科学で魔法を始めよう 作:ロイ
C.E74
DSSDを攻略されたプラントは窮地に陥る。攻略戦の映像を偶然に見たラクスはネオ・オーブ軍に対する認識を改め、戦略を変えた。この偶然は世界に大いなる厄災を齎す事となる。
一方、ソロモンを発進させたロイは奇妙な情報を手に入れた。
SIDE ロイ
プラントが打って出ただと?しかも全戦力の50%だけ?
何を考えている。戦力を分散して勝てるとでも考えたか?流石にそれは……あり得ないと言い切れ無いな。核パルスエンジン付きの残骸も使っていない。比較的現実的なのは隠し持った戦略兵器を準備しているとか、だがそれでは全軍を差し向けるべきだが。
駄目だ、私ではバカの考えは分からない。急な戦略変化はピンクの独断しか無いが、何があいつを変えたんだ?
SIDE OUT
流石のロイも偶然は読み切れなかった。
L2とL5の丁度真ん中辺りでZAFT軍とソロモン軍が衝突した。ZAFTは一目で分かるように時間稼ぎをしている。
ロイはこの行動で戦略兵器を隠し持っていると考え、いざという時の為にネオ・オーブコロニーとソロモンの両方のボソンジャンプの準備をする。しかし、ロイの考えは外れた。
アーモリーコロニー群の残骸が地球に向かって動き始めたのだ。ZAFTの残りの全戦力はそれの護衛だった。ある意味ではこれも戦略兵器だが。
SIDE ロイ
くくくくくっ、ははははははっ、っ巫山戯んなっ!!
どいつもこいつも、地球壊すことしか考えないか!この世界は呪われてるのか?パトリックも、アズラエルも、ラクスも、カガリも、原作メインキャラは破壊しか考えてないなんぞ笑えすぎるだろ。それとも神が呪ったか?
あ〜やる気が全然起きない。それでもやらない訳には行かないんだよな。はあ。
SIDE OUT
やる気が無くなったのでロイはボソンジャンプでDX三機を転送し、瞬時に残骸と艦隊を消滅させた(エターナルは居なかった)。DXを回収し、ソロモンと戦闘していたZAFT軍も敗退した時、ロイは本国から嫌な知らせを受けた。
ちなみにラクスの作戦:地球がピンチ---->戦争どころじゃなくなる---->プラント存命。ツッコミはいりません。
SIDE ロイ
予想外だったな、あの二人が影響を受けるとは。大人数の同時死亡をニュータイプの能力が感じ取ったと言う訳か。ニュータイプ達の成長が早過ぎる。これは不味いな、もしコロニーでも崩壊したら死ぬんじゃないか?
戦争は一時中止だ。戦略を変えないと駄目だろう。プラントは既に戦力と呼べる位の力はないので、このまま帰っても問題はないだろう。経済使って封鎖でもすれば終わりかな?
SIDE OUT
観測された民間のニュータイプにも戦闘時に頭痛を訴える者が多数発生した。この由々しき事態に帰ったロイは国家重要人物と緊急会議を開く。
「ニュータイプ達の精神が攻撃?されている、何か対処法は無いか?」
大統領が早速始める。
「隔離するしかなかろう」
「今後戦争が起こる度に隔離するのか?」
「2万人程度なら問題ないと思うが?」
「今後はどんどん増える、根本的な対策が必要だ」
「いっそ我らが世界を管理するとか?」
「難しすぎるし、かかる金と労力も大き過ぎる」
「くっ、厄介な者だな、ニュータイプは」
「いや、ニュータイプなら武力による争いを終結させることが出来ると思わないか?」
「……それは」
「我々が相談しているのは対処法だ。他は後にしてくれ」
大統領が注意する。
「距離を置けばいいと思います」
ロイが発言する。
「!国を移動させるのか!?」
「ええ、根本的な解決方法はこれしかありません」
実際は精神を鍛えれば耐えられるが子供や赤ん坊は下手すると精神が崩壊するだろう。
「しかし、何処へ、どれくらい遠くへ行くんだ?」
「遠すぎると貿易に支障が出る」
「そこんとこどうなんだロイ?」
「実はウチでワープ技術を実用化しました。コストが膨大すぎるので頻繁には使えませんが(うそ)、一度だけ全コロニーを転移させるエネルギーを確保しています。距離は問題ありません」
ロイとコトー以外の全員が頭を抱えた。「この青狸が!」「内部調査はどうなってんの?」「\(^▽^@)ノ アハハ」とかをロイは全部スルーした。最後の方は病院へ直行しました。
「私はこの際、他次元に行くべきだと考えます、少なくとも戦争が完全に沈静化するまでは」
これには全員引き攣った。
「それは駄目だろう」
「地球から離れる必要はあるが、他国との交流も必要だ」
「と言うか出来るのか?」
「ソロモンでの実験をしました(うそ)。問題はないかと」
「何時そんな事やったんだ?」
「ネオ・オーブ建国前です。なんせ核兵器の自由転送さえ可能ですから、バレたら袋叩きですよ。とにかく安全性は保証します」
「うーむ、だが流石にそれは……」
「このままでは連合やプラントが外宇宙に進出するたびに我々はそのまま外に押し出されることになる。それは不愉快でしょう」
「だが地球を離れすぎる事に耐えられない人も居るだろう」
「エネルギーチャージはたった三ヶ月で完了します。つまり転移三ヶ月後には何時でも帰れる状態になるんです」
「……」
「……」
「この問題は後日また討論しよう、今はまずニュータイプ達の治療だ。それと大規模戦闘が起こる前に彼らを隔離する。脳波遮断施設の建設を急げ」
会議はそのまま終わった。
しかし、後日の会議は必要無くなった。プラントがまた隕石を掻き集めて核パルスエンジンを付け始めた事と連合が核ミサイル優先生産の情報でネオ・オーブの政治家達は神を呪った。これではどちらが勝ってもニュータイプの精神は崩壊する。もうこんな世界はこりごりなので彼らはロイの意見に賛成せざるを得なかった。
深宇宙での資源状況、輸送コストなどを考えれば他次元の地球の側に居るのが一番安心出来る。一応、自給自足はできるが非常事態に備えて資源が豊富な星が必要である。
国家転移プロジェクトの宣言と共にプラントの隕石落とし、連合の核配備、ニュータイプの現状、転移の帰還可能などを丁寧に説明したら、大多数の国民は理解した。元々開拓精神が旺盛な人達なので帰れると聞いてあっさり受け入れた。少数の離れたくない人は旧オーブ市に移ることになる。
それからはのネオ・オーブは忙しい日々だった。それはもうプラントと停戦する時間も惜しいくらいだ。国内の改造が一番手間がかかった。後は物資の溜め込みが主な内容だ。最低でも何も無い空間で3ヶ月使える資源が必要だ。
連合には邪魔するなと言っておいてアークエンジェルクルーを送還した。イザーク、ディアッカ、シホはプラントと停戦していないので捕虜のまま。
プラントの隕石は連合の全力核攻撃に防がれたが、連合は宇宙拠点を全て失ったので侵攻はまだ無理、ZAFTはキラとハイネの二人のおかげで回復の時間を得る。更に二人が拠点建設の妨害をするので連合の攻勢は遅い。
ロイは転移直後の攻撃を防ぐために、最凶のシステムを創り上げる。転移直後の位置が高速隕石の軌道上とかだったら笑うしか無い。
CPS(クロスゲート・パラダイム・システム)、別名時空因果律変動装置。限定空間の因果律を操り、内部世界を自由に構築する装置、つまり限定空間内では何でもできる。ロイは基本的に他人の意思を尊重するのでこれで大それたことをするわけではない。限定空間の最大範囲をネオ・オーブコロニーを囲える程にして通常時は自身の周囲でロイ自動的に害なす物を排除する。ついでにロイ特製PDAの機能も盛り込み、ボソンジャンプ演算装置への直接アクセスさえも可能にした。これでCCも要らなくなった。更に通信方法をボソンジャンプを利用した方法に変え、ボソン通信と呼ぶ事にした。CPSは極めて小さいチップなのでロイは脳内に埋め込んだ。
同時にロイは低機能CPSも作り、コトー、ミナ、ギナ、ステラに埋め込んだ(了承済み)。これらは通信、単体ボソンジャンプ、因果律による自動防衛の機能しかない、それでも明らかに充分だけど。
マリアは「私はあなたの妻です!」と言ってスカンジナビアよりもロイを選んだ。感動したロイであった。実はまだ結婚していないとか突っ込んじゃいけない。同時にマユとメイリンが役に立ちたい一心で猛勉強し始めた。マユは経済関連、メイリンは諜報関連だ。ロイが暇の時に教えてるので上達が超速い。
C.E 76
連合とプラントはまだ決着が着かないでいた。両方共ボロボロだが言い換えれば踏ん張ったほうが勝ちだ。取り敢えず旧オーブ市がこの世界でネオ・オーブを名乗ることに成り、PUは今後長い間世界での主導権を握るだろう。
連合は食糧支援を欲してネオ・オーブを引き止めようと努力するが、交換条件にプラント制圧とクライン派の消滅を要求された。
すごく無理だ。あらゆる観点からプラント殲滅は不可能、ラクス・クラインが戦艦で出てこなければ捕まえるのも不可能。このままプラントを倒して勝利する事は可能だが、不満を持つクライン派は本格的にテロ活動を開始すると思われる。プラントでの支持率を考えると核兵器さえ手に入れる事が可能だろう、これでL2コロニーへ攻撃でもされたら最悪だ。
総力戦の場合、士気を高めるためにラクス・クラインがエターナルで出てくる可能性は有るが、明らかに勝てない状況で出てくる事は無いだろう。
連合は2年を使ってもプラントを攻略出来ず、状況は泥沼に泥沼を重ね、グダグダと混乱も足してネオ・オーブは介入を諦めた。
ネオ・オーブコロニーはアルミューレ・リュミエールを展開し、ソーラーシステムをコロニーの間に設置する。更にロイがCPSをフルドライブしし、施設を守る。
準備は完了。実際には行き先を指定できるのだがここは未知の方が面白いと思ってランダムにした。一応他の星やコロニー至近には出ないようにしている。
同日、成立から4年の世界最強勢力がこの世から消えた。