SAO~デスゲーム/リスタート~   作:マグロ鉱脈

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 今更ですが、主人公格の視点以外は3人称となります。ご了承ください。

スキル
≪気配察知≫:隠れた存在を察知するスキル。また、事前にモンスターの位置を察知する事によってエンカウント率を下げる事もできる。
≪鍛冶≫:武器や防具の作成・修理のスキル。
≪料理≫:食材系のアイテムで料理を作成することができるスキル。

アイテム
≪豆挽き機≫:文字通り豆を挽く為の道具。それ以外の価値はないが、欲する者にとっては財宝の如き価値があるだろう。
≪鈍い短剣≫:キレ味が悪い粗悪な短剣。だが、人の命を奪うには十分である。
≪霧の地図≫:大半が霧に蝕まれた地図。かつては巨大な大陸を描いたものだったはずであるが、何者かによって霧で塗りつぶされてしまった。それは狂人の沙汰か、あるいは未来を憂う者の警鐘か。


Episode2-4 シノンの憂鬱

 レベル9。その数字にシノンは複雑な感情を胸に宿す。

 クゥリが行った意図的なPK殺し……PKKは褒められた行為ではないが、その恩恵は確かな重みを持って、ステータスという形でのしかかる。

 1名の殺害と1名の投獄。それによって得られた経験値はシノンたちのレベルを3も押し上げ、更にこの先しばらくは金銭的に困ることはない程の莫大なコルを得た。

 アイテムはクゥリが殺害した1名分だけであるが、それでも件のプレイヤーがPKで溜め込んでいたアイテムは凄まじい量だった。その中でも目を惹いたのは【粗悪な白濁粉】である。

 このアイテムはいわゆる麻薬系に分類される。使用すれば一時的に快楽感が得られる一方で、使用中は意識が朦朧とし、使用後は正常な判断力を失う。ベータテストの時には存在しなかった、正式サービスで追加されたアイテムだ。

 悪趣味極まりないアイテムにシノンは唾棄する。茅場の後継者は、デスゲームに追い詰められた人間が現実逃避をする為の手段として、悪意の限りを注いでこのアイテムを準備したのだろう。そして、その思惑通り、既に終わりつつある街には【粗悪な白濁粉】が蔓延し始めている。

 DBOはありとあらゆる所にプレイヤーを堕落させ、絶望させ、破滅させる為の仕掛けを準備している。シノンは改めてそれを実感し、身震いした。

 拠点である廃村に戻り、シノンはクゥリたちの意見を遮って1人で【霊弓アカツキ】の熟練度上昇に努めている。7日間かけてありとあらゆる可能性を試し、ようやく頑固親父を直接娘の許に連れていく事が最高評価だと気付き、ついに入手した破格の武器だ。

 その火力は無強化状態でありながら、ロングボウの3倍。ディアベルのレッドローズと同様に現段階では強化ができない代物ではあるが、高いTECが要求されるだけあって命中率はロングボウの比較ではない。

 GGO経験者にして屈指のプレイヤーでもあったシノンにとって、射撃武器は手馴れたものだ。トリガーではなく弦だが、ゲームである以上要領は変わらない。

 シノンの目に映るのは2つのサークルだ。外側の緑のサークルと内側の赤のサークル。呼吸や心拍と連動し、拡大と縮小を繰り返している。命中率が高ければ高い程に放った矢は赤いサークル内に集中し、それ以外は緑のサークル内に収まる。GGOと大差がないシステムである。

 だが、このDBOがGGOと決定的に違う事は予想線がプレイヤー側にない事である。≪射線予想≫のスキルがなければ矢の軌道を事前に察知する事は出来ない。これがいかに弓矢に大きなアドバンテージになるかは明言する必要もないだろう。

 ならば弓矢は最強の武器か? シノンは否と断言する。距離を取って一方的に攻撃できる以上、ゲームバランスを保つ為に対策は幾らでも存在する。そもそも射撃攻撃全般が低威力で抑えられているのだ。たとえば防御スキル≪射撃減衰≫を持たれれば、それだけでアドバンテージは消し飛びかねない。

 故にシノンは新たなスキルを得た。レベル9となり、予定よりも2つもスキル枠が増えた彼女は、≪狙撃≫と≪気配遮断≫のスキルを獲得した。

 まず≪狙撃≫は、相手に発見されていない状況に限り、射撃攻撃のクリティカル率を上昇させ、なおかつ相手の防御力を無視できるという強力なものだ。たとえ≪射撃減衰≫があろうと、分厚い鎧を纏っていようとも、弓矢のダメージを直接叩き込む事が出来る。ただし、1回の狙撃で消耗するスタミナ量は規格外であり、威力増幅の為にソードスキルも併用すれば、今のシノンならばたとえスタミナがフルの状態でも1発でスタミナ切れである。更に当然だが射程距離が遠ければ遠い程に威力は下方修正を受け、命中率も悪化する。ハイリスクハイリターンのスキルだ。

 そして、≪狙撃≫を最大限に活用する為のスキルこそが≪気配遮断≫である。クゥリも所有するこのスキルは、スタミナ回復量が減少するのと引き換えに、モンスターとエンカウントし難くなり、プレイヤーから発見され辛くなる。特に停止状態ならば、スキルが十二分に成長していれば、目と鼻の先にいようとも気づかれる事はないだろう。もちろん、≪気配遮断≫のアンチスキルとも言うべき≪気配察知≫が存在する以上は過信できるものではない。

 

「何をやってるのかしら」

 

 本日80体目の出来損ないの肉塊を撃破し、シノンは胸中で渦巻く鬱憤を消化するように嘆息する。

 理由は分かっていた。シノンを際限なく苛立たせるのはクゥリの存在だ。

 先日の1件はシノンの中でクゥリに対する評価を改めるには十分だった。

 口が悪く、コミュ障気味で、容姿にコンプレックスがあり、何だかんだで面倒見が良い。それが以前のクゥリに対するシノンの評価だった。

 だが、現在では、まず何よりも先に恐怖感が先立ってしまっていた。躊躇なく、ゲームオーバーが直接死に繋がるデスゲームであるにも関わらず、プレイヤーのHPを物のように見つめる目が恐ろしかった。

 クゥリは殺せる。仮にシノンが寝込みを襲って攻撃を仕掛ければ、彼は一切の迷いなくシノンの首をあの時と同じように絞め、緩やかに殺していくだろう。耳元で『お前の自業自得だ』と囁きながら、その最期の瞬間まで目を逸らす事無くシノンを見つめ続けるだろう。

 そう考えてしまう自分が憎たらしい。シノンにとっての鬱憤の根源はまさにそれだ。

 確かにクゥリの行いは褒められたものではない。だが、同時に彼のやり方は間違ってもいない。事実として彼はPKされかけた側である。加えて、シノンやディアベルを守ろうとする意図もあった。

 相談されていれば協力したかと訊かれれば、シノンは確実に否と答えただろう。仮に賛同しても、より穏便な策を提案したに違いない。そして、それはクゥリにとって望ましいやり方ではない。

 ベストもベターもない。あの日はアレ以上の結末はなかった。PK常習犯の内の1人が死に、1人が投獄される。落とし所としては悪くないと妥協する他ない。

 

「あぁもう! 本当にイライラする!」

 

 足下に転がる頭蓋骨のオブジェを蹴飛ばし、シノンは獣のように咆えた。破壊はストレス解消に最も有効な手段の1つであり、その結果としての出来損ないの肉塊の虐殺だったのだが、それでも彼女の心が晴れる事はなかった。

 疲労もピークに達し、精神も擦り減った。この辺りが切り上げ時だろうと、シノンは≪気配遮断≫を発動し、エンカウント率を下げた上で移動する。

 

(明日には北のダンジョンに出発するのに、これで本当に良いの? 今の私で生き残る事が出来るの?)

 

 弱気が鎌首を持ち上げ、シノンに毒を吹き込む。必死になって振り払おうとする彼女を嘲笑う。

 臆病者。シノンは自らに潜む弱点から目を背けようとする。結局のところ、今のシノンはひたすらに自らのモチベーションを保つ為に前進する以外を忘れようとする猪に他ならない。

 立ち止まれば、もう2度と歩き出せなくなる。だから走り続ける。

 デスゲームが始まった日、シノンに正気を保たせ、背中を押して最初の1歩を踏み出させてくれたのはクゥリだ。彼の意図はどうであれ、シノンにとって彼は救いだった。

 だが、救いだったはずのクゥリが、いつの間にかシノンにとって恐怖の対象になりつつある。そして、その事は誰にも相談する事が出来ない。

 いや、1人だけいたか。シノンは本当ならば避けるべき相手に、それとなく尋ねてみようと、『彼』の元に向かう。

 

「ディアベル。ちょっと良い?」

 

 NPC『墓守のズーラ』の傍にて、終わりつつある街で購入した豆類の食材系アイテムを加工しているディアベルにシノンは話しかける。

 余程終わりつつある街で飲んだ珈琲に衝撃を受けたのだろう。ディアベルはスキル枠が2つ増えたと分かると早速1つを≪料理≫で埋めた。そんな彼は終わりつつある街で揃えられるだけの豆類のアイテムを購入すると、骨董品店で3000コルで販売していた豆挽き機を手に入れ、こうしてオリジナルブレンドの作成を始めたのだ。

 とはいえ、自力で珈琲を生み出すのは時間がかかるのだろう。メモ帳にブレンドの結果表を書き込み、理想の珈琲への試行錯誤を行っていたディアベルの目は何処となく疲れが見て取れた。

 

「どうしたんだい?」

 

「相談したい事があるの。時間を貰える?」

 

「もちろんさ。そうだ! どうせだから飲んでもらえるかい? 挽き立てホヤホヤさ」

 

 そう言ってディアベルは金属製のマグカップに注がれた黒色の液体を差し出す。お世辞でも香りは良くないが、断る理由もなく、仕方なくシノンは受け取る。

 話は長くなるだろう。シノンは霊弓アカツキをズーラに渡して修理を依頼する。ズーラは終わりつつある街の鍛冶屋に比べれば高額であるが、修理を請け負ってくれる。骸骨のおどろおどろしい外見に反し、優秀かつ善良なNPCである。

 

(あ、意外と美味しい……かも?)

 

 珈琲モドキを飲んだシノンは優しい口当たりに驚いた。珈琲の味とはとても呼べないが、飲み物としては優秀であり、2杯目が欲しくなる味だった。だが、ディアベルの渋い顔を見るに、素直に褒めても彼には芳しくないだろうと思い、シノンは黙っておく事にした。

 

「落ち着いたかい? 浮かない顔をしていたみたいだけど、俺に答えられる事だと良いんだけどね」

 

「そんなに表情に出てた?」

 

「かなりね。でも、デスゲームにいるんだから当然さ。俺も1人でいる時は気が狂いそうになるよ」

 

 その割には余裕を滲ませるディアベルに、シノンは自分よりも彼の方が精神的にタフなのではないだろうかと思った。実際には大差ないのかもしれないが、少なくともディアベルはデスゲームの中で『生き甲斐』を見出そうとしているように感じられた。

 そういえば、とシノンは思い出す。クゥリがデスゲームを生き残る手段の1つに、この世界が『ゲーム』だと自覚する事だと教えてくれた事を思い出す。あの時はクゥリの素顔に衝撃を受けていろいろと聞き流してしまった事が多かったが、思えば彼が語ったデスゲームの生き残り方は、いかに正気を保つかに集約されていた気がした。

 

「いきなりこんな事訊いて変に思うだろうけど、珈琲のブレンドって面白い?」

 

「……正確に言えば、今は珈琲すら出来てない。豆を1種類ずつ試して、珈琲っぽい味のものを探しているだけさ。だけど、必ず見つかるはずだ。たった1種類で構わない。ベースになる味さえ見つければ、そこから理想の味を目指すことができる」

 

「気が遠くなりそうな話ね」

 

「ゲームクリアまでに見つかれば良いとは思ってるよ」

 

 ディアベルはやはり強い。思わずシノンは彼に太陽の眩しさを重ねる。

 この青の騎士は、いつか多くの人間を率いる存在になる。多くの人間が彼を頼り、いつか来る解放の日に向けて戦う事を決意する日が来る。シノンにはそう思えてならなかった。たとえ、それが身勝手な幻想であるとも、彼女は信じて縋りたかった。

 恐怖はいずれシノンを食い尽くす。それから逃れるには死ぬ日まで走り続けるしかない。そして今その恐怖とは、デスゲームではなくクゥリの姿をしている。

 

「……怖いのよ」

 

 ディアベルの隣で膝を抱えるように座り込み、シノンはぼそりと呟いた。ディアベルも腰を下ろして胡坐を掻き、湯気を上げるヤカンを焦がす焚火に薪を放った。

 

「クゥリが怖いのよ。彼の目が、言葉が、存在が、全てが怖い。まるで、あの日の【黒い銃】みたいに……いいえ、それ以上に」

 

「黒い銃?」

 

「死銃事件って知ってる?」

 

 それなりに有名な話であるが、一応シノンは既知であるか尋ねる。ディアベルは思案するように顎を撫でたが、やがて残念そうに首を横に振った。

 DBOの参加者だからといって、VRMMOで起こった事件の全てを把握しているわけではない。シノンは大して気にする事もなく死銃事件の概要を語った。

 総死者数49名。GGOで起きた、日本史上類を見ない連続『殺人事件』の通称こそが死銃事件だ。そして、その犯人の1人はシノンの友人だった。

 幸いにもシノンが被害者になるよりも先にVR対策室が被疑者を検挙し、九死に一生を得たが、仮想世界で死銃事件の体現者、デス・ガンと対峙した彼女はその虚ろな恐怖に戦意を根こそぎ奪い取られ、その銃口が持つ死の顎の前に呑まれそうになった。

 この時、シノンを救ったのはVR対策室のメンバーと名乗った2人だった。1人は全身黒ずくめのアバターをした、もう1人は鼠の髭のようなペイントをした、VR対策室から派遣されたプレイヤーである。

 現実世界で彼らと対面する事はなかったが、代わりに『秘書』と名乗るツインテールの少女と面会し、事件の概要を説明されたシノンは、それから1週間はGGOにログインする事はできなかった。

 全てが信じられなくなった。『強さ』を得る為に始めたはずの仮想世界での戦いが、いつの間にか自身の命を刈り取ろうとしていたなど、認めたくなかった。

 人の命は重い。奪えば、必ずその重さを背負う事になる。シノンはそれを嫌という程知っている。引金を引く事の意味を理解している。命を奪う事の恐ろしさは、その年齢に見合わない程に実感している。

 だが、クゥリには『命を奪う』事に対する恐怖も葛藤もない。彼の心中を見透かしたわけではないが、あの目はまるで獲物を淡々と狩る蜘蛛や蟷螂の目だった。

 だからこそ、シノンは安堵した。彼が自分の願いを聞き届け、目の前の獲物を見逃した時の目は、人の物だったからだ。

 

「私はどうすれば良いの? 彼は私達の為に行動してくれた事も理解してるのに、彼がどうしようもなく怖い。まるで私もいつか彼にとって飢えを満たす晩餐になるんじゃないかって考えてしまうの」

 

 あの日、クゥリはディアベルに全てを包み隠さず話した。シノンは適当な言い訳を自分が話すと説得したが、彼は頑なにこれを拒否した。その姿は自ら処刑台に上ろうとする罪人のようだった。

 ディアベルに罵られようとも、罰せられようとも構わない。そんな姿勢は、とてもではないがクゥリが命を蔑ろにするような人間には思えなかった。だからこそ、彼女はクゥリに対する恐怖心をどう処理すべきなのか悩んでいる。

 クゥリは人の命すら糧にする化物なのか? それとも人の命を尊ぶ罪人なのか? はたまた、そんな考えしか頭に浮かばないシノン自身が怪物なのか?

 迷いは迷いを生み、余計にシノンを追い詰める。もはや1人では解決の方法を探り出せない程に。

 

「認めなくて良いんじゃないかな」

 

 だから、ディアベルが事も無げに出した回答の意味がシノンには直ぐに消化できなかった。

 

「認められない。理解できない。そんなのは当たり前のはずだ。俺も、シノンも、クーも、皆それぞれ心が違うんだ。だったら出した答えも、歩きたい道も、皆バラバラのはずだ。でも、だからといってゴールが皆違うわけじゃないだろう?」

 

「何が言いたいのよ」

 

「簡単さ。仲間だからと言って思想も行動原理も同一である必要はない。共通の目的意識が俺達の絆だ。だから、シノンはクゥリのやり方を認める必要はない。間違っていると思ったら今回のように、全力で止めれば良い。それだけだと俺は思う」

 

 音を立てて割れ、耐久度を摩耗する度に火を強める焚火を見つめるディアベルは落ち着いた微笑を浮かべてこそいたが、そこに一切の迷いはない。

 

「俺も同じ場面があったら、必ず止める。クーを止める。彼を傷つけない方法で必ず」

 

「……そうね。その程度で、良かったのかもね」

 

 馬鹿らしい。シノンは自らの迷いを、今度は鼻で笑って吹き飛ばす。

 ディアベルの言う通りだ。シノンは最初から決めていた。自らの道を行く事を最初から決めていた。

 今彼らと一緒にいるのは目的を達成する為だ。デスゲームをクリアする為だ。『強さ』を手に入れる為だ。にも関わらず、危うくシノンは自らの道を見失いかけていた。

 たとえクゥリがどんな存在であろうとも、彼女が感じた通り恐怖の如き『狂気』であるとしても、シノンは自分の道を進み、その上で彼を否定し、言葉を投げかければ良い。現にあの時、そうする事でクゥリは1つの命を奪う事を止めたのだから。

 

「それにね、クーはシノンが思ってるほど怖くないと思うよ?」

 

 喉を鳴らして笑うディアベルは新たな薪で、夕闇の中から現れた人影を指す。

 

 

「あー、寒いな、糞ったれが! 何で仮想空間なのにこんなに寒いんだよ!? オマケに鼻水出るとか頭おかしいだろーが! あの糞野郎は何をどれだけ再現したいんだよ! さすが茅場の後継者だなって褒めてほしいのかよ!?」

 

 

 粗暴。そんな表現が似合う歩き方で、シノンは自らの恐怖となった、少女のようにしか見えない可愛らしい容姿をした少年を目にし、ディアベルの言う通りだと苦笑する。

 夕日を背にして立つのは、あの日の単独行動の理由を聞いたディアベルが『嘘をついた』という理由で罰として、純白の色をしたポニーテールの髪型のプラグインを入れたクゥリである。ちなみに赤色の結い紐はシノンが購入したものだ。余談だが、総額4000コルにも至る高額品である。

 

「しばらくは俺達の玩具だし、恐れる必要もないんじゃないかな」

 

 まるで次はどんな髪型や髪飾りを恥ずかしがり屋の娘にさせようかと考えを巡らす父親のような、彼らしくないあくどい表情をディアベルは浮かべている。

 

「それもそうね」

 

 ディアベルが注いだ珈琲ですらない黒い液体を受け取り、ガタガタと震ながら焚火で温まるクゥリにシノンは差し出した。




今回はシノンのターンでした。
彼女は彼女でいろいろと問題を抱えているキャラで、なおかつ原作と違って消化されていないので、その辺りをどんな風に解決しようとするのか(できるかどうかは不明)描いていきたいです。

では、第10話で会いましょう。

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