科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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オール・ハイル・ゲルマニア

ロイに生身の戦闘経験は無い。一流の戦士なら歩き方を見るだけでそれが分かる。一流を超えたカリンが分かるのは当然だった。

「貴様は私をバカにしているのか?」

女にあるまじき声で聞くがロイは涼しい顔でスルーする。絶対安全なので怖くない。

「何か喋ったらどうだ?」

ロイはこの戦いで声を出すつもりはない。

「……」

二人は同時に杖を構え。カリンが走り出す、同時に詠唱。ロイも適当に口を動かして詠唱してる風に見せかける。

 

カリンが先にカッタートルネードを放つがロイが掻き消す。見た事が無い魔法にカリンが足を止める。

 

「何ですかその魔法は?」

冷静だ。しかしロイは答えない。ロイはそのまま百以上のファイヤーボールを作り出し、一斉射撃。場外の者達の顔が引き攣った。正に炎弾で前が見えない状況だ。

「くっ!」

躱してる間に更に大量の氷の矢を作り出し、またまた一斉射撃。次は雷、更に次は土、そのまま火に戻ってループ。全員が「コイツの精神力どうなってんだ?」的な顔だがカリンは必死だ。そもそもロイは身体能力以外ならチートだ。ならば体を動かさない戦い方をすればいい。接近戦を挑もうとするカリンにロイはとにかく高く飛んだ。

 

空を飛びながらプラズマ弾、ウォーターカッター、雷獣を放つロイに全員が驚愕するがカリンにはゆっくり驚いてる時間もない。なお、多数の魔法を同時に行使する技術はここで初めて確認された。

 

カリンも飛び、杖で殴ろうとするが移動速度ではロイの方が速い。しかし、フライでウォーターカッターを避けるカリンはチートだね。

 

「ならば!」

 

 

と、カリンは地上に降り、有りっ丈の精神力でカッタートルネードを使う。観戦してる人が全部吹っ飛びました。ルイズの熱くなると周りが見えなくなる性格はやはり血だ。しかしロイの周りにだけ風が起きなかった。精神力を使い果たしたカリンが倒れ、ロイが土の槍を首に突きつけた状態で止める。

 

 

空に居る者と地に居る者、立つ者と倒れた物。今のロイは金ピカ王並の威厳があった。戦い方も似たようなもんだし。

 

 

トリステイン貴族風に考えればロイの正々堂々とした勝利だった。逆に接近戦を挑もうとしたカリンの方が責められる。まあ、ここにはそう考える人は居ないが。

 

ボロボロの公爵が慌ててカリンへ向かって走っていく。ロイは紳士的に杖を下ろす。颯爽と去ろうとしたロイにに突然ネオ・オーブから連絡が入いった。

 

ロイはツェルプストー伯に名前を隠しての宣伝を頼み。直接ネオ・オーブのサハク邸へ戻る。

 

 

 

「めんどくさい事になった」

コトーは開口一番これである。

「国民の不安ですか?それともサハクへの不信ですか?」

「両方だ。もっとも、後ろの方は極僅かだがほっといていい事ではないだろう」

「ワープの独占がいけなかったか」

「そうだが、いずれこうなる事は分かっていただろう?」

「じゃこれ」

ロイが手元に転送した書類を渡す。

「これは」

「フォールド技術と擬似GNドライブの資料だ。これで刺激を与えればいいだろう」

「だがサハク財閥が技術の独占をする事に違いはない」

「スカンジナビア財閥を使えばいい。それともう少し競争を何とかしないと」

「とは言っても、任せられる人間いるのか?」

「ロゴスメンバーの四人を使う」

「裏切るだろ」

「いや、軍備を持たせなければいい。裏切ってもネオ・オーブがその世界から転移すれば関係なくなる」

「アイツらは手強いぞ」

「もう歳だろ、立ち上げただけで引退だ」

「そうだったな。じゃあ書類がたまってるから減らしてこい」

「おー」

 

 

 

SIDE ロイ

 

 

さて、一つ目。

コトー・サハクを国民の精神の支えにする提案。大統領の上に継承可能な名誉職を作り、コトー・サハクをそこに置く。でもさぁ、これって俗に言う王じゃないか?まあ、名誉職なら問題ないか。

 

 

では次。

『アイドルのミーア・キャンベルが引退!?』ってゴシップの切り抜きじゃないか。遂にユウナと結婚するのか。ウナト喜びそうだな。なにか送るか?ベビーグッズは早過ぎるから、二人乗りの車でも贈ろう、特製核エンジンの。

 

 

はい次。

仕事が無い外務部の存続が決定、引き続きハルケギニアを対象としての外交を準備する(言語の習得も含む)。当然だな。なお、特例としてアイリーン・カナーバとウナト・エマ・セイランの外交官申請を受理する。公式チート入りました〜ってすごいなコレ。ネオ・オーブからの外交も考えてみるか。

 

次。

兵器開発の方向か。基礎を重点的に研究して、魔法技術との融合も課題に入れよう。後は、擬似GMドライブ用の量産機だな。

 

 

次。

アズラエル財閥のロボットがそろそろ駄目か。こいつらも重労働だったからな、纏めて変える必要がある。う〜ん、自分で作るか。私が設計して、ソロモンで作らせる。アンドロイドとガイノイドでいいな、人間の外見データはソロモンにネオ・オーブから適当に取らせよう。

 

 

次。

魔法研究のレポート。魔力切れのマジックアイテムへ風石を使ってチャージする事に成功。やるな、研究速いぞ。まだ一年半だぞ。マッド達のお陰なんだが、魔法でマッドが倍増したりとかは無いよな?

 

SIDE OUT

 

書類整理を終えたロイは王宮へ戻る。噂の広まりは早かった。裏でツェルプストー伯がすごく頑張ったようだ。正々堂々?とかの烈風のカリンに勝利したのはゲルマニアの評価を高めた。しかし、名前を出していないので誰だか分からない。マリアは彼が自分に仕える者で後日合わせると言った。(カリンの)プライドが高いせいか、トリスティン側は否定しない。それらが貴族たちに安心感を与える。

 

 

後日、集まった貴族たちの前に仮面を付けた男が女王と共に現れる。

「彼がかの烈風のカリンを倒した者で私の騎士である」

若干うっとりしてるがちゃんと仕事はする。

「呼び名はナイトオブワン。そして私は彼をトップとした“円卓の騎士”を結成する!全ハルケギニアへ宣伝せよ!力で爵位を、領土を勝ち取れ!」

 

 

“円卓の騎士”、女王のみに仕える11人の騎士の選定はすぐさまにハルケギニアに伝わった。

 

 

ナイトオブワンと女王マリアの活躍により、ゲルマニアが一躍して魔法先進国と呼ばれる。特にナイトオブワン、多数の未知の魔法を使う彼が異端と見られないのは耳が普通なのと杖を使う以外でも許可された枢機卿がディテクトマジックを使ったのが主な原因だ。

 




プラズマ弾:FFかロックマンから想像してください。
雷獣:エネルのあれです。
ウォーターカッター:細い水柱を発射する。

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