科学で魔法を始めよう 作:ロイ
SIDE ワルド
これでは意味が無いではないか!
レコン・キスタの盟主は虚無使いを自称している。そこにもう一人連れていくのは危険だ。虚無の権威を独り占めにするために殺されるだろう。だからルイズがそれなのは隠す必要がある。だがウェールズの暗殺を失敗してしまった以上、何かしら信頼される手柄を立てる必要がある。でなければ一兵士として終わってしまう。
それでは聖地の秘密など教えてくれないだろうな。
今は、トリステインに残り、チャンスを待つしか無い。目に見える大功績を上げれば私も上層部に入れるだろう。頼むから普通に快進撃だけは勘弁してくれよ。私のチャンスが無くなる。
SIDE OUT
ハヴィランド宮殿の宝物庫は予想と違い、簡単に突破されてしまった。そして保管されたお宝は前線の兵士に奪われ、探すのは困難を極めるだろう。これに一番唖然としたのはミュズニトニルンである。
予想では宝物庫の強度は高く、後で大砲でぶっとばして始祖のオルゴールを手に入れるつもりだったんだが。本物であろう始祖のオルゴールはその他大勢のレプリカの中に混じってしまった。これらから探し出すか?無理。
アルビオンが落ち、トリステインは忙しくなるが、今更とある事実を気にし始める。ゲルマニアとの結びつきが弱くないか?当初は直ぐに結婚すると思われたが、二人共その気にならない。ゲルマニアが裏切る兆候は無いが、やはり心配である。王宮は早く結婚しろとラ・ヴァリエールへ催促するが、ここでラ・ヴァリエール公爵の我慢が限界に到達する。
これ以上娘を道具見たいに扱えない公爵は王宮の命令を拒否。悩むマザリーニはアンリエッタを動かす。アンリエッタは「ロイ・サハクを呼んできなさい」と命令を出そうとするが、マザリーニに止められる。これは大国の王配候補に対する扱い方ではない、思いっきり挑発だ。ロイは晩餐に招待することにする。
同じ頃、ロイは魔法学園で、何故かサイトに決闘を申し込まれていた。戦争になる可能性大なのでゲルマニア留学生の撤退プランなどをキュルケと話すために来たのだが、なんかこうなった。
事情はこうだ。シエスタがドジやらかしてロイのズボンを紅茶で汚す---->マントに付いた紋章を見てルイズがビビって気絶---->シエスタ真っ青---->とにかくサイトを呼ぶ---->状況的にロイが悪人に見える---->サイト「決闘だ!」
どうやらアルビオンの突破戦で自信が付いたらしい、決闘で貴族を叩きのめすのはそれの現れだ。平民に決闘を申し込まれては断ることなど出来ないロイが気軽に応じた。一瞬で風でぶっ飛ばしたが。
それにしてもルイズの運は悪すぎた。一応ベテランの筈のシエスタの失敗、自分の気絶、シエスタが慌てて説明しなかった事、シエスタがゲルマニア王族の紋章と彼らの逸話(デストロイの件)を知ってたこと、サイトがそれらを知らなかったこと、一つでも違えばこの決闘は起きなかった。
ゲルマニア王族に斬りかかったのは完全にアウトだ。例えそれが決闘であろうと。これは主人たるルイズの責任である。一応交渉の手札とする。今後使うかもしれない。今のラ・ヴァリエールから取れる物はない。時代的に金で解決してはダメだし。
タバサとイチャイチャしてるキュルケを見つけたときは気まずかったが、まあ、伝えることはちゃんと伝えた。疑問に思う行動もあるが、考えるだけ無駄だと分かってるキュルケは納得する。タバサとの関係は王族の皆は受け入れたと伝える。キュルケは大喜びしていたようだが、タバサはロイを見てなにか言いたそうにしていた。
そして、夜。晩餐に招待されたロイはアンリエッタ、マリアンヌ、そして何故か居るマザリーニと食事をする。
「なんとかそちらで結婚を押してくれませんか?」
とはアンリエッタの言葉だ。
「兄の意志を尊重します」
ロイは断る。
「私がここまで言っているのにですか?」
「え?」
ロイは本気で疑問に思う。ここまで?
「結婚が流れればゲルマニアのとっても不都合だろう?」
マザリーニがすかさずフォロー。
「特に不都合はありませんね」
「ラ.ヴァリエールは直系ではないが、始祖の末裔だ」
「教皇になるのを断った枢機卿に言われても説得力がありませんね」
「……」
マリアンヌは自分は関係ないと言わんばかりに何も言わない。
「でも、確かになにか進歩が欲しい処ですね」
今の処、二人の間に甘い雰囲気はない。やはり切欠が悪かったのだろう、普通に出会ったらまた違った結果になってたかも知れない。
「では?」
マザリーニが期待を持った声で聞く。
「ええ、少し押しておきましょう。ただし、そちらには少し譲歩して貰います」
「何を?」
来たかと考えたマザリーニ。
「いえ。ミス・カトレアを王族として扱い。結婚式のか格式を上げます。その際に妹のルイズには巫女になってもらって始祖の祈祷書を持って詔を詠む。これで公爵とカトレアも少しは積極的になるかと、そしてゲルマニアで周りの者も少しは積極的になるでしょう」
「何故妹のミス・ルイズを?」
「遠まわしの催促です」
「なるほど……」
王家に忠誠で神聖視しているからこそこの手を思い付かなかったのだろう。マザリーニは感心しているが、アンリエッタは不快だ。そしてマリアンヌは相変わらず発言しない、しかし僅かに嫌悪感を表している。やはりこの親子ははゲルマニアが嫌いのようだ。
ルイズは始祖の祈祷書をゲット。姉のために一生懸命詔を考えるがやっぱり捗らない。こういったプレッシャーには弱いようだ。それに追従する形でキュルケ(ロイの指示)は噂を流す。「詔を詠むのを失敗すると家族とアンリエッタに失望されて、ゲルマニア同盟も終わり、トリステインが消える」と言う噂だ。デタラメ過ぎて信じる者は居ない、極度に緊張しているルイズを除いて。
それを見かねたキュルケがルイズをタルブへ旅行に誘う、タルブの美味しいワインを飲みながらゆっくり考えさせるためだ。と言うのは表から見た感じだが、実際はロイがルイズをタルブに置いておきたいだけである。道中サイトがキュルケとタバサのイチャつきをガン見してたのをフレアに蹴飛ばされた以外、特に何も無かった。
そしてこれが物語への最後の修正だ。ゲルマニアでは艦隊の出撃準備が始まり、いやでも戦争が始まると分かる。メンド臭い準備が多すぎて嫌になりそうなロイだったがようやく収穫である。