科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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協力(笑)

ロイは一足先に転移でトリステインに来ていた。同盟は消えたが、マザリーニとはまだ交流があった。主に同盟を結びたいマザリーニとそれを断るロイと言う関係で。そのロイが今回はマザリーニに共同作戦を持ちかけてくる、もちろん秘密裏に。

 

「何が目的だ?」

流石にそう簡単には信じられない。

「何って“いっしょにレコン・キスタをたおそう”と提案しただけだが?」

「ならば何故同盟を解消した?」

「そっちが宣言したんだろう?」

「その気ならこの戦闘が終わったあ後でも出来たはずだ。今になって提案する理由はない」

「私はね。マリアンヌ派が降下を阻止するのを期待していたんだ。降下地点で待ってれば大体は阻止できると思ったんだが、まさか後手に回って間に合わなかったとは。呆れるよ」

「……」

これくらいで怒るマザリーニでは無い。

「トリステインが落ちればレコン・キスタは9割の確率でゲルマニアへ向かう」

残りの一割はジョゼフがガリアを捨ててまでゲルマニアを壊すパターンだ。

「それで共同作戦か……」

「そちらも今叩かないと、永遠にチャンスを失いますよ」

「分かっている。連携は?」

「マリアンヌ派が北から、ゲルマニアが西から攻める。運がよければそのままガリアへ撤退してガリアも巻き込める」

「妥当だな」

情報はやはり重要だ。それを欠けたマザリーニは本気でガリアを巻き込めると信じているようだ。レコン・キスタにとってトリステインの情報は筒抜けなのでこれをマザリーニはラ・ヴァリエール公爵以外に秘匿した。

 

 

 

 

マザリーニはラ。ロシェールへの総攻撃を提案し、分かりやすいプランにマリアンヌは賛同する。反対する者も居たが、マザリーニとマリアンヌの意見は覆せなかった。

 

 

総司令官はド・ポワチエ大将だが、これにはマザリーニも悩んだ。いっそグラモン元帥に出て来てもらおうかと考えたが、年齢的に指揮する体力が足りないだろう。ラ・ヴァリエール公爵が優秀な指揮官だとか噂が出回ったが、三女が堂々と裏切っては簡単に指揮官にできない。結局はそのままだった。

 

 

 

 

レコン・キスタは総攻撃の情報を入手し、変わって防衛する方針で決まる。

 

 

戦況から見てラ・ロシェールに被害は及ばないだろうと考え、盟主には士気を高めてもらう為に前からラ・ロシェールに駐在して貰っている。前回の敗北の影響はこれで打ち消されるだろう。

 

 

 

 

この戦い、主力はトリステインとレコン・キスタだが、主役はガリアとゲルマニアである。ロマリアは傍観者、エルフも傍観者。本当に無意味な戦いだ。

 

 

 

 

 

 

 

戦いまで後僅か。ロイはその間にゲルマニアで来るべき大隆起への対応を決める。

 

時間的に間に合い、簡単、低コスト、かつ現在持ってる材料で実現できる方法は以下。

1.ネフテスの核で地下爆発。

2.アルティメット細胞のよる侵食。

3.魔力連鎖爆発の誘発。

4.魔力吸収の陣を地下に向けて使う。

5.いっそゲルマニア王族の誰かが壊す。

6.火石で壊す。

 

 

詳細

1.ハルケギニア終了。

2.オーバーテクノロジーを残すのは不安。

3.ハルケギニア半壊。

4.莫大な魔力が大気中に発散されるので精霊と韻種が暴走する。

5.メンド臭い。

6.ハルケギニア3/4崩壊。

 

 

結論

ロイが暗号化した魔法陣(解読および研究不可)で大々的に風石の魔力を大気中に発散させる。他のは予備プランとする。

 

 

とまあ、ロイが魔法陣を紙に書いて、使い方を部下に説明する。巨大な魔法陣を書くのは彼らの仕事だ。そして完成後、トリガーとして膨大な魔力が必要なので、必ずCPSが必要になる。起動するのは王族達の仕事だ。

 

 

魔力吸収の魔法陣はダンジョンとかでトラップとして使われる簡単な魔法陣だ(ハルケギニアではない)。今回はそれを大きくして、方向を地下に向ける。魔力発散は数日かかるので、その間に誰も近づかないようにする。魔獣が凶暴化する可能性もあるので討伐隊の準備も必要。

 

 

まあ、魔法陣の意味はゲルマニア王族しか知らないし、魔法の系統も違うから解読される危険もないだろう。

 

なのでプラン始動。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラ・ロシェール、そこはレコン・キスタの尽力のおかげで立派な要塞と成っていた。元々山あいの街なので防衛には向いている。それが土メイジと大量の人力で要塞と化した。弱点と言えるのは空からの攻撃だ。竜騎兵の攻撃では要塞は崩れない、正攻法としてはフネの艦砲のよる砲撃。邪道としてフネの特攻、フネの中に兵を入れて突っ込むなどの方法があるが、トリステインのド・ポワチエでは奇襲は成功させられないだろう。戦争の行末は全ての情報を持ったゲルマニアが決める。

 

 

 

 

ネオ・オーブではエルフの来訪の為の準備が始まる。これが中々難しい。エルフが食べない食材、エルフにとっての禁忌に当たる行為。それらを一つ一つチェックするのは時間がかかる。それでも外交部は嬉しそうである。待ちに待った大仕事だと言うのが一つ、もう一つの理由は“エルフ”だ。

 

 

ファンタジーだろ?ゲーム、小説、マンガの中でよく見かけるエルフ。本物が此処に来るんですから普通にはしゃぐでしょう。主に前回外交に行かなかったメンバーは一段と精力的に働く。一応テレビ出演も計画されているが、それは使節団の意向を確かめてからだ。

 

 

利益関係など無いので暗殺の心配は殆ど無い、それでも万全の警戒はするけど。ネオ・オーブへの異世界人の初招待、歴史的瞬間はそう遠く無い。

 

 


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