ニコライはこの存在を生命と定義している。
だが、メギは、はいそうですか と受け入れる気にはなれなかった。
尊敬するニコラの言葉でも・・・・・。
突然、急加速して メギは激しくシートに押し付けられた。
メギ 「きゃあぁぁぁ、今度は何よー」
ニコライ 「目が覚めたのか、相棒♪」
スリー 「うおぉぉぉぉぉ、感覚が繋がってきたぁぁぁぁぁ!」
スリー 「見える!見えるぞぉぉぉ、見えないものまでくっきりとぉー♪」
突然、4台のメインモニターに大量の情報が映し出された。
1つのモニターには、敵の情報が、予測される脅威の順に並んでいる。
その数は100を超えていた。
実際には見えない物までも、多角的な予測から敵と判断しているらしい。
索敵範囲は、半径5000mを軽く超えていた。
メギ 「なに、どうゆう事、この異常な情報量は?」
メギ 「それに巡航速度が倍になってるわよ、いったい何なのよ?」
ニコライ 「言ったろ、寝ぼすけなんだ、こいつは」
スリー 「寝ぼすけじゃねーの、デリケートなの! 寝起きはゆっくり慎重に、それが長寿の秘訣だってじーちゃんが言ってたぞ」
メギ 「いや、言ってる意味がさっぱりわからないんだけど?」
ニコライ 「・・・・・、簡単にゆうとだな、今までの自律制御に スリーの意思は、ほぼ関与してねーってこと。 まだ寝てたんだよ、こいつはな」
スリー 「ちょっと・・・・、おめーら、無視すんじゃねーよ!」
メギ 「???、えっ、Cユニットが2個積まれてるの?」
ニコライ 「違う違う、・・・・・、そーだなぁ、さっきまでのは人間の反射反応みたいなもんだ、スリーの意思が眠ってるからってカタログ上の電算能力はなくならねーだろ、ふつう」
スリー 「おーい、もしもーし!」
メギ 「そんな普通は知らないけど・・・・・、それよりも! スリーは寝るの? Cユニットなのに???」
ニコライ 「だぁからよぉー、言ってんだろ、寝ぼすけだって」
ニコライ 「徹夜させたときなんかブーたれてしょうがないんだぜ、超過労働が何とかとか、決死のストライキがどうとか、労働条件の改善を要求してくるんだぜ、まいるぜ、ほんと」
メギ 「いやいや、その前に、なんで寝るのよ、 Cユニットでしょ?」
ニコライ 「・・・・・またおかしなことを、 生きるってのは寝るって事と、起きるって事だろ」
スリー 「そうだとも、6時間は寝ないと調子が出ないよな、やっぱり」
ニコライ 「おまえが6時間で起きた事なんかねーだろ!」
スリー 「なにおー、俺は優秀なんだぞ、6時間ぐらい誤差0、001秒でカウントできるってーの!」
ニコライ 「その割にはいっつも寝坊するけどな、ハハハッ」
スリー 「だから、低血圧なんだ、ニコラと違ってデリケートなんだ!」
メギ 「うるさぁぁぁい! そもそもCユニットは生きてないでしょーがぁ!!!」
話が最初に戻って、また堂々巡りの議論が始まった。
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スリーが目を覚ましてから、信じられないことが続けて起こっていた。
ジャイアントヒル周辺の硬い地面で走りやすい事はあるが、それにしても異常なフルオートでの巡航速度、時速80kmを超えている。
騒音は凄いが、乗り心地は以外にも悪くない。
そして有視界がせいぜい300mの中を5000m超の索敵範囲。
高速で疾走しながら、30mm機銃で最大1500m先の敵を視界の外から正確に撃破している。
それをスリーは無駄口を叩きながら、巡航モードでこなしていた。
ハード面の優秀さもさる事ながら、スリーの優秀さは認めざるをえない状況だった。
メギ 「何なの・・・・・、冗談でしょ・・・・・、こんなのありえないわよ???」
続けて起こる あり得ない! の連続に、普段冷静なメギだが、流石に現実感を失っていた。
この戦車は、彼女の理想の 「究極の戦車」 を、すでに遥かに上回っていた!
ニコライ 「そろそろ、砂漠地帯だ、シートベルトしとけ」
スリー 「やあぁぁったぜぇー! 久しぶりの砂漠だぁー!!!」
ニコライ 「おい、スリー! 機械損耗率はちゃんと考えて走れよ、メギも乗ってるんだ、あんま無茶すんな」
ほどなく、スリーは嬉々として砂漠に突入した。
大地の雰囲気の変化がメギにも伝わってくる、砂丘のアップダウン、キャタピラの空転する滑り感、エンジンはいっそう唸りを上げていた。
モニターの一つに、周囲の地形のイメージが写っていた、直前には砂丘の小山がある。
メギ 「何なの、減速しないの、きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
スリー 「ひゃあっほぉぉぉぉぉぉ♪」
スリーは、そのジャンプ台に激しくキャタピラを空転させ、蛇行して加速しながら突っ込んで行った。
信じられないことに、100km近いスピードの戦車の挙動がテールハッピーだ。
小山の頂上を勢いよく通過! 当然のように50トンの彼はジャンプした。
スリー 「おぉぉっとぉぉぉー、やべぇぇぇぇー!」
メギ 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ジャンプ直前に蛇行したため、激しくバランスを崩していた。
このまま着地したら間違いなく大変なことになる!
スリー 「うわぁぁぁぁ!まずったぁぁぁぁ!!!・・・・・、なんつってね♪」
ターレットが左に旋回していた。
「 ウィィィィィン、ガチャン、ズゥゥゥゥゥゥン! 」
車内が激しく揺れる、主砲の88mm短砲身が火を噴いた!
その反動で姿勢を制御して、何事も無かったかの様なスムーズな着地で、再び激しく蛇行しながら砂漠を駆け抜けていく。
メギ 「ちょっとぉぉぉー、なんて運転してんのよぉぉぉ!!!」
メギが抗議していると、モニター上の2、7キロ先の敵影が消失した、撃破のマークと共に。
スリー 「ビンゴー♪」
メギ 「!? うそぉー!」
スリーは、時にはジャンプ、時にはドリフト、わざと姿勢を崩したり、トリックショットを決めたり、完全に遊び気分だった。
砂漠が楽しくてしょうがないようだ。
ニコライ 「救助隊は、たぶん危険地帯は避けて進んでいるだろうから・・・・・」
ニコライ 「トレーラーも一緒だろうし・・・・・、ルートはこんなとこか」
ニコライは冷静にルートの設定をしていた、集中しているので車内の喧騒は眼中に無い。
スリー 「もっと危険なルートでも行けるぜ、絶好調だ」
スリー 「なんなら、何が起こるか? 一直線ルートで行ってみっか!」
ニコライ 「駄目だ、この作戦は救助だ、まず彼らを発見するのが第一だぞ」
スリー 「なんだよ、つまんねー・・・・、おぉっ♪ 何だ、あのひときわ高い砂山はー!!!」
メギ 「ニコラァァァァァァ、やっぱり スリーは暴走してるわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
スリー 「いいねー、そのフレーズ♪」
スリー 「オイラは暴走タンクのスリーさんだぁー❤ まいったかー♪」
メギ 「このイカレタンクー! あんたが言ったら洒落にならないのよぉぉぉぉぉー!!!!!!!!!!」
あとがき
能力を発揮し始めた スリーさん。
暴走 のフレーズが気に入ってしまいました。
メギのゆう通り、彼が言うと洒落になりません。
今回は 楽 の感情の暴走状態と言ったところでしょうかね。
ノアの作り出した、ハイブリッドなモンスターたち。
奴らは昼行性、夜行性があって、活動時間外はたぶん寝てるよね。
ニコラの生命論、起きて寝る。
これで生命を定義するのは暴力的だけど、決まった時間に寝る機械って、何だか生き物的じゃないですか?