科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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戦闘の素人

 

「これ」

ロイが渡されたのは土のルビーと始祖の香炉。

(まさか本当に持ってくるとは)

これは流石のロイも予想外だった。

「治療薬はこれだ」

ロイは準備していた薬を渡す。

「飲ませて一晩すれば治る」

コクリと頷いてタバサは出て行く。

 

「キュルケ、イザベラ姫は?」

「客間に居ます」

「そうか、分かった」

「では私はタバサを追いかけますので」

キュルケもそそくさと退出する。

(嬉しすぎる誤算だよ、まったく)

 

 

 

乗せられたサイトがロケットランチャーでジョゼフのフネを攻撃、見事風石貯蔵庫を破壊した。ジョゼフは空に逃げ無い、一度に使える魔法は一つ、なら地上の方が生存率が高い。

 

リュティス郊外の森で着陸したジョゼフは討伐しに来たサイト達を発見。サイト以外を始末し、サイトは気絶に留まらせる。ガンダールヴは駒にした方がいいと考えたからだ。

 

そこに隠れて観察していたキュルケとタバサの大量の攻撃が届く。しかし、避けられた。不意打ちは失敗する、音が出ていたようだ。ちなみに巻き込まれたサイトは重傷。

 

そのままジョゼフは二人の方へ突っ込むが、彼は若干ハイになっていたので踏んでしまった、キュルケが蒔いたマキビシに。ロイ特製マキビシ、と言っても土の色に塗装し、麻痺毒を塗っただけなのだが、効いてしまった。

 

痛みと麻痺で魔法に集中出来ず、ジョゼフは討ち取られた。

 

報告書をここまで呼んだロイは頭が痛くなる。ジョゼフが戦闘訓練してない、肉体的な苦痛に慣れてないのは分かるがゴーレムはどうした?(大半がフネと共に壊れました)使い魔は?(ヨルムンガンドの調整でした)ビターシャルは?(ヨルムンガンド製造で忙しかった)

 

呆れるほどの偶然が重なってジョゼフは倒された。その後、ジョゼフの指から土のルビーを、フネの残骸(一番豪華な個室辺り)から始祖の香炉を見付け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これでネオ・オーブの全目的は達成されてしまった。しかし、このまま撤退するほど無責任にはなれない。ガリアの3/4はロマリアに従っている、現王が居なくなれば教皇の権威は効果を発揮する。シャルロットを騙るジョゼットを王としてこのままネフテスへ進軍するだろう。聖戦は止まらない。

 

 

ガリアの残りの1/4、戦争の影響がない西の貴族達はいち早く情報を入手したロイの迅速な交渉でイザベラを支持するのが決まっている。最初は慌てていたイザベラも落ち着けばちゃんと頭は動く。だてに裏仕事のまとめをやってないって事だ。ゲルマニアもイザベラを支持する。ゲルマニアはイザベラ派に武器を供給し、戦力を整えさせる。

 

 

ヴィットーリオは漸く一息を付いた。改造されたヨルムンガンド30体を入手したのだ。喜ばないはずがない。使用するにはミュズニトニルンの能力が必要なのだが、ジョゼットを確保している以上、問題は解決される。ヨルムンガンド製造施設も接収したが、エルフが居ないのでカウンターを付加する事は出来ない、そしてシェフィールドの知識が無いと性能も若干落ちるだろうが、製造はまだ可能である。ガリア技術者たちはエルフの技術を既に物にしている。カウンターだけはどうしてもエルフの力が必要だが。

 

 

しかし、熱血マンガではないが、本当の戦いはこれからである。エルフが敵だと言う点もあるが、今後は砂漠を進軍しなければならないのが最大の問題だ。サハラでは食料はもちろん、水すら探すのが難しい。進軍は困難を極めるだろうし、補給も難しくなる。ヨルムンガンドを砂漠で使うのもまだ問題があるし、悩みはまだ終わらない。

 

 

それよりもヴィットーリオは土のルビーと始祖の香炉を見失ってしまった。これが最大の失態だ。二つが無ければ聖地に向かっても意味が無い。ゲルマニアへの交渉は無理だ。現在ガリアは内戦状態、ゲルマニアはイザベラ派の支持を宣言している。辛うじてまだ宣戦布告していない程度だ。聖地への道は開かれたのでこちらは邪魔さえしなければ後回しでも問題ない。現在出来ることは聖戦の準備とゲルマニアとの交渉のルート探り。実はピンチなのは変わらない。

 

 

クルデンホルフ。ロマリアがガリアを打ち破ったからって、万歳なわけではない。イザベラ派の領土とは隣接こそしていないが、位置的にトリステインとクルデンホルフはイザベラ派とゲルマニアに挟まれる状況となる。それだけでもイッパイイッパイなのにロマリアからは聖戦のために金出せと催促されている。キレていいよね?

 

 

 

ネフテスではロマリアの影響を受けて、戦争準備が始まる。こちらは提供された技術、場違いな工芸品を解析して得た技術、エルフ独自の技術、ヨルムンガンド製造の経験を色々足したら、モビルタンク的なゴーレム?(戦車?)が出来てしまった。砂漠での使用を考えて、重すぎては沈むので風石を積む必要がある。その場所を確保するために巨大化せざるを得なかった。全長38m、全幅16mの巨大なモビルタンク。これはGJと言わざるをえない。

 

 


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