今回の仕事も、あと3時間とゆうところだろうか。
順調に目的地に近づいていた。
・・・・・・・・・・!!!
スージーの斜め後方を走る車両が唐突に消えた。
その瞬間、スパシーボが悲鳴を上げる。
それは、接敵警報だった!
メギはサーモで周囲の警戒をしている。
ホッカムリを引きちぎり、50口径のターレット(回転銃座)が自動で後方を向く。
メギ 「いた、7時の方向、100以内に何かいるわよ!!!」
かなた 「100m以内!!!敵は?」
メギ 「後ろの くるまがやられたみたい、クラス4よ。
かなた 「!? クラス4だってーーー!」
隣を走っている4輪装甲車が、キャラバンの本体に向かって、車載の機銃から曳航弾と音響弾を派手に撃ちまくっていた。
敵襲の合図だ。
本来なら、強力な武装を持つ装甲戦闘車両が かなた達のいる後方集団の援護に駆けつけるはずなのだが、こうも視界が悪いと援護はあまり期待できそうにない。
この天候でむやみに隊列を乱すとキャラバン全体が遭難しかねなかった。
かなた 「メギさん、敵は何かわかりますか?」
メギ 「わからないけど、砂の中を移動してるみたいなの」
この辺りで砂の中を移動するモンスターといえばサンドフィッシュぐらいのはずだ。
だが、サンドフィッシュはせいぜいクラス3のはずである。
強烈な砂塵に阻まれ、音も、姿も無く、わずか20m左後方の装甲車が破壊された。
メギ 「ああぁぁぁぁぁ!」
かなた 「なんです?」
メギ 「隣の装甲車がやられたは!、これで3台目よ」
かなた 「画像は撮れませんか?」
メギ 「センサーのイメージ映像なら出せるわ」
かなた 「それでいいよ」
スクリーンにメギが補正を加えた赤外線画像が表示される。
大きな背びれに鋭い牙、横に6つ並んだ目。
そこには、4輪装甲車の車体半分を一口で噛みちぎる大型のサンドフィッシュ亜種、砂ザメが写っていた。
メギ 「何だか解からないけど、相当大きいわよ」
かなた 「ま、まずい、まずいですよ・・・・・」
かなた 「こいつ、スナザメだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
メギ 「砂ザメ、スナザメって言ったの???クラス5じゃないの、何でこんなトコにいるわけぇー!!!」
かなた 「わぁぁぁぁぁぁ、砂ザメが出たぁぁぁぁぁぁぁぁ」
メギ 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、死にたくなあぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ」
2人ともパニックだ。
「クラス5」が即「お尋ね者」では無いのだが、スナザメ種は紛れも無く「お尋ね者」指定されていた。
かなたは、わめきながら考えた挙句に、
かなた 「・・・・一か八か・・・・・迎撃するしかない!!!」
「ばちぃぃぃぃぃん」
メギに横っ面をひっぱたかれた。
メギ 「なぁにぃ言ぃってんのよぉぉぉ、勝てるわけないでしょーがぁー!!!」
メギ 「かなたぁー、逃げきるわよー、機関銃に熱榴弾装填しなさい」
かなた・半べそ 「・・・・・そ、そうだね、それが良いかもね」
スパシーボのスクリーンも、12.7mm 熱榴弾をお勧めしていた。
予備弾薬のうち熱榴弾50発、弾薬交換は手動なので運転をメギと代わり上部ハッチから
弾装を交換する。
メギ 「いい、熱榴弾だからね、間違わないでよ」
かなた 「装填した、確認したから間違いないよ」
重武装の車両は、キャラバンの前衛に集中し、中盤に輸送車や非武装車が並ぶ。
後方を走るのは、軽戦闘車両ばかりでスージーの周りにも大砲を積むような強力な 車両はいない。
パニクったのか、腕に覚えがあるのかはわからないが、数台の軽装甲車が接近戦を挑んでいた。
実際、スナザメを倒せば高額の報酬が約束されている。
だが、機関砲では非力すぎだった。
メギの操作するモニターから、車両の発する熱画像が次々にロストしていく。
メギ 「後ろから来てるわよ、かなた、キャラバンとはぐれてもいいからスピード上げて!」
かなた 「・・・・・、わかった、やってみる」
メギ 「それから、火器管制はあたしがやるから、かなたは運転だけに集中しなさい!」
そう言って、センサーゴーグルと照準システムをリンクさせると、後方の砂ザメに銃口をロックする。
スージーの動きにつられるように周囲の装甲車も かなたを追って行く。
間違いなく、このままでは後衛部隊は全滅だった。
4台の軽戦闘車両が横並び編隊を組み、緊急サバイバルチームが結成される。
メギはサーチライトを点滅させ、左右に展開する即席の友人に指示を送る。
「メクラマシ、ユウセンデ、テッコウダン、シヨウキンシ」
左右からもサーチライトで了解の合図が帰ってくる。
メギは、即席の友を信じ、砂ザメのロックを外しターレットを前方に向ける。
メギ 「かなた、サバイバルチームを編成したわ、リーダーを取るわよ」
かなた 「何をするんです?」
メギ 「あたしが全力でサポートするから、とにかく街道を飛ばして、退却戦をかけるわ」
かなた 「そっか、わかった、40分あれば固い地盤の砂漠に出れると思う、ナビよろしくね!」
メギ 「40分ね、了解!」
メギはいつものハードな口調で、かなたは、その激しい口調のナビを信頼し運転に集中する。
かなりのハイペースで砂漠を駆けていた。
流石の砂ザメも、このスピードでは砂中潜航したままでは追いつけず、浮上して追いかけてくる。
榴弾、焼夷弾、煙幕ランチャー、閃光弾、メクラマシに使えそうな火器で弾幕を張っているのだが、どんな仕組みでこちらを探知しているのか解からないがまったく効果が無かった。
正確にこちらを追尾して離れない。
メギ 「やばっ!後続の輸送部隊に追いついたみたい、もう少しで逃げ切れそうなのに・・・・・」
かなた 「どーしよ?こっちも手一杯だよ」
メギ 「・・・・・そうね、・・・・・行きましょう」
高速で走るスージーの前に逃げ遅れた輸送トラックが現れ始めた。
彼らもプロだから後方で敵襲があればスピードを上げて逃走を図るが、積荷の種類や重量オーバーで鈍足の者もいる。
今回の仕事で一攫千金のギャンブルに出たのだろう。
サバイバルチームは精一杯の援護をしながら、脱落輸送部隊を振り切って行く。
スナザメは脱落部隊を襲い始め、束の間、サバイバルチームから脅威が去った。
「どおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんんんんん」
かなりの爆音が響き、悪天候の砂塵の空が一瞬光った。
襲われたトラックの積荷に相当やばいものが積んであったのだろう。
かなた 「うわっと・・・・・もしかしてやったんじゃないですか」
メギは前方に集中しているので確認のしようが無い。
メギ 「まだ、終わってないわ、気を抜くな」
友人からの発光信号が届く。
「スナザメ、ケンザイ、キョウボウカシテ、セッキンチュウ」
メギが鉄甲弾の使用を禁止していたのもこのためだった、半端な攻撃はモンスターを刺激して凶暴化させる事があるからだ。
メギ 「やっぱり追ってきたわ、まだ生きてる」
かなた 「あの爆発で!・・・・・」
ハンドルを握るかなたの手から冷や汗がにじむ。
スナザメは正真正銘の化け物だった、一か八かをしなくて良かった・・・・・。
かなた 「そうだ、メギさん、通常弾と鉄甲弾に切り替えるように指示して」
メギ 「だめよ、半端に攻撃すると藪蛇よ」
かなた 「さっきの爆発で無傷とは思えない、鉄甲弾なら通るかもしれない」
かなた 「それに、どうせ凶暴化してる。 試してみようよ」
メギ 「そうね、・・・・・わかったわ」
友人に信号を送る。
「テッコウダン、ユウセンデ、ジツリョクコウゲキヲ」
スナザメの攻撃は噛み付きと体当たりだけだった。
怒り狂うスナザメの攻撃だが、かなたが水先案内を高速でしているおかげで、他のサバイバルチームも何とか攻撃を交わしながらも死に物狂いで反撃している。
スナザメは、高速で逃走する敵への連続攻撃はできないようだ。
必死の逃走劇の末、ついに大地の雰囲気が変わり始めた、今までよりかなり走りやすい。
サバイバルチームの足は速くなり、逆にスナザメの足は遅くなる。
スナザメはチームとの距離が詰まらなくなり車両からの集中砲火の的になりはじめていた。
何とか逃げ切れそうだ!
・・・・・と思った矢先!!!
尾ビレを激しくばたつかせ、地面を跳ねながら猛加速した。
スナザメに向かって鶴翼に展開していた陣形の中央を、バタバタと物凄い勢いで跳ねながら突進して来る。
スージー 「ガガガガガ、パァァァァン」
かなた 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
メギ 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
スージーはスナザメの体当たりを受けた。
ダメージモニターの車体と駆動系、エンジンの項目が黄色と赤に染まる。
スージーは激しい衝撃の後、スピンして止まり走行不能になった。
他の3台のサバイバルチームの車両のうち、2台も攻撃を受け、1台が横転、走行不能だった。
かなたとメギは気を失っていた。
あとがき
モンスターの強さの目安に「クラス」指定を設定しました。
この世界、共通です。
クラスは固体での脅威レベルの目安。
クラス1 弱小、または有害でないモンスター
クラス2 凶暴性はあるが攻撃力の低いモンスター
クラス3 軽戦闘車両の脅威にならない
クラス4 装甲戦闘車両の脅威にならない
クラス5 脅威のレベルが戦車に匹敵する
「お尋ね者」はクラス5以上でクラス5程度から、さらに桁違いの化け物まで様々。
今回のスナザメはクラス5程度だが、スナザメ種は各地で多数確認されていて桁違いのスナザメも数匹確認されていた。
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クラス5以上の戦闘ではフレンドリーファイアーも免責されることになっていて、故意の裏切り、見殺し、囮、何をやっても罪に問われる事はない。
ただし、あまりあくどいことをすると評判を落とし、社会からはじかれてしまう。
だが、お尋ね者狩りのつわもの達の中には、周囲の評判など気にせずどんな手段を使ってもモンスターハントを達成するものもいた。
モンスターの脅威が高すぎてどんなに悪どくとも、彼らに頼らざるを得ない街も少なくは無い・・・・・