科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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数は確かに重要だ

23万、数だけなら脅威過ぎると言っても過言ではなかった。これはトリステイン軍の数である。

 

 

しかし、所詮は数だけ。武装は貧弱で、斧どころか鍬を行き渡らせるとしても足りない。半数の者は木棒を持っており、敵の武器を奪うのを待つだけである。

 

 

それでもこの軍が存続できたのは、クルデンホルフがありったけの財産を投入して食料を供給したからだ。クルデンホルフはこれのお陰で参戦を免れた。

 

 

今回だけは、ロイは事態を少々大げさにゲルマニアに宣伝していた。後への布石である。23万、例え武器が無くともそれは脅威だ。対応を誤るとゲルマニアは多大な損害を被る。ゲルマニア国民は緊張感を高めるとともに女王に期待していた。

 

 

SIDE キュルケ

 

あたしって宰相だったはずよね?

 

なんで全軍の前で演説しなければならないのかしら?

 

例によって拒否権は無いし、これってもしかしなくても英雄を作るパターンじゃない?

 

コホン、取り敢えずロイ様から頂いた演説内容をそのまま言うしか無いわね。

 

「我がゲルマニア英雄諸君!

 

 私は、宰相のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーである!

 

知っての通り、愚かなるトリステインは我がゲルマニアに侵攻して来た。その数23万。数だけを聞けば恐ろしいだろうが、所詮は今まで我らの後ろに付いて来ることしか出来なかった烏合の衆である!我がゲルマニアの英雄諸君とは比べることさえ愚かしい!

 

トリステインの我がゲルマニアに対する数々の無礼、慈悲深き女王陛下はそれを尽く穏便にすまされた。しかし、今回の侵攻は許されない。

 

心優しき女王陛下は痛恨の決断を下し、この私に指揮を任せられた。ならば、私は死力を尽くしてこのゲルマニアを守りたい!

 

英雄諸君!

 

敵に慈悲は要らん!

 

蹂躙せよ!粉砕せよ!抹殺せよ!圧倒せよ!突破せよ!撃破せよ!破壊せよ!

 

歴史があるだけで我らを見下してきた愚か者にどちらが上かを教えてやれ!

 

 

疲れる。

 

SIDE OUT

 

 

若い指揮官に不満は無い、これは女王陛下の決断なのだ。数々の英断を下した女王陛下は信頼されている。ゲルマニア軍5000の士気は限りなく高かった。

 

 

とまあ、そうは言っても実際に指揮するのはロイである。ギナはネフテスに居るし、ステラはデストロイの操縦、指揮できるのはロイしか居ない。一歩間違えば災難になる戦争だ。これは慎重に動かざるをえない。

 

 

トリステイン軍の進軍は遅い。ただ集まって動いてるだけである。統率もなにも有ったもんじゃない。両軍が使うのはツェルプストー領とラ・ヴァリエール領のルートであり、ゲルマニアとトリステインが幾度も刃を交えた場所でもある。

 

 

時間を調整し、戦場をラ・ヴァリエール領内にする。戦うのは常備軍の5000のみ、ツェルプストー領の軍は国境警備を任される。この戦争のせいで山賊が増えるのは勘弁してほしいからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5000を23万に正面突撃させるのはどれほどの精鋭でも無理。5000の兵は両翼に配備する。真ん中がぽっかり開いてるのは見ていて可笑しいだろうが、そこはデストロイを置いておく場所だ。

 

 

ラ・ヴァリエール領、嘗てデストロイが焼いた土地で。両軍は対峙する。敵軍の数を見て、耐えられず突撃した一部トリステイン軍が戦闘の引き金になった。

 

 

そして上空から現れるデストロイ。AMFが展開され、ビームが発射される。掠っただけで蒸発し、免れた者も爆風で吹き飛ばされる。そこは戦場としては余りにも綺麗だった。大地に血の色などまったく見られない。

 

 

自動近接防御システムの75mmさえ耐えられないトリステイン側のゴーレムは役に立たなかった。更にいくら魔法を放とうとも届く前に消えてしまう。動きが鈍いフネは真っ先に破壊されている。

 

 

瓦解寸前の士気を叩き起したのは烈風のカリン。トリステインの切り札である。

 

 

矮小な人間が巨大ゴーレムを倒すにはどういった方法を取るのか?大きく別れて遠距離で砲撃と近距離で斬撃に別れる。デストロイは400t以上であり、歩くだけで周囲一帯に地震が起こるほどだ。それをぶっ飛ばせると思えるほどカリンは幻想主義者では無かった。故に取る手段はグリフォンである程度近づき、その後フライで敵砲撃を躱す、最後に肩に乗ってブレイドで頭を切り落とす。

 

 

確かに、グリフォンの運動性では回避し切れない。カリンの超人的感覚とトップレベル風メイジとしての飛行センスでなければそれは成し得無かった。十分チートですよ。この人。

 

 

ただし、問題があったとすればカリンはAMFを知らなかった事だ。飛んでる魔法は届く前に消えてしまう、成程、確かに脅威だ。だが、流石に魔法発動の源であるメイジを消せるとは思えなかった。

 

 

突入したカリンの魔法は干渉され。未知の感覚にカリンは魔法を上手く制御できず、墜落死した。

 

 

ここでデストロイはミサイルを全て発射。Nジャマーが無いのでそれは各指揮所に命中し、全てを破壊した。

 

 

マリアンヌ(士気高揚の為に来ていた)、マザリーニ、ラ・ヴァリエール公爵などなどが死亡。

 

 

組織的撤退すらままならないトリステイン軍はわれ先にと逃げ出す。しかし、精鋭軍が配置され、フネまである横には逃げられず、彼らは一直線で後ろに逃げる。だが残念ながら56.3mの巨体を持つデストロイからは逃げられない。動きが鈍くても足が長い分、前進が速い。更に核エンジンを持つことで補給さえ必要ない。

 

 

優秀なネオ・オーブ技師が作り上げ、メンテナンスしたそれの稼働時間は長い。

 

それが魔法で造られた物だと信じ、魔力切れを待ってる者はさぞや驚くだろう。

 

最も、トリステイン軍にそこまで考える余裕が有る者が居るとは思えないが。

 

 

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