SAO~デスゲーム/リスタート~   作:マグロ鉱脈

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感想の方でステータスやスキルが気になると言うコメントがありましたので、今回はDBOのシステムやキャラのステータス・スキルなどについての設定紹介にする事にしました。

でも、普通に説明しても淡々としているので、レポート形式で、物語を補完したり、本編に関わるネタを詰め込んだものとなりました。

筆者の書き終えた感想
『これ設定資料というよりも本編で良いんじゃないだろうか』


File01 レポート1

◇Dark Blood Online(ダークブラッド・オンライン)

 PK前提、PvP及びGvG推奨のVRMMORPG。

 ナーヴギアから数えて4代目、アミュスフィアⅢの記念すべきファーストタイトル。退廃的な世界観と自由度の高いシステムが大きく宣伝された。

 ベータテストには1000名が参加し、総合評価は大手ゲーム雑誌で10点満中9.1点と高評価を得た(過去最高評価はSAOの9.8点)。

 一方で、『万人向けではない』や『製作者は頭がイカレてる』といった不評も目立ち、また暴力的な表現から年齢規制を18歳から20歳に引き上げられた(ただし、正規サービス開始時に最年少で7歳の被害者が確認された)

 2028年4月11日に正規サービス開始。同日の18時35分に、茅場の後継者と名乗る人物によって史上4回目となる電脳テロ(通称DBO事件)が発生。これにより1万2682名(政府発表)が仮想世界に囚われた。余談だが、同年12月時点の生存者は約8500名であると某週刊誌が独自取材によって明らかにしたが、信憑性は確かではない。また当初こそ報道は苛烈を極めたが、過度な報道によってアミュスフィアⅢの開発主任の自殺を機に沈静化を辿り、現在は大手新聞会社及びテレビ局は実質的な報道自粛の方針を取っている。なお、この自殺を巡って遺族は各報道機関を相手に民事訴訟を起こしたが、僅か1ヶ月で数億クラスの示談金が支払われる異例のスピード解決はネットを騒然とさせ、陰謀論が展開されたが、2028年12月現在はネットでも自粛ムードが広まり、1部掲示板で話題に上る程度である。

 

 

 

Topics1『茅場の後継者とは何者なのか?』―VR犯罪対策室 第1分室【春日レポート】より抜粋―

 今以て謎に包まれているDBO事件の主役とも言うべき茅場の後継者とは何者なのか?

 VR犯罪対策室は茅場晶彦の経歴を洗い出し、彼が接触した人物から茅場の後継者の割り出しを目論んだが、捜査線上に対象となる人物はいなかった。判明した事と言えば、茅場晶彦が真に信頼していたのは彼の恋人である神代凛子1人であったという事だけである。

 では、茅場の後継者とは自称に過ぎないのか? これもまた否定されている。それはDBOはSAOに対するリスペクトが髄所で見られ、ソードスキルなどのSAOを土台としたシステムを取り入れている事、そして旧アーガスの茅場晶彦の部下だった人物によれば、『茅場さんの意思のようなものを感じる。DBOを作成したのは、間違いなく茅場さんに手解きを受けた人間だ』と答えたからだ。とはいえ、これはあくまで個人の感想に過ぎない。だが、DBO正規サービス時点で失踪が確認されたVR犯罪対策室オブザーバーの桐ヶ谷和人のデスクから、茅場晶彦とDBOの関連性を推測するメモが発見された事もあり、VR犯罪対策室は茅場の後継者は茅場晶彦と親しい人物であるという前提で捜査を続けている。

 茅場の後継者が作り出した今回のデスゲームの根幹たる技術『PE(ファンタズマ・エフェクト)技術』とは、脳の錯覚から人体に影響を及ぼすというVR技術とAR技術の融合にして発展型とされている。死亡した被害者は、高熱によるタンパク質の崩壊、急速な脳腫瘍、心肺の停止、溶血による窒息など多岐に亘るパターンによって殺害され、あらゆる医療手段による延命処置が施されたが、症状の発生から1時間以内の死亡がいずれも確認されている。幸福な点があるとするならば、症状が出た時点で被害者の意識は混濁状態にあり、苦痛を感じる事無く息を引き取っている点だろう。なお、容姿が著しく崩壊して死亡した場合、整形が施された上で遺族と対面するように、被害者が収容されている施設には24時間体制で美容整形医が待機している。

 稀代の天才と言われた茅場晶彦ですら大資本無しではSAOを完成させる事ができなかった。ならば、世界中のあらゆるVR犯罪を監視する機関の目を欺き、DBOとアミュスフィアⅢ、そしてPE技術を完成させた茅場の後継者とは個人を指す者ではなく、複数人の茅場晶彦信者の資本家の総称ではないかという意見もあるが、真実は闇の中である。

 

 

 

◇DBOのシステム

 レベル制であり、レベルの上昇に従ってスキル枠が増加される。

 レベル1の時点では武器枠は2つ、スキル枠は3つである。チュートリアルで初期装備と3つのスキルを獲得する事が出来る。

 レベルアップする事にHPとアイテムストレージ容量が微量増加する。また一定のレベルに達する事にスキル枠が増加する。

 スキル枠は初期で3つであるが、以下のように増加する。

 

レベル8(+1)→レベル9(+1)→レベル14(+1)→レベル15(+1)→レベル20(+2)→レベル40(+2)→レベル60(+2)……

 

 以上である。スキルは大きく分けて『攻撃系』・『補助系』・『フレーバー系』の3つがある。

 特に『攻撃系』はソードスキルとステータス補正に関わるものが大半でである。たとえば、≪片手剣≫のスキルを所持していた場合、片手剣のソードスキル、そして片手剣のステータス補正による攻撃力アップボーナスが得られる。武器ジャンルのスキルを持っておらずとも装備条件を満たしていれば装備は可能であるが、ステータス補正を得られない為、攻撃力を引き出し辛くなる。

 ステータスの初期値は全て『3』である。レベルアップによって成長ポイントが得られ、それを自由に割り振る事によってキャラを自分好みにカスタマイズしていく事が出来る。チュートリアル時点で成長ポイントは10ポイントが与えられる。レベルアップする度に成長ポイントは得られるが、得る手段は他にも存在する(後述)。

 成長可能ステータスは下記の9つであり、特徴も記述する(ただし、2028年12月時点で大多数のプレイヤーが認知していない特徴には『★』を付ける。また、全特徴を記述する物ではなく、あくまで主なものだけを記載する)

 

・VIT(生命力)

 HPを大きく増加させる。これにポイントを振る事によって生存率を大きく高める事が出来る。

 毒・麻痺・睡眠の耐性を微量増加させる。

 

・CON(体力)

 アイテムストレージ容量と装備重量を増加させる。

 スタミナ・スタミナ回復速度を増加させる。

 高熱・寒冷耐性を高める。また、スタン耐性も微増する。

 

・STR(筋力)

 アイテムストレージ容量と装備重量を増加させる。

 毒耐性を高める。また、スタン耐性が増加する。

 火炎属性防御力を高める。

 安定ボーナスが高まる。

 武器の装備条件においてSTRは必ず設定されている為、STRは武器選択の大きな指針となる。

 武器にSTRボーナスが付いている場合、攻撃力を高める事ができる。

 

・TEC(技巧)

 あらゆる行動のスタミナ消費を減少させる。

 睡眠耐性を高める。また、スタン耐性を微増する。

 雷属性防御力を高める。

 環境パラメータによるDEX下方修正効果を減少させる。

 武器の装備条件においてTECは設定されている場合もある為、武器選択の幅を広げる。

 武器にTECボーナスが付いている場合、攻撃力を高める事ができる。

 魔法の発動速度を速める。

 ガード時のスタミナ消費量を減少させる。

 

・DEX(敏捷)

 移動速度と跳躍力を増加させる。

 麻痺耐性を高める。

 水属性の防御力を高める。

 アイテムドロップ率を高める。

 有効視界距離を伸ばす。

 隠密ボーナスが高まる。

 

・INT(知力)

 魔法の使用条件に深く関わる。強力な魔法ほど高いINTが求められる。

 火炎属性・雷属性・水属性の防御力を高める。

 魔力を微増させる。

 武器の装備条件においてINTは設定されている場合もある為、武器選択の幅を広げる。

 武器にINTボーナスが付いている場合、攻撃力を高める事ができる。

 魔法・呪術の攻撃力を高める。

★闇術の使用条件に深く関わる。強力な闇術ほど高いINTが求められる。

★闇術の攻撃力を高める。

 

・POW(精神力)

 魔法などを装備可能にする魔法枠を増加させる。

 魔力を増加させる。

 魔法属性防御力を高める。

 混乱・失明・失声・鈍足耐性を高める。

★スタミナが危険域に達した時、スタミナ消費量を減少させる。

★HPがゼロになるダメージを受けた時、HPを『1』残す確率を高める。ただし、毒などのスリップダメージには効果を発揮しない。 

 

・MYS(神秘)

 奇跡の使用条件に深く関わる。強力な奇跡ほど高いMYSが求められる。

 魔法属性・光属性・闇属性の防御力を高める。

 魔力を微増させる。

 武器の装備条件においてMYSは設定されている場合もある為、武器選択の幅を広げる。

 武器にMYSボーナスが付いている場合、攻撃力を高める事が出来る。

 奇跡・呪術の攻撃力を高める。

 呪い耐性を高める。

★闇術の使用条件に深く関わる。強力な闇術ほど高いMYSが求められる。

★闇術の攻撃力を高める。

 

・SAN(正気)

 麻薬アイテムなどの快楽耐性・依存耐性を高める。

 呪い耐性を高める。

★狂気耐性を高める。

★デーモン化制御時間を伸ばす。

 

 以上の9つである。いずれのステータスを伸ばすかは完全にプレイヤーの自由意思に委ねられている。

 ステータスを成長させる為の成長ポイントの得る方法は主にレベルアップであるが、それ以外にも存在する。

 成長ポイントを得る方法は下記のとおりである(ただし、2028年12月時点で大半のプレイヤーが認知しないものは『★』を付ける)

 

 

1.レベルアップ

レベル1~20まではレベルアップ毎に1ポイントが、レベル21以上からはレベルアップ毎に2ポイントが与えられる。

 

2.イベントをクリアする

特定のイベントのクリア報酬として成長ポイントが得られる場合がある。ただし、ほぼ全てが1回目クリアか初クリア報酬である。

 

3.『誓約』を高める

誓約レベルが上昇する事によって成長ポイントが得られる場合がある。ただし、誓約を破棄すると得た成長ポイント分だけ成長ポイントを削除させねばならない。

 

4.アイテムを使用する

特定のアイテムを使う事によって成長ポイントを得られる。ソウル系のアイテムなどのレアアイテムが該当する。

 

5.ボス戦に参加する(ボス撃破報酬)

ボス戦に参加し、なおかつ撃破に成功すると1体毎に成長ポイントが得られる。参加者は1ポイント、ラストアタック・ボーナスを決めた者は2ポイント得る。

 

6.特定のネームドを撃破する

リポップしない特定のネームドの撃破報酬として、またはリポップするネームドの1回目撃破報酬として得られる場合もある。

 

7.★PK

PK数が一定値に達する度に成長ポイントが得られる。

 

8.ギルド補正

ギルドレベルに応じてギルドメンバーは成長ポイントを得られる。ただし、ギルドを離脱、またはギルドが解散した場合、得た成長ポイントは消滅する。

 

9.★闇霊を撃破する

特定の闇霊を撃破する事によって成長ポイントを得られる。

 

 以上の9つが主な成長ポイントの入手方法である。いかに効率的に成長ポイントを集め、また情報を秘匿して他プレイヤーの成長を阻害するかが、デスゲーム化したDBOにおいて重要となる。狩場の占有などは単純な経験値やコルの入手効率だけではなく、成長ポイントを他ギルドに渡さない為の工作を含んでいる。

 

 

Topics2『闇霊について』―隔週サインズ3号より抜粋―

 闇霊とは赤みを帯びた黒色のオーラで形成された人型の敵の事である。

 彼らの大半はNPCである。NPCの殺害には大きなリスクが伴うが、闇霊の状態ならば殺害してもNPCには被害が及ばない為、これは製作者側がリスクなくNPCと戦闘できる為の処置であると考えられている。

 だが、2028年12月現在、奇妙な情報が出回っている。それは『無名の闇霊』である。

 闇霊にはHPバーに名前が記載されている。これは彼らがNPCであり、無名のままではゲームの持つストーリー性を阻害するからだろう。しかし、『無名の闇霊』とは、名前である部分がアルファベットと数字の組み合わせ12文字で構成されている。

 これらの『無名の闇霊』は他のNPC系闇霊とは違い、コンセプトからストーリー性が感じ取れない事が大半である。また、その実力の幅が広く、戦い慣れていない闇霊も確認されている。だが、極めて強力な闇霊はトッププレイヤー級の実力を持つ。

 彼らの戦い方は様々であるが、共通して言える事はHPの減少に伴い、ある種の『必死さ』を強める事だろう。NPC系闇霊は死亡しても実害が無い為か、撃破されるまでも余裕を見せる事が多い。だが、『無名の闇霊』はHPの減少を極度に恐れるパターンが確認されている。それはまるで、プレイヤー同様に『死』を意識しているかのようである。

 NPCにも定まったロジックパターンが外れ、オペレーションに依存しない柔軟な戦法を披露する、『人間』のような者も確認されている。ならば、彼らはこうした『人間』のようなNPCが闇霊化したものなのだろうか? だが、だとしてもリスクが無いとされる闇霊において『死』を恐れる必要があるのだろうか?

 まだまだ闇霊の謎は尽きない。だが、プレイヤーの探究心がいずれ恐ろしい真実にたどり着くような気がしてならない。

 余談であるが、【白サイン】を使用する事によって白霊と呼ばれるお助けNPCを召喚する事が出来る。白霊は闇霊の白色バージョンであり、召喚時間や行動範囲に制限があるが、NPCが仲間として共に戦ってくれる、いわゆるお助けキャラだ。性能は保証しないが、時にはステージ難易度からすればバランスブレーカーな白霊もいるだろう。

 白サインは召喚するNPCとフラグを立てている必要があるタイプ、何度でも召喚できるが召喚時間が著しく短いタイプ、召喚の際にコルを支払わねばならないタイプなど多種多様である。

 白霊を呼ばねば得られないアイテムや解除できないギミックもある。発見したら召喚してみると良いだろう。噂では『無名の闇霊』と同じく『無名の白霊』もいるとの事であるが、『無名の闇霊』に比べれば目撃情報が著しく少なく、噂の範疇を出ない。また、『無名の闇霊』に襲われていたら白霊ならぬ青霊に助けられたという与太話や金色に輝きながら『Y』のマークのようにポーズを取りながら登場した金霊もいたというふざけたジョークなど、情報も錯綜しているので注意してもらいたい。

 

 

◇キャラクターの紹介

 ここではDBOでデスゲームに挑む1部のキャラクターの紹介を行う。このステータスは2028年12月時点のステータスであり、以後も生存さえすれば成長を続けることになる事を留意する必要があるだろう。

 なお、ステータスは〈『ステータス名』:(チュートリアル配分済み)+(割り振り成長ポイント)=総ポイント〉と記述するものである。

 サインズ危険度判定は、サインズが情報収集できた範囲で判定したものである(範囲はS~E)。

 戦績は最大で8つ記載するものとする。

 

 

プレイヤーネーム【クゥリ】 本名【久藤 篝】

異名:【渡り鳥】

立場:傭兵(フリー)

 

レベル40 武器枠:4 スキル枠:11 魔法枠:0

DBOにおけるPK数:10人(第3位)

サインズ危険度判定:A

 

入手成長ポイント

・レベルアップ=59ポイント

・ボス戦報酬=10ポイント

・イベントクリア=6ポイント

・ネームド撃破=8ポイント

総成長ポイント=『83』ポイント

 

VIT:4+10=14

CON:4+16=20

STR:4+13=17

TEC:4+17=21

DEX:4+17=21

INT:4+00=04

POW:4+00=04

MYS:4+04=08

SAN:5+06=11

 

ステータス構成スタイル:『バランス』

 

スキル構成(スキル枠11)

≪戦槌≫:戦槌にボーナスが付く。戦槌のソードスキルが使えるようになる。

≪戦斧≫:戦斧にボーナスが付く。戦斧のソードスキルが使えるようになる。

≪両手剣≫:両手剣にボーナスが付く。両手剣のソードスキルが使えるようになる。

≪カタナ≫:カタナにボーナスが付く。カタナのソードスキルが使えるようになる。

≪薬品調合≫:アイテムを合成させ、薬系アイテムを作成できる。

≪気配遮断≫:隠密系スキル。エンカウント率や発見率を減少させる。動いていると効力を発揮し辛くなる。

≪武器枠増加1≫:武器枠を1つ増加させる。

≪武器枠増加2≫:装備できる武器の数が増加する。≪武器枠増加1≫を得ていなければ獲得することができないスキル。

≪格闘≫:体術スキル。格闘攻撃にボーナスが付く。格闘のソードスキルが使用できる。

≪剛力≫:両手持ち専用武器が片手でも使用可能になる。ただし、武器のカテゴリーは変化しない。

≪歩法≫:体術スキル。DEX値によるスピードの倍率を上昇させる。また、歩法のソードスキルが使用できる。

 

・DBOにおける主な戦績

『イレギュラーネームド〈ダークライダー〉の撃破に貢献』

『ボス〈リ・イルファング・ザ・コボルドロード〉の撃破に貢献』

『ボス〈苦痛のアルフェリア〉・〈シャドウ・イーター〉・〈ガルム族の英雄リ・ラーガイ〉の撃破』

『ボス〈成り損ないの苗床〉の撃破』

『ギルド【ラスト・サンクチュアリ】の保有鉱山を単独襲撃』

『ギルド【ムーンフォレスト】・【サクラダンス】・【ヒーローズ】の3ギルド同盟を24時間で壊滅』

『ボス〈混沌の魔女クラーグ〉の撃破に貢献』

『ギルド【聖剣騎士団】の元幹部【棘の騎士】カークの撃破』

 

☆サインズの3大アイドル受付嬢ヘカテちゃん総評

 このレベルでVITがここまで低いのは、魔法特化でもない限りクゥリさんだけじゃないでしょうか?

 スキル構成は極めて攻撃的で、補助スキルの少なさが目立ちます。≪料理≫みたいなフレーバースキルを取っていないのも気になりますね。娯楽に飢えたプレイヤー達は実利を損なってもフレーバースキルを取ります。……それが心を落ち着かせてくれて、苦難から少しの間だけでも目を背けさせてくれますから。

 ステータスはバランス型ですが、TECとDEXが高めです。STR条件が厳しい武器程重量が大きくなって、装備重量を圧迫してスピードを落としてしまうので、今後はTECとDEXをバランスよく高めるスピードファイターを目指しているのかもしれません。でも、彼以外でこのバランス型で上位プレイヤー集団に食い込めるものはいないでしょうね。正直、異常です。

 軽装で高速戦闘型に及ばないDEXを補いつつ、4つの武器枠を活かして多様な戦術を繰り出し、我が身を鑑みずに生死の境目を渡り歩いて回避と攻撃を両立させる戦い方は、まさしくクゥリさんの真骨頂と言えます。でも、その戦い方は周りから見れば、余りにも命知らずで、苛烈で、とても恐ろしいものです。

 もしかしたら、VITが低いのも……ここが仮想世界ではなく現実と同じように『たった1つの傷が致命傷に成り得る』という感覚を忘れないようにする為なのかもしれません。 

 サインズがクゥリさんを危険度Aに判定しているのは、【渡り鳥】としての過去と腐敗コボルド王戦での凶行が主な理由です。でも、サインズでは彼のボス戦での合理的な判断を高く評価している人もいるので、S判定ではなくA判定に留めました。

 傭兵としては依頼達成率が高く、どんなに危険な依頼でも引き受ける為、大ギルドが主な雇用主になります。サインズとしては大ギルドの依頼を確実にこなす彼の優秀さを評価する声もありますけど、肝心の大ギルドからの『信頼』は無いみたいです。あるのは『信用』だけみたいですね。

 最近は『人の命を何とも思わないだけの狂人で、実力は大した事無い』なんて噂も広まっているみたいです。もちろん、サインズとしては噂を否定する義理はありませんが、彼を過小評価したプレイヤーは相応の代償を払う事になるでしょうね。ただ、カーク撃破の情報が広まれば、噂は誤りだったという認識になるはずです。この噂が『誰かが意図的に流したもの』でなければ……の話ですが。

 それと、これは個人評価になるのでサインズの人間としてはあまりすべき事ではないのですが……彼は『チョロい』です。エロい発言を繰り返したり、態度や言動は粗暴ですけど、根っこは純情みたいですから色仕掛けに弱いですね。ただ、戦いの時は男女平等で、色仕掛けがまるで通じなかったという情報もあります。よく分からない人です。

 カーク戦で左目が潰れた事が気になりますが、元からお得意様が大ギルドからの使い潰し前提の無茶振り依頼が大半なので、今後も依頼は途絶えないと思います。

 傭兵としては単独依頼が圧倒的に多いですね。でも、協働相手からは概ね好評ですので、これからは協働要請が増えるかもしれません。特にスミスさんはかなりご執心みたいです。

 ……蛇足ですが、傭兵紹介欄に『彼女募集中!』と堂々と太文字で記入しているのは彼だけです。

 

 

 

プレイヤーネーム【シノン】 本名【朝田 詩乃】

異名:【魔弾の山猫】

立場:傭兵(太陽の狩猟団とパートナー契約)

 

 

レベル44 武器枠:2 スキル枠:11 魔法枠:0

DBOにおけるPK数:0人(ー)

サインズ危険度判定:C

 

入手成長ポイント

・レベルアップ=67ポイント

・ボス戦報酬=7ポイント

・イベントクリア=6ポイント

・ネームド撃破=8ポイント

総成長ポイント=『88』ポイント

 

VIT:3+12=15

CON:5+16=21

STR:3+11=14

TEC:7+23=30

DEX:7+24=31

INT:3+00=03

POW:3+00=03

MYS:3+00=03

SAN:3+00=03

 

ステータス構成スタイル:『高速戦闘』

 

スキル構成(スキル枠11)

≪短剣≫:短剣にボーナスが付く。短剣のソードスキルが使用できる。

≪弓矢≫:弓矢にボーナスが付く。弓矢のソードスキルが使用できる。

≪銃器≫:銃器が使用可能になる。熟練度が一定に達すると所持弾数が増加する。

≪精密射撃≫:射撃攻撃の精度が上昇する。動きながらの射撃攻撃精度の下方修正を小さくする。

≪気配遮断≫:隠密系スキル。エンカウント率や発見率を減少させる。動いていると効力を発揮し辛くなる。

≪隠蔽≫:完全に静止している状態で使用可能のスキル。他プレイヤーやモンスターの視界から完全に消える。≪気配遮断≫の上位スキル。

≪気配察知≫:隠れた存在を察知するスキル。また、事前にモンスターの位置を察知する事によってエンカウント率を下げる事もできる。

≪狙撃≫:射撃属性の物理攻撃のみに発動するスキル。このスキルを使用した射撃攻撃は対象がスキル使用者を未認識の状態に限り、相手の防御力を無視したダメージを与えられる。ただし、通常よりも2倍の威力の距離減衰が発生する。

≪歩法≫:体術スキル。DEX値によるスピードの倍率を上昇させる。また、歩法のソードスキルが使用できる。

≪作曲≫:曲のデータを作成することができる。作成した曲は≪演奏≫で自動演奏する事ができる。

≪演奏≫:曲データに応じて演奏する。熟練度が一定に達する事に演奏できる楽器を1つ増やすことができる。

 

DBOにおける主な戦績

『イレギュラーネームド〈ダークライダー〉の撃破に貢献』

『ボス〈リ・イルファング・ザ・コボルドロード〉の撃破に貢献』

『ボス〈双面大蛇〉の撃破に貢献』

『ボス〈フォックス・ダンサー〉の撃破に貢献』

『ボス〈最後の巨人〉の撃破に貢献』

『ボス〈時計台の悪霊〉の撃破に貢献』

『犯罪ギルド【スカルナイツ】の壊滅に貢献』

『ボス〈タイラント・オクトパス〉の撃破に貢献』

 

☆サインズの3大受付嬢ルシアちゃん総評

 シノンさんはサインズでも人気が高くて、太陽の狩猟団の看板傭兵でもあるわ。

 ステータスは典型的な高速戦闘タイプね。VITの低さが目立つけど、遠距離戦を好む彼女にとって接近戦に持ち込まれた時点で負けのようなものよ。≪短剣≫スキルも保険のようなもので、彼女自身は近接適性は高くないわ。それにステータス構成上魔法属性に致命的に弱いわ。魔法使いプレイヤーは天敵かもしれないわね。

 現状では高火力の狙撃武器が無いからかもしれないけど、単身では能力を発揮し辛いわ。武器枠増加を取っていないから、2つの武器枠を消費する銃器とその他武器の切り替えに手間取るのも彼女の近接適性を下げているわ。せめて≪武器枠増加1≫を取って短剣を常備できるようになりたいところね。でも、彼女はプライド高いからGGOからの狙撃戦スタイルを切り替える気はないかもしれないわ。

 スキル構成も言わずもがな、狙撃特化ね。≪隠蔽≫で狙撃ポジションを陣取って潜み、確実にターゲットを≪狙撃≫スキルで奇襲する。前衛からすればこれ以上頼もしい仲間はいないし、敵からすれば悪夢その物ね。中距離戦を可能とする≪弓矢≫があるのは彼女の戦術の幅を広げているのも美味しいわね。

 軽装かつ高いDEXだから、並のプレイヤーやモンスターじゃ彼女を捉えられないわ。狙撃ポイントを割り出して向かってみたら、もう別の狙撃ポジションに移動していて狙い撃ち……なんて事もあるかもしれないわね。

 太陽の狩猟団からの依頼が多くて、戦闘スタイルの関係からボス戦での援護、他ギルドの襲撃、味方との拠点防衛などが主な依頼ね。逆に護衛や救出依頼、ダンジョンマッピングなどは不得手みたいね。

 それと、彼女は依頼に必要とあらば協働相手を雇うわ。外見も良い彼女の協働の座を密やかに狙っている傭兵は多いらしいわよ。

 フレーバースキルで≪作曲≫と≪演奏≫を取っているから、運が良い時はサインズ本部で彼女が演奏している姿を見られるかもね。ちなみにギターをよく弾いてるわよ。……今度サインズのテーマソングの作曲をお願いしようかしらね。

 

 

 

プレイヤーネーム【ディアベル】 本名【????】

異名:【青騎士】

立場:ギルド【聖剣騎士団】リーダー

 

レベル46 武器枠:3 スキル枠:11 魔法枠:5

DBOにおけるPK数:2人(10位未満)

サインズ危険度判定:E

 

入手成長ポイント

・レベルアップ=71ポイント

・ボス戦報酬=14ポイント

・イベントクリア=12ポイント

・ネームド撃破=13ポイント

・ギルド補正=12ポイント

総成長ポイント=『122』ポイント

 

VIT:5+23=28

CON:4+21=25

STR:7+13=20

TEC:4+11=15

DEX:4+11=15

INT:3+00=03

POW:3+17=20

MYS:4+24=28

SAN:3+02=05

 

ステータス構成:『アンバサ戦士』

 

スキル構成(11枠)

≪片手剣≫:片手剣にボーナスが付く。片手剣のソードスキルが使えるようになる。

≪盾≫:盾にボーナスが付く。盾のソードスキルが使用できる。

≪魔法防護≫:防御系スキル。魔法攻撃の威力を低減する。

≪射撃減衰≫:射撃攻撃の威力を低減するスキル。物理・魔法問わずに射撃属性全てに効果を発揮する。

≪武器枠増加1≫:武器枠を1つ増加させる。

≪暗号解読≫:暗号ならば種類を問わずに解読できるようになるスキル。

≪魔法感性≫:魔法を使用する為の必須スキル。このスキルがなければ魔法は使用できない。

≪信心≫:奇跡を使用できるようになる。≪魔法感性≫が無ければ習得できない。熟練度の上昇により、ゴースト系・アンデッド系モンスターからの攻撃を減衰させる。

≪気配遮断≫:隠密系スキル。エンカウント率や発見率を減少させる。動いていると効力を発揮し辛くなる。

≪料理≫:食材系のアイテムで料理を作成することができるスキル。

≪釣り≫:釣りをする際にボーナスを得るスキル。

 

DBOにおける主な戦績

『イレギュラーネームド〈ダークライダー〉の撃破』

『ボス〈リ・イルファング・ザ・コボルドロード〉の撃破』

『ボス〈双面大蛇〉の撃破』

『ボス〈愚か者の偶像〉の撃破に貢献』

『ボス〈ファランクス〉の撃破に貢献』

『ボス〈三面羽織〉の撃破に貢献』

『犯罪ギルド【スカルナイツ】のリーダー【髑髏蛇】ゴウラの撃破』

『ギルドイベント【紅白合戦】で聖剣騎士団を勝利に導く』

 

☆聖剣騎士団専属仲介人オニールの総評

 KHSのリーダーであるディアベルさんはDBOでも1、2を争う有名人だ。彼がいなければDBOの攻略なんて誰も叶えられなかっただろうからな。

 特に腐敗コボルド王戦は今でも伝説みたいに語り継がれている。他にも有名なのは双面大蛇の撃破だな。2つ頭の蛇のボスだったんだが、ディアベルさんが見事な指揮をして死者ゼロで討伐に成功したらしい。

 ステータスは秘匿だから俺も詳しい事は知らんが、とにかく『タフネス』だ。恐らくVITとCONにポイントを振っているんだろうさ。優秀な盾で攻撃を受けたり、受け流したりで、片手剣で確実にダメージを与える、まさしく王道の戦い方だ。騎士をコンセプトにしている彼らしいな。

 ただ、最近は奇跡やMYSボーナス武器の使用が目立つから、MYSを高めているのも間違いない。特に【凝縮するフォース】は周囲を攻撃する強力な奇跡だ。彼の切り札としても有名だな。巷じゃ奇跡の【凝縮するフォース】、呪術の【太陽の解放】、魔法の【炸裂する魔力】の3つを『アサルトアーマー』なんて呼んでる奴もいるそうだ。共通点は全部魔力を全て消費して周囲を攻撃するという点だ。

 話が逸れたな。ディアベルさんみたいな近接系MYS強化型を『アンバサ戦士』って言うらしい。アンバサの意味? 知らんな。DBOにおける神の祈りの言葉って話だ。俺はゲームにストーリー性を求めん主義でね。そういうのは詳しい奴に聞いてくれ。

 MYSが高いから魔法防御力は備わっているし、対策が難しい光属性や闇属性にも高い防御力を持つ。まだ未確認情報だが、『闇術』を扱うプレイヤーも現れているらしいが、ディアベルさんには通じないだろうな。弱点らしい弱点が無いステータス構成だ。ただ、鎧装備だから十分じゃないDEXは、スピード戦においては彼の実力を発揮できない足枷になるかもしれん。だが、彼は聖剣騎士団のリーダーだ。1対1のスピード勝負に持ち込む事自体が難しいだろう。

 彼のスキル構成は判明しているんだが、防御スキルの充実はタンクが本職なんじゃないかと思う程だ。特に≪魔法防護≫と≪射撃減衰≫は射撃系魔法攻撃を大幅に減衰させる。MYSの高さも加われば、ソウルの矢はおろか、ソウルの槍すらディアベルさんが相手ではダメージソースにはならないだろう。

 それと忘れてならないのは、ディアベルさんお手製の珈琲だ。彼はDBO珈琲偉人プレイヤー3人衆の1人だ。彼が≪料理≫を取ったのも自分好みの珈琲を生み出す為という情熱があったからこそだ。彼がいなければ、DBOで珈琲が生み出されるのが半年は遅れていただろうな。

 最近は≪釣り≫も取ったらしく、聖剣騎士団では釣り大会を主催していて、メンバーや下部ギルドとの親睦を深めているな。こうした攻略一辺倒ではない、皆を気遣うリーダーシップも彼の人気を支えている。ちなみに、そうした親睦会では彼の隣にはよく眼帯美少女がいる。噂じゃディアベルさんの恋人らしい。

 そこで、作戦を説明する。依頼主は聖剣騎士団グループの非公式眼帯美少女ファンクラブ。目標は眼帯美少女の正体だ。

 聖剣騎士団のメンバー及び下部組織の人員で構成されたファンクラブは、さすがのディアベルさんが相手では勝ち目が無いと思っているらしいが、真実は闇のままだ。もちろん遠くから愛でるのがファンクラブ第1規約らしいが、淡い夢は誰だって見たいし、あの2人の関係は気になる点も多いからな。

 眼帯美少女は人見知りで、ほとんどギルド本部の【古龍礼拝の聖堂】から出てこない。情報を得るのは極めて難しいだろう。

 あと、未確認だが、彼女の正体を探ろうとすると、白髪の悪魔が現れてトラウマを刻み付けるそうだ。白髪の悪魔に笑顔で72時間拷問されたと証言しているプレイヤーもいる。身の毛もよだつ話だから拷問内容は割愛するが、虫系食材アイテムを未調理のまま何時間も無理矢理食べさせられた……などの精神的な拷問のラインナップだな。

 危険な作戦だが、見返りは十分に大きいぞ。連絡を待っている。

 

 

Topics3『犯罪ギルド』―サインズ特定ギルド仲介人ネイサンのNo.83メモより―

 麻薬売買の裏に犯罪ギルドあり、という言葉からも分かる様に、DBOには犯罪ギルドの根が深く張ってしまっている。

 彼らが拠点とするのは終わりつつある街であり、貧民プレイヤーのみならず、あらゆるプレイヤーに対して害を振りまいている。だが、一方で彼らは我々にとって無くはならない『必要悪』の面を担っているのも確かだ。

 たとえば、私が属するクラウドアースは金融業を営んでいるが、コルを融資するのはギルドに限り、厳しい審査をクリアする必要がある。だが、多くの貧民プレイヤーが少しでも富んだ生活を送るには、戦う以外の商売に手を出す他ない。

 そこで、貧民プレイヤーや資本が無い個人プレイヤーは犯罪ギルドからコルを借入し、店を構える。中には審査が不合格だったギルドが1発逆転を夢見て犯罪ギルドからコルを仕入れて身の丈以上の装備を揃えたという話もある。

 犯罪ギルドがあるからこそ、彼らは稼ぐ以上のコルを元手に行動に移れる。そこには一定の評価が必要だろう。

 だが、犯罪ギルドの取り立ては相応に厳しい。特に【チェーン・グレイヴ】は最大手の裏金融を営んでいるが、安い金利とは裏腹に、支払期限を過ぎた場合のリスクは極めて大きい。

 愚かしいが、これも世の理だ。人間は夢を見て金を借り、現実を知って金の重みで潰れる。それに犯罪ギルドから借入するのはギャンブルや酒、麻薬に溺れた者が大半だ。屑とゴミが勝手に溺れて、ハイエナの餌になるだけである。

 さて、犯罪ギルドは『必要悪』だが、それだけで見逃されている訳ではない。もちろん、正面衝突してチェーン・グレイヴのような猛者揃いのギルドとの戦いで死傷者が出かねないという事もあるが、彼らが『娯楽』を提供している事も1つの理由だ。

 賭博場。売春宿。モンスター闘技場。刺激的で『許される』範疇の、ギルドが経営するにはインモラルな分野の娯楽。これらを犯罪ギルドは取り仕切っている。私のような美形ならば女性関係には困らないが、DBOという法も道徳も無い世界で、自分と折り合いを付けて欲望を満たせる場は、『捕縛』や『討伐』対象に堕ちるプレイヤーを守るセーフティネットにもなるわけである。

 ちなみに、あのいけ好かないオニールは売春宿に通っているのだが、毎月何十万コルを女につぎ込んでいるのやら。最近は【渡り鳥】や【ハイエナ】のパッチといった傭兵と密やかに酒場で身内ポーカーをやっているらしい。あの男には仮にも大ギルドの仲介人をやっているというプライドは無いのだろうか?

 さて、犯罪ギルドを語る上で欠かせないのが、初の討伐対象となったギルド【スカルナイツ】だ。彼らは『必要悪』にすらならない危険なギルドだった。強盗・強姦・人身売買といった行為を続け、彼らの手にかかったプレイヤーは分かっているだけでも11人に及ぶ。

 12名で構成されたスカルナイツの討伐時は、まだクラウドアースが頭角を現していなかった為、聖剣騎士団と太陽の狩猟団の合同作戦が展開された。この作戦によって、スカルナイツのリーダー【髑髏蛇】のゴウラが聖剣騎士団リーダーのディアベルに、副リーダーの【スカーフェイス】ナロベロが太陽の狩猟団リーダーのサンライスに討たれた。構成員の内の5名が死亡、6名が捕縛されたのだが、ナンバー3の【銀舌】のウィーニーの姿だけは襲撃時にアジトを留守とし、取り逃がす形となった。

 あのスカルナイツに比べれば、チェーン・グレイヴは理知的であり、思慮深く、そして戦力も十全だ。だからこそ厄介なのであるが、彼らは『悪』として共存する事を望み、我々は『善』として彼らを利用し存在を黙認する。表裏一体であり、片方だけではバランスは成り立たないのだ。

 そういう意味では、チェーン・グレイヴのリーダーは大物と言えるだろう。私の情報網では、少なくともトッププレイヤー級が4人チェーン・グレイヴに属している。この時点でチェーン・グレイヴのリーダーのカリスマ性がディアベルやサンライスに劣るわけではない事を物語っている。

 最近はスカルナイツの再来のような人攫いが確認され、女性プレイヤーが被害に遭っているとの報告がある。我らがクラウドアースは調査を進めているが、どうにも諜報部の動きが鈍い。もしかしたら諜報部に『違法売春宿』の利用者がいて、故意に情報を隠蔽している危険性がある。

 この件でラスト・サンクチュアリに先んじられるわけにはいかない。あのキバオウはUNKNOWNを広告塔にして、瓦解しかけているラスト・サンクチュアリを纏め上げるのに必死だ。スカルナイツの再来……それも取り逃がした【銀舌】のウィーニーが関わっているとなれば、何としてもスカルナイツ討伐作戦に参加できなかったクラウドアースがこの事件を解決させねばならない。断じて、あんなゴミ溜めに華を持たせる訳にはいかない。

 ……諜報部の事の真相次第では、【渡り鳥】に始末してもらうべきかもしれない。この事は理事会に報告し、指示を仰ぐとする。




↓↓本編の雰囲気を粉々に破壊致します。閲覧にはご注意ください↓↓


オマケ~今日も今日とて暇を持て余す茅場の後継者さんPart3~

茅場の後継者(以下KK)「なんか最近ギルド同士の戦いがヒートアップしているみたいだね(´ω`*)」

KK「まだまだ殺し合いには発展していないけど、それも時間の問題かな。でもでも! ご安心ください! そろそろボクも介入する予定だからね。ゲームを盛り上げるテコ入れはGM義務さ(ノ≧∀≦)ノ」

何処かにいる茅場さん(以下何処茅)「KK君もGMとは何たるかが随分と分かってきたようだね。そろそろ独り立ちか。少し寂しい気もするよ(´A`。)」

KK「それもこれも茅場さんのお陰です! 未熟なボクを導いてくれて、本当にありがとうございます! これで胸を張って卒業できます!(´;ω;`)」

何処茅「泣くのはまだ早い。私たちの『決着』は付いていないのだから。それよりもKK君、もうすぐクリスマスだ。イベントの準備は大丈夫だろうね?(*^ワ^*)」

KK「ええ、もちろんです! GMとして日頃頑張るプレイヤーにご褒美を! クリスマスイヴとクリスマスは全ステージ『安全圏化』で、ダンジョンは完全閉鎖! プレイヤーに束の間の休息を与えちゃいます! クリスマス情報はNPCを通してプレイヤーには今頃広まっているでしょうね(●´∀`)」

何処茅「ほう。素晴らしいアイディアだ。戦いばかりの日々では疲れるからね。ゆっくりと休める時間を与える。GMとして成長したね、KK君。でも、それだけじゃクリスマスイベントとは呼べないんじゃないかな?(´、ゝ`)」

KK「ええ。終わりつつある街にはイルミネーション! 他にも楽しいイベント盛りだくさん! たとえば【サンタを探せ!】といったご褒美いっぱいのイベントとかを準備しました!(*`▽´*)」

KK「それと……『対黒の剣士』用イベントもね。かくれんぼが大好きな彼には、とびっきりアンハッピーなイベントをね(・´艸`・)」

何処茅「座標も分からない『彼』にどうやって狙い撃ちのイベントを起こすのかい? 言っておくけど手は貸さないからね?(。´-ω・)」

KK「フフフ! それこそ、クリスマスイベント最大の目玉!【サンタさんからのプレゼント】イベントです!へ(´∀`へ)(ノ´∀`)ノ」

何処茅「【サンタさんからのプレゼント】?(。-`ω-)」

KK「そうです! クリスマスイヴになると全てのプレイヤーに『サンタさんより』というメッセージと一緒にアイテムが送られるハッピーイベント! 中身はゴミからレアアイテムまでランダムですけど、あるキャラからの感情パラメータが高いプレイヤーには自動で『スペシャルイベント用のアイテム』が送られるんです!(>w<*)」

KK「この『スペシャルイベント用アイテム』こそがトラップ! あのキャラに【黒の剣士】なら関わりを持たないわけがない! 心理トラップは基本戦術! ああ、天才過ぎるボクが怖い\(^ω^\)( /^ω^)/」

何処茅「君が楽しそうで何よりだよ。ところで、【サンタさんからのプレゼント】で配布するアイテムの一覧を見せて貰って良いかな?(´ ▽`)」

KK「どうぞどうぞ! こちらです!(v^ー°) 」

何処茅「どれどれ……(^∀^)」

何処茅「…………(・ω・)」

何処茅「…………(-_-)」

何処茅「…………(o´Å`)=з」

KK「え? ええ!? か、茅場さん!? 何かご不満が!? あ、あれですか!? やっぱりトナカイ人形よりもオーソドックスにテディベアの方が良かったですか!?(;´∩`;)」

何処茅「KK君。キミの独り立ちは見送りだ。キミはまだ何も分かっていない( ̄□ ̄#)」

何処茅「何故プレゼントにサンタコスが入っていないのかね?(っ`Д´)っ」

KK「は、入ってますよ。防具でサンタ装備1式が……(´・ω・`;)」




何処茅「そうではない! 私が言っているサンタコスとは『ミニスカサンタ』の事だ!ヽ(#`_つ´)ノ」




何処茅「防御力が高いもっさりサンタコスよりも、聖夜を性夜として楽しむ大人向けの防御が薄いコスチューム! 恋人たちに甘い夜を! それが倫理コードが無いDBOにおけるスーパークリスマスプレゼントであると何故分からない!?(# ゚Д゚)」

KK「た、たたた、確かに! でも、ランダムですから独り身の男性プレイヤーが貰ったら意味が無いんじゃ……(ー△ー;)」

何処茅「ならば簡単だ。女性プレイヤーのみのランダム要素にすれば良い。そして、プレゼントを開封したら強制装備トラップにするんだ。クリスマス期間中はミニスカサンタ以外は装備不可。これならどうだい?( ̄w ̄)」

KK「ひ、独り身男性プレイヤーは眼福展開にありつける確率が高い! 脱帽です、茅場さん!ヽ(*´Д`*)ノ」

何処茅「君のイベント発想があったからこそだよ、KK君。先程は声を荒げてすまなかったね。でも、全ては君に期待しているからこそなんだ。だからこそ、すべき事は分かっているね?(・w・)」

KK「ご安心ください。一流のデザイナーに早急に100種類のミニスカサンタ衣装の準備させます。さぁ、これから忙しくなるぞ!o(´∇`*o)(o*´∇`)o」

何処茅「頑張りたまえ、KK君!(>∀<)」

~fin~


↑は本編とは一切合切関係ありますので、気にしなくて大丈夫です。

それでは、次回は今度こそOneDdyの裏、主人公ストーリーをお送りします。

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