ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第64話 刹那に響く声

 

-研究コア 地下五階 通路-

 

 パイアールからの命令を受け、6体のmk2がルークたちに迫ってくる。丁度こちらも6人であるため、mk2はそれぞれ別の人物に向かっていこうとしている。

 

「(一対一の構図にするつもりか? 不味いぞ……)」

 

 相手の思惑を感じ取ったルークが焦る。こちらはレベル差が大きい面子であるため、一対一の構図など以ての外だ。すぐに剣を抜いて他の面々に声を掛ける。

 

「フェリス、前に出て2人相手にしてくれ! 俺も2人相手にする」

「了解だ!」

「ランスとサーナキアはそれぞれ1人ずつ相手を頼む。無理はするな。シィルちゃんとイオは後ろから援護を!」

「はい、ルークさん」

「任せておいて」

「ボクの力を見せてやる」

「ぐふふ……多少機械的な体ではあるが、全員美少女だな。これは勝った後が楽しみだ」

 

 ルークの指示を受け全員が返事をする。それと同時にルークとフェリスが一気に前に駆け出し、一番先頭にいた2体のmk2に素早く剣と鎌を振るう。

 

「「排除シマス」」

 

 無機質な声を出しながら、右腕に接続されている機械から刃を出してルークとフェリスの攻撃を受け止める2体のmk2。その背後から更に2体のmk2が刃を出して二人に迫る。

 

「「排除シマス」」

「ふん、そこまで大した相手じゃないよ、ルーク」

「フェリス、油断はするなよ」

 

 最前線ではルークとフェリスが4体のmk2を相手にし始める。その少し後方では、ランスとサーナキアがそれぞれ一対一でmk2と戦い始めていた。

 

「ふん! 勝ってお楽しみだ!」

「くそ、こいつら速い……」

 

 ランスはシィルの援護を受けてなんとか対等以上に渡り合っているが、サーナキアはイオの援護を受けてもなお若干押されていた。現在レベルではサーナキアの方がランスより高いはずだが、そこは才能と実戦経験の差といったところか。苦戦しているサーナキアにイオが声を掛ける。

 

「雷の矢! 無理はするんじゃないよ、サーナキア」

「無理なんかしていない! 騎士として、こんな奴らに負ける訳にはいかないんだ!」

「目ノ前ノ敵ハ問題ノナイ相手ト判断。コレヨリ抹殺シマス」

「なんだと! くそっ、馬鹿にしやがって……」

「ああ、もう。そんな挑発に乗るんじゃないよ……」

 

 mk2の言葉に激怒し、更に攻撃が単調になるサーナキア。イオのサポートがなければとっくにやられていた事だろう。だが、徐々に押され始めているのは明白だった。

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

 ルークとフェリスが同時にそれぞれ対峙していたmk2の腹部に剣と鎌を命中させる。小さな爆発音が腹部からして、ガタガタとmk2が震え始める。

 

「ピピピッ。制御不可能……」

「戦闘続行不能……」

 

 機械的な言葉を残してその2体が動かなくなる。どうやら倒したようだ。しかし、残りの2体はそれを見て悲しむ事もなく、すぐにルークとフェリスに攻撃を仕掛けてくる。

 

「4号機ト5号機ノ大破ヲ確認」

「戦闘ヲ続行シマス」

「感情が無いというのは悲しいもんだな」

「同感だ!」

 

 振るわれた刃を剣と鎌で受けとめ、そう口にするルークとフェリス。その二人の戦闘を後方から眺めていたパイアールは、少しだけ感心した風な口調で言葉を発する。

 

「へぇ、あの二人結構やりますね。PG-7、君も行ってきてください。ここでmk2全滅は避けたいので」

「はい、パイアール様」

 

 パイアールから指示を受け、側に控えていたPG-7もルークたちに向かっていく。背中についたバーニアを噴射させ、右腕から刃を取り出しルークに迫る。

 

「トドメだ……んっ!?」

「死ぬのよ! 薄汚い人間め!」

 

 対峙していたmk2にトドメを刺そうとしていたルークだったが、突如迫ってきたPG-7が刃を振るってきたため、それを瞬時に剣で受け止める。ガキン、という金属音が響き、互いに相手の顔を見やる。

 

「どうやら、あんたはひと味違うみたいだな」

「PGシリーズ最新型の力を見せてやるわ」

「ふん、今の一撃を見る限りじゃ大した事なさそうだけどね」

「……悪魔風情が。貴様から死ね!」

 

 フェリスの挑発に反応したPG-7はルークと刃を交えたままフェリスを睨み付ける。それに反応するように腰のパーツから機関銃のような部品が盛り上がり、mk2と対峙していたフェリスに向けて乱射する。大量の銃撃がフェリスに降り注ぎ、床の破片が巻き起こした砂煙でフェリスの姿が見えなくなる。

 

「ふん、跡形も……」

「やっぱり、大した事ないじゃないか」

「!?」

 

 PG-7の言葉に反応するようにフェリスの声が聞こえてくる。砂煙が晴れた先には、無傷のフェリスが立っていた。避けたのか、あるいは全てあの鎌でガードしたのか。どちらにせよ、あの悪魔は自分よりも格上だ。完全に思考も機械的になっているmk2と違い、人間的な部分が多く残っているPG-7。だからこそ、焦る。

 

「それで、俺は無視していて良いのかな?」

「っ!?」

 

 それは、目の前に対峙していた男の声。注意を向けた瞬間、PG-7の刃がその男の剣によって叩き折られ、宙を舞う。

 

「くっ……」

 

 状況悪しと踏んだPG-7は一度体勢を立て直すため、足についている小型のバーニアを噴射して後方に飛ぶ。だが、直後に飛んできた斬撃が腹部に命中し、悶絶する。

 

「がっ……」

「真空斬」

 

 その斬撃はルークの放ったもの。腹部についていたパーツが小規模の爆発を起こし、使い物にならなくなる。それを分離して床に捨てながら、キッとルークとフェリスを睨み付ける。

 

「思い上がるな、人間風情が!」

 

 そう叫ぶのと同時に、PG-7の左腕が機関銃に変わる。隣に控えていたmk2も同様に左腕から機関銃を出す。剣を構えながらルークはフェリスに問いかける。

 

「フェリス、さっきのはどうやったんだ?」

「全部鎌で撃ち落とした」

「なら、今回も頼む。俺だと多分半分くらいしか撃ち落とせん。剣の攻撃範囲は狭いしな」

「……それだけ落とせりゃ十分だろ。少しは手伝えよ」

「了解」

「死ね!」

 

 PG-7と2体のmk2が機関銃を乱射し、先程同様砂煙でルークとフェリスの姿が見えなくなる。その様子を冷静に観察していたパイアールは深いため息をつき、ごそごそと服の内側をまさぐり始める。

 

「はぁ……PG-7では荷が重そうですね。新しいPGシリーズの開発を急がないと。やれやれ、ボクが戦う事になるとは……」

 

 そう言いながら、パイアールは一つのリモコン装置を取り出す。その装置についたボタンを押した瞬間、そのリモコン装置が瞬時に10個のパーツに分かれ、パイアールの周りに浮かび始める。

 

「さて、殲滅しますかね……」

 

 パイアールがそう呟くと同時に、ランスが盛大に叫び声を上げる。

 

「どりゃぁぁぁ、ランスアタァァァック!!」

「ピピピ、戦闘続行不能」

 

 ランスが必殺のランスアタックを放ち、対峙していたmk2が動作を停止する。それを確認すると、ランスはそれが当然だとでも言わんばかりにmk2の装甲を脱がそうとし始めた。

 

「がはは、ではご褒美タイムだ」

「ランス様、それよりもサーナキアさんが……」

「ん?」

 

 シィルの言葉を受けてランスがサーナキアの方を見る。そこにはかなり苦しそうな顔をするサーナキアが立っていた。

 

「なんだ? サーナキアちゃん、苦戦しているのか?」

「苦戦などしていない! この程度の相手、ボク一人で……」

 

 サーナキアがそう強がりを言った瞬間、mk2の刃が素早く振るわれる。持っていた剣が弾き飛ばされ、無防備になるサーナキア。

 

「あっ……」

「抹殺シマス」

「ちっ……雷撃!」

 

 丸腰であるサーナキアの首を刎ねようとするmk2。イオが雷撃で援護に入るが、間に合わない。自身の首に迫る刃にサーナキアが目を見開く。迫っているのは、確実な死。だが、その刃は首に当たる直前で防がれる。金属音が鳴り響き、サーナキアがmk2の刃を防いだ剣の持ち主を見る。

 

「やれやれ、貧弱なサーナキアちゃんは俺様が守ってやるとするか」

「ひ……貧弱だと!」

「この礼は後でしっかりと払って貰うからな」

「礼? ボクはお金の持ち合わせは……」

「ぐふふ、そんなものでなく、もっと素晴らしい支払い方法があるではないか」

「は?」

 

 ランスの言葉の真意を掴めず、サーナキアが不思議そうに首を傾ける。そのやり取りを見ていたシィルは、mk2に炎の矢を放ちながらも悲痛な表情を浮かべていた。思いは一つ。ああ、犠牲者が増えそうだ、という思い。

 

「はっ! これで後2体だね」

「そんな馬鹿な……」

 

 フェリスがそう宣言する。機関銃の乱射を受けながら、再度無傷で現れた二人。そのままフェリスは猛スピードでmk2に近づいていき、鎌で斬り伏せたのだ。まさかの事態にPG-7はたじろぐ。このままでは負ける。自分とmk2の二人では目の前の人間と悪魔には勝てない。奥で戦っていたmk2も1体が倒れ、もう1体が四対一で戦っているのが見える。あれではあちらも長くは持たないだろう。そうPG-7が考えていたその隙をつき、ルークが一気に間合いを詰める。

 

「またよそ見か?」

「しまっ……!?」

 

 ルークの剣がPG-7に迫る。やられる、PG-7はそう確信した。だが、二人の間に突如小型の機械が割って入り、ルークの剣を受け止める。目を見開くルーク。

 

「なにっ!?」

「これは……」

「何をボサッとしているのですか。邪魔だからこちらに退いてください」

 

 ルークの剣を受け止めた小型の機械には、その表面に無数の刃が取り付けられていた。後ろからパイアールの声が響き、PG-7がまず後方に飛ぶ。次いでフェリスとランス、それぞれと対峙していた2体のmk2がパイアールの指示に従い後方に退く。パイアールを取り囲むように集った三人の部下にパイアールは苦言を呈す。

 

「全く……ボクの手を煩わせないでよ……」

「も、申し訳ありません。パイアール様……」

「もう君程度じゃ大して役に立たないね。PG-8の開発を早急に進めないと……」

 

 その言葉を聞いた瞬間、PG-7の顔色が一気に青ざめる。

 

「わ、私はPG-6のように廃棄処分でしょうか……?」

「それは追って考えるよ。量産機とはいえmk2も力不足みたいだし、mk3も作らないと駄目そうだな。さて、人間の皆さん、君たちがここまでやるとは思っていなかったよ。下衆な存在にしてはよく頑張りましたね」

 

 PG-7とmk2を控えさせながら、パイアールがルークたちに向かって拍手をしてくる。だが、それはどこか小馬鹿にしたような仕草だ。ルークとフェリスがパイアールを静かに睨み付けるが、ランスとサーナキアは声を荒げる。

 

「えぇい、クソガキ! その小馬鹿にしたような声を止めろ!」

「ボクがその性根を叩き直して……えっ?」

 

 サーナキアが剣を高々と掲げようとした瞬間、その頬に若干の痛みが走る。手を当ててみると、血が流れている。まさか、攻撃を受けたというのか。呆然とした表情で前に視線を向けると、面倒臭そうな表情でサーナキアを見ているパイアールの姿があった。

 

「勝手に喋らないで貰えますか? 次余計な事を言ったら、斬り刻みますよ……」

「なっ……」

「これは……」

「さっきの小型機械か……それもこんなに……」

 

 ルークたちが周囲を見回して絶句する。ルークたちの周囲には、先程ルークの剣を受け止めたビット状の機械が10個程浮いていた。その全てに刃が取り付けられており、サーナキアの頬を斬ったのはこの機械だ。

 

「それはボクが開発した新型の兵器です。取り付けられた刃は拷問戦士の鎧すら瞬時に斬り刻む特別製。そして……」

 

 パチン、とパイアールが指を鳴らすと、ビットが高速でルークたちの間を動き回る。

 

「なっ!?」

「速い……」

「馬鹿な、このボクが残像しか見えない……」

「ちっ……」

 

 極至近距離を高速のスピードで動き回るビットに、誰一人として動けなくなる。残像しか目に映らないほどの超高速。もし下手に動けば、この刃で斬り刻まれてしまうだろう。今一撃も受けていないのは、パイアールが完全にこちらを見下しているからだ。もしその気なら、既に何人かは殺されているだろう。

 

「ご覧の通り、人間程度の目では残像しか見えないほどの超スピード。これこそがこの兵器の最大の特徴。君ら人間では、後数百年はこの技術には辿り着く事が出来ないだろうね」

「さっきのジジイと違って、このガキは本当の天才みたいだね……ぐっ!?」

 

 フェリスがそう呟く。瞬間、フェリスの右肩に激痛が走り、血が吹き出る。周囲を取り囲んでいたビットの1機がフェリスを襲ったのだ。不愉快だとばかりに冷酷な視線を向けるパイアール。

 

「……汚らわしい悪魔の分際で、ボクをガキ扱いしないで貰えますか? それと、そっちの口の大きい人間。貴方もさっきボクをクソガキと呼びましたね……」

「げっ!?」

「(うわ、根に持つタイプだ、あのガキ……)」

 

 イオが内心で毒を吐いている中、ランスの周りを一気に4機ものビットが囲む。高速で動き始めたビットからは残像が生まれ、ランスの周囲には無数のビットが動き回っているかのように錯覚するほどの光景が出来上がっていた。

 

「下衆な人間が……立場を弁えて物を言ってください。ボクは貴方よりも年上なんですよ」

「クソガキにクソガキと言って何が悪いんだ?」

 

 突如響いた不穏当な発言に、ピクリとパイアールが反応を見せる。それは、ルークの発した言葉であった。パイアールはジロリとルークに視線をやり、静かな口調で今の言葉を問う。

 

「……今、何か?」

「くくく……いくら年齢を重ねていようと、中身が伴わなければいつまで経ってもガキさ。そういう奴に限って、ガキ扱いに敏感になる」

「(ルークさん、まさか……)」

 

 ルークの珍しい態度を見たシィルは、以前にランとミリから聞いた話を思い出す。ラギシスとの戦いの中、周囲で傷ついている者たちを守るためにルークはあえて相手を挑発し、自分に攻撃を集中させた事があったという。だが、今の状況でそれは危険すぎる。パチン、と指を鳴らす音が響く。すると、それに呼応するように3機のビットがルークの周囲を取り囲んだ。ルークを見下すように見ながら、パイアールが口を開く。

 

「命乞いは?」

「ないな、クソガキ」

 

 ルークがそう答えた瞬間、周囲に浮かんでいたビットの内の一機が高速でルークに迫った。その軌道は不規則で、四方八方に残像が出来る。

 

「ルークさん!」

「ちょっと!」

「軌道は不規則、速度は高速。人間如きに見切れるものではありません。このようなスピード、味わった事もないでしょう? 死ね、下衆な人間!」

 

 パイアールがそう勝ち誇った声を出し、シィルとイオの声が辺りに響く。その声を聞きながら、ルークは静かにビットの軌道を見ていた。確かに高速、これ程の技術は人類が現在到達出来る域を遙かに超えているだろう。だが、味わった事のないスピードではない。

 

「おい、ルーク!」

「あの馬鹿……」

「…………」

 

 迫るビットの前に立ち尽くしているルークを見てサーナキアとフェリスの声を出し、ランスが黙ってルークの様子を見ている。残像が残るビットの軌道を冷静に見ながら、ルークはある人物を思い出していた。こんなものではない。奴のスピードは、残像すら残さなかった。超高速、普通の人間ではいつ移動したのかさえ判らない、目に捉えることすら不可能な動き。手加減して貰ってなお、攻撃を碌に当てる事すら出来なかった魔王。

 

「くくく……この程度で見切れぬとは滑稽だな。見せてやれ、ルーク」

 

 ルークの頭にそんな声が響いた気がした。魔王ジル、奴のスピードはこんなものではなかった。迫るビット目がけ、剣を横薙ぎに振るルーク。その瞬間、全てのビットが突然爆発した。

 

「なっ!?」

「っ……」

 

 PG-7が目を見開き、パイアールが顔を歪める。当然やったのはルークではない。超高速で飛んできた何かが、全てのビットを破壊したのだ。他のみんなも状況が判らず、突然爆発したビットを不思議そうに見ている。そんな中、フェリスが口を開く。

 

「……誰?」

「えっ?」

 

 全員がそちらに注目する。いつの間にか、ルークたちとパイアールたちの間に割り込むように一体の生物が立っていたのだ。全身が白い岩のような肌で覆われた生物。その生物を見ながら、パイアールが顔を歪めながら口を開く。

 

「メガラス……何故ここに……」

「パイアール、死んで貰う……」

「メガラス!? それにパイアールだと!?」

「おい、ルーク! どうした!?」

 

 互いの名前を呼び合った瞬間、ルークが驚愕する。その名前は、ルークが良く知る名前であったからだ。ルークの突然の反応にフェリスが驚いている中、更にこの場に一人の女性が現れる。

 

「ちょっと、急に一人で行かないでよ……って、パイアール!?」

「おおっ! 美人の姉ちゃん!」

 

 現れたのは、抜群のスタイルを持ち、容姿の整った美女。それを見たランスはすぐさま飛び掛かるが、ランスの行動に気が付いていないその女性は一気にメガラスの横まで駆け抜けて行ってしまう。飛び掛かる対象を無くしたランスはそのまま地面にダイブしてしまう。

 

「ハウゼルまで……これは分が悪いですね。撤退しますよ!」

「はい、パイアール様!」

「待て……」

 

 PG-7がパイアールを抱きかかえ、背中のバーニアで一気に通路を逆走していき、2体のmk2もそれに続く。メガラスがすぐに追おうとするが、その瞬間地面に倒れていた4体のmk2が爆発し、煙幕が周囲を覆った。パイアールが逃亡のために爆発させたのだ。

 

「ああ、何て勿体ない事を!?」

「逃がさん……」

「何でパイアールがここに……? とりあえず、ここで倒せればかなり大きいわね」

「っ、待て!」

 

 爆発したmk2をランスが惜しむ中、メガラスとハウゼルが煙幕をかいくぐってパイアールを追う。それを呼び止めようとするルークだが、二人は物凄いスピードでこの場から去って行ってしまった。

 

「くっ……追うぞ、フェリス! ランスたちはお帰り盆栽で先に町に戻っていてくれ!」

「ルークさん!? 急にどうしたんですか?」

「あいつら三人とも魔人だ!」

「なっ!?」

 

 声を荒げるルークを珍しく思ったのか、シィルが一体どうしたのかと尋ねてくる。だが、ルークの返答を聞いた瞬間、その場にいた全員が驚愕に声を漏らす。

 

「ま、魔人だって!?」

「嘘でしょ……」

「あの美人の姉ちゃんもか?」

「行くぞ、フェリス!」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

 ルークがフェリスを伴って魔人の後を追っていく。カオスがない今、ダメージを与えられるのは対結界を持つルークと悪魔のフェリスだけだ。下手に大勢で向かっても危険が増えるだけ。ランスやシィルのレベルが下がっている現状なら尚更だ。

 

「それに、折角出会えたホーネット派の魔人だ。ここで見失う訳にはいかない……」

「…………」

 

 ルークの真剣な表情を見てフェリスが黙り込む。二人で魔人を追うなど、無謀な行為ではある。だが、人類と魔人の共存というルークの目指す夢を知ってしまっている。だからこそ、フェリスは魔人を追うルークを止めない。その代わり、その頭を思いっきり叩いた。ポカーン、という良い音が響き、ルークが驚いた表情でフェリスを見てくる。

 

「っ……!?」

「あんまり焦らないの。冷静なのがあんたでしょ」

「……スマン。行くぞ」

「はいよ!」

 

 こうしてルークとフェリスはランスたちと一時的に別れる事になる。イオもサーナキアも信頼できる人物、それにEキーを手に入れた今、このような状況になればすぐにでも町に引き返すだろう。そのような判断からの行動であったが、結果としてこの行動は失策となる。そう、イオの事をルークはあまりにも信頼しすぎていたのだ。

 

 

 

-研究コア 地下五階 空き部屋-

 

「ランス様、いいんですか? すぐにでも帰った方が……」

「馬鹿者。あと調べるのはこの部屋だけなのだ。調べずに帰ってもう一度研究コアに来るなど、面倒くさい真似出来るか!」

「ま、一部屋調べるくらいなら問題ないでしょう」

 

 ランスたちはルークに帰れと言われていたが、まだ調査をしていなかった部屋までやってきていた。ランスの言うように、調べていないのはこの部屋だけだ。ここで帰るのはあまりにも勿体ないと思ったのだろう。ランスがその部屋の扉を開けた瞬間、部屋の中には三体の女の子モンスターが立っていた。

 

「お、なんだなんだ?」

「私はセェラァ。悪逆非道と噂に名高いランス! ここで倒させて貰います」

「ブレザァと申します。その下品な物体をちょん切って差し上げますわ」

「ジャンスカです! びぇぇぇん!」

 

 そこで待っていたのはセェラァ、ブレザァ、ジャンスカという名の女の子モンスター。空中都市のこの場所でどこから聞いてきたのか判らないが、ランスの悪行三昧を正すためやってきたのだった。三人とも可愛い顔をしており、それを見たランスがニヤリと笑う。

 

「がはは、飛んで火にいる夏の虫とはこの事だな。あの機械女ちゃんで楽しめなかった分、お前らでたっぷりと楽しませて貰うぞ!」

「舐めるな!」

「返り討ちにして差し上げますわ」

「びぇぇぇん! ランス死んで!」

「ぐふふ、お前らは手出し無用。俺様一人で十分だ!」

 

 ランスがイヤらしい顔をしながら一人でセェラァたちに突っ込んでいく。その様子を心配そうに見ているシィルだったが、ふいにイオに話し掛けられる。

 

「ねぇ、さっきの魔人って話、本当なの?」

「多分、ルークさんがそう仰るのなら本当だと思います」

「そんな!? たった二人で向かうなんて、危険じゃないのか!?」

 

 二人の会話にサーナキアも入ってくる。魔人の恐ろしさは、200年以上前の人間であるサーナキアも重々承知している。その問いに、シィルは少しだけ不安そうにしながらもハッキリと答える。

 

「……ルークさんでしたら、深追いしすぎる事はないと思います。それに、ランス様とルークさんは、魔人を倒した事もあるんですよ」

「なっ!? 魔人を……」

「それは凄いわね……」

 

 人類を蹂躙する遙か高みの存在、魔人。それをルークとランスが倒した事があるという話は、二人を驚愕させるには十分な内容であった。イオがチラリとランスに視線を向ける。女の子モンスター三体を圧倒しているところを見ると、そろそろレベルは15前後といったところだろうか。縛魅了で操るなら、今が最後のチャンスかもしれない。だが、イオは迷っていた。

 

「(居心地いいのよね……ここ……)」

 

 短時間ではあるが、ルークたちと共に戦っていたイオの中に心境の変化が現れていた。シィルもとても良い子だし、ランスとサーナキアも根は悪い奴ではない。嘘のつき甲斐もある。それに、ルークには何度も危ないところを助けられているし、何よりその強さにどことなくトーマの面影を感じていた。

 

「(トーマのおじ様がいない今、もうヘルマンに残る理由もないし……裏切っちゃおうかな……)」

 

 そんな事を考えながら、イオはランスの戦闘を見ていた。すると、横からは先程の話を続けているサーナキアとシィルの言葉が耳に入ってくる。

 

「本当に魔人を倒したのか?」

「はい、リーザス解放戦という戦争で魔人を討伐したんです」

 

 その単語が、イオの頭にしっかりと響き渡った。ゆっくりと視線を動かし、シィルに問いかける。

 

「リーザス解放戦……参加していたの……?」

「はい。ランス様とルークさん、そして私も解放戦に参加していました。お二人共、戦争では中心人物だったんですよ」

「そう……中心人物だったの……」

「はい、ランス様とルークさんは他のお仲間と協力して、魔人や復活した魔王を倒したんです。その他にも、ランス様は町の解放作戦を成功させたりしましたし、ルークさんは……」

 

 その言葉は、イオが絶対に聞きたくなかった言葉。ルークを信頼し始めていた。だからこそ、そうであって欲しくなかった。

 

「人類最強と呼ばれるトーマ将軍を討ち取ったんですよ」

 

 だが、その望みは打ち砕かれる。

 

 

 

-研究コア 地下三階 通路-

 

「もっと出力を上げてください! 追いつかれてしまいますよ!」

「申し訳ありません、パイアール様」

「2号機。ここに残って足止めをしてください」

「パイアール様ノゴ命令ナラバ」

 

 パイアールの指示を受け、mk2が1体で足止めのためにこの場に残る。結局パイアールはこの一連の戦いでmk2を5体も失う羽目になった。その上、最新型のビット兵器も破壊された。PG-7に抱えられながら、パイアールが爪を噛む。

 

「くそっ……自信作のビットを簡単に撃ち落としやがって。メガラスとあの人間め、忌々しい……」

 

 パイアールのその言葉にPG-7は不思議そうな表情を浮かべ、すぐに問いを投げる。

 

「人間? メガラスが全て撃ち落としたのではないのですか?」

「……やはり君では最早力不足のようですね。いいですか、一度しか言わないからよく聞いてください」

「は、はい。申し訳ありません……」

「先程のビット兵器ですけどね……」

 

 

 

-研究コア 地下四階 通路-

 

「え? 全部メガラスが撃ち落とした訳じゃなかったの?」

「…………」

 

 ハウゼルの問いかけにコクリと頷くメガラス。パイアールを追っている二人だったが、パイアールが逃げながらそこらかしこにばらまいたトラップ兵器に阻まれ、その距離はじわじわと開いていた。そんな中、先程のビット兵器を破壊したのがメガラスだけではないという事を聞き、驚くハウゼル。

 

「あの人間が……?」

「…………」

 

 この問いかけにもコクリと頷くメガラス。メガラスが破壊した兵器は9機。残りの1機は、ルークが横薙ぎに振るった剣が命中し、破壊していたのだ。その事実にハウゼルが思案する。

 

「闇雲に振っても命中するものじゃないわよね……あのスピードに人間がついてくるなんて、一体何者……?」

「……ルーク」

 

 自身の中で考えを巡らせながらぶつぶつと呟いていたハウゼル。その呟きに、ポツリとメガラスが返す。

 

「え? あの人間の名前? そういえば、一緒にいた悪魔がそんな風に呼んでいたような……あれ、ルークって確か……まさか!?」

「ホーネット様を……笑わせた男だ……間違いない……」

「うそ!? 失敗した、ちゃんと顔を見ておけばよかった……それにしても、なんでこんな場所に……」

 

 先程の男がアイゼルの言っていた人間であると知り、しっかりと顔を確認していなかった事を後悔するハウゼル。その横で、メガラスが嬉しそうな声で呟く。

 

「ルーク……気に入ったぞ……」

「もう、メガラス。判っていたならもっと早く教えてよ……」

 

 メガラスとハウゼルは話しながらも、物凄いスピードでパイアールを追っていった。それでもトラップに阻まれてその差は広がっていたが、後方から追ってくるルークたちとの距離はどんどんと広げていた。

 

 

 

-研究コア 地下五階 空き部屋-

 

「「「うわぁぁぁん、覚えてろ!」」」

「がはは、またいつでも俺様を満足させに来るがいい!」

 

 女の子モンスター三体の躰を十分に楽しみ、満足そうにしながら逃げて行く三体に手を振るランス。その様子を見ていたサーナキアの怒りが爆発する。

 

「き、貴様ぁぁ! あのような破廉恥な行為をするとは……許せん!」

「おっ、今度はサーナキアちゃんがさっきのお礼をしてくれるのか?」

「まさかさっきの礼っていうのは……」

「当然、サーナキアちゃんの躰による礼だ、ぐふふ……」

 

 イヤらしい顔をしながら手をわきわきと動かすランス。瞬間、サーナキアの堪忍袋の緒が切れた。プツン、という音を確かに聞いた気がしたシィル。

 

「えぇい、そこに直れ!! ボクが騎士としての振る舞いを貴様に……」

 

 サーナキアが剣を抜いてランスに突き出す。だが、その横をイオが無言で通っていき、ランスに近づいていく。そのイオに向かって声を掛けるサーナキア。

 

「ああ、イオからも何とか言ってやれ!」

「お? 何だ、次はイオが俺様のハイパー兵器の虜に……ん?」

 

 ランスの目の前まで近づいたイオが、ランスの頬に手を当てながらその瞳をしっかりと見据え、静かに呟く。

 

「ねぇ、ランスさん。私のお願い……聞いてくれるわよね……」

「…………」

「お願い……聞いてくれるわよね……」

「そうだな……俺様の大事な女であるイオの頼みは聞くしかないな……」

 

 イオの目を見ながら、ランスがゆっくりとそう答える。その返事を聞いたイオはランスの頬から手を離し、シィルとサーナキアの方に向き直る。イオの不可解な行動にシィルが呆気に取られた様子でランスとイオを交互に見る。

 

「イオさん……?」

「さあ、ランス。騎士としてボクと勝負だ!」

「イオ、どうする?」

 

 サーナキアの誘いに対し、ランスはイオにどうするかを尋ねたのが。この行動にシィルが驚愕する。普段のランスは思うがままに行動するため、他人にその行動を委ねるなどよっぽどの事が無い限り有り得ないのだ。

 

「……勝負しましょう。その後は、好きにしてしまっていいんじゃない?」

「がはは、そうだな。イオがそう言うなら間違いないだろう!」

 

 むくりと立ち上がり、剣を抜いてサーナキアに迫っていくランス。そのランスの様子と先程イオから感じた魔力を思い出し、一つの結論に達したシィルは珍しく声を荒げる。

 

「イオさん! 貴女、まさかランス様を……」

「……ランスさん。サーナキアちゃんをいたぶった後は、シィルちゃんにもお仕置きが必要みたいよ。私、シィルちゃんに困らされているの」

「がはは! シィル、奴隷の分際でイオを困らせるんじゃない! 俺様がたっぷりとお仕置きしてやる!」

「ランス様!」

 

 シィルの悲痛な声はランスに届く事はなかった。あっという間にサーナキアを打ち倒し、その処女をランスが奪う。シィルもランスにお仕置きを受け、それを助けようとしたサーナキアが再度犯される。そのままサーナキアはランスに恨み言を残し、どこかへと行ってしまう。その一連の流れを冷たい視線で見ながら、イオが呟く。

 

「ルーク……絶対に許さない。必ずおじ様の仇は討つ……」

 

 こうして、一人の復讐鬼が誕生してしまう。これが、ルークの失策。万全に見えていたパーティーは一つのすれ違いから、ルークの知らぬ間に完全に崩壊してしまっていた。その後、イオたちはカサドの町に戻る。既に暗くなっていたため、フロンの店で一晩過ごす事にした。

 

「お帰り、探索は終わったのかい? おや、人数が足りないねぇ」

「あの二人はまだ探索を続けているぞ、そうだよな、イオ」

「ええ。疲れているから、上で休ませて貰うわ。ルークたちが帰ってきたら、部屋に来るように伝えて」

「…………」

 

 フロンにそう告げて、二階の部屋でルークたちを待つことにするイオ。余計な事を喋ったらフロンを殺すと脅されていたため、シィルは無言のまま二人の後をついていく。その日、ルークとフェリスが帰ってくる事はなかった。しっかりとランスの洗脳を続けながら、ルークの帰りを待つイオ。その胸中に宿るのは、最早復讐心のみである。

 

 

 

-食料コア 地下一階-

 

「……ひょっとして見失ったのか、俺らは?」

「一晩中捜し回る前に気が付いて欲しかったけどな!」

 

 ルークの言葉を聞いたフェリスが涙目で答える。三人の魔人をがむしゃらに追っていたルークたちは迷宮内を一晩中走り回っていたのだ。既にフェリスはクタクタであった。今すぐ帰って休みたい。思案するルークの様子を見るに、流石にもうそろそろ町に帰ってくれるだろう。そう思いながら、その背中を見ていた。思い出されるのは、メガラスが到着した時の事。

 

「(あの機械……1機はルークが破壊していたよな……)」

 

 そう、悪魔であるフェリスにも見えていたのだ。かなみを倒したときのジルの動きに唯一反応出来ていたのだ。ビットの動きが見えていたのも当然と言えるだろう。

 

「(だが、私でもピンポイントであれを破壊出来たかというと……)」

 

 更に思案するフェリス。何度か挑戦すれば叩き落とせるかもしれないが、一撃の下に叩き落とす事はフェリスでも難しい。現時点では、まだルークとフェリスの身体能力には大きな差がある。主従関係という事を考えないで真剣勝負をすれば、万に一つもルークに勝ち目は無い。だが、フェリスは一つの確信に至る。

 

「(元々こいつの動体視力は凄いとは思っていた……だが、ジルとの戦いでそれが更に一つ上の段階に昇華したな……)」

 

 動体視力。ただその一点においては、既に自分をも上回っている。長きに渡るホーネットとの生活で培った動体視力は、魔王ジルとの激戦を経て完全に開花していた。それだけに、フェリスは惜しい気持ちも湧いてくる。

 

「(目のレベルに動きが追いついていない……)」

 

 それが、人間の限界。ルークの見ている光景に体がついていかないのだ。先程のビットを斬り落としたのが、恐らくルークの限界だろう。それこそ、メガラスがやってのけたような全機破壊など、ルークには不可能だ。もし、あの日ホーネットの誘いを受けて使徒になっていたら、ルークは更なる高みに上っていたかも知れない。だが、これがルークの選んだ道。それに未練は無い。

 

「うん、そうだな……」

 

 思案を続けていたルークが小さく頷く。どうやら考えが纏まったようだ。ようやく帰れるかとフェリスがため息をつくが、飛び出したのは鬼畜的発言。

 

「やはり、もうちょっとだけ捜していくか」

「冷静じゃない! 全然冷静になってない!」

 

 さらに捜索を続けようとするルークにフェリスが叫ぶ。やはり魔人の事となると全然冷静じゃなくなるようだ。涙目のフェリスを引きずりながら、更に探索を続けるルーク。そしてそれとほぼ時を同じくして、三機の飛行艇が遂にイラーピュに降り立つのだった。

 

 




[人物]
メガラス (4)
LV 97/146
技能 剣戦闘LV1
 ホーネット派に属するホルスの魔人。アイゼルの真意を読み取るが、闘神都市の危険度も知っていたため自分が代わって調査に乗り出した。一瞬の邂逅であったが、高速の世界に一歩足を踏み入れているルークの事を気に入った様子。

ラ・ハウゼル (4)
LV 88/120
技能 魔法LV2
 ホーネット派に属するエンジェルナイトの魔人。魔人戦争を経験しているという理由から、メガラスのパートナーとして選ばれた。現在は調査よりも、偶然出くわしたパイアール討伐を最優先事項としている。

パイアール
LV 100/120
技能 魔法LV1 新兵器匠LV3
 ケイブリス派に属する人間の魔人。ナイチサの時代に魔人を捕らえ、魔血魂を取り出し自ら魔人化。類い希なる頭脳を持ち、彼の科学技術は人類が数百年は到達できないとされている紛れもない天才。不治の病にかかった最愛の姉を冷凍保存しており、PGシリーズはその彼女を復活させるための実験材料に過ぎない。自身の強さはそれ程でもないが、新型の兵器の数々で敵を蹂躙する。

PG-7
LV 1/1
技能 剣戦闘LV1 魔法LV1
 パイアールが作り出したPGシリーズの最新型。攫ってきた少女を改造したものであり、元は普通の人間である。ルークとフェリスには遅れを取っていたが、全身兵器である彼女の実力は一国の将軍クラスにも匹敵する。だが、パイアールは既に彼女の上位互換であるPG-8の開発を進めており、それが完成したら自分は廃棄処分されるのではないかと内心びくついている。

PG-xmk2
LV 1/1
技能 機体によって可変
 パイアールが作り出した量産型PGシリーズ。本来はPG-xを束ねる指揮官機だが、今回はパイアールとPG-7指揮の下、雑兵として働く。実力はレベル25相当の冒険者と同等といったところ。パイアールの命令には絶対服従で、死すらも厭わない。


[モンスター]
セェラァ
 二つ星レア女の子モンスター。制服三姉妹の長女で、正義感からランスに強い敵対心を持っている。

ブレザァ
 二つ星レア女の子モンスター。制服三姉妹の次女で、丁寧な口調で強い毒を吐く。

ジャンスカ
 二つ星レア女の子モンスター。制服三姉妹の三女で、いつも泣いてばかりいるが攻撃力は一番高い。


[その他]
PGシリーズ
 パイアールが作り出した女性型戦闘兵器、パーフェクト・ガールシリーズ。攫ってきた少女を改造したもので、老化は殆どせず、パイアールの命令には絶対服従。処女性を重視しており、純血を失うと洗脳が解ける仕組みになっている。姉を永遠の美と強さを持たせた状態で復活させるための実験材料。PG-10までで実験を完了し、姉を復活させる予定である。PGシリーズはパイアールの道具と認識されており、その経験値は全てパイアールに入る。自ら前線に赴くことが少ないパイアールが高レベルであるのは、こういった理由によるものである。

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