~夢見る少女の転生録~   作:樹霜師走

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ふたりの白兵戦までは持ち込めなかったです。
その決闘はおいおい、ということで。



『6機の〝G〟』C

 

 

 

 拠点攻撃用の重爆撃装備を搭載した〝ジン〟が、クルーゼ隊の指示によって〝ヘリオポリス〟内部へと再突入した。

 目的はふたつだ。

 ひとつ目は地球軍艦『足つき』と呼称される戦艦を逃がすことなく撃墜すること。

 ふたつ目は隠密下での強奪に失敗した二機の〝G〟の強奪を、再度として試みることだ。

 

 ザフトがなぜ、ここまで新型を狙うのか。

 

 それは、地球軍がモビルスーツを開発するだけの知識や技術を編み出せていないこの段階で、コーディネーターの手が及んだ新型の〝G〟が地球軍に渡れば、その詳細なデータ等は、あまねく地球軍に流用される可能性が危惧されたからだ。

 

『適応能力の低いナチュラルには、モビルスーツを乗りこなすことなぞ出来ないよ』

 

 これはザフトに所属しているいつかの軍人が驕るように発言した言葉であり、もっともだと賛同する者もいるだろうが、それは未来を見据えることのできない愚か者の発言だと、クルーゼは非難するだろう。

 念には念を入れるべきだ。いずれやって来る明日さえ約束されていない軍人にとって、敵軍に重要な機密データを明け渡さないことは、その明日のために戦うザフト兵の多くの命が掛かっている大問題なのだ。

 たしかに、モビルスーツの操縦にはそれなりの訓練期間を要するだろうが、ひとたびマニュアルが完成してしまえば、ナチュラルも人間であり、高めの知能が見込めない馬鹿ではない。その内、安易にモビルスーツを扱えるようになる「セミオート」機能さえ、造ろうと思えば無理な代物ではないだろう。

 

「ここで阻止せねばその代価、いずれ我が軍の命で支払うことになる──か」

 

 〝ヴェサリウス〟に帰還したクルーゼは、言い聞かせるようにそう呟き、その時、艦長であるアデスからの報告が上がった。

 

「隊長、〝ヘリオポリス〟で〝イージス〟の奪取に成功したはずのアスラン・ザラが戻りません。いかがなさいますか?」

 

 その報告に、鉄の表情を誇るであろうクルーゼが、わずかにその眉をあげた。彼にとってその報告は、それほどまでに意外なものだったのだろうか?

 

「アスランが命令違反とは珍しい。──ふむ、別に構わんさ。好きに行動させてやるといい……。

 

 ──彼なら戻って来るだろうしな……。

 信頼という言葉は、自分にとって似合わない言葉のひとつであろう、そう自負しているクルーゼであったが、アスラン・ザラに対しては、どこか信任をおいているようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 アスラン・ザラは、気持ちの中に芽生え出した希望や願望に近い感情を否定しつつ、拭えない確信を持ち始めていた。

 キラ・ヤマト──月の幼年学校で一緒だった、アスランの幼馴染である存在だ。

 キラは、地球とプラントの情勢が悪化して、アスランが父パトリックの意向によってプラントへの移住を余儀なくされた時に別れた、アスランにとって、親友と呼ぶべき存在だった。

 ──あいつが、あんなところにいるはずがない……。

 信じられない。

 そう頭を抱えるアスランだが、そこへ、トドメを刺すような記憶が蘇る。

 

『キラ!』

『ステラ! 来るな!』

 

 あの時の声が、今でも、何度も頭の中にこだましている。

 ──ステラ?

 うそだ。

 ステラは────妹の名だ。

 妹は─────無邪気で、甘えん坊で、どこか危なっかしくて、ひとりにして放っておけないような妹で。

 僕の知っている妹は、あんな物騒な所に立っていられるような、そんな妹じゃない。

 ──生きていたのか。

 違う。そもそも、妹は死んだ。

 ──遺体を確認したわけじゃないだろう?

 助かるはずがない。核攻撃を受けたんだぞ。

 理性と感情の間で自問自答しながら、それでも煮え切らず──

 

「ええいッ…………! 」

 

 〝ヴェサリウス〟へ即座に持ち帰るべき〝イージス〟を駆って──

 制圧部隊である〝ジン〟の部隊に後続した。

 

〈気ィ付けな──〝ストライク〟は急に機敏な動きに変わりやがる。調子に乗って慢心してると、首元かっ切られるぜ〉

 

 それを体験して来た、ミゲル・アイマンが部隊を先行し、後続のパイロット達に告げた。後方に続くオレンジ色の〝ジン〟が返す。

 

〈ハ──〝ストライク〟なんてどうでもいいさ。オレは〝オレの機体〟を見つけて、必ず奪い取る〉

 

 オレンジ色の〝ジン〟──パイロットはハイネ・ヴェステンフルスであり、装備は拠点強襲用の長砲身ライフルを装備している。

 オレの機体というのは──間違いなく、ハイネが奪取する目標であった〝ディフェンド〟であるのだろう。

 

〈〝ディフェンド〟ねぇ……その機体(ソイツ)は隊長が乗る〝シグー〟を図らずも撃退している。くれぐれも油断はするなよ〉

 

 〝ストライク〟には──キラが、乗っているのか?

 アスランは煮え切らない想いを胸に、〝イージス〟を駆り、ヘリオポリスのメインシャフトへと侵入していった。

 

 

 

 

 

 

 戦闘が始まっている────。

 アスラン達がヘリオポリス内に再度侵入した時、地球軍艦〝アークエンジェル〟撃墜を目的としたザフトの別働隊が────この時、既に〝ストライク〟と交戦していた。

 

「──見つけたぜ、〝ストライク〟だ!」

 

 ミゲルが先刻の悔しさを胸にギリ、と歯を鳴らすと、大型ミサイルを直下の〝ストライク〟に向けて撃ち放った。

 ──雪辱戦と行こうか!

 〝ストライク〟は、まだ多少のぎこちなさの残った動きではあるが、とてもナチュラルが操縦しているとは思えない速度の反応を見せ、はるか遠くから放たれた、そのミサイルを予知したように回避した。

 

「ザフトの追撃部隊! まだ来るのか!?」

 

 コックピットの中で、キラが毒づくように叫んだ。

 キラははここまで──〝アークエンジェル〟を襲った二機の〝ジン〟を撃墜していた。キラとしては〝アークエンジェル〟に対し何の思い入れもないが、〝ヘリオポリス〟を破壊しようとした〝ジン〟を撃墜したところ、結果的にそれが〝アークエンジェル〟を護ることに繋がったのだ。

 キラはモニターで、迫りくる新たな敵影を確認した。

 現れた敵機は数にして四──その内の一機であるオレンジ色の〝ジン〟は、まるで自分には興味がないかのように、単独で別の方向へと向かって行く。

 

「〝ヘリオポリス〟を!」

 

 これ以上、壊すんじゃない!

 ソードパックを構えているキラは、単独で離脱を図ろうとしているオレンジ色の〝ジン〟を追撃しようとした。

 だが、

 

「落ちろぉっ!」

 

 ミゲルの放つミサイルが〝ストライク〟の進路を阻んだ。

 後続の〝ジン〟もまた長砲口のライフルを撃ち放ち、〝ストライク〟を牽制する。

 やむを得ず〝ストライク〟は身を翻し、真っ直ぐこちらへと向かってくる、三機のザフトの増援に対して迎撃姿勢を取った。

 

「──回り込め、アスラン!」

 

 ミゲルの指示が飛び、〝イージス〟が──〝ストライク〟の側面から肉迫する!

 

「あの機体……!?」

 

 奪われた〝G〟の一機──〝イージス〟!

 そんなものを、もう実戦に投入してくるのか!?

 ──それに、あの機体のパイロットは!

 迫り来る赤い機体に、キラは一瞬気圧されたが、すぐに回避行動を取り、繰り出された〝イージス〟のサーベルを回避した。

 

(〝ストライク〟──乗っているのは、誰だ……キラ、なのか)

 

 アスランが頭の中で反芻しても、答えは出ない。一向に、出るはずがない。

 ──どうなんだ!

 アスランは理性を咬み殺すよう、唸るようにして、通信回線を開いた。

 

「キラ……キラ・ヤマト!」

「アスラン……!?」

「やはりキラ? キラなのか!」

 

 通信先から聞こえた声に、嘘であって欲しいと、願ったが。

 幼馴染の、忘れるはずもない声が聞こえた時、胸を締め付けられたような気分になった。

 ふたりは、茫然とした。

 しかし、やがて驚きが冷めると、同時に、名状しがたい怒りの感情が胸の底から溢れて来た。

 

「なぜ……なぜ君がザフトになんかッ……! 〝ヘリオポリス〟に──なんてひどいことを!」

「君こそ! どうして〝そんなもの(・・・・・)〟に乗っている!? コーディネーター(・・・・・・・・)の君が、どうして地球軍の味方をするんだ!?」

 

 言い果てぬ怒りを覚え、ふたりの少年が、嘆くように叫び合う。これが、アスランの懸念が確信へと変わった瞬間だった。

 ──あのとき出逢った少年は、やっぱりキラだったのか……。

 でも、分からない。

 

(なぜキラが、こんな所にいる?)

 

 なぜキラが──〝足つき〟を護っている?

 なぜキラは──僕に銃を向けている?

 なぜ──僕たちが対峙している?

 アスランが──かける言葉を探した。

 そのよきだった。

 

「──ぼーっとするな、アスランッ!」

 

 ミゲルの怒号が回線から飛び、不意にドキッとしたアスラン。

 ミゲルの駆る〝ジン〟から、数発のミサイルが放たれた。これらは茫然としていた〝ストライク〟を掠めて終わったが、急な対応をした〝ストライク〟が──思わず、空中で体勢を崩す。

 そこへすかさず、もう一機の〝ジン〟が、ライフルを構えて窮迫する!

 長砲身ライフル──戦艦の装甲ですら突き破りかねない、強襲用武装の砲口を──〝ストライク〟へ固定しながら。

 

「しまった──!?」

「キラ──!?」

 

 ザフト兵の駆る〝ジン〟が──〝ストライク〟へと一気に躍りかかる。

 

 ──アレに乗っているのは、友達なのに!

 

 絶望に駆られる。

 あるいは……。

 これが──「戦争」だというのか…………?

 

(戦争の中では────個人の想いなど、押しつぶされてしまうのか!?)

 

 〝ジン〟がライフルを構え、長砲身のそれが火を噴いた。

 光線が迫り────〝ストライク〟へと直撃する!!

 

 

 

 ──まもる…………!!

 

 

 

 その瞬間──。

 キラの通信に────その「言葉」が響いた。

 大火力を誇る〝ジン〟の放ったビームが弾けると──辺りが一瞬、真っ白に閃いた。

 

「やったか!?」

 

 爆炎と共に黒煙を上げ、もくもくと炎上する、ビームの直撃箇所に視線を遣ったミゲルだが。

 そこには────真鍮色に漆黒の盾を構えた〝G〟が現れ、その強大な「盾」で──〝ストライク〟を庇っている姿が映し出された。

 

「なに!?」

「え……!?」

 

 キラが唖然とし、ミゲルとアスランは愕然とした。

 それも束の間、巨大な鉄塊のようだった〝G〟は、すぐに巨大な「盾」を広げ、ビームを放った〝ジン〟へと──そのバーニアを全開にして接近していく。

 

「はああああああっ!!」

 

 体当たり──!?

 重厚な鎧を身に纏った〝ディフェンド〟が──!?

 〝ジン〟を駆るザフト兵は、身の危険を感じ、すぐさまバーニアを反転させて後退した。

 接近する〝ガンダム〟から距離を取ろうと、もう一度、その〝ジン〟は長砲身のライフルを撃ち放つ。

 しかしその砲撃は──黒い鋼のような装甲に消し飛ばされ、完全に無効化された。

 

「ええええいッ!!」

 

 次の瞬間、〝ディフェンド〟による突進が〝ジン〟の胴を捉え────後退するその機体が、バラバラに砕け散った。

 

「っ…………!」

 

 それは────傍から見ればただの「体当たり」でしかなかった。

 しかし、機体の持つそのあまりの重量と硬度によって──それの直撃を受けた〝ジン〟の四肢体が、バラバラに砕き飛ばされたのだ。

 黄色を基調としたカラーリングに、黒い鎧のような重厚な装備を身に纏っている。

 これが報告にあった──ザフトが取り逃した機体? 

 もう一機の〝G〟の力……?

 

「〝ディフェンド〟────!?」

 

 アスランが、コックピットごと粉砕された仲間の死を想い、怒れるような口調で、その名を呼んだ。

 ことの一端を見ていたキラは、この時茫然として、しかし、すぐにハッとして声を上げた。

 

「ど、どうしてここに! もしかして……ステラか? ステラが乗ってるのか!?」

 

 キラが慌てて通信回線に呼び掛けると、モニターには〝ディフェンド〟のコックピットに座る、ワンピース姿のステラが映った。

 その姿を視認すると、うああ、と悲鳴を上げるようにして、キラが右手で、自分の前髪をぐしゃっとかき上げた。

 

「どうして! 危ないからミリィ達と逃げて、って言ったのに!」

 

 この時ばかりは、キラもまるでステラが自分の妹であるかのように、少しキツめに怒ろうとした。

 しかし、ステラからは小憎らしい返答が返り、

 

「危ないの、キラも同じ。今、ステラが来なかったら、キラも、たいへんだった」

「うッ」

 

 ごもっともだね、とキラは返す言葉を失った。

 事実、キラはステラによって助かったのだから。

 

「…………ステラ、だって?」

 

 〝イージス〟を駆るアスランは──通信回線のその先から、幼馴染である親友の声と、その親友と応答する────アスランの中のあり得ない存在(・・・・・・・)の声を聴いていた。

 忘れるはずもない声だ。何年たっても忘れない……そんな、透き通った女の子の声。

 

「キラ…………今、なんて言ったんだ? ステラ……? どうして君が、その名前を────!!?」

 

 敵であることも忘れているかのように、アスランはキラに、せがむようにして訊ねた。

 

「アスラン! 君はやっぱり、知らなかったのか!?」

「何の、話を…………!?」

「ステラは! ────君の妹は! 生きてるんだよ!!」

 

 アスランの身体が、凍り付いた。

 モニター越しに見えるアスランのその反応に、キラはたしかな感触を経て、確信と共に呼びかける。

 

「やっぱり知らなかったんだ……! 僕も驚いた! でも、ひどいじゃないか! 妹のいるヘリオポリスに、君が! 攻撃を仕掛けるなんて!」

「嘘だ……嘘だ! 嘘をつくなキラ! ふざけるのも、いい加減にしろッ!」

 

 〝イージス〟が失調したように、〝ストライク〟へとライフルの銃口を向けた。

 〝ストライク〟はそれに対して、特に抵抗する様子は見せなかった。

 しかし、次の瞬間、〝イージス〟と〝ストライク〟の間を──〝ディフェンド〟が割るようにして入り込み、〝ストライク〟を庇うように据えた。

 

「ステラ!」

「アスラン、そこ?」

「は……!?」

 

 アスランは──モニターに映る、忘れるはずもないその姿を目に入れた。

 金髪の少女が──見覚えのある双眸で、こちらを見ている。

 その面影は──アスランの記憶を正確に再現したようなもので、彼女は無表情でありながら、好奇心に溢れているような眸を浮かばせている。

 やがてその表情は──太陽のような、柔らかな表情へと変わった。

 

「────おにいちゃん!」

 

 清流のように、細いようで芯のある透き通った声。

 蜂蜜に金粉を振りまいたかのような輝きを放つ金髪。

 円らな眸のその奥にある翠色は────母レノアによく似た、妹の特徴だった。

 

「そん、なッ…………」

 

 疑いようはなかった。

 目の前に映る少女──その傍らには、飛び跳ねている球体型ロボット(・・・・・・・・)の姿もある。

 それはいまだ、女の子にしか送ったことのない──ハロという、自作のロボット。

 海色のそれは、自分が過去に、妹のためだけに作ったものだ──!

 愕然とし、言葉を失う、アスランの下へ──。

 

「────逃がすかよぉっ! 黄色いヤツ!」

 

 オレンジ色の〝ジン〟を駆るハイネ・ヴェステンフルスが──長砲身の重粒子砲を、手当たり次第にぶっ放しながら戻って来た。

 

「それは、オレの機体だぁ!」

 

 何の根拠もない割に威勢だけは凄まじい台詞と共に、〝ディフェンド〟を射程距離に捉えたハイネが、それに照準を固定し、野太い重粒子砲────これを乱射射した。

 大火力の砲撃が、繋がるように長い巨大な光条となり────ステラの乗る機体へと直進する!

 〝イージス〟は、咄嗟の仲間の行動に対応できなかったが、その瞬間、生き別れた兄を目の前に無防備な姿を晒す〝ディフェンド〟を────〝ストライク〟が腕を取り、強引に引っ張り上げた。

 腕を取った〝ストライク〟に引かれ、〝ディフェンド〟はかろうじて、ハイネの放った重粒子砲から逃れる。

 

 だが、それがヘリオポリスの「とどめ」となった。

 

 標的を外し、空を切った超火力のビームは、そのまま直進した先のヘリオポリスの外壁に着弾する。

 その衝撃がトリガーとなり、連戦によって荒廃し、既にコロニー自体に相当な無理がかかっていたのであろう、ヘリオポリスの地盤が、激しい音と共に大きな亀裂を広げ始めたのだ。

 気流が乱れ、生まれた亀裂の間から除く宇宙へと────コロニーの中の、あらゆるモノ、何もかもが、吸い出されるように呑み込まれていく。

 

「うわっ!?」

 

 キラが悲鳴のような声をあげた。だが、〝ストライク〟の手は────決して〝ディフェンド〟の腕を離そうとはしなかった。

 見慣れた街並みが、一気に崩れ去っていく。エレカや建物のすべてが〝残骸〟となって──宇宙空間へと放り出されてゆく。

 ──押し出される!?

 コロニーに限界が訪れた!

 悔いるように、ハイネは舌を打ち、すぐさまミゲルと合流する。

 

「キラ! すて───ッ!!!」

 

 いまだ信じられた話ではなく、アスランは、不意に出掛った「その名」を呼ぶことを躊躇ってしまったが──乱れた気流は容赦なく〝イージス〟と〝ストライク〟────そして〝ディフェンド〟の間を分かち、躊躇いの名前を言い切る前に、二者を引き離した。

 〝ストライク〟と〝ディフェンド〟では、その重量では圧倒的に後者が前者を上回っていたが、コロニー崩壊の折に発生する気流は、堅牢な盾と鎧を装備する〝ディフェンド〟の質量さえも軽々しくかっさらい、宇宙空間へと押し出していく。

 激しい気流に吹き飛ばされ、二機のガンダムが飛ばされていく。

 

「うわあああああああッ!!?」

「おにい、ちゃん………」

 

 

 〝ストライク〟に腕を惹かれ──共に宇宙空間へと投げ出されていく〝ディフェンド〟──。

 

 キラは叫び声をあげ──。

 ステラは〝ディフェンド〟のコックピットの中────

 一度も。

 一度たりとも、手を差し伸べてくれなかった〝イージス〟が離れていくその姿を───茫然と見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 


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