科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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包囲網構築

ロイとヴィットーリオの交渉は成功。

 

 

ヴィットーリオが認めた条件は「異端審問の永久的廃止」の一つだけ。しかし、ガリアをイザベラに渡す事になった。ジョゼットはヴィットーリオと共にロマリアへ向かう。同時に内政の絶対不干渉も約束させられた。

 

 

その代わり、ロイはシャルロット派を恩赦を約束する。そして直ぐにガリア全土の風石を無力化する事、異端審問の永久的廃止を認めたロマリアの風石を無力化する事。

 

 

二人とも目的を達成し、会談は穏やかな雰囲気で終わった。

 

 

ただし、どちらとも最後まで協定を守るつもりはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリアはイザベラに返された。宮廷の主要役職は人が変わるが粛清はなかった。実際、二回に渡る粛清で貴族の数も結構ヤバイラインに達している。これ以上貴族を減らすと統治に関わる。

 

 

しかし、ロイとイザベラ事をこのまま穏便に進めるつもりは全くない。ガリア貴族の意思統一と言う理由で中央魔法学院を再開させ、貴族子弟に入院義務を課す。表向きでは貴族同士の融和であるが、実際の目的はシャルロット派に対する人質である。確かに刑罰はなかったが、これは余りにも過激であった。下手すると内乱再開である。

 

 

ヴィットーリオはこれを苦い顔で我慢する。はなっからこんな強引な手段に出るとは予想外であった。まずはシャルロット派の切り崩しではないか?と一般的な手段を予想していたのだが、内政不干渉の約束があるのでまだ手は出せない。「覚えてろよ!」と負けフラグを建てるヴィットーリオだった。

 

 

同時にロマリア影響下にあるアルビオンへの工作も開始。モード大公を全面に押し、エルフの噂は全てデマだと時間をかけて何遍も教える。序にアルビオン国民の間でもその情報をバラまく。

 

 

そして同時に王家再建の話をモード大公に教えた。エルフと決別するとの条件がジェームズ一世から出されたので、エルフ親子はゲルマニアでの爵位を継ぐ事を許可した。あちらが安定してから二人を連れていけばいい。それに匿ったゲルマニアには今後逆らえないだろう、色々証拠も掴んでるし、アルビオンではエルフを受け入れることは無いのだから。だが安定したら国王の力を以て人の二人位隠し通せるだろ。

 

 

噂をひっくり返すのは難しいので時間はかかるだろう。しかし、一度否定された噂を信じさせるのは尚難しい。これを乗り越えれば例え多少のヘマをやらかしても「またデマか」で済まされる。

 

 

シャルロット派の人はまだヴィットーリオと繋がっている。今はまだイザベラに従っているが、改心などするわけもなく。魔法学院から人質を救出し、ジョゼットの命令があれば直ぐに戦う。

 

 

それを手札にヴィットーリオはロマリアに舞い戻り、虚無の使い手のジョゼットも居ることで再び権力を手中に収める。

 

「ゲルマニアを利用し、大隆起を防ぐ。その後、教徒を使ってゲルマニアの影響力を排除します。準備は既に出来ている」

 

その言葉でロマリアを再度手中に収めた。20代で教皇の座に付いただけの事はある、人心を手に入れる術には精通していた。それに実力が有るのも確かだ。

 

「ゲルマニアがブリミル教を排除しようとしています、内部争うしている場合ではありません」

 

下の者もこれでは騒ぎ立てる事は出来ない。確かにブリミルの理教が一番弱い国、ゲルマニアが幅をきかせている。

 

ロマリア、再び意思統一。

 

 

 

 

 

 

イザベラ派とシャルロット派の戦力は五分五分だ。領地面積で言えば、シャルロット派は3でイザベラ派は1。しかし、聖戦の軍事的影響と経済的影響は大きい、戦力的には同じくらいになってしまった。

 

 

SIDE キュルケ

 

 

また呼び出し?

 

最近は仕事が多いわね。タバサといちゃつく時間さえ無いじゃない。

 

「なにか御用でしょうか?」

「キュルケ、追加の仕事だ」

 

またか。それにしても隣にいる可愛い娘は誰かしら?

ん?耳…エルフかしら?

 

「彼女の教育を頼む」

「は、初めまして。ティファニアです」

 

ヤバイ、超かわいい。おっと、そんな事言ってる場合じゃなかった。

 

「その耳は?エルフですか?」

「ハーフだ。ちなみに父親はモード大公」

「え?……あの噂は本当だったんですか?」

「そうだ。まあ、それはどうでもいい」

 

どうでもいいの!?

 

「虚無の使い手なのだが、道具が足りなくて虚無魔法が使えないんだ」

「「え?」」

 

いや、なんで彼女まで驚いてるの?

 

「虚無を自覚すればコモンマジックくらいなら使えるので鍛えてやれ。後、知識全般も教えろ」

「いえ、時間が足りないんですけど」

「タバサもついでに教えてやれ」

「確かにタバサと私の教育レベルは違いますが(二人っきりの時間が……)」

「お前は私たちが教えてきたんだ。そこいらの王族など問題ではない。だが、お前にも人に教えることを知らなければならない」

「何故でじょうか?」

「お前がゲルマニアの未来を担うかだら」

 

未来て、そういえば陛下とロイ様の結婚は?

 

「あの…」

「ん?」

「陛下との御結婚は?」

「…………………それでな」

 

無視された!?

 

「モード大公が次のアルビオン王になるだろうから仲良くしろ」

 

そんな打算を目の前で言いますか?

 

「とにかく命令だ」

 

え〜

 

「分かりました」

 

それよりあの娘空気になってるんだけど。もしかして理解してない?

 

SIDE OUT

 

 


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