SAO~デスゲーム/リスタート~   作:マグロ鉱脈

195 / 356
今回は本エピソードの1つのチェックポイントとなります。
なので、良くも悪くも平坦なストーリー展開です。


Episode16-10 その祈りは死人の為に

 血にも似た赤黒い液体に浸された採掘地にて、辛うじて腰かけできるだろう濡れていない岩などに腰かけたノイジエルは腕を組んでオレを睨んでいる。正確に言えば、分厚い兜に遮られて彼の素顔は見えていないのだが、その視線には複雑な感情の交錯、プラスとマイナスの感情がマーブルのようになって1つに纏まっていないものである事は感じ取れた。

 それはノイジエルとは反対側で陣取るベヒモスも同様である。終末の時代に合わせてか、パワードスーツをイメージさせる重厚で機械的なデザインのミリタリーアーマーに身を包んだ彼は、オレンジ色のゴーグル越しで殺意色の強い眼光を向けている。

 だが、どちらもあくまで動かない。最悪にも、あるいは幸いにも、この場にいるのは病み村を共に生き延びた、かつての運命共同体だ。何ら情を抱いていない方が人間としておかしいだろう。そして、彼らは同時に敵対する大ギルド同士でもあり、追加で言えば、オレが補給部隊を壊滅させた聖剣騎士団と太陽の狩猟団の幹部でもある。

 だから、この場で長い沈黙が続いているのも道理だ。聖剣騎士団は左側に、太陽の狩猟団は右側に固まり、互いを牽制しあっていながらも、既に彼らの敵意のターゲットは互いではなくオレに移ろっている。この場を仕切るのがノイジエルとベヒモスでなければ、数秒と待たずして牙を剥いてきそうな程に、濃い殺意を振りまいている。

 そんな彼らのドロドロな程に澱んだ殺意の熱に満たされた空気の中で、居心地悪そうにしているのが、悲しくもこの場で最も戦力として機能していないだろう、中小ギルドの晴天の花の生き残り達である。

 

「良かった。生きてて……生きてて本当に良かった」

 

 ただ、アニマだけは空気が読めていないと言うべきか、あるいはリーダーのマックスレイとの再会の喜びのせいで麻痺しているというべきか、泣いて彼に縋りついている。それを喜びながらも、こちらもこちらで複雑そうな目をしているのはギンジだ。

 

「アニマもギンジも生きてたんだな。もう半分くらい諦めてたよ」

 

「俺もアニマも【渡り鳥】とエドガーさんに助けられたんだ。危ないところだったけど、何とかこうしてここまで生き延びる事ができた。リーダーも無事で何よりだよ」

 

「……いや、素直に喜べないな。3人も仲間を死なせてしまった。もう晴天の花は終わりだ」

 

 暗い顔をして生存と再会を祝すギンジに、マックスレイは首を横に振る。リーダーとして責任を感じているのだろう。今にも泣きだしそうなマックスレイの固い握り拳をアニマが優しく両手で包み込む。

 

「皆の為にも、生きて帰ろう? 私たち3人で」

 

「そうだよ、リーダー。死んだみんなの為にも、何としても生きて帰るんだ」

 

「2人とも……ありがとう。そうだよな。アイツらの為にも、僕らが生き延びないとな」

 

 涙ぐむマックスレイに、アニマも釣られて泣き出しながら嬉しそうに何度も頷く。感動的な光景なのだが、事態は全くと言っても良い程に好転していない事をツッコミたいオレは、やはり人間として色々と間違っているのだろう。

 さて、晴天の花は無事に生存者が全員合流できた。これでギンジ達の悲願は1つ達成された事になる。問題なのは、オレとグリムロックの処遇であり、不気味に沈黙を貫くエドガーの動向だ。それに、この場で聖剣騎士団と太陽の狩猟団が小競り合いをしていたのも不可思議だ。

 さて、何が飛び出すやら。グリムロックはオレの背後で緊張した面持ちを保っている。彼の為にも、この場の危機は何としても切り抜けたいところだ。

 

「【渡り鳥】よ、いつから神灰教会の信徒になった?」

 

 まず口火を切ったのはノイジエルだ。彼は今にも飛びかかりそうな部下たちを制止するように腕を伸ばしながら、オレに静かに問いかける。

 なるほど。オレとグリムロックがセットなのではなく、オレとエドガーが組んでいると判断したわけか。まぁ、傍から見ればその方が自然だよな。オレが神灰教会の依頼でナグナを訪れたと見る方が自然である。

 

「【渡り鳥】殿と合流したのは事の成り行き、偶然に過ぎません。無用な勘繰りですよ」

 

 オレが回答を示すよりも先に、エドガーが1歩前に出て、背中で手を組んで胸を張った堂々とした態度で、にっこりと相変わらずの笑顔で告げる。

 元円卓の騎士だ。上手く話が通るかもしれない、と一瞬だけ期待するも、オレに向ける以上に滾る怒りをノイジエルは露わにする。それは他でもないエドガーに対してのものである。

 

「黙れ。2度は言わない。私は【渡り鳥】に質問している。裏切り者は口を挟むな」

 

 裏切り者。その穏当ではないキーワードが飛び出した事で、オレは噂が真実だったのだと悟る。

 円卓の騎士の1人として数えられていたエドガーは、両刃剣の使い手として名を轟かせていた。円卓の騎士でも高い実力を保持し、円卓の騎士の最強談義でも候補に挙がる程の猛者だった。

 だが、彼は突如として聖剣騎士団に、仲間に剣を向けた。ダンジョン攻略中だったパーティを襲撃したのだ。それ以上の事は分かっていないが、風聞ではその際に数名の死者が出たともある。

 

「私は誰も裏切っていません。今も昔も私の想いは1つ、この心身は神の為に。聖剣騎士団に属していたのも、ディアベル殿の理想に感じるものがあったからこそ。今やその理想は形骸化どころか腐り果て、直視することもできぬ汚物となったようですがね」

 

 挑発ではなく、本心からの吐露であるようにエドガーは、嘆かわしいと溜め息を吐きかねない表情をしている。それが余計に爆薬満載のこの場にガソリンをセットで火種を放り込みかねない。

 だが、エドガーが言ったのは紛れもない事実だ。それは晴天の花の現状が端的に示している。

 強き者が弱き者を守る。一握りのトッププレイヤー達による犠牲を抑制した攻略。それが聖剣騎士団の理想であり、信念だった。しかし、現状を見れば分かるように、もはや結成初期の信条など欠片も残っておらず、あるのはかつてパッチが忌み嫌っていた貴族気取り……自分たちが『特権階級』にあるかのようなプライドだ。

 まぁ、お陰で傭兵にも仕事がたくさん回るようになってきたから、オレは一々文句を言う気は無いが、聖剣騎士団の今を思えば思う程に、ディアベルも随分と険しい道を歩んだようだなと苦笑したくなる。

 

「オレは別の依頼で来た。依頼主は後ろにいるグリムロック、オレの専属鍛冶屋だよ。ナグナのレア素材を大ギルド様たちが占有権を主張する前に味見しようと思ってたが、欲なんて掻くものじゃねーな。だろ、グリムロック?」

 

 ノイジエルとエドガーの間で火花が散るよりも先に、オレは嘘を大声で並べ立てる。

 ギンジとアニマはオレ達の目的について無知だ。グリセルダさんを探しに来たなんて、ノイジエルにもベヒモスにも通じる真実ではない。ならば、受け入れやすい、勘ぐられ難い嘘を吐くべきだ。

 エドガーはオレの嘘の意図を了解したと告げるように、わざとらしく踵を2回鳴らす。後はオレがヘマをしなければ、グリムロックに無用な疑いが向く事は無い。

 

「そうだね。まさかこんなにも厄介なダンジョンとは思わなかったよ。お陰で帰りたくても帰れない。ところで、どうして聖剣騎士団と太陽の狩猟団の皆さんはこのような場所で争いを? 何かレアアイテムを巡ってですか?」

 

 上手くオレの意図を察してくれたグリムロックが即座にフォローして嘘を盤石にする。しかも、きっちりと話題の方向をオレ達から逸らす一言も忘れない。

 これまで沈黙を保っていたベヒモスは、やれやれと疲れたように目を伏せる。どうやら、事の起こりは簡単ではなさそうだ。

 

「【渡り鳥】も知っているだろう。我々はデーモンシステム、その解放の手段を探しているのだ」

 

 既知である事を前提に語られても困るのだが。こちらは10日間も爆睡していたお陰で、シャルルの森以降のDBOに疎いのだ。オレはグリムロックに視線を送って尋ねるが、オレを看病してくれていただろう彼も情報収集は不十分であるはずだ。予想通り、残念ながら心当たりがないようだ。

 オレが存知していない事を悟ったのか、ベヒモスは情報を明かすべきかどうか迷っているはずだ。

 

「喋りたくないなら無理して喋るな。余計な面倒事はご免だからな。それじゃ、オレはこの辺で。後は皆様でごゆっくり。エドガー、オマエはどうする?」

 

「ギンジさん達も無事に聖剣騎士団と合流できたならば、我々の護衛は不要でしょう。お約束通り、【渡り鳥】殿に協力しますよ。それでは、ノイジエルさん、あなたに神のご加護があらん事を」

 

 本当ならばナグナの良薬の1つか2つ持っているかどうか尋ねたいところなのだが、未攻略のダンジョンで大ギルドの2桁規模の正規部隊が正面衝突している所に関わっても厄過ぎて話にならん。

 だが、どうやらフェードアウト作戦は失敗したらしく、こういう時に限って一致団結したらしい、ノイジエルとベヒモスの部下たちがオレに武器を向ける。

 

「止めろ。武器を下ろせ!」

 

 ベヒモスが即座に制止の言葉をかけるも、それは虚しく響くばかりで、血気盛んな彼らの殺意を抑え込む事はできない。

 

「隊長、何故ですか!? 今こそ好機!」

 

「そうです! コイツのせいで、反大ギルドなんて勢力まで台頭してきたんだ!」

 

 いや、確かに遠因ではあるとは思うが、直接的な原因はオマエら3大ギルドの支配体制にあるだろうが、というのは言わないでおこう。そもそも3大ギルドが無かったらDBOは現状の混沌なんて可愛らしいものに見えるくらいに荒れ放題だっただろうし、最低限以上の秩序があるのは間違いなく彼らの功績だ。まぁ、光があれば影があるように犯罪ギルドものさばっているが、それはご愛嬌だろう。

 だが、支配には必ず不平不満が生じ、何処かしらに歪みを生み出すものだ。それが噴出して表面化してしまったのが今回であり、そのトリガーを引いたのはオレだ。

 だから反論はしない。つーか、この人数相手とまともに殺し合うとかいう自殺願望は無い。ざっと見たところ、プレイヤーは聖剣騎士団が12人、太陽の狩猟団が14人だ。だが、どちらも完全武装のギルドNPCを10人以上連れている。合計で50人近くにもなるのだ。ボスに挑むレイド級である。

 相手にしないのが1番だ。オレは打剣に手を置くのを堪えて、元来た道を引き返すべく反転する。何やらギンジが名残惜しそうな目をしているが、元より交わるべき道ではなかったのだから、ここでお別れが1番だろう。オレといるよりも彼らと一緒の方がナグナの良薬も万能薬も入手は楽だろうさ。

 

 

▽    ▽    ▽

 

 

 分かってはいたが、ここまで来ると逆恨みではないだろうか。グリムロックは彼らが何処までシャルルの森の裏側について認知しているのかは分からないが、これまでの支配体制のツケを全てクゥリに押し付けているような発言に苛立ちを膨らませる。

 好き放題に傭兵に依頼して、敵対勢力に妨害を仕掛け、あまつさえ汚れ仕事まで押し付けてきたのは大ギルドの方ではないか。確かに彼らは裏事情を知らないのかもしれないが、少なからずは勘付いていたはずだ。自分たちの支配と抗争によって、完全攻略という一致団結して挑まねばならない目標から、プレイヤー同士の戦争へと着実にシフトしつつある事に気づいていたはずだ。

 今の反大ギルドも、戦争の機運も、全ては起こるべくして起こるべく積み重ねられた結果によるものだ。そこにはクゥリが手を汚した事柄もあるかもしれないが、それを命じたのは他でもない自分たちの組織ではないか。

 分かっている。それを口にしても何の意味も持たない。これは正論ですらない。単なるグリムロック個人が私情を挟んだ観測に過ぎない。

 

「行くぞ、グリムロック」

 

 これ以上は殺気立った彼らを刺激しない事も目的に含んでいるのだろう。クゥリは彼らに背を向けて、元来た道に戻ろうとする。確かに、彼らがどのようなアイテムを求めているにしても、グリムロック達の目的には関係ない。あくまでグリセルダの救出こそが彼らの目指すべきものなのだから。

 大人しく去ろうとするクゥリだが、それを妨害するように空気を裂く音が鳴った。

 太陽の狩猟団の1人、大弓を構えていた者が放った大矢がクゥリの首筋を掠めたのだ。大矢はそのまま壁に突き刺さり、轟音を響かせる。

 

「誰が動いて良いと言った? 逃がしはしない。ここで償いをさせてやる」

 

 赤黒い光が飛び散る首のクゥリは撫でる。幸いにも欠損状態ではないようだが、出血状態になったのだろう、傷口は修復される気配も無くアバターの内部の赤黒い光を露わにしている。

 これはやり過ぎだ。恐らくは威嚇のつもりだったのだろうが、クゥリは低VIT型だ。仮にヘッドショットでも決まっていたら、最前線級かつ高ダメージの大弓の一撃のクリティカルを受けたら、下手をせずとも死んでいたかもしれない。

 

「キミ達、これはいくら何でも――」

 

 さすがのグリムロックは声を荒げる……も、すぐに言葉を呑み込んだ。

 それは自分に殺意を振り向く者達に背中を晒し、抵抗と攻撃の意思はないと示していたクゥリが首を掌で押さえながら、それまでの倦怠に満ちた雰囲気を一変させたからだ。

 

「殺してるんだ。殺されもするさ」

 

 付き合いの長いグリムロックは、彼が好むこの台詞の意味を知っている。彼はまるで大事な思い出を語るように、生死を分かつ1つの境界線としてその言葉を紡ぐ。

 それは殺意の宣言であり、この文句が飛び出す時は総じて凄惨な殺しが始まる合図だ。

 だから思わずグリムロックは身構える。さすがにこれだけの人数を相手に正面から戦うなどという無謀はしないだろうが、クゥリならば見せしめのように数人の首を落とすくらいの真似をしかねないと思ったからだ。

 その緊張感は即座に伝播し、ノイジエルとベヒモスの臨戦態勢を呼び起こす。

 

「許しは請わないさ。そんな資格はないし、求めてもいない」

 

 だが、グリムロックはそれが間違いだったと気付く。

 自分の首から流れる赤黒い光を、傷口を撫で、べっとりと血のように付着して染まった右手を垂らしたクゥリの口元に描かれているのは曲線。だが、それは決まって彼がこんな場面で見せる残虐な獣の笑みではなく、酷く優しい今にも消え去りそうな静かな三日月だった。

 

「復讐したいなら、相手になる」

 

 1歩、自らへと悪意と殺意を向ける者達へとクゥリは歩み寄る。

 

「罵りたいなら、聞いてやる」

 

 足下を浸す赤黒い液体に波紋が生まれる。グロテスクな世界であるはずなのに、それは聖書の一節に登場するかのように清らかだった。

 

「オレはオマエらを否定しない。肯定もしない。だけど、全部受け入れてやるよ。全部『食べて』あげる」

 

 善意も悪意も無い、あるのはまさしく聖女の微笑。果てしなく人間の精神の受容を超える『愛情』。それを前にして正気を保てる者がいるだろうか?

 見惚れ、心酔し、あるいは平伏する。それを望まないならば人間の誇りをかけて挑むしかない『怪物』。まるで愛する子羊達に死という蜜を差し出すようにクゥリは右手を差し出す。まるで一緒に踊ろうと誘っているかのような、可憐とも言い換えられる仕草の1つ1つが魂まで魅了する程に愛おしく、尊く、麗しい。

 魂が奪われたのはグリムロックだけではないだろう。その微笑に精神が『屈服』しなかった者はいなかったはずだ。あれ程までに殺意と罵詈を撒き散らしていたはずの両陣営さえも、今は言葉を失ったように硬直している。

 もしも、あの右手を取っていたならば、クゥリはきっとその笑みを作る優しさの全てを捧げてくれるだろう。

 そして、まるで母が我が子を抱きしめるように、その『命』を喰い殺してくれるだろう。

 

 だからこそ、堪らなくグリムロックには恐怖にしか映らなかった。

 

 

▽   ▽   ▽

 

 

 オレにこの場に残るように告げ、ノイジエルとベヒモスが逸った部下たちを叱責している。壁にもたれ、何やら3回転半したくらいに奇妙な視線をオレに向ける晴天の花の一同を横目に壁にもたれる。

 話術が無いオレには説得よりも実力行使の方がお似合いだ。それは重々承知している。

 すっかり傷口が塞がった首を撫でながら、そこから広がった確かな痛みを思い出し、オレは瞼を閉ざす。

 攻撃を受けた時にスイッチが切り替わる音が聞こえた。本能が牙を剥き出しにして、ヤツメ様の狂笑が聞こえた。

 

 

 さぁ、殺そう。早く殺そう。もっともっと殺そう。愚かな餌がやってきた。蜘蛛の巣にかかった獲物を好きなだけに貪ろう。

 

 

 誘惑は打剣の柄に手を伸ばした。あのままヤツメ様の導きに従っていれば、オレはいつものように反撃という名目でグリムロックを守るという目的を忘れて暴れ回っていたはずだ。

 だけど、ふと思ったんだ。そうして、オレの理屈のままに殺意を殺意で返す。腐敗コボルドの戦いの時と同じように、露出した悪意を暴力で捻じ伏せる。でも、それ以外もあるのではないだろうか?

 きっとオレは殺す。歯向かうならば、結局は殺す。でも、そこに至るまでに、少しでも良い、相手に祈りを与えたい。

 傲慢かもしれない。不遜かもしれない。自己満足に過ぎない。それでも、オレはきっと……そうしたいのだ。

 だから、オレは何も考えなかった。彼らに対して、言葉も選ばずに、ただ伝えたい事だけを口にした。きっと皆、呆気に取られたのだろう。それはそうだ。オレだって自分のキャラくらいは理解している。あんな突拍子もない事を言われたら思考がフリーズするものだ。まぁ、お陰で全員が一斉に強制再起動で冷静さを取り戻したようだが。

 それでも、誰も殺さないで済んだ。誰も傷つけないで終わった。分かっている。それはとても退屈な事だ。飢えと渇きを助長させて、まるで胸の内側を爪で引っ掻いているかのような疼きもある。ヤツメ様は不満そうに赤黒い液体を蹴って飛沫を上げている。それでも、オレはこの終わり方を『嬉しい』って思いたい。思い込みたい。

 ユウキ……オレ、少しは変われてるかな? 今もオマエを殺したくて堪らない。その細い首に手を伸ばし、絞め潰したい。だけど、そんなオレでも『死』ではなく『生』への方向性を持った祈りを宿して良いのかな?

 脳裏を黄金の蝶が舞った気がした。まるで誰かがオレを後ろから抱きしめてくれているかのように、胸の内に温もりを感じた気がした。オレが血みどろの手で握りしめた屑石かも宝石かも分からない原石に願っても良いのだと囁いてくれている気がした。

 と、そこにエドガーが相変わらずの『にっこり』した笑顔で近寄って来る。だが、その笑みの意味は先程までとは異なるような気がした。そう、なんて言うか……なんだろうな? 妙な熱が籠っているような気がする。

 

「両組織ともお粗末なものですね。強力なネームドを相手に共闘したは良いが、ドロップしたアイテムを巡ってその場で争うとは。もう少し平和的な解決はできなかったのでしょうかね」

 

 エドガーが言うように、聖剣騎士団と太陽の狩猟団の小競り合いは、蓋を開けてみればごくありふれたものだった。

 

「そういうものだろ? SAOでのうっかり殺人の8割がドロップを巡っての事だからな」

 

 殺す気は無かった、なんて言い訳が成り立つ事件など、現実世界でも痴情の縺れと金と物の3要素のいずれかと相場が決まっているものだ。今回もドロップアイテムを巡りながら、どちらが先かも分からないように突っかかり合い、結果はあのような乱闘騒ぎに発展したというものである。これだからアイテムに余裕がありまくる大ギルドの正規部隊は。こっちはそんな真似をする事も出来ない位に困窮してるというのに。

 だが、逆に言えば、もはや両組織の間には事前協定でもしない限り、ドロップアイテム1つを巡っても即座に暴力沙汰へと発展する程度には、末端同士の険悪ムードは熟成されているという事だろう。乱闘中もノイジエルとベヒモスは双方に冷静になるように訴えていたようだが、あの様子ではアニマのファインプレーが無かった限り、どちらかに死者が出て、小競り合いから殺し合いにランクアップしていたかもしれない。

 それはそれで面白いな……っと駄目だ駄目だ。ついつい笑いそうになる口元を手で覆う。

 

「しかし、【渡り鳥】殿がデーモンシステムについてご存じなかったとは意外ですな」

 

「少しばかり長い休暇を取ってたからな。それを抜きにしても、オレの情報屋は色々と抜けてるんだよ」

 

「それはいけません。いかがですか? 我々、神灰教会も多くの情報を得るべくネットワークを広げています。【渡り鳥】殿がよろしければ……」

 

「ノーサンキュー。これ以上ヘイトを稼ぎたくねーよ」

 

 しばらくは鳴りを潜めて、なるべく穏当な依頼をこなすべきだな。まさか正規部隊の連中からもここまで悪感情を直接的な攻撃で発露されるとは予想外だった。まぁ、今回は未攻略ダンジョンという事もあって、囲まれて数で圧殺されてもおかしくない位には覚悟してたんだがな。

 だが、情報屋は本気でそろそろ2人目を探すべきかもな。何だかんだでパッチも傭兵だ。オレと敵対勢力に雇われて偽情報をつかまされる……なんて真似も十分ありうるわけだ。あくまでアイツにとって傭兵は副職だとしても、稼ぎが高ければ平然と本業の方でも裏切りを働くだろう。

 そうなると情報屋を探さねばならないのだが、これがまた大変だ。優秀な情報屋は既に誰かしらと組んでいるだろうし、そもそも評判が悪いオレに情報を売りたがる奇特な連中も少ないのである。

 いっそ犯罪ギルドを頼るという選択肢もあるのだが、昨今の情勢を考えれば、あまり裏に深く嵌まり過ぎるのも墓穴を掘るような気がしてならない。ならば、ここはいっそ神灰教会とコネを持つというのも選択肢自体は悪くないのだが、そうなると今度は大ギルドとの関係が……ああ、糞が! 利害関係って本当に面倒だ!

 

「デーモンシステムとは、プレイヤーに実装されている新たな能力です。これまで以上に強力な能力が得られるスキルがあり、何処のギルドも躍起なってデーモンシステムの『鍵』を探しているのですよ」

 

「『鍵』?」

 

「ええ。デーモンシステムを解放する為には特別な手順が必要です。それによってデーモンシステムを解放できるのですよ。デーモンシステムの解放には聖遺物が必要です。それで何処の陣営もアドバンテージを確保する為に聖遺物の噂を聞きつければ部隊を派遣しているのですよ。【渡り鳥】殿の耳には不愉快かもしれませんが、先のシャルルの森の件で混乱している情勢下では、十分に部隊を派遣することはできません。恐らくギンジさん達が派遣されたのも資源調査は名目で、本命は――」

 

「それ以上は言うな。大体『裏』が見えているさ」

 

 ギンジ達には訊かせるべき話ではない。それを重々承知しているからこそエドガーも声のトーンを下げている。

 情報は繋がり、推理は成り立っている。晴天の花は生贄だ。

 資源調査? アホか。未攻略のダンジョンで資源調査とかド素人がする事だ。最初は余程に人手不足なのかとも思ったが、考えてみれば単純な話だ。そもそもダンジョン内をある程度マッピングしなければ、資源調査も糞も無い『ただの攻略』ではないか。

 クラウドアースの有していたグリセルダさんの情報。この事から以前からクラウドアースはナグナの特殊性を把握していた確率は高い。ならば、聖剣騎士団や太陽の狩猟団も同様だ。

 恐らくシャルルの森の件でクラウドアースにこれ以上のリードを許す事を恐れたのだろう。聖遺物、更にはそこから繋がるデーモンシステムの先進を得るべく、聖剣騎士団と太陽の狩猟団は一時的に手を組んだ。そうでもなければ、都合よく同タイミングで、同進行程度で、2大組織が都合よく奥地で合流するものか。

 ナグナの特殊性を把握する為に、聖剣騎士団は晴天の花を派遣した。護衛はダミーだろう。そうでもなければ、ナグナの序盤でトップギルドのメンバーが成す術も無く壊滅するはずがない。聖剣騎士団のメンバーの面をしたアウトローの雇われと言ったところか。消えても問題の無い連中だ。

 そうしてナグナの感染システムを晴天の花を生贄にして情報を集積する。そして、それを本隊に伝達し、迅速な攻略に活かす。マックスレイを回収したのはノイジエルが裏事情に無知だからか、それとも人情を持っていたからか。どちらにしても、晴天の花は見捨てられる事を前提に派遣された。そうでも無ければ、正規メンバーと連絡が取れなくなったにも関わらず、調査部隊を聖剣騎士団が派遣していない訳が無い。

 そして、オレ達が到着した時に異常なまでにモンスターがいなかったのは、恐らく聖剣騎士団と太陽の狩猟団の双方が先んじていたからだろう。彼らは地上の鉱山ルートから既に侵入していた。それまでの間の戦闘でモンスターの密度が減ってしまっていたのだ。これだけの大部隊だ。隠密も何もない。エンカウントし放題だっただろうからな。だが、昼間は感染リスクが無いのでダメージも恐れずに進行できる。

 ギンジ達は幸か不幸か、市民会館に引き籠もっていたので聖剣騎士団と太陽の狩猟団の大部隊を目撃にする事も無ければ気づく事も無かった。だが、お独りで街を迷って途方に暮れていただろうマックスレイはノイジエル達の目に留まって部隊に『保護』されたというわけか。

 ……口封じするヤツが潜んでいるかもしれないな。ノイジエルは高潔な男だが、聖剣騎士団の為ならば泥を被る事も厭わないだろう。そうでなくとも、万が一に備えて余計な噂を流されないように、真実にたどり着けないように、晴天の花の生き残りを抹殺する役目を負った者が仕込まれているかもしれない。

 さて、何処までが黒なのやら。ノイジエルとベヒモスは互いに幹部の中でも過激派ではないとはいえ、互いに悪感情を持つギルドを担う者だ。なのに、小競り合いとはいえ、彼らだけは本当の殺し合いに発展しないように安全弁のように冷静さを保っていたようにも思える。それは部隊を率いる者としてか、それとも裏で聖剣騎士団と太陽の狩猟団が手を組んだ今回の1件を知ってのことか。

 

「やはり、あなたはお優しいですな」

 

「は?」

 

「とても寂しそうな目をされています。このエドガー、こう見えても聖剣騎士団ではそれなりの古株でした。【渡り鳥】殿とディアベル殿は密やかな交流を持っていた事も存じています」

 

「……アイツを責める気はないさ。ディアベルはリーダーなんだ。馬鹿のサンライスにはミュウがいるが、アイツは聖剣騎士団を切り盛りしないといけない。ラムダも頭はキレるが、ミュウやベクターには及ばない。このままじゃ、聖剣騎士団は根が腐って倒木する未来しかないんだ」

 

 そう……オレを本気で殺そうと思う程度には、彼もまた聖剣騎士団のリーダーとして戦っているのだ。

 シャルルの森における傭兵との連戦、その大半が聖剣騎士団の契約傭兵だ。例外である独立傭兵のフィッシャー父子には聖剣騎士団所持のユニークウェポンが貸し与えられていた。あのような意図した襲撃を偶然と済ませるはずがない。

 ザクロの謀か、あるいは別の伝手か。何にしてもディアベルは決心したのだ。DBO初期の、まだ誰もがデスゲームに呑まれていなかったあの頃を共に過ごしたオレを大ギルドのリーダーとして、あの場面で排除するという選択肢を取ったのだ。

 寂しさはある。だが、同時に妥当ではある。あの時、オレとディアベルは敵対していた。オレは聖剣騎士団にダメージを与え、彼は聖剣騎士団のリーダーとして脅威を排除すべく手を打った。それだけの話だ。私情を挟まず、危険視すべき敵対傭兵の排除に全力を尽くした。立派で上等だ。むしろ安心したよ。アイツはリーダーとしては少しお人よし過ぎる所もあったからな。これから悪辣さを増す大ギルド間抗争……いや、戦争にもその冷たさを武器にしていけば生き残る事もできるだろう。

 だが、もうオレ達の道は2度と交差する事は無いのだろう。これからは、たとえ表面的には『友人』のように振る舞えても、それは張り付いた仮面に過ぎない。

 もうあの頃には戻れない。たった1年前なのに、お互いに随分と異なる道を歩んでしまったものである。

 

「根は腐らずとも芯が腐れば大樹も雷雨の1つで折れるものですがね」

 

「辛辣だな。聖職者として慈悲を見せてやれよ」

 

「組織は人ではありません。『法人』などと言いますが、そのようなものは人の都合が生み出した幻に過ぎません。組織は何処まで行っても組織。情を与えるべき対象ではありませんよ」

 

 古巣に対して清々しいまでに言い切るエドガーに、オレは思わず笑いたくなる。個人として付き合う上では、エドガーみたいなタイプは嫌いではない。仕事上は絶対に嫌だけどな!

 

「だけど、困ったな。まさか連中もナグナの良薬を持っていなかったとはな」

 

 話題変更だ。オレは双方がナグナの良薬を有していないという、具体的に致命的な危機を口にする。

 さすがの聖剣騎士団も太陽の狩猟団も感染の回復手段まで十分に手配することはできなかったのだろう。オレ達が到着する前に十分にナグナの市街を『漁った』らしく、ナグナの良薬と素材を幾らか確保していたようだが、ここに至るまでに使い果たしてしまったそうなのだ。まぁ、あれだけ感染攻撃をしてくれるグロテスクモンスター達を相手にしてナグナの良薬無しでここまで来たオレ達の方が異常なのは何となくだが分かっている。

 

「ええ、ですが彼らは逆にナグナの月光草を数多く所持していました。これで良薬を『1つ』だけ作る事が出来ます」

 

 この『1つ』が曲者だ。オレが所持する黒色マンドレイク、これが唯一の月光草の対になる素材なのである。そして、この場ではあろうことか、グリムロックを除いた全員が感染状態なのだ。

 つまり、たった1つのナグナの良薬を巡って……なんて事態にも発展しかねないのである。どうやら聖剣騎士団も太陽の狩猟団も今は感染率が危機的な者はいないようだが、この先も蓄積するような事があれば、その1つが最悪のトリガーになりかねない。

 だからオレは隠そうと思っていたのであるが、我らがギンジくんが哀れにも口を滑らせてしまい、お陰で皆様揃って、先程とは打って変わってオレに媚び媚びな目も向けているような気もする。……現物主義共め。

 

「【渡り鳥】殿、話を戻しますが、先程のデーモンシステムについて、このエドガーには大きな情報があります。そこで取引をなさいませんか?」

 

 逸らした話題を戻すと言って、よもや話の最初に帰還するとは思っていなかったオレは虚を突かれる。

 

「取引? 言っとくが、今のオレには支払えるコルもアイテムも無いぞ」

 

 ま、まさかアンタレスのソウルがドロップしたのを見抜かれたのか!? 一応だが、オレのシステムウインドウは他プレイヤーには目視されない不可視モードにしているとはいえ、エドガーの情報量は侮れない。アンタレスからドロップしたと把握されていてもおかしくない。

 ここはカミングアウトした方が先手に成り得るか? いや、だが、しかし……悩みどころだ。

 

「ご安心ください。【渡り鳥】殿には何ら不利益など無い取引となります。いえ、むしろこのエドガーからの友好の証として受け取りください」

 

 ……『友好』って単語に良い思い出が無いような気がするんだがな。その単語のせいで騙された過去がSAO時代に山盛り過ぎて嫌になる。

 だが、タダで何かくれるのならば受け取らない道理はないか。得た物の取捨選択の自由があるのはこちら側だ。

 

「このエドガー、実はデーモンシステムの解放方法を知っているのです。聖杯を使うのですよ」

 

「聖杯……って、またオーソドックスな」

 

 こう、なんて言うか……後継者も王道をそれなりに弁えているな。さすがは茅場リスペクトだ。

 

「聖杯自体の入手は難しくありません。【渡り鳥】殿も幾つかご存じのはずです。自由に使用できる聖杯は終わりつつある街の忘れられた教会にあります」

 

 エドガーの言う通りだ。聖杯自体は珍しいアイテムではない。

 聖杯とは簡単に言えば、様々な効果を生み出す事ができる使い捨てアイテムだ。≪錬金術≫でも作成できるらしいが、基本的にアイテムストレージに1つしかストックする事ができず、1度使用すれば消滅する。その代わりに儀式を行えば相応の効果が得られる。言うなれば、簡易的な魔法だ。

 儀式が必要なので戦闘中にはまず使用できないが、一時的にモンスターの侵入を防ぐ結界、HPやデバフ回復などがある。ただし、アイテムストレージ消費容量もそれなりなので常態的にダンジョンに持ち込むヤツはいないが。

 一般的に入手し易いのは【銀聖杯】だ。1度だけであるが、NPC商人が販売してくれる。それ以降はイベントをクリアするか、ドロップするモンスターを狩らねばならない。だが、他にも【錆びた鋼の聖杯】やら【黒ずんだ銀聖杯】なんて別種もある。それらは同じ儀式をしても別の効果を生む。中にはダンジョンで行うことでレアモンスターが出現するパターンもあるらしいが、この辺りはオレの情報不足のせいであまり詳しくない。

 

「レベル60以上のプレイヤーが忘れられた教会の聖杯に触れると儀式のやり方が分かるのです。そして、【黒血】と【最初の灰】を使用する事で、デーモンシステムを解放することができるのです。聖杯も量産とはいえ聖遺物の1つ。過ぎた知恵を求めるばかりで、彼らには足下が見えていなかったようですね」

 

 囁くように、こっそりと聖剣騎士団や太陽の狩猟団に間違っても聞かれないように、エドガーはオレに教える。

 コイツ……とんでもない爆弾を押し付けやがった。今まさに、晴天の花を犠牲にしてでも聖剣騎士団と太陽の狩猟団が探し求めているものを、神灰教会は既につかんでいるとリークしやがった。

 いや、それよりもオレは何か大事な点を見逃している。

 この世に何1つとして都合の良い出来事など無い。ましてや、オレの場合には特にそうだ。誰かが今までヒーローのように助けに来てくれた事があったか?

 思えば、エドガーの登場は不自然だ。オレ達は救急車を突っ走って精錬施設に飛び込んだんだぞ? 幾らエドガーが単独で侵入していたとしても、オレが強化巨人兵相手に手間取って時間を食っていたとしても、おかしくないだろうか?

 助太刀。合流。銀のペンダント。デーモンシステムの暴露。オレは頭の中で組み込んでいく。そして……オレがここにいる理由。

 

「……エドガー、オマエの狙いは何だ?」

 

 銀のペンダントの回収こそがエドガーの目的の1つだと思い込んでいた。だが、コイツの狙いはそれだけではない。

 

「私は忠実なる神の下僕。我らは灰となった世界より新たな神の誕生を観測し、そして新世界の創成期に至るのですよ。【渡り鳥】殿、先のあなたにこのエドガーは感銘を覚えました。あなたならば理解できると確信しました。まさしく『死』の救済を授ける聖女。ええ、そうですとも。だからこそ、あなたはグリムロック殿にグリセルダさんとの……『死者』との再会に尽力するのでしょう?」

 

 咄嗟にオレは耳元で囁くエドガーに打剣を抜いてその心臓を貫きそうになる。だが、それを堪えたのはこの場で不要な争いをすべきではないという理性の制動があったからだ。

 いや、本当に『不要』だろうか? 今ここでこそエドガーを斬らねばならないのではないだろうか?

 

「オマエは……『誰』だ?」

 

「フフフ。あなたの事はとてもとても知っています。ええ、知っていますとも。その力、残虐性に秘めた聖女の慈悲を知っていますとも。多くの屍を作りながら、狂乱の笑みを浮かべながらも慈愛を忘れぬあなたの姿を『鉄の城』にいた頃より知っていますとも」

 

 リターナー……いや、違う。この『口振り』は違う。

 

「かつての私は人の裏打ちの無い愛を信じておりました。ですが、その果てにあったのは無残な我が身の滅び。なればこそ、信じるべきは神の下の『規定された』な愛なのです。信じる者は救われ、信じぬ者には罰を。この世界に溢れた死人たちの真実を知れば、狂気は満潮の如く溢れるでしょう。そう、たとえば……」

 

 止めろ。それ以上は言うな。聞きたくない! 耳を塞ごうにも、オレの思考は真実を求めて言葉を拾うべく澄み切っていく。

 

「そう、たとえば……今まさにDBO攻略を指揮する聖剣騎士団のトップ、ディアベル殿が『死人』など、何たる悲劇でしょうか」




ここからはいつものジェットコースターモードで行きます。
ふわふわモコモコの甘いわたがしストーリーは主人公(黒)サイドにお任せしましょう。

それでは、196話でまた会いましょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。