戦闘には、あまり向く場所ではないが、彼らは迷わず戦闘に突入する。
「初戦のスコアは31両、最初に偵察した時のカウントが53両だから、最大誤差が5パーセントとしても、あと25両か!」
アル達は瞬時に計算する。
この3人なら何とかなりそうだ!
アルには勝算があった。
そして弾薬を節約しながら、4時間に及ぶ激闘の末、25両目を撃破!
まだ、潜んでいる敵がいるかもしれないが、残っていてもせいぜい1~2両だろう。
戦闘慣れした者ならではの打算により気が緩む。
そして1両撃破、・・・もう1両、・・・また1両・・・さらに1両・・・,
しつこい!
何だかきりがない・・・
・・・・・
どうも様子が変だ。
集団戦闘を得意とするβが散発的な戦闘を仕掛けてくる。
これは集団を維持できる数が足りないことを意味していた。
敵の数事態は確実に減っているはずだった。
それに周りからモンスターの援軍が入ってきてる気配もない。
個々の戦闘力の低い β だから、何とか持ちこたえてはいるが、このままでは早晩ジリ貧なのは目に見えていた。
そして、ついに戦線を維持できなくなり、アルが撤退の合図を2人に送る。
コルセットは「潮時だな」と、姫子は少し不服そうに。
アルの操縦する装甲車が2人を回収した。
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退却しながらも、数体のβに遭遇した。
どう考えても数が合わない。
装甲車には超強力な20mm単装機関砲が装備されているが、とっくに弾薬を使い果たし、今はただの飾りだった。
もう使える火器は、ショットガン数発と手榴弾4個、あと拳銃ぐらいだのものだ。
巨人の森 は、広大な上に迷路のように入り組んでいて、柱に邪魔されて視界も悪い。
アル達は、かなり奥まで入り込んでいたため、抜けるのに手間取っていた。
そんな時、警戒しながら撤退している3人の前に、突如信じられないものが現れる。
死神戦車βだった。
・・・・・
いや、形は同じだが・・・サイズがおかしい。
通常のβの10倍近い!
しかも体中からは、無数のアームが伸びていて、そのアームで倒れたβを修理してやがる!
姫子は状況を判断するより早く、すでに外に飛び出していた。
姫子さん 「アァール!!!!!!」
アルも言葉より早く、装甲車のハードポイントに吊っていた筒から何かを射出した。
アル 「受け取れぇ~!」
ドン! ヒュルルルルルルルルル~ ズサァ!!!
4mはあるだろうか、なんだか異様に長いただの棒が地面に刺さった。
姫子は、その物干し竿を地面から引き抜くと、謎の千手モンスターに突っ込んでいく。
姫子さん 「おおおぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
物凄い雄叫びを上げながら、その棒のマイナスドライバー状の先端を力任せに突き立てた。特別な何かはなく、装甲の継ぎ目に、ただただグサッと!
「ギャァアギャィィィキィィィィィィィィィィィン」
ものすごい音と火花の閃光を上げて、棒の先端が鋼の装甲に少しだけ食い込んだ。
手応えを感じた姫子は凶悪な笑みを浮かべた。
姫子さん 「いぃっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
姫子はものすごいスピードとパワーでぶッ刺した、その勢いのまま 流れるような動作で こじる !
こじった反動で、棒の反対側の先端をまた突き立て、それを物凄い洗練された動きで繰り返している。
「ギャァァギィィィィン、グゥワァァァン、ガァァァン」
グゥワァァン、ガギィィィン、ガァチャァァァン、ゴォォォォン」
力強く、激しく、舞い踊るような動き、それを残像が見えると錯覚させる程の勢いで・・・・・いや、動きに緩急がありすぎて本当に残像が見えていた。
その踊り狂う姿は、美しいが凶悪で、魔人か悪魔としか形容ができない。
どんなダンスより美しいが、見るものの命を確実に刈る、死神の舞い・・・
「ガァァァン、ブワァァァァン、ズゥゥゥゥン」
「ドォォォン、バァァァァン、ガァァァァン、バシィィィィン」
優に一軒屋ぐらいありそうな、巨大で悪夢のような、千手の異様なフォルムを持つ凶悪なマシーンが、その上前をはねる悪夢によって継ぎ目とゆう継ぎ目から滅茶苦茶に解体され、
ボディーを剥ぎ取られるたびに、火花を散らしながらワイヤーの血管をちぎられ、オイルの血液を吐きながら機械の臓物をえぐられ、腕をもがれ誘爆し、断末魔の咆哮を上げながら、みるみるバラバラになっていく。
千手の化け物も文字通り命懸けだった、猛烈な連続攻撃で反撃を試みる。
無数の腕を振り回し、電撃、トーチの炎、触手による物理攻撃、機銃掃射、連装グレネード、体当たり、主砲。
手持ちの全武装を投入して応戦していた。
だが、絶妙な装甲車の体当たりに何度もバランスを崩される。
そしてなにより、姫子の超接近戦でのすばやい動きにまったくついていけてない。
千手にはまさに悪夢だっただろう。武装した城塞が、棒切れ1本持った、たった1人のお姫様に、ものの数十分で完全に落とされてしまった。
まさに死屍累々。そこに微塵の面影すら無くなった残骸の山が、火花と硝煙を上げ、折り重なり無残に散乱するだけだった。
その屍の山を連想させる残骸の上に、黒髪を逆立て返り血を浴びた悪魔が、長大な魔人の槍を大地に突き立て、仁王立ちしている姿があった。
それは地獄絵図そのものだった。
姫子さん 「ふぅぅぅぅぅー、ふぅぅぅぅぅー、ふぅぅぅぅぅー、ふぅぅぅぅぅー、ふぅぅぅぅぅー、ふぅぅぅぅぅー・・・・・」
仏けが悪魔に潰されて・・・・・
戦車破壊女王・バスタークイーン、その通り名は本物だった・・・・・
あとがき
今回、姫子さんが使った棒。
通称「タンクバスター」又は「姫子スペシャル」
正式名「金剛六角棒姫子スペシャル・マイナス」(姫子が命名)
現実世界やメタルサーガで同名の兵器があります。
コンセプトはまったく違いますが・・・
戦車の物語だからこそ、対戦車兵器は欲しい!
だけど、バズーカやロケットでは芸が無いし、レッドフォックスのアレはいくらなんでもジョーカー過ぎるし。
で、考えた結果、こじる。ようは、でっかいバールです。
(今思い出したんだけど、元ネタはメタルマックスMOMOのタンクバスター、メタルマックス好きなら一読の価値ありです)
ただし、これができるのは姫子さんだけ。
凶悪な攻撃力ですが、いくら姫子さんでもあんなでかくて重いものを使い続ける事はで来ません、あんな戦い方をしていたら握力はバカになるし、そのうち自分の体がバラバラになります。
だから、1回の戦闘で使えるのは接近戦に持ち込んだ状態で(もって走るだけで疲れる)1回だけです、月並みな最終兵器です。
そして、硬ければ硬いほど装甲を引っぺがすのには有効ですが、反面、装甲に継ぎ目がないと威力が半減、そして柔らかいものにはあまり攻撃が通りません。
形状から 切断系の攻撃にも向きません。
しかも 死神の舞 を踊った後は、もう動けません。
強力だが万能ではないので、いつも振り回すわけにはいかず、普段は装甲車の鞘 兼 ランチャーポッドに納まっています。
姫子スペシャルはとあるお尋ね者のドライブシャフトだったものを持ち帰り、ナマクラ博士(オリジナル)が両端の加工を施しました。
コルセット→鉄の穴で加工を試みましたが歯が立たず、とある町であったナマクラ博士にお願いしたことになってます。
材質は不明で非情に硬いが適度にしなり、かなりの重量、見た目はアルミのような灰銀色、触った感触は鋼です。