科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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小競り合い

シャルロット姫の狙いは復讐。ヴィットーリオはそう考えていた。ついでに王位も狙ってる可能性はあるが、ヴィットーリオはそんなモンに興味など無い。ならばヴィットーリオとシャルロット姫は利害が一致する。

 

 

そう信じたヴィットーリオは大隆起の事を包み隠さずにシャルロットに教えた。そしてそれを阻止するには聖地奪還以外では不可能、その為に始祖の秘宝が必要なことも教えた。

 

 

だが、シャルロットは断固として譲らない。始祖の秘宝は母の治療の為に必要なのだ。他の人間?他の有象無象数百万人が束になっても母親以上の価値はない。今の彼女なら後々の荒れた世界でも生きていく自信がある。

 

 

それにシャルロットにブリミルへの信仰など無い。嘗て数万と祈ってもブリミルは救ってくれなかった。手を差し伸べたのはブリミル信仰が一番弱いゲルマニアの人間だった。宗教の権威で説得されようとも考えは変わらない。

 

 

ヴィットーリオは善人かどうかはさておき、ただの悪人ではないことは確かだ。制圧後こっそり盗むと言う手も有ったが、話し合いで解決できる物をそんな方法を使う必要はない。だが今回は選択を誤った。同意を得られず、理由さえ教えてもらえなかった。すでに色々教えてしまったので始祖の秘宝の確保は難しくなるだろう。

 

 

今揃っている始祖の秘宝は二組。ガリアとトリステインである。ルイズは前回捉えられた時に無事返してもらった事で逆に偽物の可能性が上がった。確実に使えるのはガリアのあれだけだ。この戦争、最悪の場合、サハラのエルフを駆逐し、土地を奪う可能性もある。あのルイズがそれを承諾するだろうか?無理だね。

 

 

ヴィットーリオはシャルロットの暗殺を企むが失敗。いつもそばに居るキュルケとその使い魔の実力が計算外だったからだ。そしてシャルロットとキュルケは直ぐに脱出する。暗殺の際、軽傷を負ったシャルロットから流れた血をスキルニルに使う。代役は完璧。後は即位前にジョゼットと変わってもらえばいい。

 

この状態ではいくら騒いでもタバサは似ている偽物と思われるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大隆起は流石に問題なのか、キュルケはガリアにある密偵拠点に一つで直ぐに報告する。直ぐにはマズイが時間がなかったし、尾行には細心の注意を払ったので問題は無いだろう。

 

 

SIDE ロイ

 

言っちゃったか。

 

悪いヤツではないんだが、いささか極端すぎるな、ヴィットーリオは。ゲルマニア国内の風石鉱脈はそろそろ無力化が終わる。だが、ロマリアは手遅れだ。救うつもりなど無いけどね。

 

しかし、タバサは復讐を続行するとは。予想通りだが中々危険だ。まあ、キュルケには防衛用のアイテムと作戦を教えたから守るだけなら問題ないだろう。

 

タバサは一度対峙して、叶わないと分かっても諦めないだろうが、母親を守るためなら諦めきれるだろう。オルレアン公夫人も自分の娘にそんな危険な事をしてほしくないはずだ。

 

治った夫人が説得すれば何とかなる。まあ、後は待つだけか。

 

SIDE OUT

 

 

ジョゼフは前回の戦闘で、ヨルムンガンドの有効性を確認した。しかし、これでゲルマニアに勝てるとは思っていない。更なるテストと改良が必要だ。その為に、ヨルムンガンドをトリステインとロマリア方面の敵に各一体ぶつける。

 

 

トリステイン方面軍は大きな被害を出しながらもそれを撃破した。下手に練習もできないから命中率が低いのだ。しかし、接近すると意外と当たるということが分かったので収穫はある。

 

 

ロマリア方面軍は嬉しいことにルイズの魔法が通用した。こっちは戦車を起動すらせずに撃破した。ヨルムンガンドは失ったが良い教訓を得たジョゼフである。

 

 

彼はこれを機に色々改造を始めた。

 

 

 

 

エルフのツアー。それは非常に賑やかなパーティーとなった。100人以上の人間とエルフが仲良く食事している風景はユニークだろう。子供同士、ジェスチャーで会話して遊んでるのが微笑ましい。

 

 

ロイとしては本気でキュルケにも参加してもらいたかった。いずれはゲルマニアとネフテスが堂々と同盟を結びたい。どうせこの戦争でロマリアはその影響力の大半を失うだろう。聖戦は間違いなく失敗する。

 

 

キュルケとタバサはロイからジョゼフの魔法に関する情報を貰った。「加速」、それは余りにも反則としか言いようがなかった。特に地上で逃げるとしたら捕まえるのは不可能である。この魔法を使えば普通のトラップなど意味が無い。

 

 

しかし、タバサは諦めない。やっと見つけた希望なのだ。キュルケも本当にヤバイ時までは止めない。使い魔に風韻龍とケルベロス?が居るが、ジョゼフの速度には付いていけないだろう。タバサは考える。どうすればジョゼフを倒せるかを。

 

 

未だ暗殺任務に付いてるサイト達も困り果てていた。ガリアの攻撃は既に始まっている。このまま手招くとこの任務の意味が無くなる。ジョゼフは依然としてフネから出てこない。お手上げだ。

 

 

そして情報収集の途中でキュルケ達はそんなサイトを見つけてしまう。サイトの怪しすぎる動きは見事に暗殺をバラした。なら、使うしか無いだろ?

 

 


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