科学で魔法を始めよう   作:ロイ

35 / 56
アルビオン攻略......ないな

プチトロワで。

「随分と小さい宮殿だな」

ロイが挑発する。

「面白い事が起こったからな」

ジョゼフは気にしない、その側でシェフィールドが待機していた。部屋の中は三人しか居ない。

「確かにあれは面白い事だった」

「で、だ。俺はゲルマニアと同盟を結びたい」

「何のために?」

「ロマリアが気にくわないんだろう?俺もあれを壊したい」

「それなら一人で出来るだろ。お前が欲しいのは地獄か?」

驚いたのはシェフィールド、ニヤリと笑ったのはジョゼフ。

「くくくく、成程、これが恐怖か。自分の心が読まれているのがこんなに心動くものだったとは、くくくく」

「(お前の心を知っているのは恐らくもう一人居るけどな。ん?実はそこまで凄くない?)」

「理由はどうでもいいだろ。結ぶか?」

「ああ、結ぼう。しかし、そちらが提案してきたんだ」

「当然、裏切らない保障を渡す」

で、シェフィールドが連れてきたのはイザベラ。

「ロンド・ギナ・サハクに嫁がせようと思っている」

「…………それはちょっと遠慮するよ」

「何故だ?トリステインなんかよりもよっぽどの良縁だろう?」

「(ギナにトドメを刺すつもりかコイツ?)あー、いや、色々あって兄は婚姻はしばらく考えたくないそうだ」

年齢的にアウトです。これが80歳くらいまで生きれば価値観も変わるだろうが、今はまだ常識範囲内の年齢だ。

「そうか?ならば欲しい物が有ったら言ってくれ。俺は思い付かん」

イザベラはほっとしている。

「では最近頑張って作ってるデカイ人形を貰いましょう」

「ほう?」

黒い会話は続き、イザベラは物凄く引いていた。だってブリミル壊すとか、エルフの技術使ってるだろとか常識を突破する内容が多すぎた。出るに出れないイザベラは一番気の毒である。

 

 

ちなみにヨルムンガンドは貰っていきました。エルフの技術で暴走する仕組みになってたが、ロイはそれを解除してネオ・オーブへ研究用に転送した。

 

 

トリステインの誰かさんの宣言で同盟は無くなり、順当にカトレアとの婚約も切れるだろう。さらにギナはもう一つの件で本国に呼び戻されているのでまだ知らないかも知れない。まあ、何とかなるでしょ。

 

 

トリステインは半端なく混乱している。あの宣言は半ば独断でやったような物だ。アンリエッタを支持する者の対応も始まってないのに、マリアンヌ派でまた内部闘争が起きる。そしてこれ幸いとレコン・キスタは少々無理をして艦隊を出撃させる。こんないい機会に打って出ない理由はないだろう。

 

 

ゲルマニアは同じくトリステインとの同盟を破棄、同時にガリアとの同盟を宣言する。ガリアもゲルマニアとの同盟を宣言。両国の者は喜び、トリステインは絶望する。ヴィットーリオはジョゼフの人柄から大人しく同盟を結ぶわけがないと分かっている、これは寧ろいずれゲルマニアとガリアが戦うと言う印だと思われる。

 

 

それは両方とも分かっていたことだ。ジョゼフは出し抜けるか試しただけ、ロイはガリアと仲がいいと一刻だけ見せつけるため。この同盟は何も変えなかった。ロイ、ジョゼフ、ヴィットーリオの三人にとって他の二人は倒すべき相手に変わらない。

 

 

なんと言うか、トリステインはもう崩壊するんじゃないかって位混乱している。その中、リッシュモンを筆頭にアンリエッタを支持する一派は南に軍を集結する。遅れてマリアンヌ派も軍を集めるが、数が足りない。1800VS4000と今はまだ大丈夫だが、レコン・キスタが降下すれば全く足りなくなる。

 

 

ゲルマニアが前回同盟を結んだのはロンド・ギナ・サハクの恋愛事情だと言われてるが、流石に二度目はないだろう。更にガリアが守ってくれる理由もないし、ロマリアは初めから諦めている。詰みだ。それでもマザリーニは平民の士官を多数取り入れるなど苦肉の策を実行するも、人数に変わりはないので目に見える変化はない。それでマザリーニはこの件でマリアンヌと貴族達から嫌われる。

 

 

ガリアでヨルムンガンドが次々と完成。どこに投入するか悩んでるらしい。

 

 

ロンド・ギナ・サハクが漸くゲルマニアに戻る。コトーがしっかり性格を確認した後、ギナに間違いは無いと判断した。そしてネオ・オーブでお見合いをセッティングするそうだ。時間はこの仕事が終わってからにそうだが。帰ってきたギナがカトレアとの婚約が流れた(一応は公式にではない)のを知ると落ち込んだ。三日ぐらい使い物にならなかった。新しい恋を見つければなんとかなるだろうと思ったロイである。

 

 

ロマリアはそのまま静観、介入するチャンスを待つ。

 

 

マリアンヌ派はアンリエッタ派への攻撃が紙一重で間に合わず、レコン・キスタ降下の援護を許してしまう。タルブとラ・ロシェールが即座に占拠される。これ以上の兵員が増えるのを防ぐためにマリアンヌ派は飛行戦力を以て全力で攻撃するもお互いのフネ、竜騎兵を消耗しただけに終わる。

 

 

ロイはラ・ヴァリエール公爵を通じて少しだけ安い武器を売っている。名目と言うか表向きの言い訳は未だ消えないギナの恋心の援護だが、実際はレコン・キスタとトリステインで消耗して欲しいだけである。ちなみにギナがまだカトレアの事を諦めた訳ではない。望みはほぼ無いと言ってもいいが、中々一途な男である。

 

 

そのまま三ヶ月。レコン・キスタの物資や兵員の輸送はマリアンヌ派のしつこい妨害で進行が遅い。それでも確実に兵と物資はラ・ロシェールに集まっている。そしてトリステイン魔法学院ではゲルマニアとガリアの留学生が撤退し、同時にトリステインの生徒たちも徴用される。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。