科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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主人公やってるね

アンリエッタが攫われた。それはもうあっさりと簡単に、邪魔らしい邪魔もなく。ヒポグリフ隊?苦戦しませんでしたよ。こうやってアンリエッタ行方不明になる。

 

 

誘拐犯がウェールズに似ていると聞くと、マザリーニは憤死しそうになった。偽物(そう思ってる)に一国の王が騙されるとは、6000年の間でもこんな失態は無かった。これは公に捜索するのも叶わず、マザリーニは自身の力をフルに使ってアンリエッタを探す。そして王宮内で厳重な緘口令がしかれた。

 

 

グリフォン隊隊長のワルドは当然この事を知っており。レコン・キスタの仕業と当たりを付けていた。こちらも誘拐犯のウェールズが本物だと思っていない、だが正確にウェールズの容姿を再現するとなるとウェールズの遺体は必要だ。それは今、レコン・キスタに有る。しかし、この任務がワルドに知らされていないとなると、ワルドは信用されていないようである。

 

 

SIDE ワルド

 

流せる情報は全部流した。

 

今回の作戦がここまで順調だったのは私が与えた王宮の見取り図が役に立っているはずだ。

 

だが、作戦を知らされて無いとなると、信用されてるとは考えられない。

 

これではレコン・キスタの上に上がれない。ウェールズの暗殺。あれは千載一遇の機会だった。あれが成功していれば今頃私は……

 

それはともかく、レコン・キスタは直ぐにトリスティンを落とすだろう。そうなれば上がる機会は無くなる。今のうちに何か役に立たないと、使い捨てられる。

 

いや、待て。そうか、アンリエッタがあっちに居るんだ!状況から考えて、レコン・キスタの目的はトリステインの混乱と正当性の入手。ならばアンリエッタは丁重に扱われる筈。そして私は魔法衛士隊隊長、これだ!

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンリエッタが攫われた日の翌日、ワルドは魔法学院に来ていた。

「陛下が攫われた。私と一緒に陛下を助けに行こう!」

「分かったわ!」

こんな感じで、ルイズとサイトはホイホイ付いていく。気分は囚われたお姫様を助けに行く勇者一行だ。

 

だが、オスマンにも知らせてないので直ぐに失踪騒ぎになる。急ぎすぎだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ロイ

 

アンリエッタとルイズの失踪。

 

既にどうでもいい。トリステインを救う方法はまだあるが、それをこの国の貴族が実行できると思わない。マザリーニでも無理だろう。

 

時期を見てド・オルニエールの物をゲルマニアへ戻そう。

 

問題はギナだが、一向に進まないな。軍人一筋だからか。これは一度婚約を破棄したほうがいいかも知れない。

 

だが、トリステインは兎も角、マザリーニには恩を売っておきたい。それにトリステインとレコン・キスタにはお互いに消耗してくれなければな。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、アルビオンにて、ウェールズとアンリエッタが同時宣言。アルビオンとトリステインはレコン・キスタに従うと言う内容である。その後ろでは付き添うルイズ、サイト、ワルドの姿があった。ウェールズを本物だと思っているルイズは快くアンリエッタの恋愛を支持するそうだ。

 

 

 

 

 

 

マザリーニは泣いた。それはもう号泣である。ヤケクソ気味にマリアンヌの所へ怒鳴りに行ったら、マリアンヌが即位すると言い出した。現在マリアンヌの中で、トリステイン軍は陸上戦力だけでアルビオン艦隊を倒した猛者になっており、ゲルマニア軍は弱すぎて戦闘に介入できない弱虫となっていた。

 

 

そんな事を知らずに、マザリーニはとにかく即位の為に走り回った。これが遅れるとトリステインはそのままレコン・キスタに吸収される。彼が目を離した隙に、一部の頭の悪い保守派がマリアンヌと頻繁に接触している。これが後のトリステインの希望を潰す。

 

 

三日と言う異例の速さでマリアンヌは即位した。そしてラ・ヴァリエール公爵を含める7割の貴族が即座に同意するが、残りの3割はアンリエッタを支持していた。だが後日、これがどれだけ失敗だったかをマザリーニは思い知る。

 

 

 

 

 

 

 

ロマリア

 

「ヴィットーリオ様、商会のまとめ役を調べましたが、白でした」

「そうですか、ゲルマニアのそれについての対応は?」

「彼が財務卿のマユ・アスカに報告したところ、こちらも礼儀を持って接するべきだと返事を貰ったと言っております」

「普通ですね」

「ええ、普通です」

「それと今回はガリアの商人に対する態度も僅かですが、柔らかくなっているようでうす」

「ガリア?……“ネオ・オーブ”について、他に何かありますか?」

「そのガリア王ジョゼフがエルフとの結びつきを強化している模様です。リュティス周囲で大量の金属が消費され、エルフの技術を用いて新兵器を作っている可能性が有ります」

「確かにエルフも以前と比べて大量の金属を使うようになりました…しかし…」

「……」

「まさか、逆なのですか?」

「はい?」

「金属使用技術はガリアが開発したもので、それをジョゼフがエルフへ提供する。では見返りに何を?物資では無い、なら技術だろう。つまり、エルフとガリアの新兵器は両方の技術を合わせたものですか。ネオ・オーブはガリア王ジョゼフ、可能性は有りますね」

「かもしれません」

「これからはガリアを重点的に探ってください」

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリア

 

「なんかトリステインの虚無の使い手が自ら飛び込んできました」

「あ奴らは馬鹿か?」

「どうします?」

「放っておけ、興味がわかん」

「それでエルフの方は?」

「ビターシャルは部下になってくれるそうだ。ゲルマニアのあれに勝てるゴーレムを造らせている、お前も協力しろ」

「畏まりました」

 

 

 

 

 

 

 

ゲルマニア

 

「最近は暇ですね」

「マリア、お前に言いたい事がある」

「兄さん、最近怒りっぽいですよ」

「この“シナリオ”は何だ、全部ラノベのパクリだろうが!」

「大丈夫です!女性の観点からもOKだと思いましたから」

「空から落ちてくるとか、窓から突っ込むとか、ベランダの物干し竿に引っかかるとか、いきなり戦いに巻き込むとか、引かれたわ!」

「実行したんですか!?」

「おいぃぃぃぃぃ!」

「いえ、冗談です。しかし可笑しいですね、登場シーンは大体こんな感じでしたのに」

「我はむしろ曲がり角でぶつかったとかそういった控えめな方がいい」

「ならばこれです!」

「……なんだこの“シナリオ・パートツー”は?」

「今度は王道で行きましょう」

「今度こそ大丈夫だろうな?」

「もちろんです!さあ、まずはペガサスを捕まえてきましょう!」

ゲルマニアだけは凄く平和です。マリアは読む本を少し選んだほうがいいと思う。それを知ってて違和感なく実行するギナもあれだが。

 

 


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