決戦当日。
私は自室でゲームの準備に取り掛かっていた。
とはいってもいつも狩りの時に着ている軍服に着替えただけだがな。
それにしてもこの軍服といい、自分の得物といいエスデスが使っていたものがものが一番しっくりくるとはこれも私をこの世界に送ってくれた神様の仕業か?
まぁ、気に掛けることもないか。
今はそんな事よりもうすぐ始めるライザーとのゲームだ。
十日間の修行でリアスたちは確実に強くなった。イッセーにもインクルシオを渡したことだし、どう化けるかが楽しみだ。
私はポケットからアーシアが持っていた十字架と聖水を机の中にしまっておく。
原作ではイッセーはこれのおかげでライザーに勝った。だが、これでイッセーは原作とは違う戦いをしなければならない。
イッセーのことだ。間違いなく自身の腕を支払うだろう。それで擬似的な
果たしてどうなるのだろうか?赤龍帝の鎧の上にインクルシオの鎧が覆うのか?それとも同化して二つの鎧が一つになるのか?それは見ての楽しみにしておくか。
さて、そろそろイッセーたちを呼んで部室に向かうとするか。
帽子を被り直して私は自室を出た。
部室に到着すると私とアーシア以外は全員学生服を身に着けていた。
いや、当然と言えば当然か。それにしても・・・・。
私はもう一度リアスたちを見定めるが結果は同じ。全員、明らかに落ち着いてはいるが全身から溢れるオーラは以前とは桁違いに上がっている。
やはりドラゴンとの修行はこいつらにとってもいい刺激になったか。いい傾向だ。
「姉貴。ちょっといいか?」
リアスたちを見定めていると突然イッセーが声に声をかけられた。
「どうした?緊張でもしているのか?」
「いや、それもあるんだけど・・・ちょっと・・・・」
イッセーは周囲にいるリアスたちと私を交互に見るように目を泳がせる。
なるほど、リアス達に聞かれたくない話か。
イッセーの手を取り、部室から少し離れた所でイッセーと向き合う。
「それでどうした?リアス達に聞かれたくないのだろう?」
「・・・・ああ、部長や特にアーシアには聞かれたくないんだ。これからゲームが始まる前ならなおさら」
イッセーは
「・・・・・ドライグ、取引だ」
イッセーが小さくそう言うと籠手にある宝玉が光り、イッセーの左腕からドラゴンのオーラを感じた。
やはり取引をしたか。
「姉貴の言うとおり、ドライグ、俺の中に眠るドラゴンに左腕を代価に擬似的な
「そうか。なら好きなだけ感謝しろ。それでどうしてそれを私に話した?」
「・・・・・多分だけど、この力を使ってもライザーには勝てないと思う。それでも俺は勝ちたい、いや勝たなきゃダメなんだ。そうでなければせっかく姉貴が鍛えてくれたのにそれを無駄にしちまう。だから姉貴。頼みがある」
拳を強く握りしめながら真っ直ぐな目でイッセーは私に懇願した。
「ライザーに手を出さないでくれ。もちろん、部長や皆にも。俺は自分の力でライザーに勝って鍛えてくれた姉貴に報いたんだ。それだけじゃない。部長も姉貴も俺の手で守ってみせる。だから頼む、ライザーと一騎打ちをさせてくれ」
真っ直ぐ、ほんの僅かにも曲がりがないぐらい真っ直ぐな目で懇願するイッセー。
ふふ、自分の力で勝ちたいか。
それを聞いた私は内心でほくそ笑んでいた。
誰の力にも頼らず、不死鳥の力を持つライザーに一人で戦って勝利したいか。少なくともリアス達と協力すれば何とかライザーを倒せるにも関わらず自身の手で勝利を掴みたいか。
本当に面白い。面白すぎるぞ、イッセー。
「いいだろう。ライザーはお前が倒せ。ライザーには手を出さないようにリアスたちは私が何とかしてやろう」
「ありがとう、姉貴!恩に着る!」
別に構わんさ。むしろ私には好都合だからな。
「でも安心してくれ!絶対にライザーに勝って部長も姉貴も守るから」
「ああ、期待しているぞ。イッセー」
イッセーの頭を撫でながら私たちは部室へと戻った。
部室に戻るとリアスがイッセーが籠手を出していることに問い詰めたが私が適当にはぐらかせておいた。それから開始十分前になると、部室の魔方陣からグレイフィアが現れた。
「皆さん、準備はお済になられましたか?開始十分前です」
グレイフィアが確認すると、私たちは立ち上がる。
それからグレイフィアからこれからのフィールドの説明を聞き、更には魔王ルシファーが今回のゲームを拝見する。
サーゼクス・ルシファー。現魔王の一人にして『
悪魔世界の超越者、サーゼクスとアジュカ。ぜひとも一度戦ってみたいものだ。きっと面白い戦いが期待できる。
まぁ、それは後ほどの楽しみとして取っておこう。今はこのゲームを楽しむとしよう。
そう思いながら私やリアスたちはゲーム用の転移魔方陣でバトルフィールドへ転移すると、そこはいつもの部室だが、明らかに空気の感じが変わっていた。
しかし、原作で知っていたとはいえここまで再現できるとは。悪魔の技術も侮れんな。今度調べてみるとしよう。
アナウンスから流れるグレイフィアのゲーム内容を頭に入れ、朱乃から通信機を耳に付ける。
『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです』
キンコンカンコーン。
鳴り響くチャイム。
さぁ、私を楽しませてくれよ。
ゲーム開始からすでに数十分が経過。原作通り、祐斗と小猫は森にトラップ。朱乃は霧と幻術をかけに、イッセーは・・・・。
「うっうっ」
涙を流しながらリアスに膝枕をされている。それを見て頬を膨らませているアーシアを宥めるように私は頭を撫でてやる。
客観的には面白い光景だがな。
「もう、何を泣いているの?」
「うぅ、部長に膝枕してもらえるなんて感動で涙が止まりません。この感触を俺は一生忘れません。うぅ、生まれてきてよかった」
「膝枕ぐらいまたしてあげるわ。本当に大げさな子ね」
膝枕ぐらいでここまで大げさに反応するのはイッセーぐらいなものだろう。そういえば、私はまだ一度もイッセーに膝枕させたことなかったな。抱きしめてやったことはあったが、今度アーシアとリアスの前でしてやるか。きっと面白い反応が見れるだろう。
「部長!俺、絶対に部長を勝たせてみせます!」
「ええ、期待しているわ。私のかわいいイッセー」
膝枕されたままではかっこつかないと思うぞ。アーシアもいい加減落ち着け。
それから私は祐斗たちが戻ってくるまでアーシアを宥めるのに専念した。
さて、そろそろ動くとするか。
祐斗たちが戻り次第私は部室へ出てライザーがいる新校舎の生徒会室まで足を運ぶことにした。
イッセーにはライザーに手を出さないでくれと頼まれたが、ライザーと戦うまで多少なり疲労はする。それではフェアではないな。少し遊んでやるか。
気配を消しながら私は生徒会室まで誰とも遭遇することなく到着し、勢いよく生徒会室の扉を開けた。
「十日ぶりだな、ライザー・フェニックス」
「なっ!?き、貴様!いったいどんな手品を使ってここまできた!?ここに来るまで俺の眷属が待ち構えていたはずだ!」
「私は普通に来ただけだ。リアスたちがくるまで少し私と遊ばないか?」
魔方陣を展開させて天井に穴を開けるとその意図を察したのかライザーは承諾した。
「いいだろう。どうせ勝つのは俺だ。リアスが来るまで少しだけ相手をしてやる」
炎を翼を広げて外に出るライザーに続くように跳躍した私はライザーと向かい合うように対面する。
「はじめる前に改めて自己紹介しよう。私は現赤龍帝の姉、兵藤セレナだ」
「フン、なら俺も名乗ろう。ライザー・フェニックスだ。俺の愛人になるんだ。覚えておけ」
「そうか。なら覚えておこう。お前がイッセーに倒されるまではな」
私は自身の得物を抜き、一気に跳躍してライザーの四肢を斬り捨てた。だが、斬り捨てた部分から炎が立ちのぼり、形を成して元に戻った。
ほお、これが不死鳥の再生能力か。面白い。
「・・・・なるほど、人間にしては見事な身体能力と剣術だ。だが、相手が悪かったな。俺は不死鳥。人間如きどうこうできる相手ではないんだよ!」
放ってくる炎を私は避けず一刀両断する。
「な、加減したとはいえフェニックスの炎を斬り捨てただと!?」
「別に驚く事ではないだろう?」
私が使っている得物はドラゴンの牙を使って作ったものだ。並大抵の攻撃では私の武器に傷をつけることは出来ない。もっとも私の腕が確かなのもあるが。
『ライザー・フェニックスさまの「
ライザーの眷属どものリタイヤのアナウンスが流れる。
思っていたより早く倒したんだな。修行の成果がしっかり出ているようだ。さて、それでは色々試してみるか。
得物を鞘へと納めると怪訝そうな表情をするライザーだが、私は一気に接近して今度はライザーの肘と膝の関節を外した。
「無駄だ。何度攻撃しようと俺には効かな・・・な!?再生しないだと!?」
再生すると踏んでいたライザーの表情が明らかに歪む。
なるほど、関節を外すのは再生の内に入らないところを見ると再生能力は破損しなければ再生できないということか。半信半疑で関節を外してみたがいいことを知った。
「
帝具の力で倒れているライザーの動きのみを凍結させる。再生能力はそのまま。
そういえば原作ではもう小猫が奇襲でリタイヤしてもおかしくはないのだが、まぁいい。今は不死鳥で楽しもう。まずは・・・目だな。目玉を抜き取っても元に戻るものなのか?試してみよう。
「お、おい、なにをするつもりだ・・・・よせ・・・やめろ!」
ブチン
「あああああああああああああああああああああああああっっ!!」
目玉を抉り取るとそこから炎が出現して再び元に戻った。
ほお、元に戻るのだな。そして、抜き取られた目玉は炎となって消えたか。なるほど、面白い限りだ。永遠に拷問し放題ではないか。さて、次はどうしようか?
「ライザーさま!」
次にどうしようか思考を働かせていると空からライザーの
小猫のところではなくこちらに来たのか。
「ユーベルーナ!こいつを殺せ!」
ライザーの指示にユーベルーナは魔方陣を展開するがその前に私は得物を投げユーベルーナに突き刺した。
「かは・・・・・」
致命傷を与えたためユーベルーナの体は光に包まれていく。そんななか、ユーベルーナの胸元から小瓶、いや、フェニックスの涙が落ちてきたところを私は掴んだ。
『ライザー・フェニックスさまの「
この涙は貰っておいて気を取り直して続きをしよう。次は損傷する場所によって再生速度も違うものなのか?
指を斬り捨て、腹を裂き、喉を刺して、斬り裂いた腹に手を入れて内臓を潰す。
「・・・・・ッッ!!」
ビクンビクンと痙攣するライザーだが不死鳥の再生能力は本人の意思関係なく傷を治す。
ふむ、致命傷クラスもいくつか試してみたがやはり死にはしないか。そうだな、イッセーに言っておいたやつも試してみるか。
足を上げて私はライザーの股間を狙っておもっきり踏みつぶした。
「xdbldrjlyhjsl!!!!!」
解読不能の言葉を出しながら口から泡を吐くライザー。その顔はもはや上級悪魔として、貴族としての気品溢れる顔ではなかった。
いくら不死鳥とはいえ、やはりここは弱点か。まぁ、不死鳥の再生能力があるのなら種無しにはならないだろう。
「ライザー!私が相手よ!覚悟なさい!」
高らかに宣言して飛んできたリアスとアーシアは今の現状を見て首を傾げた。
「え~と、もう終わりかけているのかしら?」
「まさか、ここからだぞ。リアス」
『ライザー・フェニックスさまの「
お、イッセーたちのほうも終わったか。では、遊びはこの程度で終えておくか。ある程度弱めておいてやったし、これでフェアになるだろう。まだライザーにはリタイヤしてもらっては困る。まだまだお前を利用させてもらうぞ。