科学で魔法を始めよう 作:ロイ
極簡単な調査しか出来なかったトリステイン軍は光の球も含めて全部ゲルマニアの攻撃だと勘違いしてしまった。盛大な勘違いはトリステインの使者に恐れを抱かせ、交渉を円滑にする。同じ頃、ルイズは無くした祈祷書を探していたので自分の手柄が横取りされてるのを知らない。あの状況ではエクスプローションと言う魔法の性質(火の球が発射されるのではなく現れる)のせいで誰が使ったかを確認でき無い。可能性としてゲルマニア王族のギナが一番高いだけだ。
結果、フネとドラゴンは持って行くから捕虜はトリステインに任せる事になる。ぶっちゃけ捕虜の管理がメンド臭かっただけである。貴族の捕虜は交換などにも使えるが、負けるつもりがないので要らない。それにトリステインのも何か譲歩しないと五月蝿いバカが増える。
3000人以上の捕虜を無傷で手に入れた事をトリステインは内容を8割くらい誇張し、勝利として大々的に宣伝する。そして軍を率いて出撃したアンリエッタは女王として即位する。
呆れて物も言えないゲルマニア。まあ、必要性は分かるが、後で事実が広まれば大変だ。誇張されすぎて、ゲルマニアはただ付いてきただけと言う事になってしまったので、トリステイン貴族共がまた暴走を始めた。これが実を結ぶのはまだ時間がかかる。
ガリア、ロマリア、ゲルマニアでは経緯は正しく認識されている。戦争を知らないアンリエッタが敵より少ない数の軍で、歴戦のアルビオン軍を倒し、ゲルマニア軍がそれを後ろで見ていた。普通に信じられん。
SIDE マザリーニ
ヤヴァイ。マジヤヴァイ。
アンリエッタ様が即位するまでは良かった。その為にトリスティンとゲルマニアが合同で敵を倒したと噂を流したのに。いつの間にか独自で倒した事になっておった。
ゲルマニア側が何も言ってこないのは助かるが、うちの貴族の増長ぶりが恐ろしい。ヴァリエールも葛藤している。ゲルマニア王家の薬、それがあればミス・カトレアの病を治せるかも知れない。だがその為に好きでもない相手に嫁がせるのは本末転倒と言う訳か。
「ゲルマニアとの関係だけは拗らせてはならない」
一部貴族が婚姻の破棄を言っている。戦場にも行ってないボケどもが、しかもマリアンヌ様までこの噂を信じておる。どっかの貴族が煽ってるのか?
何とかできるのか?いや、何とかしないと駄目だ。
SIDE OUT
ルイズはあの光の球は自分の攻撃だと主張するが、王宮ではアンリエッタ以外、信じる者は殆ど居なかった。初めは隠すつもりだったのだが、ゲルマニアとの交渉結果を聞いて即座に申し出たのだ。駄目メイジがいきなり虚無の使い手に昇格するなど御伽噺のようなもので、少数の夢想家以外は信じていない。だがこれは逆にルイズに安全を齎す。
サイトはルイズがどっかで探してきたメイジ殺しとして勘違いされている。ギーシュの一件で実力は有るとされるが、果たして神の左手と呼ばれる程のものだろうか?流石に無いだろう。アルビオンでの活躍は知らないが、ドットメイジに辛勝というのはちょっと。
実はワルドが実力を知っているがあれは一応極秘任務です。そうおいそれと言い出せない。
SIDE マリアンヌ
流石私の娘ですね。
あのアルビオン艦隊を一網打尽にするとは。ゲルマニアは見てるだけだったですって?
やっぱりあの野蛮人達は信用ならないわ。
カトレアちゃんも可哀想に。でも今更同盟の必要が有るのかしら?
無いわね。これだけ譲歩したのにここまで役に立たないとは、アルビオン攻略が終わったら……
SIDE OUT
マザリーニが忙しくて目を離してしまったマリアンヌは一部貴族に乗せられて政治に手をだそうとする。トリスティンの最大の厄災は彼女かも知れない。
ロマリア
「ヴィットーリオ様」
「なんですか?ジュリオ」
「エルフの行動を聞いたところ、何故かゲルマニア商人への態度だけ険悪が少ないようです」
「……そのゲルマニア商人達を調べなさい。私の推測では彼らをまとめる者、それがネオ・オーブです」
「分かりました」
普通はこう考えるよね。
ガリア
「ジョゼフ様、トリスティンの虚無の使い手が覚醒しました」
「くくく、そうかそうか」
「しかし、トリスティン側は信じていないようです」
「む、それでは張り合いが無いではないか」
「それと始祖の祈祷書と水のルビーをすり替えられた可能性があります」
「どういう事だ?」
「指輪がそう簡単に落ちるとは思えません、誰かが使い手に気付かれずに外したと考えたほうが自然です」
「……可能性としてはゲルマニアか?」
「分かりません。復活したウェールズの証言で風のルビーだけはゲルマニアにあると分かりましたが、それ以上は確証がありません」
「確かゲルマニアはその前日にロイ・サハクが訪問したのだったな」
「はい、しかしジェームズ一世との会話内容までは知らないようです」
「成程。しかし、これでトリステインは早々に脱落か?」
「恐らくは、それとゲルマニアの行動ですが。明らかに虚無の攻撃を予測していたと思われます」
「だろうな。虚無の攻撃後、迅速の制圧。ゲルマニアに虚無の使い手があると勘違いしてもおかしく無いやり方だ」
「そして、トリスティンの虚無の使い手をあそこに配置したのは、ロイ・サハクだと思われます」
「……そうか」
「ジョゼフ様?」
「ゲルマニアを探れ」
「分かりました。しかし今まで派遣した密偵は誰一人帰ってきていません」
「もし、ゲルマニアが始祖の秘宝を集めてるとしたら、奴らは俺の考えも分かってると言う事になる。考えただけでもゾッとするな」
「はい」
「だが、この世界を地獄に変えるにはあいつらにも役に立ってもらう必要がある」
「ゲルマニアに宣戦しますか?」
「いや。トリステイン、ロマリアを吸収してからだ」
「分かりました」
「それと、あのエルフと交渉する」
「!危険です!」
「構わんよ。人間共よりは信用できる」
「なら、会うときは私に付かせてください」
「心配しすぎだ。まあ、いいだろう」
ジョゼフはそれが余りにも自然だったので気付かなかった。そう、自分が僅かだが恐怖を感じた事に。
トリステインはアルビオン攻略をゲルマニアに提案するも、ゲルマニアに断られた。ゲルマニアとしては補給線を伸ばしてまで攻略する理由がない。。これが両国の関係に更に罅を入れた。