科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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戦争とパーティー

ヴィットーリオは今戦争でとても忙しい。故に地下風石の情報は最初に隆起すると思われる火竜山脈以外を無視していた。実際にはゲルマニアの情報収集には妨害があったが、それでもじっくり考えれば何か掴めたはずである。しかし、彼をそれを怠った。それが全てを終わらせたのを知らずに。人間なので仕方ないといえば仕方ない。普通に考えて短期間で解決する問題じゃないですから。

 

 

 

ヴィットーリオはサイトの暗殺報告を待たずに進軍する。しかし速度は遅い。問題はヨルムンガンドである。ヴィットーリオが得た情報でも計算すると最低10体は居る。しかもカウンターを使う。大砲がエルフのカウンターを突破できると同じ理論で考えると、あの巨大なゴーレムのカウンターを突破するには現在保有する戦車砲か88mm砲しかない。ルイズの爆発は保留。

 

 

 

その為にロマリア方面に戦車を配備、トリステイン方面に88mm砲を配備。保留のルイズはロマリア方面。それらの使い方はガンダールヴから教えられている。しかし戦車の燃料は不十分で自走させるのも勿体無い。レビテーションや丸太など様々な手段を使って運ぶので進行速度は遅い。弾が十分かどうかも分からないので実はかなり危険な賭けだ。

 

 

 

ジョゼフの命令でトリステインとロマリアから首都リュティスへの道は開かれている。ゲルマニアなら兎も角、ロマリア相手にヨルムンガンドは絶対的優勢である。ジョゼフも場違いの工芸品は調査した事がある。結論として、威力はでかいがメンテナンス不能、量産不能、修理不能、チェック不能など兵器としては使えるとは思えない。だから二つくらい増えても問題はない。

 

 

 

ジョゼフはこれらを撤退できない所まで誘い込み、退路を防ぐという戦略をとる。状況的にこれが最も多くの捕虜を確保できるのだ。来るべきゲルマニアとの戦争のためには戦力増強は不可欠。名目上同盟国のゲルマニアへの援軍も要請していない。嘗てのトリステインのように竜とフネだけ取られる可能性があるからだ。

 

 

 

場違いの工芸品の欠点はヴィットーリオも分かっていたが時間がないのだ。使えるもの全てを使っててもガリアを突破しなければならない。

 

 

 

ゲルマニアでは全く別の問題でロイが頭を悩ませていた。

 

SIDE ロイ

 

 

前回の訪問でエルフはネオ・オーブへの好感度は高い。それ故にネオ・オーブ関連には幾許か開放的になってきたのだ。今度、エルフによる水精霊礼拝ツアーもそれで企画されたのだが、やっぱりなんか納得行かない。カップ麺か?やっぱりカップ麺なのか?ここまで友好的なのは。

 

 

この件については既に許可する事が決まっている。水精霊はすでにその周辺に多大な利益を齎している。対価さえちゃんと用意すれば色々手伝ってくれるはずだ。となると、“大いなる意志”を信仰するエルフと仲良くなる切欠くらいには成りえるだろう。水精霊はエルフらが契約する精霊とは違うが、力の源が“大いなる意思”なのは同じ、むしろ上位存在にあたるのでここまで熱狂的なのも無理はない。

 

 

だが外観はどうする?全員をフェイスチェンジさせるのも明らかに何か違うし。かと言ってそのままではいらん混乱が広まるだけだ。この様子じゃあ今後も定期に来そうだし。他の観光客と鉢合わせも宜しくない。トリステイン、ロマリア、ガリアはそんな余裕が無いがゲルマニアは至極平和だ。

 

 

いっそこのままブリミル教脱出するか?いや、まだ時期尚早だ。湖の周囲は王族の名義で貸切にしよう。そしていっそネオ・オーブ外交団なども呼んでパーティーにする。各種センサーを使って警備し、ソレイユにAMF発生装置を取り付ければ安全面でも問題ないだろう。そしてソレイユでネフテスまで迎えに行こうではないか。今後の使用もあるからミラージュコロイドも付けておくようにしよう。

 

 

ロマリアが潰れる前のツアーは恐らくこれっきりだろう。その後なら色々やりやすい。まあ、これで問題ないか。

 

 

兎も角パーティーだ。外交部では家族連れもOKにしよう。以前と違って注目の的となるだろうな。

 

 

これでネオ・オーブで外交官になりたい国民が急増するだろうが、これはこれでいい。ネオ・オーブの性質上、外交は極めて重要である。今後は優秀な人材も必要だ。

 

 

後はタバサの方はどうかな?彼女は一番危険なんだよね。利用する形になったのでお詫びとしての治療薬は既に出来上がってるが、大丈夫かな?キュルケも居ることだし、命の危険はないだろうが、私の予測では復讐は成し遂げられない。本気で手がつけられないからな、ジョゼフは。まあ、そこら辺のさじ加減はキュルケに任せるか、恋人だし。

 

 

既に目的は達成された。今なら政治に関わらないのを条件に治療薬を渡すのもいいのだが。まあ、若い頃は色々経験した方がいいな、うん。

 

 

SIDE OUT

 

 

ジョゼフ暗殺は進展なし。プチ・トロワから出たジョゼフは住居をフネの上に構える。世話係は勿論ゴーレムだ。これにもサイト達は侵入出来ず、下から見ているだけである。ロケットランチャーを使えば打ち落とすことが出来たとしても虚無に目覚めたジョゼフなら空を飛んで逃げられる。もし地上に降りてきたら色々終わると思う。

 

 

 

 

 

つかの間の安定を打破したのはロマリア、しかも恐らく悪い意味で。ロイが心配していた事態が発生した。大きな問題があるわけでもないので関わらなかったが、どうやら運が悪かったようである。

 

 


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