~夢見る少女の転生録~   作:樹霜師走

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 ※ SEED Destiny本編中は可能な限り控える予定でしたが、今後、本小説は劇場版『SEED Freedom』の要素を普通に含みながら展開して行く予定です。お断り。

 今話はオリジナルキャラクターのアトラ・デンソン、ならびに原作にてほぼ描写がなく半ば本作オリジナルの主人公となっているマユ・アスカに関する紹介エピソードになります。



『アスカという少女』

 

 

 平和の歌姫こと、ラクス・クラインは先の大戦後、活動拠点を〝プラント〟へ移した。

 最高評議会議長の座こそ、中道派のギルバート・デュランダル氏に譲ったものの、これは言葉のとおり、本当にラクスが議長の席を「譲った」ことで発足した、プラント新政権である。

 

 戦中におけるザラ政権の暴走を食い止め、泥沼化する戦争を終結に導いた〝調停者〟として、ラクスの存在は〝プラント〟における救国の姫君と目されるようになっていた。

 そんな彼女が次期代表の座に就くことを望んだ国民の声は、非常に大きなものであったが、ラクス自身はこれらの声援を受け流す形で、代表の座をデュランダルに明け渡すことを望んだ。

 

 この決断には相応の理由があった。

 それはラクスの亡き父、シーゲル・クラインの存在だ。

 

 シーゲル・クラインは前大戦中、地球連合への徹底抗戦を宣する【黒衣の独立宣言】を行った。つまりは『武力による地球への宣戦布告』を行った人物でもあり、その名を聞き知る者は多い。独立宣言の過程で行われた軍事行動──地球全土へのNジャマー散布──は地球側に大勢の死者を出し、そのような惨禍を招いた『クライン』の名を持つ彼女が、もうふたたび〝プラント〟側の代表に立つことで、地球連合に無用の悪感情を植え付けるのではないか、とラクス自身が強い危惧を示したのだ。

 

 救国の姫君として〝プラント〟国民からの支持が篤いことと、地球側が彼女の存在をどう見るかは全く関わりのない部分であり、そうした彼女の意向を議会側が了承した結果、彼女の代わりに、ギルバート・デュランダルを擁立した新政権が発足する運びとなった。

 

 

 

 

 

 

 期待の新造戦艦〝ミネルバ〟──

 その慣れないモビルスーツ・デッキに機体を着艦させ、ラダーから降りたマユを待っていたのは、アカデミーを共に過ごした同期達の姿だった。

 

「おっ、噂は本当だったな? 聞いたぜ、強奪犯から〝アリアドネ〟を守ったんだってな!」

「久しぶりー! マユ!」

 

 浅黒い肌のヨウラン・ケントに、オレンジ色のメッシュが前髪に入ったヴィーノ・デュプレ。どちらも技術スタッフの作業着を着ているが、この〝ミネルバ〟に配属されたメカニックだ。

 

「ほんとだね、みんな元気でやってた?」

 

 思わぬ形での再会に、苦笑いが多少混じってしまう。

 だが友人達と出会えたことは、マユにとっては素直に嬉しい誤算でもある。

 

「つか、なんで私服?」

「あっ、あはは……」

 

 街中を歩いているときは気にならないものだが、やはり軍艦という無機質な空間に、ウサギのキャラクターが刺繍されたパーカー姿はどう見ても浮いていた。

 ──ホント、どうしよう。

 いま考えるべきことではないかも知れないが、ザフトの赤服は色の重みを考えれば、早々に替えが用意されているものではないのだ。それとも最新鋭の〝ミネルバ〟であれば、後で融通できるだろうか。

 

「…………」

 

 マユは見慣れない艦内を見渡す。モビルスーツ・デッキは勿論、ナスカ級とは随分と勝手が違う。カタパルト前の中央部には四階層になったデッキがあって、そこから〝インパルス〟のコアスプレンダーやシルエット、上肢に下肢が順々に発進するのだろうか? またしても余談だが、それら全ての整備を任されるヨウランとヴィーノは、本当によくやっていると思う。

 と、そのデッキの方角から、ちょうど機体のパイロットが漂いながらやってきた。アトラがその場に合流し、ヴィーノ達は雑談を再開させた。

 

「しかし、本当にとんでもないことになったよな」

「ああ、信じられないっつーか、マジで嘘みてえ!」

「なんでいきなり、こんなことになるんだよォ」

 

 ふたりとも憂鬱そうな表情を見せている。進水式もまだなのに、いきなりの実戦で、クルー達が戸惑うの当然といったところだろう。

 

「まさか、これでこのまま、戦争になっちゃったりは……しないよね?」

「……と、思うけどね」

 

 不安げな様子でヴィーノが訊ね、ヨウランは肩を竦めた。実戦すら初めての新兵に、戦争が起きるかを判断できるほどの経験や知識はない。

 だからこそ彼は、自らの同期生の中で、最も論理に趣向する者を見つめた。

 

「アトラはどう思う?」

「……まず、明かすべきは〝ボギーワン〟の所属かな」

 

 アトラは苦々しく答えた。

 

「アレがどの国の、もしくはどの共同体(ネイション)から派兵されたのかっていう問題を明らかにしない限り、推論を立てることも出来ないでしょ? 根無し草の宇宙海賊(ゲリラ)か、それとも──みんなが薄々感じているように──地球連合か。もっとも、他にも色々と考えられるしね」

 

 けれども同時に、実感としてはこうも思ってしまうのだ。

 

「でも、とてもゲリラの集団とは思えないよね……」

 

 大掛かりにして周到な計画。〝ダガー〟をはじめとする投入された機動兵器の種類、そして数──

 ──何より、あの〝ガイア〟が誇った強さ……。

 あれほどの人材を抱えられる組織があるとすれば、おおよそ、それは。

 

「地球連合軍、ってこと……?」

 

 恐々としてマユが訊ね返し、その質問に対して、アトラは賢しくも直接的な言及を避けた。軍人としての迂闊な言動が、今後の火種になることを恐れたからだ。

 場に沈黙が落ちる。そんなときだった、彼らのいるモビルスーツデッキに、物々しい随員を引き連れた人物が姿を表したのは。

 

「……?」

 

 随員の先頭を歩くのはレイ・ザ・バレルだ。その存在を、マユが真っ先に目に留める。

 そんな彼の後方に位置していたのは、黒い長髪に、すらりとした白皙の体躯、不思議と人を引き付ける存在感を放つ──

 

「え──デュランダル議長!?」

 

 アトラの咄嗟の声に気付いたのだろう、キャットウォークの上にいたデュランダルは、こちらへ気付いたように人の好い笑みを浮かべた。

 

「やあ、アトラ。久しぶりだね」

 

 ──議長が何故、この〝ミネルバ〟に?

 見下ろすように話しかけられ、アトラを取り巻くマユたちは更に驚いた。まさか自分達の同僚が、かのギルバート・デュランダル氏と面識を持っているとは思わなかったからだ。

 親しげな挨拶もそうだし──いったい、いつの間に……?

 

「アトラ、デュランダル議長とお会いしたことがあったの?」

「あ、うん。まあ、前にね……っ」

 

 言い淀むアトラに、マユは怪訝な顔を返す。デュランダルは相変わらず、人の良い笑みを浮かべている。

 

「積もる話もあると思うが、君達とは後ほど時間を作ろうと思っていたところだ。後で艦橋(ブリッジ)に上がって来てくれるかな?」

「あっ、はい。……了解しました!」

 

 そう云い残すと、彼は満足気に笑い、レイに先導されてデッキを立ち去っていった。その背をマユは呆然として見送る。

 ──ギルバート・デュランダル議長。

 マユもまた、当然に彼のことを知っていた。戦後の〝プラント〟において、カナーバ政権が退陣したのち、最高評議会議長に就任した人物。ナチュラルとの融和政策をはじめとする穏健派の思想を継承しつつも、急進派にさえ理解を示す中道派。国家の軍事需要の必要性を説くがために、今回のセカンドステージシリーズの開発も主導した──

 だが、何にせよ、マユにとっては初めてお見かけする人物だった。

 

 

 

 

 

 デュランダルに指示されたように、アトラはマユと共に〝ミネルバ〟のブリッジに向かった。艦長からの指示によっても、マユは事情聴取のために呼び出されたというのもある。

 その道中の廊下を渡る中で、マユがアトラに尋ねていた。

 

「議長とお会いしたのって、いつ頃の話?」

 

 要は雑談の延長だ。純粋な興味から、彼女は訊ねていた。

 

「んー。アカデミーを卒業して、すぐだったかな」

 

 少なくとも在学中でないのなら、マユがルームメイトとして知らなくとも無理はない。

 そこでアトラは、思い出したように云った。

 

「あ、そうそう。それこそ、街中でしてた話の続きになるんだけど」

「……? そんな話してたっけ」

「誰かさんが聞いてくれずにどっか行ったんだよ!」

 

 珍しく怒られた。

 

「実は私ね、アカデミー卒業後は設計局への就職を希望してたの」

「──え、そうだったのっ!?」

 

 エースパイロットの代名詞とも云える、ザフトレッドらしからぬ発言だ。

 マユは意外に思い、目を丸くさせた。そんなアトラがなぜ、今は〝ミネルバ〟でパイロットをやっているのか、繋がらなかったから。

 アトラは遠い目を浮かべている。

 

「私ね、昔から裏方気質というか、自分ではパイロットよりも技術士官の方が向いてるなーって思ってるの。モビルスーツに使われてる技術とかプログラムとか、研究したりするのすごく好きだし」

 

 それはマユにとって、親友の意外な一面、というほどではない。

 彼女達はアカデミー時代からルームメイトなのだ。その辺りの、性格や気質の片鱗は知っていて当然だった。

 

「何より〝プラント〟の工廠部には、私の憧れの技術士官の方がいるんだ」

 

 名をハインラインというらしい。

 かの〝フリーダム〟と〝ジャスティス〟の生みの親の一人だが、憧れを胸に進路を決したのはマユも同じだ。マユは親友が抱える純然たる思いに共感することができた。

 

「だから進路希望調査の段階で『設計局』って書いたんだけど──その翌日だったかな、デュランダル議長がわざわざ会いに来てくれたのは」

 

 最初は何事かと思ったほどだ。ある日突然、目の前に爆音を上げながらヘリコプターが舞い降り、そのタラップから長身痩躯の色男──デュランダルが微笑みを湛えて現れたのだ。あまりにも怖すぎるし、あの衝撃は忘れようと思っても無理だろう。

 

「へー、それで?」

「新規開発中の最新鋭機──〝インパルス〟のテストパイロットになってくれないか、って云われたの」

 

 そういうことも……あるのだろうか?

 優秀なテストパイロットなら、当時もザフト内にいたはずだ。それを差し置いて、わざわざアカデミーを卒業したばかりの新兵を起用するほどの事情があったのか。それとも、技術士官を目指していた彼女の希望や能力を買ってのことだったのか。

 

「私なんかに過度じゃないかってくらいの待遇で、それはもう凄い熱量でプレゼンテーションして頂いたの。『テストパイロットとして〝インパルス〟に最も近い場所で携わる経験は、今後設計局で働く上で必ず役に立つ』──みたいな」

 

 まあ間違いではない。あのMSほど機動兵器として手のかかるものはなく、裏を返せば、そこにはプラント最新の技術の粋がこれでもかと云うほどに満載されている。

 その道の研究員を志す者であれば、興味をそそられないはずはない。

 ──そう。あくまで研究員として、だ。

 パイロットやメカニック。特に無数の機体や関連パーツの修繕作業に追われるであろう後者としては、あの機体には絶対に関わりたくないとも思う。……ヴィーノとヨウランは良く我慢しているものだ、私なら早々にキレている。

 

「そのときは、一理あるなぁって思ったの。だから私、テストパイロットを引き受けてさ」

「じゃあ、もともと〝インパルス〟のパイロットは、テスト期間中だけって契約だったんだ?」

 

 アトラは頷いた。

 けれども、現状はそうなってはいない。

 

「気付いたら試用期間を満了した後も、パイロットを続けさせられていた──と」

「そして、いつの間にか正規搭乗員みたいな扱いになってた」

「……どういう人事?」

「議長に聞いてよ、もうっ」

 

 前言は撤回だろう。

 アトラは既にキレていた。

 

 

 

 

 

 

 艦橋に案内されたマユを待っていたのは、ギルバート・デュランダルとの邂逅と、それ以前に軍法に則った査問会だった。査問会といっても、裁判のように大々的なものではない。事実確認と個人的な事情聴取に近いが、主査を務めたのは艦長のタリア・グラディスだ。

 マユにとって初めてお会いするその人は、栗色の髪をした果断とした女性であり、同性としては憧れを抱くに十分な人物でもあったろう。が、それに対面で尋問されている間は、はっきり云って生きた心地がしなかった。まるで一挙手一投足を観察される草食動物、下手な言動を見せれば即座に首元に喰いついてくるであろう糾弾の姿勢は、女豹のごとき鋭さを目に光らせていたからである。

 

「敵の目的にいち早く気づき、これを阻止しに向かった貴方の行動は──結果的に見れば正しいとはいえ、そこに至るまでに不可解な点が多すぎます」

 

 追及されたのは経緯についてだ。私服姿で堂々と自軍の工廠内に立ち入ったマユの行動は、やはり軍法(うん)状に違反するものであったらしく、他にも様々な点が様々に抵触していた。これについて、マユはくどくど──というのは割と失礼だが──ひと通りの叱責を受ける破目になっていた。

 それでいてなお、タリアの尋問は終わらない。事情聴取という名の尋問、つるし上げられるかのように高圧的に放たれる質問の数々に、マユはひたすらに戸惑っていた。

 

「それをこの場で解き明かしたいというのは、軍法に則れば当然のことではなくって?」

「えっと、その……」

 

 そこに助け舟を出したというのは、意外なことにギルバート・デュランダルであった。

 

「──報告はそのくらいで構わんよ、タリア」

 

 マユとタリアはそれぞれに驚いて、その端正な顔を見た。

 鋭い顔立ちではあるが、今は穏やかなその表情には、何かしらの底意があるようには見えない。彼はその滑らか過ぎる弁舌でもって先を続けた。

 

「彼女の判断は正しかったさ。もし敵が、目当てのモビルスーツを奪取できないのだと判断したのなら、その機体は先んじて破壊しておくのが賢明だ。あとあと、彼らにとっての脅威となるだけなのだからね」

 

 いや、とデュランダルは口籠る。

 

「むしろ、相手はその脅威をよく分かっているからこそ、こうも大胆な作戦に挑んできた──とも云えるのではないかな?」

 

 その言葉に、タリアは納得半分といった風に返す。

 

「だから、敵はその火種を先んじて奪い、自らの戦力としようとした──」

「ああ。そしてその結果として、彼女は損なわれるはずだった機体をひとつ守ってくれたのだ。その働きは我が国の兵士として存分に称えられるべきで、間違ってもキミに責められるものではないよ」

 

 その言葉に、責めてなどいない、とタリアは心外な様子で抗議の声をあげた。

 が、デュランダルは苦笑してやり過ごした。タリアのこれは、元々の性格なのだ。

 

「……わかりました。議長がそう仰るのであれば、これ以上の査問は無用と判断します」

 

 査問の打ち切り。その言葉にマユはやはり救われたといった安堵の表情を浮かべ、やはり、それを見過ごすタリアではない。

 けれども、やはり一国の施政の長(デュランダル)がそれ以上を求めていないのだ。そんな彼の手前、タリアはもう何も云わなかった。代わりに大きく溜め息を吐いたが、その程度は許して欲しいものだ。

 

「ZGMF-X69S〝アリアドネ〟──でしたっけね」

 

 改めて場を仕切り直すように、タリアは議題を変えた。

 

「なんにせよ、あの機体が〝ミネルバ〟に戻ってきたのは不幸中の幸いでしたわ。正規パイロットの件は……悔やまれますけれど」

 

 だが、後ろばかり向いてもいられない。

 ──今後の展望を考える。

 そうしながら、タリアは云った。

 

「こうなってしまった以上、あの機体はレイに与えましょう」

 

 タリアはあえてマユには目を向けず、つとめて事務的に告げた。

 どんな反応を返されるのであれ、単純に、目を向けたくなかったからだ。

 

「そうしましょう!」

 

 そんな気遣いもいざ知らず、アーサーは我が意を得たりといった様子だ。

 ──まあ、そうだろう。

 事前にアーサーが云っていた通り、現況の〝ミネルバ〟において、あの機体を与えられるべきはレイ・ザ・バレルをおいて他にない。パイロットとしての技量、人格面での落ち着き、判断力──レイは指揮官としては適任で、逆に彼をその座から押しのけるほどの人材はいないのだ。

 タリアはたっぷりと間を開けて、ややあってからマユの様子を見た。その顔には納得が半分と──やはり落胆の色が滲んでいた。だから、目を向けたくなかったのだ。

 

「本艦はこれより〝ボギーワン〟の追討に向かいます。成り行きとはいえ、今後は貴方にも〝ミネルバ〟隊の一戦力としての活躍を期待します」

 

 即席の補充戦闘員、ということか。

 アトラ、ルナマリア、レイの三人は、それぞれの反応でマユを見ている。ひとりは喜び、ひとりは感心し、ひとりはやはり冷静に黙っている。タリアはそれを横目に続けた。

 

「貴方のモビルスーツは〝ザク〟でお願い。あいにく余ってる機体がないから、レイの機体になると思うわ。──〝ザク〟は使えて?」

「は、はいっ」

 

 マユは敬礼して応じ、それも束の間、レイとぱっちりと目が合った。

 レイはいつものポーカーフェイスで、マユから〝アリアドネ〟を貰い受けたことに優越感など微塵も感じさせない様子だ。みずからの上官に能力を全面的に評価され、誉れや誇らしさもあったろうに。

 自分の前では決して喜ぼうとしない、その気遣い──

 ──そこが彼の優しいところだし、単純に恰好いいところだと思う。

 とはいえ、彼の場合は本当に無感情なだけかもしれない。

 そう考えると、マユは不覚にも笑ってしまった。

 

「後でデッキに上がって、機体の調整をしておいて頂戴。ルナマリア、案内してあげなさい」

「──いや」

 

 きびきびと果断に続けられるその流れに横槍を入れたのは、デュランダルだった。

 誰もがタリアの判断に納得する中で、しかし、彼だけはどこか不服そうだ。というより、今は子どものようにいたずらっぽい顔を浮かべている。

 

「思い出したよ、マユ・アスカくん」

 

 唐突に名前を呼ばれ、マユは戸惑ったという。

 今や〝プラント〟で一番に偉い人が、まさか自分の名前を知っているとは思わなかったからだ。

 

「キミはたしか、オーブから移住してきた子だったね?」

「議長っ……? ご存知だったんですか?」

 

 問いを返したのはアトラだ。彼女はさすが、議長の前でも緊張した素振りもないが、マユと同じくそのことを意外に思う驚きは伝わってくる。

 ──いったい、なぜ?

 マユには分からない。彼女は人として目立つ性分でもなければ、この国においては頼れる人脈も、誇れる地位も持たない異国民なのだ。議長がわざわざ名を憶えるほどではなく、身ひとつで挑んだ士官学校(アカデミー)にしても──成績上位者一〇位以内(ザフトレッド)ではあるにせよ──注目株というほどではなかったはずだ。

 

「いや、キミの名はよく耳にしているよ。なにしろ、あの(・・)ラクス・クライン(・・・・・・・・)が懇意にしている少女、ということだからね」

 

 云われてみれば、やっぱり──とマユは納得した。

 頼れる人脈という意味で云えば、彼女にはラクスという身元引受人がいた。戦後において、政治の世界に身を置く姉貴分。掛け替えのない、前大戦からの友人──個人的には対等の関係であったと思うし、甘えるつもりもなかったが、戦後において各方面で世話になったことはたしかだ。

 

「──えぇっ!?」

 

 次の瞬間、艦橋の至る所から素っ頓狂な声が挙がった。各方面にアンテナを伸ばしまくるのが生き甲斐のメイリンはしょうがないとマユも思うが、それにしたって盗み聞きしているクルーの何と多いことか。

 

「ラクス・クラインって、あのラクス・クライン……!?」

「どういう繋がりで!?」

「おいマユ、なんで今まで云わなかった!? ──『あのラクス様と友達だ』って!」

「というか、ラクス様と友達って……何者?」

 

 議長を無視して押し寄せる出歯亀な質問の嵐と、みずから爆弾を放り投げておきながら、その炎上っぷりを愉しんでいるかのようなデュランダル。タリアの方は驚きもあるだろうが、艦橋で行われるこの混乱には額を抱えていた。どこか余所でやってくれ──と顔に書いてある。

 

「だ、だから云わなかったんだよぉっ」

 

 主に同期達に揉みくちゃにされながら、マユは必死で弁明した。

 一方でメイリンはひとり管制席(持ち場)に戻って軍のデータバンクを漁り始めているし、待て待て、人の経歴や個人情報を洗いざらい抜き出そうとするんじゃない。

 

「云ったら云ったで、みんなの見方も変わっちゃうし! 何より、ラクスお姉ちゃんにこれ以上迷惑かけたくなかったから……!」

 

 甘え続ける訳にもいかない、という心情もあるのだろう。

 しかし、マユの唐突な「お姉ちゃん」呼称に「萌える……」とか言い出した男の声がどこからか聞こえた気がする。──気のせいか? 気のせいでないなら、今すぐ手を挙げて出てきて欲しい。

 こっちは昔から真面目にやっているのだ。お前と違って。

 

「──いやいや、すまないね」

 

 爆弾を落とした張本人、デュランダルは悪びれた様子もなく、喧騒を割るように言葉を発した。

 

「私自身、彼女とは何かと討議を交わすことも多い身だ。今は〝プラント〟で多忙を極める彼女に、こうも頼もしい友人がいると思うと……年長者(オトナ)としては嬉しく思えてね。それでつい、はしゃいでしまった」

 

 その言葉はどこか空々しさを含んでいたようにも聞こえたが、このときのマユが気にする点ではない。お国で最も偉い人に謝られていることの方が、庶民派感覚の彼女にとっては一大事だ。

 

「きみの立場を難しいものにするつもりはなかったんだ。悪かったね」

「い、いえ! そんなことは!」

 

 マユは慌てて取りなした。

 懇意にしている、とはいうものの、ラクスが戦後に公人となってからは、ほとんど会ってすらいないのだ。その活躍は、映像でしか見届けることがない……。

 逡巡するマユに向け、デュランダルはなおも続けた。

 

「──そんなキミが、期せずして(・・・・・)アリアドネ(・・・・・)と巡り会った(・・・・・・)

 

 本題は〝アリアドネ〟のパイロット選出の件だったか。

 独白のようにデュランダルは呟いたのち、タリアを見た。

 

「タリア、私が許可しよう。彼女に乗ってもらうじゃないか──〝アリアドネ〟に」

「議長!?」

「──議長権限の特例として」

 

 唐突な職権乱用に危ぶむ声を挙げかけたタリアの声を、またもデュランダルは遮って云った。

 ──果たしてそれは、どういう意図で云っているのだ?

 やはり、煮ても焼いても食えない男だ。デュランダルはまるで、みずからの権能を愉しんでいるかのようですらある。その切れ長の瞳が、今度は笑みを含んでレイに向けられる。

 

「いいかな、レイ?」

「はい、問題ありません議長」

 

 目を向けられた瞬間である。まるで事前に示し合わせてでもいたかのように、レイは即答した。

 

「私も〝ザク〟の方が操縦に慣れていますし、アトラが云うには〝アリアドネ〟は誰にでも易しく作られた機体──であるなら、私が〝アレ〟に固執する意味はありません」

 

 本当に何か思うところがないのかと。

 思わず訊ねてみたくなるほどに、レイは華麗な転身でデュランダルを支持する側に回った。タリアはむっとして云い返そうとする。

 

「でも……」

「──心配せずとも、彼女は優秀です。安心して、機体を任せて良い人材だと思います」

「っ……」

 

 全く予想だにしていなかった、レイから手放しの賞賛。これを受けてマユの顔がみるみる真っ赤に染まっていく。

 本当によく分からないことだらけだ。いつも最低限の会話──「ああ」とか「いや」とか「さあ」とか──しか行わないレイが、まさか自分に、こんなことを云ってくれるなんて。

 ──そしてそれを艦長に伝え、私を庇ってくれるなんて!

 狐につままれたような思いを抱きつつ、この瞬間のマユにとって、レイは白馬の騎士よりはるかに恰好よく見えたという。

 

「……はあ」

 

 デュランダル、レイ、タリア、マユ──

 それぞれが思惑と当惑を持って目を合わせる中で、最初に目を逸らし、折れたのはタリアの方だった。

 

「承知しました。では、議長権限の特例とやらに従うことにしましょう」

「え……っ」

「マス・アスカ。貴方を正式に、ZGMF-X69S(アリアドネ)のパイロットに任命します」

 

 デュランダルはそれを聞いて、柔和な笑顔でマユを見た。

 初めてお会いするのに失礼な話だとマユは思ったが、しかし本当に、このときの議長は愉しんでいるかのようだった。

 ──でも、いったい何を……?

 マユの頭を、なぜか一瞬、奇妙な不安がよぎった。

 

 

 

 

 

 

「議長」

 

 それから艦橋を後にしたデュランダルに、背後から声が掛かった。

 タリアだ。彼女は手許にデータの資料のようなものを持っている。

 

「誠に僭越ながら、アカデミーで働いている私の知り合いに、詳しく教えて頂きましたわ。あの、マユ・アスカという子について」

「ほう?」

 

 量子通信を使えば、この位置からでも〝プラント〟本国と交信を図ることは可能だ。

 議題はやはり、先刻の人事の件──

 タリアとしては、根に持っているわけではないのだろう。それでも彼女は、やはり〝ミネルバ〟の艦長なのだ。見知らぬクルーがひとり増えた以上、その人物については、詳しく人となりを把握しておく義務がある。

 デュランダルは感心したように歩を止め、タリアの方を振り向いた。立ち話でするような内容でもないだろう──と、タリアは「こちらへ」とみずからの艦長室に彼を呼び込んだ。

 

「あのレイや、アトラが口を揃えて『優秀だ』と褒めちぎるものだから、どれほどの逸材(もの)かと思いましたが……なかなかどうして」

 

 表向きは引き下がった彼女だが、やはり、腑に落ちない部分はあるらしい。

 二人はいささか、個人的な付き合いも長い方だ。この程度の雑談なら許されるだろう。

 

「正直に申し上げて、あの子に過度な期待を寄せるのは酷かと存じます」

 

 棘のある言い方だが、デュランダルには応えた様子もない。一応、話を聞く気はあるようだが。

 タリアは取り寄せた資料をデスクの棚から引き出しつつ、続けた。

 

「アカデミーでの卒業順位は七位だったそうです。まあ、同期にはアトラやレイが在籍していた訳ですから、一概に下位とまでは云いませんが……いずれにせよ、ザフトレッドを与えられる順位としてもギリギリです」

「意外だね、タリア? まさかキミが、数字や外聞だけで物事を判断する人間だったなんて」

 

 その返答には、からかうような響きがある。勿論それは、本気の発言ではなかった。

 挑戦的な口振りからするに、彼は単純に、タリアを試しているのだろう。

 

「いいえ、議長。仰る通り、私はこの目で見たものしか信じない性分(クチ)ですよ」

 

 そして、だからこそ。

 

「卒業成績が全てとは云いません。ただ、あの子は何だか不安定そうだ、ということをお伝えしたいのです」

 

 タリアの知り合い──アカデミーで働く教官によれば、在学中のマユ・アスカは、勤勉で、真摯で、思い切りもいい、仲間思いの努力家の気質だったという。

 特別なリーダーシップやカリスマ性があるわけではないが、それでも人と場の調停者(コーディネイター)としては重宝されたらしく、骨の髄まで実力主義のザフトにおいては物珍しい資質だろう。

 

「緑服か、管制官あたりが進路として妥当と思われていたところを、努力をもって乗り越えた女の子」

 

 明確に目標とするパイロットでもいたのかも知れないと、教官は述べていた。

 けれども、実際に見た〝アーモリー・ワン〟内部での戦闘記録を見るに、その評価は覆されていいのではないかとタリアは疑っている。特に(・・)ガイア(・・・)と戦ったときの(・・・・・・・)、彼女の動きは酷かった。思い切りが良いという評価が全くの出鱈目と思えるほどに、戦意と覇気に欠けていた。気分によって操縦技術にムラが出るようでは、それは良いパイロットとは云えないだろう。

 

「総合的に判断すれば、レイどころか、ルナマリアの方が間違いなく〝力〟はあるでしょう。それらすべてを考慮して、人事部は彼女の配属先を〝期待の最新鋭艦(ミネルバ)〟にしなかった。──答えはもう、とっくの昔に出ているように思います」

「──そうだな。実際のところ、私も最初はそう思ったよ」

 

 返ってきたのは、簡潔な同意。

 タリアは内心で意外がる。ここまであっさり肯定されるとは、思ってもいなかったからだ。何かにつけてはぐらかされるのがオチだと思っていたし、逆に彼は彼なりに、今回の件に深謀遠慮を働かせたのではないかとさえ疑ってもいたのに。

 ────ギルバート・デュランダルは、一説には〝ミネルバ〟の人事に関して、相当に恣意的な介入を行ったという噂がある。実際、プラントの最高評議会議長ともなれば、軍の人事部にもある程度の顔が効くのだろうし、その全てが間違いだとも思わないが。

 要するに、彼は期待の新造戦艦(ミネルバ)に対し、最高のパイロットと、最高の管制官──そして願わくば最高の艦長──を集結させようと個人的に働きかけたというのだ。彼自身のバックボーンである、DNAの解析技術を活かして。

 そしてその結果、マユ・アスカは選ばれなかった。如何に本人が努力家であろうとも。これは厳然たる事実として判断しても良いのだろう。

 

「でしたら……」

「キミは、彼女が乗り込んだ機体、ZGMF-X69S〝アリアドネ〟について──どう思う?」

 

 明確に云い淀んだタリアに、デュランダルは唐突、ほとんど唐突に他の話題を提した。いつもみたいに煙に巻かれたと感じたタリアだが、問いに対しては答えていた。

 

「どう思う、とは? あれは、議長が開発を主導なさった試作モビルスーツ群の一機でしょう?」

「ふむ……」

「我が軍にとって期待の旗印となる──いや、あの機体にはたしか、変形機構がついていませんでしたわね?」

 

 ともすれば〝インパルス〟のような合体・分離機構も有していない。

 ──同型機の中で、明確に毛色の違う機種。

 その疑念に確信づいたように、デュランダルは嬉しそうに答えた。

 

「あの機体は──あの機体だけはね、タリア。私が開発を主導したものではないんだよ」

「……? では、誰が」

「──ラクス・クラインだ」

 

 タリアは、目をむいて驚いた。

 デュランダルは遠い目をして続けた。

 

「私に代わり、ラクス・クラインが唯一設計と開発を主導したMS──〝アリアドネ〟」

「────」

「偶然とはいえ、そんな機体に、彼女の友人であるマユ・アスカが乗り込んだ。──私はね、これに何か、運命めいた因果を感じてならないんだ」

 

 嗚呼、とタリアは頷き、彼女はようやく全てを理解する。

 ──〝運命〟……。

 誰よりも敬虔深く、この男がその言葉を信じていることをタリアは知っていた。個人的に、彼ら二人が恋人として別れの道を選んだ、その直後から。

 

「そう。……だから先程から、随分と愉しそうなのですね。貴方は」

「ああ。だからだろうか……? 私は、彼女に期待してしまうんだ。あのマユ・アスカという少女に課せられた──数奇なる運命にね」

 

 人が生まれながらに持つ、先天性の遺伝子が導く人生の解。

 ──その因果律でさえ抑え込めない不可思議な〝力〟に導かれ、彼女は〝ミネルバ〟へ乗り込んできた。

 長年の研究の末、デュランダルが否定した──否定せざるを得なかった──後天性の努力の少女が、夢を忘れた彼を前に、どこまで高みに迫るのか。

 

「オーブの新星、マユ・アスカ」

 

 だからこそ、デュランダルは問いかける。

 

「どうか私に、夢の続きを見せてくれ」

 

 

 

 

 

 

 今回の一件で、マユを含めることとなった〝ミネルバ〟のモビルスーツパイロット達は、既に各々の機体のコクピッドの中で待機していた。

 それもこれも、追撃中の〝ボギーワン〟の熱紋を捕捉したためである。接敵にはまだ時間が掛かるとのことだが、与えられた〝アリアドネ〟の中、マユはあることを後悔している。

 

「アトラ……私、やらかしちゃったかもしれない」

 

 沈んだ声、蒼白な様子で呟かれたマユからの通信に、同じくコアスプレンダーの中で待機していたアトラは、怪訝顔を返していた。

 ──やらかした?

 思い返してみても、何について言及しているのかが分からない。いったい彼女は、何を悔やんでいるというのか。

 

「千載一遇のチャンス、逃しちゃったかもしれない……っ」

「議長との問答のこと、気にしてるの?」

 

 アトラは嘆息を交え、慰めた。

 

「議長もどういう判断をなされたか分からないけど──憧れの(・・・)レイから〝アリアドネ〟も貰えて、結果的に良かったじゃない?」

「っ…………」

「そりゃ、デュランダル議長は偉い人なんだから緊張するのも当然だし……大丈夫だよ、議長はあれで──〉

「違うのぉっ」

 

 泣き声のようなその響きは、実に女の子らしいものであったというが、このときのアトラを切迫した表情にさせるには十分なものだった。だが、

 

「せっかくレイの〝ザク〟に乗れそうだったのに! 合法的にレイの専用機に身を(うず)めるチャンスだったのにっ」

 

 ──それを不意にしちゃった!

 半ば泣き叫ぶように、マユは云った。親友にしか見せないであろう、非常にうち砕けた様子で。

 ──ああ、パイロットの選出の件か。

 アトラは呆れながら、親友の悲嘆の意味を理解する。たしかに〝アリアドネ〟をレイに譲った場合、代わりにマユが白い〝ザク〟を預かるような話になってたな。

 

「ご、合法的……?」

 

 欲求が勝れば、軍法は軽んじても良いとでも思ってるのか。

 マユの発言には、たとえ許されずともいつかは試してやろうという気迫がある。軍規違反でしこたま怒られ、さっきは死にそうな顔になっていたことを彼女はもう忘れたらしい。

 

「〝アリアドネ〟を貰えたことも嬉しいけど、〝アリアドネ〟を貰えたことも嬉しいけど! ほんと一回で良かったんだよぉ」

「あんたって子は……っ」

 

 アトラは額を抑えた。この発言の意味を、マユは今も理解していないらしい。

 それを理解させるように、そのとき通信にルナマリアが割り込んできた──

 

〈ほんと、あんたって子は話題に事欠かないわよね〉

 

 ──いや、割り込めていた(・・・・・・・)

 ルナマリアは呆れたような、面白がるような顔を浮かべている。

 

〈──通信。部隊回線で丸ごと聞かせる淑女がどこにいるわけ?〉

「えっ」

〈聞こえてるわよ、全部。──勿論(レイ)にもね〉

 

 マユは慌てて回線を確認した。ルナマリアが通信に割り込めたということは、現在の回線は〝ミネルバ〟に所属するMS間で共有されているものなのか。当の通信コードは今さっきアトラから個人的に教わったもので、アトラ個人と繋がっているものだと思っていた。

 悲鳴をあげたマユを置き去りに、ルナマリアは試すように同僚に問うてみる。

 

〈どうします? 白いお馬(ザク)の王子様?〉

 

 レイは決まって、こう答えた。

 

〈……さあ〉

 

 けれども──

 いつもは淡泊に響くその応答が、微妙な羞恥で震えたように聞こえたのは、気のせいではなかったのだろう。

 

 

 

 

 

 ────やがて〝ミネルバ〟のカタパルトから、複数の〝ゲイツR〟が射出されていく。いずれのパイロットも正規クルーではないが、マユと似たような経緯で〝ミネルバ〟に辿り着いた者達だ。

 発進していく彼らの背を見届けたのち、メイリンの管制は続いた。

 

〈〝ザクウォーリア〟、カタパルト・エンゲージ〉

 

 束の間、砲戦仕様の赤い〝ザク〟が発進する。続けて白い〝ザク〟と、四層のデッキから〝コアスプレンダー〟と、それらに付随するパーツもまた。

 

「ルナマリア・ホーク、〝ザク〟──出るわよ!」

「レイ・ザ・バレル、〝ザク〟──発進する!」

「アトラ・デンソン、〝コアスプレンダー〟──出ます!」

 

 そうして最後、彼女の順が回ってきた。不安と羞恥から立ち直り、マユは決然と前を見る。

 開かれたハッチ、その向こう側の深い闇──と、浮かぶ星。

 瞬く星々の輝きを見つめながら、マユは独語する。

 

「……ステラお姉ちゃん……」

 

 正体不明艦〝ボギーワン〟──

 ──その(ふね)の中に、貴方はいますか?

 貴方の背を追って、私はここまでやって来た。

 貴方は私の憧れ──

 大切な仲間もできた、力だって手に入れた。

 ──人いち倍、がんばってきたんだよ……。

 今までの全ては、きっと、この日のために。

 

 

「マユ・アスカ、〝アリアドネ〟──行きます!」

 

 

 淑やかで聖い娘──

 白銀に輝く大女神が、漆黒の宇宙に飛び立った。

 

 

 

 





【ギルバート・デュランダル】

『インパルスのパイロットを、当時シンよりも高い操縦技術の持ち主であったレイではなく、後に高い戦闘能力を示しSEEDの能力も発現させたシンを抜擢した。これはタリアの予想を裏切るものであり、彼女は後にデュランダルがDNA解析の専門家としてシンの素質を把握していたのでは、と推測している。この抜擢もまた、デュランダルの遺伝子に適した役割を持たせるデスティニー・プランの構想に当てはまるものといえる』

 Wikipediaより抜粋の、上記紹介文から着想を得た話となっています。
 マユ・アスカのパイロット適性については今のところ未知数ですが、兄ほどに鬼神じみた適性を持たせることは想定していません。

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