科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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正々堂々

聖戦を宣言したロマリアの行動は速い。レコン・キスタの兵力をトリステインに集結する。そしてロマリア、トリステインの両方からの攻撃でガリアを落とす算段だ。その為にもシャルロット姫に協力は必要である。

 

 

だから、オルレアン公夫人の救出も計画されたのだが、彼女は既に屋敷に居なかった。ロイからプランを貰ったタバサとキュルケはまず、オルレアン公夫人の救出を行った。でなければタバサは安心して敵討ちなど出来ない。本来此処にいたはずのエルフはヨルムンガンドの製造に忙しく、通常の花壇騎士団騎士で此処を守った。キュルケとタバサに突破されたわけだ。

 

 

それは兎も角、ヨルムンガンドを倒すためにトリステインとロマリアは手持ち全ての場違いな工芸品をサイトに触らせた。まあ、威力的に使えたのは大砲*1、戦車*1、そしてトリステイン魔法学園に保存されたロケットランチャーである。

 

 

特に破壊の杖と呼ばれたそれの効果を聞いたヴィットーリオはブリミルが降臨したかのように喜んだ。そしてルイズとサイトはまたしても任務を与えられる。

 

「ちょっとそれでジョゼフ暗殺してこい」(意訳)

とはヴィットーリオの言葉である。

 

「お断りします」(ルイズ)

空気を読めと言いたい。

 

貴族のやり方とか正々堂々とかを並べ立てたルイズをヴィットーリオは殴りかかりたいのを我慢して説得する。

 

「ゲルマニア王宮のあれは何ですか?」

「奪還だから問題ありません。戦争は正々堂々としないといけません」

 

真剣に次の使い手を考えたヴィットーリオはそれを押さえて、直接使用者たるサイトと交渉する。美人(ロマリア特殊工作員)を連れてきてお願いしたらあっさりOKを出した。ルイズとサイトは恋人ではない。

 

もしこれで拒否したら今度はサイトを消そうと思ったヴィットーリオだが、サイトは本当に命拾いした。ルイズは適当に騙して、美人と二人でロケットランチャーを持ってサイトは出発した。

 

裏切りじゃないよ、ただ一時的に休暇を貰っただけ。それがサイトの言い訳だ。

 

 

 

 

 

 

それでも軍の準備は止めない。暗殺が成功するのが決まったわけでもないし、成功しても反発する貴族がいる可能性があるのだ。

 

此処に来て、ロマリアが漸く宣戦。ガリアはシャルロット姫が正当なる後継者である。簒奪者たるジョゼフを討て!とまあ、ツッコミどころ満載な理由だ。

 

 

これに呼応するガリア貴族は多くない。ジョゼフの監視があるのもそうだが、前国王が指名したのはシャルルでは無くジョゼフだ。正当なる後継者はどう思考をぶっ飛ばしてもシャルロット姫にはならない。それに地位が高い法衣貴族はジョゼフを支持したからこそこの地位に居れるのだ。王が変わればその地位は失われるだろう。

 

 

有力な封建貴族達もそう。前王時代からジョゼフ派である彼らはシャルルの娘を支持しない。そもそもシャルルを支持する貴族は大半が粛清されたのだ。粛清を免れた貴族も力を失った。これでは有効な助力は出来ない。トップが下級貴族のバッソ・カステモールの反乱組織などジョゼフとしてはいつでも消せるが、行動を掴むためにあえて逃してるだけだ。

 

 

 

 

 

それでもシェフィールドはジョゼフ以外の誰も信用しなかった。暗殺の危険を徹底的になくすために主の世話は全てゴーレムに任せた。唯一料理は無理だったが、一品の料理を何度も試す事で危険性を最小まで減らした。遅効性の毒でもジョゼフの前に試しに使われた動物が先に死ぬだろう。警備は完璧だ。マジックアイテムはミョズニトニルンを裏切らない。現在プチ・トロワの住人はジョゼフとコック数名だけである。コックはジョゼフに近づくことを許されてない。イザベラは新たに建設された北花壇騎士団本部に移住した。

 

 

 

ゲルマニアでは遂に地下風石の無力化が始まる。範囲が大きいので時間はかかるだろうが、火竜山脈が隆起する頃には終っている計算だ。軍は常備軍5000以外の準備はしない。その必要がないからだ。既に真っ向勝負する必要も無い。それがゲルマニアの実力である。

 

 

 

ルイズとサイトはロマリア軍に組み込まれている。勿論待遇的には軍では無いが、トリステインとの交渉でルイズ(+α)はロマリアが一時的に預かる。トリステイン軍は回復と再編で忙しい。ヴィットーリオはトリステイン軍をこのまま休ませるつもりなど無い。

 

 

しかし、ジョゼフ暗殺はイキナリ頓挫する。ジョゼフがプチ・トロワから出てこないのだ。いくらロケットランチャーでもスクウェアクラスの固定化がかかった壁を何層も突破してジョゼフに辿りつく事が出来ない。これが戦車砲なら別だったかも知れないが。

 

 

潜入も無理でした。周りが全部ゴーレムなのも原因だが、サイトにそんな繊細な任務は無理。そこで隣の特殊工作員さんは毒殺を企む。揮発性の毒をプチ・トロワ全体にばらまいたのだ。この場合、通常では外側の兵士たちが死亡し、大騒ぎになり、地位が高い者は急いで地下、若しくは空から逃げる。そして警備が厳重になり、暗殺難易度が上がる。とまあ、普段は使われない手段だ。

 

 

しかし、ジョゼフの周りがゴーレムなら、この手段は通じる。……運がよければ。

 

 

残念ながらジョゼフにそれを気付かせたのは飼っていたペットの死である。そしてジョゼフは脱出。暗殺は失敗。しかし、これでジョゼフはプチ・トロワから出てくる。結果は上々である、か?

 

 


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