~夢見る少女の転生録~   作:樹霜師走

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 特に色濃い性表現が含まれる話になっています。
 あまり露骨な表現は用いていないつもりですが、苦手な方もいると思うのでご注意下さい。



『スクラップド・プリンセス』B

 

 

 男性士官の個室に、女性を連れ込むことは軍規違反である。

 だが、日常的な慣習として罰せられることはあり得なかった。結局のところ、最低限度「五」つの規範さえ守れているなら、男女の行為も黙認されるのが実情である。

 実戦中でないこと。個室であること。予備役でないこと。就寝時および起床時に指定のベッドにいること。 

 

 もっとも、これらを憶えているかも怪しまれるオルガ・サブナックに与えられた士官室は、居住区の一角にあった。

 

 ところで、オルガ達の配属された〝ドミニオン〟は、かのアークエンジェル級二番艦として建造された同型艦である。アラスカまで〝アークエンジェル〟に乗艦していたフレイにとって、この〝ドミニオン〟は見知った──いや、すっかり慣れた構造になっており、つい先日この艦に配属されたばかりのオルガ達より、彼女の方が艦内に詳しいという奇妙な事情があった。

 とはいえ、流石のオルガも自分に貸し与えられた士官室の場所くらいは把握していたようだ。彼らは互いに無言のまま、連れ添いながら男の自室を目指し歩いていた。廊下を歩く中では、とりわけ言葉を交わすわけでもない二人。ただ最初に一言だけ、オルガの方から「前くらい閉めろよ」と、胸元のはだけた軍服姿を指摘されただけである。

 ──強欲な男。

 体格に恵まれた年上、青年の背姿を見つめながら、人を小馬鹿にでもしたようにフレイは胸中でそう云った。

 

 フレイはステラと違って社会的な暗黙の常識にも通じているし、女性としての自覚、そしてそれに伴う異性への危機感も充分に備え持っているタイプである。

 

 だからこそ思うのだが、女を自室に誘うことに成功していながら、今さら周りの男を牽制しようだなんて考えは、強欲であろう。こいつは存外に独占欲の強いタイプなのかも知れない──そんな風に考えたフレイだが、よくよく考えれば意外でもないだろう。

 ──男なんて大概、そんなものよね。

 なお、この発言にはフレイの異性に対する価値観が如実に現れており、結局のところ、男を盛りのついた獣程度にしか認知していないため、彼女が男女の行為というものに──「意志疎通の機会」「愛情表現の場」と云った心理的解放感(オーガズム)の含まれる解釈とは程遠い──ひどく無情(ドライ)な印象しか持っていないことが伺い知れる。

 

「──入れよ」

 

 ややあってから、オルガがぶっきらぼうに口を開いた。

 フレイはようやく彼の部屋に着いたのだと理解して、それまで俯いていた顔を上げた。上げたのだが、オルガの部屋を確認した彼女はそこで、

 

「────!」

 

 思わず、絶句していた。

 案内されたその部屋が、キラ・ヤマトの部屋だったから──

 

「なッ……」

 

 勿論、それは正しい表現ではない。正しくはオルガ・サブナックの自室であって、それ以外であるはずはないのだ。少なくとも〝ドミニオン〟の艦内においては──。

 けれど、要するにその部屋は、〝アークエンジェル〟におけるキラの部屋と、まったく同じ区画、まったく同じ場所に構えられていた一室だったのだ。衛生管理用にシャワー室などが完備され、軍艦らしく殺風景ではあるものの、下級士官のそれよりは遥かに好待遇だと云える個室。少尉以上の階級を持つ者のみが借りることを認可された、快適な一室だ。

 その場所を、フレイよく知っていた。彼女は〝アークエンジェル〟にいた頃は、大半の時間をここで過ごしたのだ、ひとつしかないベッドの上で。ひとりの少年と、ほとんど同棲するような形で。

 

「ッ……」

 

 呼び起こされたその記憶は、今となっては確かな痛みを以て、彼女の脳裏と肉体を駆け抜ける。

 初めて「女」を喪った場所。後悔の涙と血を流したその場所で、フレイは再び男を誘惑しようとしている。その事実に気付いたとき、フレイは同じことを繰り返そうとしている自分が、どうしようもなく愚かな女であることに気付かされた気がした。

 

 ──なぜ。よりにもよって、この部屋なの……?

 

 それはひとえに、偶然としか云いようがなかった。

 それは〝ドミニオン〟と〝アークエンジェル〟が、同型艦であったから。

 それはキラとオルガが、同じパイロットであったから。

 巡り合わせとしか云いよう偶然の結果、しかし、彼女はたしかに〝そこ〟に招かれていた。

 

 そして実際に招き入れられた室内は────やはり同じ構造だった。

 

 ただ、たとえ同じ造りの部屋だったとしても、それでもそこはキラ・ヤマトの──いや〝アークエンジェル〟の部屋とは異なる雰囲気があった。それはおそらく、個室の至るところに配置されている読みかけの書籍のためだろう。

 室内には数々の小説──ときに哲学書もあるようだ──が抽斗や本棚に丁寧そうに保管され、そのような内装だけは、記憶の中とは大いに違った。それらが差を演出してくれた──とでも云うべきか、室内に持ち込まれたオルガの私物の数々は、フレイにとって、新鮮さと落ち着きを与えてくれるアイテムのように思えた。

 

 ──この男、こんなに多読するんだ。

 

 ハリーからは事前に読書趣味について聞かされていたが、まさか、ここまでとは思わなかったフレイ。意外に感じながら、彼女は卓上の書の一冊を興味本位で手に取った。分厚い本だ、シリーズ本だろうか? 眇めていると、後方の持ち主がそれに気付いたように云う。

 

「それ、北欧じゃあ有名な幻想譚小説(ファンタジー)でな」

「──え?」

「落ちこぼれの主人公が、ある日から裏側の世界に隠されていた魔法学校に入る物語なんだ。最終的には悪の魔法使いと戦うっていう──」

 

 意気揚々と語った声は、日頃と違って無邪気に聞こえた。

 

「──まあ開戦の頃から、発行が途切れたって聞いたけどよ」

「……そう……」

 

 著者の身に何かが起きたのか、それとも、開戦してそれどころではなくなってしまったのか──いずれにせよ、シリーズの続編を楽しみにしていた者にとっては残念な話ではあるのだろう。

 

「……こういう本、好きなのね」

「笑えよ。自分でも幼稚だと思ってんだ」

「そんなことないわ。上手く云えないけど、こういう御伽話って、窮屈な現実じゃ得られない想像をくれるもの」

 

 ファンタジーらしい詩的な云い方をすれば──〝夢〟とでも云うのだろう。童話とは一種の夢物語であり、フレイも幼い頃は父によく読み聞かせをせがんだものだ。

 たとえばシンデレラ、性悪な親戚達から不当に扱われていた少女を、素敵な王子様が見つけ出し、救い出してくれる物語。

 

「御伽話に喩えると、私は眠れる森の美女ってところね?」

 

 云われたオルガだが、呆れ半分と云った顔で嘆息ついた。

 

「美女ってオマエな、自分で云うもんじゃねえよ。そういうの」

「あら。わたしでは不服?」

 

 くるりと振り返り、不敵に微笑んだ女。自信に満ちたその挑発的な表情が、オルガからはやけにいじらしく、色っぽく見えた。薄暗めに灯した照明のせいか? いや違う。

 

(……ああ、このための化粧──)

 

 燃えるような紅髪から、いや体中から──甘く、柔らかで煽るような香りが鼻先を掠める。

 こういうとき、オルガは女というものが卑怯に思える。自分を魅せる(・・・)手段がある。それに誘惑され魅了されるということは、男としては手玉に取られるのと同義であって、あまり気分の良いものではないはずだが、彼の中では理性より欲求の方が勝ったらしい。

 男は沸き立つ欲求と衝動に駆られるまま、背後から包むような形で女の身体を後ろから抱いた。

 

「──いや、そんなことなかった」

 

 短く訂正しながら、首から上だけでこちらを覗き返す女の小顔に唇に落とす。

 それは、確かめるというより、ほとんど口を塞ぐような、ぶつけるかのような──

 

「……。鼻が当たったわ」

 

 当の女から返ってきたのは、ムードなんてものは微塵もない、評定するような一言だった。

 ──馴れてねえんだ、うるせえな。

 云おうとしたが、今度は相手の方から口を塞がれたために、反論のひとつも云えなかった。言い訳ぐらいさせて欲しかったのが本音であるが、不思議なことに、段々どーでも良くなっていった。

 

 

 

 

 

 

「──オレが読書に耽ってるのは、多分、自分の人生の中で得られそうもなかった〝答え〟が欲しかったから、なんじゃねえか」

 

 おそらくそれは、なかなかに格好をつけた台詞である。そこまで気取ったつもりもないが、青臭すぎる発言だとは本人も理解していて、他人に打ち明けようとも思ったことはなかったはずだ。

 けれど、彼は現実として口にしたし、言葉に対して明確にフレイの反応を求めてもいた。彼はときに哲学書に目を通すこともあって、その中に、こんな格言を見つけたこともあるそうだ。

 

『空想と虚構の産物に耽るのは、己の人生の中で満足を得られなかった負け組がやることだ』

 

 再構築戦争が始まるより前の時代の、偉人かもよく分からない男が遺した言葉らしい。的を得ているのかは不明だが、少なくとも、辛辣な意見だとしてオルガの胸を打ったことは確かだ。彼が読書を始めた時期が、まさに大西洋連邦のブーステッドマンになった直後──すなわち、己の人生に取り返しがつかなくなった(・・・・・・・・・・・・)後のことだったから。

 

『おとぎ話は、窮屈な現実じゃ得られない想像をくれる』

 

 それはフレイのように表現を裏返せば、前向きな言葉にも変わる。

 ──想像をくれる。あるいは、刺激を求めるという表現も正しいかも知れない。

 空想の産物、幻想の世界に感情移入、もしくは自己投影をすることで、退屈な人生の中に別角度からの〝刺激〟を求めようとする──閉塞された室内に新しい〝風〟を取り入れようとする──そして、己の人生の中で得られそうもなかった〝答え〟を見つけようとする──

 

「──本を読むのが面白えって感じた理由は、それなんじゃねえかって思うんだ」

 

 オルガは恥じることもなく、このときやっとの思いで吐露していた。

 だがフレイの方は一瞬で、それも見透かしたような口調で返した。

 

「現状に、不満があるのね」

 

 なぜ判ったのか、そう云わんばかりの驚き顔を見せたオルガであったが、フレイから見れば、すぐに分かることであったらしい。言葉よりも雄弁なものは往々にして存在する、ということか。

 

「──幻想(まぼろし)の世界に逃げているのよ。今ここにある現実の世界が、あまりにどーしようもないから」

 

 云われたオルガは、心当たりがないわけではなかったが、納得してはいけない気もした。

 

「そういうことに、なんのか……?」

「少なくとも、捉え方によっては」

 

 上手く誤魔化した云い方をされたが、確かにそうかも知れない、と思った。

 

「……失望したな」

「こんな生活を続けていたら、誰だって嫌になるわよ」

 

 指摘されたオルガであるが、そんな彼も、一度だけ同僚のクロト・ブエルに云われたことがある。それは相変わらずオルガが読書に耽っているときのことで、本当にたった一度だけのことだったのだが、

 

『──おまえ、涙腺もろくね?』

 

 クロトにしてみれば、シンプルに感想を放ったまでのことなんだろう。別に咎めているわけでも、茶化しているわけでもないことは彼の口調から明らかだったが、それでも彼なりに思う部分はあったらしい。けれど、指摘するだけ指摘して、彼は次の瞬間には興味をなくしたようにゲームのプレイに戻っていった。

 相変わらず身勝手なヤツ──そのときは恨み言を抱えたオルガだが、確かにクロトの指摘は間違ったものではないのだろう。実際に自分は、ときに──というよりしょっちゅう創作のキャラクターらに感情移入してしまい、その感動的な展開如何で涙してしまうことがあるのだから。

 

 ──ああそうだ。でも、多分アイツは違うんだろう。

 

 仮にも物静かにひとり読書に耽っているクロトの姿など全く想像もつかないが、それでもきっと、アイツは自分のように創作物にぽろぽろ泣くような性格ではない筈だ。だとすれば、アイツと自分の〝差〟は何なのか。どうしてオレはこうなのか──

 ──それは、その分だけ「自分がない」……ということなのだろうか?

 現実の世界においては、ただ破滅を待つだけの哀れな強化人間──そんな自分を嘆いている自分。創作のキャラクター達に自己投影をすること、夢物語に恋い焦がれることで、心だけでも救われようとしている自分は、きっと誰よりも〝弱い〟人間なのではないか──?

 

「…………」

 

 それはそれで悔しいものだ、と考えながらも、オルガは次の瞬間にはそんな自分を認めるのをやめてしまった。逡巡を断ち、現実に立ち戻る。それは、いま考えるべきことではない、と思ったからだ。

 ──この女の云う通り、幻想に逃げる必要はない……。

 ──少なくとも、今だけは……。

 だからこそオルガは、目の前の光景へと目を向けた。いま、目下に横たわるのは豊かな女の肢体。その背にゆっくりと腕を回す。下着を外せば、豊かに膨らんだ熟れかけの双丘が晒された。照明の落とされた室内では見えるものも見えなかったが、触れれば押し返してくるような、しっとりとした質量だけは明確に感じられる。

 

「知ってるか。胸の上に手を乗せて眠ると、悪夢を見やすくなるんだ」

「男ってどうしてこう、自分の知識をひけらかしたがるの?」

「まあ聞けよ、要するに、胸にかかった重みがそうさせるんだそうだ」

 

 フレイは、艶っぽく笑った。

 つまりは彼が何を云いたいのか、判ったような気がしたから。

 

「オマエがよく(うな)されてるのは、病気のせいなんかじゃなくて、ひょっとしたらこいつのせいなんじゃねえか?」

「それは大変。だったら削り落とさなきゃ」

「ダメだ、勿体ねぇ」

 

 常夜灯のみに照らされた男が、さも満足げに笑った。

 渇きとは対極の水気を含んだ舌が、豊かな双丘を舐め上げる。経験がないわけではないが、その感触はどうにも不得手なものであって、フレイは身をよじりながら込み上げる不快感を押し殺す。硬く食い縛った唇から血が滲んだが、この暗闇では気づかれることもないだろう。今の彼女は性行為というものに、おおよそ快楽や安心などを得られる状態ではないのだが──

 

「ファンタジーの世界を羨むことはよくあった。仲間と旅したり、冒険したりってのは、オレ達にとっては無縁なことだからな──ましてや、平和なんてものも」

「私も昔は童話を読んで、よくよく憧れたもの、ね」

 

 ──何かを話していないと、この男を突き飛ばしてしまいそうなほどに。

 

「愛しのお姫様のため、白馬に乗って颯爽と現れる王子様──なんて現実にいるはずがないのに」

「オレ達にも別の生き方が出来たなら、それはそれで、楽しかったんだろ」

 

 そのとき、フレイが初めて虚を突かれた表情をした。

 ──別の生き方……?

 その言葉から、不意に同郷の学生らの姿が脳裏を過ぎる。

 

 ──もし、今も彼らと一緒だったら、私はどうしているのだろう?

 

 フレイは今更ながらにして、自分の捨てたモノの大きさを思い知る。友人らとの友情、婚約者からの愛情──覚悟はしていたし、未練はないはずだった。なのに全てを失った今になって、思い知らされた気がした。

 

 ──他にも、選択肢はあったはずなのに。

 

 しかし、そう思う度、どうしようもなく惨めにもなる。

 ──わたしはもう、この道を選んでしまった。

 強化人間に身を貶め、コーディネイターを滅ぼす道を。その終着点に待つものが身の破滅であったとしても、結局のところ、もう二度と後戻りは出来ない。 

 

「……どうした?」

 

 次の瞬間だった。緊張故よそよそしく、動揺故たどたどしい男の行為に痺れを切らしたように、フレイが馬乗りの形になって彼を押し倒したのは。

 ハリーは云っていた。精神的な充足を得られれば、睡眠病は克服できるかも知れない。自己実現において、最も手っ取り早い方法は恋愛だとも。青少年らしい健全で健康な付き合い方は今の自分には出来ずとも、別に構わない。

 

「抱いてよ、激しく。精いっぱいに、わたしを愛して」

 

 結局のところ、天涯孤独の彼女にとっては誰と関係を持とうが不都合はないのである。男が慰めを欲し、女が関係を求めているのなら、たとえ始まりどれほどに低俗的なものであったとしても、結局は合意の上であって、問題視する必要もない。

 愛だの恋だの自覚する前に関係を急げば、何故この男を選んだのか、という質問には答えられなくなってゆく。だが強いて云うなら、オルガもまた連合の強化人間で、フレイと同類だった。

 ──惨めで、哀れで、戦うことしかできない……。

 そういう意味では、フレイはオルガのことが嫌いではなかった。好きになれるかどうかは、全くの別問題であったとしても。

 

「……云ったな……?」

 

 挑発と愛撫、それらによって女の肢肉を貪らんとばかりに熱に滾った男の身体を、このときのフレイは自分から激しく求めた。

 果たして、それはいったい何故なのだろう。そもそものフレイ・アルスターは、人格的にも知性的にも決して劣悪な人間ではない。ある折を気に、すっかり彼女は本来の生き方を忘れてしまったのか? だから彼女は、女としては劣悪な発想から抜け出すことが出来なかったし、意中の男を自分の許に繋ぎ止めておく切欠づくりのため、みずからの体を差し出すことも厭わないようになってしまっていた。

 ──誰のせい?

 いや、それは考えるまでもないことだ。

 ──本当は、家族(パパ)を救って欲しかった……!

 そのときフレイの脳裏を過ぎったのは、この部屋の主の顔だった。繊細で、柔和で、眸の奥に慎み深さと優しさを宿した少年の。

 何でもできるコーディネイターでありながら、その異能っぷりを周囲に悟られまいと、必死になって身を縮めて生きていた──少なくとも、フレイにはそう見えた──少年。情けなくて、ただ、それと同じ程度には優しい彼。一方的に自分を捨てて、だというのに、そのことを悔やむように謝っても来てくれた。

 ──謝られるくらいなら、最後まで憎ませて欲しかった!

 自分を歪めた張本人。歪み切った彼女の人生は、きっと彼から始まっていた。

 

「…………」

 

 その瞬間、オルガは無言でふたりの態勢を入れ替え、今度はみずからが上を取る姿勢に移った。そうしてゆっくり腰を前へと浮かせたため、フレイは妖艶に薄く笑み、己の中に男の熱を迎え入れようとした。

 暗闇の中では互いの顔を伺い知ることは出来ない。が、それでもオルガはフレイの表情を正面から捉えて離さず、その瞳が何を映しているのか──彼女がいま求めているものは何なのか、その正体をみずからで確かめようとした。

 ………だからだろうか? だからこそ彼は、そのときのフレイが覗かせた明確な違和感に気が付いた。

 

 

「違うな」

 

 

 ふたりがひとつになるよりも前、その言葉の方が先に放たれていた。

 既に柳腰を浮かせ、貫かれる準備を終えていたフレイ。だが一方でオルガは首を振り、はっきりとそう断言した。どこか興醒めした風な表情、彼は見透かしたようにそっとのフレイの頬に触れる。

 

「お前が見てるのは、オレじゃない──」

「えっ──?」

「お前、オレに(・・・)誰見てんだ(・・・・・)?」

 

 首を振り、はっきりと宣告される。

 フレイの中で、時が止まった──ような気がした。何を云われているのかも、彼女には理解できなかった。オルガは淡々として続ける。

 

「お前には、オレの姿が見えていない。オマエが〝求めて〟いるのは、絶対にオレじゃない──もっと他の男、別の野郎だ」

「なっ、なによ、そんなこと」

 

 悄然とするフレイには、このとき一切の自覚がなかった。

 だが、一方でオルガは思い当たったように青い翼を広げたモビルスーツのことを思い出していた。

 

「──『キラ』……とか云ったか? 前にお前が、戦場で叫んでた男の名前」

 

 図星であったのかどうか、目を見開き、フレイは愕然とする。

 ──キラ……!?

 なぜ、ここでキラの名前が出て来る?

 

「この部屋に入る前から、妙だと思ったんだ。前はたしか〝アークエンジェル〟にいたんだよな……お前」

「え、ええ……」

「オレを、そいつの代わりにでもするつもりか?」 

「はあ……!?」

 

 指摘され、そのときようやっとフレイは自らの過ちに気が付いた。

 ──わたし、さっきは何を……!?

 フレイは無意識の内、この部屋の持ち主に此処にはいないひとりの少年(・・・・・・・・・・・・・)の面輪を連想していた。この部屋の持ち主は、間違いなくオルガ・サブナックであったと云うのに。自分でも信じられない、あり得ないと思ったのだが、かと云って、云われたままで引き下がる彼女ではない。

 

「で、でも、だったらどうだっていうの? 女にここまでさせておいて、引き下がるつもり? 男のくせに」

「そうだな。お前と同じだ、気が変わった」

 

 憮然として云い捨て、オルガは既に萎れた漲りを仕舞い、そそくさと寝具の上から飛び降りた。辺りに乱雑にうち捨てられていた衣類を身に着け始め、熱い沼に埋められていたような先程までが嘘のような冷然とした面持ちに戻っていた。

 そして時間を同じくして、部屋の中、ひいては艦内中に放送が鳴り響いた。どうやら〝ドミニオン〟は、これよりコロニー〝メンデル〟に出立するとのことだ。オーブ本土から脱出を図った残党の掃討作戦のため、パイロット各員にはアラートで待機命令が下され、遅かれ早かれ、オルガ達の個人的な休息は終わりを迎えることとなったのだ。

 

「へへ。なんだよ、どの道こうなってたんじゃねえか」

 

 命令違反など本来鼻にもかけない人種だろうに、それでも彼は、今回ばかりは諾々として待機命令に従うつもりらしかった。

 数秒違えばみずからのものになっていたかも知れない女を背後に残し、それでも未練など何も感じさせない、どこか清々しい表情でそう笑ってのけた彼に対して、しかし、ベットの上の女はそうは思わなかったらしい。

 

「なによ……! なんなのよ、それはっ」

 

 整った爪が食い込むほどに拳を握り、シーツを捲し上げる少女は、その瞳の中に強い怒りを湛えていた。

 

「結局はアンタだって、慰めてくれる器が欲しかっただけでしょう!?」

 

 かつての経験と照らし合わせながら、フレイは激情のままにオルガを怒鳴りつけていた。オルガにしては随分な云われようだが、否定できることでもなかったのでムッとして押し黙る。けれど、云われっぱなしというのも彼の癪に障ったらしく、どこか挑発的に笑い顔を返していた。

 

「だから云っただろ、気が変わった」

 

 フレイの発言をまず否定しなかったのは、オルガがたしかに、彼女のことを性欲の捌け口ほどにしか見ていなかったからだ。その点に関しては疑いようのないことで、だからこそ素直に否定しなかったに過ぎない。

 ──けれど、今は違う。

 最初こそ、そういった低俗的な認識であったかも知れない。だが、自分を通して他の男を夢見られたことに、云い知れぬ憤りを憶えたのは事実だったのだ。

 ──手を出さなかっただけ、マシと思え。

 それはどこまでも自分本位、自分勝手な考え方のようにも思えるが、今さらこの男にそれを指摘したところで全くの無駄というものだろう。

 

「空っぽの器じゃない、オレはお前っていう女が欲しくなった」

「な……っ」

 

 力づくで体だけ奪っても、心までは奪えない。瞳に映る姿までは変えられない。

 みなぎる覚悟は、覇気や自信となって、オルガを奮い立たせていた。

 皮肉なことに、フレイは今はしっかりと目の前の男が認識できていた。先程までの辿々しさは一体何処へいったのか? 緊張や動揺とは無縁の地にある、戦意や闘気に満ち溢れてゆく男らしい精悍な背姿は、このときのフレイから見てやけに逞しく──いやに恰好よく見えた。

 

(重ねていた? わたしが──!?) 

 

 みずからの肩を抱き、憔悴するフレイには分からない、分かりたくない。

 自分が、このオルガ・サブナックにキラ・ヤマトを重ねていたと云うのか? ただ〝似た声をしていた〟という──たったそれだけの理由で自分を抱き、何度も重ねた行為の中で実際は別の女を夢見ていた──あの少年と同じように……?

 ──私は彼と全く同じ。

 ──彼と同等の、全く同じ過ちを犯した……?

 そうして理解した途端に襲い来る、猛烈な嫌悪感。それによって絶句しているフレイに向かって、オルガは堂々として云い放った。

 

「お前を惑わすあの〝元凶〟──〝フリーダム〟とかいう機体(ヤツ)をぶっ潰す」

 

 簡単だ。そう云わんばかりの男の表情に、捕食者特有のギラリとした眼光が宿るのを、フレイは認めてしまった。圧倒され、声も出せずにいる彼女を尻目に、男は歓喜したように続ける。

 

「フハッ、こんなオレにも、生き残る意味が出来たってことかよ──」

「……やめてよ……っ」

「その『キラ』って野郎の首を手土産にしてやる。〝カラミティ〟で出撃して、あの〝フリーダム〟をぶっ潰す──『キラ』ってヤツからお前を奪い取ってやる」

 

 フレイは、震えた。

 まさか、こんなことになると思っていなかったのだ。

 

「だからフレイ(・・・)──帰ったらお前は、オレの女になれ」

「──やめてったらっ!」

 

 その瞬間、フレイはショーテーブルの上の書籍を数冊として鷲掴み、男に向かって乱雑に投げつけた。その癇癪は、本を大切にしていたオルガを激高させるための彼女なりの挑発だった。

 が、当の本人は眉ひとつ然として動かさず、投げつけられた書冊を同じく乱暴な手付きで跳ね除けた。勢い余って引き裂けたページが宙を舞い、ぐしゃぐしゃになって地に落ちた本の束。だが、それすらも見届けて尚、彼は拾おうとはしなかった。

 

(な、んで、怒らないのよ)

 

 どうしようもない無力感に呑まれたフレイであったが、結論から云えば、オルガは既に「本」に対する一切の興味を失っていたのだ。それは彼が、小説を通して幻想の世界に〝逃げる〟必要がなくなったからであり、現実の世界──彼の目の前に、彼自身がもっと〝手に入れたい〟と欲望するものを見つけたから。

 しかし、だからと云って、数多くの物語を読んできた彼になら、判っている筈ではないのか?

 

『帰ってきたら──』

『この戦いが終わったら──』

 

 そんな立派な口上を述べた勇者達が、直後にどんな運命を辿るのか。あくまで空想の中の可能性、テンプレートのようなものに過ぎないが、それが迂闊にも、想像が及ばないオルガではないはずだ。

 

「自分の命を賭けてでも、オレはお前が欲しい。だからオレは〝フリーダム〟と戦う、そして、ヤツからお前を奪い取る」

 

 決然として覚悟を誓った男の声に、一切の後いや迷いはなかった。

 キラさえ消えれば、フレイの瞳に映るのは自分だけになる。確証があるわけではないが、その程度の甲斐性ならオルガは絶対的に持っていた。だからこそ、彼女を振り向かせるために〝フリーダム〟が──キラが決定的に邪魔だった。

 

「やめて……! お願いだから、そんなこと云わないで!」

「フレイ──」

「──アンタだって同じくせに! この部屋で(・・・・・)わたしに優しくしないでよ(・・・・・・・・・・・・)!」

 

 シーツを握る少女の手に力が籠る。身体は震え、自分がどうやら泣いているらしいことに気が付いてなお、溢れ出る涙を止める術をこのときのフレイは持たなかった。

 遠い過去、この忌まわしき「少尉の部屋」に大切なものを忘れてきたフレイにとって、目の前の男はあまりに残酷であった。そして同時に、立派でありすぎた。

 

(引けねえな、ここだけは)

 

 オルガは事情など知らない。詮索するつもりもない。キラという男と、フレイの間に何があったのかなど、知りたいとも思わない。

 ──だが、こいつをここまで苦しめた男(・・・・・)を、オレは決して許さない。

 そいつを殺せば、きっとフレイは解放される筈だ。そうすれば、彼女の目に映る姿だって変えられる──いつか、自分のことを正面から見てくれるようになる。単純な思考であるようにも思えるが、過去に苦しんでいる彼女に諦めをつかせる切欠になるかも知れないのは事実だった。

 ──だからこそ、余計な手助けは必要ない。

 覚悟を胸に、男は強く云った。

 

「──〝フリーダム〟は、オレが潰す……!」

 

 そうしてオルガは背を向けて、みずからの部屋から出て行った。

 残された部屋のベッドの上で、フレイは呆然としてへたり込むしかなかった。

 ──オルガと、キラ……?

 待ち受ける現実、それは男同士の決闘か。いや違うのだろう──少なくともオルガは、そのような表現で誤魔化したりはしない。彼はどこまでもキラとの殺し合いを求めており、その果てに自分が勝ち残り、自らの手でキラを討つ結末を願っている。

 

 ──でも、私のせいじゃない……!

 ──ふたりの対決なんて、私が望んだことなんかじゃ……!

 

 いつもらしく責任の転嫁を始めようとしても、これから始まろうとしている現実は変えられない。そしてこの場合、フレイはオルガの勝利を望むべきなのだろう。

 しかし、それは〝フリーダム〟が撃墜され、蹂躙されるということでもある。在りし日のキラ、あの繊細で穏やかだった少年の表情が、絶望に彩られた中で殺されるということだ。

 ──でも、彼はコーディネイターなのよ……。

 だから当然の報いだ、と云いたくて、しかしフレイには出来なかった。何故なのかは分からない。だが、フレイはキラが殺される未来を想像したくはなかったし、だからこそオルガの勝利を望むことは出来なかった。しかし、だからと云って、フレイはオルガに敗れて欲しいわけでもなかったのだ。

 

「ああ、もうっ……!」

 

 噛み合わない歯車が、フレイを混乱させた。

 ──オルガが勝てばいい……!

 ──でも、キラは……!

 自分に云って聞かせるには、フレイの中では、大き過ぎる不安が邪魔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 ────そうして出撃した〝レムレース〟の中、あれから時間を置いたフレイは酷くやつれた表情になっていた。少なくとも、やさぐれた、と評しても許される程度には表情は感情の起伏を失っており、要するに彼女はひどく精神的に疲れていたのだろう。

 そんな彼女の傍らには〝レイダー〟と〝フォビドゥン〟の機影があり、後衛型であるはずの〝カラミティ〟すらも今回ばかりは前へ前へと出て来ていた。

 彼女を含めた〝G〟の四機を迎撃するために、コロニー〝メンデル〟から飛来したオーブ残党のMSは──こちらを舐めているとしか云いようがないのだが──白銀の〝クレイドル〟一機のみだ。

 

〈あれぇ、一機?〉

〈オイオイオイ、どこ行ったんだよ! 〝フリーダム〟はァ!?〉

 

 このとき〝カラミティ〟は後衛機でありながら前衛を務める彼女達より突出がちであり、それを諫めようものなら砲を構えてぶっ放してきそうなほどに激高していた。

 やはりフレイはオルガという男がいまいち理解できない。こんな男のどこに、静謐な読書趣味なんてものがあったのか?

 

〈なーに張り切っちゃってンの、オルガのヤツ?〉

〈さあ?〉

 

 間延びした口調で軽口を叩き合うクロト達であったが、それもこれも、全ては〝クレイドル〟が単機でやって来たせいだろう。オルガは兎も角、彼らの中には実戦らしい緊張感など既に微塵も存在せず、敵がたった一機であるのを認めた途端にやる気というものを失ったらしい。

 それについてはフレイも同感であり──二機なら判る。でも、どうして一機?

 常識的に考えて、四対一で自分達が負ける筈はない。戦う前から結果の見えている戦いに、どのように緊張感を持てば良いというのか。もはや彼らにとって、目の前の〝クレイドル〟などは四人で掛かって全力を出すにも値しない雑魚同然の存在だった。

 

〈ちぇ、詰まんねえ。適当にちゃちゃっと仕留めちゃおうかねー〉

 

 クロトがそう余裕がちに前に出ると、仕留めるのは俺だと云わんばかりにシャニもまた前に出た。目標にしていた〝フリーダム〟が見当たらず、オルガもまた──渋々といった感じではあったが──定石通りの後方支援に回った。

 多勢に無勢──〝クレイドル〟との戦闘が始まった。

 その結果は云うまでもなく、フレイ達が圧倒的だ。四機の〝G〟から容赦なく浴びせられる数々の射線、その対応に追われ、まるで進退もままならない〝クレイドル〟の顔面を、フレイは面白がるように迫撃して蹴り飛ばした。ステラの機体は姿勢制御もできないまま、回転しながら撥ね飛ばされる。

 

「一方的に虐げられる気分はどう? 金髪のお姫様?」

 

 人を小馬鹿にしたような口調と、無力な小動物でも見下すような視線。その両方がえげつない表情を形づくり、通信先の「お姫様」に対して、フレイは威圧的な嘲笑を浮かべて崩さなかった。

 

「ザフトの艦隊がコロニーの裏側から迫ってるそうよ。キラがこの場に駆けつけようと、駆けつけまいと──どっちにしろ、あなた達はおしまいね」

〈キラは来てくれる。絶対に帰って来る……!〉

 

 キラへの信頼感が、ステラにそう云わせたらしい。しかし、男女が互いに信頼している風な口振りは、今のフレイの癪に障った。

 

「大した自信、それとも確信かしら? 『愛しの王子様が私を助けに来てくれる』──はっ、聞いてるだけで虫唾が(はし)る物言いね」

〈愛しの……? え?〉

「純情ぶっちゃって、生娘は可愛くて良いわね」

 

 皮肉を返すフレイは、このとき自覚的に発言を選んでおり、お姫様をいたぶる悪女として振る舞うことをそれなりに愉しんでもいたようだった。無知で無力な女の子を虐げる優越感、こればかりは悪女でなければ味わえぬものであるからだ。

 

「この際だから教えてあげましょうか。キラはね、誰かを助けられるような人ではないわ……だって彼は、彼は私を」

 

 あんたの代わりに、抱いたのだから。

 

〈……?〉

 

 フレイはしかし、それを口にすることだけは明確に躊躇った。

 ──私は今、いったい何を口走ろうとした……?

 目の前には穢れというものを知らない少女がいて、そんな彼女に面と向かって自身と彼との濃密な性体験を暴露してやるのも〝吝かではない〟程度には意地の悪い考えを巡らせたのは事実だが、それを口にすることで傷つき、後悔するだろうはむしろ自分の方であり、そうであるならそれほどに虚しい言質もないだろう、と同時に思ってしまった。

 

「……まあいいわ。あんたがキラをどう思おうと勝手だけど、あんたはここでおしまいよ。その機体(クレイドル)の首でも引っ提げて返してあげれば、後でキラの悲痛な顔が拝めそうだものね」

 

 ステラという存在に、フレイは少々意固地だった。彼女の中で膨れ上がった羨望と嫉妬、彼女にしては殆どを身の内に押し殺すことができたと思っているらしいが、実際は駄々洩れであり、その内の大半はステラによって気取られていた。

 この場合はステラの方が単純に目敏かっただけなのかも知れないが、彼女はフレイの胸の内に、自分が抱えているものと同種の光を感じ取っていたのだ。それが具体的に何なのかは、ステラには理解が及ばないものだったが。

 

〈……あなたも、キラのことが好きなの?〉

 

 唐突な質問が投げかけられ、フレイは呆然とした。返す答えが見つからなかったのもあるが、その問いに答えを返すべきかをまず迷ったのだ。

 そして、その問いをみずからで放り投げたステラ自身また、このとき自分が何を口走ったのかを正確に理解できていないようだった。

 それからはあまりに無様な沈黙が少女達の間に流れ、しかし、これを破るようにそのときになって話題の中核が現れる。蒼き翼が戦場にはためき、コロニー〝メンデル〟から〝フリーダム〟が飛んで来たのだ。

 

〈──ステラっ!〉

 

 翼部ビーム砲〝バラエーナ〟が放射され、この一射が〝レイダー〟と〝フォビドゥン〟を牽制する。

 キラはどうやら〝クレイドル〟を目掛けて真っ直ぐに駆けつけようとしたらしい。しかし、結果的にそれは不可能だった。その進路を、当然ながら嬉々として阻む者が現れたから。

 

「──〝フリーダム〟アアァァッ!」

〈なッ──!?〉

 

 最後衛に位置していたはずの〝カラミティ〟が、全砲門を〝フリーダム〟に向けて撃ち放った。純粋な総合火力であれば〝フリーダム〟をも凌駕しようという〝カラミティ〟の砲撃が、収束された光の奔流となってキラへと襲い掛かる。

 キラはすかさず飛びずさることで光の嵐を回避したが、間髪おかず〝カラミティ〟は突撃を敢行する。

 

「今日こそテメェをぶっ潰してやるよ! 〝フリーダム〟ァ!」

〈なんだ、こいつッ──!?〉

 

 少年達の、戦いが始まった。

 


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