メタルマックス 斜めにまっすぐ見た世界   作:KR410

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姫子が無事退院して、6人でささやかなパーティーを開いた。

トラーノは3人の無事を確認するとジャイアントヒルに戻って行った。

スリーは一仕事終え、気持ちよく眠りについて、冒険の夢の中で暴走していた。


第48話  一つのオープニングの一つのエンディング

 

客もまばらな、あまり流行らない馴染みの酒場。

暗いネオンの「BAR」の看板が出てるだけで、名前すらない小さな店だった。

店の奥のジュークボックスが、ほどよい音量のメロディーを奏でている。

アル達お気に入りのこの店で、ささやかな生還祝いが開かれていた。

 

予約席には一通りの食事とアルコールを含む飲み物が並んでいる。

アル 「生還できた事を祝って、かんぱーい♪」

一同 「かんぱーい♪」

 

アイアンギャングの3人は包帯でグルグル、かなたも頭が包帯でグルグル。

どう見てもパーティーの雰囲気ではないが、そこには笑顔があふれていた。

 

アル 「それじゃー、改めて。 アイアンギャングを代表して、メギちゃんとニコライ、それにかなた!」

アル 「助けていただいてありがとうございました!」

アルはそう言って、深く頭を下げた。

 

ニコライ 「もういいよ、何回目だよ」

かなた 「そうですよ、こっちが恐縮しちゃいますよ」

 

コルセット 「それにしても、アルのおせっかいが元で俺たち生きてるんだな、メギちゃんアリガトな、ほんと」

メギ 「いやー、あたしよりニコラとスリーのおかげです。 やっぱり」

姫子 「そうねー、あの時コルさん達が修理したくるまのおかげで、あたしも生きてるんだもんね・・・・・、何だか不思議な感じ」

姫子 「だけどね、少年、 流石に無茶が過ぎるよ、勇気と無謀は違うんだからね!」

 かなた 「・・・・・はい、反省してます」

アル 「それを姫子がゆうのかよ(笑)」

アルはそう言って爆笑した。

姫子 「何言ってんの、アルだって人の事言えないでしょーが! まったく、無茶して!」

コルセット 「まったくだな、助かったから良かったけど、全滅してたかもしれないんだぞ」

アル 「なんだよ、追撃戦をかけるとき、二人とも賛成したじゃねーかよ!」

 

コルセット 「俺は何にも言ってないぜ」

タバコをふかしながら言った。

 

姫子 「あたしも」

洒落たグラスでお酒を飲みながら涼しい顔で言いきった。

 

アル 「ぐぬぬぬぬ、お前らな~!」

かなた&メギ 「まあまあ、押さえて押さえて」

何だか険悪なムードになってきた! と子供の二人は感じた。

彼らにとって、この程度の言い争いは日常の範囲なのだが。

 

メギ 「そ、そういえば、ニコラとコルセットさんってどんな関係なんですか?」

アル 「そうだ、ニコラがコルさんの師匠ってホントなのかよ!」

姫子 「えーっ、うそー?」

とりあえず、話題を変えることに成功して二人は ほっとする。

かなたはメギに視線を送った、「ナイス、メギさん♪」

 

ニコライ 「だから師匠じゃねーっての、しいてゆうならライバルだろ、やっぱり」

コルセット 「何言ってるんですか、俺のメカの技術は、ほぼあんたの仕込みでしょうが」

 

姫子 「うわっ!!! コルさんが敬語らしきものを使ったよ、アル!」

アル 「あー、聞いた、驚いたな・・・・・」

コルセットが他人に敬語を使うところを、5年以上の付き合いで初めて耳にした二人だった。

 

ニコライ 「そもそも、歳が二つしか違わねーのに師匠も弟子もねーだろ!」

コルセット 「年齢を気にするメカは、三流だっていつも言ってるじゃないですか」

 

姫子 「うわぁ、またよ! 傷が悪化しそう❤」

アル 「何だか、気持ち悪いな・・・・・」

息の合ったオチャラケでつっこむ二人、よほど違和感があるようだ。

 

ニコライ 「人の事を師匠って言ってる間は、そいつを絶対越えられないんだぞ!」

コルセット 「あんたは気づいてないだろうけどね、師匠を超えるメカは世界中探しても片手で足りるぐらいしかいませんって、ひょっとしたら一人もいないかもしれない」

ニコライ 「俺は、おまえの、そーゆうところが気にくわねぇーーー!!!」

コルセット 「なんと言われても、俺はあんたの弟子だー!!!」

頑固者二人は殴り合いの喧嘩を始めた。

 

かなたとメギはオロオロしている。

 

アル 「いいんだよ、やらせておけば、そのうち飽きるだろ♪」

姫子 「それにね、何だか二人とも楽しそうだもん♪」

 

大の大人、それも現役の凄腕と元凄腕ハンターの本気の殴り合いを、楽しそうだと言って微笑みながら見守る二人。

だが、マスターはこちらを気にも留めない、彼らが飲みに来るときにはいつものことだった。

 

盛大な喧騒を気にせず、アルが真顔で姫子の顔に詰め寄った。

 

アル 「姫子さん、無茶しすぎです、 かなたじゃないけど、アレは無謀すぎだよ」

姫子 「だってさ、いざとなったらアルが助けてくれるってわかってたもん♪」

姫子は、満身創痍の屍の山でアルに向けたのと同じ笑顔をうかべていた。

 

アル 「バカ野郎、話をはぐらかすんじゃないの、まじめに言ってるんだぞ」

姫子・赤面 「姫子さんは本気だぞ! アルが全力を尽くしてくれるんだから、アルのために死ぬのもかまわないの!」

アル 「いいや、これは命令! 兄として言うぞ、今後は危険はみんなで平等に負うこと!」

アル 「兄として、妹だけが危険を引き受けるのはやっぱり見逃せねー!」

 

コルセットに言われたことを自分なりの言葉にして姫子に語った。

自分に通じた言葉が姫子に通じないわけがない!・・・・・

 

姫子 「あたしは妹なの?」

アル・自身満々 「あー、大切な仲間(いもうと)だ!!!」

姫子 「バカァァァァァァ!!!!!」

 

アル 「・・・・・、えっ?バカ???、何でそうなるんだぁー!」

姫子 「知らない、 バーカ!」

アル 「ぐぬぬぬ、なんだとー!!!!!」

 

メギ&ニコラ&コルセット 「・・・・・(確かに大バカだ)」

喧嘩の手を止めて、三人は思った。

 

かなただけが、ポカーンとしていた。

 

----------

 

アルコールも進み、みんなほろ酔い気分。

 

半分ミイラのコルセットは、席を離れ、気に入った女性を口説いていた。

メカニック仕様に仕立てられた義手の、冗談のような二指のクローをパカパカしたり、その間のトーチ機能で火を吹いて見せたり。

コルセットの周りの女性は大爆笑。

それをワナワナしながら爆発しそうなメギ。

 

コルセット 「見てみ、このクロー」

コルセット 「こんな指じゃ実際整備なんて出来ないってのよ!」

お姉さんA 「じゃー、何でそんなのつけてるのよ~」

コルセット 「だってよ・・・・・、だって、おねーちゃんにウケルんだもんよぉ~❤、ハハハハハッ」

そう言って、冗談のようなクローは冗談のように回転を始めた。

 

お姉さんB 「やだ~、なにそれ~」

お姉さんC 「キャハハハハッ、変なのぉ~」

メギ 「・・・・・(ワナワナ)」

コルセットはエロエロだった。

 

 

酔っ払った姫子も、アルを誘って からかっていた。

 

姫子 「お兄さ~ん、あたしと遊びましょうかぁ~❤」

だが、ミイラの体では、色っぽさがいまいちだった。

 

アル 「いいよ~、だけど先に体を治してからね~❤ お兄さんはホント心配したんだからね」

姫子 「キャハハハハハ、アルはいっつもアルだね~♪」

 かなた 「姫子さん、ちょっと飲みすぎですよ」

そんなに酒豪ではないのだが、姫子はかなりのペースで飲んでいた。

退院したとはいえ、完治したわけではないのに。

 

姫子 「かなた! アルが遊んでくれないからね、姫子さんと遊ぼっか♪」

 かなた 「えっ、何、ちょ、ちょっと!」

半ば強引に姫子は、かなたを酒場の外に連れ出した。

 

ニコラはすでに潰れている。

アルは、みんなでバカ騒ぎが出来る幸福を感じながら、まだ、完全にふっ切れたわけではないが、それでも、ほろ酔い気分に浸っていられた。

アル 「ありがとな、みんな❤」

 

 

----------

   ちなみに今回の落ちは・・・・・、

 

メギ 「うがぁぁぁぁぁ、もうかんべんならんんん!!!!!」

 

メカニック用の義手をエロエロに使ってたのを見たため、幻想コルセット像が崩壊したメギ。

心の中で、激しい爆音が鳴り響いている。

ブチ切れて、大魔神化したメギが暴れだした。

 

メギ 「ちょっとぉぉぉー、コルセットォォォー!!!」

コルセット 「なんだい、メギちゃ・・、ぐふぁぁぁぁ!!!」

ボディーブローで、一発KO。

 

お姉さん達 「ちょっと、何なの、なんなのよこの子!!!」

メギ 「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

お姉さん達 「きゃぁぁぁぁぁ、いやぁぁぁぁぁ」

彼女達は店から逃げ出した。

 

アル 「ハハハッ、まるでちびっ子バスタークイーンだな、ハハハッ」

メギ 「アルの大バカがー!!!」

アル 「え、何で? なんでな・・ぐふぅぅぅ!!!」

またも炸裂、殺人ボディーブロー。

 

大男に、次々と一発KOを決めていくメギ。

店内は戦々恐々としてきた。

倒されていくのは、かの有名なアイアンギャングの面々だ。

客はパニックになり全員逃げ出した。

 

マスター 「お譲ちゃん、流石にやりすぎ・・どわぁぁぁぁ!!!」

いつもクールなマスターが叫んだ。

当然、瞬殺、KO。

 

 

漢達の屍が転がる小さな酒場で、拳を挙げ、勝ち名乗りを上げるメギだった。

だが、その表情は、憂いに満ちていた。

 

メギ 「男って、ホントバカ・・・・・」

 




----------エピローグチックな雑談----------

姫子 「ねー、少年」
かなた 「なんですか、姫子さん」
姫子 「あたしね、もう、戦えないんだって・・・・・」
姫子は顔を上げたまま泣いていた。

姫子 「自分でもね、いつかはこうなる事がわかってたんだ、無茶ばかりしてきたもんね♪」
 かなた 「・・・・・、え?」
姫子 「後悔はしてないんだけどね、だけどね・・・・・」
 かなた 「・・・・・」
姫子 「・・・・・」
 かなた 「・・・・・、大丈夫ですよ、3人は仲間ですもんね♪」

姫子 「アルはね、優しすぎるのよ、だから余計にね・・・・・」
姫子は泣きながら素敵な笑顔をかなたに向けていた。

 かなた 「俺は、そんなアルだから大好きですよ」
姫子 「そうなんだよね、だからお荷物になるのはい・・」
 かなた 「そんな、優しい姫子さんのことも大好きですよ!!!」
姫子 「・・・・・」
 かなた 「みんな、必死で姫子さん達を助けたんですよ! なのに、バッドエンドなんて辛すぎますよ!」
姫子 「でもね・・・・・」
 かなた 「いいや、俺は絶対認めない!」
 かなた 「勝手にチームを抜けることも、引退することも!!!」
姫子 「・・・・・」
 かなた 「もし黙って消えたりしたら、どんなことをしても探しに行きます! 覚悟してくださいよ!!!」

あまり似合わないまじめな顔で、柄にもなく姫子を叱っていた。

姫子 「・・・・・」
姫子 「また、メギちゃんに怒られるよ~❤」
 かなた 「姫子さん!!!」
姫子 「ごめん、 だけど、わかりました」
姫子 「こんなにしつこいストーカーはゴメンですもの♪」
 かなた 「約束ですからね!」
姫子 「ハイハイ、まさか、仲間(おとうと)に説教されるとはね、この凄腕姫子さんが♪」
 かなた 「えっ、仲間、俺が?」
姫子 「そうだよ、大切な仲間(おとうと)だ」

 かなた・赤面 「え、えと、・・・ありがと・お・・・」

何だか無性に照れくさかった。

 かなた 「・・・・・、俺ね、あの、あのね」
 かなた 「仲間ってどんなのだろう?アルや姫子さんみたいな人が仲間だったらいいな♪ って旅に出たんだ、姫子さんに憧れて」
姫子 「うん」
 かなた 「そしたらね、メギが仲間になって、最初はね、正直嫌いだったけど、今は、楽しくてしょうがないんだ!」
姫子 「うん、わかるよ」
 かなた 「姫子さんも仲間?」
姫子 「そう、アルも、コルさんも、たぶん同じ気持ちだよ♪」
 かなた 「・・・・・」
 かなた 「ヘヘヘ・・・」
 かなた 「エヘヘヘヘ、凄い嬉しい❤」

姫子 「かなた」
 かなた 「は、はい!!!」
姫子 「これからもよろしくね❤」
 かなた 「はい、よろしくおねがいします!!!」
姫子 「アハハハハッ、硬いわね~」
 かなた 「ヘヘヘッ、よろしくね、姫子さん」

コルセットが兄とゆうように。
アルが妹とゆうように。
姫子にも弟ができた。

人間関係のあいまいなこの世界で、家族のつながりは大きいものだった。
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