かなたはオフィス運搬車護衛の依頼を受けていた。
すでに往路の行程を終え、サウサから ヨルレイクへの帰路についている。
護衛といっても2年間で一度も護衛らしい仕事をしたことは無い。
今回も仕事をしないまま仕事が終わりそうだった。
オフィス運搬車定期便の護衛はオフィスの規則で職員1名、ドライバー1名、機関士1名、護衛3名で1小隊組む規則があり、危険の少ない地方では楽な仕事の部類に入る(ただし何かあった場合は護衛のハンター3人が損害を賠償することになる)
車両操作、重火器操作の簡単な講習も受けられるのでまだまだ見習いハンターの かなたはこの依頼が好きだった。
ヨルレイクまで5kmの地点で街の方角から激しい閃光が、つづいて猛烈な爆音と砂塵が吹き荒れる。
ドライバー「どわぁぁぁぁぁぁ」
反射的にハンドルを切りブレーキを踏む。
猛烈な爆音はしばらく続いていたがそれ以上にみんなの耳がバカになっていた。
しばらくキョトンとしていた職員にハンターの一人が次の指示を求める。
ハンター、ベテラン「旦那、どうするよ」
オフィス職員「・・・・・」
耳がバカになって聞こえない、しかも茫然自失。ここはだれ???
ベテラン「だんなぁぁぁぁぁあああああ」激しくゆさぶりながら耳元で叫ぶ。
何とか正気を取り戻した小隊首脳部の怒鳴りあいの(耳がバカになってるので)議論の末、爆発の規模からして街が何者かに襲撃されて壊滅したかもしれないこと、救援に向かうか街ひとつぶっ飛ばすような敵がいるなら運び屋小隊なんかが向かってもしょうがないんじゃないか、自分達だけでも助かるためにここに隠れた方が良いんじゃないか、いやいや街を見捨てるわけにはいかんでしょ・・・
結局、警戒しながら街の近くまで行ってみることになった。
オフィスの運搬車は4輪の軽戦闘車両で6人乗りキャビンの上部デッキに12、7mm機銃1丁、後部に貨物室があり高めのルーフのキューポラを開けると有視界の索敵性能も良好だった。
護衛の3人は降車して、徒歩で周囲を警戒しながら、通常30分かからない道のりを2時間以上かけて慎重に進む。
未知の危険に対しての行軍はそら恐ろしいものだった。
かなたも初めての命の危険を感じる任務に発狂しそうな心を必死で抑えていた。
手持ちの武器で使い物になりそうなのは、しばらく前にサウサの街の近くで拾って修理した旧式散弾銃だけだった。
このシチュエーションではとんでもなく頼りない・・・
果てしない行軍の末、ようやく街に到着すると人々が騒然としているもののいつもの街の姿がいつも通りそこにあった。
職員と運転手が大声で何か叫んでいた、もう一人の護衛の20代のハンターは泣き叫んでいた、だけど耳がバカで聞こえなかった。
笑顔の似合わないベテランハンターも微笑して親指を立てている。とりあえず命が助かったことにみんな安堵していた。
こんな寂れた街の田舎ハンターでも命の重さが紙切れ同然なのがハンター稼業であり常識など存在しないこの世界の常識だった。
1度ハンターになったものは生涯どんな死に方をしても文句が言えない・・・
かなたの装備はメタルマックス恒例の拾ったメインアーム、ショットガン。
サブアーム1、ヨルレイクの街で買った安い5連発リボルバー。
サブアーム2、砂漠で拾ったナイフ。自分で修理。
正規の射撃訓練も実践経験も無いかなたにショットガン以外の武器が命中するはずも無い。
MM世界の散弾は超強力な炸薬を使って遠距離戦もこなせるに違いない!