科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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死亡フラグ

ジョゼフ死亡と言う意外な事件から暫く経つ。戦争準備期間は意外と静かだ。その間に、火竜山脈が隆起した。

 

 

火竜山脈付近には住民が居ないので被害は少ないが、これの影響は大きかった。地面が隆起したのだ。驚かないはずがない。しかし、ゲルマニアとロマリア両方から心配無用と発表したので混乱は直ぐに収まる。最強の国ゲルマニアと(地位的に)最高の国ロマリアの発表なら信じられる。

 

 

 

 

SIDE イザベラ

 

 

女王マリアは至極真っ当な王だった。寧ろ私の憧れと言ってもいいだろうね。

 

だが、ロイ・サハク。父のような威圧感はないのに全てを見透かされている気がする。警戒心を持たせずに食い潰すタイプだね。

 

王族内ではアイツの地位が一番高い気がする。気のせいかも知れないが。

 

しかし、私が知らない内にガリア西貴族との交渉を終えてるなんて、どんな化物だい?いや、化物なのは国その物だね。

 

手伝ってくれるのはロマリアの影響力を減らすためだと言っていたが、ガリア弱体化も含まれるんだろうね。結局はゲルマニアの独り勝ちってことかい。

 

だが私にそれ以外の生きる道はない。ゲルマニアの支援を失えば貴族達も離れていくだろうし、私もヴィットーリオに暗殺されるだろう。いや、公開処刑か?とにかくヴィットーリオに私を活かしておく理由など無い。

 

まあ、生きてられるだけでもありがたいと思わないとね。

 

 

 

それよりも此処のご飯がめちゃくちゃウマイんだが、どんな調味料使ってんだ?

 

SIDE OUT

 

 

 

 

ゲルマニアの風石が無力化された事が遂にヴィットーリオに知られる。

 

 

SIDE ヴィットーリオ

 

何やってるんですか、ゲルマニア。

 

聞いてませんよ、そんな方法が有るなんて。聖戦が無駄になりましたよ。しかもここまで来ると止まらないですし。

 

現在のゲルマニアは前王ジョゼフとの同盟を口実にイザベラ姫を支援している。ジョゼットを押しているロマリアにそれを教えてくれる理由がありません。いえ、大幅に譲歩すればなんとかなるかも知れませんが、その場合、間違いなくロマリアにとって致命的な条件を出してくるでしょう。

 

無力化情報を貰うよう交渉してみましょう。それが無理でもせめて聖戦が終わるまでこちらに攻撃しない、それでも駄目なら生贄を用意するしかないですね。

 

SIDE OUT

 

 

ヴィットーリオのロイとの交渉は失敗した。ロイの出した条件は「ブリミル教以外の宗教を認める」「異端審問の永久的廃止」「女王マリアをブリミルより上位の存在と認めること」の三点だが、受け入れるには不可能な条件だった。これを教皇が受け入れてもロマリアは認めない。それは聖戦にも影響を及ぼし、取り返しの付かない事態になる可能性さえある。迂闊な判断はできない。

 

 

停戦協定の締結も失敗する。こちらはガリア内戦に関する停戦だが、ヴィットーリオの目的が分かっているロイは認めなかった。こっちの方が介入しやすい。

 

 

現在、トリステインとロマリアは同盟を結んだ状態である。トリステインの属国たるクルデンホルフは当然それに付いて行く。だが、ゲルマニアはエルフと戦う気がない、ロマリアは聖戦で自動的にエルフと戦うハメになる。

 

 

エルフとゲルマニア、ロマリアと言えども両方と戦って勝利するのは叶わないだろう。今こそ静かだが、何か切欠があればガリア内戦が始まり、そのままゲルマニアとロマリアの戦争も開始。エルフも黙って侵略されると決まったわけではない。ロマリアの負けは決まっており、最終的にクルデンホルフもとばっちりを受ける。

 

 

嘗ての聖戦の影響を考えると少なくとも経済は破綻する。下手すると配下の貴族どもが商人と結託して反乱を起こすかも知れない。混沌と戦乱の時代が始まる。そんなもん耐えられるか。

 

 

手遅れになる前にクルデンホルフは最大の貢物を持ってゲルマニアと交渉する。

 

 

属国となる以外で、それを交渉に使えるクルデンホルフにロイは彼らの役割を見出した。クルデンホルフには生きてもらったほうがゲルマニアとガリアの為になる。そう判断したロイはクルデンホルフの提案を受け入れた。

 

 

ヴィットーリオの判断ではゲルマニアがエルフの味方をする理由はない。ブリミル教を嫌うからエルフが好きだとは考えにくい。ならば、ゲルマニアは特別な理由がなければ聖戦に介入しない。エルフとロマリア両方が疲弊したときに全て手にいれればいい。言葉にするのは身分的にダメだが、ヴィットーリオはこれでもいいと思っている。

 

 

エルフを駆逐し、土地を手に入れる。そうすれば全て解決する。ゲルマニアが聖戦に介入するかも知れない特別な理由。ゲルマニアとエルフは同盟を結んでいた。イザベラ派の独断行動の道連れなどが考えられるが、それらを一気に解決する餌を用意する。

 

 

クルデンホルフとロマリアの思惑は一致した。クルデンホルフは貢物として、ロマリアは餌として、それを差し出す。

 

 

ゲルマニアの物になるのは、トリステインと言う名の国である。

 

 


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