最寄の町や村までは25キロぐらいのはずだ。
アルと分かれてすでに2日が過ぎていた。
しかし、未だ町にたどり着けないでいた。
巨人の森付近は、赤くて硬い、土の岩のような台地が広がっていた。
だが、砂漠ほどではないが砂塵が舞い、視界は500mといったころか。
砂漠ほどではないが昼夜の寒暖の差も、激しいものがある。
砂漠に適応しないモンスター達がこの大地を縄張りにしているため、モンスターの密集率が高く、かなり危険度の高いエリアに指定されていた。
当ても無く、過酷な大地を、ろくな装備も持たず、不眠不休で駆けずり回る コルセット。
コルセット 「くっそー、今日で何日目だっけかな・・・・・」
「待ってろ、アル、姫子、助けを連れてすぐ戻るからよ」
すでに意識は混濁気味だった。
コルセット 「あの、丘を越えれば、ゼェー、ゼェー、町があるはずだ・・・・・」
そう自分に言い聞かせて、気力を振り絞り前進を続ける。
その丘に登ると、・・・・・・・・・・!?
眼前には20mを超える巨大なカメがいた! モンスターだ。
コルセット 「やべーな、グランドウォーカーじゃねーか!」
コルセットはとっさにその場に伏せた。
グランドウォーカーは クラス5 のモンスターだが、よっぽど刺激を与えない限り攻撃はしてこない。
凶暴なモンスターでなかったのはラッキーだったが、すでに周囲を警戒する注意力を失っている事に気づかされた。
「ビィィィィィイー、ビィィィィィイー」
至近距離で警報が鳴り響く。
コルセットの背後に小型モンスターの 警戒ハチドリ が飛んでいた。
コルセット 「なに! 見つかった!!!」
振り向き様にナイフを投げ、ハチドリをしとめたが、グランドウォーカーがこちらにゆっくり旋回をはじめていた。
カメ 「グゥゥァァァァァァ」
「ズシーン、ズシーン、ズシーン・・・・・」
コルセットは叫んだ! 「ちっっくしょぉぉぉぉめぇぇぇぇーーー!!!!!」
彼は、グランドウォーカーの攻撃力を知っているのでその場から動けない。
いや、その場で攻撃をやり過ごすしかない。
カメは口を大きく開けてこちらを睨んでいる。
その口の奥から、「大口径の何か」がわずかに伸びて口内で止まった。
体を少し持ち上げ、四つ足を踏ん張り、つめを大地に突き立てると、「大口径の何か」の内側に、青白い粒子のような物が収束されていく。
そして、その周囲を黄色いリング状の物が4本、発光しながら形成されていく。
それは、あたかも延長された砲身の様にこちらにむいていた。
青白い光の輝きが増すごとに、黄色のリングがそれぞれ独立して動き、サイズが微調整されていく。
「ヒュゥゥゥゥゥゥ」
「ホワァァァァァァァァァァ」
「シュイィィィィィィィィィィィィンンンン」
「キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンンンンン」
耳をつんざく高周波音が周囲にこだました。
コルセットは稜線から出ないように、必死のほふく前進でカメの死角に廻りこんでいた。
細い光が一閃、4本のリングの中心を貫いて放たれた。
コルセットがいた場所に命中、だがさほど変わった様子は無い。
だが次の瞬間!!!
若干ラッパ状に配置された三つの輪に沿って扇状に青白い何かは放射されった。
コルセット 「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
コルセットの後ろの大地が、粉々になりながら消し飛んでいく。
たまらず、立ち上がり、なりふりかまわず走り出した。
「ドガガガガガァァァァァァァァァァァァァンンンン」
「シュイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
「ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンンン」
「ァァァァァ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
青白い光が徐々に弱く細くなり、か細く途切れると、再び辺りは静まりかえる。
小高い丘が大きくえぐられ、青白い何かは大地を貫通し空に消えていた。
何とか一撃目は交わしたコルセットは、伏せたまま状況を観察している。
カメは、しばらくその場で動かない・・・・・、いや、動けないようだ。
踏ん張った足は大地に食い込み、突き立てた爪からは血液なのか、オイルなのか、体液のようなものが染み出して、
体表全体、特に口の周りから、焼け焦げたのか、冷却装置なのかわからないが、水蒸気の様な煙を撒き散らしていた。
数分後、カメは「大口径の何か」をゆっくり引き込むと、口を閉じて上体を緩めた。
コルセット 「よーし、そのまま、そのままぁー、動くんじゃねーぞ♪」
しかし、カメはコルセットの方角に再び旋回を始めた!
コルセット 「バカヤロー、素直に寝てろよなー!」
だが、攻撃の方向を見極めなければ、その場を動くことができない。
カメは第2射の準備を始めた。
同時にコルセットも走り出す。
しかし、今回は・・・・・。
コルセット 「なんだとぉー、なんだそりゃー!!!」
黄色いリングのラッパが大きい、間違いなく広範囲攻撃をするためだ!
コルセット 「おい、冗談だろ・・・・・」
コルセットは全力で走りながら、 だが同時に・・・・・。
コルセット 「すまねーな、アル、お前は生き延びろよ」
カメの口が輝きを増す、 高周波音が響き渡る、 コルセットはそれでも全力で走っていた。
「キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンンンンン」
再び細い光がリングの中心を貫き、彼の後方に命中する。
コルセット 「くそったれがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ヒュルルルルル、ヒュルルル、ヒュルルル、ヒュルルルルゥゥゥゥー」
「バシュ! バシュ! バシュ! バシュ! バシュ!」
「ドォーンドドドドドドドォォォォォォォングワァーン、バァァァァン」
コルセット 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
コルセットは吹っ飛ばされた・・・・・
あとがき
スローウォーカー
あの口から放たれる、何かは、発射に至るプロセスは絶対かっこいいはず!
実際は物凄い勿体つけた挙句、50mmぐらいの砲身が ぬっと伸びてきて何の変哲も無く バン って実態弾を撃つだけかも。
それはそれで、無駄な感じがいいですが。
コルセットの名誉のために補足しておきます。
彼は決して方向音痴ではありません、大まかな地図は頭に入ってますが視界がいいとはいえ、500mです。
制限された視界のなか、満身創痍で休憩もロクに取れず歩き回ってます。
敵を警戒しながら、太陽の位置だけを道しるべに。
この辺りを活動の拠点にしていますが、この地域が特別詳しいわけでもありません。
街にたどり着くのは難しそうでしょ?