今日っていうか昨日ですが、ようやく期末が終わりました。行列と微積オワた。
さて、突然ですが、みなさん星見てますか?
この話を投稿している8/12~8/13の夜はペルセウス座流星群です。主人公の星矢の名前の由来にもなった流星群ですね。量も、最近ちょっと怪しいですけど一位を守っている主要流星群の一つです。お盆のころにやるので、見やすいですよね。
もし「もう、その時間すぎちゃったよ、バカ!」っていう人も大丈夫です。流星群の極大が今日というだけですから、一日二日程度ならまだ見られたりもします。やったね!
それでは、実際の星空を眺めながら、主人公達の天体観測に思いはせていただければと思います。
お楽しみいただければ幸いです。
星を見るのに大切なのは、素直に感動する心だけだというのがちょっとした持論だ。
その点に関して、目の前にいるうちの顧問は最高といっていいだろう。綺麗なものを綺麗と思い、その美しさに素直に感じ入ることができる。
それが、最も大切で、意外に難しい要素なのだから。
一方で、最近の俺は、それを忘れていたような気がする。
ISに乗れるようになってポラリスに行くことができると分かってから、素直に感動する無垢な心をどこかに置いて来てしまったのかもしれない。
貪欲に、がむしゃらに、走り続けていたような。
それ自体を悪いとは言わないが、あの無垢な心を忘れてしまえば、俺自身が抱いてきた夢を何か違うものに変えてしまうような。
先のやり取りは、そういった警鐘みたいなものに思えた。
「……次の星座の話を、しますね」
「はい、お願いします」
夜風が通り抜けた心は、いつもよりすっきりしていた。初心に帰るというか、懐かしい、目新しい興奮を感じている。
山田先生と見る星は、これからの人生できっと大切な記憶になるだろう。
「次はですね……かみのけ座にしましょうか」
かみのけ座は、全天に存在する星座の中でもかなり変わった星座の一つだ。
……あ。かみのけ座にするんだし、ついでにかんむり座も、一緒に話すか。
「かみのけ座、ですか? えっと…………あ、ありました」
星座図鑑を必死にめくっていた先生がかみのけ座を見つける。発見した安堵で気づいていないようなので、ちょっと質問を投げてみる。
「山田先生。それ、なんかおかしくないですか?」
「おかしい、ですか?」
「はい。他の星座と、何かが決定的に違うはずなんですよ」
「決定的に、違う……?」
しばらく、パラパラと星座早見や星座絵付きの全天図を眺めながら、おかしい部分がないか調べる山田先生。俺はただ、黙って眺めている。
これ、俺も母さんにされたんだよな……。
「えーっと、うーん……」
図鑑を顔に近づけたり、遠ざけたり。いろんな角度から見ている山田先生は、小学校に入る前だった俺を見ているようで、本当に懐かしくなる。
知っている人が、知らない人に伝えていく。教え、教わるという循環で、俺達は星を見ている。
「見つかりました?」
「いえ……でも、何か足りないような気がするんです……」
「そうですね! 足りないんですよ、大事なあれが」
「大事な、あれ?」
そうして、また図鑑とにらめっこ。
どうだ、見つかるか?
「…………ああ、もう、見つかりません……」
と、肩を落とす。
自分もそうだったな……という懐かしさのまま、俺は母さんが俺にしたように、質問を重ねる。
「じゃあ、一つ質問です。オリオン座を描いてみてください」
「オリオン座、ですか? えっと、確か……」
と、山田先生は宙に三ツ星とそれを中心とする四つの正方形を描いた。うん、それだ。
そして、次が最後。
「では、かみのけ座は?」
「え? えっと…………あ…………あっ!!」
そこでようやく気付いたようで、山田先生は驚いたように俺の方を見つめた。
「これ、線がないんですね!!」
「はい、その通りです」
かみのけ座は、全天中で唯一の星座線を持たない星座なのだ。
「星座というのは、基本的に星と星を結び合わせて作りますよね? ですが、このかみのけ座だけは、その星座線を持っていないんです」
一応、
「かみのけ座は、もともと『ベレニケのかみのけ座』と呼ばれていて、ベレニケというエジプト王妃が由来となっています」
ベレニケは美しい髪の持ち主だったのだが、女神アフロディテに「夫が戦争に勝つのなら髪を捧げる」と約束した。そして、実際に夫が戦争に勝利したので、彼女は自らの髪を神に捧げたのだ。
すると、翌日になると髪は捧げていた神殿からなくなっており、天文学者であるサモスのコノンが「神が王妃の髪を大変に気に入ったため、星座にしたのだ」と言ったという。
そんな、神との契約にすら出せる彼女の髪は、現在でも
「Mel111は少し暗いですが、肉眼でも確認できる星団です。……って、かみのけ座の一番話したいのはそれだけじゃないのですが」
「そうなんですか?」
「はい。今のは、神話とか由来の方ですよね。今度は、天文学や観測に関することです。次にお話ししようと思っているかんむり座でも出てくるので、このタイミングで」
それに、これから話を発展させていくときに、話しやすくなるのもある。
「なるほど……では、お願いします!」
力強い返事を聞いて、俺は夜空を仰いだ。
「では、その説明の前に、かんむり座の神話等に関する話をしておきましょう」
かんむり座は、うしかい座の視線の先に位置する星座だ。
もっとも明るいのが2.2等のα星の
ちなみに、α星のアルフェッカだが、訳は“欠けたものの明星”が最もよく使われており、欠落した明星というのは俺が言いやすいようにそう呼んでいるだけだ。また、別名に
「欠けたものの……明星、ですか?」
「はい。アラビアの方では、かんむり座は壊れた輪だと思われていたので、そのような名前が付いたのだといわれています」
かんむりという名前自体は、安定のギリシャ神話由来だ。
基本的にかんむり座は、世界中で車輪、かんむり、首飾り、かまど等のイメージを持たれている。
「で、かんむり座の注目点ですが、爆発型変光星のプロトタイプである、かんむり座R星ですね」
「変光星っていうのは、確か……明るさが変わる星ですよね?」
「はい、その通りです」
よくあげられるのは、クジラ座のミラやペルセウス座のアルゴルだろうか。
「変光星には、いくつか種類がありまして、爆発型、脈動、回転、激、食、X線、その他の7種類が基本としてあります。そして、それぞれの中に、さらに細分化した分類をするのですが、その分類名が具体的な星の名前を使うんです」
「具体的な星の名前を入れるって、分かりやすいですね。……でも、名前じゃ性質が分かりませんけども」
「それは……覚えるしかありませんね」
まあ、細かい分類まで覚えると、数が多いしマニアックだしで、大変なことになると思う。
「詳しい内容はともかく、爆発型変光星……恒星の大気や表面の爆発によって不規則に明るさの変わる星、だと思っておけば大丈夫でしょう」
かんむり座R星を爆発型変光星の一種だと認識している人間が、星好き以外にいることはほぼないだろう。もしいたら、そいつはクイズ王に違いない。
「まあ、後は……ο星の太陽系外惑星とか、T星の反復新星とか、アルフェッカの突っ込んだ話とか、あるんですけど。時間も押してますし、本題に戻りましょうか」
「え? ……あ、そういえばそうでしたね」
ちょっととぼけた山田先生がおかしくて、少し笑ってしまった。
と、それはともかく。
これから話したいのは、はるかな宇宙のスケールについての話だ。
かみのけ座の方に視線を移して、ゆっくりと説明を始める。さて、どうやって説明したものか……。
「実はですね、かみのけ座の方角には銀河の北極があるんです」
銀河北極、または銀緯+90は、銀河を地球のような天体と考えた時の北極と思えばいい。赤道に相当する銀河面を基準とするもので、銀河北極はその垂直真北にある。
「銀河北極の方には星間物質が少なく、たくさんの銀河が見られます。かみのけ座銀河団や黒眼銀河など有名なものもあるので要チェックですが、それよりも今日は、初めて見つかった宇宙の大規模構造であるかみのけ座超銀河団、そして、最大であるヘルクレス座・かんむり座グレートウォールがあるってことで。これについてお話ししたいと思います」
「宇宙の大規模構造、超銀河団、ですか?」
「はい。詳しくお話していると途方もない時間と知識を要しますので省略しますが、要するに大きな天体の塊、と思っていただければ」
宇宙でのスケールをマクロなものに変えていくと、地球→太陽系→銀河→銀河団→超銀河団→宇宙の大規模構造と移り変わる。
太陽系を集めたものが銀河で、銀河を集めたものが銀河団で、銀河団を集めたものが超銀河団で、超銀河団を集めたものが宇宙の大規模構造だ。
まあ、ちょっと正確性に欠けるけれども、概ねそうだと思ってくれればいい。
宇宙の大規模構造は、宇宙の泡構造とも呼ばれていて、視覚化するとスポンジや泡のような疎の部分と密な部分がはっきり分かれた構造をしている。
この構造の成り立ちには宇宙の成り立ちであるビックバンからの話になるし、先端物理学や天文学を全力で駆使した内容になり、難易度的な意味でR18になる。高校物理は基礎知識レベルだ。
「……まあ、要するに。そうなんだー、程度に知ってもらえたらいいです。これから、その情報に肉付けしてちゃんとした理論や知識としてもらえれば」
ともかく、今回話したかったのはこの宇宙のスケールについてだ。銀河から先の、もっと広い宇宙のことを知ってもらいたくて、かなりの難易度があるが話をした。
細かい知識は学者がやることであって、俺達のような星好きが知っている必要はない。まあ、気になるなら、全力で解説する次第ではあるが。
まあ、話した一番の理由は俺が好きだからなのだけれど。
「好きなんですか?」
「はい。なんて言うか、宇宙の大規模構造を知ったおかげで、漠然としていた宇宙の広さが少しだけ現実味を帯びた世界になったような気がしたんです」
宇宙がどこまであるのかという問いに、正確に答えられる人間はいない。どれほど数字を重ねようが、きっとそれはあてずっぽうの答えに過ぎず、どこまでも妄想のたぐいでしかない。
天の川銀河の向こうに宇宙の果てがあると思う人がいるかもしれないし、マゼラン銀河の向こうという人もいるかもしれないし、そもそも果てなどないという人がいるかもしれない。あるアニメでは、携帯の電波が届く範囲が世界だなんて言った人もいたっけ。
「宇宙の大規模構造を知らなかった俺は、宇宙の果てなんてないんだと思っていました。でも、宇宙方程式の話とかを聞けばそうじゃないってことを知って。それからは、光が届く範囲だと思いました」
宇宙の果て、あるいは、地球から。宇宙で最も早い光が行くことのできる場所こそが、きっと宇宙の範囲だと思った。
「でも、それって、結局のところ、何も変わっていなくて」
光が届いていないのは、これまでの宇宙の歩んだ時間の中で光が進み切れていないだけ。なら、もっと時間をかければ宇宙はさらに広くなる。それは、事実上無限に等しい世界だ。
だから、俺は、宇宙の姿を、理解していなかった。
「宇宙の大規模構造を知った時は、頭の中でイオの代わりにフラックスチューブを食らったような感覚だったんです。急いで近所の図書館に行って天文学の専門書を読み漁りました」
おまけに、大学で博士課程だった真紀子さんに頼んで大学図書館にある専門書を貸してもらったりもした気もする。
「人類は、少しずつ宇宙の果てを目指して進んでいるんです。それが人の役に立つかなんていうのは、知った後に考えることで、俺達は純粋にまだ見ぬ果てを知りたいと思っている」
今は宇宙の、大航海時代・開拓時代なのかもしれない。夢見る星好き達は、まだ見ぬ
「だから、その、えっとですね……」
何が言いたいかといわれると、俺自身も分からないのだけど。
ただ一つ伝えたいのは、
「
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
山田先生の言葉を待つ。が、返事がいつまでも来ない。
少し顔を伺うと、顔こそ俺の方を向いてはいるが、視線がどこか定まらないまま思考の海を漂っている。
「……えっと、その…………」
「…………」
声をかけられる雰囲気ではない。
少し時間を空けようと思って待っていると、山田先生の視線が少しずつ現実に戻ってきた。
「いなくならないでくださいね」
「――――っ!?」
心を刺し穿つ言葉が放たれた。
自分がずっと心の中で抱えてて、誰にも言うことがなかった部分を、一瞬で串刺しにされた。
「私には、溝口君の持ってる夢に対する気持ちは分かりませんけど。けど、教師として、大人として、これだけは約束してほしいです」
子供っぽいかもしれませんけど、なんて言いたげな表情で、先生が小指を俺に出してきた。いわゆる、指切りってやつだ。
俺は、こわごわと小指を出して山田先生のそれと絡ませると、上下に二回動かした。
「約束、ですからね!」
「……はい」
と、答えたが心のどこかで無理だろうと思った。
俺はきっと、独りで北極星に向かうに違いない、と。
「…………」
「…………」
「…………」
「……さ、さて、それじゃあ、次の星座に移りますね」
変な空気を壊したくて、慌てた声が出てしまった。
「次は、てんびん座です!」
「お誕生日星座ですね」
てんびん座は、黄道十二星座で唯一の生き物ではない星座だ。意外と、忘れられがちなことなんだけども。
「あ、そういえば、そうですね」
「てんびん座の由来には諸説ありますが、基本的におとめ座のモデルである正義の女神が持つ天秤であるとされています。女神はアナトというエジプトの神だったり、ディケというギリシャの女神だったりします」
どちらも、人の心や罪を裁くのに使ったといわれている。
「ですから、よくおとめ座とセットにされることが多いですね」
ただ、もともとはさそり座の一部であったと思われるのだけれども。
「さそり座の一部って、どういうことです?」
「てんびん座の星の名前は、
そのため、ほかの黄道十二星座に比べると新しいと思われるのだが、それでも黄道十二星座なことからメソポタミア由来になるくらいの歴史をお持ちである。
「てんびん座の明るい星は、ほとんどなくて。一応、二等星になる連中が空気が澄んでいれば何とか見られるくらいのレベルです」
かに座と一緒で、星座を見つけようと思うよりは違った面を楽しんだ方がいいと思う。
てんびん座の星は光学二重星や食変光星、最も年齢の古いと噂のHD140283等、面白い恒星が多い。
「まあ、てんびん座は気楽な観測に向いた星座ではないので、名前と面白い星がちょくちょくあると知っておけば、大丈夫なのではないでしょうか」
と、てんびん座はこの辺にして、どんどん次に進んでいこうと思う。
残っているのは……三つだな。
「後は、りょうけん座、うしかい座、おとめ座の三つですね。これは、一緒にすると話しやすいので三つまとめて話したいと思います」
正確には、りょうけん座とうしかい座、おとめ座とうしかい座がまとめると話しやすい。
「では、まずはりょうけん座からにしましょうか」
りょうけん座は、うしかい座が飼っている犬を星座にしたものだ。うしかい座なのに犬飼っているのかよ、というツッコミはなしでお願いしたい。
りょうけん座を作ったのは、ヤマネコ座等の作者であるヘベリウスだ。
これもまた、穴埋め的な存在だろう。二匹の番犬が星座絵として描かれることが多いが、星座線は短い直線が一本という、あまりにも簡素すぎるものとなっている。ちなみに、こいぬ座と同じで、俺はこれの違いを見分ける自信がない。
「二匹の番犬ですが、
アルカスという男が飼っていた二匹の犬の名前なのだが、違う解釈もしたりする場合もあるので確定とはあまり言えない。
「一応、うしかい座のモデルがそのアルカスなのだという説があるのですが、アトラスだとかエリクトニウスだという説もあります。そもそも、アルカスはこぐま座のモデルでもあるので、正体が結局はっきりしてないんですよね」
その辺は個人の趣味というか、好き好きの話なので、好きな神話に当てはめて楽しめばいいと思う。
「それで、りょうけん座の恒星の話ですが、α星はコル・カロリといいます。当時のイギリスの王にちなんで、“チャールズの心臓”という意味があります」
これは、チャールズ二世とよく言われるが、一世のことを指しているのだという人もいたりする。どちらが正解かは、ヘベリウスに訊くしかないのだろう。
「りょうけん座については、このくらいでしょうね。もともと、歴史の新しい星座なので、あまり多くのデータもないのですが」
恒星に限らなければ、子持ち銀河M51などがある。渦巻の腕がはっきりしている、面白い銀河だと思う。
「で、今度は飼い主の方について話していきましょうか」
うしかい座は、飼っているりょうけん座とは違い、歴史の長い星座だ。
そのせいかは知らないが、先ほども言及した通り由来がはっきりしていない。様々な説が行きかっていて、おそらくこれだろうという答えが出ていなかったりする。
「由来については、どれか分からない以上あまり突っ込んだことを説明できないので、それ以外について話していきましょうか」
うしかい座には有名な星がある。春の大三角や春の大曲線に組み込まれている星の一つであるアークトゥルスだ。
「
他の大三角の星に比べれば、知名度は一段下になってしまうのだが、明るさ的にも話題性もほかの星に引けを取らないので知っておいてほしいと思う。
そもそも、大三角は夏と冬ばかりが先行していて、春がどこか置いてけぼりなイメージがある。夏と冬の大三角の星は言えるが、春の大三角は言えないという人が多いのではないだろうか。
「春の大三角は、おとめ座のスピカ、うしかい座のアークトゥルス、しし座のデネボラの三つです。どれも有名で面白い星ですからぜひ覚えてください」
「はい、分かりました! …………あの、それでなんですが」
「どうしました?」
「春の大三角っていうのは分かるんですけど、春の大曲線ってどんなのなんですか?」
「ああ、そうですね」
春の大曲線は、北斗七星の柄の部分からカラス座まで伸びている春の夜空を通る曲線のことだ。これを使うだけで、春の主要星座を網羅できるというすぐれものなので、知っておいて損はないと思う。
「おおよそ、しし座が中心になる弧になりますね。120~150°くらいかな?」
北斗七星、アークトゥルス、スピカ、カラス座と並んでいる。春の大三角の星が見つかるので、すぐにしし座が見つかる。カラス座が見つかっているので、ウミヘビ座も見つかる。
北斗七星、アークトゥルス、スピカ、しし座、ウミヘビ座等、天文初心者が最初に見ていくであろう星々が、春の大曲線一つであっという間に見つかってしまうのだ。
「すごい便利なんですね……」
「ええ。そういうのに便利な
では、最後に、その中の一つであるおとめ座の説明をしていこうと思う。
「おとめ座は、黄道十二星座の一つですね。由来は、てんびん座の時にお話ししましたが、正義の女神だというのが一般的な説です」
スピカ以外に明るい星は特になく、夜空で見ようとすると麦の穂先ばかりが輝いているような印象を受ける。
「黄道十二星座は、黄道上を通っているからという理由で選ばれていますので、α星にある明るい象徴的な星以外は、意外と暗い星ばっかりで構成されている、なんて星が多いですね」
「かに座やてんびん座も暗い星ばかりでしたね」
「はい。あまり、観測に向いたものではないことが多いです」
もちろん、このおとめ座をはじめ、しし座やおうし座、さそり座等のように目立つ星があって観測しやすいものもあるのだけれど。
「おとめ座ですと、宇宙の大規模構造の時に名前が出てきました、銀河団というのが有名だったりします」
おとめ座銀河団は、地球に最も近い銀河団だ。数千もの銀河が集まっており、その大きさは銀河の集合体というところからおおよそ察していただきたい。
「おとめ座に関しては、スピカとおとめ座銀河団くらいですね、話すことは」
宇宙の大規模構造の話などもしたので、後半はライトな内容にしておいたつもりだ。やはり、難し内容ばかり詰め込んだって疲れるだけでしかないし。
……まあ、それはともかく、
「これで、春の星座の全解説、終了ですね」
はぁ~、と息が漏れる。うん、普通に疲れた。
「ありがとうございます、溝口君。お疲れ様です」
どうぞ、と先生がお茶を入れてくれた。冷たいとまでは言わないが、少しひんやりとしたお茶がおいしい。
勢いよくお茶を飲みほして、さらにおかわりまでもらった俺は、ブルーシートの上に寝転がった。目の前にこぼれてきそうなほどの星が広がって、はるかな星の輝きが網膜に焼き付く。
「……溝口君は、ご家族も星が好きなんでしたっけ?」
「はい。母親はロマンチストで、星がロマンチックだからなんて理由で星が好きだったみたいで。父親は古い書物の研究をしているんですけど、たまたま見つけた航海記録がきっかけで星に興味を持つようになったらしいです」
どちらも、らしい理由だと思う。
うっとり夢見がちなところがある母さんに、古い書類を普通に読める謎スペックの父さんと。姉さんは真紀子さんに憧れて理系に進んで、その影響か専門的な方面に詳しくなっていた。
好きなジャンルはどれも違うが、一つだけ言えるのはみんな星が好きだということだ。
「溝口君は、どんなことに詳しいんですか?」
「俺ですか? 専門、なんて言うものは特にないですね……」
広く浅く、といった感じで。星の由来に関しては母さんに負けるし、専門知識なら姉さんに勝てない。でも、どっちもそれなりに詳しいのが、俺だと思う。
「まあ、強いて言うなら」
「強いて言うなら?」
すべてが専門、
「なんて、言えるようになりたいですね」
きっと、無理なんだろうけど。星、というジャンルに強い自分でいたい。星を好きで、何でも知っている自分でいたいと思う。
「星は、俺のあこがれですからね」
手を伸ばしても届かない。何光年という距離が、ある。
でも、いつかは、いつかISで宇宙に飛び出せる時が来るのなら、
「その時は」
この手が、届く場所にいたい。
星のネタ
・頭の中でイオの代わりにフラックスチューブを食らったような感覚だったんです。
フラックスチューブというのは、木星から惑星イオに向かって放たれる超強力な雷。別名、エターナルフォースライトニング(嘘)。フラックスチューブ自体の意味は“磁束管”。普通に「頭に雷が走った」といえばいいのですが、雷の威力や宇宙好きのアピールのため、いちいちこう言っているだけです。深い意味はない。
雑談
今日からようやく夏休みです。長かったね、試験期間。でも、終わるのはよその大学より早いって頭おかしいよね。早速単位を一つ落としたので、追試が確定しました。追試あってよかったよ(だから、捨て科目にしたんだけど)。
私事ですけど、プログラミングでゲームを作ったりしてます。まだCしか勉強してないので、使うのはC#かC++ですね。Unity使ってやってます。
後、小説を買いすぎてお金ないです。「八咫烏シリーズ」「君を愛した一人の僕へ」「週末何してますか? もう一度だけ会えますか?」「小説・仮面ライダー」とか買いました。まだ、読んでないです。図書館でも「羊と鋼の森」「また、同じ夢を見ていた」「ドグラ・マグラ」を借りました。夢野久作ェ……。
ジャグリングの練習も始めたので、それもやりたいんですよね。それに、一次の小説も書きたいというか、大学生の間に大賞に送ってみたい。うん、忙しいですね。
まあ、これの更新もできる限りしていく予定ですので、見捨てないでほしいです……。
それと、この話、ペルセウス座流星群に間に合わせるために大急ぎで書いたので、後からちょくちょく訂正を入れるかもです。
流れは変えませんが、なんか違ったらそうだと思っていただければ。
次回からは、第三章に入ります。シャルロットさんとラウラさんだよ! やったね!
そして、最後に。
8/14は何の日でしょう?(本作に関係のあることで)
正解者から抽選で、番外編の希望から更新速度の上昇まで、できる限りのお願いを聞いちゃうぞ☆
作者まで直接ダイレクトメッセージを送ってね! 期限は次回更新予定日の8/15、0:00だよ!
と、メッセージが来るのかよくわからないイベントを起こしてみる(深夜テンション)。