『‥‥‥ふぅ‥』
白黒の魔法使い霧雨魔理沙と脇の部分だけない変な巫女服を着た博麗霊夢、そして名前を思い出せないあの子は神社の縁側で‥‥一服していた
「‥‥‥で、どう何か思い出せた?」
「‥‥いえ‥何も‥‥」
霊夢がそうたずねると申し訳なさそうな顔して答える。
あれから2日が過ぎた。
体調もすっかり良くなり、今は霊夢の手伝いをしている。
が、記憶の大半がないらしく、名前すら思い出せずにいた。
「‥‥ま、急ぐことはないだろ。ゆっくり思い出していきゃいいんだ。‥‥ただ、問題は‥‥」
「‥‥名前、よね‥‥」
そう、名前だ。普段あまり意識はしないが、名前がない。というのはとても不便であった。
‥‥‥そんな時だ。
「‥‥どーしたのかしらぁ?二人してそんなに考えこんで」
突然、何もない空間に裂け目ができたかと思うと、そこから人が出てきたのである。
「紫⁈」
「はぁ‥‥なにしに来たのよ?」
紫と呼ばれた人物は不機嫌そうな霊夢、驚いている魔理沙を気にすることなくあの子に向かい、リュックサックを投げ渡した。
「それ‥‥貴方のものでしょう?だめよ?自分の物はちゃんと持ってなきゃ。用事はそれだけよ、それじゃあ‥‥ね」
というと、裂け目の奥へと消え。裂け目も閉じた。
リュックサックをなんとか受け取ったあの子は中身を確認してみた‥‥‥が入っていたのは服、サイフ‥‥くらいであった。
「‥‥記憶に繋がりそうな重要そうな物は入ってないわね」
「はい‥‥‥?」
サイフの中身を確認していると、一銭も入ってないことが分かったのと、写真が入っていた。その写真には‥‥鳥が写っていた。
「‥‥それは‥‥鳥か?」
「はい、鶫‥‥ですね」
(‥‥え?)
魔理沙がたずねたことに即答したあの子に霊夢は驚いた。
こんなことは今までになかったからだ。さらに
「鶫は水辺に生息する鳥で、空から水面に映る魚を捕る肉食の鳥なんですよ」
鶫に関する知識まで披露した。
「ちょ、ちょっと待って。なんでそんなに知ってるの?」
「‥‥‥鳥が好きだったんですかね?鶫の写真を見た瞬間に頭に浮かんできて‥‥」
「‥‥‥そ、そうなの」
よくわからなかった。何故それだけ覚えているのか。と霊夢はあることに気がついた。
「ちょっと貸してね」
「あ、はいどうぞ」
霊夢は渡された写真の裏を見ると、そのままあの子に返した。
「‥‥あ‥‥これは‥‥」
「やっと、わかったわね。貴方の名前‥‥ようこそ、幻想郷へ。鶫『くん』。」
クスリと笑いながら霊夢はそう言うとあの子は
「からかうのはやめて下さい。ボク、女なんで。」
写真の裏の隅に「父から鶫へ」と書かれていた。