科学で魔法を始めよう 作:ロイ
ヨルムンガンドの改造案。
まず、あの大砲に対抗するためには近づきすぎるのは禁物。そんな訳で遠距離武装が要る。だが大砲を担いで動くのは球切れの心配とか点火作業が無理とか色々問題が多い。それに命中率、飛距離的に走ったほうが便利なのもある。
それらの問題を克服する兵器、つまりは鉄球ハンマー!!!
棘のついた鉄球に鎖を付けた単純な物だったが使い道はいくらでもある。特に精密機器の塊なら砲塔がちょっと凹むだけで命中率に大きな影響が出る。古代MS見たいな感じのヨルムンガンドとしてはぴったりな兵器だ。剣なんぞ敵ゴーレム攻撃に使う以外に使い道はない。
もう一つは風石をたっぷり詰め込んだ追加装甲である。機動性上昇とジャンプ高度を高め、フネを叩きやすくするためなのだが、意外と扱いは難しい。これがMSならブースターと言うすごく便利な装備があるのだがヨルムンガンドでは空中での制御がきかない。
まあ、ロマリアの二つの場違いな工芸品が無くなれば使い道も増えるだろう。ようするにここまでの改造は大半がゲルマニア対策である。
後はルイズの虚無対策に装甲の焼入れだ。
色々と発想が超未来的になってますよ、ジョゼフさん。
一方、キュルケとタバサは僅かながら希望が見えてきた。サイトが持つ兵器、通称「破壊の杖」を見つけたからだ。大砲と銃の真ん中見たいな外見で効果は大体わかる。こだがこのサイズでフネを落とせるのかは微妙である。実際、風石貯蔵庫に当たれば落下させる処までは問題ないだろうが、大きな被害が出るとは思えない。
だが、ジョゼフが地面に落ちれば少なくても戦い方はある。ならば使おう。
メイリンから教わった情報操作を余す所なく使うキュルケ、ジョゼフが乗るフネの風石貯蔵庫の位置を教え、ロマリア軍の被害を誇張して伝え、「破壊の杖」を使うように誘導する。キュルケ達では使い方がわからないのでこんな面倒な事をしたのだ。
まあ、下手すると千年以上開いた心理学、情報操作理論にはロマリア諜報員も騙され、サイト達は攻撃を決める。風竜を調達し、ジョゼフが空から逃げるなら追撃する。そこからは努力次第だ。
サイト達はジョゼフの魔法、「加速」の事をまだ知らない。地上に降りるとは思わなかった。
ヴィットーリオは困っていた。弾が足りない。練習なしに使ったから88mm砲の命中率が低く、消費が酷い。弾薬の製造は不可能なので節約したいが、それで兵士を消耗しては意味が無い。今はルイズの魔法が効いてるが、これがいつまで効果が有るのかも分からない。あいはエルフの技術を使うのだ。
サハラから場違いな工芸品を盗むのも不可能になった。流れ着いた場違いな工芸品は解析が可能になったので全て研究所に運ばれた。そこから盗み出すのはさすがに不可能である。ほんと、どうしようも無い。暗殺もまだまだ成功せず、これはいよいよ本気でやばいかも知れない。
しかし、アルビオンの使い手はどこにいるんだろう?6000年の時間は王家の血筋を広まらせるには十分過ぎた。つまり探し出すのは非常に困難だと言う事である。それでも直系に近い者程発現しやすいと言う法則はあるが、現在アルビオンで王家の血筋が最も濃いには元モード大公である。しかし、彼は普通に魔法が使える、娘にハーフエルフが一人居るようだが、普通に考えると敵対者の血筋を持つ者に現れるのはまずあり得ないだろう。至極まっとうな方向で考えたヴィットーリオは最後の使い手を見失う。
ゲルマニアは対ガリアの戦争のために準備を始める。ヨルムンガンドは低性能のMSと考えればいい。その対策さえ終えれば問題はない。兵器の供給はゲルマニアに依存している。油断こそ出来ないが補給に致命的問題が残されるだろう。
ゲルマニアが現在補足しているヨルムンガンドは30体。限りなく真実に近い数字だ。実際では試験タイプ、半完成品が各一体有るが、これはガリアでも計算に入れていない。トリステインを数日で潰せる数だ。そしてロマリアが砲撃で倒すには確実に弾薬が足りない。
奇跡でも起こらない限り、ロマリアは終わる。
クルデンホルフ、嘗て宗主国のトリステインさえ凌駕する勢いで経済を発展させた国だが、「聖戦」とロマリアの圧力により、大量の金を寄付せざるを得なかった。さらにトリステイン復興にも金は使わねばならない。結果、これに貯蔵の大半が使われてしまった。
ガリアとトリステインの真ん中と言う場所では何時戦場になるか分からない。同盟を結んだガリアとゲルマニアに歯向かうロマリアは余りにも愚かに見えた。何時反撃を受けて、トリステインに攻め込まれるかもわからない。その時にクルデンホルフは見逃してもらえるだろうか?そんな事を期待するバカは居ない。ならば、生き残るために動かなければならない。
接触するのはゲルマニア、戦争の要を握る国だ。