科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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まだ準備段階

転移後、最初に観測できたのは地球の直ぐ隣で回る星が二つ有る事だった。

 

心当たりがあり過ぎるロイは直ぐに観測機を発射し地球を見た。見事に文明を発見し、ネオ・オーブは大規模な観測を始める。同時に付近での資源衛星の捜索も始まる。

 

二週間後、大統領が会議を開く。

 

「では、諜報部の報告を頼む」

「はい。まずこの世界の大陸の形は我らの地球とかなり違います。ぶっちゃけ地球と呼びたくありません。そして文明ですが、こちらの地図を御覧ください。西ヨーロッパと少し似てる場所が中世レベル、半島と内陸を遮断した砂漠があり、建物だけを見れば約700年進んでいます。さらに東には砂漠の技術を追従したと思われる国がありました。ここ以外の場所は我らの地球と地形の差異が大きすぎてまだ命名さえしてませんが、総じて文明がありませんでした」

「……どうやったらこう発展するんだ?で、他には何か有るか?」

「あ〜、その、何というか。西ヨーロッパととなりの砂漠で、その〜、杖から炎とか水とか…」

「はっきり言ってくれてもいい」

「え〜、物語でよく見る魔法的な現象が確認されました。ついでに浮遊大陸も」

「……」

「……」

「……」

「何か反応が欲しいのですが」

「こほん。科学のオーバーテクノロジーかファンタジーかは判別できるか?」

「杖は生えてる木から造られてる事と、熱源がない事からファンタジータイプだと思われます」

「不気味すぎるな」

ここでロイが初めて発言する。

「私はその魔法の技術を取り込んでから転移すべきだと考えます」

低い技術力しか持たない此処でなら簡単に魔法を導入できる。目指すは才能に頼らない魔法技術。

「確かにそれには興味あるが、此処は不気味すぎる。地上ではどんな危険があるか分からない」

「限定人数を派遣すれば宜しいかと、勿論私も行きます」

「そこまでする必要が有るのか?」

「この様子だと将来行く世界に魔法がある可能性がある、先に対抗手段を研究するべきです。それに此処の科学技術は遅れているので我らの脅威になりえません」

「むう」

「経済も大事ですが、今後のことも考えれば魔法技術は必要です」

「成程…」

「この程度に未知を恐れてはネオ・オーブの繁栄は夢のまた夢です」

「確かに」

「何よりも面白い」

ロイは自分の考えが認められたと見て微笑んだ。

 

ネオ・オーブは魔法技術の研究を決定する。そして責任者にロイ・サハクを据えた。

 

 

 

ゼロ魔の世界だと分かったロイは、まず月開発を始める。同時に相転移エンジンで駆動し、フロートシステムで浮かぶ空中拠点の建造を開始する(大きさはアルビオンと同じくらい)。ロイがソロモンで作り、錬金術も使うのでだいたい二ヶ月で出来るだろう。本国では上に載せる物の準備をしている。この拠点には軍事基地を置き、輸送中間地点と観光地の役割も持つ。地上は色々危険なのでハルケギニアへの旅行は許可されない。

 

 

 

実力、時間、地位などを考えて、今回、直接地上に降りるのはロイ、ステラ、ギナ、マユ、メイリン、マリアの六人に決まった。後の三人はロイの教育によってそれぞれ経済、諜報、政治で屈指の実力を得た。ロイ以外の五人はロイに渡された資料でハルケギニアの言葉の勉強している。何故こんな物が有るかは聞いてはいけない。

 

ロイ以外にとって魔法は完全に未知なる物なので自分での警戒はほぼ不可能。それに未知のウイルスとかも怖いのでロイはマユ、メイリン、マリアにも低機能CPSを埋め込む、もちろん同意は得ている。

 

更なる詳細な観察結果により、ハルケギニアの様々な詳細な情報が集まる。ロイは全部知っているが。国境線、各国の政治体制、風習などの情報が次々に手に入る。

 

総合的に考えて、ロイは目的地をゲルマニアにする。ゲルマニアはどうやら先代皇帝が亡くなったばかりで色々と不安定だ。ロイはこの中に突っ込んで介入の糸口にする。

 

製造中の浮遊大陸はメタルベースと名づけられた。ロイは派遣戦力に色々注文を付ける。

 

コスト減少のため、持っていく戦力はフラッグとヒルドルブにする。円形のメタルベースの四方に使わなくなったヨルムンガンドを大気圏内用に改造して配置する。最後にNジャマー、ミノフスキー粒子、GN粒子などが無いので誘導ミサイルの配備だ。そのまま世界というかハルケギニア征服できる戦力だが目的は飽くまでも効率的に魔法技術を手に入れることだ。征服しても利益は無い。

 

遠海での資源探索基地の建設準備もある。魔法がある世界では未知の資源も期待できるだろう。

 

この世界で宇宙開発し過ぎたせいでネオ・オーブではダイヤモンド、宝石、などの値段が崩壊している、しかしハルケギニアでは違う。故に大量のダイヤモンドと宝石が資金源になった。二つの月の色が宝石の色だったとは、流石のロイもその目で見るまで信じられなかった。

 

貴族という身分は色々便利なので。貴族っぽい衣装を六人分作る。ついでに豪華すぎる杖を六本、それぞれに配り、ラムダ・ドライバを使って魔法に見せかける練習もする。

 

二ヶ月で一つの言語を覚えるなどあり得ないがそこはチート、ロイ・サハクの教授で可能になった。

 

なお、クロスゲート・パラダイム・システムだが。これを使えば欲しい物は直ぐに手に入る。しかしそれでは他の人に怪しまれるし、自分や周りのためにもならない。ロイは本当の緊急時以外では使わないつもりだ。

 

なんだかんだで忙しい二ヶ月が過ぎ、メタルベースの投入とロイ達の行動が始まる。

 

 


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