ランスIF 二人の英雄   作:散々

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第8話 水使い マリア・カスタード

 

-迷宮内 研究室-

 

「えぇっと、温かい飲み物は……ココアで良いかなー?」

 

 ガチャガチャと机の上に散乱した物を片付けつつ、温かい飲み物の準備をし始める少女。彼女こそが、町を地下に沈めた四魔女の一人なのだ。

 

「こんなに友好的ですと、戦い辛いですね……」

「ふむ……」

「ランス様、何かの間違いじゃないのですか?」

 

 シィルが小声でランスに問いかけるのも無理はない。丁寧な自己紹介の後、濡れているルークたちに親切にも温かい飲み物を振る舞おうとする彼女の姿は、とても自分の師匠を殺して指輪を奪うような人間には見えなかったからだ。

 

「まあ、油断はしないように。初見の印象が当てにならないのは、この間の王女様で証明済みだ」

「うっ……馬鹿者、王女の話は止めろ」

「大変でしたものね……」

 

 ランスが眉をひそめながら文句を言ってくる。どうやらまだ王女に結婚を迫られたのを引きずっているらしい。結局逃げ切ったようだが、一週間くらいは追いかけっこの毎日だったらしい。ランスとシィルのげんなりした様子に苦笑しながら、あの王女様は今は何をしているのかと思いを馳せるルークであった。

 

 

 

-リーザス城 王女の間-

 

「ぶぇっくしっ!」

「リア様、大丈夫ですか? 風邪気味なのでしたら、今すぐお休みになって……」

 

 一方その頃、リーザス城では件の王女が大きなくしゃみをしていた。横に控える侍女のマリスが心配そうにするが、手を軽く挙げてそれに応えるリア王女。

 

「ううん、大丈夫。ところで、ダーリンの居場所は判ったの?」

「はい。かなみの調査の結果、現在ランス様は仕事でカスタムの町を訪れているようです」

「えっ、もう判ってたの!? もう、それならそうと早く言ってよね。じゃあ、今すぐカスタムに向かいましょう。マリス、準備を!」

 

 仕事の書類に目を通していたリアだったが、マリスの返答を聞いてその書類を放り出し、キラキラとした瞳で今すぐ出発すると騒ぎ出す。その目的は、当然ランスだ。誘拐事件以後、リア王女はすっかりランスの虜になっていた。だが、侍女のマリスは申し訳無さそうにしながら頭を下げる。

 

「申し訳ありません、リア様。例の物を持ち出す許可が下りるのに、もう少々だけお時間が……」

「えー、今すぐ出発したいのにぃ……ぷんぷん!」

「あれを持たないで良いのであれば、今すぐにでも出発できるのですが……」

「それは駄目。あれを届けたら、絶対ダーリンはリアを褒めてくれるもん! それに王女として、手ぶらで会いに行くなんて恥ずかしい真似は出来ないわ」

 

 仕事を放り出してランスに会いに行くことは特に問題視していないマリスだったが、今すぐの出発は出来ないと口にする。その理由は、先程から二人の会話の中に飛び交っている例の代物の存在。その物は城からの持ち出し厳禁である、リーザスの至宝であった。だが、これをランスにプレゼントするとリアは言いだし、結果としてマリスはその代物を城から持ち出すために色々と手回しをしていたのだ。本来ならば持ち出す事など不可能なのだが、裏でリーザスの実権を握っているマリスであれば多少の時間は掛かるがそれを可能とする。実に優秀な侍女である。

 

「ぶぅ……少々の時間ってどれくらい?」

「……そうですね、一週間以内には」

「三日以内」

「畏まりました」

「……短くされるのを見越して、多めに申告したでしょ」

「いえいえ、私がリア様に嘘をつくことなどありませんよ」

 

 がっつりと期間を短くされたというのに、涼しい顔で返事をするマリス。リアの予想通り、持ち出しの許可は三日以内には十分に許可が下りる状況であったが、それを正直には申告せずに多少盛ったのだ。だが、マリスは一週間以内としか言っていないため、嘘はついていない。頬を膨らませてマリスをジトッと睨むリアだったが、彼女の事を本気で怒ってはいない。両親に遠ざけられていたリアに幼い頃から仕えていたマリス。二人の間には、他人の入り込む余地のない確かな信頼がある。

 

「早うしの準備は整っておりますので、許可が下り次第すぐに出発する事ができます」

「可能な限り急いでね、マリス」

「勿論です」

「待っていてね、ダーリン! リアが会いに行きます!!」

 

 ランスの顔を思い浮かべ、うっとりとした顔で天井を見上げるリア。その様子を微笑ましげな表情で見ながら、後ろのカーテンへと声を掛けるマリス。

 

「かなみも準備を進めておくように」

「はっ!」

 

 カーテンの裏から声が響く。この部屋にいたのは、リアとマリスの二人だけではない。リア付きの女忍者、見当かなみがカーテンの裏に息を潜めて隠れていたのだ。主君の影として常に側に仕える、それが忍の務めだ。マリスの言葉に返事をしながらも、かなみは主君が目当てにしている人物とは別の男の事を考えていた。

 

「(調査しているときに判ったんだけど、ルークさんも今カスタムに滞在しているみたいなんだよね……)」

 

 頭に思い浮かべるのは、自分の道を正してくれた一人の冒険者。ランスがギルドの依頼でカスタムを訪れたという情報を仕入れた際、ルークが同じ依頼を受けて先に向かっているという情報も偶然耳に入ってきたのだ。

 

「(偶然会ったりとかするかな……? 今の私、ルークさんにはどう見えるかな……?)」

「……かなみ、カーテンの裏でそわそわしているのが丸わかりですよ」

「ひゃっ!?」

「えへへ、ダーリン……」

 

 マリスから指摘されて思わず声を上げるかなみ。因みに、リアはランスの事を思い浮かべて未だトリップ中であった。リーザスは今日も平和である。

 

 

 

-迷宮内 研究室-

 

「なんだ? 急に悪寒が……」

「大丈夫ですか、ランス様?」

「もう、こんな時期に水に入るからそうなるのよ。はい、ホットココア」

 

 ランスが得体の知れない悪寒を感じ取り、シィルが心配そうにしている。マリアはその寒気の理由を湖に入ったからだと思っているが、無理もない。

 

「おー、温まるぞー……」

「ありがとうございます」

「いえいえ」

「それで、君はここで何の研究をしているんだ?」

 

 マリアから差し出されたチューリップ柄のマグカップには、丁度良い暖かさのココアが入っていた。ランスとシィルが冷えた身体を温めている中、ルークはそれに口は付けずに、ここで彼女が何をしていたのか探りを入れる。瞬間、マリアが物凄い勢いで首を横に回しルークを見てくる。その瞳は、まるで獲物を見つけた狩人のように爛々と輝いていた。

 

「興味ある!? 興味あるのね!? 興味あるんだったら仕方ないわよね! もう、しょうがないなー、ちょっとだけ説明してあげる!!」

「(……地雷踏んだか?)」

 

 困ったような口調をしているが、その顔は説明出来る嬉しさに綻んでいた。その変貌ぶりに自身の発言が不用意であったと眉をひそめるルーク。チラリとランスを見るが、全力で視線を反らされる。あちらも完全に地雷だと認識しているようだ。そんなルークたちの心情を察する事も無く、マリアは自信の意見を捲し立てる。

 

「魔法って、才能ある人しか使うことが出来ないでしょ? だから、魔法を使えない人は自身の意思に関係無く、戦士になって前衛に立つ事が今の戦闘の通例になっているの。でも、それを覆せるとしたら? 戦士にも魔法使いと同じだけの破壊力を持った後衛攻撃が出来るようになったら?」

「ふむ……魔法を使えなくても、遠距離攻撃の手段はあると思うが? 弓なんかは割とメジャーな武器だし、遠距離技を使う奴もいるしな」

 

 マリアの勢いに押されながらも、ルークは今の発言に少し引っかかる箇所があったのでそれを尋ねる。ルーク自身も真空斬という遠距離技を持っているし、リーザスやヘルマンには弓兵が普通に存在する。だが、ルークの質問を聞いたマリアは軽く苦笑する。やれやれ、判ってないなー、というマリアの声が聞こえてきそうな顔である。

 

「確かにそういった例外もあるわ。でもね、弓矢なんかはある程度のセンスや努力が必要だし、必殺技なんかそれこそ持って生まれた才能が必須になるでしょ。それって結局、魔法の才能があるかどうかっていうのと変わらないじゃない。一部の限られた人間にしか使えないんじゃなくて、才能も努力も必要としない、誰にでも使える遠距離攻撃。私は、それを可能とする新兵器の開発をしているの!!」

 

 バン、と勢いよく机を叩きながら自身の目標を語るマリア。その瞳の中には、熱く燃えたぎる炎のようなものが見える。そんなマリアに、ランスの後ろに隠れていたシィルが恐る恐る疑問を投げる。

 

「努力を必要としないというのは、流石に無茶じゃないですか? 強くなろうとしたら、やっぱりある程度の努力が必要にはなってくるかと……」

「無茶を可能にする! 不可能という壁をぶち壊す! 私はそういった研究をしているの!! もしもこれが完成すれば……ふふふ……」

 

 グッと右拳を握りしめながら天井を仰ぐマリア。瞳の中の炎が、一層その勢いを増して燃え上がる。一見すればマッドサイエンティストの類に見られかねないが、確かに彼女の言う兵器が本当に完成すれば、戦いの歴史は大きく動くだろう。と、それまでマリアの話を適当に聞いていたランスも多少の興味が湧いたのか、そっぽを向いていた視線を戻してマリアに問いかける。

 

「ふん、そこまで言うとなると見てみたくなるな。どういった兵器か俺様に見せてみろ」

「残念だけど、それは秘密。まだ完成していないもん。詳しい質問も受け付けないわよ。私が欲しいのは弟子じゃなくて、研究を手伝ってくれる助手なんだから」

「ん? ……こら待て、俺様を助手扱いとは無礼な!」

「……あれ? 助手希望の人じゃなかったの? なんだ、だったら助けるんじゃなかったなー」

 

 そんな言葉を平然と口にするマリア。表情も口調も、先程までと何も変わらない。だが、今の言葉は明らかに常人のそれとは違う。

 

「つまり……助手希望の人間でなかったら、死んでしまっていても構わなかったと?」

「うん、だって時間の無駄じゃない」

 

 ルークの顔を真っ直ぐ見ながら、そんな恐ろしい事を平然と言ってのけるマリア。ルークが背筋にひやりとしたものを感じたのは、湖に落ちたのが原因ではない。まだ年端もいかない目の前の少女の口から、こんな言葉が飛び出した事に身震いしたのだ。

 

「わぁ、私たち間違われたおかげで助かったんですね。ラッキーです」

「喜ぶな、バカ!」

 

 ガクッ、とルークがこける。相変わらずシィルは少し天然が入っていた。当然ランスにすぐさま頭をぐりぐりとされるお仕置きを受ける中、マリアは何かに思い至ったのか恐る恐るこちらに尋ねてくる。

 

「あの……助手希望じゃないとなると……もしかして敵?」

「その通り! 俺様他二名は住人たちから依頼されて、四魔女を退治しに来たのだ!」

「あー、ご苦労様です。四魔女はここにはいないのでお引き取りください。お帰りはあちらです」

「うむ……って、違う! お前が四魔女の一人だっていう事は判っているんだぞ!」

「ちっ、誤魔化せなかったか……」

 

 マリアの誘導に危うく引っかかってしまう寸前だったランスだが、なんと踏みとどまりマリアを指さしてそう宣言する。軽く舌打ちをするマリアだが、本気で誤魔化せると思っていたのならば案外図太い神経である。

 

「もう……研究の邪魔になるから出て行ってください。早く出て行かないと警備のハニーやグリーンハニーやダブルハニーをたくさん呼ぶわよ」

「ハニーに何かの拘りでも?」

「いや、なんかハニーの方から寄ってきて警護させてくださいって……」

 

 敵であるシィルの質問に素直に答えるマリア。ハニーの真意が判らず首を捻るが、ハニー種がメガネっ娘好きというのは冒険者の間では有名な話である。ルークがそんな事を考えている横で、ランスは警備を呼ばれるという発言を気にした様子もなく口を開く。

 

「がはは、そんな雑魚どもは全く怖くないぞ。それより、どうして町を陥没させたんだ?」

「……」

「……質問を変えよう。フィールの指輪はどうした?」

「一つは私が持っているわ。ほら、これがそうよ」

 

 フィールの指輪の存在を確認すべく質問を変えたルークだったが、マリアが軽く手をかざしたのを見て内心動揺する。その指には、青い指輪が填められていたからだ。

 

「(本当に存在していたとはな……)」

「もしかして、貴方たちはこの指輪が目当てなの? 悪いけど渡せないわよ」

「がはは、なら力尽くで奪うまでだ!」

 

 別に指輪が目的という訳ではないのだが、そこは売り言葉に買い言葉。ランスが指輪を奪うと言いながら剣を抜いて臨戦態勢に入り、それに続くように、ルークとシィルも構える。魔力を数倍にするという話が本当なのであれば、その一撃一撃が正しく脅威。強力な魔法を使われる前に取り押さえるべく、ルークはマリアの一挙手一投足に集中する。

 

「はぁ……なら、悪いけど死んでね」

 

 油断したつもりはなかった。初級魔法ならばいくら魔力が上がっていたところで対応は可能だし、中級魔法以上ならば呪文の詠唱をしている間に飛びかかれるよう構えていた。だが、結果はどちらでもなかった。マリアがそう呟いたと同時に、彼女の背後に水の柱が勢いよく噴き上がる。その魔法を見たシィルが驚いたように声を上げる。

 

「ちゅ、中級魔法です!」

「ほぼ無詠唱で中級魔法だと!?」

「迫激水!!」

 

 水の柱が滝となり、ルークたちに襲いかかる。その攻撃範囲は広く、どこにも逃げ場がない。

 

「ぐっ……」

「うがぁ、水が水が水がぁぁぁ!!」

「あーん! ぶくぶくぶく……」

 

 滝に飲み込まれ、部屋の外に押し流される三人。声がどんどんと離れていくのを聞いたマリアは、机の上に置かれたスイッチを押して、先程までとは別の仕掛けを起動させる。

 

「あーあ、時間を無駄にしちゃった……」

 

 そう一言だけ呟き、机の上に置かれたココアのカップを片付け、研究作業へと戻るのだった。

 

 

 

-迷宮内 研究室前-

 

「うがぁぁぁ! 開けろぉぉぉ!!」

 

 ランスが研究室の扉をがしがしと蹴るが、反応が返ってこない。三人は先程の魔法でかなり遠くまで押し流されてしまったが、特に大きな怪我はなかった。その後なんとか部屋の前まで戻ってきたが、扉は固く閉ざされており、剣で斬っても魔法で攻撃しても扉はうんともすんともいわず、中に入ることが出来なくなってしまっていたのだ。蹴り疲れたランスがぜぇぜぇと息を吐いている横で、ルークは静かに扉を触って確認をする。

 

「結界……とは違うな。さっきのトラップと同じで、何かしらのカラクリか」

「魔力を感じませんし、そうだと思います。でも、これじゃあマリアさんにもう一度会うことが出来ませんね」

「ひとまず迷宮内に扉を開ける手段がないか探すぞ! あの女、今度は容赦しないぞ。あんな事やこんな事してやる!」

 

 ぷんすかと怒りながら研究室の扉を最後にもう一度だけ蹴り飛ばし、迷宮の先へと進んでいくランス。ルークとランスもそれに続くが、シィルはルークが渋い顔をしている事に気がつき声を掛ける。

 

「ルークさん、どうかされましたか?」

「いや……魔力が上がっているとは聞いていたが、まさか詠唱時間まで早まっているとは思わなかった。情けない話だ」

「仕方ありませんよ。指輪自体が珍しい代物ですし」

 

 ルークは先ほどの見通しの甘さを反省していた。シィルの言うように予想する事は難しかったかもしれないが、それでも常に最悪の状況を考えて動けるようにしておくのが冒険者としての務め。さっきだって一つ間違えれば、死んでいたかもしれないのだ。自身の行動を猛省しながら気を引き締め直しながら迷宮内を歩いていると、なにやら広い部屋に出る。何かないかと部屋の中を見回していると、シィルが声を上げた。

 

「あ、ランス様! あそこにどなたかいらっしゃいますよ!?」

 

 ランスとルークがすぐさまシィルの指さす方向を見る。そこには、傷だらけの女性が壁を背にして座り込んでいた。俯いていて顔はよく見えないが、ボロボロの服のそこかしこに血の跡がある。その格好や近くに落ちている剣を見るに、彼女は先に迷宮に入っていた冒険者なのだろう。ルークたちが彼女に近づいていくと、ようやくルークたちの存在に気が付いたのか、彼女は顔を上げて苦しそうに口を開いた。

 

「だっ……誰?」

「心配しなくて良い、同業者だ」

「同業者……?」

「ああ、そうだ。俺はルーク、キースギルド所属の冒険者だ。こっちの二人は、同じく冒険者のランスと、そのパートナーで魔法使いのシィルだ」

 

 ルークがそう言いながら、隣に立っているランスとシィルに視線を送る。ランスは何かを判定するように女冒険者の顔をジロジロと眺め、シィルはペコリと頭を下げる。

 

「ふむふむ、美人じゃないか」

「よろしくお願いします」

「……どうやら貴方たちは奴らの仲間じゃなさそうね。私はネイと言い……ゲホッ、ゲホッ!」

 

 挨拶の途中で辛そうに咳き込むネイ。見たところ今すぐに命が危ないという状況ではなさそうだが、放っておくと危険そうだ。

 

「シィルちゃん、とりあえずヒーリングを」

「はい。いたいのいたいの、とんでけーっ!」

 

 シィルが治癒魔法を唱えると、ネイの身体中についていた傷が徐々にふさがっていき、血色を失っていた顔色が少しずつ良くなっていく。

 

「ふぅ……ありがとう、随分と楽になったわ」

「いえ。応急処置ですから、しばらくは安静にしていてください」

「ええ。それじゃあ、改めて自己紹介を。私はネイ・ウーロン。見ての通り、冒険者よ」

 

 首を動かし、近くに転がっている折れた剣を示しながら名乗るネイ。どうやら前衛担当の冒険者のようだ。

 

「こんな状況ですまないが、少し聞いて良いかな? 君は一人でこの迷宮に来たのか?」

「いいえ、私たちが迷宮に入ったのは四日前。私、ゼウス、カーネル、バードの四人で挑んだの。目的は多分貴方たちと同じ、四魔女退治ね」

「うむ、俺様たちも同じ目的だ」

「四日前……それにバード……もしかして、バード冒険団か?」

「えっ、私たちの事を知っているの? そうかー、私たちも有名になったものね、うふふ……サインいる?」

「えっ、あっ、えっと……」

 

 単にエレナから名前を聞いていただけであり、バード冒険団など聞いた事も無い名前なのだが、嬉しそうにしているネイを見ているとその事を言い出せなくなってしまう。サインが欲しいかと絡まれてしどろもどろになっているシィルも同じ心境なのだろう。

 

「サインなどどうでもいい。それで、他の奴らはどうした?」

「水の彫像に負けて、みんな散り散りになってしまったわ。生きていてくれればいいんだけど……」

「水の彫像? なんだそれは?」

「第二研究室を守っているガーディアンよ」

「強いんですか?」

 

 シィルの疑問にネイがゆっくりと頷く。水の彫像との戦闘を思い出しているのか、苦しそうな表情を浮かべる。

 

「恐ろしく強い上に二体いるわ。左右から次々と繰り出される強力な魔法に私たちパーティーは全滅。まともに応戦出来ていたのは、リーダーのバードだけだったわ」

「それはお前らがへっぽこだったからだろう」

「へっぽ……!?」

「ああ、すまない。それで、第二研究室というのは?」

 

 ランスの発言にネイは顔を歪めるが、一応命の恩人であるため不満は胸にしまい込み、ルークの質問に答える。

 

「……迷宮にはマリアの研究室が二つあるの。一つはトラップで守られた第一研究室、もう一つが水の彫像に守られた第二研究室。基本的に、マリアはどちらかにいるわ」

「俺たちが会ったのは第一研究室だな。扉を開ける手段があるか分からんし、第二研究室に向かって待ち伏せをしていた方が良さそうだな」

「うむ。俺様も丁度そう言おうと思っていたところだ」

 

 ルークがランスとシィルの顔を見ながら今後の方針を確認していると、ネイがそれに待ったをかける。

 

「待って。第二研究室に向かう途中の扉には鍵が掛かっているの。頑丈な扉だし、破壊しての進入は難しいと思うわ」

「鍵か……」

「あれ? でも、水の彫像まで辿り着いたという事は、ネイさんたちはその鍵を持っていたんですよね?」

「ええ、迷宮内の宝箱から運良く発見したの」

「……その状態では探索の継続は無理だろうし、悪いが鍵を譲って貰えないかな?」

 

 シィルの疑問に小さく頷くネイ。それを見たルークは鍵を譲ってくれないかと頼むが、ネイはゆっくりと首を横に振る。

 

「譲ってあげたいんだけど、彫像から逃げる途中で落としてしまったの」

「落とした場所に見当は?」

「多分、地下水湖だと思う……うん、そこ以外に考えられない」

「おお、その場所ならさっき通ったぞ」

 

 ランスのミスで先程三人仲良く落下した地下水湖。どうやらそこに鍵が落ちていたようだ。上機嫌になったランスは、ビシッとルークを指さして言葉を続ける。

 

「よし、ルーク、探してこい!」

「俺かよ……」

「当たり前だ! ネイちゃんを町まで送り届けなきゃならんが、この状況では途中で何が起こるか判らん。となれば護衛が必要だし、万が一悪化したときのための治療用でシィルも必要だからな」

「……まあ、筋は通っているか」

 

 ルークが顎に手を当てながらランスの言葉に頷く。シィルがネイと一緒に行動するのが確定な以上、主人であるランスがそちらの護衛をするのが普通の考えだ。

 

「てっきり面倒な仕事を押しつけているだけだと思ったが、ちゃんと考えているんだな」

「まあ、面倒だというのが理由の半分だがな」

「おい! ……まあ、良いか。町の酒場で待っていてくれ。ネイは怪我人だからな、無茶はするなよ」

「がはは、任せておけ!」

 

 ランスの言葉を背に、ルークは部屋から出て行こうとする。と、ネイが何かを思い出したかのように声を上げる。

 

「あ、一緒にかえるの耳飾りも落としてしまったの。大事なものだから、探してきて貰えないかしら?」

「了解した。じゃあ行ってくる」

 

 そう言い残してルークは来た道を引き返し、地下水湖へと向かう。その背中が見えなくなると、部屋に残された三人の内の一人が、ニタッというイヤらしい笑みを浮かべる。その笑みに気が付いていないネイは、ランスとシィルの顔を見ながら言葉をかける。

 

「じゃあ、私たちは町に引き返しましょう」

「……」

「……なんでにじり寄ってくるの? なんで笑っているの? か、帰り木は持っているのかしら?」

「……」

「……なんで何も答えないの? なんでそっちの娘は遠い目をしているの!?」

「……面倒だからというのが理由の半分だと言ったな。もう半分の理由がこれじゃぁぁぁ!!」

「なんで服を脱いで跳びかかってくるのぉぉぉぉぉ!?」

 

 迷宮内にネイの絶叫が空しく木霊した。

 

 

 

-カスタムの町 酒場-

 

 あれから数時間。酒場の扉が開き、カランカランと鈴の音がなる。エレナがそちらに視線を向けると、そこに立っていたのはルーク。

 

「いらっしゃーい。お仲間なら奥の席にいるよ」

 

 エレナがそう言って案内する。あの後地下水湖まで引き返したルークは鍵と耳飾りを必死に探した。湖の中には水へびなどのモンスターが生息しており、想像以上に時間が掛かってしまったが、なんとか鍵と耳飾りを発見したため、約束の酒場まで引き返してきたのだ。

 

「いやー、無事に帰ってきてくれて安心しましたよ」

「一時的に引き返してきただけで、まだ依頼は完了していないがな」

「それでも、戻ってくる事が珍しいんですよ。大体の人は、一度入ったら出てこられませんでしたから」

「ふむ……」

 

 エレナと軽く会話をするルーク。ルーク自身も地下水湖へと引き返す最中、道の外れに男の死体が転がっているのを発見している。多くの冒険者が犠牲になっている事を考えると、ネイは相当運が良かったと言えるだろう。

 

「それで、どうして引き返して来たんですか?」

「怪我の治療にな」

「えっ!? 誰か怪我をされたんですか? ランスさん? シィルさん?」

「いや、ネイが一緒にいただろう?」

「ネイ?」

「ん……?」

 

 どうにも話が噛み合っていないのを感じながら奥のテーブルの前に着く。そこには、上機嫌のランスと申し訳無さそうにしているシィルの二人しかいない。

 

「戻ったぞ。一応鍵と耳飾りはどっちも発見した」

「うむ、ご苦労」

「それで、ネイはどこへ行った?」

「がはは、泣きながら『必ずいつか殺してやる!』とか言ってどこかに行ってしまったぞ」

「……待て、ちょっと待て。最近似たような会話をしたような……」

 

 ルークが聞き覚えのある言葉に頭を抱える。リーザス誘拐事件の際にも、酒場でこんな会話をした覚えが確かにある。

 

「無茶はしないように言っておいたはずだが……」

「うむ、英雄である俺様とのHは無茶な行動ではないな。がはは!」

「シィルちゃん……?」

「すいません……」

 

 そう、あれは確か盗賊団を壊滅させた直後。一人洞窟に残ったランスが女盗賊にした行為と、その後のとばっちり。

 

「そうそう、殺す中にはお前も含まれてたぞ。『治療してくれたシィルはいいけど、あんたら二人にはいつか地獄を見せてやる!!』とか言ってたし」

「完全にデジャビュ!?」

「あー……うん、その、ドンマイ」

 

 ポン、とルークの肩を叩きつつ、ランスの先の発言が冗談では無かった事を確信するエレナであった。

 

 

 

-迷宮内 鉄扉前-

 

「おい、まだか?」

「まあ、待て。俺はレンジャーじゃないんだ……と、開いたな」

 

 迷宮へと戻ってきたルークたちは、件の第二研究室へと続く扉までやってきていた。拾った鍵は若干錆び付いており、中々鍵が回らなかったが、なんとか扉を開ける事に成功。

 

「がはは、では突げ……」

「待て、ランス! ……真空斬!」

 

 一歩前に出ようとするランスを引き留め、ルークは物陰に向かって真空斬を放つ。直後、その物陰から爆発音が響く。シィルが驚きながらもそちらに近づいていくと、何やら装置を発見する。

 

「ランス様、電撃の発生するトラップが隠してありました。ルークさん、良く気が付かれましたね?」

「何かが怪しく光ったからな」

「おかしいな。ネイは一言もトラップの事を言っていなかったぞ」

「多分、俺たちがマリアとあった事によって、迷宮内のトラップが増加したんだろう。気を引き締めて行くぞ」

「当然だ。俺様に命令するな」

 

 こうして三人はトラップに気をつけながらも先へと進んでいく。少し歩くと先程ネイを発見した場所よりも更に広い空間へと足を踏み入れる。奥には扉があり、その横には二体の美しい女神像が並んでいる。

 

「これがネイの言っていた水の彫像か」

「うーん、腰のラインがいやらしい」

 

 ランスの言うように、どこか艶めかしい雰囲気のある彫像だ。ネイの言っていた通りなら、これがこの場所を守るガーディアンのはず。だが、彫像が動き出す気配は無い。彫像の様子を観察しながら、ルークがボソリと声に出す。

 

「部屋に入ろうとすると動き出すタイプか?」

「では入る前に破壊してしまえばいいんだろう。がはは、とぉー!」

 

 ランスが剣を振りかぶり、女神像を破壊しようとする。その瞬間、轟音と共に二体の彫像が動き出し、言葉を発した。

 

「我らが眠りを妨げる不埒者ども」

「その身で償いをするがよい」

「ええい、部屋に入ろうとしなくても動き出したではないか、この嘘つきが!」

「別に断定してなかっただろうが。ランス、右の彫像は任せた。シィルちゃん、後ろから援護を頼む」

「はい!」

 

 ルークはそう言いながら剣を抜き、左から襲いかかってきた彫像と対峙する。見るからに頑丈そうな彫像だが、一定の距離で止まると呪文詠唱を始めた。彫像だから物理攻撃メインかと思ったが、どうやら魔法攻撃タイプのようだ。ルークもすぐさまその場で腰を落とし、剣に闘気を込めて左から右へと振り抜く。

 

「真空斬!」

 

 ルークの放った斬撃は彫像の腕に直撃し、右腕が床に落ちる。が、彫像はその一撃に何の反応も見せる事無く、詠唱を終えた呪文をルークに向かって放ってくる。

 

「水雷」

「おっと……痛みを感じてないな。一気に破壊するのが得策か」

 

 彫像の放った魔法を躱しながらルークは彫像の観察をする。腕を壊されたというのにまるで怯まなかったところを見ると、痛覚や自我があまりないタイプのガーディアンのようだ。となれば、対人間の戦い方をするのは時間の無駄。駆け引きなどは考えず、一気にたたみ込むのが正解だ。

 

「ランス! こいつらは一気に勝負を決めた方が……」

 

 ルークが言いかけて止まる。向こう側でもう一体の彫像と戦っていたはずのランスが、何故か目をとろんとさせて首をこっくりこっくりと上下させていたのだ。明らかに眠りかけている。と、そのランスの後ろから炎の矢の援護攻撃が飛んでくる。

 

「えい、炎の矢! ランス様、起きてくださーい!」

「おぉっ! くそ、厄介な魔法使いやがって!」

「なるほど、スリープか……こちらも気をつけんとな」

 

 シィルが炎の矢を彫像に放ち、寝かけていたランスを起こす。そう、ランスは彫像の放ったスリープの魔法で眠りかけていたのだ。地味ながらも非常に厄介な魔法であるため、ルークも更に気を引き締める。

 

「ふん、こんな奴はさっさと片付けるに限る! どりゃぁぁぁ!」

「(……流石だな。なら、こちらも片付けるとするか!)」

 

 ランスがそう言い放って彫像に向かっていくのを見て、ルークは小さく頷く。ランスの戦闘センスは、やはり本物である。ルークのように小難しい事を考えたのか、あるいは本能なのかは定かではないが、導き出された答えはルークと同じもの。

 

「水雷」

「ふん、ふん! シィル、さっさと援護せんか馬鹿者!」

「あ、はい! 炎の矢!!」

 

 連発される水雷を巧みに避けながら、少しずつ彫像へと近づいていくランスはシィルに怒鳴り声を上げる。慌てて放たれた炎の矢は、丁度ランスに向かっていた水雷と相殺してかき消える。瞬間、ランスは空中へと跳び上がった。

 

「必殺、ランスアタァァァック!!」

 

 相殺された魔法が目眩ましとなり、ランスの姿を見失っている彫像。その頭目がけ、ランスは渾身の力で剣を叩き込んだ。剣の直撃の威力と、そこから発せられた闘気が重なり合い、彫像は粉々に砕け散った。

 

「ふん、ざっとこんなもんよ」

 

 そう言いながら振り返ってシィルを見るランス。いつもならこの辺で拍手が飛んでくるところなのだが、今のシィルはルークの援護をしていてそれどころではない。ちょっとだけムッとなりながらも、ルークが戦っている方向に視線を向ける。丁度炎の矢が水雷と相殺され、ルークが空中に跳び上がったところであった。

 

「むっ……」

「えっ!?」

 

 ランスとシィルが思わず声を漏らす。その姿が、先程のランスの姿と重なったからだ。

 

「真滅斬!!」

 

 闘気を纏った刃が彫像の頭から下半身まで一直線に走り、ゴトリと真っ二つになった彫像が左右に崩れ落ちる。立ち上がって来ない事を確認したルークは軽く息を吐き、後ろを振り返る。目に飛び込んできたのは、どういう訳か呆気に取られているランスとシィルの姿。

 

「な……な……な……」

「ランス、終わっていたのか。時間を掛け過ぎたようだな、すまん。それより、何をそんなに驚いているんだ? シィルちゃんも」

「そ、それは……」

「パ……」

「パ?」

「パクリだぁぁぁぁ!」

 

 ランスが突如大声を上げる。部屋中に響き渡り、何度も反響音が聞こえてくる程の大声にルークが驚いていると、ランスが一気に詰め寄ってくる。

 

「なんだ、今のふざけた技は! 俺様のランスアタックのパクリだ! 著作権侵害だ! 貴様にはプライドがないのか!?」

「待て、落ち着け。これでも一応10年以上使っている技だ」

「ふん、証拠が無いな。きっと、この間のユラン戦で見てパクッたに違いあるまい」

「キースに聞いて貰えれば証言してくれると思うが……」

「あんなハゲの言う事を信用出来るか!」

 

 自分の所属しているギルドの長にする発言ではないが、そこは流石のランスである。

 

「慰謝料だ! 賠償金請求だ! 今後その技を使いたければ、一回につき10000GOLD俺様に払え!!」

「いやいやいや。おかしいからな、その金額」

 

 遂に無茶な要求までし始めたランス。ルークが宥めど聞く耳盛らず、シィルが宥めようとすると一睨みで萎縮させる。どうしたものかと頭を悩ませるルーク。

 

「英雄である俺様の必殺技に憧れるのは凡人として仕方の無い事だが、それでも犯罪は犯罪だ。俺様の深く傷ついた心への慰謝料は30000GOLDが妥当でだな……」

「いや、パクリじゃないさ。俺の技ではランスアタックの域に届いていない」

「むっ……?」

 

 捲し立てていたランスがピクリと反応する。その反応を確かめつつ、ルークは言葉を続けた。

 

「確かに構えは似ているが、技の特性は全然違う。俺のは一点集中型、ランスのは拡散型。俺にはあんな風に闘気を爆発させて周りを巻き込むなんて芸当、とてもじゃないが真似出来ん。いや、才能の差だな。凄いな、格好良いな、憧れてしまうな」

「がはは、俺様は天才だからな! うむ、言われてみれば確かにちょっと似ているだけで、俺様のものとはレベルが違うな!」

 

 ルークの煽てに判りやすい反応を見せるランス。そのまま上機嫌にルークが倒した水の彫像へと近づいていき、物色するようにあちこちを触り始める。どうやら慰謝料の危機は乗り切ったようだ。

 

「シィル、この真っ二つになった彫像は持って帰るぞ。斬れた部分を接着剤でくっつければ、家のインテリアになりそうだ」

「こ、これを持って帰るのですか……?」

 

 シィルが床に落ちている彫像の右腕を手に取る。それだけでもかなりの重量があるというのに、これをアイスの町まで持ち帰るというのか。ランスが荷物運びに協力するはずがないので、間違いなく自分が背負う事になる。

 

「ランス、とりあえず持ち帰るのは後にしておけ。今はマリアが先決だ」

「ふむ……まあ、そうだな。シィル、帰りに回収するのを忘れるなよ」

「は、はい……」

「がはは、では第二研究室へ突撃だ!」

 

 ランスが水の彫像が守護していた扉へと進んでいき、ルークとシィルもそれに続くべく歩みを進める。と、シィルがルークに向かってボソリと喋りかけてくる。

 

「すいません、ルークさん……その、慰謝料の……」

「なに、もう慣れたさ」

「……でも、本当に似ていましたね」

 

 そう言い残し、ランスへと小走りで駆けていくシィル。その背中を見ながら、ルークは小さく呟いた。

 

「似ているよな、やっぱり……ってことは、そういう事なのかね……」

 

 その言葉は、ランスとシィルの耳に届くことはなかった。

 

 

 

-カスタムの町-

 

「うん、買い忘れはなし。お父様に少しでも精を付けて貰わないと」

 

 チサが買い物かごを片手に町の中を歩く。かごの中には夕飯の材料が入っていたのだが、幾分その量が多く見える。二人暮らしのチサたちでは、これだけの量は食べきれないはずだ。

 

「ランス様たちも招待出来ないかな……ランス様といるときのお父様、驚くくらい元気なんですもの」

 

 ランスとはしゃぐ父の顔を思いだし、クスクスと笑うチサ。決してガイゼルは楽しんでいる訳ではないのだが、体調を崩していた父のあんな顔を見るのは久しぶりであったため、自然とその顔を引き出したランスを好ましく思っていたのだ。

 

「……」

 

 ふいに、チサが足を止める。目の前には、魔女とラギシスの戦闘があった廃墟がそびえ立つ。いつ魔女たちが戻ってくるか判らないため、住人はこの場所を避けるように遠回りをして歩くのが習慣となっていた。当然チサも普段ならばこの道を通らないのだが、ついつい考え事をしていたためこの場所へとやってきてしまったのだ。なにせ魔女たちの反逆が起こる前は普通に使っていた道であり、無意識下ではどうしても使い慣れた道を選んでしまうというものだ。

 

「マリアさん、ランさん、ミルちゃん、志津香さん……どうして……」

 

 悲しげな瞳で廃墟を見つめるチサ。町長の娘という立場であるため、率先して魔女退治を謳ってはいたが、心の内では魔女たちを疑いきれずにいた。エレナの言っていた、彼女たちをまだ信じている人物の一人。

 

「……えっ!?」

 

 瞬間、背後に気配を感じて振り返るチサ。彼女の意識は、ここで途絶えた。それから数分後、一人の女性がこの道を通りかかる。住人が避けて通る道を、平然とした様子で歩く一人のシスター。中々に剛胆な性格をしている。

 

「……ん? あれは……」

 

 ふと、シスターが道の真ん中に落ちていた買い物かごに気が付く。近づいて見てみると、中にはぎっしりと物が詰まっている。これを落としたり、忘れたりというのは流石に考えがたい。だが、周囲を見回しても持ち主の姿が見えない。こうして、チサは忽然と姿を消してしまった。

 

 

 

-迷宮内 第二研究室前-

 

「ランス、気をつけて開けろよ。またさっきみたいに罠があるかもしれんからな」

「彫像の罠の後にもう一つ罠があったら、そいつは相当性格が悪いな……シィル、俺様の代わりに扉を開ける事を許可する」

「えぇっ!? うっ……はい……」

 

 彫像たちの奥にあった扉の前でそんな話をしているルークたち。この扉の奥が第二研究室であるため、そこでマリアを待ち伏せする作戦だ。だが、一つ問題点がある。

 

「この状況、待ち伏せしているのはバレバレじゃないか……?」

「大丈夫。マリアはメガネをかけていたから、視力が悪くてこの状況に気が付かんはずだ」

「そんなアホな……」

 

 ルークが周囲を見回しながらそう口にする。破壊された彫像に、明らかに戦闘のあった跡。これで中に入ってくる敵などいるのだろうか。だが、待ち伏せは失敗しても、何かしらの手掛かりが第二研究室にある可能性は十分。部屋に入ること自体には異論のないルークであった。

 

「そ、それでは開けます……」

「シィルちゃん、変わろうか?」

「余計な事はせんでいい。定期的に奴隷という立場を判らせてやらんといかんのだ」

「お前な……」

 

 そんな事を宣うランスに若干冷ややかな視線を送るルーク。まだ短い付き合いではあるが、ランスがシィルを大事にしている事は十分に感じ取れる。恐らく、ランスにとって一番大事な女性はシィルなのだろう。それなのにこの態度。子供が好きな娘に悪戯をするそれとよく似ている。

 

「さぁて、鬼が出るか、蛇が出るか……」

「ラ、ランス様ぁ……い、いきます……」

 

 後ろでシィルを脅かしている今の姿など、正しく子供の悪戯だろう。見ようによってはこれも微笑ましいのかとルークが考えている中、シィルがゆっくりと扉を開ける。

 

「「「「あ」」」」

 

 扉の向こうには、鬼でも蛇でもなくマリアがいた。まさかの事態に呆然とする一同。と、一番始めに言葉を発したのはマリア。

 

「げ、なんでここに!?」

「がはは、流石は俺様の強運! 見ろ、見ろ、しっかりマリアがいたぞ」

「はい、とってもラッキーです」

 

 ルークがチラリと横を見る。扉の先はすぐに第二研究室に繋がっている訳ではなく、開けた場所になっていた。正面は第二研究室と思われる部屋が見えるが、その横には一直線に伸びた道がある。先が見通せないほどの長い道であり、どうやらマリアはその道から歩いてきたように思われる。

 

「なるほど、第一研究室と第二研究室は直通の道で繋がっていたのか」

「うっ……そ、その通りよ」

「それにしても、どうして第二研究室に? 何か用事でもあったのか?」

「貴方たちのせいよ! 第一研究室は水浸しで、大事な研究資料とかもパーになっちゃったんだから! 責任取ってよね!」

「いや、それはどう考えても自分のせいでは……?」

 

 ぷんすかと怒るマリアだったが、水浸しになった原因は明らかにマリアの魔法である。ルークが呆れた視線をマリアに向けていると、ランスが剣を抜きながら一歩前に出る。

 

「ふん、そんなことはどうでもいい! さぁ、お仕置きの時間だぞ、マリア!」

「降参した方が良いですよー」

「まあ、三対一で申し訳ないが、諦めてくれ」

 

 ルークも剣を抜いてランスの横に立ち、シィルがいつでも魔法を唱えられるよう構える。だが、三対一という状況にあってもなお、マリアは憮然とした態度でルークたちを見ている。

 

「ふん、この指輪がある限り、私は負けないんだから」

「がはは、俺様が負けるはずないだろう!」

「先程水で流されましたけど……」

「余計な事は言わんでいい、馬鹿者」

「ひんひん……」

 

 ランスにポカリと拳骨をお見舞いされるシィルを横目に、ルークがマリアに向かって口を開く。

 

「指輪の力を過信しているようだが……あまりこちらを見くびらない方が良い」

「ふん! どうやら、死なないと判らないみたいね!!」

 

 マリアがそう叫びながら手を前に差し出すと、填められていた指輪が妖しく光る。それが戦闘開始の合図だった。

 

「行くぞ、シィル、ルーク!」

「シィルークって名前みたいですね」

「こんな状況でも暢気だな、シィルちゃん……」

「迫激水!」

 

 マリアが唱えると、水の柱が滝になって三人に襲いかかる。先程は為す術もなく流されてしまった中級魔法だが、今は状況が違う。

 

「ふっ!」

「あわわわわ……」

 

 ランスとルークが左右に跳んで躱し、シィルも慌てて後ろにあった扉をくぐり直して前の部屋に戻り、その滝の一撃をやり過ごす。第一研究室のときは部屋が狭く、外の廊下も狭い一本道であったため逃げ場がなかったが、ここはかなり広い部屋である。多少攻撃範囲の広い魔法を撃たれても、十分に躱せるだけのスペースがあるのだ。

 

「ちっ……」

 

 上手い事躱されたのを見たマリアは舌打ちをし、すぐさま次の魔法の準備に掛かる。その隙をついて跳びかかろうとしたルークだが、どうやら今唱えていた魔法は初級魔法らしく、ほぼ無詠唱に近い状態で魔法を放ってくる。

 

「水雷!」

「おっと!」

 

 放たれたのは、先程彫像たちも使ってきた水雷。だが、彫像よりも遙かに詠唱時間が短い。やはり指輪には詠唱を短くする効果もあるようだ。顔面目がけて放たれた水雷を首だけ動かして躱したルークだったが、その一撃が後ろの壁に命中すると壁が崩れ落ちる。

 

「す、凄い威力です……」

 

 扉から顔だけ出しているシィルがそう声を漏らす。確かに、先程の彫像が放った水雷ではこのような事態は起こらなかった。本来はあまり威力のない魔法だが、指輪のせいでかなり凶悪なものになっている。下手に攻めて一撃貰えば、それが致命的なダメージにもなりかねない。ルークがどう攻めるか間合いを取りながら考えていると、ランスが一気にマリアへと駆けていった。

 

「がはは、俺様がお仕置きしてやる!」

「水雷、水雷、水雷、水雷! もいっちょおまけに水雷!!」

「うおっ、連発するんじゃない!!」

 

 ランスが足をじたばたと動かしながら、すんでのところでその攻撃を全て躱す。元々連続使用が可能な魔法ではあるが、それでもこれ程素早く撃つことは出来ない。

 

「さて、どう近寄るか……」

「俺様に名案がある」

「俺が盾になっている間に近寄るとかだったら、却下だぞ」

「な!? この俺様の思考を読み取るとは……生意気な奴め……」

 

 ルークとランスも、流石にここまでノータイムで連発されては攻めあぐねる。ランスの無茶な提案を却下しつつ、考えを頭の中に巡らせるルーク。と、いつの間にか扉に隠れるのを止め、部屋へと戻ってきていたシィルがその手に魔力を溜めている。

 

「行きます! 炎の矢!」

「ふん、全然威力が足りないわ。水雷!」

 

 ルークとランスを後ろから炎の矢が飛んでいき、水雷と空中でぶつかり合う。威力が違うため相殺とまではいかないが、炎の矢とのぶつかり合いで威力の落ちた水雷は、ルークたちに届く前にへなへなと床に落ちていく。

 

「炎の矢、炎の矢!」

「ふん、水雷、水雷、水雷!」

 

 互いに魔法を連発するマリアとシィル。ぶつかり合った水雷はまたも床へと落ち、ランスが上機嫌に声を上げる。

 

「良いぞ、シィル! ……っと、うおぉっ!?」

 

 瞬間、ランスの頬を水雷が掠める。威力の落ちていない一撃であり、それがもう数センチずれていたら大変な大怪我になっていただろう。そう、シィルは全ての水雷に魔法をぶつけられている訳ではないのだ。

 

「炎の矢、炎の矢、炎の矢!」

「水雷、水雷、水雷、水雷、水雷!!」

「ええぃ、馬鹿者! もっと連発しないか!」

「すいません、ランス様。これが限界です……」

 

 水雷と炎の矢は同じ初級魔法であるため、詠唱時間は殆ど同じである。だが、指輪の力によって詠唱が短くなっているマリアには、シィルがどんなに頑張っても追いつく事が出来ないのだ。申し訳無さそうに声を漏らすシィルだったが、直後に声が響く。

 

「いや十分だ。多少余裕が出来た」

 

 シィルに声を掛けたのは、ルーク。シィルが炎の矢を放ちながらルークに視線を向けると、ルークはその場で腰を少し落とし、マリアをしっかりと見据えている。それは、リーザス城で女忍者と戦った際に見た構えだ。

 

「真空斬!」

 

 ルークが左から右に剣を振り抜くと、闘気の刃が放たれる。それはシィルが撃ち漏らした水雷とぶつかり合い、相殺する。目を見開いて驚くマリア。

 

「嘘!? 遠距離攻撃が使えたの!? 威力も高いし……で、でも、速さが伴わなきゃ……」

「真空斬! 真空斬! 真空斬!」

「れ、連発可能!? ずるいわよ! みっ、水雷、水雷、水雷!」

「炎の矢、炎の矢!」

 

 まさか連発出来ると思っていなかったマリアは慌てて水雷で応戦するが、シィルの炎の矢もあるため立場が完全に逆転する。なんとか二人の攻撃を相殺は出来るものの、ランスへの攻撃まで手が回らない。ランスが完全にフリーの形となる中、ルークが叫ぶ。

 

「決めろ、ランス!」

「当然だ! くらえぇぇぇぃ!!」

 

 ランスは一気にマリアへと駆け寄り、程よい距離で空中へと跳び上がる。剣を両手で持ち、高々と頭上に掲げる。それは、ランスの必殺技、ランスアタックの構えに他ならない。ランスが狙うのはマリアの手前の地面、ユランのときと同じように衝撃波で吹き飛ばすつもりなのだ。瞬間、マリアがニヤリと笑うのが見え、ルークは目を見開く。

 

「まさか……まずい!」

「まんまと引っかかったわね! まずは……迫激水!」

 

 マリアが不敵に笑いながら、ルークとシィル目がけて迫激水を放つ。巨大な水柱が滝となり二人を襲うが、ルークとシィルは左右に跳んでそれを難なく躱す。だが、マリアの狙いは二人を倒す事ではない。真空斬と炎の矢の連撃を一時的にでも止めたかったのだ。そのマリアが次にする行動は一つしかない。ルークはすぐさま腰を落とし、剣に闘気を纏わせる。

 

「そして次はこっち!」

「んが!?」

 

 マリアがランスに向かって両手を揃えて突き出し、その手の平に強力な魔力を纏わせる。空中に跳び上がっているランスには、それを避ける術は無い。

 

「あれは上級魔法!? ランス様、避けてください!!」

「ふん、すぐに私の意図に気が付いたのは良かったけど、そこからじゃ間に合わないわよ。さっきまでの戦いで斬撃のスピードは把握しているわ!」

 

 シィルの悲鳴が部屋に響き渡る中、マリアはチラリとだけルークに視線を向け、そう言い放つ。確かに先程までの真空斬のスピードでは、とてもじゃないが間に合わない。真空斬がマリアに到達する前に、ランスに上級魔法が直撃してしまう。指輪で威力が増した上級魔法の直撃など、下手すれば一撃で死にかねない。

 

「死ね、ウォータミサイル!!」

「んげぇぇぇ! なんとかしろ、シィル!!」

「ランス様ぁぁぁ!!」

 

 マリアの両手から強力な水の塊が撃ち出される。決して速度のある魔法ではないが、極限までに圧縮された水の塊は、直撃した相手の身体を粉々に砕け散らせる程の威力である。ランスが絶叫する中、ルークがそれをかき消すように大声で叫ぶ。

 

「ランス、俺を信じて振り抜け!」

「えっ!?」

「なにを……?」

「うぉぉぉ、真空斬!!!」

 

 ルークが咆哮しながら真空斬を放つ。間に合う訳がない、そうマリアは確信していた。だがそれは、真空斬の速度が先程までと同じであればという前提のものである。それが、マリアの最大の誤算。

 

「は、速っ!?」

 

 マリアは先程までの真空斬がルークの全力だと思い込んでしまっていたのだが、真空斬という技は剣に纏わせる闘気の量によってその威力、速度、連射性が変化する。先程までは連続して放つために闘気の量を抑えており、結果として威力と速度もある程度落ちていたのだ。それに対し、今放った一撃は闘気を十二分に込めた渾身の一撃。連続して放つ事は出来ないが、威力、速度共に申し分ない。空気を斬り裂き、ランスの目前まで迫っていたウォータミサイルに真空斬が直撃する。ウォータミサイルはその場で破裂し、水しぶきとなって地面へと落ちていく。その水しぶきを頬に感じながら、ランスがマリア目がけて剣を振り下ろす。

 

「うそ……そんな……」

「ランスアタァァァック!!」

 

 ランスの剣が呆然としているマリアの目の前の地面に振り下ろされる。その直後、闘気の爆発が起こり、そこから発生した衝撃波がマリアを襲う。爆風に吹き飛ばされ、自分の身体が中に舞っている事を呆然と感じ取っていたマリアだったが、ゆっくりと目を閉じる。まるで、自身の敗北を噛みしめるかのように。こうして、四魔女の一人、マリア・カスタードは敗れたのだった。

 

 

 

-迷宮内奥 謎の場所-

 

 迷宮内のとある部屋。明かりの点いていない暗がりの部屋の奥に、三つの影が立っている。その顔までは判別出来ないが、中心に立っている人影が微かに口元に笑みを浮かべているのだけは見て取れる。と、その影から声が発せられた。

 

「マリアがやられたようだな……」

「フフフ……奴は四魔女の中でも最弱……」

「冒険者ごときに負けるとは魔女の面汚しよ……」

 

 パチッ、と部屋の明かりが点く。光に照らされ、影の正体が見て取れるようになる。

 

「はれ?」

 

 そこに立っていたのは、一人の少女と二体の幻獣であった。訳の判らない様子で部屋の入り口に視線を向けると、そこには四魔女の一人、エレノア・ランが立っていた。赤い髪を背中まで伸ばし、どこか大人びた雰囲気のある女性。四魔女のリーダーは実力から志津香が担っているが、実際のまとめ役はこのエレノア・ランが担当している。呆れたようにため息をつき、ランが部屋の奥にいる少女に向かって声を掛ける。

 

「もう、ミル! 暗くして遊んだら目が悪くなるでしょ!」

「ごめんなさーい」

 

 部屋の奥に立っていた少女、こちらも四魔女の一人であるミル・ヨークスがぺろりと舌を出して謝る。ランと同じくらいの年齢に見えるが、どこか子供っぽい仕草の残る少女である。

 

「それに、今の喋り方はなんなの?」

「漫画で読んだの。かっこいいでしょ?」

「どうかしら……? というか、幻獣は立っているだけで、全部自分で喋っちゃっているじゃない」

「まあ、その辺は演出って事で」

 

 コクコクと隣に立っている幻獣が頷くが、その容姿は青白い身体にギョロリとした目玉という、可愛らしさの欠片もないものである。

 

「……これ、どうにかならないの?」

「んー……指輪の力が上手く制御できなくて、こんな容姿になっちゃうのよね。もうちょっと慣れたら、前みたいに可愛い幻獣さんに出来ると思うよ」

「前のあのファンシーなのも戦闘するにはどうかと思ったけど、これよりはマシね……」

 

 以前のミルが呼び出す幻獣は、絵本の中に出てきそうな可愛らしいお化けのような形状であった。だが、指輪によって魔力が強化され、より戦闘向きな形となって呼び出されているのが現状である。確かにこの方が実践的ではあるのだろうが、年頃の娘である四魔女には揃って不評であった。

 

「あ、それと、マリアを勝手に最弱にしたり、冒険者に負けさせたりしちゃ駄目よ。ちゃんと後で謝っておきなさい」

「はーい!」

 

 元気よく返事をするミル。まさか本当にマリアが負けていようとは、二人は夢にも思っていない様子だ。

 

「因みに、その漫画では残りの三人は瞬殺されます」

「そんな漫画、読むの止めなさい……」

 

 不吉な事を口走るミルであった。

 

 




[人物]
ネイ・ウーロン
LV 8/27
技能 シーフLV1
 バード冒険団に所属する女冒険者。水の彫像に為す術もなく敗れ、なんとか逃げおおせた先で倒れていたところをルークたちに発見される。その幸運を神に感謝したが、その後ランスに襲われてしまい、神なんか信じるかと泣き濡れてその姿を眩ませる。ランスとルークを深く恨んでおり、いつか某盗賊の娘と一緒に復讐に来たりするかもしれない。

ゼウス
 バード冒険団に所属する男冒険者。水の彫像に敗れ逃げていたところ、モンスターに襲われ死亡。

カーネル
 バード冒険団に所属する男冒険者。水の彫像に敗れ逃げていたところ、足を滑らせ転倒し死亡。


[モンスター]
ハニー
 茶色い基本形ハニー。攻撃手段はパンチとハニーフラッシュ。意外な事に、ランスシリーズに初登場したのは6である。

グリーンハニー
 緑色のハニー。右手にトライデンを持ち、チクチクとそれで突いてくる。1から長い間シリーズ皆勤を続けていたが、戦国ランスにて遂にその記録が途切れる。因みにハニーが持っている武器はトライデントではなくトライデンという名称である。これは、ランス生みの親であるTADA氏が間違えて名前を覚えていた事に由来する。

ダブルハニー
 誕生の際、失敗して二体くっついてしまった奇形ハニー。右手にトライデン、左手に花を持ち、お腹には日の丸の国旗がある。右と左で性格が違う。

水へび
 全長2メートルの水蛇。頭に偽眼と髑髏模様のあるコブラで、いかにも強そうな見た目をしているが、案外弱い。えら呼吸しか出来ないため、無理矢理陸に上がらせて酸欠で殺すという手段もある。

水の彫像
 第二研究室を守るガーディアン。スリープ等の高度な魔法を使用してくる強敵。初代2では運が悪いと本当に何も出来なくなるため、初見で殺されたプレイヤーも多いはず。


[技]
真滅斬 (オリ技)
使用者 ルーク
 ルークの必殺技。剣を両手持ちし、頭上から渾身の力で振り下ろして相手を斬り伏せる、正しく必殺の一撃。構えがランスアタックと非常に似ているが、ルークはその理由に何か思い当たる節があるようである。衝撃波を生み出して広範囲に影響するランスアタックと違い、刃に込められた闘気は拡散することなく残り続けて敵を斬り裂く。単体攻撃だが、闘気が残り続けている分、直撃時の威力はランスアタックよりも上。

炎の矢
 指先から生み出した炎の塊を放つ初級魔法。魔法使いがまず覚える魔法と言っても過言でない程ポピュラーな技であるが、使用魔力や詠唱時間、連射性などから使い勝手は良く、一流の魔法使いでも使い続ける者は多い。

水雷
 指先から生み出した水の塊を放つ初級魔法。水魔法の使い手は少ないため、割とレアな魔法である。

迫激水
 氷系内水類の中級魔法。水の柱が術者の後ろに噴き上がり、滝となって相手に襲いかかる。

ウォータミサイル
 揃えた両手から濃縮された水の塊を放つ上級魔法。ただでさえレアな水魔法の上級呪文にあたるため、使い手が殆どいない。

スリープ
 対象に眠りをもたらす支援魔法。非常に強力な魔法だが、その分使いこなすのに高度な技術を要する。魔法大国のゼスにはこの魔法だけを得意とする珍しい魔法使いがいるらしい。


[アイテム]
かえるの耳飾り
 ネイの大事なもの。返しそびれたので一応ルークが持っている。


[その他]
ハニー種
 ハニワ状の不思議な生物。男女の区別があり、同種内で繁殖可能。人間ともある程度共存しており、人間界で流通しているGOLDは彼らが作っている。また、魔法を無効化する「絶対魔法防御」という特性を持つため、魔法使いの天敵とされている。不幸そうなメガネっ娘が大好き。

うし
 ムシの一種。丸っこい赤い体でみゃーみゃーと鳴く、世界で最もポピュラーな家畜。足が速く、上手く走らせれば時速100kmにも達する。はやうまやてばさき等、うしよりも速い生物も存在するが、それらは決まって扱いが難しいため乗り物として普及しなかった。対してうしは素人でも少し訓練すれば簡単に扱えるようになるため、交通手段として広く利用されている。
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