ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第26話 絡み合う思惑

 

-アイスの町 キースギルド-

 

「まさかラーク&ノアがやられるとは……」

 

 沈痛な面持ちで頭を抱えるキースと、その前に立つルークたち。リスの洞窟の最深部はもう少しであったが、かなりの傷を負ったラークとノアを放っておく訳にはいかず、帰り木を使って一度アイスの町へと戻ってきていたのだ。

 

「病院の方ではなんて?」

「まだ詳しくは聞いていないが、命に別状は無さそうだ。検査の結果はすぐに出るって話だから、後でお見舞いに行った際に検査結果も聞いてくるつもりだ」

「私も後で行ってきます」

 

 ルークの返答を聞き、ハイニもキースに向き直ってそう告げる。それに静かに頷くキース。先程、ルークたちはノアを病院に送り届けていた。ただその際、ラークは自身も深手であるにも関わらず病院に行くことを拒否し、先にキースギルドに報告に行くと言ってルークたちの前から姿を消していた。そのラークの姿が見えない事に疑問を抱く一同。ルークがその事を尋ねようとするが、それよりも先にランスが悪態をつく。

 

「ふん、所詮は二流の冒険者だったという事だ。ノアさんを危険な目に遭わせやがって」

「ランス、もうちょっと言い方ってものはないの?」

「ま、これでこの仕事を受けているのは俺様たちだけだな」

「そうなるな。ちゃんと成功させろよ」

 

 ランスが心配しているのは、ノアと依頼の事のみ。そこに男であるラークは入っていなかった。かなみが文句を言うが聞く耳を持たず、キースはすっかり慣れた様子で普通に対応をする。丁度話に一区切りついたところで、今度はルークがキースに問いかける。

 

「キース、ラークは?」

「……修行の旅に出るんだとよ。自分の未熟さを知ったって言っていたぜ」

「そうか……」

「でも、相手が魔人では仕方ないと思うのですが……」

「ノアを守れなかったのがショックだったんだろうよ」

「あっ……」

 

 キースの返答にシィルが思わず声を漏らす。美男美女の冒険者コンビ、共に正義に燃えており、その息もピッタリと合っている。必然、気が付けば互いに思い合っていた。二人はそう口にはしていなかったが、ギルドに所属している者は嫌でもその事に気が付く。それ程、二人は端から見てもお似合いのカップルであった。ランスも当然その事に気が付いており、美女のノアがラークに取られるのが不愉快であったため、必要以上にラークを二流と乏しめていたのだ。そんなラークが、ノアを守れなかった。どれ程の無念さであっただろうかと思い、シィルは胸が締め付けられる。

 

「それよりも、本当に魔人がいたのか?」

「魔人が……人間界に……」

 

 キースがそう問いかけてくる。魔人の情報を公に触れ回るのは危険だが、キースには知っておいて貰おうとルークは考え、正直に打ち明けたのだ。キースは真剣な顔をしており、その隣のハイニが若干怯えた様子を見せる。だが、無理もない。人類の敵である魔人が現れたのだ。

 

「少なくとも、相手はそう名乗っていた。本当かどうかは判らんがな」

「多分、本当だと思います」

「かなみ?」

 

 ルークとキースの会話にかなみが入ってくる。真っ直ぐとルークの目を見ながら、何かしらの確信を持った口調で言葉を続ける。

 

「あの女、最初は気が付かなかったけど、リーザス城でパットン皇子の後ろに控えていた女にそっくりでした。多分、本人だと思います……」

 

 これが魔人の力と豪語していたパットン皇子の後ろに控えていた三人の内の一人があの女だとすれば、彼女が魔人であるという話も信憑性が出てくる。それとは別に、ルークはとある理由から彼女が魔人である事に確信を持っていた。それは、彼女の名前がサテラであるという事だ。しかし、この事は誰にも話していない。言う訳にはいかない。

 

「……だ、そうだ」

「ちっ、魔人がリーザスにいるってのかよ。勘弁してくれ……」

 

 悪態をつきながらため息を吐くキース。隣に立っているハイニを抱き寄せ、その不安を和らげてやる。こういう所は気が回る男だ。部屋に重苦しい空気が漂うが、このまま動かない訳にもいかない。ルークがランスたちに向き直って口を開く。

 

「とにかく、事件を解決しないとな。このまま黙っていても、事態は悪化する一方だ」

「うむ、だがその前にノアさんの様子を見に行くぞ。そろそろ検査の結果も出るだろうし、弱いラークに愛想を尽かした今なら俺様に股を開くかもしれんからな、がはは!」

「最低……」

「ハイニ、お前もすぐに行くか?」

「事務仕事が少し詰まっているので、夕方くらいになりそうですね」

「ふむ……それじゃあルーク、言伝を預かってくれるか?」

「言伝?」

 

 ハイニに伝えて貰おうかと思っていたのだが、伝えるのならば早いほうが良いと考えてキースはルークに言伝を頼む。

 

「ラークからノアにだ。『すまない、弱い俺を許さないでくれ。君は平穏に暮らしてくれ』、だとよ」

「……勝手な男だ。ノアの好意にも気が付いているだろうに」

「ノアがもう戦えない事を察したんだろうな」

「キース、気が付いていたのか?」

「何年ギルド長やっていると思ってんだ? ノアの性格と、お前らから聞いた状況を考えれば、まあ自然にそういう結論に至るわな」

 

 そう、ノアはもう戦うことの出来ない体になっていた。怪我についての精密検査の結果はまだ出ていないが、問題は心の方にある。イシスに犯されそうになった恐怖心から精神を傷つけられ、ノアは武器を持つ事が出来なくなっていた。病院へ運んでいる際のそのノアの様子を見た四人はそれを何となく察していた。当然、ラークも気が付いていたのだろう。だからこそ、修行の旅に出る自分についてきてくれとは言えなかったのだろう。

 

「これはラークが置いていった金だ。迷惑料として500GOLD、お前らにだとよ」

「ふん、こんなはした金を貰ったところで聖剣と鎧を買い戻すには足りんな。事件解決したら金も十分だし、全く持って俺様たちには不用な金だ。ああ、最後まで使えん男だ」

「ランス、いい加減に……」

 

 机の上に置かれた金に手を伸ばさず、馬鹿にするような口調で悪態をつき、そのまま部屋から出て行こうとするランス。先程からのその横暴な態度にかなみの我慢が限界に来たのか、キッと睨みながら横を通るランスに苦言を呈そうとする。だが、かなみがそれを言うよりも先にランスが一度キースを振り返り、こう指示を出す。

 

「俺様たちには不要な金だから、それはノアさんの入院費にでも充ててやれ」

「ランス様!」

「ふん、さっさとノアさんに会いに行くぞ!」

 

 それだけ言ってさっさと部屋から出て行ってしまうランス。それをポカンとした顔で見ているかなみにルークが近寄っていく。

 

「……ちょっとだけ、見直しました」

「ああいう奴なんだよ。さ、俺たちも行こう」

「おっと、ちょっと待て。ルーク、お前にも言伝を預かっている」

「俺にもか?」

 

 ランスの後を追うべく部屋から出て行こうとしたルークだったが、キースに引き留められる。どうやら言伝はノアにだけでは無かったようだ。

 

「ああ。『必ず強くなって帰ってくる。そのときはもう一度一緒に冒険をしてくれ』、だとよ」

「……確かに承った。期待して待っているとするかな」

 

 修行の旅というのは大変なものだ。その上、あのラークの状況では自分を無理に追い込みかねない。無茶な修行をして分不相応なモンスターと戦い、命を落とす冒険者も少なくない。だけど、あいつは必ず戻ってくる。そうルークは確信しながらギルドを後にした。

 

 

 

-アイスの町 病院-

 

「そうですか。ラークが……」

「ああ、確かにそう言っていたらしい」

 

 病院へとやってきたルークたちは、ノアにラークの残していった言葉を伝えていた。噛みしめるようにその言葉を心の中で何度も反芻させるノア。

 

「ノアさん、お体の調子は大丈夫なんですか?」

「うん、あまり大事には至ってなかったみたいで、これならすぐに退院出来そうなの。ルークさん、ランスさん、ありがとうございます。あのとき二人がいなければ、きっと私たち……」

 

 そう言いながら震え始めるノア。あのときの恐怖を思い出してしまったのだろう。確かに体は大事には至っていないが、やはり心に負った傷は深刻なようだ。すぐにシィルとかなみが側に寄っていき、手を握ってあげている。こういう事は、同じ女性である二人の方が良い。その二人の手の暖かさを受け、少しずつだがノアの震えが収まってくる。

 

「ごめんなさい、私……」

「気にしなくていい」

「うむ、美人は震えていても美人だ」

「……もう聞いているかも知れませんが、冒険者は止めて田舎に帰ろうと思っています」

「そうか……」

 

 そう口にするノア。この部屋に入る前、ノアがそう決断していた事はノアを担当しているナースから聞いていた。

 

「良い気になっていたんだと思います。無敵のヒーローだ、なんて町の人たちに言われて」

「ノアさん……」

「あのサテラという女を目の前にして、初めて冒険を本当の意味で怖いと思いました。全然……無敵のヒーローなんかじゃなかった……ただの臆病な女です……」

 

 そう言って涙を零すノア。彼女に掛ける言葉が見つからず、部屋を静寂が包み込む。そんな中、何度かラーク&ノアと共に依頼をこなしていたルークが口を開く。

 

「ヒーローだったさ」

「そんなこと……」

「魔獣カースAを倒したとき、何人もの子供たちが笑顔で駆け寄ってきてくれただろ。あのときだけじゃない。これまで沢山の冒険をしてきたんだ。その分だけ、何人もの人に感謝をされてきたはずだ」

 

 ルークの言葉を受け、ノアの頭の中に今までの冒険が過ぎる。大変な事もあった。非難の声をぶつけられる事もあった。でも、事件を解決すると必ずみんな笑顔で感謝をしてくれた。駆け寄ってくる子供たち、涙を流しながら感謝する老人。その顔が、次々と浮かぶ。

 

「その人たちにとって、君らは間違いなくヒーローだったさ」

「……ルークさん、ありがとうございます」

 

 ノアが先程よりも更に大粒の涙を流す。だが、その涙が持つ意味合いは大きく変わっていた。それを確認したルークは一度静かに微笑み、まだノアさんとやっていないと騒ぐランスを引っ張って部屋を出て行こうとする。その一行に、ノアが後ろから声を掛ける。

 

「すぐには無理だと思います。でも、またいつか……私が冒険者として戻って来られたら……そのときは一緒に……」

 

 引退を決意し、未だ心の傷は癒えていない。そんな彼女がこの言葉を振り絞るのに、一体どれだけの勇気が必要だっただろうか。それを受け、今度は全員が振り返って返事をする。

 

「がはは、もっと美女になって俺様に会いに来ると良い。可愛がってやるぞ」

「ノアさん。私、ずっと待っています!」

「殆ど初対面の私がこう言うのも何ですけど、頑張って下さい!」

「ヒーローに出来ないことはないだろ? 期待して待っているよ」

 

 その言葉の一つ一つがノアの胸に響く。涙を流し、手をギュッと胸の前で握りしめながらハッキリとその言葉を口にする。

 

「必ず……必ず戻ってきます! いつか、必ず!」

 

 

 

-リスの洞窟 三層-

 

 ノアと別れた後、ルークたちは再びリスの洞窟へとやってきていた。捕らえられているローラを早く救い出してあげる必要があるからだ。勿論、聖装備を買い直すためでもあるが、モンスターに捕らえられている少女を長い時間待たせる訳にもいかない。

 

「いないですね。良かったです……」

「そうだな……」

 

 サテラたちと出会った場所を通り過ぎるルークたち。もしこの場所に戻ってきていたらどうしようと心配していたシィルがホッと息を吐くが、ルークは何か難しい顔をしていた。何か思うところがあるのだろう。そのまま更に奥へと進んでいくと、程なくして話し声が聞こえてくる。

 

「ランス様、声です。ローラさんでしょうか?」

「いや、もしかしたら魔人かもしれんぞ?」

「んっ……止めてよね、ランス……」

 

 ランスのその言葉に顔を強ばらせるかなみ。もしかしたらという思いから、ルークとシィルにも緊張が走る。そのままゆっくりと声のした方へと進んでいくと、先程サテラたちがいた場所よりも更に開けた場所に出る。そしてそこには、普通のリスと比べると中々に巨大なリスがおり、その横には少女が座っているのが見える。少女の顔は写真で見た顔と一致している。彼女がローラだ。巨大なモンスターの前にいるローラが危険だと考え、かなみがすぐに手裏剣を投げようとするが、ルークがそれを制止する。何か様子がおかしい。

 

「ローラ、僕は君のためならどんな事でもするよ」

「うれしい。でも、私にとっての幸せは貴方がいつも側にいてくれる事よ」

「なんて可愛いんだ。いつか人と魔物の仲が認めて貰える時代が来る。それまでの辛抱だよ」

「はい。お父様とお母様も貴方とちゃんと話をすれば、どれだけ素晴らしい相手なのか判るはずなのに……」

「……ん? 僕たちの愛を引き裂こうとする邪魔者が来たみたいだ」

「え?」

 

 あまりにも想定していなかった二人の関係にルークたちが固まっていると、ようやくリスたちもこちらの存在に気が付き、ジッとルークたちを睨み付ける。その視線を受け、ルークが頭を掻きながらため息をつく。

 

「参ったな。モンスターに捕らわれたと聞いていたが……」

「どう見てもあの二人、愛し合っていますよね」

「種族を越えた愛、ちょっと素敵かも……」

「何者だ!? 一体何をしに来た!?」

 

 シィルがルークの気持ちを代弁し、かなみが少しだけ乙女チックな瞳で二人を見る。普段から少女漫画を愛読しているかなみにとっては、こういったロマンチックな恋愛は憧れだったりするのだ。そんな一行を睨み付けながら、ローラを後ろに庇うようにしてこちらに向かって叫ぶリス。そのリスの叫びを受け、ランスが剣先をリスに向けながら口を開く。

 

「がはは、そこのローラちゃんを返して貰おうか! リス風情が美少女と愛し合おうなんぞ、100億年早いわ!」

「リス、私恐い……」

「ローラ、奥の部屋に隠れていて。それと、奥の二人を呼んできてくれるかい」

「はい。気をつけてね、リス……」

 

 不安そうにしているローラに優しい眼差しを送るリス。そのリスを心配そうにしながらも、言われた通り奥の部屋へ下がっていくローラ。まるでこちらが悪役のような展開である。

 

「あ、こら! ローラちゃんを返せ!」

「断る! 僕とローラは愛し合っているんだ! 邪魔をするな!!」

「三人とも、気を抜くな。今あのリスは奥の二人を呼んでこいと言っていた。新手がいるぞ」

「はい、ルークさん」

「その通り。家出してきたローラを、僕のいるここまで護衛してくれた二人だ! とっても強いんだぞ。謝って帰るなら今のうちだ!」

 

 リスのその言葉に反応するように、奥から二人分の足音が聞こえてくる。ランスはふてぶてしい態度のままだが、ルークはいつでも真空斬を撃てるように構え、かなみも忍剣を握り、シィルは後ろでいつでもサポートできるよう身構える。なにせ先ほど会った相手が魔人。否が応でも緊張感は増す。そして、二人組がその姿を現した。

 

「ローラが言っていたけど、敵がやってきたのか?」

「まあ、そろそろ体を動かさないと訛っちゃうなって話はしていたところだったのよね」

 

 奥から現れたのは、二人の女性だった。短剣を腰に差した盗賊風の女と、剣を腰に差した冒険者風の女。ルークはその二人にどうにも見覚えがあった。眉をひそめながら記憶を掘り起こし、一つの結論に至る。

 

「……あ! シャイラとネイじゃないか!」

「ルークさん、知り合いですか?」

「知り合いというか、理不尽な恨みを買っているというか……」

 

 現れたのは意外すぎる人物。かつて誘拐事件のときに出会った盗賊のシャイラと、カスタムの事件のときに出会った冒険者のネイであった。共にランスが犯し、何故かとばっちりでルークも恨みを買った人物である。ルークの言葉に反応してこちらに視線を向けた二人が目を見開く。

 

「あ、貴方たち、ランスとルーク!!」

「ここで会ったが100年目! 二人ともぶっ殺してやる!」

「あー……やっぱり俺も恨みを買っているんだな。というかお前ら、なんで一緒に?」

 

 冷静になった二人がルークは関係無いと思い直す事に僅かな希望を抱いていたが、どうやらそんなに都合良くはいかなかったようだ。ルークの問いを受け、シャイラとネイはガッシリと肩を組む。

 

「酒場でお前らの愚痴で意気投合してな。今じゃ共に鍛練を積む相棒さ!」

「親友と書いてマブと読む仲よ。まさか同じ恨みを持つ相手と出会えるとは思わなかったわ」

「へへ、以前までのあたしらじゃないぜ」

「鍛え上げた私たちの力、見せてあげるわ!」

 

 そう言って武器を取る二人。同様にリスも爪を立て、臨戦態勢に入る。なんとか誤解を解けないものかと考えるルークだったが、その考えをぶち壊すようなランスの笑い声が部屋に響く。

 

「がはははは。こいつらがとっても強い? 弱すぎて盗賊団を抜け出せなかったへっぽこ盗賊と、水の彫像なんかにやられたへっぽこ冒険者ではないか。うむ、そんな弱い二人はもう一度この俺様が可愛がってやろう」

「「こ、こ、殺す!!」」

「火に油注ぐなよ……」

 

 目を血走らせながら跳びかかってくる二人。リスもその二人に続いてこちらに駆けてくる。その二人を値踏みするように眺めるランス。

 

「むぅ……どちらも同じくらいの点数だからどっちでも良いんだが、今日はさっぱりとしたものを食べたい気分だな。よし、ここはネイに決めよう」

 

 そんなとんでもない事を口にしたランスがスッと剣を抜き、向かって左から迫ってきていたネイの剣を受け止める。ルークはそれを確認し、向かって右から迫ってきていたシャイラの対応をしようとするが、その間にかなみが割って入ってきてシャイラの短剣を忍剣で受け止める。

 

「ルークさんはリスをお願いします。彼女は私が!」

「了解だ」

「くっ、小娘が……あたしの邪魔をするな!」

 

 恨んでいる対象であるルークとの戦いを邪魔された事に腹を立てたシャイラは威圧するようにかなみを睨み付けながら短剣を振るう。それを素早く躱しながらかなみがシャイラの動きに注意を払っていると、シャイラは右手で短剣を振るいながら左手で懐からナイフを出し、器用にもそれをかなみに向かって投げてきた。確かに、あっという間に敗れた以前よりは成長しているらしい。だが、成長率という点では相手が悪すぎる。

 

「はっ!」

 

 かなみは自身に向かって飛んできたナイフを全て忍剣で捌き、お返しとばかりに手裏剣を投げる。シャイラがナイフを投げる動作は多少大きかったが、こちらはほぼノーモーションだ。

 

「なにぃ!? くそっ……」

「やあっ!!」

「がっ……」

 

 突然飛んできた手裏剣を無理に避けたため、グラリと体勢を崩してしまうシャイラ。かなみはその隙を見逃さず、シャイラの腹部に素早い膝蹴りをお見舞いする。かなみの小柄な体格からでは一撃で倒すほどの威力は生み出せないが、悶絶させるには十分な一撃であった。腹部を押さえながら蹲るシャイラの後ろに素早く回り込み、腹部を押さえている腕とは逆の腕を掴んで後ろに回し、そのまま地面に体ごと地面に叩きつける。シャイラがもがくが、掴まれた腕は関節がしっかりと決まってしまっており、抜け出すことが出来ない。

 

「なっ、なんだこいつ!? 強い……」

「これ以上の抵抗は無駄です。おとなしくして下さい」

 

 そのかなみの威圧するような言葉を受け、シャイラは抵抗を止める。これ以上下手に抵抗すれば、腕を折られかねないと判断したのだろう。ルークの助言を受け、これまで鍛錬を積み重ねていたかなみ。その実力は、既にシャイラ程度が相手になるレベルではなかった。

 

「かなみさん、凄いです!」

「あ、ありがとうございます……」

 

 あっという間の決着と、かなみのその華麗な動きにシィルは感嘆し、パチパチと拍手を送る。それを受け、かなみは少しだけ顔を赤らめていた。

 

「それより、ルークさんは?」

 

 かなみがシャイラの拘束を続けながら、視線をルークの方に向ける。そこには、巨体のリスと対峙しているルークの姿があった。だが、かなみはその状況に少しだけ疑問を抱く。ルークの実力であれば、もうとっくに倒していてもおかしく無いはずだからだ。だが、ルークとリスの戦いを観察しているとその理由に合点がいく。

 

「くそっ、くそっ、僕たちの愛の邪魔をするな!」

「応援してあげたいのはやまやまなんだが、こちらにも事情があってな。スマン」

 

 巨体から繰り出される鋭い爪の攻撃を難なく妃円の剣で捌き、峰でリスに攻撃を加えていくルーク。かなみの想像通り、殺す気で戦えば早々に決着はつけられた。だが、先程の二人の様子を見てしまっては、流石に殺すのは忍びない。そう考えたルークはリスを殺さないよう、手加減をして攻撃を加えていたのだ。早く気絶してくれれば良いのだが、巨体のリスはそれだけ体力があり、中々気絶させる事が出来ない。これが、時間が掛かってしまっていた理由だ。

 

「やぁぁぁぁ!」

 

 攻撃が当たらない事に焦りを覚えたのか、リスの攻撃がこれまで以上に大振りになる。それを見逃すルークではなく、がら空きの腹に剣の柄の部分を勢いよく押し込んだ。

 

「みぎゃぁ!」

 

 流石に今の一撃は効いたのか、リスがずるずると崩れ落ちる。床に這いつくばりながら、悔しそうに涙を流して言葉を漏らす。

 

「ちくしょう……ちくしょう……僕たちが何をしたって言うんだ……」

「少なくとも、ローラちゃんの両親に心配は掛けたな。確かに人間と魔物では受け入れられない恋かも知れないが、だからといって洞窟に引きこもって良い訳じゃないだろ」

 

 リスにそう諭すルーク。モンスターに連れられて娘がいなくなったと知ったご両親は、さぞや心配したことだろう。

 

「でも、僕たちの愛をどうやって認めて貰えれば……」

「そうだな……他人事でしかないから無責任な発言しか出来ないが、誠心誠意伝えるしかないんじゃないか?」

「いや、そんなことでは無理だな。人間になれ! 気合いと根性があれば人間になぞ簡単になれる!」

「そんな、無責任な……」

 

 後ろから無茶な野次を飛ばしてきたランスの方に振り返るルーク。かなみもそちらに向き直り、シャイラも床に拘束されたまま首だけ動かしてそちらを見る。瞬間、全員が絶句する。ランスは思いっきりネイとお楽しみの真っ最中だったのだ。悲鳴を上げようとするネイの口を抑え、周りにばれないようこっそりとヤっていたらしい。ルークはリスと戦っており、かなみもシャイラを取り押さえるのに集中していたため気が付かなかったのだ。唯一、シィルだけが既に気が付いていたようだ。かなみとは違い、ルークの戦いではなくランスの戦いを見ていたのだろう。

 

「またか! またこの展開か!?」

「ちょっ……こんなところで何しているのよ!!」

「ランス様……」

「ううっ……誰か助けて……」

「がはは、久しぶりのネイちゃんの体はグッドだ!」

「(……ネイには悪いが、あっちの相手じゃなくて良かった)」

 

 毎度おなじみの展開に頭を抱えるルーク。これは間違いなく自分も恨まれる展開だ。かなみが顔を赤らめながら大声で文句を言い、シィルは悲しげな瞳でランスを見ていた。相棒への仕打ちに腹を立てながらも、ホッと息を吐くシャイラ。部屋が騒然とする中、リスが決意したように言葉を発する。

 

「判った。僕は人間になる!」

「今の流れでどうしてそうなるの!?」

 

 かなみが思わず叫んでしまう。まさかランスの発言を真に受けてしまったのか。良く見て欲しい。それを口にした男は、ネイを絶賛犯し中である悪人だ。そう言葉にしたいかなみだったが、驚きが先行してしまってパクパクと口を開くばかりである。

 

「待て。人間になるなんて、そんな簡単に出来る事じゃ……」

「待っていてくれ、ローラ! 僕は必ず人間になって帰ってくる!!」

 

 ルークが引き留めようとしたがリスの耳には届いておらず、全力疾走で洞窟を出て行ってしまう。どうやら一度物事を決めると周りが見えなくなるタイプのようだ。シィルもポカンとしており、ランスもリスの消えた方向を見て唖然としたまま腰を振っている。

 

「行ってしまいましたね」

「うむ、馬鹿な奴だ。獣風情が人間様になぞ簡単になれる訳がないのに」

「今、酷い発言を聞いた。おい、拘束解いてくれよ。あいつはやっぱ殺さなきゃ駄目だろ?」

「拘束、解きたくなってきた……」

「リス……?」

 

 リスの消えた方向に全員が視線を集めていると、不意に後ろから声が聞こえてくる。振り返って見ると、そこに立っていたのは奥の部屋に隠れていたはずのローラ。どうやらリスのことが心配で出てきてしまったらしい。辺りを見回し、リスがいないことに気が付く。

 

「リスは? リスは何処へ行ったの? まさか、殺したの!? この魔物殺し! 魔物だって生きているのよ!!」

「いや、リスは別に死んでは……」

「リスはランスに殺されて経験値になってしまったの!」

 

 ルークたちを睨みながら捲し立ててくるローラ。どうやら完全に誤解してしまっているらしい。なんとか誤解を解こうとルークが口を開くが、それを遮るようにネイが叫ぶ。

 

「ローラさん、彼らを許しちゃ駄目! 見て、この私の状況。こいつらは酷い悪人なの!」

「そうだ、あたしもこの目で確かに見たぞ! リスは無残に殺されたんだ!」

「こらっ! そう言うこというのはどの口だ? んん、この口か? ならば俺様の皇帝液でお仕置きしてやろう。とぉーっ!」

「ああんっ!」

 

 ネイがローラに嘘を吹き込み、シャイラもそれに便乗する。せめてもの復讐のつもりなのだろう。だが、その言葉は混乱したローラにとって信じるに値するものであった。ぷるぷると小刻みに震え、目に涙を浮かべてジッとこちらを睨み付けてくる。その瞳の奥にあるのは、確かな復讐心。

 

「絶対に許さないんだから! 仕返ししてやるから覚えておきなさい、ばかー!!」

「あっ、話を聞いて、ローラさん!」

 

 リスと同じように走って部屋から出て行ってしまうローラ。それをかなみが呼び止めようとするが、その際にシャイラの拘束が緩んでしまう。

 

「よし、抜けた。逃げるよ、ネイ!」

「あっ、しまった!」

「こら、待て! まだネイちゃんとしかやっていないんだぞ!!」

 

 ネイに一発発射し、丁度まったりしていたランス。その横でぐったりとしていたネイの腕をシャイラが引っ張り上げて立たせ、ローラの後に続いて二人も走って出て行ってしまう。

 

「「おぼえてろー!!」」

 

 最後に三流小悪党のような捨て台詞を残していったシャイラとネイ。

 

「何故だろうな。あいつらとはまたどこかで会いそうな気がする」

「私もそんな気がします……」

 

 凄くどうでもいい事だが、何故だかそんな気がするルークとシィルだった。

 

 

 

-リーザス城 ヘルマン軍司令部-

 

 リーザス最上階に置かれている、ヘルマン軍司令部。元々はリーザス王の間であった部屋だ。

 

「くくく……」

 

 玉座に腰掛けながら不敵な笑みを浮かべているのは、侵攻戦の首謀者であるヘルマン国皇子、パットン・ヘルマン。皇子にしてはマシな体つきであるが、戦士として見ればあまり筋肉のついていない痩せ形の青い髪の男。全裸の女性を数人ほど側に侍らせながらワインを口に含む。彼女たちはリーザス城で働いていたメイドたちだ。屈辱なのだろう、その目には涙を浮かべている。その涙が、パットン皇子にとっては勝利の美酒となる。それは、リーザスを自身の手で落としたという証なのだから。

 

「はっはっは。リーザス全土は、ほぼ我が第3軍が制圧した。これもお前ら魔人の協力があったからだな。感謝しているぞ、ノス」

「はっ!」

 

 返事をしたのはパットンの後ろに控えていた男。白い髭を蓄え、老人のようにも見えるが2メートルはゆうに越すほどの巨体。リーザスを陥落させる際、リックの前に現れた三人組の一人。そう、この男は魔人である。

 

「それにしても、お前らの褒美は本当にリア王女だけでいいのか? 褒美が欲しければいくらでも言え。何でも与えてやるぞ。何せこの私はヘルマンの皇子。いや、この成功で最早皇帝の座も目の前というものだ! はははははは!」

「いえ、リア王女だけで十分です」

「くくく、本国で私のことを馬鹿にしていた奴らよ。震え上がるがいい。これからは、このパットン様の時代だ!」

「………………」

 

 グッと拳を握りしめるパットン皇子。長きに渡って戦争を続けてきたリーザスを落としたとあっては、今の発言通り彼が皇帝になるのは揺るぎない事だろう。完全勝利とも言える状況に笑いが込み上げてくる。

 

「ノス、お前たちも俺によく尽くせよ。私が天下を取った暁には、お前たちにも領地を分けてやろう」

「恐れ入ります。それと、私は少し所用を思い出した故、これにて」

 

 スッと身を翻して部屋から出て行くノス。その背中を見送ったパットン皇子はつまらなそうに吐き捨てる。

 

「つまらん男だ。うっ、ははは、そこの女、上手いぞ。褒美に1000GOLDくれてやろう。どうだ、嬉しいだろう? わははははは!」

 

 口で奉仕していたメイドに金を放り投げ、上機嫌に笑うパットン。あまりにも屈辱的な扱いだが、メイドたちにはどうする事も出来ない。そのとき、青い髪のメイドが一歩前に出る。

 

「パットン様。そろそろお腹が空くお時間ではないですか?」

「ん? そうだな、少し小腹が空いたか」

「それでは、リーザス特製のパンを焼いて差し上げます。美味しいと評判なんですよ。私もしょっちゅう盗んで……じゃなかった、食べております」

「ほう、それは楽しみだ」

「これは特別なパンでして、人手が沢山いるのでメイド全員で調理をしなければ……」

 

 そうメイドが口にしたところで堪えきれなくなったのか、パットン皇子が可笑しそうに吹き出す。

 

「くくく。つまり、一刻も早くメイド全員でこの部屋から出て行きたいという事だな?」

「そ、それは……」

 

 あまりにもバレバレすぎる演技に可笑しくなったパットン皇子は笑いながら青い髪のメイドを見る。血の気の引いた顔をしているメイドだったが、パットン皇子ニヤリと笑って口を開く。

 

「丁度、射精したばかりで気が抜けたところだ。全員でパンを焼いてこい。但し、また後で来て貰うがな」

「は、はい。みんな、行きましょう」

「それと、毒を入れても無駄だぞ。毒味役がいるからな」

「そ、そんな事はしませんわ」

 

 額に汗を掻きながらも頭を下げるメイド。一時的とはいえ、長い事奉仕させられていたメイドたちへは良い休憩になるだろう。ぞろぞろと部屋を後にするメイドたち。その背中を見送ると、部屋の隅に控えていた護衛兵たちに向かって声を掛ける。

 

「お前らも一時間ほど休憩にしろ」

「いえ、そういう訳には……」

「一人にしろと言っているんだ。二度目は言わんぞ」

「あ、し、失礼しました……」

 

 パットン皇子に睨まれ、深々と頭を下げて部屋から出て行く護衛兵たち。とはいえ、完全に部屋から離れたわけではない。有事の際にはすぐに駆けつけられるよう、部屋の前に控えているのだ。こうして部屋に一人きりになったパットン皇子は玉座に深々と座り直し、その顔から笑みが消える。先程までとは違う、何かを思い詰めたような表情。

 

「そうだ。これで次の皇帝は俺だ。くそ親父にも、パメラのババァにも、ステッセルの野郎にも、誰にも文句は言わせない」

 

 一人になって気が抜けたのか、一人称が私から俺へと変化する。先程までの様子だけを見ればただの馬鹿皇子とも思えたかもしれない。だが、彼にもまた抱えている物があるのだ。

 

『馬鹿なっ……魔人と手を結んだというのか……無謀だ!』

 

 思い出されるのは、リーザスの赤い死神、リック将軍の言葉。眉をひそめながら、忌々しげに口を開くパットン皇子。

 

「そんな事、重々承知している。だが、俺は何が何でも皇帝にならなければならないんだよ……」

 

 グッと拳を握りしめ、それを自身の額に押し当てながらハッキリと口にする。

 

「そのためなら、魔人だって利用してやる……」

 

 

 

-リーザス城 地下室への通路-

 

 通路を歩くのは二人の男。一人はノス。もう一人は金髪の美男子。この男が三人目の魔人、アイゼル。立場はノスの方が上なのだろうか、先行くノスの後をついて歩いている。

 

「我らが動き、主君ホーネット様には気が付かれていないな?」

「はっ! ヘルマン第3軍が前面で目立っていますので、ホーネット様は我らが荷担している事には気が付いていないでしょう」

「うむ、それならば良い。なんとしてもホーネット様に気付かれる前にカオスを手に入れるのだ。あれさえ手に入れれば、我らの天下だ」

「しかし、何故ホーネット様には内密で動いているのですか?」

 

 ホーネットというのは、彼らの主君にあたる魔人だ。ノス、アイゼル、サテラの三人は主君に内密の状態で動いていたのだ。その事を疑問に思っていたアイゼルがそう問いかけると、一瞬だけノスの眉が動く。だが、すぐに表情を戻してそれに答える。

 

「あまり大げさに動いてはケイブリス共にも感づかれるからな。なに、成功すればホーネット様もお喜びになる。気にするな」

「……はっ! 出過ぎた真似を」

「アイゼル、お前は引き続きサテラと共に情報を集めろ」

「お任せを」

「我らが時代まで、あとしばらくの辛抱だ」

 

 そんな話をしている内に、二人は目的地である地下牢の前へと辿り着く。牢の中では、リアとマリスがヘルマンの女兵士サヤに鞭で拷問を受けていた。二人の美しい身体には多くのアザが出来てしまっている。

 

「うふふ、王女さん。そろそろ話してくれてもいいんじゃないの? さぁ、聖装備を渡した相手の名前を言いなさい!」

「……ふふ、いやよ」

「このっ! これだけの拷問を受けてまだ言わないのか! むかつくんだよっ!」

「くっ……あぁっ……」

 

 既に普通の女性が耐えられる範疇を超えた拷問を受けている二人。しかし、未だその口は固く閉ざされていた。そのリアとマリスの様子を見ながら、アイゼルが独りごちる。

 

「下等な人間ながら、見事。これぞ上に立つ者だ。あの馬鹿皇子とは違う」

 

 人間を下に見ているアイゼルだが、二人の覚悟には素直に感嘆の声を出す。だからといって、拷問の手を緩めるような事はしない。

 

「サヤ。拷問を更に強めよ」

「はっ! ふふふ、楽しみね、王女さん」

「…………」

 

 全ては、魔人界の統一のために。

 

 




[人物]
ラーク (3)
LV 25/35
技能 剣戦闘LV1 冒険LV1
 キースギルド所属の冒険者。キースギルドの中でもトップクラスの実力者であったが、サテラの前に敗れ、修行の旅に出る。いつかまた、ルークの前に姿を現すこともあるかもしれない。

ノア・セーリング (3)
LV 20/33
技能 神魔法LV1 教育LV1
 キースギルド所属の冒険者。ルークが認めるほどの実力派コンビだったが、サテラに敗れた上にガーディアンに犯されそうになった恐怖で戦えなくなってしまう。田舎で療養することを決めた彼女だが、ルークたちとの約束通りいつの日かまた冒険者として戻ってくるかもしれない。

シャイラ・レス (3)
LV 8/25
技能 剣戦闘LV1 シーフLV1
 ランスとルークに恨みを持つ元盗賊。ローラに雇われてリスの洞窟までの警護を担当していた。捨て台詞を吐いて逃走。今回はランスに犯されずホッとしている。

ネイ・ウーロン (3)
LV 12/27
技能 シーフLV1
 ランスとルークに恨みを持つ女冒険者。シャイラ同様、ローラに雇われていた。今回もランスに犯され、恨みを更に強くする。

パン盗みメイド (3)
 リーザス城メイド。サボりの常習犯だが、パットン皇子に進言した辺り勇気はある。

サヤ
 ヘルマン第3軍所属の女兵士。拷問好きであり、リアたちの拷問役として抜擢される。実は処女である。


[モンスター]
リス
 丸い者と呼ばれる種族の最終進化形の一つ。白い毛に覆われており、大きさは様々だが基本的には小柄なものが多い。知性は高いが戦闘能力は低い。


[装備品]
忍剣
 JAPANから輸入した忍者用の短剣。かなみが通販で購入。斬れ味はそこそこ。

手裏剣
 忍者の必需品。こちらも基本的に通販で購入。通販大好きかなみちゃん。

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