メタルマックス 斜めにまっすぐ見た世界   作:KR410

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荷物を積み込んで かなたは、空が白み始めたころキャンプを出発した。

「ジャイアントヒル」までは、順調に行けば2日の行程だった。



第16話  珍味ジャンキー

キャンプを発って、ヨルレイク~サウサまでのルートは、まあ かなたにとっては庭みたいなものだ。

 

まず、かなたは ヨルレイクの街の近くまで戻り、50口径の試射と照準の調整をした。

 

ガァン・・・ガァン・・・ガァン・・・

反動がすごい、発射のたびにスージーは揺れる。

 

ガァン・・・ガァン・・・ガァン・・・ガァン・・・ガガガガァァン

コンピューターが学習し徐々に命中精度が上がっていく、銃座をぐるぐる回しながら思わず顔がほころぶ。

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァン

楽しい時間だった、楽しすぎて予定よりも弾薬を消費してしまった。

 

30分ぐらい、遊んでかなたは満足だった。

まだ、太陽は低く車外で活動しても涼しい。

そして再び出発する、サウサへは遅くても夕方までには着きたかった。

 

砂漠の天候を予測できるほどの経験値はまだ持ってないが、今日は大丈夫そうだ。

風も穏やかだし、舞う砂も少ない。

 

 かなた 「よし、行くか!」

 かなたは、自分でハンドルを握り、砂けむりを猛然と上げながら元気良く走り出した。

 きちんと荷締めしたドラム缶だったが、少し危険に揺れていた。

 

 

    通常ルートで行くと、モンスターの遭遇率の高いポイントが2箇所あった。

 

ポイント1 砂丘地帯の小高い丘 15km地点

  いつものように奇怪なサソリやハゲタカ、ミミズ、あれやこれやに似た機械なのか生命なのかよく解からない怪物がたむろっている。

  ただ、こいつらはこちらから刺激を与えない限りめったに襲ってこない。

 かなたは警戒しながらも何事もなく無事通過。

 

ポイント2 ガレ場の斜面 40km地点

  ここを過ぎればサウサまではもう一息。

  このルートで一番標高が高い場所で、黒くて大きな鳥の巣穴がこの地域一帯に点在している。

  鳥は、日中はあまり活動しないが、ここはかなりの急斜面で遭難の名所になっている。

  だが土地勘の有る かなたにとってはここも問題なく通過。

 

 かなた「よし、もう一息」

サウサ まで残り20kmに迫っていた。

 

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相変わらず砂漠の 良い天気 は続いている。

昼過ぎにはサウサに到着した、ちょっと危険なぐらいハイペースで。

 

初仕事で少し気が焦ってたのと、何より運転が楽しくて。

くるまから降りた かなたは冷静になって、荷物を確認する。

縛っていたロープが緩んでる !

 

 

 かなた「やべっ・・・いかんいかん」

高揚した気分を冷まし、気を引き締めなおすのだった。

 

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サウサの街は大きかった。ヨルレイクのざっと5倍は大きい。

仕事ではよく来ているが、じっくり見て回った事はない。

普段の仕事での滞在と違い、今は行動を制限するものは何もない! と思うと少し羽を伸ばしたい誘惑に駆られる。

駐車場のすぐ隣には、レストラン「濡芽濡芽亭」がありとても香ばしい、いい香りがしている。

店内は大入りで、皆とてもおいしそうに料理を頬張っていた。

 

かなた「ギュルギュルルルゥゥゥ~」お腹がなる、腹減ったな~。

 

その匂いはある種の中毒性を感じさせるほど かなたの嗅覚を支配している。

いや、実際、ちょっと危険なぐらい。

 

 かなた「あぁぁぁぁ、あおぉぉぉぉぉ、うぅぅぅぅぅ、いぃぃぃぃぃぃ」

 かなた「ぬぐおぉぉぉぉぉ、うぉぉぉぉぉぉぉ」

 かなた「ぎいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 

ギリギリで、3歩進んで2歩下がって、一進一退を繰り返すこと15分。

血の涙を流しながらも、何とかその誘惑を振り切った。

 

かなたは、かなりガッカリしながら手持ちの常備食を食べる。

あの匂いを嗅いだあとだから、おいしくもなんともない。

もう、ちょっと腹立たしい、あー、それどころか人生で一番腹立たしい。

 

匂いの届かない少しは離れたベンチの上から、凶悪な顔でレストランを睨みながら、もうこの世の不幸を全てしょっているような、恨めしそうな、寄ると祟られそうな・・・・・そんな顔をしてカップラーメン風のインスタントで我慢した。

 

  異様な黒いオーラをまとったカップラーメンをすする少年。

気づかずに隣に座った流れのハンター風のオジサンが、かなたに気づき思わず目線をそらす。

間違いなく今の かなたはいつもと違っていた。

「ズゥズゥズゥズゥズゥズゥ~」

すする音すら恐ろしい、このときおじさんは死を覚悟したとかしなかったとか・・・

 

 

 

「ケプッ」

 かなた・合掌 「ごちそーさまでしたー♪」

 

少年らしいさわやかな笑顔で言った。お腹一杯になったらいつもの かなた君に戻っていた。

 どちらかと言えば大らかな かなただが、空腹だと凶暴になるのだった。

 

隣のベンチには何だか燃え尽きているおじさんが座っていた。

 あまりにも体調が悪そうなので、声をかけると、

 

おじん・恐 「ひゃぁぁぁぁぁぁー」

 と、どこかにすっ飛んでいってしまった。

 

 かなた 「・・・・・元気じゃん」

元気に走り去るおじさんの後姿を見送りながら、ほっとするのだった。

 




  あとがき

ぬめぬめ細胞 を筆頭にMMの世界観に無くてはならない名脇役。
人類の友の友 珍味❤

ポチはぬめぬめ細胞が好き・・・なんではなくて強力な常習性があり、焼きぬめぬめからは焼いたことで発生するガスに強烈な幻覚作用があるんです。酒やタバコの比ではなく!
(ドット絵のポチ→ぬめの演出は可愛いですがリアルに表現するとバイオハザード、当然酒場でぬめぬめ焼きを注文するジャンキーもバイオハザードです)

食べてるんじゃなくて食べさせられてるんです。
戦時に敵国に麻薬をばら撒く、アレとおんなじなんです、実は。

じゃないと、ノアの作った殺人アメーバが美味しいわけがない。
皆さん、ジャンキーにならないように注意しましょう!

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MM世界の常識は難しいです。
最後の白くなってるおじさんにこの世界の人は声をかけるだろうか。
だけど、人間である以上、どんな世界にも正義はあり、どんな世界にも悪はある。
かなた君は、消極的で流されやすいがこの世界での悪人側ではないので、ためらわず声はかけるだろう。
ただし、そこで何かしら相談を受けて手に余ったり、自分に不利益な場合は、意外とあっさり、見捨てるかもしれない。
そんな弱肉強食が基本の世界でどこまで善意は通じるのかな?

ちょっと アルを好青年に描きすぎた感がある・・・
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