ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第61話 探索メンバー決定!?

 

-カサドの町 うまうま食堂-

 

「あら、本当にレベルが1になっていますね……」

「どれだけサボったんだ、お前は……」

「違う! えぇい、光の神め。くだらない天罰を与えやがって!」

 

 ランスとシィルの二人と再会を果たしたルークだったが、フロンにあえなく負けてしまったランスを不思議に思い、レベル神ウィリスを呼び出してレベルを調べて貰った。その結果、ランスとシィルのレベルが1になってしまっている事が発覚したのだ。予想だにしていなかった事態にランスが喚き散らし、ルークも頭を抱える。

 

「ランス、ここが空中都市だという事はもう聞いたのか?」

「ああ、このババアから一通りの説明は受けた」

「誰がババアだい。もう一度懲らしめてやろうかい? 貧弱な坊や」

「上等だクソババア! 今度こそ剣の錆びにしてくれるわ!」

 

 フロンの挑発をランスが買い、再び店の中で戦闘を始めるランスとフロン。ランスが剣を握り、フロンはフライパンを手に持って臨戦態勢を取る。それを尻目に、ルークはシィルと会話を始める。

 

「レベルがここまで下がるのは異常だぞ。一体何があったんだ?」

「あの、断言は出来ないのですが……光の神様のプレートを踏んだ事を怒られてしまい、天罰でここに飛ばされてしまったんです。恐らく、その天罰の中にレベルダウンが含まれていたのかと……」

「レベルダウンは厳しい罰だが、罰と礼で飛ばす場所が一緒とは……適当な神め……」

 

 ルークがため息をつく。空中都市からの脱出方法を探すための戦力として期待していただけに、そのショックは大きい。とはいえ、レベル1の二人をこのまま放っておく訳にもいかない。

 

「とばっちりでレベルダウンさせられたシィルちゃんも大変だな」

「いえ、私は別に……」

「俺は地上への脱出方法を探すつもりだが、どうする? ついてきてもいいし、しばらくレベル上げに専念してもいい」

「あの……私はランス様の剣を買うお金をフロンさんにお借りしてしまったので、しばらくウェイトレスとして働かなきゃいけないんです……」

「剣? あぁ、カオスがないのか……」

 

 チラリとランスに視線を向けると、ランスが持っているのはボロい中古ソードであった。ジルとの戦闘でカオスを吹き飛ばされたままこの場所に飛ばされてしまったため、ランスは丸腰の状態であった。流石にそれではマズイと考えたシィルがフロンにお金を借り、装備を揃えたのだ。だが、その分の代償としてしばらく食堂で働かなければいけないとの事。

 

「ぎゃぁぁぁぁ!」

「ふん、出直しておいで!」

 

 フライパンで頭を思い切り叩かれ、ランスが再びフロンに敗北する。あのランスが食堂のおばちゃんに勝てないというのは相当な事だ。流石はレベル1と言ったところか。倒れているランスを横目で見ながら、ルークはフロンに話し掛ける。

 

「フロン。シィルちゃんに貸したお金は俺が立て替えるから、二人を解放してもらえないか?」

「そりゃぁ構わないよ。別にあんたの連れだっていうなら、お金も返してくれなくていいんだけどね」

「そういう訳にはいかないさ」

 

 ルークが金を取り出し、フロンに早々にシィルの借金を返す。これで二人は晴れて自由の身だ。

 

「ランス、俺は地上への脱出方法を探すが、お前はどうする? とりあえず、レベル上げに励むか?」

「馬鹿者! ちまちまレベル上げなど、英雄である俺様が出来るか! 俺様も脱出方法を探すぞ」

「となれば……来い、フェリス!」

 

 ルークの呼び出しに応じ、フェリスが悪魔界からやってくる。先程の一戦からまだ時間が経っていないのに、いつの間にかランスとシィルと合流している事にフェリスが驚いた様子を見せる。

 

「スマンな、何度も呼び出して」

「……まあ、別にいいけど。今度は何だ? というか、合流早いな」

「まあ、色々と偶然が重なってな。呼び出した理由だが、しばらくこっちに滞在して一緒に闘神都市の探索を手伝って貰えないか?」

「ん? ランスがいるのに人手が足りないのか?」

「色々理由があって、ランスとシィルちゃんがレベル1になっちまったんだ。流石に一人でフォローするのは厳しそうなんでな」

 

 先に倒したおかゆフィーバーとまじしゃんは、低レベルで戦うにはどちらも厳しい相手だ。あのレベルのモンスターが他にもうじゃうじゃいるのであれば、流石にルーク一人ではフォローしきれない。そのルークの言葉に、フェリスは呆れたような表情を浮かべる。

 

「どんだけサボったらそうなるんだ……? はぁ……ま、別にいいけど」

「悪い。そっちも悪魔の仕事があるだろうに……」

「まぁ、最近悪魔界にいても居心地悪いから、別にいいんだけどね……」

 

 解放戦以後の居心地の悪さを思いだし、眉をひそめながらルークに聞こえない程度の声でボソッと呟くフェリス。あちらにいるよりは幾分居心地が良さそうだ。

 

「こんだけ高い場所なら天使に居場所を突き止められる事も無いだろうし、最期まで付き合うよ」

「天使に居場所を突き止められるって、どういう事ですか?」

「ああ、悪魔狩りみたいなのがあるんだよ。人間界で同じ場所に居続けちまうと、天使に気付かれて狙われるんだ」

「フェリスさんも大変なのですね……」

「(はぁ……だから、何で人間の方が優しくしてくれるんだか……)」

「おや、悪魔が知り合いなのかい? 本当に不思議な男だねぇ」

 

 シィルの言葉を受け、解放戦後のカスタムの住人の対応を思い出して更にため息をつくフェリス。フロンはフェリスが悪魔だという事をあまり気にしていない様子だ。見た目通りの剛胆な性格である。

 

「とりあえず、アイテム屋に行くかな。中古ソードじゃ戦力にならんし、フェリスに服も買ってやらんと」

「は? あたしにか?」

「角と羽が隠れるようなフード付きの服を買っておかないと、町の人が怯えちまうからな」

 

 今後この食堂を拠点として探索を続けていくとなると、必然的に町の中は何度も通る。悪魔のフェリスが堂々と町の中を歩くのは流石にマズイ。何度も悪魔界と人間界の往復をさせるのもあれなので、フェリスに変装をして貰うのが一番手っ取り早いのだ。

 

「ああ、それならあたしの若い頃のローブがあるから、それを使うといい」

「何から何までスマンな」

「なーに、どうせもう着られないから捨てようと思っていた服さ。ちょっと待ってな」

 

 フロンがローブを取りに二階に上がっていく。その間、呼び出していたままになっていたウィリスに視線を向けて会話をするルーク。

 

「ランスさんがレベル1な上に、イラーピュに飛ばされてしまったなんて……大変な事になっていますね、ルークさん」

「ま、トラブルには慣れたさ。因みに俺のレベルは?」

「56ですね。もう人類では十本の指に入るんじゃないですか?」

「へぇ……」

「凄いです……」

「ふん! 俺様も下がっていなければ、その二倍くらいはいっていたがな!」

 

 ルークのレベルを聞いてフェリスが感心したようにルークを見る。ウィリスの言うように、人間の中ではかなりの高レベルだ。シィルは素直に驚き、ランスは胸を張りながら強がりを言う。それを苦笑しながら見るルーク。

 

「一つの指針でしかないがな。ところで、そっちの子は?」

 

 ルークが気になったのは、ウィリスの後ろに控えているオレンジ色の髪をした小さな女の子。ルークに話を振られ、その娘が一歩前に出てきて答える。

 

「ミカンはミカンだよ」

「この子は見習いレベル神のミカンちゃんです。実地研修として私のお供をしています」

「早くウィリスおねーさまみたいに立派なレベル神になりたいの。ランス、ルーク。よろしくね」

「ああ、早く立派なレベル神になれるといいな」

「そうだ。折角ですし、儀式の練習をさせていただいてもよろしいですか?」

 

 ポン、とウィリスが手を叩く。現在レベルは調べたが、まだレベルアップの儀式自体はしていなかったのだ。丁度良い機会と思ったのだろう。

 

「別に構わないが」

「ミカンちゃん。今まで私の儀式は見ていたわね。さぁ、頑張って」

「はーい! うーらん めーたん はらはら うんぬん するする ぱんぱんだーっ とこんてん みらくるあんぱーーん!」

 

 ウィリスの呪文を真似たのだろうが、所々適当な呪文でルークの儀式を行う。すると、ルークの体を光が包み込んだ。瞬間、身体中から力が湧き上がるような感覚を覚えるルーク。

 

「ん?」

「……あ、失敗して経験値が3倍になっちゃった」

「ミカンちゃん、それは違反行為よ!?」

「なんだと!? おい、ガキンチョ! 俺様にも儀式をしろ!」

 

 ミカンの儀式失敗によって現在の余剰経験値が3倍になり、LV57に必要な値までルークが達する。それを見たランスがこれ幸いと便乗しようとし、ウィリスが止める中ミカンはランスの儀式も行う。ルーク同様、ランスの体を光が包み込んだ。だが、何かおかしい。何故か力を吸い取られるような感覚を覚えていると、ミカンが小声で呟いた。

 

「……あ、失敗して経験値が0になっちゃった」

「なんだとぉぉ!? えぇい、ガキンチョ! 責任を取れ!」

「レベル1だったから被害は少なくて済んだな……」

「ミカンちゃん、もう練習は終わりにして帰りましょう! ルークさん、ランスさん、この事はどうか内密に……」

「ああ、こちらも得したんでな」

「えぇい、監督責任でウィリスが代わりに……」

「そ、それではー!」

「ばいばーい!」

 

 逃げるようにウィリスとミカンが帰って行く。このレベルになると1レベル上げるのも一苦労であるため、ルークにとってはかなり幸運な出来事であった。文句を言い続けるランスを何とか宥め、ルークたちはランスの剣を購入するためアイテム屋へと向かった。

 

 

 

-カサドの町 よっちゃんの店-

 

「あんころぴー」

 

 店に入るなり奇妙な挨拶をしてくるアイテム屋の少女。名前はよっちゃんと言うらしい。机の上には肌色の奇妙な生物がいる。聞けばレーガンという名前で、店のオーナーだという。

 

「アイテム屋っていうのは、頭のおかしな奴がやるもんなのか?」

「……完全に否定出来ないのが悲しいな」

 

 独特の喋り方をするトマトや、一年中下着姿のリーザスアイテム屋パティ、カンラの町ではしゃもじが武器屋を営んでいた。確かに並べ立ててみれば変わった者たちが多い。しいて上げるなら、アイスの町の武器屋の親父が一番まともだろうか。レーガンの頭を撫でながらランスの問いに答えるルーク。

 

「ぱぷー!」

「あら、遊んで貰ったの? よかったね、オーナー」

「おっ、この剣を買うぞ!」

「見るからに高そうな剣だな、おい」

 

 ランスたちは金を持っていないため、必然的にルークの奢りとなる。これ幸いと高そうな剣を選ぶランス。

 

「がはは、金ピカの剣とは、俺様にピッタリの剣だ!」

「黄金の剣ですね。本当は20000GOLDだけど、レーガンさんと遊んでいただいたから5000GOLDでいいですよ」

「随分と適当な店だな……」

「あ、この特価の盆栽もください」

「俺も鎧を買い直しておくか」

 

 他の装備はジル戦のものがそのまま残っていたので、ランスが黄金の剣を、シィルが特価で売っていたお帰り盆栽を、ルークが激戦の連続でボロボロになっていた真紅の鎧を買い直してアイテム屋を後にする。アイテム屋の入り口前にはフードを深く被ったフェリスが待っていた。

 

「それで、どこに向かうつもりだ?」

「さっきの地下通路だ。塔の中を探索したいからな」

「ああ、そういやそんな事が立て看板に書いてあったな」

 

 ルークたちが向かうのは教会の地下通路。立て看板に書いてあったが、おかゆフィーバーがいた方向とは逆側がどうもどこかの塔の内部に繋がっているらしい。通路を通って塔の中を探索すれば、何か脱出の手掛かりを掴めるかも知れないと考えたのだ。

 

「では、とっとと向かうぞ。地上にいる美女たちが俺様の帰りを待っているからな」

「レベルが1なんだから、あまり前には出すぎるなよ」

「まあ俺様のレベル1は凡人のレベル20くらいなのだが、とりあえずは後ろに下がっておいてやろう。適度に瀕死にしたモンスターを俺様に回せ。それで簡単にレベルアップだ」

「戦うのが面倒なだけじゃないか……」

 

 ランスが大笑いし、聞こえない程度の小声でフェリスがボソリと呟く。別にレベルが高い状態でも、ルークとフェリスに戦わせて自分は楽をしていただろうとフェリスは考える。恐らく、その予想は当たっている。

 

 

 

-カサドの町 教会-

 

「それじゃあ、またこの地下通路を通らせて貰うぞ」

「はい。パープルさんを救っていただき、本当にありがとうございます。これもヨウナシ様のご加護のお陰ですね」

 

 教会にやってきたルークはシンシアに許可を得て地下通路への階段を下りようとする。パープル救出の件でルークを信用したのか、シンシアが深々と頭を下げてくる。

 

「お、美人ではないか。俺様と一発やらんか?」

「私はヨウナシ様にこの身を捧げたので……あ、ルークさん。探索中にアリシアという女性を見つけたら、保護していただけますか?」

「それは……?」

「数日前、突然姿を消してしまった不肖の姉です。ヨウナシ様を信じなかった天罰かもしれませんが、一応姉妹なので……」

「心配という訳か。了解した。もし見つけたら連れ帰る事にするよ」

 

 シンシアからの依頼を簡単に引き受けてしまうルークを見て、フェリスが呆れたようにため息をつく。

 

「自分が大変な状況だっていうのに、安請け合いするよな……」

「ま、冒険者の性分でな」

 

 そうフェリスに返しながら、ルークたち四人は地下通路へと潜っていった。

 

 

 

-上部中央エリア-

 

「さて、南の塔の通路にあいつらがいたって事は、もうそろそろこの辺に来るはずだけど……」

 

 上部中央エリアの通路では、ビッチに命令されたイオがルークたちが来るのを待ち構えていた。南の塔地下通路からこの場所付近へとワープしてくる転移装置があるのを、事前に塔の探索をしていたヘルマン調査隊は知っていたからだ。

 

「手はず通りお願いね、ぬぼぼ」

 

 イオの側にはモンスターのぬぼぼが五体ほど控えていた。得意とする縛魅了の魔法で手懐けたのだ。

 

「まずは私がぬぼぼに襲われているフリをする。やってきたあいつらは美人の私を助けるため、ぬぼぼを倒すわ。それであちらの強さを調べる。大した事無さそうだったら、縛魅了の魔法で言う事を聞かせる。うん、完璧な作戦ね!」

 

 自分の立てた作戦の穴の無さに一人で頷くイオ。そのとき、転移装置のある方向から人の声がしてきた。

 

「むっ、来たみたいね。それでは……きゃー、誰か助けてー!」

「お、美女の悲鳴が聞こえる! 行くぞ、ルーク!」

「だから、前に出すぎるなって言っているだろ、ランス」

 

 ぬぼぼに襲われているフリを始めるイオ。すると、すぐに先程見た冒険者二人と、新たな冒険者二人、計四名が現れた。

 

「(あら? 人数が増えているわね。まあ、弱そうならついでに操れば……)」

「ぎゃぁぁぁぁ!」

「へ?」

 

 イオが現れた冒険者たちを見定めるように眺めていた瞬間、側にいたぬぼぼから悲鳴が聞こえてきた。振り返って見れば、ぬぼぼが両断されている。

 

「(えっ!? なんで!? なんでこの距離でいきなり斬られているの!?)」

「真空斬! 行くぞ、フェリス!」

「こんな雑魚で私の手を煩わせるなよな!」

 

 飛ぶ斬撃など見たことが無いイオは困惑する。あっという間に一体倒された事に周りのぬぼぼも呆気にとられている隙に、ルークとフェリスは一気に敵との間合いを詰める。

 

「なっ!? 速っ!」

「ふっ!」

「おりゃっ!」

 

 ルークが剣を素早く振り下ろし、フェリスが鎌で敵を横薙ぎにする。イオがあまりの早技に呆然としている間に、ぬぼぼは全滅していた。敵の全滅を確認したルークが、呆然とした表情で座り込んでいるイオに手を差し伸べる。

 

「大丈夫か? 怪我は?」

「え、ええ。お陰様で……」

 

 差し出された手をマジマジと見るイオ。口からは感謝の言葉を発していたが、内心では悪態をついていた。

 

「(何よ、滅茶苦茶強いじゃない。ビッチの馬鹿、見る目無し男! でも、一か八かで縛魅了の魔法を……)」

「こら、フェリス。一体くらい俺様の経験値稼ぎように残しておけ。俺様の下僕悪魔なんだから、気を利かせろ」

「……申し訳ありません、ランス様」

「(あ、悪魔!? そういえば角が生えているわ……)」

 

 ルークに縛魅了の魔法をかけようとしていたイオだったが、ランスの言葉を聞いてフェリスに視線を向ける。確かに角が生えているその風貌は、人間のものではない。悪魔であるのならば、先程の強さも納得がいくというものだ。

 

「それにしても、相変わらずお強いですね。レベル56というのも納得です」

「ぶーっ!!」

 

 シィルの言葉にイオが吹き出す。いきなりの反応に驚き、不思議そうにイオを見るルークたち。

 

「(む、無理、無理、無理、無理、絶対無理! 何よ、そのレベル。化け物じゃない! まぁ、あの人には遠く及ばないけどね……)」

「本当に大丈夫か?」

「え、ええ。危ないところをどうもありがとうございます。私、イオ・イシュタルと申します」

 

 自己紹介をしながらルークの手を取って立ち上がるイオ。頭の中では全力で方針転換を図っていた。

 

「(レベル56の化け物に悪魔……後ろの二人がどんなもんかは判らないけど、この二人がいる時点で色々詰んでいるわ。何か策は……ああ、駄目、何も思い浮かばない!)」

「で、君はどうしてこんなところに?」

「この迷宮にタケノコ取りに来ていたのですが、現れたモンスターに急に襲われて……」

「それは大変だったな……で、冗談は置いておくとして、本当のところは?」

「(ちょっと、そんなの準備していないわよ……ああ、どうしよう……)」

 

 咄嗟に出た嘘は冗談として取られ、本当の理由を聞いてくるルーク。割と自信のあった嘘を難なく看破され、イオはパニックになる。こんなところで言いあぐねていたら怪しまれてしまうため、とにかく理由を考えなければという思いが更に焦りを呼ぶ悪循環。焦りが限界点を越えたイオの口から飛び出たのは、あまりに酷い理由だった。

 

「じ、実は……私は旅の魔法使いなのです。気が付いたらこの場所にいて、いきなりぬぼぼが……」

「気が付いたら?」

「この場所に?」

「(だ、駄目かー!?)」

 

 あまりにも酷い嘘に自分でも失敗だったと目を瞑るイオ。だが、シィルが意外な返答をする。

 

「それなら、私たちと一緒ですね」

「意外にいるもんなんだな、イラーピュに飛ばされる冒険者っていうのは」

「(つ、通じた-! やったぞ、私!)」

 

 まさかの幸運に内心ガッツポーズを取るイオ。ルーク、ランス、シィルの三人は丁度自分が体験した出来事であったため、その嘘を普通に信じてしまった。そのイオにルークが尋ねる。

 

「ここがどこかは知っているか?」

「ええ、空中都市イラーピュなのでしょう。私はここから脱出する方法を探していたの。すると、ぬぼぼの大群に襲われて……」

「ん? さっきと言っている事が微妙に変わってないか?」

「がはは、混乱していたんだろう」

 

 先程は飛ばされてすぐに襲われた風な事を言っていたが、今は脱出する方法を探していたという事になっている。フェリスが首を捻るが、ランスがそれを一蹴する。確かにランスの発言も筋が通っているため、フェリスも深く考えない事にした。

 

「ふむ、目的は一緒か。君さえよければ、一緒に行動しないか? 一人では危険な場所だしな」

「それは是非!」

 

 あちら側から一緒に行動をしないかと提案してきてくれたのはイオにとって好都合であった。二つ返事でその誘いを受ける。洗脳するのは難しいが、上手く誘導すればキーを手に入れるのに利用する事は可能だ。早速その方向で話を進めるイオ。

 

「あと、とても重要な情報を私は持っているんです。どうも塔の中に隠された四つのキーが、脱出のためには必要みたいなんです」

「四つのキーか……」

「その情報はどこで?」

「モンスターが話しているのを偶然聞いたんです」

「がはは、ならそのキーを手に入れれば、こんな辛気くさいところからはおさらばだな。とっととキーを探すぞ」

「何度も言っているが、レベル1なんだから先行しすぎるなよ?」

 

 イオが美女であるため張り切るランス。ルークが注意を促すが、それを聞いたイオの目が光る。

 

「レベル1なんですか……?」

「ああ、このランスとシィルちゃんは色々あってレベルが1なんだ。それと、俺の名はルーク。こっちは悪魔のフェリスだ」

「あんたのレベルはいくつなんだい?」

「私はレベル10です」

「ふーん……」

 

 フェリスがイオを見ながら言う。ランスの下僕でもあるため口には出さないが、内心では今のランスとシィルよりは役に立つだろうと値踏みしていた。イオはランスに視線を向けながら、今後の方針を決める。

 

「(とりあえずキーを集めて、頃合いを見計らってランスを操り、キーを奪って逃げる。完璧な作戦だわ!)」

 

 ランスがふとイオから熱視線を送られている事に気が付き、ニヤリとイヤらしい笑みを浮かべる。

 

「むっ、俺様に惚れたか? なら、助けた礼はその身体で払ってくれていいんだぞ」

「え、ええ。今夜ベッドの上でたっぷりと……」

「ぐふふ、中々話の判る奴ではないか!」

 

 ランスの機嫌を損ねる訳にはいかないイオはランスの望む返事をする。同時に、ランスのレベルが上がりすぎないように注意しなければと心に誓った。

 

「それじゃあ、先に進むか。キーを探さないとな」

「ええ、全てはここからの脱出のために。しばらくの間ですけど、よろしくお願いします」

 

 こうして、ルークたちはイオをパーティーに加え、五人で塔の探索をする事になった。ランスの横に付き添って先を歩くイオの背中を、少しだけ訝しげに見る視線がある。それはシィルであった。

 

「(さっきルークさんに何か魔法を掛けようとしているように思ったのですけど……勘違いだったのかな……)」

「こら、シィル。ボサッとするな」

「あ、はい。ランス様!」

 

 ランスに呼ばれ、シィルが駆け足で合流する。胸の中に芽生えた疑念は、既になくなってしまっていた。

 

 

 

-リーザス城 中庭-

 

「遂にこの時が来たわね……」

「長かったです……」

 

 チューリップ4号の前には、自由都市からの救出部隊志願者が揃っていた。空を見上げながら真知子とトマトがルークの顔を思い出す。もう一度会うために、自らの手で助け出すために、そんな想いが彼らの胸にはあった。集まったみんなにマリアが説明を始める。

 

「自由都市連合からの空きは4人よ。ここに集まったみんなでじゃんけんをして決めて貰う事になるわ」

「へへ、腕がなるぜ」

「おねーちゃん、一緒にランスたちを助けに行こうね!」

 

 ミリとミルが仲良く話をしている。リーザス解放戦の最終決戦では力になる事が出来なかった。その鬱憤をここで晴らすつもりなのだ。

 

「あれから更に鍛錬をしましたですー。今度もトマトは頑張りますですよー!」

「人捜しに必要とされるのは情報力よ。全員が戦闘用メンバーなんてナンセンスだわ」

 

 トマトがぶんぶんと剣を振り、真知子が小型コンピュータ片手に宣言をする。戦闘力は落ちる二人だが、その想いは人一倍だ。

 

「へへっ、まさかちゃんと連絡を貰えると思わなかったぜぇ。この日のために仕事を一つキャンセルしてきたんだ。譲らねぇぜ!」

「……ルーク殿、今参ります。少しでも貴方に近づけていれば……」

 

 ルイスがナイフに舌を這わせ、アレキサンダーが目を閉じながら静かに呟く。戦闘力では先の四人よりも頭一つ抜き出ている二人だ。正直、戦力的にはついてきて貰いたい。

 

「ふふっ、負けないわよ!」

「……あれ? ランは仕事が忙しいから来られないかもって聞いていたのに……」

 

 そして、何故かこの場にいるラン。すかさずマリアから突っ込みが入るが、ランは静かに笑いながら返事をする。

 

「こっそり抜け出してきたの。たまにはこんな我が儘をしても……」

「「駄目です!」」

「ひっ! チサさん、亮子さん!?」

 

 突如、ランの後ろから町長のチサと同僚の長柄亮子が現れた。ランは思わず驚きの声を漏らしてしまう。

 

「ど、どうしてここに!?」

「来る場所なんてここしかないでしょ! さ、帰りますよ。ランさんがいなくなったら、カスタムの町は回らないんですから」

「ごめんなさい、ランさん。でも、数日でもいなくなられると本当にマズイの……」

「い、いやぁぁぁぁ! せめて勝負くらいには参加させてぇぇぇぇ!!」

 

 亮子がずるずるとランを引きずっていき、チサが申し訳なさそうにしながらも亮子と共にランを連れて行く。

 

「ランさん……ほろり……」

「涙が出るわねー。勝負にも参加させて貰えないとは……」

 

 トマトとロゼが連れて行かれるランを悲しげに見送る。そのとき、志津香がこの場に一人足りていない事に気が付き、ロゼに尋ねる。

 

「あれ? セルさんは?」

「あぁ、セルも丁度ゼスで仕事が入っちゃったみたい。今頃は終わっているでしょうけど、この勝負には間に合わないからキャンセルだってさ」

「あちゃー、セルもついてないな」

「私はこの鏡をルークに届けないといけないしねー。それよりも……」

 

 ミリが頭を掻く横で、ロゼが以前に調査を頼まれていた鏡でお手玉をしながらアレキサンダーとルイスをチラリと見る。

 

「どうしてアレキサンダーとルイスがいるの? ホモなの?」

「なっ! そんなの駄目です! ルークさんは渡さないですよ!」

「おいおい、なんでそうなる……」

「私は、どちらかというとシィル殿が……いえ、忘れてください……」

 

 トマトが二人に食って掛かるが、二人とも呆れた様子であった。そんな中、真知子が一人その場に顔を覆いながらしゃがみ込んでいる。

 

「(ルークさんとアレキサンダーさんですって……何、この胸の高鳴りは……)」

「……大丈夫、真知子さん?」

 

 真知子が開いてはいけない扉を開きそうになっていた。その扉の先は腐っているので開けてはいけない。

 

「……さて、そろそろ始めましょうか。じゃんけん勝負は一度。勝った四人が参加メンバーよ!」

 

 マリアの宣言を受け、全員に緊張が走る。この場には七人。勝ち抜けるのは四人。確率的にはほぼ半々だ。そのとき、トマトが不敵な笑みを浮かべる。

 

「ふふふ、遂にトマトのじゃんけん十三奥義、『ママの味』が火を吹くときが来たようですかねー!」

「あ、グー、チョキ、パー以外出したら反則負けだから」

「なんですと!?」

「ありゃ、それじゃあ私の十三奥義、『買収』も封じられちゃったか……」

「それは最早奥義でも何でもないのでは……?」

 

 頭を掻くロゼに、珍しくアレキサンダーが突っ込む。場が静まり、全員が一度だけため息をつく。

 

「「「「「「「じゃーん、けーん!!」」」」」」」

 

 そして、七人の手が振り下ろされた。しばらくして、姉妹と傭兵の悔しそうな声が辺りに響き渡ったのだった。

 

 

 

-ゼス 王者の塔-

 

「四人もですか……?」

「ええ……ガンジー王の命令よ……ふふ、何日徹夜になるかしらね、私……」

 

 出発前だというのに既に真っ白になっている千鶴子。出払ったメンバーの仕事のしわ寄せは間違いなく千鶴子にいくからだ。その姿を見て、流石に申し訳なくなるサイアス。

 

「……申し訳ありません」

「謝らなくて良いわ。明日には出発出来るよう飛行艇は調整しているから、メンバーが9人になるように自分で声をかけてね」

「9人? 8人では……?」

 

 ルークを連れて帰る事を考えれば、一人分空きが必要になる。9人乗りの飛行艇に9人乗っていくのでは、ルークを連れて帰る事が出来ない。その事を尋ねるサイアスに千鶴子が答える。

 

「一応調査の名目で行くのに、一人分の空きを作っていたらおかしいでしょ。それに、一緒に行方不明になった冒険者が後二人いるみたいだし、何人連れ帰る事になるかは判らないでしょ?」

「それは確かに……ランスとシィルという冒険者が一緒にいる可能性もありますね……」

「そうなったらイラーピュに数人残して調査をさせておいて、往復すればいいだけでしょ? どうせ往復する可能性があるなら、戦力はあるに越した事はないわ。どんなモンスターがいるかも判らないしね」

「……確かに、その方が自然ですね」

「そういう事。じゃあ、早くメンバーに声を掛けてきなさい。出発はもう明日なんだから」

「……千鶴子様に声を掛けても?」

「ゼスが腐敗した連中に乗っ取られてもいいなら行くわ……ふふっ……」

「……冗談が過ぎました」

 

 遠い目をしている千鶴子。これから押し寄せるであろう大量の仕事を考えているのか、今にも灰になって消えてしまいそうだ。一礼をして部屋を出て行こうとするサイアス。

 

「あっ! ちょっと待って!」

「何か?」

「……アニスだけは絶対に連れて行かないように。どこから聞いたのか知らないけど、自分が連れて行って貰えると思って言いふらしているみたいだから」

「……心得ています。イラーピュが墜落しかねませんからね」

 

 苦笑する二人。アニスのせいでイラーピュが墜ちてくるなど、流石に笑えない事態だ。そのまま部屋を後にしたサイアスが廊下を歩いていると、外で待っていたキューティが近寄ってくる。

 

「どうでしたか、サイアス様」

「四天王、四将軍クラスから俺含めて四人連れて行っていいとさ」

「えぇっ!? 凄い……」

「そういう訳で、後衛はもう十分足りている。前衛の選抜は任せたぞ、キューティ」

「お任せください! ガードは私一人でそれなりに補えますから、アタッカーを中心に選抜してきます」

 

 ビシッ、と敬礼をするキューティ。救助部隊として向かう事が決まった昨日のうちに、前衛募集のお触れをゼス中に出していたのだ。募集期限が一日しかなかった為、その分報酬を相場の五倍ほどに設定した甲斐あり、選抜会場には多くの冒険者が集まっているという報告を受けていた。キューティは今からその会場に向かうところだ。

 

「あ、そうだ。どうも確保出来たヒーラーがまだ学生で、実戦経験もないらしい。出来ればヒーラーもそれなりの人物がいたら確保しておいてくれ。前衛3人と出来たらヒーラー1人。頼んだぞ」

「はい! では行ってきます!」

 

 意気揚々と会場に駆けていくキューティを見送るサイアス。治安隊長であるキューティなら、間違っても変な人選はしないだろう。

 

「さて、こちらも後3人か。ま、パパイア様とナギ様が行く訳ないし、マジック様を連れて行ってもしもの事があるのも不味いな……となれば、四将軍揃い踏みが打倒か……」

「サイアス」

 

 四人とは言われたが、四天王は各々の理由から参戦するとは思えない。必然的に四将軍の四人になるだろうなとサイアスが考えていると、ふいに後ろから声を掛けられる。振り返ると、そこには意外な人物が立っていた。

 

「ナギ様……珍しいですね、このような所でお会いするとは……」

「聞いたぞ。イラーピュに行くんだな」

「え、ええ」

「私も連れて行け」

「なっ!?」

 

 公の場に殆ど出てこないナギがこの場所にいた事にも驚いていたサイアスだったが、次いで出てきた言葉に更に驚き、目を見開く。

 

「それは助かりますが……何故……?」

「お父様が、あそこは魔法使いにとっての財産であり、良い修行場になると言った」

「ナギ様のお父様が……?」

「ああ。お父様の言葉は絶対だ」

「……それでは、出発は明日ですので遅れないようお願いします」

「あ、ちょっと待て。……ふっ!」

「!?」

 

 ナギがサイアスに何かの魔法を放つ。突然すぎて避ける事が出来なかったサイアスの体を光が包み込み、すぐさま四散した。

 

「アスマ様、何を……んっ?」

「そういう事だ。私の事を偽名でしか呼べないよう魔法を掛けさせて貰った。お父様の開発した偉大な魔法だ。私はイラーピュ探索の間、アスマを名乗る」

「……何故そこまでして名前を?」

「お父様の命令だからな。では、明日に」

 

 そう言って立ち去ってしまうナギの背中を見送りながら、サイアスが考え込む。

 

「(そこまでして名前を隠したがるという事は……ルークの捜しているラガールとやはり関係があるのか?)」

 

 以前から調査を続けているが、未だに父親の情報は掴めていない。この問題は何とかしてルークに伝える必要があるなと考えるが、今は先にメンバーを決める必要がある。

 

「さて……古代遺跡の調査に雷帝を連れて行かないのも不自然か。というか、連れて行かなかったら雷撃を飛ばされそうだしな……」

 

 四将軍カバッハーンは既に高齢であったが、未だに強者やモンスターとの戦いを楽しんでいるバイタリティ溢れる老人であった。その事を十分理解しているサイアスはカバッハーンをメンバーに決定する。後は一人。氷の四将軍ウスピラか、光の四将軍アレックス。サイアスが頭の中で天秤に置く。すると、置いた瞬間ウスピラの方の皿が一気に沈み、アレックスが飛んでいった。

 

「ま、男なら当然の選択だな。さて、二人に声を掛けに行くか」

 

 こうして、ナギ、ウスピラ、カバッハーンがメンバーに決定した。そしてそれは、とある姉妹の悲しき運命が複雑に絡まり合う始まりの瞬間でもあった。

 

 

 

-ゼス 選抜会場側-

 

「うう……残念です……」

 

 ゼスでの神官の仕事を終えたセルがとぼとぼと歩いていた。今頃リーザスではメンバーが決定しているだろう。涙目になりながらレッドの町に帰ろうとしているセルだったが、人の賑わいが目に入る。

 

「……イラーピュ探索隊募集会場? ゼスもイラーピュの探索を? それも出発が明日……ちょっとダメ元で見ていこうかしら……」

 

 誘われるように会場へと入っていくセル。そこには既に屈強な男たちが大勢集まっていた。これはメンバーに残るのはつらそうだな、と半ば諦めるセル。椅子に座って待つ事にしたセルだったが、男たちの会話が耳に入ってくる。

 

「へへ、まさかあんな大金が報酬とは……大奮発だぜ」

「珍しいよな。メンバーには俺がなるぜ! 一攫千金だ!」

「…………」

「ん? 顔色が悪いな? どうした?」

「俺、噂で聞いたんだ。今回のメンバー、アニス様がいるって……」

 

 顔色の悪い男が小さく呟いた言葉は嫌な重みを伴っており、瞬間、会場の男たちが凍り付いた。

 

「う……嘘だろ……」

「でも、よく考えたらこんな大金おかしいぜ。まさか、死ぬのが前提なんじゃ……」

「って事は……本当に味方殺しのアニスが!?」

「ちょっと俺、やっぱり帰る……」

「待ってくれ! 俺も帰るぞ!」

 

 完全にアニスの先走りによって流れてしまったデマ情報は、会場に一気に拡散し、集まっていた冒険者たちが青い顔をしながら一斉に逃げ去っていく。その男たちをポカンとした様子で見送るセル。

 

 

 

-ゼス 選抜会場裏口-

 

「ふっふっふ。これは人を見る目が試されますね。警備隊長としての手腕をバッチリと見せて、サイアス様、いえ、他の四天王や四将軍にも名前を覚えていただかなければ!」

 

 キューティが意気揚々と会場までやってくる。先程聞いた話では100人以上が集まる満員御礼状態だったらしい。ヒーラー含めて4人、これは中々に大変な選抜になるぞと気合いを入れ直す。結果如何では、今後の出世に大きく関わって来るであろう大仕事だ。頬を一度軽く叩いて気合を入れ、いざ会場へと足を進める。

 

「さあ、お集まりのみなさん。これから選考を始め……たいと……」

 

 キューティが壇上に出てきて、会場に集まった冒険者たちを見る。瞬間、その顔が凍り付く。聞いていた話とまるで違う。会場はガランとしており、椅子には女性が4人座っているだけだった。

 

「アニスって誰だ? 知ってるか、ネイ?」

「さあ……? とりあえず飲み過ぎてお金もない事だし、しっかり稼ぐわよ、シャイラ!」

「……ぐう……ぐう……おおっ! ……人が減っている?」

「どうしましょう……」

 

 キューティが選考時のメモ用にと持っていたノートを落とす。

 

「選ぶ余地がない……ですって……」

 

 呆然と立ち尽くすキューティを余所に、自動的に探索メンバーは決定してしまっていた。

 

 




[人物]
ランス (4)
LV 1/∞
技能 剣戦闘LV2 盾防御LV1 冒険LV1
 鬼畜冒険者。光の神の天罰によってレベルを1にされる。とりあえず面倒な事はルークとフェリスに任せつつ、さっさとレベルを上げて地上に帰るつもりでルークと行動を共にする。

シィル・プライン (4)
LV 1/60
技能 魔法LV1 神魔法LV1
 ランスの奴隷。とばっちりでレベルダウンさせられる。早く家に帰ってランスと共にのんびりしたいので、地上への戻り方を必死に探している。それと同時に、あまり戦力になれない事を申し訳なく思っている。

エレノア・ラン (4)
LV 23/30
技能 剣戦闘LV1 魔法LV1
 カスタム四魔女の一人。ルークたちの救出に意気込んでいたが、勝負の舞台にすら上がらせて貰えなかった。しばらくは涙で枕を濡らす日々を送る事になる。

チサ・ゴード (4)
 カスタム町長。申し訳ないと思いながらも、ランを連れて帰る。

長柄亮子 (4)
 ランの同僚。ランの気持ちは知っていたが、しわ寄せは間違いなく自分に来るので、断固として行く事を許さなかった。

山田千鶴子 (4)
LV 40/50
技能 魔法LV2
 ゼス四天王の一人。既にHPは0であるが、ガンジー王の決定に逆らう事は出来ず、一週間くらいは家に帰れない事を覚悟完了した。サイアス、ウスピラ、カバッハーン、キューティと仕事をする面子が抜けたのが非常に痛い。せめてもの救いは、アレックスを連れて行かれなかった事。

ウィリス (4)
 ルークとランスを担当するレベル神。ミカンのいきなりの失態がバレたら監査役である自分もマズイと思い、そそくさと撤退する。

ミカン
 見習いレベル神。可愛い容姿だが、人間の頃は両親を含めた7人を殺害し投獄されていた。死刑直前で何故か見習いレベル神になる。

よっちゃん
 カサドの町アイテム屋『よっちゃんの店』店主。おかしな言動をする少女。

レーガン
 カサドの町アイテム屋『よっちゃんの店』オーナー。よく判らない生物だが、大金持ちである。


[技]
縛魅了
 相手を自分の意のままに操れるようになる初級魔法。レベル差がありすぎたり、相手のレベルが高かったりすると効果は薄い。


[装備品]
黄金の剣
 ランスが購入。高価なだけあり、攻撃力はそれなりに高い。が、値段の半分以上は無駄にあしらわれた黄金のせい。

プレランローブ
 フェリスがフロンから貰う。よくあるフード付きのローブだが、多少の防御力もある。


[アイテム]
お帰り盆栽
 シィルが特価で購入。帰り木の盆栽で、使用しても放っておけばまた自動的に帰り木が生えてくる。かなりの掘り出し物。

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