスター。派手な見た目とは裏腹に、あまり強くない。
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