科学で魔法を始めよう   作:ロイ

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戦争はさっさと終わらせるに限る

二つの軍が平原で対峙する。ここは大軍を使うのに有利な地形だ。皇帝も今は安心している、補給部隊を散々叩かれ、ここまで持ってくるのは苦労したが、後は突撃するだけで終わると思っている。だが、流石にMSが現れるのは予測出来無かった。

 

SIDE ロイ

 

壮観だな。目の前の4万5千の兵が集まっている(敵)。C.Eじゃあそこにミサイルぶち込めば全滅なので人間のみで構成された大軍は見たことがない。統制が上手く取れてないのはどちらも同じか、どうせ突撃命令を出したら指揮なんてほぼ伝わらないだろう。

 

 

『サハク将軍、派遣軍の第三MS中隊のナカムラ一佐です』

時間通りか。

『ナカムラ一佐、現在地は?』

『将軍の上空15km辺りで停止しています』

『ではこちらの声も聞こえるようにするので、マリアの演出に合わせて降りてくれ』

『了解。配置はどうしますか?』

『マリアを中心に左右に各7機を並べろ。隊長機はマリアの後ろだ』

『敵は全部攻撃しますか?』

『まずは皇帝を最初に撃て、次に指揮官の貴族とドラゴン、その次に動きがやたらいい傭兵部隊と魔法使いだ。撤退する徴兵された兵士は攻撃するな。それと飛行形態への変形はするな』

『了解』

 

脳内通信は初めてだが中々便利だ。特に他人に聞かれると不味い環境下では使える。

 

 

「マリア、準備は完了した。演説を初めてくれ」

「分かったわ」

 

そろそろ開始しないと晩ご飯までに終わらないな。

 

SIDE OUT

 

 

「諸君!敵兵力は我らの九倍であり、メイジ数は我らの4倍だ!」

高性能な小型マイクを使って自軍全体に聞こえるように話す。これだけでも充分神秘感を出せる。

「しかし!勝つのは我らだ!何故なら私が正当なる後継者であり、天は我らに味方するであろう」

これは言ってるマリアが一番信じてない。

「その証拠に我がゴーレムを見よ!」

マリアが詠唱するふりして、杖を振る。すると空から現れたのは20メイル前後のデカイゴーレム(らしき物)だ。この大きさのゴーレムなら土のトライアングルでも作れる。しかし空は飛ぶし、機動性が高い、形は洗練されていて、更に装甲が光を反射している。無骨でノロマの土ゴーレムとは全く違う。何よりこの大きさのゴーレムを15体作る実力はとんでも無い……と思われている。

「さあ、我がゴーレムに続け!」

理論が無茶苦茶だが強ければ問題なし。

(ナカムラ一佐、攻撃開始だ)

(『了解』)

 

裏でも攻撃命令が出される。

 

 

 

まず。隊長機の最初に一撃で一番派手な服着てた敵(皇帝)が消滅した。更に空中からの一方的な攻撃に手も足も出ない。

 

 

こちらのフネと竜騎士が居ないのを知ってて、皇帝も最低限の竜騎士しか連れて来ていない。その数は15だが、彼らは真っ先に逃げて行った。初撃で最高指揮官が撃破されたのはショックだったのだろう、皇帝軍は兵力で圧倒しているにも関わらず、逃げようとする者と戦おうとする者に別れた。それらが足を引っ張り合い、何も出来無い。

 

 

マリア軍兵士は引きつった顔で敵陣を見ていた。これは酷い。一方的もここまで来ると戦争にならない。それにあそこの突っ込むのは巻き込まれそうなので行きたくない。15分位して、フラッグは上空に去っていった。既に有力の部隊は壊滅している、未だ戦うのは極僅かの殿だ。

 

 

結論から言うとマリア軍の相手は殿だった。だれかが叩ききれなかった傭兵達を掻き集めて殿にしたようだ。余程職業倫理がしっかりしているのか、それともバカなのかは分からないが、とにかく彼らは逃げなかった。

 

 

マリア軍はそのままウインドボナまで迅速に進軍し。首都を占拠する。そして直ぐに女王即位を宣言し、更に国名を帝政ゲルマニアからゲルマニア王国に変える。中立派はこれに従い、合わせて壊滅した皇帝派を一掃する。ゲルマニア王国に改名したので一応これでゲルマニアも他の国と同等と言う事になる。ブリミル教の者が煩かったが、全部無視した。

 

 

ゲルマニアの状況は最悪だった。前王が無くなってからは後継者が溢れ出し、ブリミルの血と言う絶対的基準は無く、歴史も浅いので王という物の力は弱い。何よりも権力争いに熱中する者が多く、領地経営に精を出す貴族は少ない、街の治安はダントツで最悪だった。これが大国でなければ直ぐに滅んだだろう。これを立て直すのは苦労するだろう。歴史という物は意外と役に立つ物である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15機のMSは全部マリアが「ユビキタス」と「クリエイト・ゴーレム」を合わせた新たな魔法で作ったゴーレムと思われている、よく考えると空から登場したとか色々疑問があるがそれよりもその強さは規格外だった。

 

トリステイン王とマザリーニは一番の被害者だ。長い間ゲルマニアと小競り合いを起こしたトリスティンはMS隊の攻撃の最有力候補だ。今後しばらく、トリスティンは女王マリアの機嫌を取るために貴重なマジックアイテムを幾つも渡した。また、「あんな危険な者を持つ野蛮人どもは直ぐに滅ぼすべきだ!」とか言うバカもいるが。

 

 

ガリアはハルケギニア最大国家だけあってそれ程脅威に感じていなかった。先の戦闘でMS隊は15分しか攻撃していない。これは女王マリアの精神力は15分しか維持できないと考えられてるが、実際は混戦時に味方殺しをしない為である。事実はともかく、15分耐えればいいと考えたガリア軍部は安心している。トリスティンでは無理だがガリアの国力をもってすれば15分なら耐えられるからだ。彼らはそのまま後継者争いを続ける。

 

 

アルビオンは依然とわれ関せずを貫き通している。彼らは空は安全と考えているようだ。

 

 

ロマリアも困っている。ブリミルの子孫では無いが故に王ではなく皇帝を名乗っていたゲルマニア人がブリミル教を無視して自ら王を名乗った。これはブリミル教の権威を傷つける行為だ。トリスティンとアルビオンでは軍事的にゲルマニアの脅威にならないし、頼りのガリアは戦える状況ではない。何よりもMSのインパクトが凄まじかった。内部崩壊させようにも、内戦が終了した現在の平民にそんな余裕があるわけ無く、ゲルマニア貴族への影響力は足りない。今は「認めない」と宣言する以外なにも出来なかった。

 

 

なお、この戦争はエルフ達にも知られたが、精霊の力に絶対的な自信を持つ彼らはMSを土メイジと風メイジの合作としか考えていない。流石のエルフでもMSが科学の産物だと考えられなかったようだ。エルフは依然として人間の国とは接触しない。

 

 

ネオ・オーブの転移から一年。ロイ・サハク以下六人は自然にハルケギニアに入り込み。マリア・スカンジナビアを女王としてゲルマニアを乗っ取り、ハルケギニアにて無視できない影響力を持つ事になる。メタルベースでは小型マスドライバーが完成し、ネオ・オーブ本国ではマジックアイテムの早期研究が終わり、本格的かつ大規模な研究の準備が始まる。

 

 

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